JPH0872188A - 多層構造体およびその用途 - Google Patents

多層構造体およびその用途

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JPH0872188A JP6209006A JP20900694A JPH0872188A JP H0872188 A JPH0872188 A JP H0872188A JP 6209006 A JP6209006 A JP 6209006A JP 20900694 A JP20900694 A JP 20900694A JP H0872188 A JPH0872188 A JP H0872188A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フッ素樹脂層、接着樹脂層、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合樹脂層および接着樹脂層をこの順序
に配置した多層構造体。 【効果】 本発明の多層構造体をEL・デバイスのカバ
ー材料として使用することにより、EL・デバイスの長
期耐久性を飛躍的に高めることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水分および酸素遮断性
に優れた多層構造体に関し、とくにエレクトロルミネセ
ント・デバイスのカバー材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、エレクトロルミネセント(以下E
Lと略記)・デバイスのカバー材料としてはフッ素樹脂
フィルムに接着樹脂層を介してポリアミド樹脂層を配置
したフィルムが使用されている。その多層構成の狙いは
フッ素樹脂層で水分の透過を抑制し、かつフッ素樹脂層
を透過した水分をその内側に配置したポリアミド樹脂層
に捕捉することでEL・デバイスの吸湿による品質劣化
を影響を遅らせることにある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】EL・デバイスには分
散型(粉末型とも呼ばれる)と薄膜型の2種類がある
が、いづれの場合も湿気がその寿命に大きく影響する。
すなわち、蛍光物質層に湿気が含まれていると、動作通
電によるパネルの温度上昇→水分の気化・膨脹→蛍光物
質と電極、絶縁層の剥離へと進行する。その結果、電圧
が蛍光物質に加わらなくなり、発光せずその部分は黒点
となる。こうした黒点・しみが全体に拡がると輝度が低
下し使用に耐えられなくなる。
【0004】前記問題が発生する限界水分量はおよそ1
500ppmであり、その限界水分量に到達する期間が
とりもなおさず耐用期間となる。耐用期間を延長するた
め、従来技術では防湿材料として厚みが200μm前後
のフッ素樹脂層を使用しているが水分遮断性の要求レベ
ルを十分に満足するに至らず、フッ素樹脂フィルムの厚
みをさらに厚くする必要があった。このため、カバー材
料は極めて高価格なものとなり、結果としてEL・パネ
ルの価格を引き上げる要因となり新しい展開を阻害して
いた。この用途拡大のためには価格低下が必須の要件と
なっている。
【0005】また、吸湿層としてフッ素樹脂層の内側に
設けたポリアミド樹脂層は吸湿速度が極めて大きく、2
0℃、65%RHの環境下では平衡水分率3.7%に対
して1時間放置で2.3%の吸湿量に達することから、
EL・デバイスのアセンブリ工程中に起こるポリアミド
樹脂層への吸湿によりその吸湿効果が著しく減衰すると
言う問題があった。
【0006】また、EL・パネルの高性能化には(1)
低電圧化、(2)自然色化、(3)大容量化の方向があ
る。そのために蛍光物質として従来より使用されている
無機材料の改良のほかにアルミニウムキノリン錯体など
の有機材料の採用が検討されている。その結果、酸素遮
断性が新たに要求される傾向にあり、従来技術では全く
満足されていない酸素遮断性の付与が必要である。
【0007】しかして、本発明の目的は、(1)防湿性
のさらなる改善、(2)吸湿性を有効に発揮できる材料
の選択、(3)酸素遮断性の付与などの高性能化をはか
り、かつ経済的な価格のカバー材料を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、フッ素樹脂
層、接着樹脂層、エチレン−ビニルアルコール共重合樹
脂層および接着樹脂層をこの順序に配置した多層構造体
および該多層構造体からなるEL・デバイスのカバー材
料を提供することによって達成される。
【0009】現在使用されているカバー材料の水分およ
び酸素遮断性に対して、改善されるべき要求レベルは極
めて高い水準にある。たとえば、EL・デバイスの目標
耐用年数を5年とした時、厚みが1mm(重量1000
g/m↑2)のEL・デバイスに許容される水分量がた
かだか1.5gであることから、防湿材料に許容される
水分透過速度は0.0004g/m↑2・24hであ
る。
【0010】本発明においては、フッ素樹脂層の内側に
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂層(以下、EV
OHと略記)を配置することで上記目的が達成される。
EVOHの水分および酸素遮断性は相対湿度により左右
されることは良く知られた事実であるが、そのことはE
VOH層を低湿度に保持することで水分および酸素に対
して大きな遮断性を発揮することを意味している。した
がって、本発明の様に防湿性のあるフッ素樹脂層の内側
(実使用状態で低湿度側)に配置する材料として従来技
術で使用されるポリアミド樹脂層に代えてEVOH層を
配置することはEVOHの有する水分および酸素遮断性
を最大限に発揮できる点で優れているほかに、透過した
水分をEVOH層に吸湿させることでEL・デバイスへ
の水分の影響を最小限に抑えることができる点で優れて
いる。
【0011】フッ素樹脂層としては、代表的なものとし
てクロロトリフルオロエチレン(以後CTFEと略記す
る)、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂(以後F
EPと略記する)があげられる。現行技術では最も防湿
性の高いCTFEが一般的に採用されFEPの採用には
至っていない。しかし、CTFEはその原料であるフロ
ンガスが環境規制の点から供給問題が発生すると考えら
れるのに対して、本発明ではCTFEより防湿性に劣る
FEPの使用が可能となる点で優位な条件となる。この
フッ素樹脂層は水分遮断性を有し、好適には外層に、と
くに好適には最外層に有するのが良い。
【0012】フッ素樹脂層の厚みはとくに制限されない
が、50〜300μm、好適には50〜200μm程度
で要求性能が達成される。
【0013】本発明においてEVOHとはエチレン−酢
酸ビニル共重合体をけん化して得られるもので、エチレ
ン含有率20〜60モル%、好ましくは25〜50モル
%、けん化度95%以上、好ましくは96%以上のもの
が好適に用いられる。またEVOHにはプロピレン、イ
ソブテン、α−オクテンなどのα−オレフィン、不飽和
カルボン酸またはその塩またはそのエステル、N−ビニ
ルピロリドンを少量、たとえば5モル%以下を共重合さ
せることも出来る。また、EVOH樹脂にはガスバリヤ
ー性を著しく損なわない範囲でポリアミド、ポリエステ
ル、ポリエチレンオキサイドの架橋物、その他の樹脂を
配合することは自由である。
【0014】本発明においてEVOH樹脂層とはEVO
H樹脂フイルム、またはシートであり、その厚みはとく
に制限されないが、5〜200μm、好適には10〜1
00μm程度である。
【0015】フッ素樹脂層の内側に配置するEVOH層
は、かならずしも一つの層に限定する必要はなく、水分
および酸素の遮断に重点をおいた層と水分の捕捉に重点
をおいた層を重ねて使用することは有効な方法である。
前者の役割を果たすEVOH層としては無延伸フィルム
および延伸フィルムいづれも使用できるが、二軸延伸フ
ィルムが好ましく、面積倍率5〜15倍、好ましくは8
〜12倍のものが好適である。また後者の役割を果たす
EVOH層としては無延伸EVOHフィルムが望まし
い。また、EVOH層は優れた透明性と耐候性を有する
ので、本発明の多層構造体はEL・デバイスのカバー材
料としてとくに有用なものになる。
【0016】さらに、EVOH層に無機物蒸着を施した
ものは水分および酸素遮断性が大幅に改善される。した
がって、フッ素樹脂層の内側に設けたEVOH層の少な
くとも一方のの層に無機物蒸着を施すことは、水分およ
び酸素の遮断効果を高めるのに効果がある。その結果、
フッ素樹脂層の厚みを劇的に、少なくとも現行技術での
1/2以下に減少させることが可能であり、性能向上に
加えて価格を低下させることが出来る。
【0017】EVOH樹脂表面に積層される金属酸化物
薄膜の厚みは単分子層から5000オングストローム程
度が好適であり、300〜2000オングストローム程
度、とくに1000オングストローム近辺が最適であ
る。金属酸化物薄膜をEVOH層表面に積層する方法と
しては、蒸着法が最適であり、蒸着法としては、処理時
の膜の安定性の点から、真空を利用した物理蒸着法、化
合物の分解または化合物の化学反応を利用した化学的蒸
着法が好適である。
【0018】従来技術で使用されるポリアミド樹脂では
極めて吸湿速度が大きく、EL・デバイスのアセンブリ
工程中に起こるポリアミド樹脂層への吸湿によりその吸
湿効果が著しく減衰するのに対して、EVOHの平衡吸
湿量は同水準であるにもかかわらず吸湿速度はポリアミ
ド樹脂のおよそ10の1と小さいことから、EL・デバ
イスのアセンブリ工程中の吸湿量はほとんど無視できE
VOHの吸湿特性を最大限に利用できるという利点があ
る。
【0019】また本発明に用いられる接着樹脂層として
は、接着性を有する樹脂層であればとくに制限は無い
が、EVOH層の外側に用いる接着樹脂層としては、と
くにホットメルト層であることが最適である。多層構造
体はドライラミネート法、共押出法、共押出コーティン
グ法などにより得られる。この場合、フッ素樹脂層と接
着樹脂層とのラミネートおよびEVOH層と接着樹脂層
とのラミネートをそれぞれ作成し、使用時にこれらを積
層することもできるし、またフッ素樹脂層、接着樹脂
層、EVOH層および接着樹脂層のラミネートを作成す
ることもできる。この様にして得た多層構造体によりE
L・デバイスの片面、両面または全面をカバーすること
のより目的とする長期耐久性に優れたEL・デバイスを
得ることができる。この場合、接着樹脂層はEL・デバ
イスの表面に接するように設けられる。
【0020】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに説明する。 実施例1 次の材料構成のラミネートフィルムをドライラミネート
法により作成、その水分透過性、酸素透過性および吸湿
性を測定、従来使用の[CTFE(200μm)/接着
樹脂層(50μm)/ポリアミドフィルム(80μm)
/接着樹脂層(50μm)]と比較評価した。 ( 外 層 ) CTFEフィルム(200μm) (接着樹脂層) エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(50μm) (中間層−1) 二軸延伸EVOHフィルム(15μ
m) (接着樹脂層) ウレタン系接着樹脂層(3μm) (中間層−2) 無延伸EVOHフィルム(80μm) (接着樹脂層) ポリ酢酸ビニル系ホットメルト(50
μm) その結果は表1に示す通りで、従来より使用されている
ラミネートフィルムに比較して水分遮断性に優れ、かつ
内層の吸湿量の吸湿ポテンシャルが高いため、予測され
る耐久性(EL素子の吸湿量が1500ppmに到達す
る期間)が2倍以上に向上している。また、透明性に優
れ、太陽光による黄変劣化がほとんど見られない。
【0021】実施例2 次の材料構成のラミネートフィルムをドライラミネート
法により作成、その水分透過性、酸素透過性および吸湿
性を測定、従来使用の[CTFE(200μm)/接着
樹脂層(50μm)/ポリアミドフィルム(80μm)
/接着樹脂層(50μm)]と比較評価した。 ( 外 層 ) CTFEフィルム(200μm) (接着樹脂層) エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(50μm) (中間層−1) 酸化圭素蒸着二軸延伸EVOHフィル
ム(15μm) (接着樹脂層) ウレタン系接着樹脂層(3μm) (中間層−2) 無延伸EVOHフィルム(80μm) (接着樹脂層) ポリ酢酸ビニル系ホットメルト(50
μm) その結果は表1に示す通りで、従来より使用されている
ラミネートフィルムに比較して更に水分遮断性に優れ、
かつ内層の吸湿量の吸湿ポテンシャルが高いため、予測
される耐久性(EL素子の吸湿量が1500ppmに到
達する期間)が2倍以上に向上している。また、透明性
に優れ、太陽光による黄変劣化がほとんど見られない。
さらに酸素透過量が大幅に低下していることから酸素に
よる性能劣化が防止できる。
【0022】実施例3 次の材料構成のラミネートフィルムをドライラミネート
法により作成、その水分透過性、酸素透過性および吸湿
性を測定、従来使用の[CTFE(200μm)/接着
樹脂層(50μm)/ポリアミドフィルム(80μm)
/接着樹脂層(50μm)]と比較評価した。 ( 外 層 ) CTFEフィルム(150μm) (接着樹脂層) エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(50μm) ( 中間層 ) 無延伸EVOHフィルム(80μm) (接着樹脂層) ポリ酢酸ビニル系ホットメルト(50
μm) その結果は表1に示す通りで、従来より使用されている
ラミネートフィルムに比較して水分遮断性はやや劣るも
のの、内層の吸湿量の吸湿ポテンシャルが高いため、予
測される耐久性(EL素子の吸湿量が1500ppmに
到達する期間)が1.5倍に向上している。また、透明
性に優れ、太陽光による黄変劣化がほとんど見られな
い。さらに、この構成では高価なCTFEフィルムの厚
みが少ないことによる価格低下が計られる。
【0023】実施例4 次の材料構成のラミネートフィルムをドライラミネート
法により作成、その水分透過性、酸素透過性および吸湿
性を測定、従来使用の[CTFE(200μm)/接着
樹脂層(50μm)/ポリアミドフィルム(80μm)
/接着樹脂層(50μm)]と比較評価した。 ( 外 層 ) CTFEフィルム(100μm) (接着樹脂層) エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(50μm) ( 中間層 ) 無延伸EVOHフィルム(80μm) (接着樹脂層) ポリ酢酸ビニル系ホットメルト(50
μm) その結果は表1に示す通りで、従来より使用されている
ラミネートフィルムに比較して水分遮断性はやや劣るも
のの、内層の吸湿量の吸湿ポテンシャルが高いため、予
測される耐久性(EL素子の吸湿量が1500ppmに
到達する期間)が同一水準を達成している。また、透明
性に優れ、太陽光による黄変劣化がほとんど見られな
い。さらに、この構成では高価なCTFEフィルムの厚
みが2分の1と少ないことにより大幅な価格低下が計ら
れる。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明の多層構造体をEL・デバイスの
カバー材料として使用することにより、EL・デバイス
の長期耐久性を飛躍的に高めることが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂層、接着樹脂層、エチレン−
    ビニルアルコール共重合樹脂層および接着樹脂層をこの
    順序に配置した多層構造体。
  2. 【請求項2】 エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂
    層の少なくとも一つの層に無機物蒸着層を有する請求項
    1記載の多層構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2に記載の多層構造体により
    なるエレクトロルミネセント・デバイスのカバー材料。
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