JPH089559Y2 - 空気調和機の風向偏向装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は空気調和機に関するものである。

従来の技術 従来、天井吊型空気調和機において、冷房・暖房時に
応じてそれぞれ水平、下方吹きといった上下の風向偏向
装置を備えており、一般的ち第４図に示すような構成の
ものである。

第４図において、１は空調機本体を示し、内部に送風
機２、熱交換器３と前面に吐出口４が配設されている。
上記吐出口４の内部において、下方には曲面を有した流
体案内板５（以下流体板と称す）と、上記吐出口４の天
板６側に直角形状のバイアス部７を設け、ノズル部８を
形成している。また上記ノズル部８の中間ぐらいに回転
自在に枢支された水平制御板９を備えることにより、上
下風向偏向装置を形成している。

以上のように構成された上下風向偏向装置について以
下その動作について説明する。

まず下方吹き出しの場合は、第４図の破線で示す如
く、水平制御板９の下流側が下方に向くように回動させ
ることにより、流体板５の曲面へのコアンダ効果とバイ
アス部７による下方への背圧により、噴流Ａとして下方
に噴き出される。また水平吹き出しの場合、第４図の実
線で示す如く、水平制御板５の下流側が若干上方に向く
ように回動させることにより、流体板５の曲面より剥離
し、噴流Ｂとして水平に噴き出される。

考案が解決しようとする課題 以上のような風向偏向装置において、例えば暖房時、
下方吹き出しとして、下方60°吹き出すと、温風は床ま
で到達すると共に床に添って前方へ押し出され、部屋全
体に温風が十分循環し、均一な温度分布により、快適な
暖房効果が得られる。

しかし、反面温度が噴流として全風量で下方に吹き出
されるため、ドラフティによる不快な領域が多くなると
共に、吹き出し口の下方近辺では、直接温風がくるた
め、温度の高い領域が一部生じるといった問題点があ
る。

本考案はこのような従来の問題点を解決するもので空
調機本体の前方吹き出し口とは別に下方の吹き出し口を
設け、それをダンパーと案内板および前方吹出口の風向
偏向板により、前方および下方の吹き出し風量比率の分
配と風向偏向することにより、より快適な温度分布とと
もに、下方吹き出しによるドラフティ感を解消しようと
するものである。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するため、本考案の空気調和機の風向
偏向装置は、吹出口の上部天板に配置したバイアス部
と、上記バイアス部の上流側の天板に斜め下方の下流側
に傾斜させた傾斜部と、上記傾斜部下端と上記室内機の
底板とにより形成されるノズル部と、上記傾斜部の下方
近辺でなおかつ上記ノズル部の上流側に下向きの開口部
を設けるとともに、上記バイアス部の下方に回動する風
向偏向板と、上記風向偏向板の上流側でかつ上記開口部
の上方に、回動により上記開口部を開閉できるダンパー
と、上記ノズル部に回転自在に枢支された案内板とを備
えたものである。

作用 本考案の風向偏向装置は、前方および下方の吹出口を
設けるとともに、前方吹出口に設けた風向偏向板と、下
方吹出口を開閉できるダンパーと、その上方に案内板を
設けることにより、例えば暖房時に下方吹き出しをする
場合、下方吹出口をダンパーにより開放し、案内板にて
前方および下方の吹き出し風量比率を設定し、所定量の
温風を下方吹出口より吹き出すとともに、前方吹き出し
は風向偏向板により、所定の吹出角度で吹き出されるこ
とから、常に全風量が下方に吹き出されることはなく、
ドラフト領域を小さくできるとともに、前方から吹き出
される温風を所定の角度で下方に吹き出すことから、片
寄った高温の温度領域ができることを解消できるため、
室内全体に均一な温度分布が実現できる。

また冷房時では、下方吹出口をダンパーにより閉鎖す
るとともに、案内板を水平にすることにより、より効率
的に冷風を水平に吹き出すことができ、さらに前方の吹
出口にある制御板により、任意の角度で吹き出したり、
冷風をスイングさせたりして、より効率的な冷房が実現
できるようになる。

実施例 以下本考案の一実施例について図面を参照しながら説
明する。

第１図は本考案の実施例における天井吊型空気調和機
を示すものである。第１図において、21は空調機本体
で、この本体の内部はシロッコファン（図示せず）を内
装したケーシング22を有し、下面に吸込口23とにより形
成された送風室24と、熱交換器25を備えた熱交換器26と
は仕切り板27により区画されている。また上記熱交換器
25の下部にはドレンパン28が配置されている。上記熱交
換器25の下流には天板29の内面に沿って断熱材30を貼着
し、上記天板29の一部を上流側に向かって斜め下方に傾
斜させた傾斜部31と、上記傾斜部31の下流側に前面吹出
口32と上記前面吹出口32の上記天板29側にバイアス部33
が配置してある。上記吹出口32の上記バイアス部33の下
方に回動自在の風向偏向板34が枢支されている。

また上記傾斜部31の下方に下方吹出口35が配設され、
上記下方吹出口35と上記傾斜部31とにより、ノズル部36
が形成されている。さらに上記下方吹出口35には上記下
方吹出口35の中央部に回動自在のダンパー37を枢支し、
これと連動して回動する上記バイアス部33の中央より下
方に枢支された案内板38を備えている。

以上のように構成された風向偏向装置について以下そ
の動作について説明する。

まず下方吹き出しについては、第２図に示すごとく、
上記ダンパー37を回動し、上記下方吹出口35を開口する
とともに、それに連動して上記案内板38の上流端を上方
に向くように回動させることにより、上記熱交換器25に
より熱交換された空気流Ａは上記ノズル部36に流入す
る。上記空気流Ｃの上方の流れは上記傾斜部31により下
方に向かう流れＤとなり、上記案内板38により上記前方
吹出口32と上記下方吹出口35への流れＥとＦに分流され
る。また水平の流れＧは上記流れＦと上記ダンパー37の
上方で合流し、上記下方吹出口35から下方噴流Ｈとして
吹き出される。また分流された上記流れＥは上記前方吹
出口32に流入するが、上記風向偏向板34を同時に下流端
側を下方に向けることにより、上記バイアス部33により
下方に向けられるとともに、上記風向偏向板34により噴
流Ｇとして上記噴流Ｈよりも上方に吹き出されることに
なる。次に水平吹き出しの場合は、第３図に示すごと
く、上記ダンパー37を回動し、上記下方吹出口35を閉鎖
し、それに連動して上記案内板38の上流端を流れと水平
になるように回動させることにより、上記熱交換器25に
より、熱交換された空気流Ｃは上記ノズル部36に流入す
るが、上記空気流Ｃの上方の流れは上記傾斜部31により
下方に向かう流れＤとなり、また上記水平の流れＧは上
記案内板38にて上記流れＤと合流し、流れＪとなり、上
記前方吹出口32に流入する。その時、上記風向偏向板34
は水平に回動しており、上記バイアス部33による下方へ
の影響もなく水平の噴流Ｋとして前方に吹き出されるこ
とになる。さらに上記水平の噴流Ｋは上記風向偏向板34
の回動によりスイングなり、下方偏向が任意にできる。

考案の効果 以上のように本考案の風向偏向装置によれば室内機本
体の前方吹き出し口とは別に室内機本体下部に下方向の
開口部を設け、この開口部をダンパーにて開閉し、これ
と連動して、ノズル部に位置する案内板を回動すること
により、特に暖房時の下方吹き出し時に下方吹き出しと
ともにその一部を空調機本体の前方部から所定の角度で
吹き出せるため、全風量を下方に吹き出すことがなくな
り、ドラフティ感を無くせるとともに、前方吹出流によ
り室内機本体下方の一部温度分布領域の高い部分を無く
せることができ、より均一な温度分布が達成でき快適性
を増す事ができる。また冷房時の水平吹き出しについて
も十分確保でき、さらに風向偏向板によりスイングや任
意の吹き出し角度が選定できるためより効果的な空調が
可能となり実用上極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す天井吊型空気調和機の
横断面図、第２図は同第１図の吹き出し部近辺の下方吹
き出し状態を示す横断面図、第３図は同第１図の吹き出
し部近辺の水平吹き出し状態を示す横断面図、第４図は
従来の風向偏向装置を具備した天井吊型空気調和機の横
断面図である。 31……傾斜部、33……バイアス部、34……風向偏向板、
35……開口部、36……ノズル部、37……ダンパー、38…
…案内板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】室内機本体の前面に設けた吹出口の上部天
   板に配置したバイアス部と、上記バイアス部の上流側の
   天板に斜め下方の下流側に傾斜させた傾斜部と、上記傾
   斜部下端と上記室内機の底板とにより形成されるノズル
   部と、上記傾斜部の下方近辺でなおかつ上記ノズル部の
   上流側に下向きの開口部を設けるとともに、上記バイア
   ス部の下方に回動する風向偏向板と、上記風向偏向板の
   上流側でかつ上記開口部の上方に、回動により上記開口
   部を開閉するダンパーと、上記ノズル部に回転自在に枢
   支された案内板とを有することを特徴とした空気調和機
   の風向偏向装置。