JPH0872689A - トラクションコントロール装置 - Google Patents

トラクションコントロール装置

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JPH0872689A
JPH0872689A JP20831794A JP20831794A JPH0872689A JP H0872689 A JPH0872689 A JP H0872689A JP 20831794 A JP20831794 A JP 20831794A JP 20831794 A JP20831794 A JP 20831794A JP H0872689 A JPH0872689 A JP H0872689A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 駆動輪スリップの発生時、左右駆動輪へのブ
レーキ液圧を増圧・保持・減圧する左右独立制動力制御
により駆動輪スリップを抑制するトラクションコントロ
ール装置において、低μ登坂路での発進時、左右駆動輪
で同等の駆動輪スリップ抑制作用を確保しながら発進性
能の向上を図ること。 【構成】 車両発進検出時、制御で用いるスリップ状態
しきい値として左右駆動輪で異なる値を選択するスリッ
プ状態しきい値選択手段eと、制御開始時は選択された
スリップ状態しきい値を用い、制御開始後は増圧・保持
・減圧の制御サイクル毎に交互に変えたスリップ状態し
きい値を用い、左右駆動輪で独立にブレーキ液圧を制御
する左駆動輪ブレーキ液圧制御手段g及び右駆動輪ブレ
ーキ液圧制御手段iを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、駆動輪スリップの発生
時、左右駆動輪へのブレーキ液圧を増圧・保持・減圧す
る左右独立制動力制御により駆動輪スリップを抑制する
トラクションコントロール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トラクションコントロール装置と
して、駆動輪スリップの発生時、左右駆動輪へのブレー
キ液圧を増圧・保持・減圧する左右独立制動力制御によ
り駆動輪スリップを抑制する装置は、多数の公報や実車
において知られているところである。
【0003】この左右独立制動力制御によるトラクショ
ンコントロール装置を用いれば、駆動力過剰による駆動
輪スリップに対し制動力を用いて応答良くスリップ抑制
ができるし、また、左右スプリットμ路(摩擦係数が左
右輪が異なる路面)で低μ路側の片輪のみが駆動輪スリ
ップ状態となった場合に有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のトラクションコントロール装置にあっては、左右独
立制動力制御としているものの左右駆動輪のそれぞれで
制御でブレーキ液圧の増圧開始基準及び減圧開始基準と
して用いられるスリップ状態しきい値を同じ値にしてい
るものであるため、低μ登坂路での発進時に車両が後方
にずり落ちてしまったり、また、路面が左右方向に傾斜
している場合には、傾斜の低い方へ車両が横ずれするこ
とがあるという問題があった。
【0005】なぜなら、図6に示すような、低μ登坂路
での発進時には、路面摩擦係数が左右輪で同じであるこ
とで、多少の時間のずれがあってもほぼ同時に左右輪で
駆動輪スリップが発生する。よって、左右駆動輪ので設
定されているスリップ状態しきい値が同じであること
で、左右駆動輪でのブレーキ液圧制御は、左輪が増圧の
時には右輪も増圧、左輪が減圧の時には左輪も減圧とい
うように、制御パターンとしてブレーキ液圧の増圧・保
持・減圧の各相が時期的にほぼ同時にあらわれる同期同
相制御パターンとなる。
【0006】したがって、減圧によりブレーキ液圧が左
右輪同時に抜かれた場合、車両重心位置に路面傾斜によ
り発生する後方ずり落ち力に対しこれを支えていた制動
力が一気に低下することで、車両が後方にずり落ちてし
まう。尚、駆動力が大きい場合には、車両後方ずり落ち
は発生しないが、低μ路であることでタイヤ−路面間の
駆動力の発生は小さい。
【0007】また、左右輪が同時スリップをした場合、
左右輪の各タイヤのコーナリングフォースが小さくな
り、路面が左右方向に傾斜している場合には、コーナリ
ングフォース不足により傾斜の低い方へ車両が横ずれす
る。
【0008】本発明は、上記課題に着目してなされたも
ので、第1の目的とするところは、駆動輪スリップの発
生時、左右駆動輪へのブレーキ液圧を増圧・保持・減圧
する左右独立制動力制御により駆動輪スリップを抑制す
るトラクションコントロール装置において、低μ登坂路
での発進時、左右駆動輪で同等の駆動輪スリップ抑制作
用を確保しながら発進性能の向上を図ることにある。
【0009】第2の目的とするところは、第1の目的に
加え、片輪側での過大な駆動輪スリップの発生を防止す
ることにある。
【0010】第3の目的とするところは、第1または第
2の目的に加え、走行中のトラクション制御時における
車両挙動の安定性を確保することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため第1の発明のトラクションコントロール装置で
は、図1のクレーム対応図に示すように、駆動輪スリッ
プの発生時、左右駆動輪へのブレーキ液圧を増圧・保持
・減圧する左右独立制動力制御により駆動輪スリップを
抑制するトラクションコントロール装置において、左駆
動輪のスリップ状態を算出する左スリップ状態算出手段
aと、右駆動輪のスリップ状態を算出する右スリップ状
態算出手段bと、少なくとも駆動輪スリップの許容程度
の異なる第1スリップ状態しきい値と第2スリップ状態
しきい値とを設定しているスリップ状態しきい値設定手
段cと、車両発進状態を検出する発進検出手段dと、車
両発進検出時、制御で用いるスリップ状態しきい値とし
て左右駆動輪で異なる値を選択するスリップ状態しきい
値選択手段eと、制御開始時は選択されたスリップ状態
しきい値を用い、制御開始後は増圧・保持・減圧の制御
サイクル毎に交互に変えたスリップ状態しきい値を用
い、左駆動輪へのブレーキ液圧を制御する指令を左駆動
輪ブレーキ液圧アクチュエータfに出力する左駆動輪ブ
レーキ液圧制御手段gと、制御開始時は選択されたスリ
ップ状態しきい値を用い、制御開始後は増圧・保持・減
圧の制御サイクル毎に交互に変えたスリップ状態しきい
値を用い、右駆動輪へのブレーキ液圧を制御する指令を
右駆動輪ブレーキ液圧アクチュエータhに出力する右駆
動輪ブレーキ液圧制御手段iと、を備えていることを特
徴とする。
【0012】上記第2の目的を達成するため第2の発明
のトラクションコントロール装置では、請求項1記載の
トラクションコントロール装置において、前記スリップ
状態しきい値選択手段cを、第1スリップ状態しきい値
と第2スリップ状態しきい値のうち、低い値をスリップ
の高い方の車輪側のしきい値として選択し、高い値をス
リップの低い方の車輪側のしきい値として選択する手段
としたことを特徴とする。
【0013】上記第3の目的を達成するため第3の発明
のトラクションコントロール装置では、請求項1または
請求項2記載のトラクションコントロール装置におい
て、前記発進検出手段dを、車速が設定車速未満である
との判断により発進状態を検出する手段とし、車速が設
定車速以上の時には設定されているスリップ状態しきい
値のうち一つの値に基づき左右駆動輪のブレーキ液圧を
制御する走行時ブレーキ液圧制御手段を設けたことを特
徴とする。
【0014】
【作用】第1の発明の作用を説明する。
【0015】発進検出手段dによる車両発進検出時に
は、スリップ状態しきい値選択手段eにおいて、制御で
用いるスリップ状態しきい値として左右駆動輪で異なる
値が選択される。そして、左駆動輪側では、左駆動輪ブ
レーキ液圧制御手段gにおいて、制御開始時は選択され
たスリップ状態しきい値と左スリップ状態算出手段aか
らの左スリップ状態算出値を用い、制御開始後は増圧・
保持・減圧の制御サイクル毎に交互に変えたスリップ状
態しきい値と左スリップ状態算出手段aからの左スリッ
プ状態算出値を用い、左駆動輪へのブレーキ液圧を制御
する指令が左駆動輪ブレーキ液圧アクチュエータfに出
力される。一方、右駆動輪側では、右駆動輪ブレーキ液
圧制御手段iにおいて、制御開始時は選択されたスリッ
プ状態しきい値と右スリップ状態算出手段bからの右ス
リップ状態算出値を用い、制御開始後は増圧・保持・減
圧の制御サイクル毎に交互に変えたスリップ状態しきい
値と右スリップ状態算出手段bからの右スリップ状態算
出値を用い、右駆動輪へのブレーキ液圧を制御する指令
が右駆動輪ブレーキ液圧アクチュエータhに出力され
る。
【0016】したがって、発進時には、左駆動輪と右駆
動輪とでブレーキ液圧制御のスリップ状態しきい値が異
なる値に設定されることで、制御開始時の増圧時期は、
左右駆動輪の一方が早く他方が遅くなり、増圧・保持・
減圧の各相が左駆動輪と右駆動輪とで時期的にずれるこ
とになる。
【0017】よって、低μ登坂路での発進時、左右駆動
輪のブレーキ液圧が同時に抜かれることがなく、ブレー
キ液圧が加えられている片輪側での制動力確保により、
車両が後方にずり落ちることが防止されるし、ブレーキ
液圧が加えられている片輪側での駆動スリップ抑制に伴
うコーナリングフォースの確保により、路面が左右方向
に傾斜している場合の車両横ずれが防止される。さら
に、左右駆動輪のブレーキ液圧が同時に供給されること
がなく、ブレーキ液圧が抜かれている片輪側での駆動力
により、登坂路を進む車両牽引力が確保される。
【0018】また、左右駆動輪の駆動スリップ抑制作用
は、制御開始後も最初に設定した異なるしきい値を維持
するのではなく、増圧・保持・減圧の制御サイクル毎に
交互にスリップ状態しきい値を変えるようにしているこ
とで、左右駆動輪で同等に駆動スリップが抑制される。
【0019】第2の発明の作用を説明する。
【0020】スリップ状態しきい値を選択するにあたっ
て、スリップ状態しきい値選択手段cにおいて、第1ス
リップ状態しきい値と第2スリップ状態しきい値のう
ち、低い値がスリップの高い方の車輪側のしきい値とし
て選択され、高い値がスリップの低い方の車輪側のしき
い値として選択される。
【0021】したがって、スリップの高い方の車輪側で
のブレーキ液圧の増圧がスリップの低い方の車輪側での
ブレーキ液圧の増圧よりも早期に行なわれることにな
り、片輪側での過大な駆動輪スリップの発生が防止され
る。
【0022】第3の発明の作用を説明する。
【0023】車両発進を検出するにあたって、発進検出
手段dにおいて、車速が設定車速未満であるとの判断に
より発進状態が検出される。そして、車速が設定車速以
上の時には、走行時ブレーキ液圧制御手段において、設
定されているスリップ状態しきい値のうち一つの値に基
づき左右駆動輪のブレーキ液圧が制御される。
【0024】したがって、低μ路走行中や加速走行中等
で駆動輪スリップが発生し、ブレーキ液圧によるトラク
ション制御が行なわれる時には、左右駆動輪で同じスリ
ップ状態しきい値が用いられることで、制御パターンと
してブレーキ液圧の増圧・保持・減圧の各相が時期的に
ほぼ同時にあらわれる同期同相制御パターンとなり、左
右駆動輪の制動力差による車両重心回りのヨーモーメン
トの発生が抑えられ、車両挙動の安定性が確保される。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0026】まず、構成を説明する。
【0027】図2は本発明実施例のトラクションコント
ロール装置を示す全体システム図である。
【0028】図2において、1は左前輪、2は右前輪、
3はエンジン、4はトランスミッション、5はプロペラ
シャフト、6はディファレンシャル、7は左ドライブシ
ャフト、8は右ドライブシャフト、9は左後輪、10は
右後輪、11は左ブレーキ装置、12は右ブレーキ装
置、13は油圧ポンプ、14はブレーキ液圧アクチュエ
ータ(左駆動輪ブレーキ液圧アクチュエータf及び右駆
動輪ブレーキ液圧アクチュエータhに相当)、15は左
ブレーキ液パイプ、16は右ブレーキ液パイプ、17は
左前輪速センサ、18は右前輪速センサ、19は左後輪
速センサ、20は右後輪速センサ、21はブレーキTC
Sコントローラである。
【0029】前記ブレーキ液圧アクチュエータ14は、
ブレーキTCSコントローラ21からの制御指令により
左右後輪9,10で独立にブレーキ液圧の増圧・保持・
減圧を行なう。
【0030】前記ブレーキTCSコントローラ21は、
左前輪速センサ17,右前輪速センサ18,左後輪速セ
ンサ19,右後輪速センサ20等からの入力情報に基づ
き後述する制御フローチャートにしたがってブレーキT
CS制御の演算処理を行なうコントローラである。
【0031】次に、作用を説明する。
【0032】[ブレーキTCS制御作動処理]図3はブ
レーキTCSコントローラ21で行なわれるブレーキT
CS制御作動処理の流れを示すフローチャートで、以
下、各ステップについて説明する。尚、この制御作動処
理は、左後輪側ブレーキ制御部と右後輪側ブレーキ制御
部のそれぞれで実行される。
【0033】ステップ30では、推定車体速Vref が1
0km/h未満かどうかが判断される(発進検出手段d
に相当)。ここで、推定車体速Vref は左右の前輪速や
前後加速度等を用いて推定される。
【0034】ステップ31では、自輪がスリップの高い
方かどうかが判断される。この判断に先立って、左後輪
スリップ量がVwl−Vref の式により算出され(左スリ
ップ状態算出手段aに相当)、右後輪スリップ量がVwr
−Vref の式により算出されている(右スリップ状態算
出手段bに相当)。尚、Vwlは左後輪速、Vwrは右後輪
速である。
【0035】ステップ32では、増圧用スリップ量しき
い値SlipA,SlipBの値が入れ替えられる。こ
こで、増圧用スリップ量しきい値としては、予め大きな
値と小さな値の2つの値がメモリに記憶設定されていて
(スリップ状態しきい値設定手段cに相当)、値の入れ
替え前は、SlipA=大きな値,SlipB=小さな
値という設定となっていて、値の入れ替えにより、Sl
ipA=小さな値,SlipB=大きな値という設定と
なる。このステップ31,ステップ32は、スリップ状
態しきい値選択手段eに相当する。
【0036】ステップ33では、後輪スリップ量Vw −
Vref が増圧用スリップ量しきい値SlipB以上かど
うかが判断される。例えば、左後輪の場合には、左後輪
スリップ量Vwl−Vref が増圧用スリップ量しきい値S
lipB以上かどうかが判断される。
【0037】ステップ34では、ステップ33でnoと
判断された場合、ブレーキ液圧を保持する制御指令が出
力される。
【0038】ステップ35では、ステップ33でyes
と判断された場合、ブレーキ液圧を増圧する制御指令が
出力される。
【0039】ステップ36では、車輪加速度awが負か
どうかが判断され、aw>0の時にはステップ35の増
圧制御が継続される。
【0040】ステップ37では、ステップ36でyes
(aw≦0)と判断された場合、ブレーキ液圧を保持す
る制御指令が出力される。
【0041】ステップ38では、後輪スリップ量Vw −
Vref が減圧用スリップ量しきい値Slipb未満かど
うかが判断され、noの時にはステップ37の保持制御
が継続される。ここで、減圧用スリップ量しきい値Sl
ipbは小さな値で設定されている。
【0042】ステップ39では、ステップ38でyes
と判断された場合、ブレーキ液圧を減圧する制御指令が
出力される。
【0043】ステップ40では、車輪加速度awが正か
どうかが判断される。
【0044】ステップ41では、ステップ40でno
(aw≦0)と判断された場合、ブレーキ液圧を保持す
る制御指令が出力される。
【0045】ステップ42では、ステップ40でyes
と判断された場合、推定車体速Vref が10km/h未
満かどうかが判断される。
【0046】ステップ43では、ステップ42でyes
と判断された場合、後輪スリップ量Vw −Vref が増圧
用スリップ量しきい値SlipA以上かどうかが判断さ
れる。
【0047】ステップ44では、ステップ43でnoと
判断された場合、ブレーキ液圧を保持する制御指令が出
力される。
【0048】ステップ45では、ステップ43でyes
と判断された場合、ブレーキ液圧を増圧する制御指令が
出力される。
【0049】ステップ46では、車輪加速度awが負か
どうかが判断され、aw>0の時にはステップ45の増
圧制御が継続される。
【0050】ステップ47では、ステップ46でyes
(aw≦0)と判断された場合、ブレーキ液圧を保持す
る制御指令が出力される。
【0051】ステップ48では、後輪スリップ量Vw −
Vref が減圧用スリップ量しきい値Slipb未満かど
うかが判断され、noの時にはステップ47の保持制御
が継続される。
【0052】ステップ49では、ステップ48でyes
と判断された場合、ブレーキ液圧を減圧する制御指令が
出力される。
【0053】ステップ50では、車輪加速度awが正か
どうかが判断される。
【0054】ステップ51では、ステップ50でno
(aw≦0)と判断された場合、ブレーキ液圧を保持す
る制御指令が出力される。
【0055】ステップ52では、ステップ50でyes
と判断された場合、推定車体速Vref が10km/h未
満かどうかが判断され、Vref <10である時はステッ
プ33へ戻り、ステップ33〜ステップ52の処理が繰
り返される。尚、ステップ33〜ステップ52は、左駆
動輪ブレーキ液圧制御手段g及び右駆動輪ブレーキ液圧
制御手段iに相当する。
【0056】ステップ53では、ステップ30あるいは
ステップ42あるいはステップ52で、Vref ≧10、
つまり、車両走行状態であると判断された時は、左後輪
側も右後輪側も同じ増圧用スリップ量しきい値Slip
B(=小さな値)を用いてのブレーキ液圧制御が行なわ
れる(走行時ブレーキ液圧制御手段に相当)。
【0057】[発進時ブレーキTCS制御作用]推定車
体速Vref が10km/h未満の発進時には、ステップ
30→ステップ31あるいはステップ30→ステップ3
1→ステップ32へと進む流れとなり、スリップの高い
方の車輪側では、SlipA=大きな値,SlipB=
小さな値という設定が選択され、スリップの低い方の車
輪側では、SlipA=小さな値,SlipB=大きな
値という設定が選択されるというように、制御で用いる
増圧用スリップ量しきい値として左右後輪で異なる値が
選択される。
【0058】そして、例えば、左後輪がスリップの高い
車輪とした場合、左後輪側では、ステップ33〜ステッ
プ41により、制御開始時は選択されたスリップ量しき
い値SlipB(=小さな値)を用いてブレーキ液圧が
制御され、次に制御サイクルでは、ステップ43〜ステ
ップ51により、スリップ量しきい値SlipA(=大
きな値)を用いてブレーキ液圧が制御され、さらに、次
の制御サイクルでは、ステップ33〜ステップ41によ
り、スリップ量しきい値SlipB(=小さな値)を用
いてブレーキ液圧が制御されるというように、制御開始
後は増圧・保持・減圧の制御サイクル毎に交互に変えた
スリップ量しきい値SlipA,SlipBを用いて左
後輪のブレーキ液圧が制御される。
【0059】一方、右後輪側では、ステップ33〜ステ
ップ41により、制御開始時は選択されたスリップ量し
きい値SlipB(=大きな値)を用いてブレーキ液圧
が制御され、次に制御サイクルでは、ステップ43〜ス
テップ51により、スリップ量しきい値SlipA(=
小さな値)を用いてブレーキ液圧が制御され、さらに、
次の制御サイクルでは、ステップ33〜ステップ41に
より、スリップ量しきい値SlipB(=大きな値)を
用いてブレーキ液圧が制御されるというように、制御開
始後は増圧・保持・減圧の制御サイクル毎に交互に変え
たスリップ量しきい値SlipA,SlipBを用いて
右後輪のブレーキ液圧が制御される。
【0060】したがって、発進時には、左後輪と右後輪
とでブレーキ液圧制御のスリップ量しきい値Slip
A,SlipBの値の大きさが異なる設定とされること
で、制御開始時の増圧時期は、左後輪の方が早く右後輪
の方が遅くなり、増圧・保持・減圧の各相が左後輪側と
右後輪側とで時期的にずれることになる。
【0061】ちなみに、図4は発進時に左後輪がスリッ
プの高い車輪である場合の低μ登坂路での左右後輪速及
びブレーキ液圧のタイムチャートを示すが、左後輪側と
右後輪側とで増圧・保持・減圧の各相のでかたが左後輪
側と右後輪側とで時期的にずれていることが分かる。
【0062】[低μ登坂路での発進性能]上記のような
ブレーキ液圧制御が行なわれることで、低μ登坂路での
発進時、左右後輪のブレーキ液圧が同時に抜かれること
がなく、例えば、図5に示すように、左後輪のブレーキ
液圧が抜かれている時には、右後輪にブレーキ液圧が加
えられているという関係になる。
【0063】よって、ブレーキ液圧が加えられている右
後輪側での制動力確保により、車両が後方にずり落ちる
ことが防止されるし、ブレーキ液圧が加えられている右
後輪での駆動スリップ抑制に伴うコーナリングフォース
の確保により、路面が左右方向に傾斜している場合の車
両横ずれが防止される。
【0064】さらに、ブレーキ液圧が抜かれている左後
輪側での駆動力により、登坂路を進む車両牽引力が確保
される。この駆動力は、図4のハッチングで示すよう
に、左右後輪で交互に発生することになる。
【0065】[低μ登坂路での駆動スリップ抑制作用]
上記のように、制御開始後も最初に設定した異なるしき
い値を維持するのではなく、増圧・保持・減圧の制御サ
イクル毎に交互に増圧用スリップ量しきい値Slip
A,SlipBを変えるようにしていることで、左右後
輪で同等に駆動スリップが抑制される。
【0066】また、制御開始時に増圧用スリップ量しき
い値SlipBの値を選択するにあたって、ステップ3
1及びステップ32により、低い値がスリップの高い方
の車輪側のしきい値として選択され、高い値がスリップ
の低い方の車輪側のしきい値として選択される。
【0067】したがって、スリップの高い方の後輪側で
のブレーキ液圧の増圧がスリップの低い方の後輪側での
ブレーキ液圧の増圧よりも早期に行なわれることにな
り、スリップの高い方の車輪のしきい値として高い値が
選択される場合のように、スリップの高い車輪での駆動
輪スリップが過大となるのが防止される。
【0068】[走行時ブレーキTCS制御作用]車両発
進状態から走行状態へ移行した場合、ステップ30ある
いはステップ42あるいはステップ52で、Vref ≧1
0、つまり、車両走行状態であると判断され、ステップ
53へ進み、左後輪側も右後輪側も同じ増圧用スリップ
量しきい値SlipB(=小さな値)を用いてのブレー
キ液圧制御が行なわれる。
【0069】したがって、低μ路走行中や加速走行中等
で駆動輪スリップが発生し、ブレーキ液圧によるトラク
ション制御が行なわれる時には、左右後輪で同じ増圧用
スリップ量しきい値SlipBが用いられることで、制
御パターンとしてブレーキ液圧の増圧・保持・減圧の各
相が時期的にほぼ同時にあらわれる同期同相制御パター
ンとなり、左右後輪の制動力差による車両重心回りのヨ
ーモーメントの発生が抑えられ、車両挙動の安定性が確
保される。
【0070】次に、効果を説明する。
【0071】(1)駆動輪スリップの発生時、左右後輪
へのブレーキ液圧を増圧・保持・減圧する左右独立制動
力制御により駆動輪スリップを抑制するトラクションコ
ントロール装置において、車両発進検出時、制御で用い
る増圧用スリップ量しきい値SlipBとして左右後輪
で異なる値を選択し、制御開始時は選択された増圧用ス
リップ量しきい値SlipBを用い、制御開始後は増圧
・保持・減圧の制御サイクル毎に交互に変えた増圧用ス
リップ量しきい値SlipA,SlipBを用い、左右
後輪で独立にブレーキ液圧を制御する装置としたため、
低μ登坂路での発進時、左右後輪で同等の駆動輪スリッ
プ抑制作用を確保しながら、車両の後方ずり落ちや横ず
れの防止と登坂駆動力確保により発進性能の向上を図る
ことができる。
【0072】(2)ブレーキTCS制御開始時に増圧用
スリップ量しきい値SlipBの値を左右後輪にて選択
するにあたって、低い値をスリップの高い方の車輪側の
しきい値として選択し、高い値をスリップの低い方の車
輪側のしきい値として選択する装置としたため、片輪側
での過大な駆動輪スリップの発生を防止することができ
る。
【0073】(3)推定車体速Vref が10km/h以
上である時、車両走行状態であると判断し、左後輪側も
右後輪側も同じ増圧用スリップ量しきい値SlipB
(=小さな値)を用いてのブレーキ液圧制御を行なう装
置としたため、走行中のトラクション制御時における車
両挙動の安定性を確保することができる。
【0074】以上、実施例を図面により説明してきた
が、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があ
っても本発明に含まれる。
【0075】例えば、実施例では、後輪駆動車への適用
例を示したが、前輪駆動車に適用できることはいうまで
もない。
【0076】実施例では、発進検出手段として、車速の
みを用いて検出し、低μ登坂路発進時に限らず発進時に
は本発明の制御を実行する例を示したが、路面勾配検出
や路面摩擦係数検出を含め、登坂路発進時あるいは低μ
登坂路発進時にのみ本発明の制御を実行するような例と
してもよい。
【0077】
【発明の効果】請求項1記載の第1の発明にあっては、
駆動輪スリップの発生時、左右駆動輪へのブレーキ液圧
を増圧・保持・減圧する左右独立制動力制御により駆動
輪スリップを抑制するトラクションコントロール装置に
おいて、車両発進検出時、制御で用いるスリップ状態し
きい値として左右駆動輪で異なる値を選択するスリップ
状態しきい値選択手段と、制御開始時は選択されたスリ
ップ状態しきい値を用い、制御開始後は増圧・保持・減
圧の制御サイクル毎に交互に変えたスリップ状態しきい
値を用い、左右駆動輪で独立にブレーキ液圧を制御する
左駆動輪ブレーキ液圧制御手段及び右駆動輪ブレーキ液
圧制御手段を設けた装置としたため、低μ登坂路での発
進時、左右駆動輪で同等の駆動輪スリップ抑制作用を確
保しながら発進性能の向上を図ることができるという効
果が得られる。
【0078】請求項2記載の第2の発明にあっては、請
求項1記載のトラクションコントロール装置において、
スリップ状態しきい値選択手段を、第1スリップ状態し
きい値と第2スリップ状態しきい値のうち、低い値をス
リップの高い方の車輪側のしきい値として選択し、高い
値をスリップの低い方の車輪側のしきい値として選択す
る手段としたため、上記効果に加え、片輪側での過大な
駆動輪スリップの発生を防止することができるという効
果が得られる。
【0079】請求項3記載の第3の発明にあっては、請
求項1または請求項2記載のトラクションコントロール
装置において、発進検出手段を、車速が設定車速未満で
あるとの判断により発進状態を検出する手段とし、車速
が設定車速以上の時には設定されているスリップ状態し
きい値のうち一つの値に基づき左右駆動輪のブレーキ液
圧を制御する走行時ブレーキ液圧制御手段を設けた装置
としたため、上記効果に加え、走行中のトラクション制
御時における車両挙動の安定性を確保することができる
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトラクションコントロール装置を示す
クレーム対応図である。
【図2】実施例のトラクションコントロール装置を示す
全体システム図である。
【図3】実施例のトラクションコントロール装置のブレ
ーキTCSコントローラで行なわれるブレーキTCS制
御作動処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】低μ登坂路での発進時おける車輪速,車体速,
ブレーキ液圧制御を示すタイムチャートである。
【図5】発進時のある時点での左右後輪の駆動力,制動
力,コーナリングフォースを示す説明図である。
【図6】従来のトラクションコントロール装置を搭載し
た車両での低μ登坂路での発進時おける後方ずり落ちと
横ずれを示す斜視図である。
【符号の説明】
a 左スリップ状態算出手段 b 右スリップ状態算出手段 c スリップ状態しきい値設定手段 d 発進検出手段 e スリップ状態しきい値選択手段 f 左駆動輪ブレーキ液圧アクチュエータ g 左駆動輪ブレーキ液圧制御手段 h 右駆動輪ブレーキ液圧アクチュエータ i 右駆動輪ブレーキ液圧制御手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪スリップの発生時、左右駆動輪へ
    のブレーキ液圧を増圧・保持・減圧する左右独立制動力
    制御により駆動輪スリップを抑制するトラクションコン
    トロール装置において、 左駆動輪のスリップ状態を算出する左スリップ状態算出
    手段と、 右駆動輪のスリップ状態を算出する右スリップ状態算出
    手段と、 少なくとも駆動輪スリップの許容程度の異なる第1スリ
    ップ状態しきい値と第2スリップ状態しきい値とを設定
    しているスリップ状態しきい値設定手段と、 車両発進状態を検出する発進検出手段と、 車両発進検出時、制御で用いるスリップ状態しきい値と
    して左右駆動輪で異なる値を選択するスリップ状態しき
    い値選択手段と、 制御開始時は選択されたスリップ状態しきい値を用い、
    制御開始後は増圧・保持・減圧の制御サイクル毎に交互
    に変えたスリップ状態しきい値を用い、左駆動輪へのブ
    レーキ液圧を制御する指令を左駆動輪ブレーキ液圧アク
    チュエータに出力する左駆動輪ブレーキ液圧制御手段
    と、 制御開始時は選択されたスリップ状態しきい値を用い、
    制御開始後は増圧・保持・減圧の制御サイクル毎に交互
    に変えたスリップ状態しきい値を用い、右駆動輪へのブ
    レーキ液圧を制御する指令を右駆動輪ブレーキ液圧アク
    チュエータに出力する右駆動輪ブレーキ液圧制御手段
    と、 を備えていることを特徴とするトラクションコントロー
    ル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトラクションコントロー
    ル装置において、 前記スリップ状態しきい値選択手段を、第1スリップ状
    態しきい値と第2スリップ状態しきい値のうち、低い値
    をスリップの高い方の車輪側のしきい値として選択し、
    高い値をスリップの低い方の車輪側のしきい値として選
    択する手段としたことを特徴とするトラクションコント
    ロール装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のトラクシ
    ョンコントロール装置において、 前記発進検出手段を、車速が設定車速未満であるとの判
    断により発進状態を検出する手段とし、 車速が設定車速以上の時には設定されているスリップ状
    態しきい値のうち一つの値に基づき左右駆動輪のブレー
    キ液圧を制御する走行時ブレーキ液圧制御手段を設けた
    ことを特徴とするトラクションコントロール装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2390406A (en) * 2002-03-27 2004-01-07 Bosch Gmbh Robert Anti-slip regulation system with brake engagement for vehicles travelling uphill
JP2007069760A (ja) * 2005-09-07 2007-03-22 Advics:Kk 車両のトラクション制御装置、及び車両のトラクション制御方法
US9676390B2 (en) 2013-05-16 2017-06-13 Jaguar Land Rover Limited Vehicle traction control

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