近年、ノート型パソコン等の携帯情報端末の表示画面として、背面にバックライトを設け、その発光を液晶パネルで制御する透過型LCD(Liquid Crystal Display)が用いられてきたが、低消費電力および直射日光下での視認性の良さから、最近では、周囲の照明(環境光)の反射を制御する反射型LCDが用いられるようになってきている。また、近年LCDとは異なる表示原理を利用したディスプレイも報告されており、LCDディスプレイにはない特徴を有する反射型ディスプレイとして期待されている。
LCDディスプレイの表示原理としては、現在、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)方式、OCB(Optical Compensated Birefringence)方式等各種の方式が利用されている。いずれの方式も、光の透過状態を制御するものであり、色を変化させることはできない。したがって、LCDディスプレイにおいて色表示をするためには、カラーフィルタを使用する必要がある。
また、ガラス基板とネマティック型液晶を組み合わせた従来からのLCDに代わる新しい液晶材料や部材による他の液晶ディスプレイの方式として、帯電した微粒子を電場によって動かす電気泳動方式(特許第2551785号広報)、2色に塗り分けられた球体を電場で回転させるツイストボール方式(特許第2860790号広報)、樹脂中に分散した液晶の液滴内部の配向状態を電場で制御する高分子分散型液晶方式(PDLC;Polymer Dispersion Liquid Crystal)(特開2001−92383号広報)、その樹脂成分比が小さく液晶中に高分子が網目構造をとっている高分子ネットワーク型液晶方式(PNLC;Polymer Network Liquid Crystal)(特開2001−154219号広報)などがある。これらは散乱反射状態を電場で制御するものであるが、LCDと同様に、色を表示することが困難であり、色表示するためには、やはりカラーフィルタを使用するのが現実的である。
従って、LCDディスプレイ、新しい液晶材料等によるディスプレイのいずれにおいても、カラーディスプレイとするためには、カラー表示装置の各画素に着色するために着色層を備えたカラーフィルタ基板を使用する必要がある。ここで、カラーフィルタ基板とは、基板上に各画素の色に応じた色の着色層がパターン形成された基板である。
ところで、カラーフィルタ基板は、カラーフィルタ基板の表面平坦性が損なわれると、セルギャップによる斑や液晶などのディスプレイ表示要素に乱れが生じて表示品位を低下させるおそれがある。従って従来から、カラーフィルタ基板表面を平坦化するために、研磨が行われている。
しかしながら、カラーフィルタ基板の着色層は、顔料や染料で形成されるため非常に柔らかい。従って、このような研磨を行うと、研磨により多くの傷が発生し、表示品位を大きく損なうという問題が発生する。従って、いずれのディスプレイであっても、カラーディスプレイとするためには、傷の発生を最小限に抑制する研磨方法または研磨しないでカラーフィルタ基板表面を平坦化することが重要となる。
また、電子デバイスの駆動用トランジスタとしては、一般にアモルファスシリコンや多結晶シリコン等を用いた薄膜トランジスタが用いられている。しかしながら、アモルファスシリコンや多結晶シリコンは不透明であり、また可視光領域において光感度を持つため、LCDディスプレイ等の駆動用トランジスタとして用いる場合には、遮光膜が必要となる。そのため薄膜トランジスタやその配線等の半導体回路(以下、半導体回路と呼ぶ。)は、視認性の障害となるため、ディスプレイ視認側から見るとディスプレイ表示要素の裏側に設置されてきた。
反射型液晶表示装置や電気泳動表示装置等の反射型表示装置のカラー化においては、一般的にはカラーフィルタが用いられるが、上記の視認性の理由により、カラーフィルタと半導体回路の基板の間に液晶封入層や電気泳動粒子層が形成されることになる。この位置に液晶封入層や電気泳動粒子層が形成されると、例えば液晶の場合は、液晶を封入した後に半導体回路とカラーフィルタを位置合わせする必要があるが、不透明な半導体回路等を通して高い位置合わせ精度を得ることは困難が伴い、コスト上昇や歩留まり低下の原因となっている。
なお、上記のいずれのディスプレイにおいても、低消費電力化を目的として反射型ディスプレイとするためには、バックライトほど明るくない環境光を有効に利用するため、画素部の開口率を可能な限り大きくすることが求められる。ここで、開口率とは、1画素あたりの表示に有効な領域の面積比率(=表示に有効な領域÷1画素全体の領域。)をいう。一般的に透過型LCD用カラーフィルタでは、画面のコントラストを向上させるために、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光部を画素間の領域に設ける。しかし、反射型ディスプレイにおいてカラーフィルタにブラックマトリクスを設けると、ブラックマトリクスにより開口率が下がり、ディスプレイの輝度が低下してしまう。従って、反射型ディスプレイとする場合には、ブラックマトリクスを設けないことが望ましい。
特許第2551785号公報
特許第2860790号広報
特開2001‐92383号広報
特開2001‐154219号広報
以下に、本発明について図を用いながら詳細に説明する。本明細書においては、同一部材については同一符号を付し、説明を省略または簡略化する。
図1は本発明の一実施例に係る反射型表示装置の概略断面図である。また、図4は、図1にAで示した本発明の一実施例に係る反射型表示装置のほぼ1画素分の部分断面図である。本発明の一実施例に係る反射型表示装置は、図1に示すように、ディスプレイの視認側から見て、偏光板22、位相差板21、実質的に透明な第1の基板(以下、単に基板ということがある。)1、着色層2、第1保護層3、実施的に透明な半導体回路4、配向膜8、液晶9、配向膜8、共通電極10および第2の基板(以下、背面基板という。)11を有する。ここで、実施的に透明な基板1、着色層2および第1保護層3から構成される部分が、カラーフィルタ基板6であり、配向膜8、液晶9、配向膜8、共通電極10および背面基板11から構成される部分が、反射型ディスプレイ要素12である。なお、実質的に透明とは、可視光である波長領域400nm〜700nmの範囲内で透過率が70%以上であることをいう。また、図4に示すように、本発明の一実施例に係る反射型表示装置の実質的に透明な半導体回路4は、ゲート電極13、補助コンデンサ電極14、両者の上に形成されたゲート絶縁膜15、ゲート絶縁膜15の上に形成された半導体活性層18、ゲート絶縁膜15および半導体活性層18上に形成されたソース電極16およびドレイン電極17、さらにソース電極16およびゲート電極17上に形成された層間絶縁膜19、層間絶縁膜19上に形成された画素電極20から構成される。
反射型表示装置において、カラーフィルタ基板および半導体回路を形成する基材は実質的に透明でなければならない。上述したように、実質的に透明とは、可視光である波長領域400nm〜700nmの範囲内で透過率が70%以上であることをいう。本発明の一実施例に係る反射型表示装置の実質的に透明な基板1の基材としては、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルサルフェン、トリアセチルセルロース、ポリビニルフルオライドフィルム、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合樹脂、耐候性ポリエチレンテレフタレート、耐候性ポリプロピレン、ガラス繊維強化アクリル樹脂フィルム、ガラス繊維強化ポリカーボネート、透明性ポリイミド、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ガラス、石英等を使用することができる。これらは単独の基材として使用してもよいが、二種以上を積層した複合基材を使用することもできる。また基材が有機物フィルムである場合は、素子の耐久性を上げるために透明のガスバリア層を形成することも好ましい。ガスバリア層としてはAl2O3、SiO2、SiN、SiON、SiC、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などが上げられるがこれらに限定されるものではない。またこれらのガスバリア層は二層以上積層して使用することもできる。またガスバリア層は有機物フィルム基板の片面だけに付与してもよいし、両面に付与しても構わない。ガスバリア層は蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、ホットワイヤーCVD法、ゾルゲル法などで形成されるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いる着色層2は赤色着色部(R)(以下、着色部R(赤)ということがある。)、緑色着色部(G)(以下、着色部G(緑)ということがある。)、青色着色部(B)(以下、着色部B(青)ということがある。)の3色、もしくは赤色着色部(R)、緑色着色部(G)、青色着色部(B)、無着色部(W)(以下、着色部W(透明)ということがある。)の4色から形成されていることが好ましいが、これらに限定されるものではない。ここで、無着色部(W)とは、光透過性で透明な樹脂層からなる層で、反射型ディスプレイ表示要素からの色味を着色することなく、そのまま表示させるための層である。無着色部(W)を設けることにより表示の明るさを向上させることができる。なお、以下において、着色層2とは、上述した複数色の着色部から構成される全体を意味する。着色層2は、それぞれ所定幅の線条(ストライプ)マトリクス状、または所定サイズの矩形マトリクス状等、適宜パターン状にパターニングされる。着色層2はフォトリソ法、凸版印刷法、反転印刷法、インクジェット法等で形成することができるが、これらに限定されるものではない。また、本発明では反射型表示装置の明るさの低下を防ぐためにブラックマトリクス(遮光層)は設けていない。
ここで、本発明の一実施例に係る反射型表示装置の着色層2は、それぞれの着色部の周辺部同士が重ならないように、言い換えれば、それぞれの着色部の間に間隙が設けられるように形成される。図3は、本発明の一実施例に係る反射型表示装置のカラーフィルタの平面模式図である。図3に示すように、着色層2は、赤色着色部2R、緑色着色部2G、青色着色部2B、無着色部2Wの4色から形成されるが、それぞれの着色部間には隔壁はなく、上述したフォトリソ法等で形成される。そして、それぞれの着色部の周辺部は相互に重なることがなく、相互間に間隙が設けられるように形成される。この結果、着色層2の表面を研磨して、それぞれの着色部の周辺部が相互に重なりあった部分を除去する必要がない。従って、研磨により多くの傷が発生し、表示品位を大きく損なうことがない。
また、特徴的には、前記カラーフィルタの着色層2(R,G,BまたはR,G,B,W)は、膜厚が0.2μm以上、1.0μm以下に形成される。一般的なカラーフィルタの着色層は、1.2μm乃至2.0μm程度の膜厚に形成されるが、本発明の一実施例に係る反射型表示装置の着色層2は、上述したように、膜厚を薄く形成することで、研磨の必要がなく、平坦化が容易になる。これによって、本発明の一実施例に係る反射型表示装置は、着色層2自体の最大表面粗さが、一般的なカラーフィルタよりも小さい。言い換えれば、着色層2自体の表面の平滑性が高い。
本発明の一実施例に係る反射型表示装置は、着色パターンを保護し、着色層2表面に生じた凸凹を平坦化するために、着色パターン形成後に、前記着色層2上に保護層が設けられる。図1においては、保護層が1層の場合を示しているが、複数層設けられる場合もあるため、図1において、第1保護層3ということとする。保護層の材料としては、例えば、アクリルやポリイミドなどの樹脂が好適に用いられるが、これに限定されるわけではない。また、保護層は、上述のように一層に限られず、複数層設けてもよい。保護層はスピンコート法、ダイコート法、ブレードコート法等で塗布することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る反射型表示装置においては、保護層の表面が、10点平均粗さRzで表して300nm以下となるように平坦化されることを特徴とする。かかる平坦化は、研磨によることなく、保護層の塗布のみにて行われ、塗布のみで表面の平滑性が確保される。また、保護層を複数回に分けて塗布することで、さらに平坦化の効率を向上させることができる。ここで、10点平均粗さRzとは粗さ曲線において最高の山頂から高い順に5番目までの山高さ平均と(Zp1〜Zp5)、最深の谷底から深い順に5番目までの谷深さ(Zv1〜Zv5)の平均の和であり、次の式(1)により求められる。
一般的なカラーフィルタの製造においては保護層を研磨し平滑性を保っているため、研磨によって着色層および保護層に傷が入ることに起因して、表示品位に悪影響を与える恐れがある。本発明の一実施例に係る反射型表示装置は、上述したように、着色層の膜厚を薄く形成するため着色層2自体の平滑性が確保され、さらに保護層を形成し、該保護層について樹脂等の塗布のみで平坦化するため、研磨による平坦化を行う必要がない。従って、反射型表示装置の表示品位に悪影響を与える問題は生じない。
本発明における実質的に透明な半導体回路4に用いるゲート電極13、ソース電極16、ドレイン電極17、補助コンデンサ電極14、画素電極20、走査線電極、信号線電極には、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウムカドミウム(CdIn2O4)、酸化カドミウムスズ(Cd2SnO4)、酸化亜鉛スズ(Zn2SnO4)、酸化インジウム亜鉛(In‐Zn‐O)等の酸化物材料が用いられる。また、この酸化物材料に不純物をドープしたものも好適に用いられる。例えば、酸化インジウムにスズ(Sn)やモリブデン(Mo)、チタン(Ti)をドープしたもの、酸化スズにアンチモン(Sb)やフッ素(F)をドープしたもの、酸化亜鉛にインジウム、アルミニウム、ガリウム(Ga)をドープしたものなどである。この中では特に酸化インジウムにスズ(Sn)をドープした酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide。通称ITOという。)が高い透明性と低い抵抗率のために特に好適に用いられる。また、上記導電性酸化物材料とAu、Ag、Cu、Cr、Al、Mg、Liなどの金属の薄膜を複数積層したものも使用できる。この場合、金属材料の酸化や経時劣化を防ぐために導電性酸化物薄膜/金属薄膜/導電性酸化物薄膜の順に積層した3層構造が特に好適に用いられる。また、金属薄膜層での光反射や光吸収が表示装置の視認性を妨げないために金属薄膜層はできる限り薄くすることが好ましい。具体的には1nm以上20nm以下であることが望ましい。また、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)等の有機導電性材料も好適に用いることができる。ゲート電極13、ソース電極16、ドレイン電極17、補助コンデンサ電極14、画素電極20、走査線電極、信号線電極は同じ材料であっても構わないし、また全て違う材料であっても構わない。しかし、工程数を減らすためにゲート電極13と補助コンデンサ電極14、ソース電極16とドレイン電極17は同一の材料であることがより望ましい。これらの透明電極は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法、光CVD法、ホットワイヤーCVD法またはスクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット法等で形成することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の表示装置に用いる実質的に透明な半導体活性層18としては酸化物半導体材料、もしくは有機物半導体材料が好適に用いられる。酸化物半導体材料としては、亜鉛、インジウム、スズ、タングステン、マグネシウム、ガリウムのうち一種類以上の元素を含む酸化物、具体的には酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛ガリウムインジウム(In‐Ga‐Zn‐O)等公知の材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの材料は実質的に透明であるが、バンドギャップが2.8eV以上、好ましくはバンドギャップが3.2eV以上であることが望ましい。これらの材料の構造は、単結晶、多結晶、微結晶、結晶/アモルファスの混晶、ナノ結晶散在アモルファス、アモルファスのいずれであってもかまわない。半導体層の膜厚は少なくとも20nm以上が望ましい。酸化物半導体層の形成方法としては、スパッタ法、パルスレーザー堆積法、真空蒸着法、CVD法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、ゾルゲル法などの方法が用いられるが、好ましくはスパッタ法、パルスレーザー堆積法、真空蒸着法、CVD法で形成する。スパッタ法としては、RFマグネトロンスパッタ法あるいはDCスパッタ法、真空蒸着としては、加熱蒸着や電子ビーム蒸着あるいはイオンプレーティング法、CVD法としては、ホットワイヤーCVD法あるいはプラズマCVD法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、有機物半導体材料としては、ペンタセンやテトラセンなどのアセン類、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)やナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(NTCDI)、あるいはポリチオフェンやポリアニリン、ポリ‐p-フェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリチエニレンビニレンといった共役高分子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの材料は実質的に透明であるが、バンドギャップが2.8eV以上、好ましくはバンドギャップが3.2eV以上であることが望ましい。半導体活性層18は、これらの有機半導体材料を用いて、スクリーン印刷、反転印刷、インクジェット法、スピンコート、ディップコート、蒸着法等で形成されるが、形成方法はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いられる薄膜トランジスタのゲート絶縁膜15の材料は、特に限定しないが、酸化シリコン、窒化シリコン、シリコンオキシナイトライド(SiNxOy)、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、ハフニウムアルミネート、酸化ジルコニア、酸化チタン等の無機材料が用いられる。また、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のポリアクリレート、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、透明性ポリイミド、ポリエステル、エポキシ、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール等を用いてもよいが、これらに限定されるものではない。ただし、ゲートリーク電流を抑えるために、絶縁材料の抵抗率は1011Wcm以上、望ましくは1014Wcm以上であることが好ましい。ゲート絶縁膜15は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法、光CVD法、ホットワイヤーCVD法、スピンコート法、ディップコート法またはスクリーン印刷などの方法を用いて形成される。ゲート絶縁膜15の厚さは50nm〜2μmであることが望ましい。これらのゲート絶縁膜15は単層として用いても構わないし、複数の層を積層したものを用いても構わないし、また、成長方向に向けて組成を傾斜したものでも構わない。
本発明で用いられる薄膜トランジスタの構成は特に限定されない。ボトムコンタクト型、トップコンタクト型のどちらであっても構わない。ただし、有機半導体を用いる場合は、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極およびドレイン電極、有機半導体の順に素子を形成するボトムコンタクト型が望ましい。なぜなら、有機半導体を形成してから次工程のプラズマプロセスなどに有機半導体を曝すと、半導体層がダメージを受けるからである。また、本発明で用いられる薄膜トランジスタ上に層間絶縁膜19を設け、さらにその上にドレイン電極と電気的に接続されている画素電極20を設けることで開口率を高くすることは、好適に行われる。
層間絶縁膜19としては、絶縁性で実質的に透明の材料であれば特に限定されない。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、シリコンオキシナイトライド(SiNxOy)、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、ハフニウムアルミネート、酸化ジルコニア若しくは酸化チタン等の無機材料、または、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のポリアクリレート、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、透明性ポリイミド、ポリエステル、エポキシ、ポリビニルフェノール若しくはポリビニルアルコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。層間絶縁膜19はゲート絶縁膜15と同じ材料であっても構わないし、異なる材料であっても構わない。層間絶縁膜19は単層として用いても構わないし、複数の層を積層したものを用いても構わない。なお、ボトムゲート構造の素子の場合は、半導体層の上を覆うような保護膜を設けることも好ましい。保護膜を用いることで、半導体層が湿度などで経時変化を受けたり、層間絶縁膜19から影響を受けたりすることを防ぐことができる。この場合、保護膜として酸化シリコン、窒化シリコン、シリコンオキシナイトライド(SiNxOy)、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、ハフニウムアルミネート、酸化ジルコニアあるいは酸化チタン等の無機材料、または、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のポリアクリレート、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、透明性ポリイミド、ポリエステル、エポキシ、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコールあるいはフッ素系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの保護膜は単層として用いても構わないし、複数の層を積層したものを用いても構わない。
本発明の画素電極20は薄膜トランジスタのドレイン電極17と電気的に接続していなければならい。具体的には、層間絶縁膜19をスクリーン印刷などの方法でパターン印刷してドレイン電極17の部分に層間絶縁膜19を設けない方法や、層間絶縁膜19を全面に塗布し、そのあとレーザービーム等にて層間絶縁膜19に穴を空ける方法などによって画素電極20とドレイン電極17とを電気的に接続する。
本発明の反射型ディスプレイ表示要素12は視認する側からみて薄膜トランジスタの裏に設けられているため、本発明の反射型ディスプレイ表示要素12に付与される共通電極10は透明導電膜であっても構わないし、また、不透明な電極であっても構わない。従って、材料としては、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウムカドミウム(CdIn2O4)、酸化カドミウムスズ(Cd2SnO4)、酸化亜鉛スズ(Zn2SnO4)、酸化インジウム亜鉛(In‐Zn‐O)等の酸化物材料やAu、Ag、Cu、Cr、Al、Mg、Li、Ni、NiCrなどの金属などがあげられる。また、これらを複数組み合わせたものも好適に用いられる。また、同様の理由から反射型ディスプレイ表示要素12を構成する基材は透明であっても透明でなくても構わない。さらに、可撓性基材であっても可撓性基材でなくても構わない。具体的な材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルサルフェン、トリアセチルセルロース、ポリビニルフルオライドフィルム、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合樹脂、耐候性ポリエチレンテレフタレート、耐候性ポリプロピレン、ガラス繊維強化アクリル樹脂フィルム、ガラス繊維強化ポリカーボネート、透明性ポリイミド、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ガラス、石英等を使用することができる。これらは単独の基材として使用してもよいが、二種以上を積層した複合基材を使用することもできる。また、反射型ディスプレイ表示要素12の基材に導電性の材料を用いて共通電極10として代用することも可能である。具体的な材料としては、薄SUS板、アルミフォイル、薄銅板などがあげられる。このように反射型ディスプレイ前面板の基材として導電性材料を用いる場合は基材のディスプレイを設けない側に絶縁層もしくは絶縁材料を付与することが望ましい。
以上のような構成による本発明の一実施例にかかる反射型表示装置は、カラーフィルタの着色層2の複数色の着色部のそれぞれの周辺部同士が重なりあうことなくパターニングされ、かつ、それぞれの着色部が0.2μm以上1.0μm以下の薄い膜厚に形成されているため、着色部自体の表面平滑性が高く、保護層の形成によってカラーフィルタ基板6の表面の平坦化が可能である。そして、保護層についても、塗布のみで平坦化を図るため、一ないし複数層の保護層を形成することで、表面凸凹を10点平均粗さRzで表して300nm以下として平滑性を確保している。この結果、本発明の一実施例に係る反射型表示装置は、カラーフィルタ表面を研磨して平坦化する必要がないため、研磨による傷に起因する表示品位を大きく損なう問題が発生しない。また、カラーフィルタ基板6の表面平滑性が確保されているため、該カラーフィルタ基板6上に形成する半導体回路4の、配線抵抗の増加や膜剥がれを防止することができる。
また、本発明のカラー表示装置は環境光を反射することによる反射型表示装置であるので、広視野角であることや目に優しいという特徴がある。また、バックライト等の光源を表示装置に具備する必要がないため、表示装置の小型化および軽量化、低消費電力を実現することができる。
なお、本発明の反射型カラー表示装置に使用するディスプレイ表示要素は、一般的な液晶表示方式に限られず、電気泳動方式、ツイストボール方式、高分子分散型液晶方式、高分子ネットワーク型液晶方式、単層コレステリック型液晶方式によるディスプレイ表示要素であってもよい。いずれのディスプレイ表示要素によるディスプレイにも応用することができる。
(実施例1)
図1に本発明の実施例の反射型表示装置の断面の概略図を、図3に本実施例の反射型表示装置のカラーフィルタの平面図を、図4に、図1にAで示した本発明の実施例による反射型表示装置のほぼ1画素分の部分断面図を示す。実質的に透明な基板1としてコーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.7mm)を用い、その一方の面に赤色着色部(R),緑色着色部(G),青色着色部(B),無着色部(W)の4色の着色部をそれぞれ、0.7μm,0.7μm,0.7μm,0.7μm厚で形成して着色層2を構成した。それぞれの着色部の周辺部同士は重なることなくパターニングされている。より詳細には、着色部R(赤),G(緑),B(青),W(透明)は、それぞれの樹脂をガラス基板1全体に塗布した後、定められた形状のフォトマスクを用いて、露光、現像、および焼成して形成した。本実施例では、最初に、着色層R(赤)を形成し、さらにG(緑),B(青),W(透明)の順番で形成した。特徴的には、4色の着色部のそれぞれの周辺部同士は、相互に重なり合うことなく形成されているので、各着色部の間には間隙が形成されることになる。なお、この段階での、カラーフィルタ基板6の最大表面粗さは0.7μmである。
次に、第1保護層3として、1.3μm厚の熱硬化性透明樹脂を塗布した。詳細には第1保護層3として、前記熱硬化性透明樹脂を着色層2の形成されたガラス基板1全面に塗布した後、焼成して形成した。この段階でのカラーフィルタ基板6の表面凹凸は10点平均粗さRzで表して300nmである。
続いて、カラーフィルタ基板6上に、ITO薄膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成した。そして、該ITO薄膜を該カラーフィルタ基板の各画素と位置合わせをしながら、所望の形状にパターニングし、ゲート電極13および補助コンデンサ電極14を形成した。さらにその上に窒化シリコン(Si
3N
4)のターゲットを用いてRFスパッタ法でSiON薄膜を150nmの膜厚で形成し、ゲート絶縁膜15とした。さらに、半導体活性層18として、InGaZnO
4ターゲットを用いアモルファスIn‐Ga‐Zn‐O薄膜をRFスパッタ法で40nmの膜厚で形成し、所望の形状にパターニングした。続いて、その上に、レジストを塗布し、乾燥、現像を行った後、ITO膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成し、リフトオフを行い、ソース電極16およびドレイン電極17を形成した。さらに、印刷法を用いてエポキシ系樹脂を5μmパターン印刷し、層間絶縁膜19を形成した。そして最後にITO膜をマグネトロンスパッタ法で100nmの膜厚で成膜し、パターニングを行い画素電極20を形成した。上述した各膜の作成条件を表1に示す。以上の工程によって作成された実質的に透明な半導体回路4の上に配向膜8を塗布した。これとは別に、コーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.5mm)上に、共通電極10としてITO薄膜を70nmの膜厚で形成し、さらにその上に配向膜8を塗布して薄膜トランジスタを形成した基材を作成した。この基材と、前記の着色層2上に半導体回路4を形成した基板1とを、スペーサを介して空隙を形成するように配置し、その後この空隙に液晶9を封入した。最後に、カラーフィルタ基板6および実質的に透明な半導体回路4を形成した基板1の何も形成されていない面側に、位相差板21および偏光板22を配置することでカラー表示可能な反射型表示装置が実現できる。
(実施例2)
図2に本実施例の断面の概略図、図3に本実施例のカラーフィルタの平面図、図5に、図2にBで示した本発明の実施例による反射型表示装置のほぼ1画素分の部分断面図を示す。実質的に透明な基板1としてコーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.7mm)を用い、その一方の面にR(赤),G(緑),B(青)の顔料を樹脂中に分散させた着色部及び透明樹脂からなる無着色部(W)を、それぞれ、0.7μm,0.7μm,0.7μm,0.7μm厚で形成して着色層2を構成した。それぞれの着色部の周辺部同士は重なることなくパターニングされている。より詳細には、赤色着色部(R),緑色着色部(G),青色着色部(B),無着色部(W)の4色の着色部は、それぞれの樹脂をガラス基板1全体に塗布した後、定められた形状のフォトマスクを用いて、露光、現像、および焼成して形成した。本実施例においても、最初に、着色部R(赤)を形成し、G(緑),B(青),W(透明)の順番で形成した。実施例1と同様に、上記の実施例においても、着色部それぞれの周辺部同士は接しておらず、各着色層の間には間隙が形成されることになる。この段階でのカラーフィルタ基板6の最大表面粗さは0.7μmである。
次に、第1保護層3として、1.3μm厚の熱硬化性透明樹脂を塗布した。詳細には前記第1保護層3は着色層2のパターニングされたガラス基板1全体に熱硬化性透明樹脂を塗布した後、焼成して形成した。この段階でカラーフィルタ基板6の表面凹凸は10点平均粗さRzで表して300nmである。
さらに、第2保護層5として、第1保護層3と同様の熱硬化性透明樹脂を1.3μm厚で第1保護膜層3の上に塗布し、焼成した。これにより、カラーフィルタ基板6表面はさらに平坦化され、表面は10点平均粗さRzで表して100nmとなった。第1保護層3および第2保護層5の両方の膜厚を合計すると2.6μmである。両保護層は同一の材料であるため、屈折率が互いに同一であり、ディスプレイとしての表示には何ら影響を及ぼさない。
続いて、カラーフィルタ上に、ITO薄膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成した。そして、該ITO薄膜をカラーフィルタ基板6の各画素と位置合わせをしながら、所望の形状にパターニングし、ゲート電極13および補助コンデンサ電極14を形成した。さらにその上に窒化シリコン(Si3N4)のターゲットを用いてRFスパッタ法でSiON薄膜を150nmの膜厚で形成し、ゲート絶縁膜15とした。さらに、半導体活性層18として、InGaZnO4ターゲットを用いアモルファスIn‐Ga‐Zn‐O薄膜をRFスパッタ法で40nmの膜厚で形成し、所望の形状にパターニングした。その上に、レジストを塗布し、乾燥、現像を行った後、ITO膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成し、リフトオフを行いソース電極16およびドレイン電極17を形成した。さらに、印刷法を用いてエポキシ系樹脂を5μmパターン印刷し、層間絶縁膜19を形成した。そして最後にITO膜をマグネトロンスパッタ法で100nmの膜厚で成膜しパターニングを行い、画素電極20を形成した。各膜の作成条件は、上述した表1に示したとおりである。こうして作成された実質的に透明な半導体回路4の上に配向膜8を塗布した。これとは別に、コーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.5mm)上に、共通電極10としてITO薄膜を70nmの膜厚で形成し、さらにその上に配向膜8を塗布して薄膜トランジスタを形成した基材を作成した。この基材と、前記の着色層2上に半導体回路4を形成した基板1とを、スペーサを介して空隙を形成するように配置し、その後この空隙に液晶9を封入した。最後に、カラーフィルタ基板6および実質的に透明な半導体回路4を形成した基板1の何も形成されていない面側に、位相差板21および偏光板22を配置することで均一で良好なカラー表示可能な反射型表示装置を実現できる。
(比較例1)
本比較例は、実施例1に示した反射型表示装置において、着色層2のそれぞれの着色部の膜厚を最大限に薄くした例である。従って、断面図等は実施例1と同様であるので、本比較例の図示を省略し、実施例1で示した図1、図3および図4を基に説明する。実質的に透明な基板1としてコーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.7mm)を用い、その一方の面に赤色着色部(R),緑色着色部(G),青色着色部(B),無着色部(W)の4色の着色部からなる着色層2を、それぞれ、0.1μm,0.1μm,0.1μm,0.1μm厚で形成した。それぞれの周辺部同士は重なることなくパターニングされている。より詳細には、着色部R(赤),G(緑),B(青),W(透明)は、それぞれの樹脂をガラス基板1全体に塗布した後、定められた形状のフォトマスクを用いて、露光、現像、および焼成して形成した。本実施例では、最初に、着色部R(赤)を形成し、G(緑),B(青),W(透明)の順番で形成した。実施例1および実施例2と同様に、本比較例1においても、着色部は、それぞれの周辺部同士は接しておらず、各着色部の間には間隙が形成されることになる。この段階でのカラーフィルタ基板6の表面の最大粗さは0.1μmである。
次に、保護層3として、1.3μm厚の熱硬化性透明樹脂を塗布した。詳細には保護層3は着色層2のパターニングされたガラス基板1全体に熱硬化性透明樹脂を塗布した後、焼成して形成した。この段階でのカラーフィルタ基板6表面は10点平均粗さRzで表して20nmである。
続いて、カラーフィルタ上に、ITO薄膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成した。そして、該ITO薄膜をカラーフィルタ基板6の各画素と位置合わせをしながら、所望の形状にパターニングし、ゲート電極13および補助コンデンサ電極14を形成した。さらにその上に窒化シリコン(Si3N4)のターゲットを用いてRFスパッタ法でSiON薄膜を150nmの膜厚で形成し、ゲート絶縁膜15とした。さらに、半導体活性層18として、InGaZnO4ターゲットを用いアモルファスIn‐Ga‐Zn‐O薄膜をRFスパッタ法で40nmの膜厚で形成し、所望の形状にパターニングした。その上に、レジストを塗布し、乾燥、現像を行った後、ITO膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成し、リフトオフを行いソース電極16およびドレイン電極17を形成した。さらに、印刷法を用いてエポキシ系樹脂を5μmパターン印刷し、層間絶縁膜19を形成した。そして最後にITO膜をマグネトロンスパッタ法で100nmの膜厚で成膜し、パターニングを行い画素電極20を形成した。各膜の作成条件は、上述した表1に示したとおりである。こうして作成された実質的に透明な半導体回路4の上に配向膜8を塗布した。これとは別に、コーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.5mm)上に、共通電極10としてITO薄膜を70nmの膜厚で形成し、さらにその上に配向膜8を塗布して薄膜トランジスタを形成した基材を作成した。この基材と、前記の着色層2上に半導体回路4を形成した基板1とを、スペーサを介して空隙を形成するように配置し、その後この空隙に液晶9を封入した。最後に、カラーフィルタ基板6および実質的に透明な半導体回路4を形成した基板1の何も形成されていない面側に、位相差板21および偏光板22を配置して比較例1の反射型表示装置を作製した。
しかし、上述の工程で作成したこの反射型表示装置を駆動させたところ、駆動は可能であるが、カラーフィルタ基板6の着色層2のそれぞれの着色部の膜厚が薄いため、ディスプレイ上に表示される色が薄く、所望のカラー表示を得ることはできなかった。従って、この工程によっては、実用に耐えるカラー表示可能な反射型表示装置を作製することは困難である。
(比較例2)
本比較例は、実施例2に示した反射型表示装置において、着色層2のそれぞれの着色部の膜厚を厚く形成し、且つ、保護層3の表面が粗い例である。従って、断面図等は実施例2と同様であるので、本比較例の図示を省略し、実施例2で示した図2、図3および図5を基に説明する。透明基板1としてコーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.7mm)を用い、その一方の面にR(赤),G(緑),B(青)の顔料を樹脂中に分散させた着色部及び透明樹脂からなる無着色部(W)をそれぞれ、1.2μm,1.2μm,1.2μm,1.2μm厚で形成して着色層2を構成した。それぞれの着色部の周辺部同士は重なることなくパターニングされている。より詳細には、着色部R(赤),G(緑),B(青),W(透明)は、それぞれの顔料をガラス基板1全体に塗布した後、定められた形状のフォトマスクを用いて、露光、現像、および焼成して形成した。本実施例では、最初に、着色部R(赤)を形成し、G(緑),B(青),W(透明)の順番で形成した。着色部は、それぞれの周辺部同士が相互に重なり合わず、各着色部の間には間隙が形成されることになる点は、上述した実施例1乃至比較例1と同様である。この段階でのカラーフィルタ基板6の表面の最大粗さは1.2μmである。
次に、第1保護層3として、1.3μm厚の熱硬化性透明樹脂を塗布した。詳細には保護層3は着色層2のパターニングされたガラス基板1全体に熱硬化性透明樹脂を塗布した後、焼成して形成した。この段階でのカラーフィルタ基板6表面は10点平均粗さRzで表して800nmである。
さらに、第2保護層5として、第1保護層3と同様の熱硬化性透明樹脂を1.3μm厚で塗布した。これにより、カラーフィルタ基板6表面はさらに平坦化され、表面は10点平均粗さRzで表して400nmとなった。第1保護層3及び第2保護層5の両方の膜厚を合計すると2.6μmである。両保護層は同一の材料であるため、屈折率が互いに同一である。
続いて、カラーフィルタ上に、ITO薄膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成した。そして、該ITO薄膜をカラーフィルタ基板6の各画素と位置合わせをしながら、所望の形状にパターニングし、ゲート電極13および補助コンデンサ電極14を形成した。さらにその上に窒化シリコン(Si3N4)のターゲットを用いてRFスパッタ法でSiON薄膜を150nmの膜厚で形成し、ゲート絶縁膜15とした。さらに、半導体活性層18として、InGaZnO4ターゲットを用いアモルファスIn‐Ga‐Zn‐O薄膜をRFスパッタ法で40nmの膜厚で形成し、所望の形状にパターニングした。その上に、レジストを塗布し、乾燥、現像を行った後、ITO膜をDCマグネトロンスパッタ法で50nmの膜厚で形成し、リフトオフを行いソース電極16およびドレイン電極17を形成した。さらに、印刷法を用いてエポキシ系樹脂を5μmパターン印刷し、層間絶縁膜19を形成した。そして最後にITO膜をマグネトロンスパッタ法で100nmの膜厚に成膜し、パターニングを行い、画素電極20を形成した。各膜の作成条件は表1に示したとおりである。これとは別に、コーニング社製無アルカリガラス1737(厚さ0.5mm)上に、共通電極10としてITO薄膜を70nmの膜厚で形成し、さらにその上に配向膜8を塗布して薄膜トランジスタを形成した基材を作成した。この基材と、前記の着色層2上に半導体回路4を形成した基板1とを、スペーサを介して空隙を形成するように配置し、その後この空隙に液晶9を封入した。最後に、カラーフィルタ基板6および実質的に透明な半導体回路4を形成した基板1の何も形成されていない面側に、位相差板21および偏光板22を配置することで比較例2の表示装置を作製した。
しかし、比較例2の表示装置を駆動させたところ、着色層2のそれぞれの着色部の膜厚が厚いため、2層に亘る保護層の塗布のみでは十分な平滑性が確保できず、カラーフィルタ基板6の表面の凹凸により、半導体回路4を構成する配線の断線および膜剥れが生じ、表示に多数の欠陥が観察された。従って、この工程によっても、実用に耐えるカラー表示可能な反射型示装置を作製することは困難である。
上記実施例1、2および比較例1、2の結果から、画像表示装置の視認側から見て、透明基板1、カラーフィルタ、実質的に透明な薄膜トランジスタおよび該トランジスタと電気的接点を有する実質的に透明な導電材料によって構成した配線からなることを特徴とする半導体回路4、反射型ディスプレイ表示要素12の順に構成されたことを特徴とする反射型表示装置においては、着色層2の膜厚およびカラーフィルタ表面の平坦化度合いが、その上に形成される半導体回路に大きな影響を及ぼすことが示された。即ち、着色層2の膜厚は、薄いことが望ましいが、薄すぎると表示される色が薄くなる。また、カラーフィルタの表面は、平坦であることが望ましく、凸凹が大きい場合、配線の断線および膜剥がれが生じてしまう。
実施例1、2および比較例1、2での表面形状の違いによる表示の成否を表2に示した。
以上のように、請求項1に記載の表示装置におけるカラーフィルタの着色層2は隣接する着色部の周辺部同士が重なり合うことなく、かつ、該着色層2は、それぞれの着色部が0.2μm以上1.0μm以下の膜厚で薄く形成されているため、一または複数の保護層を塗布するだけで、着色層2に起因する凹凸を研磨することなく平坦化することができる。
これにより、請求項1に記載の反射型表示装置においては、実質的に透明な薄膜トランジスタおよび該トランジスタと電気的接点を有する実質的に透明な導電材料によって構成された配線の配線抵抗の増加および膜剥れを防止することができ、半導体回路の欠陥、性能低下を抑えた反射型表示装置が実現できた。