JPH0871808A - 溝入れ用バイト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 バイト本体１１の先端部に、着座部１２とク
ランプ部１３とからなるチップ取付座１４が形成され、
このチップ取付座１４に切刃１５を備えたスローアウェ
イチップ１６が着脱自在に挿入されて押圧固定されてい
る。このスローアウェイチップ１６の切刃１５のすくい
面１５ａに連なるクランプ部１３の上面１３ｂには、こ
の上面１３ｂから隆起してすくい面１５よりも上方に突
出する半円柱状の第１、第２の凸部２０Ａ，２０Ｂが、
クランプ部１３のくびれ部１７よりも先端側に、第２の
凸部２０Ｂの突出高さが第１の凸部２０Ａよりも大きく
なるように形成されている。 【効果】 スローアウェイチップ１６のすくい面１５ａ
の大きさが制限されざるを得ない溝入れ用バイトにおい
ても、切屑をゼンマイ状にカールせしめて確実かつ速や
かに処理し、円滑な加工を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、旋削加工において主と
して被削材の外周に溝入れ加工を行うのに用いられる溝
入れ用バイトに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３は、従来のこの種の溝入れ用バイト
の一例を示すものであり、略長方形平板状のバイト本体
１の先端部に、着座部２と、この着座部２の上方に対向
するように延出するクランプ部３とからなるチップ取付
座４が形成され、このチップ取付座４の着座部２とクラ
ンプ部３との間に、切刃５を備えたスローアウェイチッ
プ６が着脱自在に挿入された構成となっている。ここ
で、上記着座部２とクランプ部３との間は、基端側に向
かうに従い漸次幅狭となるように形成される一方、上記
スローアウェイチップ６も基端側に向かうに従い幅狭と
なるように形成されており、また上記クランプ部３の基
端側には、その幅がしぼられて狭くなるくびれ部７が形
成されている。

【０００３】そして、上記スローアウェイチップ６をチ
ップ取付座４に挿入することにより、該スローアウェイ
チップ６はクランプ部３を上方に押し付け、これによっ
てクランプ部３は上記くびれ部７を中心に撓んでその弾
性力によりスローアウェイチップ６を押圧し、該スロー
アウェイチップ６がチップ取付座４に固定されるように
なされている。なお、このチップ取付座４の奥には、ス
ローアウェイチップ６の基端部に当接して切刃５を位置
決めする位置決め部８が形成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
溝入れ用バイトによる溝入れ加工では、幅の小さな絡ま
り易い切屑が高速で生成されるため、かかる切屑を如何
に速やかに、かつ確実に処理するかが、円滑な加工を行
う上で重要になる。ここで、通常の旋削加工に用いられ
るスローアウェイチップなどでは、そのすくい面上に凸
状や凹状のチップブレーカを形成してこのような切屑の
処理を図ることが可能であるものの、上述のような溝入
れ用バイトに用いられるスローアウェイチップ６におい
ては、加工すべき溝の幅などによって切刃５の幅やすく
い面５ａの大きさが制限されるため、このような切削条
件にも対応して切屑を確実に処理し得るチップブレーカ
をすくい面上に形成することはきわめて困難となる。こ
のため、従来の溝入れ用バイトでは、長く延びた切屑が
バイト本体１や被削材に絡まったりして円滑な加工を妨
げ、作業に支障が来されるといった問題があった。

【０００５】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、溝入れ加工により生成される切屑を効
率的に処理して円滑な加工を促すことが可能な溝入れ用
バイトを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、か
かる目的を達成するために、本発明は、バイト本体の先
端部に、着座部と、この着座部に対向するように延出す
るクランプ部とからなるチップ取付座が形成され、この
チップ取付座の上記着座部とクランプ部との間に、切刃
を備えたスローアウェイチップが着脱自在に挿入されて
押圧固定されてなる溝入れ用バイトにおいて、上記スロ
ーアウェイチップの切刃のすくい面に連なる上記クラン
プ部の上面に、この上面から隆起して上記すくい面より
も上方に突出するように少なくとも一の凸部を形成した
ことを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】このような構成の溝入れ用バイトによれば、ス
ローアウェイチップのすくい面に連なるクランプ部上面
に形成された凸部がチップブレーカとして作用し、切削
時に生成された切屑はすくい面からこの凸部に乗り上げ
て抵抗を受け、ゼンマイ状にカールされてバイト本体や
被削材に絡み付くのが防がれる。このため、スローアウ
ェイチップのすくい面の大きさ等には何等拘束されるこ
となく、迅速かつ確実な切屑処理を行うことができる。
ここで、この凸部は、上記クランプ部の基端側に設けら
れる幅狭のくびれ部よりも先端側に形成されるのが望ま
しい。このような構成を採ることにより、凸部をスロー
アウェイチップの切刃側に接近させて、より効果的にそ
のチップブレーカ作用を発揮することができるととも
に、かかる凸部を設けることによってクランプ部が撓み
難くなって、スローアウェイチップの押圧固定力に悪影
響が及ぼされるような事態を防止することができる。

【０００８】また、上記凸部の形状としては、段状や各
種錐体状なども採用し得るが、切屑を常に均一な大きさ
にカールさせて安定的に処理するには、半球状や半円柱
状など、上記切刃に直交する断面において円弧状をなす
ように形成されるのが望ましい。さらに、上記凸部は一
つであってもよいが、先端側から基端側に向けて連なる
複数の凸部を設け、かつ上記すくい面に対する突出量を
基端側の凸部ほど大きくなるようにすれば、生成された
切屑はこれら複数の凸部に順次乗り上げて次第に大きな
抵抗を受けてカールされるため、例えば送りの大小等の
幅広い切削条件にも十分に対応して、より確実かつ効率
的な切屑処理を促すことが可能となる。

【０００９】

【実施例】図１および図２は、本発明の一実施例を示す
ものである。これらの図において、バイト本体１１は鋼
材等から形成されて略長方形平板状をなし、その先端上
部には、着座部１２とクランプ部１３とからなるチップ
取付座１４が形成されていて、このチップ取付座１４に
切刃１５を備えた超硬合金等の硬質材料よりなるスロー
アウェイチップ１６が着脱自在に装着されている。

【００１０】上記クランプ部１３は、着座部１２に対向
して延出するように形成されており、その着座部１２に
対向するクランプ面１３ａは、先端側から基端側に向か
うに従い漸次着座部１２側に接近するように形成され、
これによりチップ取付座１４は基端側に向かうに従い漸
次幅狭となるように形成される一方、上記スローアウェ
イチップ１６も基端側に向かうに従いその上面１６ａと
下面１６ｂとが接近して漸次幅狭となるように形成され
ている。さらに、上記クランプ部１３自体にも、その基
端部に幅狭となるくびれ部１７が形成されており、スロ
ーアウェイチップ１６の上記上面１６ａがクランプ部１
３の上記クランプ面１３ａに、下面１６ｂが着座部１２
にそれぞれ密着するようにして、スローアウェイチップ
１６をチップ取付座１４に挿入することにより、クラン
プ部１３が上記くびれ部１７を中心に上方に僅かに撓
み、その弾性力によってスローアウェイチップ１６が着
座部１２側に押圧されてチップ取付座１４に固定される
ようになされている。

【００１１】なお、チップ取付座１４の基端側には位置
決め部１８が形成されていて、スローアウェイチップ１
６をチップ取付座１４に挿入してその基端部がこの位置
決め部１８に当接することにより、切刃１５が位置決め
されるようになされている。また、この位置決め部１８
とクランプ部１３のくびれ部１７との間には略楕円形の
切欠き部１９が形成されており、スローアウェイチップ
１６を取り外す際には、この切欠き部１９にレンチ等を
挿入して回動させることによりクランプ部１３をさらに
上方に撓ませ、スローアウェイチップ１６が抜き取られ
るようになされている。さらに、上記着座部１２および
クランプ部１３のクランプ面１３ａは断面略Ｖ字状の山
形に形成される一方、スローアウェイチップ１６の上下
面１６ａ，１６ｂはこれに係合可能な断面Ｖ字状の谷形
に形成されており、両者が係合することでスローアウェ
イチップ１６の横方向（図２において左右方向）の位置
決めがなされている。

【００１２】一方、スローアウェイチップ１６をチップ
取付座１４に装着した状態において、上記クランプ部１
３の上面１３ｂは、スローアウェイチップ１６の切刃１
５のすくい面１５ａの基端側に、該すくい面１５ａと略
同じ高さで連なるように配されている。そして、本実施
例では、このクランプ部１３の上面１３ｂ上に、先端側
から基端側に連なるように第１の凸部２０Ａと第２の凸
部２０Ｂとが形成されている。これらの凸部２０Ａ，２
０Ｂは、いずれも上記上面１３ｂから隆起して、上記切
刃１５に平行な方向に延びる半円柱状に形成されてお
り、従って切刃１５に直交する断面においては円弧状を
呈することとなる。また、第１の凸部２０Ａはクランプ
部１３の略最先端に位置し、第２の凸部２０Ｂは上記く
びれ部１７よりも先端側に位置している。さらに、両凸
部２０Ａ，２０Ｂの上記すくい面１５ａに対する突出高
さは、先端側の第１の凸部２０Ａよりも基端側の第２の
凸部２０Ｂの方が大きくなるように設定されている。

【００１３】しかして、このような溝入れ用バイトにお
いては、切削時に切刃１５によって生成された切屑は、
すくい面１５ａからクランプ部１３の上面１３ｂに向け
て延び、この上面１３ｂ上に形成された上記第１、第２
の凸部２０Ａ，２０Ｂに順次乗り上げる。そして、これ
ら凸部２０Ａ，２０Ｂに乗り上げた際に抵抗を受けるこ
とにより内向きにカールされてゼンマイ状となり、適当
な長さで分断される。従って、上記構成の溝入れ用バイ
トによれば、形成すべき溝の幅等によって切刃１５の幅
およびすくい面１５ａの大きさが制限され、スローアウ
ェイチップ１６にチップブレーカを形成するのが困難な
場合であっても、これら第１、第２の凸部２０Ａ，２０
Ｂが上述のようにチップブレーカ作用を奏することによ
って、切屑を確実かつ速やかに処理することが可能とな
り、かかる切屑がバイト本体１１や被削材に絡まったり
するのを防いで、円滑な加工を促すことができる。

【００１４】また、本実施例では、これらの凸部２０
Ａ，２０Ｂがクランプ部１３のくびれ部１７よりも先端
側に形成されており、特に第１の凸部２０Ａについては
クランプ部１３の最先端の切刃１５に最も近い位置に形
成されている。このため、本実施例によれば、切刃１５
からすくい面１５ａに流れた切屑をより迅速にカールさ
せて処理することが可能であり、切屑処理を一層確実か
つ効果的に行うことができる。しかも、くびれ部１７に
は凸部２０が形成されていないため、かかる凸部２０に
よってクランプ部１３の撓みが影響を受けることはな
く、スローアウェイチップ１６の着脱に支障が生じた
り、クランプ部１３によるスローアウェイチップ１６の
押圧固定力が低減したりするようなこともない。

【００１５】ところで、上記凸部２０の形状としては、
単なる段状のものや円錐、三角錐、四角錐等の錐体状、
あるいは錐台状のものなども用いうるが、本実施例では
凸部２０Ａ，２０Ｂは切刃１５に平行に配された円柱状
に形成されて、その切刃１５に直交する断面が円弧状を
なすようにされている。しかるに、凸部２０Ａ，２０Ｂ
をこのような形状とすることにより、本実施例において
は、切削速度等によって切屑が凸部２０Ａ，２０Ｂに乗
り上げる位置や向きが多少変動しても、常に均一に切屑
に抵抗を与えて所定の大きさに切屑をカールさせること
ができ、このような変動に拘わらず安定した切屑処理を
行うことができるという効果を得ている。なお、このよ
うな効果を得るには、上記凸部２０Ａ，２０Ｂをクラン
プ部１３の上面１３ｂから隆起する半球状等に形成して
もよい。

【００１６】さらに本実施例では、クランプ部１３の上
面１４ａに第１、第２の凸部２０Ａ，２０ＢＢを設け、
かつこれらの凸部２０Ａ，２０Ｂのすくい面１５ａに対
する突出高さが基端側の第２の凸部２０Ｂの方が大きく
なるように形成されている。このため、すくい面１５ａ
から流れた切屑は、まず第１の凸部２０Ａに乗り上げて
抵抗を受けた後、第２の凸部２０Ｂに乗り上げてさらに
大きな抵抗を受けることとなり、これによって切屑をさ
らに確実にカールさせてより効率的な切屑処理を促すこ
とが可能となる。ただし、クランプ部１３が小さく、そ
の上面１３ｂの面積も制限されるような場合は、単一の
凸部２０のみを設けるようにしてもよく、また逆にクラ
ンプ部１３およびその上面１３ｂが大きい場合には、基
端側に向かうに従いすくい面１５ａからの突出高さが漸
次大きくなる３つ以上の凸部２０…を設けるようにして
もよい。

【００１７】さらに、上記実施例では、チップ１６を平
板状のバイト本体１１に取り付けるようにした、いわゆ
るブレード式の溝入れ用バイトに本発明を適用する場合
について説明したが、本発明がこのようなもののみに限
定されることはなく、例えば角柱状等のシャンクの先端
に平板状のホルダ部が形成されたシャンク式の溝入れ用
バイトに本発明を適用するようにしてもよい。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スローアウェイチップのすくい面の大きさが制限されざ
るを得ず、このすくい面状にチップブレーカを形成する
のが困難な溝入れ用バイトにおいても、クランプ部の上
面に形成した凸部によってチップブレーカ作用を奏して
切屑をゼンマイ状にカールせしめることにより、幅広い
切削条件において確実かつ速やかに切屑の処理を行うこ
とができる。そしてこれにより、切屑がバイト本体や被
削材に絡まったりするような事態を未然に防止して、円
滑な溝入れ加工を行うことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す側面図である。

【図２】図１に示す実施例の先端側からの正面図であ
る。

【図３】従来の溝入れ用バイトを示す側面図である。

【符号の説明】

１，１１ バイト本体 ２，１２ 着座部 ３，１３ クランプ部 １３ａ クランプ面 １３ｂ クランプ部１３の上面 ４，１４ チップ取付座 ５，１５ 切刃 １５ａ すくい面 ６，１６ スローアウェイチップ ７，１７ くびれ部 ２０Ａ，２０Ｂ 凸部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バイト本体の先端部に、着座部と、この
   着座部に対向するように延出するクランプ部とからなる
   チップ取付座が形成され、このチップ取付座の上記着座
   部とクランプ部との間に、切刃を備えたスローアウェイ
   チップが着脱自在に挿入されて押圧固定されてなる溝入
   れ用バイトにおいて、上記スローアウェイチップの切刃
   のすくい面に連なる上記クランプ部の上面には、この上
   面から隆起して上記すくい面よりも上方に突出するよう
   に少なくとも一の凸部が形成されていることを特徴とす
   る溝入れ用バイト。
2. 【請求項２】 上記クランプ部の基端側には幅狭となる
   くびれ部が設けられており、上記凸部はこのくびれ部よ
   りも先端側の該クランプ部の上面部分に形成されている
   ことを特徴とする請求項１に記載の溝入れ用バイト。
3. 【請求項３】 上記凸部は、上記切刃に直交する断面に
   おいて円弧状をなすように形成されていることを特徴と
   する請求項１または請求項２に記載の溝入れ用バイト。
4. 【請求項４】 上記クランプ部の上面には、先端側から
   基端側に向けて連なり、かつ上記すくい面に対する突出
   量が基端側に向かうに従い漸次大きくなる複数の上記凸
   部が形成されていることを特徴とする請求項１ないし請
   求項３のいずれかに記載の溝入れ用バイト。