JP2683524B2 - 固定化担体 - Google Patents

固定化担体

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JP2683524B2
JP2683524B2 JP7098542A JP9854295A JP2683524B2 JP 2683524 B2 JP2683524 B2 JP 2683524B2 JP 7098542 A JP7098542 A JP 7098542A JP 9854295 A JP9854295 A JP 9854295A JP 2683524 B2 JP2683524 B2 JP 2683524B2
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茂 山中
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はバクテリアの産生する特
定のセルロースよりなる固定化担体に関するものであ
る。 【0002】このセルロースを菌体、酵素等を固体担体
に加えることによって固定化物の強度向上のほか、使用
時の菌体漏出量を減少させることができる。 【0003】 【従来の技術】固定化担体としては従来、寒天、カラギ
ーナンアルギン酸、ゼラチン、コラーゲン、ポリアミノ
酸、光架橋性樹脂、ポリアクリルアミド及び各種樹脂等
が用いられ、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル等の
網、繊維を補強材としてこれらの担体に混合することに
より、強度の向上とか粘着の紡糸がはかられてきた。 【0004】また、バクテリアの産生するセルロースと
しては、アセトバクター・キシリナム(Acetoba
cter xylinum)ATCC 23769が産生
するシート状のものを医療用パッドに利用することが知
られている(特開昭59−120159号公報)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、この固定化
物においては、補強材により担体が大きくなって単位面
積当たりの表面積が減少し、担体内の基質拡散が阻害さ
れたり、担体に固定化される酵素、生体由来物質、触
媒、その他の反応性物質(以下「活性成分」という)の濃
度が相対的に減少したりして反応速度や反応収率が低下
するという問題があった。又、活性成分が固定化担体か
ら漏出するために長期間あるいは繰り返し使用すると、
次第に活性が低下していくという問題があり、従来のポ
リ塩化ビニリデン、ポリエステル等の補強材を加えて
も、活性成分の担体からの漏出を防ぐことは困難であっ
た。従来の固定化担体の内、非常に弱いゲル、一例を挙
げると光架橋性ポリビニルアルコールの6%水溶液を架
橋させたものを固定化担体として用いる場合には、水に
よって膨潤が引き起こされる為に固定化担体が破壊され
るという問題もあった。 【0006】バクテリアの産生するセルロースを利用し
たものとしては前述の例があるが、その利用は医療用パ
ッドに限られており、高力学強度分野における素材とし
て利用価値が高いことについては全く知られていなかっ
た。 【0007】本発明の目的は強度の向上、粘着の防止、
菌体等の漏出防止機能を有する酵素、微生物等の固定化
担体を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの目
的を達成するべく種々研究を行ない、特定の微生物の産
生するリボン状のミクロフィブリルよりなるセルロース
が引張り強さ等の力学強度が極めて大きく、また、菌体
の保持性等にもすぐれていてこのバクテリアセルロース
を固定化担体補強材に用いることによって前記目的を達
成しうることを見出し、この知見に基いて本発明を完成
するに至った。 【0009】すなわち、本発明は、アセトバクター属微
生物が産生する、幅100〜500Å、厚さ10〜20
0Åのリボン状ミクロフィブリルよりなるバクテリアセ
ルロースを含有する、酵素、微生物等の固定化担体に関
するものである。 【0010】バクテリアセルロースは、第1図にその電
子顕微鏡写真を示すように、幅100〜500Å、厚さ
10〜200Å程度のリボン状ミクロフィブリルからな
っている。一般にはゲルの形で得られ、その含水率は9
5%(w/v)以上である。 【0011】このセルロースはセルラーゼによって容易
に分解され、グルコースを生成する。すなわち、本セル
ロースの0.1%(w/v)懸濁液にセルラーゼ(EC
3,2,1,4)(天野製薬製)を0.5%(w/v)にな
るように溶かし、0.1M酢酸緩衝液中で30℃で24
時間反応させた。その結果、本物質の一部が分解される
ことが観察され、上澄液をペーパークロマトグラフィー
で展開したところグルコースのほかに少量のセロビオー
ス、セロトリオース及びその他のセロオリゴ糖が検出さ
れた。このほかに少量のフラクトース、マンノース等が
検出される場合もあった。 【0012】すなわち、本発明のバクテリアセルロース
はセルロース及びセルロースを主鎖としたヘテロ多糖を
含むもの及びβ−1,3,β−1,2等のグルカンを含む
ものである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成
成分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシ
ロース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の
六炭糖、五炭糖及び有機酸等である。なお、これ等の多
糖が単一物質である場合もあるし、2種以上の多糖が水
素結合等により混在していてもよい。 【0013】バクテリアセルロースは上記のようなもの
であればいかなるものであっても使用可能である。 【0014】このようなバクテリアセルロースを産生す
る微生物はアセトバクター属細菌であり、アセトバクタ
ー・アセチ・サブスピーシス・キシリナム(Aceto
bacter aceti subsp・xylinu
m)ATCC10821あるいは同パストウリアヌス
(A・pasteurianus)、同ランセンス(A
・rancens)等でバクテリアセルロースを産生す
るものを利用することができる。 【0015】これらの微生物を培養してバクテリアセル
ロースを生成蓄積させる方法は細菌を培養する一般的方
法に従えばよい。すなわち、炭素源、窒素源、無機塩
類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微
量栄養素を含有する通常の栄養培地に微生物を接種し、
静置又はゆるやかに通気攪拌を行なう。炭素源として
は、グルコース、シュクロース、マルトース、澱粉加水
分解物、糖密等が利用されるが、エタノール、酢酸、ク
エン酸等も単独あるいは上記の糖と併用して利用するこ
とができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化
アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム
塩、硝酸塩、尿素、ペプトン等の有機あるいは無機の窒
素源が利用される。無機塩類としては、リン酸塩、マグ
ネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が利用
される。有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミ
ン、脂肪酸、核酸、さらにはこれらの栄養素を含むペプ
トン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白加水分解物等
が利用され、生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を用いる場合には要求される栄養素をさらに補添す
る必要がある。 【0016】培養条件も通常でよく、pHを5ないし9
そして温度を20ないし40℃に制御しつつ1ないし3
0日間培養すれば表層にバクテリアセルロースがゲル状
に蓄積される。 【0017】本発明で使用するバクテリアセルロースは
微生物の培養物から単離された精製品のほか、用途に応
じある程度不純物を含むものであっても良い。例えば培
養液中の残糖,塩類,酵母エキス等が微生物セルロース
に残留していてもさしつかえない。また、菌体がある程
度含まれていても良い。 【0018】このゲルを取り出して必要により、水洗す
る。この水洗水には目的に応じて殺菌剤、前処理剤など
の薬剤を添加することができる。 【0019】これまでの固定化担体補強材に代えて、こ
のバクテリアセルロースをそのままの状態や、離解し、
あるいはこれらの物をさらして乾燥して用いることによ
り、従来にない高強度な固定化担体を得ることができ
る。 【0020】このような固定化担体を製造するには、次
のような方法がある。基本的には、該バクテリアセルロ
ースと、下記の固定化担体素材を混合してからゲル化、
重合又は成形させればよい。又、必要に応じて、この混
合時に固定化目的の活性成分を一緒に加えて固定化して
もよいし、固定化担体を製造後活性成分を固定化しても
よい。 【0021】担体素材としては、該バクテリアセルロー
スと混合可能なものであれば特に限定されないが、例え
ば以下のようなものを利用できる。アガロース、デキス
トラン、セルロース、セルロース誘導体、アルギン酸、
アルギン酸塩、キチン、キトサン、コラーゲン、アルブ
ミン、アミノ酸ポリマー、ポリスチレン、ポリアクリル
アミド、タンニン、シリコンゴム、カゼイン、寒天、カ
ラギーナン、ポリウレタン、ポリ−2−ヒドロキシエチ
ルメタクリル酸、ポリビニルクロリド、γ−メチルポリ
グルタミン酸、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルア
クリルアミド、光架橋性樹脂、ポリエチレングリコール
誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブタジ
エン誘導体、コロジオン、ナイロン、ポリウレア、シリ
カゲル、シリコン誘導体、フェニルシロキサン、フィブ
リン、硝酸セルロース、炭化水素、リン脂質、リン酸カ
ルシウムゲル、フェノキシアセチル化物、グルコマンナ
ン等。 【0022】また、光架橋性ポリビニルアルコールは従
来の光架橋性樹脂と比較して生物に対する親和性がよい
といわれており、酵素、微生物等の固定化剤の用途がこ
れによりさらに向上すると考えられている。しかし、こ
の場合に水によって光架橋性ポリビニルアルコールが膨
潤し架橋構造が破壊されてしまうという問題があった。
しかるにバクテリアセルロースを加えることによってこ
の膨潤を阻止することができる。 【0023】固定化担体の製造方法について述べると、
該バクテリアセルロースが微生物によって産生されたま
まのゲル状である場合、このゲル状のものを乾燥させる
ことによって得られる乾燥物である場合、あるいはゲル
状のものを離解後乾燥させることによって得られる乾燥
物の内繊維状の形態を保っていないものである場合に
は、担体素材を適当な溶媒で溶液としあるいは溶融状態
とすることによって流動性を持たせてから、該バクテリ
アセルロースに含浸し、これをゲル化させれば固定化担
体が得られる。ゲル化の方法は、担体素材によって千差
万別であるが、例えば、アルギン酸ナトリウムの場合は
混合後塩化カルシウム溶液に入れればよいし、寒天の場
合は温度を下げればよい。 【0024】該バクテリアセルロースが離解された状
態、あるいはこれを凍結乾燥や臨界点乾燥等の方法によ
って得られる繊維状の形態を残したままの乾燥状態の場
合には、これら該バクテリアセルロースと担体素材と
を、前記のような含浸とはことなり、通常の方法で混合
を行なってからゲル化、重合又は成形することにより固
定化担体が得られる。 【0025】固定化担体中の該バクテリアセルロースの
濃度は0.01%〜99%、好ましくは0.1〜2%程
度がよい。 【0026】以上のような方法で得られた固定化担体の
形状は、反応の種類や方法に従って自由に選択可能であ
る。例えば、カラムにつめたり、攪拌槽に入れたりする
場合はじゅず玉状に加工すればよいし、必要に応じて棒
状や膜状にしてもよい。離解した該バクテリアセルロー
スを担体素材と混合させてからゲル化、重合又は成形さ
せることにより固定化担体を製造する場合には、従来と
同様の方法で固定化担体を加工成形すればよい。 【0027】一方、微生物によって産生されたままのゲ
ル状から直接固定化担体を製造する場合には、担体素材
をゲル状該バクテリアセルロースに含浸させてからゲル
化させればよい。所定の形に加工するには、ゲル状バク
テリアセルロースを必要な形状に加工してから担体素材
を含浸させても良いし、一方、固定化担体を製造してか
ら必要な形状に加工しても良い。 【0028】本発明の固定化担体に固定化される活性成
分は酵素、微生物、生体由来物質、触媒、その他の反応
性物質であり、一般に用いられるものであればよい。活
性成分の酵素例としては、アスパルターゼ、L−アスパ
ルテートβ−デカルボキシラーゼ、L−ロイシンデヒド
ロゲナーゼ、ヒダントイナーゼ、DL−2−アミノ−Δ
2−チアゾリン−4−カルボン酸水解酵素、ジヒドロピ
リミジナーゼ、アシルアミノ酸に作用するアシラーゼ、
トリプトファナーゼ、トリプトファンシンセターゼ、チ
ロシナーゼ、フマラーゼ、ヒスチジンアンモニアリアー
ゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、α−アミラーゼ、β−
アミラーゼ、インベルターゼ、グルコースイソメラー
ゼ、ペニシリンアシラーゼ、セファロスポリンアシラー
ゼ、5’−AMPデアミナーゼ、アルギニンデイミナー
ゼ、アルドラーゼ、システインデスルフヒドラーゼ、メ
チオニナーゼ、ホスホジエステラーゼ、キモトリプシ
ン、トリプシン、パパイン、ナリンギナーゼ、ラクター
ゼ、グルコアミラーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、
ペプシン、アミノラクタムヒドロラーゼ、アミロラクタ
ムラセマーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アスパ
ラギン酸デカルボキシラーゼ、プルラナーゼ、ヒアルロ
ニダーゼ、1,4−α−グルカンホスホリラーゼ、シク
ロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デキス
トランシュクラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコ
シダーゼ、ヘキソキナーゼ、Δ1−脱水素酵素、11β
−水酸化酵素、20β−脱水素酵素、3β−脱水素酵
素、Δ1−水酸化酵素、ステロイドのエステラーゼ、
5’ホスホジエステラーゼ、ATPデアミナーゼ、酢酸
キナーゼ、アデニル酸キナーゼ、アデノシンキナーゼ、
カルバミルホスホキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、解糖
系酵素キモシン、アルカリプロテアーゼ、レンニン、プ
ロナーゼ、プロテアーゼ、カタラーゼ、リゾチーム、D
−オキシニトラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グ
ルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、硝酸レダクタ
ーゼ、亜硝酸レダクターゼ、ロダネーズ、グルタミナー
ゼ、ウリカーゼ、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、コレス
テロールオキシダーゼ、ペニシリナーゼ、アルカリホス
ファターゼ、酸性ホスファターゼ、アセチルコリンエス
テラーゼ、等が挙げられる。活性成分の微生物例として
は、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス、エシェリ
ヒア・コリ、エルビヘルビコーラ、ストレプトコッカス
・フェカーリス、シュードモナス・プチダ、セラチア・
マセランス、バチルス・ズブチルス、アセトバクター・
アセチ、ラクトバチルス・デルブレッチィ、シュードモ
ナス・フルオレッセンス、ミクロコッカス・ルテウス、
バチルス・メガテリウム、ペニシリウム・クロリゲナ
ム、カンジダ・トロピカリス、サッカロマイセス・セル
ビシエ等が挙げられる。そのほか、必要に応じて動物細
胞、植物細胞等を固定化してもよい。 【0029】このようにして得られた固定化物は微生物
や酵素を用いた医薬、食品等の有用物質の生産に利用で
きる。又、分析及び工業生産工程におけるバイオリアク
ターとしても利用できる。 【0030】又、触媒及びその他の反応性物質は該バク
テリアセルロースと共存できかつ通常の化学反応等に用
いられる有機及び無機物質であればよい。これらのもの
はカラムに充填し、反応床として使用することもできる
し、各種クロマトグラフィにも利用できる。一方、粒
径、サイズを選択することにより、物理的に目的物質を
分離選択又は精製することに固定化担体を用いることも
できる。 【0031】 【実施例】実施例1 シュクロース5g/dl、酵母エキス(Difco)0.
5g/dl、硫安0.5g/dl、KH2PO4 0.3g
/dl、MgSO4・7H2O 0.05g/dl(pH
5.0)の組成の培地50mlを200ml容三角フラ
スコに張込み、120℃で20分間蒸気殺菌した。これ
に酵母エキス0.5g/dl、ペプトン0.3g/dl、
マンニトール2.5g/dl(pH6.0)の組成の試
験管斜面寒天培地で生育させた(30℃、3日間)アセト
バクター、アセチ、サブスピーシス、キシリナムATC
C 10821を1白金耳づつ接種し30℃で培養し
た。30日後、培養液の上層に白色のバクテリアセルロ
ース性多糖を含むゲル状の膜が形成された。 【0032】こうして得られたゲル状のバクテリアセル
ロースを標準パルプ離解機で離解した後125mesh
のふるいで濾過して固型分含量約8.8%のペースト状
の離解物を得た。これを以下の実験に使用した。 【0033】フマル酸2g/dl、リン酸二水素カリウ
ム0.2g/dl、硫酸マンガン4水塩1mg/dl、
硫酸マグネシウム7水塩1mg/dl、塩化カルシウム
0.05g/dl、酵母エキス(Difco)1.0g/
dl、ペプトン(Difco)1.0g/dlの組成の液
体培地をアンモニアを用いてpH7.0に調整した。こ
の培地を500ccの坂口フラスコに50mlずつ分注
し、E.coli ATCC 11775を一白金耳ずつ
接種して30℃で24時間培養した。菌体を常法に従い
遠心分離により回収した。さらに生理食塩水を用いて2
回洗浄後、湿重量と同量の生理食塩水に懸濁した。 【0034】この菌体を以下の方法によりゼラチン+本
セルロースで作った担体に固定化を試みた。固定化法と
しては、特開昭59−66886号公報に記載されてい
るトランスグルタミナーゼによる固定化法を用いた。ゼ
ラチン(宮城化学)、該バクテリアセルロースを離解し
た物を下記の表に示した組成にて混合した。この混合液
にさらに菌体を濃度3.5%となるように混合してか
ら、特開昭59−66886号公報に記載されている方
法に従い、トランスグルタミナーゼをゼラチン1mgに
対して0.1ユニット加え25℃に1時間放置してゲル
化させた。このゲルを5mm角のサイの目状に切断して
反応液に添加してアスパルターゼの活性を調べた。反応
液は、フマル酸20g/dl、1mM・MgSO4・7
2Oを含有する溶液をアンモニアを用いてpH8.5
に調整して用いた。反応液全量に対して菌体濃度が0.
5%となるように菌体固定化ゼラチンゲルを反応液に入
れた。反応は1時間行ない、5分おきにアスパラギン酸
濃度をニンヒドリンによる比色で定量して反応初速度を
求めた。反応液中への漏出菌数は、反応開始後30分間
経過した後にコロニーカウントにより求めた。結果を次
表に示す。 【0035】 【表1】【0036】酵素活性は、反応初速度より求めた。な
お、酵素活性は、バクテリアセルロースを添加しない場
合の1回目を100とし相対値で表わした。又、反応
は、10回くりかえした。結果を次に示す。 【0037】 【表2】 【0038】バクテリアセルロースを添加することによ
り菌体の漏出が防止された為、繰り返し使用後の活性の
維持が可能となった。 【0039】また、前記の表に示したものと同様のゼラ
チン及び補強材を添加したゼラチンの破壊強度を測定し
た。測定は、前述のゼラチン溶液を直径22cmの円筒
形のプラスチック容器の中でゲル化させた後に、レオメ
ーター(不動工業社,NRM2002J)にセットし5
mmφのアダプターを直接ゲルに侵入させたときの最大
荷重を破壊強度として表わすことにより行なった。結果
を次表に示す。 【0040】 【表3】 【0041】バクテリアセルロースは、従来の補強材よ
りも優れた補強効果が認められた。 【0042】実施例2 アルギン酸ゲルへの固定化は、アルギン酸ナトリウムと
バクテリアセルロースを下記の表に従い混合した。次に
常法に従い、0.1M CaCl2溶液に滴下してじゅず
玉状のゲルを得た。 【0043】反応条件等については実施例1の通りとし
て、アスパルターゼの反応を行なった。漏出菌数につい
ては、反応液を取り変えずに30分たったところでコロ
ニー数により求めた。結果を次表に示す。 【0044】 【表4】 【0045】上記の反応液を15分ごとにとりかえて合
計4回の固定化担体のくりかえし反応を行なった。酵素
活性は、3分おきにアスパラギン酸の濃度を測定して初
速度から求めた。結果を次表に示す。アスパルターゼ活
性は該セルロース性物質を添加しない場合の1回目を1
00とした時の相対値で示した。 【0046】 【表5】 【0047】バクテリアセルロースを補強材として添加
した結果、菌体の漏出が防止されたために従来の固定化
担体よりも本発明の高強度固定化担体の方がくり返し使
用することが可能となった。 【0048】実施例3 光架橋性樹脂に以下に述べる方法でインベルターゼを固
定化した。インベルターゼ1部とリン酸緩衝液(pH
6.0)2部を混合したものに光架橋性樹脂としてポリ
ビニルアルコール(PVA)−SbQ(GH−17 Sb
Q10.5wt%1.2mol%,東洋合成工業(株))
(pH6.0)20部を混合した。この混合液をガラス
板上に流延してから1日間風乾後光照射を1時間行ない
架橋硬化させた。補強材は、最終濃度が5%となるよう
に添加した。 【0049】この固定化膜を5×5mmの大きさに細断
し、ショ糖4gの溶液50ml中で、40℃24hr攪
拌反応してショ糖の分解率をしらべた。反応は10回く
りかえした。また破断応力,弾性率についても調べた。
結果を次表に示す。 【0050】 【表6】 【0051】バクテリアセルロースの添加によって固定
化酵素膜の強度である膜の破断応力,弾性率等の膜の物
理特性が大きく改善された。このため酵素の固定化のた
めの操作が容易となり該セルロース性物質を添加しない
場合に比べて添加した場合は、操作に要する時間は3/
4に短縮された。 【0052】 【発明の効果】本発明の固定化担体に使用されるバクテ
リアセルロースは物理的な応力による破壊や変形に対し
て優れている上に溶液等によって引きおこされる膨潤に
よる破壊や変形にも強い。したがって、固定化担体に補
強材として配合した場合に激しい攪拌や、非常に長いカ
ラムへの充填が可能となるばかりか、従来強度的に弱す
ぎて使用不可能であるような担体も固定化担体として新
たに使用可能となる。この本発明の固定化担体を製造す
る際には、従来の固定化担体の製造過程において度々生
じた活性成分の凝集がなく従って、固定化担体内に活性
成分を均一に分散させることが出来る。
【図面の簡単な説明】 【図1】 アセトバクターアセティーサブスピーシスキ
シリナムの生産するセルロース性物質の電子顕微鏡写真
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 3/48 H01B 3/48 (72)発明者 市村 国宏 茨城県筑波郡谷田部町松代5丁目630棟 (72)発明者 山中 茂 神奈川県横浜市南区大岡3−40−13 (72)発明者 渡部 乙比古 神奈川県川崎市川崎区観音2−20−8 (72)発明者 西 美緒 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 瓜生 勝 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭45−33875(JP,A) 特開 昭59−120159(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.アセトバクター属微生物が産生する、幅100〜5
    00Å、厚さ10〜200Åのリボン状ミクロフィブリ
    ルよりなるバクテリアセルロースを含有する、酵素、微
    生物等の固定化担体 2.バクテリアセルロースの含有量が0.01〜2%で
    ある請求項1記載の固定化担体
JP7098542A 1995-04-24 1995-04-24 固定化担体 Expired - Lifetime JP2683524B2 (ja)

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