JPH0868559A - 吹出し口 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】気流制御が可能な吹出し口を提供することを目
的としている。 【構成】給気ダクト１の下流側に箱状のチャンバー２が
接続され、そのチャンバー２から３本の吹出しノズル
３，４，５が放射状に分岐している。各吹出しノズル
３，４，５は、大空間を構成する壁部６上部に開口して
いると共に、チャンバー２からの延び方向が相違してい
る。各吹出しノズル３，４，５におけるチャンバー２か
らの各分岐孔３ａ，４ａ，５ａには、それぞれ絞り機構
を備えた風量調整ダンパ７が設けられていて、そのダン
パ７の絞り具合によって、チャンバー２を介した対応す
る吹出しノズル３，４，５への風量がそれぞれ調整可能
となっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、劇場等の大空間を構成
する室内の天井面や壁面に設けられて、該大空間を空調
するために空調空気を送気する吹出し口に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、大空間を構成する室内を空調する
ための吹出し口は、一般に天井面や壁面上部に設けられ
ると共に、到達距離を稼ぐために、ノズル式やスリット
式の吹出し口が採用されていて、該ノズルやスリットか
ら空調空気を大空間に吹出し給気すると共に、床面に近
い壁面に設けられたガラリから還気を吸い込んで空調し
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、大空間
の空調における吹出し口では、到達距離を長くするため
に軸流吹出しのノズル等が採用されるが、該ノズルから
吹き出す気流は、それぞれ設置された各ノズルの向いて
いる方向を中心として放射状にのみ吹出しているので、
気流がうまく拡散することなく、室内気流分布にむらが
出来やすい。このため、大空間全体、若しくは特定空間
の温度分布を均一にすることが困難である。

【０００４】特に、大空間を構成するドームや劇場等
は、実施するイベント（スポーツ観戦やクラッシック鑑
賞等）等、使用状況によって要求される気流分布や温度
分布等が相違するが、上記のような吹出し口では、使用
状況に応じた吹出しの制御をすることが困難である。本
発明は、上記のような問題点に着目してなされたもの
で、気流制御が可能な吹出し口を提供することを目的と
している。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の吹出し口は、給気ダクトに接続するチャン
バーと、そのチャンバーから分岐し室内に向けてそれぞ
れ異なる方向に延びる複数の吹出しノズルと、上記複数
の吹出しノズルへの風量をそれぞれ調整するダンパと、
を備えたことを特徴としている。

【０００６】このとき、上記ダンパとして、絞り機構に
よって風量を調整可能な絞り式ダンパを採用したことを
特徴とするとよい。

【０００７】

【作用】一つの吹出し口からのノズルの方向が多方向に
設定されているので、室内の使用状況に応じて各ダンパ
を制御することで、吹出すノズルが一つ又は複数，選択
される。これによって、個々の吹出し口からの吹出し方
向が、室内の現在の気流分布や、これから要求される気
流分布に応じて設定可能となる。

【０００８】また、一つの吹出し口から多方向に吹出し
可能であるので、全ノズルから均一に吹き出させること
で、吹出し方向を特定しない、即ち、気流を感じさせな
い、空調空気の給気を実施することも可能となる。この
場合、個々のノズルからの吹出し速度が遅くなり、騒音
が低減する。また、ダンパとして、請求項２に記載され
ているように、絞り式ダンパを採用すると、各ノズルか
らの送風量を調整可能となる。

【０００９】

【実施例】本発明の実施例について図面に基づいて説明
する。まず構成を説明すると、図１に示すように、給気
ダクト１の下流側に箱状のチャンバー２が接続され、そ
のチャンバー２から３本の吹出しノズル３，４，５が放
射状に分岐している。

【００１０】各吹出しノズル３，４，５は、大空間を構
成する壁部６上部に開口していると共に、チャンバー２
からの延び方向が相違している。本実施例では、中央の
吹出しノズル４が、壁面に対して垂直方向に延在し、ま
た、左右の二本の吹出しノズル３，５が、壁面に対して
左右方向にそれぞれ傾いた方向に延在して配置されてい
る。

【００１１】これによって、中央の吹出しノズル４によ
って壁面に垂直な方向に吹出し可能となり、左右の吹出
しノズル３，５によって左右に傾いた方向に吹出し可能
となっている。また、各吹出しノズル３，４，５におけ
るチャンバー２からの各分岐孔３ａ，４ａ，５ａには、
それぞれ絞り機構を備えた風量調整ダンパ７が設けられ
ていて、そのダンパ７の絞り具合によって、チャンバー
２を介した対応する吹出しノズル３，４，５への風量が
調整可能となっている。上記各ダンパ７は、コントロー
ラ８に接続されていて、該コントローラ８からの信号に
よって絞り量が調整可能となっている。

【００１２】なお、上記ダンパ７は、図２（ａ）の如く
絞ることで、通気量が小さく，若しくはゼロとなって対
応するノズルへの風量が減少し、また、図２（ｂ）の如
く絞りを緩めるとことで、対応するノズルへの風量が増
加する機構である。そして、上記のような構成の複数の
吹出し口Ｆが、図３及び図４に示すように、大空間のう
ちドーナツ状に配置されたスタンド１０ａ，１０ｂの外
周位置に存在する壁部６に、該スタンド１０ａ，１０ｂ
に沿ってそれぞれ間欠的に配設されている。なお、図中
では、スタンド１０ａ，１０ｂは、一階スタンド１０ａ
と二階スタンド１０ｂとに分かれて同心状に配置されて
いるので、上記吹出し口Ｆも平面視で同心状に２列，配
置されている。

【００１３】また、室内下部の壁面にガラリが設けられ
たり、客席の下側に設けたマッシュルーム型吸込み口が
設けられ、該ガラリやマッシュルーム型吸込み口から室
内の空気（還気）を吸引可能となっている。上記のよう
な吹出し口Ｆ及び配置では、例えば、各吹出し口Ｆにお
ける左右の吹出しノズル３，５を閉じると、各吹出し口
Ｆからは、中央の吹出し口Ｆを介して、それぞれ壁面に
垂直方向に吹出し、従来と同様な気流分布を大空間に形
成される。

【００１４】また、図５に示すように、各吹出し口Ｆに
おける右側の吹出しノズル３だけを開状態とし他の二つ
の吹出しノズル４，５を閉状態とすると、各吹出し口Ｆ
から壁面に向けて左方向に傾斜した方向に気流が吹出
す。これによって、図６に示すような右回りの旋回流が
室内に発生し、その気流をスタンドに存在する人間に触
れさせることによって爽快感を与え快適性を向上させ
る。また、気流発生によって体感温度が下がるので、冷
房運転時の空調エネルギーの低減にも寄与する。

【００１５】さらに、スタンド１０ａ，１０ｂ位置に
は、上記のようにスタンド１０ａ，１０ｂに沿って循環
する気流が発生するので、スタンド１０ａ，１０ｂ位置
の空間には、均一した温度分布が形成される。同様に、
各吹出し口Ｆにおける左側の吹出しノズル５だけを開状
態とし他の二つの吹出しノズル３，４を閉状態とする
と、各吹出し口Ｆから壁面に向けて左方向に傾斜した方
向に気流が吹出す。これによって、左回りの旋回流が室
内に発生して、気流を感じさせることによって快適性を
向上させると共に、気流発生によって体感温度が下がる
ことで空調エネルギーの低減にも寄与する。

【００１６】また、各吹出し口Ｆにおける空調空気を吹
き出す吹出しノズル３，４，５を、図７に示す如く周期
的に、若しくはファジーに経時変化させると、大空間内
の気流が、図８の如く周期的に、若しくはファジーに変
化して気流分布に脈動や揺らぎが生じ、自然な気流が発
生する。これによって、快適な空気分布を発生させると
共に、気流発生によって体感温度が下がるので空調エネ
ルギーの低減にも寄与する。

【００１７】また、クラッシック鑑賞等、空調の騒音を
低減したい場合には、図９に示すように、各吹出し口Ｆ
における３つの吹出しノズル３，４，５をとも全開状態
にする。この場合には、各吹出し口Ｆの開口面積が増大
して各吹出しノズル３，４，５からの吹出し風速が遅く
なることで吹出し騒音を抑えられると共に気流の体感が
抑えられ、また、従来のような一つの吹出し口Ｆから吹
出した場合のように吹出し方向が特定されることがなく
なり、大空間の空調であっても、使用状況によってはア
ネモ型吹出し口Ｆに近似した吹出しを行うことも可能と
なる。

【００１８】また、各ダンパ７の絞り、即ち開閉を比例
的に制御することで吹出し温度による気流到達距離の変
化の発生を回避することもできる。また、上記実施例で
は、各吹出し口Ｆからの吹出しノズル３，４，５の数を
３本としているが、斜め上方や下方へ延びる吹出しノズ
ルを設けるなどしてもよい。この場合には、上下方向の
気流の制御も可能となる。

【００１９】また、上記実施例では、壁部６に吹出し口
Ｆを設けた例で説明しているが、天井に設けても構わな
い。また、上記実施例では、ダンパ７として絞り機構を
有するダンパ７を使用したもので説明しているが、これ
に限定されるものではなく、例えば、図１１に示すよう
に、可動羽根板式のダンパ２０によって実施してもよ
い。

【００２０】この羽根板式のダンパ２０ーの主要部は、
２つの可動羽根板から構成されていて、チャンバー内に
おける３つの吹出しノズル３，４，５の分岐孔３ａ，４
ａ，５ａにおける中央と右側との間、及び中央と左側と
の間に、それぞれ軸支され、一方の羽根板２０ａで中央
の分岐孔４ａ又は右側の分岐孔３ａのいずれか一方を閉
じることができ、他方の羽根板ｂで中央の分岐孔４ａ又
は左側の分岐孔５ａのいずれか一方を閉じることが可能
となる。

【００２１】そして、図１２に示すように、２枚の羽根
板２０ａ，２０ｂで中央の分岐孔４ａと左側の分岐孔５
ａを閉じることで右側の吹出しノズル３だけから吹出し
可能となり、また、図１３に示すように、２枚の羽根板
２０ａ，２０ｂで左側の分岐孔３ａと右側の分岐孔５ａ
を閉じることで中央の吹出しノズル４だけから吹出し可
能となり、図１４に示すように、２枚の羽根板２０ａ，
２０ｂで右側の分岐孔５ａと中央の分岐孔４ａを閉じる
ことで左側の吹出しノズル５だけから吹出し可能とな
る。また、２枚の羽根板２０ａ，２０ｂを、図１５のよ
うにすることで、３つの吹出しノズル３，４，５が全て
開状態となる。

【００２２】そして、この２枚の羽根板２０ａ，２０ｂ
によって閉じる分岐孔３ａ，４ａ，５ａを適当に選択す
ることで、上記のように、選択された一つの吹出しノズ
ル３，４，５若しくは３つの吹出しノズル３，４，５全
部から空調空気が吹き出されて、上記と同様な、目的と
した気流分布を制御可能となる。なお、上記２枚の羽根
板で３つの吹出しノズル３，４，５の開閉を制御する例
を示しているが、３枚の羽根板で３つの吹出しノズル
３，４，５の開閉を独立して制御してもよい。

【００２３】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の吹出
し口では、大空間の空調として到達距離の長い吹出しノ
ズル型を採用しつつ、吹出し方向を自由に調整できて、
大空間内に最適な気流分布を形成可能となると共に、気
流形成による体感温度を下げることが可能となって省エ
ネにも繋がるといった効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施例の吹出し口を示す図であ
る。

【図２】本発明に係る実施例の絞り式ダンパの絞り状態
を示す図で、（ａ）が絞った状態を、（ｂ）が絞りを緩
めた状態を示している。

【図３】本発明に係る実施例の吹出し口を設けるドーム
を示す側面図である。

【図４】本発明に係る実施例の吹出し口の配置例を示す
平面図である。

【図５】本発明に係る実施例の吹出し口における右側に
吹出しノズルから吹き出した状態を示す図である。

【図６】本発明に係る実施例により発生する旋回気流を
示す図である。

【図７】本発明に係る実施例の変動風を発生するときの
吹出しノズルの選択例を示した図である。

【図８】図７に示すように吹出しノズルを選択した際の
気流の発生状態を示す図である。

【図９】本発明に係る実施例の全吹出しノズルを開状態
としたときの図である。

【図１０】図９のように吹出しノズルを選択した際の空
調空気の吹出し状態を示す図である。

【図１１】本発明に係る実施例の別のダンパを使用した
吹出し口を示す図である。

【図１２】別のダンパを採用した際の右側の吹出しノズ
ルからの吹出しを実施したときの図である。

【図１３】別のダンパを採用した際の中央の吹出しノズ
ルからの吹出しを実施したときの図である。

【図１４】別のダンパを採用した際の左側の吹出しノズ
ルからの吹出しを実施したときの図である。

【図１５】別のダンパを採用した際の全吹出しノズルか
らの吹出しを実施したときの図である。

【符号の説明】

Ｆ 吹出し口 １ 給気ダクト ２ チャンバー ３，４，５ 吹出しダクト ３ａ，４ａ，５ａ 分岐孔 ７ ダンパ ８ コントローラ １０ａ，１０ｂ スタンド ２０ａ，２０ｂ 羽根板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐川 祐一郎 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給気ダクトに接続するチャンバーと、そ
   のチャンバーから分岐し室内に向けてそれぞれ異なる方
   向に延びる複数の吹出しノズルと、上記複数の吹出しノ
   ズルへの風量をそれぞれ調整するダンパと、を備えたこ
   とを特徴とする吹出し口。
2. 【請求項２】 上記ダンパとして、絞り機構によって風
   量を調整可能な絞り式ダンパを採用したことを特徴とす
   る請求項１に記載された吹出し口。