JPH087023Y2

JPH087023Y2 - 窓ガラスの結露水処理装置

Info

Publication number: JPH087023Y2
Application number: JP1990401767U
Authority: JP
Inventors: 博行小寺
Original assignee: 昭和鋼機株式会社
Priority date: 1990-12-07
Filing date: 1990-12-07
Publication date: 1996-02-28
Anticipated expiration: 2005-12-07
Also published as: JPH0486893U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、窓ガラスの結露水処理
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】外気温と室温との差が開くと、窓ガラス
の内面に結露が生じる。これを拭かないでいると、大き
な水滴となって下方に流れ落ちる。一般的には、窓枠
（窓サッシ）の室内側の下部（下枠）に結露水を溜めて
おく溝が設けてあり、この溝にガラス板に生じた結露が
流れ込むようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、この構造の場
合、ガラスから窓枠まで結露水が流れることになり、し
かも結露水が溝内に溜まった状態になるので、手や服が
触れた際、濡れたり汚れたりする。また、溝内が水で一
杯になった場合、水が溢れ出て壁や床を濡らしたり汚し
たりすることがある。さらに、寒い地方では、昼間に溜
まった水が夜間に凍ることがあり、このため水がなかな
か抜けずにカビが生えることがある。このように、従来
の結露水を処理するための構造は不衛生であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案の結露水処理装置
は、上記の課題を解決するため、窓ガラスの下縁近傍の
表面に、左右方向に延びかつ窓ガラスに対して接近離間
する方向に隣接した複数の溝を有する受材を接着し、こ
の受材の各溝に窓ガラスの結露水を吸収する含水部材を
着脱自在に収容したことを特徴としている。

【０００５】

【作用】この考案の装置は、既存の窓ガラスに次のよう
に組み付けることができる。まず、受材を、窓ガラスの
下縁近傍の表面に接着する。ついで、この受材の各溝に
含水部材を収容して窓ガラスの結露水を吸収できるよう
にする。これにて組み付けを完了する。このように組み
付け完了した装置においては、窓ガラスの表面に生じた
結露水が、ガラスの表面を伝って下方に落ち、まず窓ガ
ラス側の溝に収容された含水部材に達して、含水部材に
吸収される。含水部材の含水量が多くなったら、これを
溝から取り出す。そして、窓ガラスから離れた側の溝に
収容された含水部材と交換する。結露水を吸収した含水
部材は乾燥させた後、窓ガラスから離れた側の溝に収容
する。窓ガラス側の含水部材の含水量が過剰になったの
を看過したため、窓ガラス側の溝から結露水が溢れた場
合には、その溢れた結露溝を窓ガラスから離れた側の溝
に収容された含水部材が吸収する。

【０００６】

【実施例】以下、本考案を引違い式ガラス戸に適用した
実施例を説明する。図２は引違い式ガラス戸を備えた窓
全体の外観を示す。四角い窓枠１内には、２枚のガラス
戸２が（ｂ）に示すように引違いに収容されている。各
ガラス戸２は、窓枠１内を移動する戸枠３と、戸枠３の
内部に嵌められた窓ガラス４とを有しており、窓ガラス
４は、図１に示すように固定部材５を用いて戸枠３に固
定されている。

【０００７】この場合の固定材５は、固化した状態では
堅くなっており、窓ガラス４との間に隙間などを生じな
いようになっている。そして、後述する含水部材７を支
持するために、この実施例では窓ガラス４の下縁近傍の
内面に受材６を接着し、この受材６で含水部材７を保持
している。

【０００８】図３に受材６の外観を示す。受材６は、金
属または樹脂からなる断面Ｅ字状のもので、この実施例
では窓ガラス４の幅と同じ長さの長尺体として構成され
ている。受材６は、断面Ｅ字状に形成することによりで
きた溝６ａ，６ａ′を図１に示すように上方に向けて配
置され、高さの違う三つの側壁６ｂ、６ｃ、６ｄのうち
の最も低い側壁６ｂによって、窓ガラス４の内面に接着
剤８で接着固定されている。そして、下戸枠３Ａの上面
にちょうど乗っている。なお、接着剤８の代わりに両面
接着テープを用いて接着しても勿論よい。

【０００９】図４は含水部材７の構造を示す。含水部材
７は、不織布などからなる通水性を有した包装材７Ａの
中に、吸水状態でゲル化する粉状の高分子吸水剤７Ｂを
充填し、全体をテープ状に加工したものである。包装材
７Ａは、帯状のものを幅方向に真ん中で折り畳んで、周
縁の合わせ目をヒートシール（熱を加えて接合するこ
と）して袋状に形成したものであり、幅が、受材６の長
い方の側壁６ｃの高さ寸法と等しいか、やや小さくなる
ように設定されている。

【００１０】なお、包装材７Ａは、長さ方向所定ピッチ
毎にヒートシールされ、これにより複数の部屋に仕切ら
れており、各部屋毎に高分子吸水剤７Ｂが収容されてい
る。図においてヒートシール部をＨで示す。このように
複数の部屋に仕切ったことにより、適当なヒートシール
部Ｈで裁断することで全体の長さを調節できるようにな
る。

【００１１】そして、このように構成した含水部材７
を、図１（ａ）に示すように、受材６の溝６ａ、６ａ′
内に収容する。この場合、溝６ａ内の含水部材７につい
ては、その上端側を窓ガラス４の内面に接触させるのが
望ましい。

【００１２】なお、高分子吸水剤７Ｂの具体例として
は、株式会社クラレの商品名Ｋ１ゲル２０１Ｋ、Ｋ１ゲ
ル２０１Ｋ−Ｆ２等がある。この高分子吸収剤７Ｂは、
そのまま原材料の粉体を包装材７Ａで包んでもよいし、
綿状パルプに混合させたり含浸させたりしたものを包ん
でもよい。また、包装材７Ａとしては、例えばポリオレ
フィン系の不織布、非溶水性の紙、あるいは布などを用
いることができる。この場合、内部の高分子吸水剤７Ｂ
の粒子が外部に漏れ出ない程度の目の細かさのものを用
いる。

【００１３】上記のように結露水処理対策を施したガラ
ス戸２では、図１（ｂ）に示すように窓ガラス４の表面
に生じた結露水Ｗが、窓ガラス４の表面を伝って下方に
落ち、溝６ａに収容された含水部材７に達する。含水部
材７に達した結露水は、包装材７Ａを通って中に染み込
み、高分子吸水剤７Ｂに吸収される。高分子吸水剤７Ｂ
は、水を吸収してゲル化し膨潤する。また、この実施例
の場合、結露水Ｗは受材６の溝６ａ内に流れ落ちるの
で、含水部材７が直接窓ガラス４に接触していなくて
も、溝６ａ内に侵入した段階で含水部材７に吸収される
ことになる。

【００１４】このように、結露水Ｗが窓ガラス４の下縁
に配した含水部材７に吸収されるので、窓枠１まで流れ
落ちない。したがって、窓枠１が濡れて不衛生になるこ
とがない。

【００１５】また、この装置を組み付けるに当たって
は、受材６を窓ガラス４に接着し、この受材６で含水部
材７を保持するだけでよいので、既設のガラス戸に簡単
に組み付けることができる。また、溝６ａに収容した含
水部材７の含水量が多くなったら、その含水部材７を取
り外して、溝６ａ′に収容した含水部材７と交換する。
取り外した含水部材７は乾燥させた後、溝６ａ′に収容
する。また、溝６ａの含水部材７の含水量が過剰になっ
たのを看過して、溝６ａから結露水が溢れたとしても、
その結露水は溝６ａ′に収容した含水部材７に吸収され
る。したがって、結露水が窓枠１にまで流れ落ちること
がない。勿論、溝６ａに収容した含水部材７の含水量が
過剰になったのを気付いた時にそれを取り外し、溝６
ａ′の含水部材７と交換する。

【００１６】なお、上記実施例では、受材６を窓ガラス
の幅と同じ長さの長尺体としているが、受材を細幅のピ
ースとして構成し、窓ガラス４の下縁の長さ方向に沿っ
て間隔的に複数個配設してもよい。

【００１７】

【考案の効果】本考案の結露水処理装置は、窓ガラスの
周縁に受材を接着し、この受材により含水部材を保持し
た構造を採用しているので、窓ガラスの表面に生じた結
露水をこの含水部材で吸収し、窓枠の方まで結露水が流
れ落ちるのを防ぐことができる。したがって、窓枠の方
にまで結露水が流れたり、窓枠の溝に水が溜まったりす
ることがなく、衛生的である。しかも、受材に複数の溝
を形成し、各溝に含水部材をそれぞれ収容しているの
で、窓ガラス側の含水部材の含水量が過剰になったのを
看過したとしても結露水が窓枠に流れ落ちるのを防止す
ることができる。

【００１９】また、含水部材を受材で保持しているの
で、含水部材の取り付けや取り外し、あるいは交換作業
を簡単に行うことができる。しかも、複数の含水部材を
取り付けているので、交換作業をより一層簡単に行うこ
とができる。また、受材を、窓ガラスに接着固定してい
るので、既設の窓ガラスに容易に適用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の主要部の断面図であり、窓ガ
ラス側の含水部材が結露水を吸収し、窓ガラスから離れ
た側の含水部材が結露水を吸収する前の状態を示してい
る。

【図２】実施例の窓の外観図で、（ａ）は室内側から見
た窓の正面図、（ｂ）は上から見た窓の断面図である。

【図３】実施例で用いた受材６の外観図である。

【図４】（ａ）は実施例で用いた含水部材７の正面図、
（ｂ）は同側断面図である。

【符号の説明】

１窓枠２ガラス戸３戸枠３Ａ下戸枠４窓ガラス５固定材６受材６ａ溝６ａ′ 溝６ｂ側壁６ｃ側壁６ｄ側壁７含水部材７Ａ包装材７Ｂ高分子吸水剤８接着剤

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】窓ガラスの下縁近傍の表面に、左右方向に
延びかつ窓ガラスに対して接近離間する方向に隣接した
複数の溝を有する受材を接着し、この受材の各溝に窓ガ
ラスの結露水を吸収する含水部材を着脱自在に収容した
ことを特徴とする窓ガラスの結露水処理装置。