JPH0869981A - 透明導電膜 - Google Patents

透明導電膜

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JPH0869981A
JPH0869981A JP20506194A JP20506194A JPH0869981A JP H0869981 A JPH0869981 A JP H0869981A JP 20506194 A JP20506194 A JP 20506194A JP 20506194 A JP20506194 A JP 20506194A JP H0869981 A JPH0869981 A JP H0869981A
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JP
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film
transparent conductive
conductive film
carrier
high mobility
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JP20506194A
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English (en)
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Kenzo Fukuyoshi
健蔵 福吉
Yukihiro Kimura
幸弘 木村
Koji Imayoshi
孝二 今吉
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】透過率及び導電性が良好な透明導電膜を提供す
る。 【構成】すくなくとも、キャリア高移動度膜12,14
とキャリア高濃度膜13とを構成に含む透明導電膜にお
いて、キャリア高移動度膜が、キャリア高移動度膜の基
材の金属酸化物の金属より仕事関数の小さい金属をドー
パントとして添加したキャリア高移動度膜であると、透
過率及び導電性が良好となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶ディスプレイや入
出力装置、プラズマディスプレイパネル他の表示装置に
用いられる透明導電膜の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス、プラスチック、フィルム等の基
板上に可視光線を透過する透明電極が設けられた透明電
極板は、液晶ディスプレイ等の各種表示装置の表示用電
極やこの表示装置の表示画面から直接入力する入出力電
極に広く使用されている。
【0003】例えば、液晶が用いられたディスプレイ装
置の透明電極板は、図5に示すようにガラス基板kと、
このガラス基板k上の画素部位に設けられた画素毎にそ
の透過光を赤、緑、青にそれぞれ着色するカラーフィル
ター層lと、上記ガラス基板k上の画素と画素との間の
部位(画素間部位)に設けられ、この部位からの光透過
を防止する遮光膜mと、上記カラーフィルター層lの全
面に設けられた保護層hと、この保護層h上に成膜され
た透明電極gと、この透明電極g上に成膜された配向膜
fとでその主要部が構成されている。そして、上記透明
電極gは、スパッタリングにより成膜され、所定のパタ
ーンにエッチングされた透明導電膜により構成されてい
る。
【0004】この透明導電膜としては、その高い導電性
に着目して、酸化インジウムの中にドーパントとして酸
化錫を添加したITO膜が広く利用されており、その比
抵抗はおよそ2.4×10-4Ω・cmである。
【0005】また、このITO膜の他にも、酸化錫膜、
この酸化錫に酸化アンチモンを添加して構成される薄膜
(ネサ膜)、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを添加して構
成される薄膜等が知られているが、これはいずれも上記
ITO膜よりその導電性が劣り、また、酸やアルカリ等
に対する耐薬品性あるいは耐水性等が不十分なため一般
には普及していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ディス
プレイ装置や表示入力装置においては、近年、画素密度
を増大させて緻密な画面を表示することが求められ、こ
れに伴って上記透明電極パターンの緻密化が要求されて
おり、例えば100μm程度のピッチで上記透明電極の
端子部を構成することが要求されている。また、液晶デ
ィスプレイ装置において基板に液晶駆動用ICが直接実
装される方式(COG)においては、配線の引き回しが
幅20〜50μmという細線となる部分があり、従来に
ない高度のエッチング加工適性が要求されている。
【0007】また、その一方で表示画面の大型化も求め
られており、このような大画面について上述したような
緻密パターンの透明電極を形成し、しかも液晶に充分な
駆動電圧を印加できるようにするためには、上記透明電
極として高い導電性を備えた透明導電膜を適用する必要
があった。
【0008】この透明導電膜の導電性は、一般に面積抵
抗(Ω/□)で表され(面積抵抗は面積導電率の逆数で
ある)、例えば、その値として5Ω/□程度という低い
面積抵抗が要求されている。さらに、液晶駆動用ICの
ガラス基板への直接実装や、液晶画面の高精細化にとも
なってさらに低い抵抗が要求されつつある。尚、この面
積抵抗は上述の比抵抗を透明導電膜の厚みで割った値で
表される。
【0009】そして、上記透明導電膜の面積導電率は、
導電率(導電率は上記比抵抗の逆数で表される)と膜厚
の積で表現され、この導電率σ(Ω-1・cm-1)は、膜に
含まれるキャリア(電子又は正孔)の持つ電荷e(クー
ロン)とこのキャリアの移動度μ(cm2 /V・sec)
及びキャリアの濃度n(cm-3)の積で表現される。
【0010】 σ(Ω-1・cm-1)=e・μ・n (1)
【0011】従って、この(1)式より上記透明導電膜
の導電率を向上させ、その比抵抗と面積抵抗とを低下さ
せるためには、移動度μ(cm2 /V・sec)又はキャ
リアの濃度n(cm-3)のいずれか一方またはその双方を
増大させればよい訳である。
【0012】そして、上記透明導電膜として汎用されて
いるITO膜においては、上述したように酸化錫が酸化
インジウムのドーパントでありこのドーパントがキャリ
アであるエレクトロンの生成に関与していることから、
上記酸化錫の量を増加させればキャリアの濃度n(c
m-3)が増大し、これに伴い導電率と面積導電率が増大
して面積抵抗が減少すると予想される。
【0013】キャリア濃度アップをはかる簡便法とし
て、ITOなどの透明導電膜の一部の構成として金、
銀、銅に代表される良導体の金属の10nm程の薄膜を挿
入すると良く、これによりキャリア濃度がITO単体の
およそ3〜6倍にアップする。この銀薄膜のサンドイッ
チ構成の透明導電膜の面積抵抗値は、およそ5〜10Ω
/□の範囲であった。
【0014】しかしながら、VGAと呼ばれる640×
480画素の単純マトリクス型のディスプレイにて階調
表示を行うには3Ω/□以下、理想的には2Ω/□以下
が必要である。さらに高精細・大型のXGAやEWSと
呼ばれるディスプレイでは、3〜1Ω/□のきわめて低
い抵抗値が、透明導電膜に要求される。
【0015】銀薄膜をITOにてサンドイッチする構成
では、銀を50nm以上の膜厚にすると1Ω/□前後の低
い抵抗値を得ることができるが、銀を20nm以上厚くす
ると光の透過率が極端に悪くなるため、銀の20nm以上
の膜厚設定は実用上困難である。4〜10Ω/□のレベ
ルの、銀薄膜のサンドイッチ構成透明導電膜では、従来
のITO単層の透明導電膜と抵抗値の上では大差なく、
銀薄膜を挿入することによる成膜装置のコスト高や、成
膜の管理、エッチングによるパターン加工の難しさを考
慮すると、ITO単層の透明導電膜の方が、むしろ使い
易いものであった。金属酸化物である透明電極と金属薄
膜の2〜3層の積層構成は、特公平1−12663号、
特開昭61−25125号などにより試みられている
が、上記理由により液晶表示装置用透明導電膜として実
用化されていなかった。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、次の2点の新しい事実を見い出した。 (1)キャリア高移動度膜の成膜方法 酸化錫などの、いわば不純物を含まない酸化インジウム
は、本来キャリア移動度が高いはずであるが、スパッタ
リングなどの成膜において、キャリア移動度もキャリア
濃度も低く、酸化錫をドープしたITO膜と比較して比
抵抗は10倍程悪いものが一般的である。本発明者ら
は、スパッタリング成膜において、酸化インジウムは無
加熱等の低い基板温度で成膜後、180℃以上の温度で
アニール処理(熱処理)することにより、高いキャリア
移動度の酸化インジウム膜となることを見い出した。成
膜時の基板温度を例えば、200℃、250℃、あるい
は室温成膜のみ(アニールなし)とすると、表1に示す
ように高移動度を得ることができない。
【0017】
【表1】
【0018】(2)低抵抗化の手法 低抵抗化の目的を達成するため本発明者等が鋭意研究を
重ねたところ、以下のような技術的発見をなすに至っ
た。すなわち、キャリア濃度n(cm-3)とキャリア移動
度μ(cm2 /V・sec)が共に異なる2つの透明導電
膜を互いに隣接するように積層して2層の透明電極を形
成し、この2層透明電極の導電率について材料を変えて
各々測定したところ、その一方の透明導電膜(M)のキ
ャリア移動度μm (cm2 /V・sec)が他方の透明導
電膜(C)のキャリア移動度μc に比べて充分に大き
く、かつ、他方の透明導電膜(C)のキャリア濃度nC
(cm-3)が上記一方の透明導電膜(M)のキャリア移動
度nm に比べて充分に大きい場合、透明電極全体の導電
率σ(Ω-1・cm-1)は、それぞれの透明導電膜単体の導
電率σm =e・μm ・nm 、及び、σc =e・μc ・n
c のいずれよりも大きくなり、しかも上記透明電極を2
層以上の多層で構成した場合にも同様に大きくなること
を発見することができた。
【0019】キャリア高濃度膜として銀の薄膜を、キャ
リア高移動度膜としてITOや酸化インジウム(以下I
Oと略称する)を用いる場合、可視光域400nm〜70
0nmにおいて、短波長側と長波長側で吸収ないし反射が
生じ、透過率の減少を伴い易い。〔ITO(膜厚40
nm)/Ag(膜厚15nm)/ITO(膜厚40nm)〕及
び〔IO(膜厚40nm)/Ag(膜厚15nm)/IO
(膜厚40nm)〕の構成において、短波長側440nmで
の透過率はそれぞれ72%、74%と低く、長波長
側610nmでの透過率はそれぞれ82%、85%と
低めである。一般的に液晶ディスプレイに用いられる透
明電極としては、可視光域では88%以上の透過率が要
求され、単純に銀の薄膜をサンドイッチにした透明電極
の構成では、十分な透過率を得にくいものであった。な
お、波長440nm、540nm、610nmは液晶ディスプ
レイの光源として用いられるそれぞれ青色、緑色、赤色
のほぼ主波長である。
【0020】本発明者らは、キャリア高濃度膜としての
銀と、キャリア高移動度膜としてのIOやITOと仕事
関数(φ,単位eV.フェルミ準位にある電子が真空準
位まで持ちあげるに必要なエネルギー)に差がある場合
に、それらの界面である種の拡散電位が生じているか、
もしくは、表面(界面)準位のディストーションが生じ
ていると仮定した。ITO、IOなど銀ほど電子(キャ
リア)濃度が高くない物質では、バルク内部のポテンシ
ャルが仕事関数に対して支配的であるため、そのバルク
内に低い仕事関数の不純物準位を形成してやることによ
り、仕事関数を下げることができる。本発明者らは、以
下に記載するように低仕事関数の低いドーパントを添加
することにより、キャリア高移動度膜とキャリア高濃度
膜を構成に含む透明導電膜の透過率を向上させ、かつ、
抵抗値を減少させることができた。
【0021】本発明のキャリア高濃度膜としての銀合金
は、ガラス基板や酸化インジウムとの密着性を向上させ
るため、銀にIIIa族〜VIIa族の遷移金属を微量添加した
合金であっても良い。銅や金を銀に適量添加しても良
い。
【0022】本発明の要点は、キャリア高移動度膜の仕
事関数がキャリア高濃度膜の仕事関数の大きさに近づく
よう、キャリア−高移動度膜に、仕事関数の小さいドー
パントを添加せしめることにある。
【0023】従って本発明は、すくなくともキャリア高
移動度膜とキャリア高濃度膜とを構成に含む透明導電膜
において、キャリア高移動度膜が、キャリア高移動度膜
の基材の金属酸化物の金属より仕事関数の小さい金属を
ドーパントとして添加したキャリア高移動度膜であるこ
とを特徴とする透明導電膜であり、また、請求項2に係
る発明は、キャリア高移動度膜が、酸化インジウムを基
材とし、かつインジウムより仕事関数の小さい金属を金
属酸化物の形で添加したキャリア高移動度膜であること
を特徴とする透明導電膜である。
【0024】インジウムより仕事関数の小さい金属は、
周期表のIVa 族(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフ
ニウム)、IIIa側(例えば、スカンジウム、イットリウ
ム)、さらにランタナイド系の金属(例えば、セリウ
ム)がある。この他に、仕事関数の小さい金属にはIa
族アルカリ金属やIIa族アルカリ土金属があるが、これ
らはインジウムより価数が小さくなるのでドーパントと
しては好しくない。表2に各金属の仕事関数の値を記す
る。
【0025】
【表2】
【0026】これら仕事関数の小さい金属は、真空成膜
において、酸化インジウム(あるいは金属インジウム)
と別な蒸発源から共スパッタ、共蒸着等の多元蒸着の手
法をとっても良い。金属酸化物の形で酸化インジウムに
分散・成形した酸化物混合体(セラミック状)を出発材
料として用い、スパッタリング成膜を行うのが簡便であ
る。ただし、キャリア高移動度膜は、その膜の中に多量
のイオン化不純物や中性不純物を含有すると、不純物散
乱により移動度が低下してしまうため、上記仕事関数の
小さい金属の酸化インジウムに対する添加量は20wt
%以下に抑えることが望しい。なお、金属の仕事関数
は、電気陰性度、イオン化エネルギー、電子親和力など
とある程度関係があり、これらの値も参考にできる。
【0027】請求項3に係る発明は、良導体でかつキャ
リア濃度が高くまた、薄膜状態で光の透過率の良い銀な
いし銀合金を選定したものである。銀ないし銀合金の膜
厚は、2nm〜20nmの範囲が適当である。20nmを超え
ると光の透過率が悪くなり、2nm未満の薄膜では透明導
電膜に十分なキャリアを補給できず、透明導電膜の大幅
な低抵抗化が期待できない。
【0028】請求項4に係る発明は、液晶表示装置の高
品質表示を考慮したものである。単純マトリクスタイプ
の液晶表示装置において、駆動回路に負担をかけずに階
調表示を行う場合、あるいは均質でムラのない表示を行
う場合、透明導電膜の面積抵抗値は実用的には3Ω/□
以下が必要である。3Ω/□以下のきわめて低い抵抗値
でかつ高い透過率をもつ透明導電膜が、本発明により達
成可能となった。
【0029】また、TFTに代表されるアクティブマト
リクスタイプの液晶表示装置に用いる透明導電膜の抵抗
値は、単純マトリクスタイプのものと比較し、低抵抗を
あまり必要とせず、10Ω/□レベルで十分である。し
かし、TFTは画素の開口率が単純マトリクスやMIM
方式とくらべると小さいため、その分透明導電膜には高
い透過率を要求する。請求項5に係る発明はこの点を考
慮したものである。本発明の透明導電膜は、キャリア高
濃度膜である銀の膜厚を15nm前後とすると光の波長4
40nm、540nm、610nmでガラスの基板をレファレ
ンスとした透過率でほぼ88%以上となり、同様に銀の
膜厚を9nm前後とするとほぼ92%以上となりきわめて
高い透過率を確保できる。
【0030】本発明の透明導電膜の全体膜厚は、300
nm以下であることが液晶の配向を考慮する上で好しい。
300nmをこえると透明導電膜のパターンのエッヂ付近
で液晶の配向不良を生じやすくなる。
【0031】本発明のキャリア高移動度膜では、銀ない
し銀合金膜を狭持する形の構成において、片側の膜厚を
変えても良い。酸によるエッチングを考慮して、ガラス
等の基板と接する側のキャリア高移動度膜を薄く形成し
ても良い。また、本発明のキャリア高移動度膜は、その
液晶の配向面を例えば(222)面や(400)面など
同一にそろえた方が電子であるキャリアの移動に有利で
ある。
【0032】本発明の透明導電膜は、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法などの周知の方
法で成膜することが可能である。また成膜に先立って基
板表面をプラズマや紫外線で処理することによりこの基
板と透明導電膜の密着力の向上を図ることができる。な
お、周知のフォトリソプロセスに従ってパターニングす
ることにより、透明導電膜のパターンを形成することが
可能である。
【0033】本発明に係る透明導電膜は、キャリア高移
動度膜とキャリア高濃度膜からなる2層でこれを構成し
ても良いが、キャリア高移動度膜とキャリア高濃度膜を
交互に積層して3層以上の多層膜としても良い。例え
ば、キャリア高濃度膜の膜厚をキャリアの平均自由工程
の長さ以下に設定して複数層に分けて構成しても良い。
なお、生産面や透過率を考慮した場合にはキャリア高濃
度膜を中間に狭持した3層構成が有利である。
【0034】また、本発明において、透明導電膜の支持
体となる基板としては、ガラス、セラミック、プラスチ
ックフィルム、プラスチックボード等が適用でき、黒
色、白色、あるいはその他の色に着色されたものであっ
てよい。また、放熱性や剛性を改善するために、あるい
は光の反射を目的として、金属板や金属フィルムで裏打
ちされた基板を使用することも可能である。また、支持
体となる基板の上に透過光を着色するカラーフィルター
層を設けたり、あるいはこのカラーフィルター層上に、
このカラーフィルター層の保護層として無機や有機の膜
を積層した構成でも良い。なお、このようなカラーフィ
ルター層としては、有機顔料を色材として感光性樹脂中
に分散させた着色フォトレジストを使用しフォトリソプ
ロセスで形成した顔料分散方式のカラーフィルター層
や、印刷方式で形成したカラーフィルター層、電着方式
で形成したカラーフィルター層が例示できる。
【0035】なお、本発明の透明導電膜の用途は表示素
子用途のみならず、熱線反射膜、電磁波シールド、太陽
電池、反射防止膜(可視光域)などの他の用途に用いる
ことができる。
【0036】
【作用】本発明によれば、キャリア高移動度膜とキャリ
ア高濃度膜とを構成に含む透明導電膜において、キャリ
ア高移動度膜に仕事関数の小さい金属をドーパントとし
て添加することによって、より透過率の高い透明導電膜
を得ることができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例に基付いて詳細に説明する。
【0038】(実施例1)実施例1に係る透明導電膜
は、図1に示すように、厚さ0.7mmのガラス基板11
上に、厚さ95nmの本発明による透明導電膜10を、幅
285μm、ピッチ300μmのストライプパターンに
配設してある。透明導電膜10の構成は、ガラス基板1
1と接する方から酸化ジルコニウム(ZrO2 )を1.
0wt%含む酸化インジウムによる膜厚40nmのキャリ
ア高移動度膜12と、膜厚15nmの銀のキャリア高濃度
膜13と、酸化ジルコニウム(ZrO2 )を1.0wt
%含む酸化インジウムによる膜厚40nmのキャリア高移
動度膜14の構成となっている。
【0039】そして、この透明導電膜10は、以下の工
程により製造したものである。アルカリ系界面滑性剤及
び水などによる洗浄を施した厚さ0.7mmのガラス基板
を真空槽内にて逆スパッタリングと呼ぶプラズマ処理に
て基板の表面をクリーニング後、真空を保持したまま、
キャリア高移動度膜12とキャリア高濃度膜13と、キ
ャリア高移動度膜14をスパッタリングにより連続成膜
した。キャリア高移動度膜はジルコニア(ZrO2 )を
1.0wt%含む酸化インジウムの高密度ターゲットを
用いて、磁場強度1100ガウスのDCマグネトロンス
パッタリングにより成膜した。次に周知のフォトリソプ
ロセスの手法に従い、ストライプパターンに加工し、さ
らに250℃1時間熱処理して透明導電膜10とした。
透明導電膜10の面積抵抗値は2.6Ω/□ときわめて
低抵抗であった。透過率も可視光540nmで96%あ
り、きわめて良好であった。
【0040】実施例1による本発明の透明導電膜と、
比較例として〔IO/Ag/IO〕及び〔ITO/
Ag/ITO〕の透過率及び面積抵抗値を表3に示し
た。膜厚はIZO、IO、ITOいずれも片側400n
m、銀を15nmとして合計95nmとそろえてある。ま
た、400nm〜700nmの範囲の分光カーブを図2に示
した。
【0041】
【表3】
【0042】(注)IZOは本発明の実施例1の酸化ジ
ルコニウムをドーパントとした酸化インジウム膜を意味
する。
【0043】実施例1において、キャリア高濃度膜の銀
の膜厚を15nmとしたが8nm〜10nm前後と薄くするこ
とにより、光の波長610nmでの透過率をおよそ3〜6
%向上させることができる。TFTのような透明導電膜
に低抵抗を要求しない液晶ディスプレイや、熱線反射膜
などは銀の膜厚を薄くした透明導電膜とすれば良い。ま
た、キャリア高移動膜の屈折率が成膜条件や装置によっ
て若干変動する場合、所望の分光特性を得るために、キ
ャリア高移動度膜の膜厚を調整することが望しい。
【0044】(実施例2)実施例2に係る透明導電膜
は、実施例1と同様に図1に示すように厚さ0.7mmの
ガラス基板11上に、厚さ95nmの本発明による透明導
電膜10を幅285μm、ピッチ300μmのストライ
プパターンに配設してある。透明導電膜10の構成は、
ガラス基板11と接する方から酸化ハフニウム(HfO
2 )を0.7wt%含む酸化インジウムによる膜厚40
nmのキャリア高移動度膜12と、膜厚15nmの銀のキャ
リア高濃度膜13と、酸化ハフニウム(HfO2 )を
0.7wt%含む酸化インジウムによる膜厚40nmのキ
ャリア高移動度膜14の構成となっている。
【0045】そして、この透明導電膜10は、実施例1
と同様の工程により製造したものである。透明導電膜1
0の代表的な特性を表4に示した。また、実施例2の透
明導電膜の分光特性は図3に示した。
【0046】
【表4】
【0047】(注)IHOは本発明の実施例2の酸化ハ
フニウムをドーパントとした酸化インジウム膜を意味す
る。
【0048】(実施例3)実施例3に係る透明導電膜
は、厚さ1mmのガラス基板11上に、厚さ93nmの本発
明による透明導電膜10を、実施例1と同じスパッタリ
ングによる成膜法で形成した。透明導電膜10は、ガラ
ス基板11と接する方から酸化ジルコニウムを1.0w
t%含む酸化インジウムによる膜厚41.5nmのキャリ
ア高移動度膜12と、膜厚10nmの銀のキャリア高濃度
膜13と、酸化ジルコニウムを1.0wt%含む酸化イ
ンジウムによる膜厚41.5nmのキャリア高移動度膜1
4の3層構成となっている。当透明導電膜10を220
℃×1hr熱処理し、本発明の透明導電膜とした。
【0049】実施例3の透明導電膜10の代表的な特性
を表5に示した。また、分光特性を図4に示した。
【0050】
【表5】
【0051】(注)IZOは本発明の実施例2の酸化ジ
ルコニウムをドーパントとした酸化インジウム膜を意味
する。
【0052】
【発明の効果】請求項1〜5に係る発明によれば、キャ
リア高濃度膜である銀ないし銀合金と、仕事関数の低い
ドーパントを含むキャリア高移動度膜にて透明導電膜を
形成することにより、3Ω/□以下のきわめて低抵抗に
て高透過率の透明導電膜を提供できることになった。単
純マトリクスやMIM(TFD)などの液晶表示装置に
おいて、クロストークや表示ムラのない高品質の表示に
大きく貢献することとなった。また、TFTの液晶表示
装置においても、従来より透過率の高い透明導電膜を提
供でき、明るい表示に貢献できることとなった。さら
に、膜厚が100nm前後と、従来の10Ω/□以下仕様
のITOの1/3〜1/2の薄さとなり材料費の節減及
び生産性の向上につながる副次効果がある。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、実施例2に係る透明導電膜の断面図
である。
【図2】実施例1に係る本発明による透明導電膜の分光
特性及び、従来技術による透明導電膜の分光作成、
を示すグラフ図である。
【図3】実施例2に係る透明導電膜の分光特性を示すグ
ラフ図である。
【図4】実施例2に係る透明導電膜の分光特性を示すグ
ラフ図である。
【図5】従来技術による表示装置用基板の断面図であ
る。
【符号の説明】
11 基板 12,14 キャリア高移動度膜 13 キャリア高濃度膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】すくなくとも、キャリア高移動度膜とキャ
    リア高濃度膜とを構成に含む透明導電膜において、キャ
    リア高移動度膜が、キャリア高移動度膜の基材の金属酸
    化物の金属より仕事関数の小さい金属をドーパントとし
    て添加したキャリア高移動度膜であることを特徴とする
    透明導電膜。
  2. 【請求項2】キャリア高移動度膜が、酸化インジウムを
    基材とし、かつインジウムより仕事関数の小さい金属を
    金属酸化物の形で添加したキャリア高移動度膜であるこ
    とを特徴とする請求項1の透明導電膜。
  3. 【請求項3】キャリア高濃度膜が、銀ないし銀合金であ
    ることを特徴とする請求項1、請求項2の透明導電膜。
  4. 【請求項4】透明導電膜の面積抵抗値が3Ω/□以下で
    あることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3の
    透明導電膜。
  5. 【請求項5】光の波長440nm、540nm、610nmで
    の透明導電膜の透過率が88%以上であることを特徴と
    する請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の透明導
    電膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001507135A (ja) * 1996-12-23 2001-05-29 オプティカル コーティング ラボラトリー インコーポレイテッド プラズマディスプレイパネルに対する光学的向上/雑音抑圧装置を得るための方法及び装置
CN113540388A (zh) * 2021-07-16 2021-10-22 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 一种柔性透明紫外有机发光二极管及其制备方法

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