JPH0870852A - セルロースアセテートの脱アセチル化能を有する微生物および該微生物を担持したセルロースアセテート成形体 - Google Patents

セルロースアセテートの脱アセチル化能を有する微生物および該微生物を担持したセルロースアセテート成形体

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JPH0870852A
JPH0870852A JP21249894A JP21249894A JPH0870852A JP H0870852 A JPH0870852 A JP H0870852A JP 21249894 A JP21249894 A JP 21249894A JP 21249894 A JP21249894 A JP 21249894A JP H0870852 A JPH0870852 A JP H0870852A
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JP
Japan
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cellulose acetate
microorganism
bacillus
institute
deacetylation
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Application number
JP21249894A
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English (en)
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Tatsuo Yamauchi
達夫 山内
Kiyobumi Sakai
清文 酒井
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Teijin Ltd
Osaka City
Original Assignee
Teijin Ltd
Osaka City
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セルロースアセテートの脱アセチル化能を有
する微生物を単離し、その微生物を使用して、生分解素
材として適度に促進された生分解性を有するセルロース
アセテートからなる成形体を提供すること。 【構成】 酢化度が10〜57%のセルロースアセテー
トからなる成形体であって、該成形体は、バチルス
レウスBacillus cereus)、バチルス
エスピーBacillus sp.)及びスフィン
ゴモナス パウシモビリスSphingomonas
paucimobilis)からなる群から選ばれた
少なくとも1種の、セルロースアセテートの脱アセチル
化能を有する微生物及び/又は該微生物が産生するセル
ロースアセテート脱アセチル化酵素を担持した成形体で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロースアセテート
の脱アセチル化能を有する微生物および該微生物を担持
した、生分解性が高められたセルロースアセテートから
なる成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境破壊は極めて深刻な問題とな
っており、合成樹脂、合成繊維などの分解し難い合成品
がそのまま残存し、環境を汚染していることが大きな問
題となっている。これに対して木綿、レーヨンといった
セルロース製品などは、非常に生分解性に優れているた
め、地球環境に優しい素材として注目を集め、各種の応
用、開発が行われている。
【0003】例えば、特開平5−41923号公報に
は、綿製不織布にセルラーゼ、又はプロテアーゼ酵素を
含む水溶液をパッド処理することにより分解酵素を付着
させ、分解酵素の付着量により土中での腐敗をコントロ
ール促進する方法が開示されている。しかし、この様な
不織布は、生分解速度があまりにも速すぎて実使用に供
し難い場合が多い。
【0004】一方、セルロースを酢化して得られるセル
ロースアセテートは、セルロースに比べて分解速度は低
いものの、長年月の間には生分解するといわれており、
これを用いれば、上記問題を解決できるのではないかと
考えられる。
【0005】しかしながら、セルロースジアセテート繊
維やセルローストリアセテート繊維は通常、繊維表面と
繊維内部の酢化度が異なっており、該繊維を土中などに
埋没した場合、次第に分解速度が低下していくので実際
の生分解速度は非常に遅く、また、芯部のセルロースア
セテートはほとんど分解せずに自然環境中に残存するの
で、生分解素材として実用化できるものは得られていな
いのが実情である。
【0006】一方、Polym.Mater.Sci.
Eng.,67,139−140,1992.には、セ
ルロースアセテートを分解することが可能な微生物が2
株単離され、それぞれスフィンゴモナス パウシモビリ
Sphingomonas paucimobil
is)及びバチルス(Bacillus)属に属する微
生物(バチルス エスピーBacillus
p.)と称される)と同定されたことが開示されてい
る。
【0007】しかしながら、前者はセルロースアセテー
トの分解メカニズムが不明瞭であり、又後者はセルロー
スアセテートを炭素源として生育できないという欠点が
あるため、該微生物をセルロースアセテートに担持し
て、生分解性の高められた成形体を得るという着想は生
まれなかったのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解消し、あらゆる自然環境において、セルロ
ースアセテートを脱アセチル化し、生分解することが可
能な微生物及び該微生物を担持した成形体を提供する事
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために、種々検討を重ねた結果、ある種のセ
ルロースアセテートの脱アセチル化能を有する微生物を
土中より単離することに成功し、また該微生物及び/又
は該微生物が産生するセルロースアセテート脱アセチル
化酵素を担持させる事により、セルロースアセテートの
生分解速度が高められることを究明した。
【0010】かくして本発明によれば、セルロースアセ
テートの脱アセチル化能を有する微生物バチルス セレ
ウスBacillus cereus)が見出され、
その菌株の1種は工業技術院生命工学研究所に、受託番
号FERM P−14431として寄託された。
【0011】又、セルロースアセテートの脱アセチル化
能を有し、且つセルロースアセテートを炭素源として生
育できる微生物バチルス エスピーBacillus
sp.)が見いだされ、その菌株の1種は工業技術院
生命工学研究所に、受託番号FERM P−14430
として寄託された。
【0012】さらに、本発明によれば、酢化度が10〜
57%のセルロースアセテートからなる成形体であっ
て、該成形体は、バチルス セレウスBacillu
cereus)、バチルス エスピーBacil
lus sp.)及びスフィンゴモナス パウシモビリ
Sphingomonas paucimobil
is)からなる群から選ばれた少なくとも1種の、セル
ロースアセテートの脱アセチル化能を有する微生物及び
/又は該微生物が産生するセルロースアセテート脱アセ
チル化酵素を担持した成形体であることを特徴とするセ
ルロースアセテート成形体が提供される。
【0013】本発明で使用する成形体を形成するセルロ
ースアセテートは、10〜57%の酢化度を有している
ことが必要である。
【0014】酢化度が57%を越えるとセルロースアセ
テート自身の生分解速度が急激に低下し、セルロースア
セテートの脱アセチル化能を有する微生物及び/又は該
微生物が産出するセルロースアセテート脱アセチル化酵
素に起因する分解を受けにくくなる為、生分解素材とし
て実用に供することが出来ない。
【0015】一方、酢化度が10%未満では、生分解速
度が実質的にセルロースと同等になり、生分解速度が高
すぎて使用に供しえない場合がある。
【0016】セルロースアセテート自身の生分解速度
は、土の種類、季節、湿度等の環境条件により影響を受
けやすいが、これらの環境条件及び使用目的に応じて、
酢化度が10〜57%のセルロースアセテートを用い、
更にこれにセルロースアセテートの脱アセチル化能を有
する微生物及び/又は該微生物の産生するセルロースア
セテート脱アセチル化酵素を担持させれば、適度に促進
された生分解速度を有する成形体を得ることが出来る。
【0017】本発明においては、上記セルロースアセテ
ートにバチルス セレウスBacillus cer
eus)、バチルス エスピーBacillus
p.)及びスフィンゴモナス パウシモビリスSph
ingomonas paucimobilis)から
なる群から選ばれた少なくとも1種の、セルロースアセ
テートの脱アセチル化能を有する微生物及び/又は該微
生物が産生するセルロースアセテート脱アセチル化酵素
を担持させることが必要である。
【0018】上記微生物及び/又は酵素により脱アセチ
ル化を受けたセルロースアセテートは、続いて、土中、
水中などの環境中に広く普遍的に存在するセルロース分
解酵素の作用を受けると考えられるが、セルロース分解
酵素が微量しか存在しない場合に備え、該成形体には上
記微生物及び/又は酵素に加えて、セルロース分解微生
物及び/又はセルロース分解酵素を担持させてもよい。
【0019】バチルス セレウス Bacillu
cereus )およびバチルス エスピー
Bacillus sp. )の2種の菌株は本発
明者らが見いだしたものであり、これらはそれぞれ受託
番号FERM P−14431号およびFERM P−
14430号として、工業技術院生命工学工業技術研究
所に平成6年7月15日に寄託されている。
【0020】バチルス セレウス Bacillu
cereus )およびバチルス エスピー
Bacillus sp. )の菌学的性質を以下
に示す。
【0021】(1)形態的性質バチルス セレウス Bacillus cere
us D)およびバチルス エスピー Bacil
lus sp. )の形態的性質を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】(2)培養的性質バチルス セレウス Bacillus cere
us )およびバチルス エスピー Bacil
lus sp. )の培養的性質を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】なお、表1の形態的性質および表2中のコ
ロニーの色は表3の組成を有する肉汁寒天平板培養、ま
た、ゼラチンの液化の有無は表4の組成を有する肉汁ゼ
ラチン穿刺培養を行なった時のものである。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】(3)生理学的性質バチルス セレウス Bacillus cere
us )およびバチルス エスピー Bacil
lus sp. )の寒天平板培地における生理学的
性質を表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】(4)その他の諸性質 また、バチルス セレウス Bacillus
ereus )およびバチルス エスピー Ba
cillus sp. )は、肉汁寒天平板培地にお
いて表6に記載の諸性質を示す。
【0031】
【表6】
【0032】さらに、バチルス エスピー Bac
illus sp. )は、表7に記載の炭素源の利
用性を示す。
【0033】
【表7】
【0034】以上の菌学的性質により、本発明者らが見
いだしたバチルス セレウス Bacillus
cereus )は、BERGEY´S MANUA
LOF Systematic Bacteriolo
gy等に基づき、バチルスセレウスBacillus
cereus)に属する新種菌と同定された。
【0035】同様に、バチルス エスピー Bac
illus sp. )は、バチルスBacill
us)属に属する微生物であると考えられるが、近縁と
考えられるBacillus sphaericus
Bacillus firmusBacillus
alveiBacillus brevisBac
illus laterosporusBacill
us circulansとは幾つかの菌学的性質が異
なるので、該微生物は、バチルスBacillus
属のうち第II群のサブグループに属する新種菌と同定さ
れた。
【0036】また、本発明で使用するスフィンゴモナス
パウシモビリスSphingomonas pau
cimobilis)は、バチルス セレウス
acillus cereus )やバチルス エス
ピー Bacillussp. )と同様、セル
ロースアセテートの分解能を有するものであり、IFO
13934〜IFO13936などの公知の市販品が例
示される。
【0037】上記バチルス セレウス Bacil
lus cereus )、バチルス エスピー
Bacillus sp. )およびスフィンゴモ
ナスパウシモビリスSphingomonas pa
ucimobilis)はいずれも、セルロースアセテ
ートを脱アセチル化する性質を有している。
【0038】即ち、バチルス セレウス Baci
llus cereus )、バチルス エスピー
Bacillus sp. )およびスフィンゴ
モナス パウシモビリスSphingomonas
paucimobilis)のIFO13934〜IF
O13936を用いて下記の試験を行なった結果、いず
れの菌株を用いた場合もメンブランフィルターは青色に
染まった。
【0039】つまり、未処理のメンブランフィルター及
び植菌を行わないで培養して得られたメンブランフィル
ターは、上記の染料では全く染色されないことから、上
記の菌でセルロースアセテートを処理した場合には、セ
ルロースアセテートが脱アセチル化されて−OH基が生
成し、−OH基に反応する反応染料により青色に染色さ
れたものと考えられる。
【0040】(脱アセチル化の確認試験)セルロースア
セテート製メンブランフィルター(アドバンテック東洋
製、No.C080A047A)一枚を含む、表8に
示す培地に植菌し、28℃で14日間振盪培養を行っ
た。培養終了後、メンブランフィルターを取り出し蒸留
水で良く洗浄した。このメンブランフィルターを、−O
H基に反応する反応染料Mikacion Blue
2R(三菱化成工業 製)を用いて以下に示す方法で染
色した。 染料75mgを100ml蒸留水に溶解し、この溶液
に試料のメンブランフィルターを加える。 の溶液に15%Na2 SO4 溶液25mlを加え、
25℃で30分振盪する。 の溶液に0.2%Na2 CO3 溶液25mlを加
え、25℃で60分振盪する。終了後、試料を取り出
し、5分水洗、5分湯洗、5分水洗を繰り返し、風乾す
る。
【0041】上記微生物のうち、バチルス セレウス
Bacillus cereus )およびバチ
ルス エスピー Bacillus sp.
は、各種土壌から採取した菌を、セルロースアセテート
粉末およびセルロース粉末を炭素源として含む培地で培
養し、数回の植えつぎを繰り返して、炭素源がセルロー
スアセテート粉末のみの培地で生育可能な菌のみを抽出
した後、表8に示す培地で振盪培養して単離することに
より得られる。
【0042】
【表8】
【0043】なお、表8中の無機塩溶液は、表9の組成
を有するものである。
【0044】
【表9】
【0045】バチルス セレウス Bacillu
cereus )、バチルスエスピー Ba
cillus sp. )、スフィンゴモナス パウ
シモビリスSphingomonas paucim
obilis)を培養するための培地成分は、表8の組
成を有するものが好ましく例示されるが、例えば、炭素
源として澱粉、デキストリン、セルロース、グルコー
ス、サッカロース等の単糖〜少糖類、セロビオースオク
タアセテート、マルトース、フラクトース、シュークロ
ース、酢酸や酢酸塩などの有機酸および/またはその塩
などを、また窒素源として酵母エキス、カゼイン、大豆
タンパクや各種タンパク加水分解物などを用いても構わ
ない。
【0046】また、温度、pHなどの培養条件は、該微
生物が生育できる条件を適宜選択すれば良い。
【0047】また、本発明で使用されるセルロースアセ
テート脱アセチル化酵素は、上記セルロースアセテート
の脱アセチル化能を有する微生物を培地に培養すること
により産生される。その際の培地成分は表8の組成を有
するものの他、上記の炭素源や窒素源を使用したものが
好ましく例示される。
【0048】上記の方法で得られたセルロースアセテー
トの脱アセチル化能を有する微生物及び/又はセルロー
スアセテート脱アセチル化酵素は、各種方法でセルロー
スアセテートに担持させることが必要である。
【0049】担持方法としては、得られた成形体が自然
環境中に廃棄された場合に、担持されたセルロースアセ
テートの脱アセチル化能を有する微生物及び/又はセル
ロースアセテート脱アセチル化酵素が該成形体を効率よ
く分解できるような方法であれば良く、例えば以下のよ
うな方法が挙げられる。
【0050】セルロースアセテートの脱アセチル化能
を有する微生物及び/又は該微生物から産生されたセル
ロースアセテート脱アセチル化酵素の溶液をそのまま或
いは濃縮し、成形体に担持させる。
【0051】担持方法としては公知の方法、例えばパッ
ド法、スプレー法、コーテイング法、ハケヌリなどが挙
げられる。この際、セルロースアセテート脱アセチル化
微生物及び/又はセルロースアセテート脱アセチル化酵
素の接着を良好に行う為の接着剤を添加することが好ま
しい。
【0052】接着剤としては、例えば澱粉系の糊剤、ポ
リビニルアルコール系の糊剤、アクリル酸系の糊剤、ア
ルギン酸、カラゲナン、ゼラチン、カルボキシメチルセ
ルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル樹脂、ウレ
タン樹脂など、公知の剤が挙げられる。
【0053】成形体に微生物捕捉能をもつ剤(例え
ば、いわゆるピリジニウム型樹脂等)を付着させ、これ
に微生物を担持させる。
【0054】セルロースアセテートの脱アセチル化能
を有する微生物及び/又はセルロースアセテート脱アセ
チル化酵素を乾燥粉末及び/又は水分を含む固形物状に
まで濃縮し、これをそのまま或いは接着剤を用い成形体
に担持させる。
【0055】接着剤としては、例えば上記の接着剤の他
に、セルロースアセテートを有機溶剤(例えばアセト
ン)に溶解したドープ、ポリカプロラクトンを有機溶剤
(例えばテトラヒドロフラン)に溶解したドープなど、
各種接着剤を有機溶剤に溶解及び/又は懸濁したものを
使用することが出来る。
【0056】セルロースアセテートの脱アセチル化能
を有する微生物及び/又はセルロースアセテート脱アセ
チル化酵素の粉末を成形体に付着させ、その上に上記ド
ープをコーティングする。
【0057】粉末状のセルロースアセテートの脱アセ
チル化能を有する微生物及び/又はセルロースアセテー
ト脱アセチル化酵素を糊剤などで固め、或いは袋体に封
入し、或いはカプセル化し、これを成形体に埋め込むか
又は付着させる。
【0058】セルロースアセテートの繊維やフィルム
をアセトン等に溶解したドープより形成する際、ドープ
にセルロースアセテートの脱アセチル化能を有する微生
物及び/又はセルロースアセテート脱アセチル化酵素を
混入する。
【0059】ここで、成形体とは、セルロースアセテー
トからなる布帛、フィルム、及び、ボトル、カップ等の
各種成形品を意味する。成形体は、その用途、目的にあ
った使用時の性能を得るために各種添加剤を含んでいて
もよい。又、使用後、廃棄時の生分解性の改良を目的と
して他の生分解素材や、例えば界面活性剤、触媒等の各
種添加剤を含んでいてもよい。
【0060】
【作用】本発明は、新規なセルロースアセテートの脱ア
セチル化能を有する微生物及び/又は該微生物が産生す
るセルロースアセテート脱アセチル化酵素を見いだし、
これがセルロースアセテートを脱アセチル化することを
利用したものであり、セルロースアセテートからなる成
形体に上記微生物及び/又は脱アセチル化酵素を担持さ
せることにより、適度に促進された生分解性を有するセ
ルロースアセテート成形体を得ることができる。
【0061】上記微生物及び/又は酵素の作用により、
セルロースアセテートが分解する機構については明確で
はないが、先ずセルロースアセテートの脱アセチル化反
応が起こり、続いて脱アセチル化を受けたセルロースア
セテートが環境中に存在するセルロース分解酵素の作用
を受け、セルロースアセテート分子の主鎖の切断が起こ
っていくものと推定される。
【0062】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明は、これらの実施例により何ら制限されるもので
はない。
【0063】[バチルス セレウス Bacill
us cereus )およびバチルス エスピー
Bacillus sp. )の単離]大阪府茨
木市耳原の帝人株式会社大阪研究センター内および愛媛
県松山市北吉田町の帝人株式会社松山事業所内の土壌か
ら採取した計25種の菌を、表10および表11に示す
培地を用いて5回の植えつぎを行ない、炭素源がセルロ
ースアセテートのみで生育可能な菌を抽出した。
【0064】次いで、表12に示す培地を用いてさらに
2回の植えつぎを行ない、63日間の培養を行なった。
なお、表10、11および12中の無機塩溶液は表9の
組成を有するものである。
【0065】さらに、表8に示す培地を用いて21日間
の振盪培養を行ない、セルロースアセテートの脱アセチ
ル化能を有するバチルス セレウス Bacill
uscereus )およびバチルス エスピー
Bacillus sp. )の2種の菌株を単離
した。
【0066】
【表10】
【0067】
【表11】
【0068】
【表12】
【0069】[実施例1]3種の普通栄養培地に、それ
ぞれバチルス セレウス Bacilluscer
eus )、バチルスエスピー Bacillu
sp. )、スフィンゴモナス パウシモビリス
Sphingomonas paucimobili
)IFO13934を接種し、28℃で2日間培養し
た。得られた培養液にトウモロコシ澱粉を5%となるよ
うに、糊化したトウモロコシ澱粉溶液を加えた。
【0070】一方、酢化度54.7%のセルロースアセ
テート繊維を用い、公知の方法によりアセテート不織布
を製造した。不織布を構成するセルロースアセテート繊
維の単糸繊度は5.0デニールで、不織布の目付量は2
00g/m2 であった。
【0071】この不織布を前記3種の培養液中に浸漬
後、ピックアップ量が100%になるように絞り乾燥し
た。
【0072】得られた不織布を土中に埋没した結果、い
ずれも2か月後には布強力はほぼ0となり、生分解が進
んだ。
【0073】一方、培養液での処理を行わなかった不織
布について同様に試験を行った結果、2か月後には布強
力は半分程度保持されていた。
【0074】同様の試験を大阪府茨木市耳原の帝人株式
会社大阪研究センター内で採取した、温度30℃、十分
な湿度下に保持した土を用いて行った。
【0075】上記の土中に不織布を2カ月間埋没した結
果、培養液での処理を行わなかった不織布の強力低下は
見られなかった。一方、培養液での処理を行った不織布
の強力はいずれも半分以下となり、生分解が進んだ。
【0076】[実施例2]実施例1と同様に培養を行
い、アルギン酸ナトリウムを濃度2%となるよう培養液
に加えた。
【0077】上記培養液に実施例1と同様に不織布を浸
漬後、ピックアップ量が100%になるように絞り、こ
れを更に0.5mol/lの塩化カルシウム水溶液に1
0分間浸漬した。土中での埋没結果はいずれも実施例1
と同様であった。
【0078】[実施例3、比較例1、2]実施例1と同
様に培養を行なって得られる培養液を遠心分離(100
00rpm、10分)し、上澄画分を得た。この上澄画
分にセルロースアセテート製メンブランフィルター(ア
ドバンテック東洋製、No.C080A047A)一枚
および、セルロース分解酵素(和光純薬製、Trich
oderma viride由来、以下セルラーゼと称
する)を1mg/mlとなるように加え、30℃で15
日間振盪処理を行った。
【0079】比較対照として、セルラーゼを加えなかっ
たもの(比較例1)、菌を植えなかった培養液(比較例
2)についてもメンブランフィルターを加え、同様の処
理を行った。
【0080】この結果、セルラーゼを加えた場合(実施
例3)は、メンブランフィルターの崩壊がみられ、この
メンブランフィルターは前記の反応染料により染色可能
であった。一方、セルラーゼを加えなかった場合(比較
例1)、メンブランフィルターの崩壊は見られなかった
が、反応染料による染色は可能であった。
【0081】更に、菌を植えなかった培養液を用いた場
合(比較例2)、メンブランフィルターの崩壊も反応染
料による染色も見られなかった。
【0082】このように、環境中にセルラーゼが存在し
ない場合は、セルロースアセテートの脱アセチル化能を
有する微生物及び/又は該微生物が産生する脱アセチル
化酵素に加えてセルラーゼを担持させることにより、セ
ルロースアセテート成形体の生分解性を調節する事がで
きる。
【0083】
【発明の効果】本発明のセルロースアセテート成形体
は、セルロースアセテートの脱アセチル化能を有する微
生物及び/又は該微生物が産生するセルロースアセテー
ト脱アセチル化酵素が担持されているので、適度に促進
された生分解性を示し、所期の使用目的を達成した後
は、分解して環境を汚染することがないので、農業用資
材、水産用資材、包装用資材、建築用資材あるいは土木
用資材などに広く用いることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:07) (C12N 1/20 C12R 1:01)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースアセテートの脱アセチル化能
    を有する微生物バチルス セレウスBacillus
    cereus)。
  2. 【請求項2】 工業技術院生命工学研究所受託番号FE
    RM P−14431を有する請求項1記載の微生物。
  3. 【請求項3】 セルロースアセテートの脱アセチル化能
    を有する微生物バチルス エスピーBacillus
    sp.)。
  4. 【請求項4】 工業技術院生命工学研究所受託番号FE
    RM P−14430を有する請求項3記載の微生物。
  5. 【請求項5】 酢化度が10〜57%のセルロースアセ
    テートからなる成形体であって、該成形体は、バチルス
    セレウスBacillus cereus)、バチ
    ルス エスピーBacillus sp.)及びスフ
    ィンゴモナスパウシモビリスSphingomona
    paucimobilis)からなる群から選ばれ
    た少なくとも1種の、セルロースアセテートの脱アセチ
    ル化能を有する微生物及び/又は該微生物が産生するセ
    ルロースアセテート脱アセチル化酵素を担持した成形体
    であることを特徴とするセルロースアセテート成形体。
  6. 【請求項6】 微生物が工業技術院生命工学研究所受託
    番号FERM−14431を有する微生物である請求項
    5記載のセルロースアセテート成形体。
  7. 【請求項7】 微生物が工業技術院生命工学研究所受託
    番号FERM−14430を有する微生物である請求項
    5記載のセルロースアセテート成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6739344B2 (en) 1999-03-11 2004-05-25 Japan Tobacco Inc. Biodegradable cellulose acetate structure and tobacco filter
US20110132381A1 (en) * 2006-08-08 2011-06-09 Philip Morris Usa Inc. Rapidly degradable filters via electron ionization
CN111100942A (zh) * 2019-12-31 2020-05-05 海南波莲水稻基因科技有限公司 与水稻光温敏核雄性不育表型相关的分子标记和应用

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CN111100942B (zh) * 2019-12-31 2023-03-28 海南波莲水稻基因科技有限公司 与水稻光温敏核雄性不育表型相关的分子标记和应用

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