JPH023092B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、快適な室内環境を提供する空気調
和機の室内ユニツトに関するものである。

〔従来の技術〕

第５図は従来の天吊形空気調和機の室内ユニツ
トの断面図である。（例えば実開昭58−20147号公
報参照。）この図において、１は室内ユニツトの
全体を示し、２は送風機、３は熱交換器、４はド
レンパン、５は風を水平方向に吹出す第１吹出
口、６は風を斜め下方に吹出す第２吹出口、７は
吸込グリル、８は前記第２吹出口６を開閉する開
閉ベーンであり、通常、室内ユニツト１が天井面
９および壁面１０にぴつたりと付くように据え付
けられている。

次に第５図の動作について説明する。天吊形空
気調和機の室内ユニツト１の吸込グリル７より吹
込まれた室内空気は、送風機２により熱交換器３
に送られ、ここで熱交換して冷却または加熱され
た後、第１吹出口５および第２吹出口６より部屋
の中に吹出される。

冷房運転時には、通常、開閉ベーン８を水平と
することにより第１吹出口５から全風量を吹出
し、また暖房運転時には開閉ベーン８を垂直にす
ることにより、温風の一部を第２吹出口６から部
屋の中に吹出すようになつている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記のように構成された従来の天吊形空気調和
機の室内ユニツト１において、暖房運転時の快適
性をよくするには、温風の噴流を床面まで到達さ
せることが絶対に必要な条件となる。

また空調する部屋の面積が大きい場合には、温
風の噴流量を大きくする必要がある。

発明者らの実験によれば、温風の噴流の下吹き
角度θは50゜〜80゜が最もよく、この下吹き角度θ
が小さいと上下の温度差が大きくなり不快とな
る。また下吹き角度θが大きすぎると温風の拡が
りが不十分になるという問題がある。一方、温風
の噴流が頭部に直接当たると、いわゆるドラフト
感があり不快となるため、温風の噴流を少なくす
るとともに前記噴流の大きさを小さくすることが
必要となる。

このため、従来の天吊形空気調和機の室内ユニ
ツト１のように、一部の温風を下方へ吹出す場合
には、天吊が高い場合あるいは部屋が広い場合に
は、温度の噴流が小さく十分な快適性を得ること
ができず、また１個の吹出口で温風の噴流の角度
を調整する吹出口では、下吹き角度、すなわち噴
流角度を最適な50゜〜80゜に設定しても噴流が大き
すぎ、ドラフト域が大きいという問題点があつ
た。

この発明は、かかる問題点を解決するためにな
されたもので、吹出口を室内ユニツトの前面出口
部と前方下面出口部との２個所に設け、これらの
吹出口から吹出す風量の比率を概ね０〜100％ま
で可変とし、かつ吹出し風量の比率に関係なく、
下吹き角度は常に一定とした天吊形空気調和機の
室内ユニツトを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕 この発明に係る空気調和機の室内ユニツトは、
室内ユニツトの前面出口部に風を水平に吹出す第
１吹出口と、同じく前方下面出口部に風を斜め下
方に吹出す第２吹出口とを備え、前記第１吹出口
に至る水平の案内壁とその上流より斜め下方に前
記水平の案内壁に向う直線状の案内壁とからなる
上案内面と、前記第２吹出口に至る曲面形状の案
内壁とその上流より斜め下方にこの案内壁に向う
直線状の案内壁とからなる下案内面との２つの案
内面とを形成した吹出通路に、各々の吹出口への
風量を任意に可変できるへの字形状に屈曲した制
御翼を回動自在に屈曲部で軸支したものである。

〔作用〕

この発明においては、制御翼の回動により第
１、第２吹出口から吹出す風量の比率をほぼ０〜
100％まで可変とすることができるとともに、前
記吹出し風量の比率に関係なく第２吹出口の下吹
き角度を常に一定として最適吹出角度で空調が実
現できる。

〔実施例〕

第１図はこの発明による空気調和機の室内ユニ
ツトの一実施例を示す図で、この場合は冷房時の
吹出状態を示す断面図であり、第２図は同じく暖
房時の吹出状態を示す断面図である。また第３図
は制御翼の外観斜視図である。なお、これらの図
における第５図と同一符号は同一構成部分を示
す。

第１図、第２図において、１１は第３図に示す
ように、への字形状に形成された制御翼で、第３
図に示すようにその屈曲角は10゜以上に形成さ
れ、後述する上案内面１２と下案内面１３とが形
成された吹出通路１４に支軸１１ａによつて回動
自在に屈曲部で軸支されており、Ｌ字形すなわ
ち、前面出口部と、前方下面出口部とに配置され
た第１吹出口５および第２吹出口６を吹出し風量
の比率がほぼ０〜100％になるように開閉するも
のである。そして、この制御翼１１は第１吹出口
５に至る水平な案内壁１２ａと、その上流側より
斜め下方に直線状に傾斜した案内壁１２ｂとから
なる上案内面１２と、第２吹出口６に至る曲面形
状の案内壁１３ａとその上流側の斜め下方に傾斜
した直線状の案内壁１３ｂとからなる下案内面１
３の２つの面に当たるまで回転できるようになつ
ている。

次に、第１図、第２図の動作について説明す
る。

上記のように構成された空気調和機の室内ユニ
ツトにおいて、吸込グリル７より吸込まれた室内
空気は送風機２により熱交換器３に送られ、ここ
で冷却あるいは加熱され、第１吹出口５あるいは
第２吹出口６より吹出される。

第１図の冷房時には、通常制御翼１１は水平と
し、全風量は第１吹出口５より吹出される。また
第２図の暖房時には、制御翼１１を回動して任意
の位置に止めることにより、風量は第１吹出口５
および第２吹出口６より吹出される。この時、熱
交換器３の下部を通過した風は、曲面形状をした
下案内面１３の案内壁１３ａに沿つた方向の近く
を流れ（コアンダ効果）、この吹出し方向は下吹
き角度θを持つ。

第４図は本発明者らが行つた上記実施例におけ
る実験結果を示す特性図で、横軸は制御翼１１の
回動角度、縦軸は下吹き風量比（下吹き風量／全
風量）および下吹き角度θを示したものである。
Γ印は風量比、△印は下吹き角度θを示してい
る。第４図からわかるように、制御翼１１の角度
を変えることにより、下吹き風量比は０〜100％
まで変更可能であり、またこの時、下吹き角度θ
は全域にわたりほぼ一定であることが確認され
た。

〔発明の効果〕

この発明は以上説明したとおり、第１吹出口お
よび第２吹出口を空気調和機の室内ユニツトの前
面出口部および前方下面出口部に設け、各吹出口
の上流側に上案内面と下案内面とを形成して吹出
通路とし、この吹出通路の２つの各案内面の間に
第１吹出口および第２吹出口への風量との比率を
任意に可変可能とするへの字形状に屈曲した制御
翼を回動自在に前記屈曲部で軸支したので、暖房
時第２吹出口から吹出す風量は、制御翼の屈曲と
下案内面との作用により最適な下吹き角度のまま
任意の風量比が得られ、空調する部屋に適した上
下温度差の小さい、かつドラフト域の少ない快適
な空調が実現できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図はこの発明の一実施例を示す空
気調和機の室内ユニツトの断面図で、第１図は冷
房時の吹出状態を示す図、第２図は暖房時の吹出
状態を示す図、第３図は制御翼の外観斜視図、第
４図はこの発明の効果を示す特性図、第５図は従
来の空気調和機の室内ユニツトを示す図である。 図において、１は室内ユニツト、５は第１吹出
口、６は第２吹出口、１１は制御翼、１２は上案
内面、１３は下案内面、１４は吹出通路である。
なお、各図中の同一符号は同一または相当部分を
示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 送風機、熱交換器、吸込グリルを備えた室内
   ユニツトの前面出口部に風を水平に吹出す第１吹
   出口と、前記室内ユニツトの前方下面出口部に風
   を斜め下方に吹出す第２吹出口とを備え、前記第
   １吹出口に至る水平の案内壁とこの案内壁に向つ
   てその上流側より斜め下方の直線状の案内壁とか
   らなる上案内面と、前記第２吹出口に至る曲面形
   状の案内壁とこの案内壁に向つてその上流側より
   斜め下方の直線状の案内壁とからなる下案内面と
   が形成された吹出通路に、前記第１吹出口への風
   と第２吹出口への風との比率を任意に可変可能と
   するへの字形状に屈曲した制御翼を回動自在に前
   記屈曲部で軸支したことを特徴とする空気調和機
   の室内ユニツト。