JPH06159702A - 壁掛け式の室内ユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、下吹出し特性の向上を図り、下吹
出し時における能力ならびに快適性の向上を図れる室内
ユニットを提供することを特徴とする。 【構成】本体４の下部壁４ａに真下方向に開口する吹出
口２１を設け、この吹出口２１と室内側熱交換器７の後
方に配設した横流ファン２０の吹出側との間に、本体４
の前側にファンケ−シング２３を有し、このファンケ−
シング２３と対面する側に舌部２４を有した吹出路２２
を設け、かつ横流ファン２０の回転方向を、従来の室内
ユニットとは逆に、ファンケ−シング２３から舌部２
４、本体４の後面側を経て室内側熱交換器７へ向う方向
とした。これによって、吹出口２１から吹出される吹出
空気の吹出方向を鉛直方向に近い下向きにして、下吹出
しにした場合こそ、最も吹出風の風量、風速が減少しな
いようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、本体の下部側に吹出
口を有して構成される壁掛け式の室内ユニットに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】図２に示されるように、従来より、後面
を据付部１ａとして、室内１の壁面２（被据付面）など
に据付けられる室内ユニット３、いわゆる壁掛け式の室
内ユニット３には、本体４の前面側に吸込口６を設け、
この吸込口６の後方に室内側熱交換器７、横流ファン５
を順次、配設した構成が用いられ、横流ファン５の作動
にて、吸込口６から室内空気を吸込んで、吸込口６の後
方の室内側熱交換器７へ導き、同室内側熱交換器７を通
過した熱交換後の空気を、本体４の前面部分と下部部分
とが交わる角部に設けた吹出口８から、本体４の斜め前
方へ吹出風を吹出すことが行われている。

【０００３】具体的には、横流ファン５の吹出側と吹出
口８との間には、本体４の後部側にファンケ−シング９
を設け、これと対面する室内側熱交換器７のドレンパン
７ａ側に舌部１０を一体に設けて構成される吹出路１１
が設けられる。そして、横流ファン５の回転方向は、フ
ァンケ−シング９から舌部１０、室内側熱交換器７を経
て本体４の後面に向う方向に設定されていて、この横流
ファン５の回転にしたがって、上記吹出口８から吹出風
を吹出させている。

【０００４】こうした室内ユニットにおける吹出口８お
よび吹出路１１の向きは、冷房専用で開発された形状を
基本にして暖房運転も可能にしたという空気調和装置の
開発の歴史から、水平に近い斜め下向きになっている。
そして、この吹出路１１からの吹出流の向きを、吹出口
８に設けた上下方向ル−バ１２により、水平方向から真
下までの範囲で調節して、冷房運転時には水平吹出しを
行い、暖房運転時には下吹出しを行うようにしてある。
但し、図中、１３は室内側熱交換器７の吸込側に付設し
た空気清浄器を示す。

【０００５】ところで、この室内ユニットによると、吹
出口８および吹出路１１の向きが、水平に近い斜め下向
きになっている都合上、冷房運転時の水平吹出しは行い
やすいので、上下方向ル−バ１２はあまり通風抵抗にな
らない。

【０００６】これに対し、下吹出し暖房運転時は、上下
方向ル−バ１２を下向きにして、吹出流の流れ方向を同
ル−バ１２の衝突によって下向きに屈曲させて変化させ
るために、上下方向ル−バ１２は大きな通風抵抗にな
る。

【０００７】特に、この上下方向ル−バ１２への衝突と
屈曲による圧力損失は非常に大きく、下吹出しの暖房運
転時は、冷房運転時のときの減少度合よりも、吹出風量
の減少度合は大きく、暖房能力の減少をきたす。

【０００８】しかも、この暖房運転時は、風速の減少に
より吹出風の到達距離が短くなるから、下向きに吹出さ
れた温風が床付近まで到達しにくくなり、その分、室内
の上部に暖気が滞留して（温度の高い空気は浮上するこ
とによる）、室内の上下方向において温度むらが生じ、
人が居住する床付近や床自体を暖めにくくなって、快適
性が低下する。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】このことは、従来の室
内ユニットは、下吹出しで運転が行われる暖房よりも、
水平吹出しで運転が行われる冷房を優先しているような
吹出形態となっている。このため、能力、快適性共、水
平吹出しの冷房運転よりも、下吹出しの暖房運転の方が
向上しにくい問題をもっている。

【００１０】すなわち、冷房運転時の場合、吹出し方向
が変わって、冷気が下側へ移動しやすくなっても、人間
が存在する領域が床の付近なので、快適性は悪くなりに
くいが、暖房運転時の場合、吹出し方向が変わって暖気
が上側へ移動しやすくなると、暖気はすぐ室内の天井付
近に滞留してしまい、人間が存在する領域は暖まりにく
くなる。

【００１１】それ故、水平吹出しで運転が行われる冷房
よりも、下吹出しで運転が行われる暖房を優先している
かのような室内ユニットで、しかも上下方向ル−バ１２
を下向きした下吹出し場合でこそ、風量、風速が大きく
なるような室内ユニットが望まれている。

【００１２】この発明は、このような事情に着目してな
されたもので、その目的とするところは、下吹出し特性
の向上を図り、下吹出し時における能力ならびに快適性
の向上を図ることができる壁掛け式の室内ユニットを提
供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１に記載の室内ユニットは、本体の下部壁に当
該本体の真下方向に開口する吹出口を設け、室内側熱交
換器の後方に位置して本体内に配設された横流ファンの
吹出側と上記吹出口との間に渡り、前記本体の前側にフ
ァンケ−シングを有し、このファンケ−シングと対面す
る側に舌部を有した、前記横流ファンからの吹出流を前
記吹出口へ導く吹出路を設け、かつ前記横流ファンの回
転方向を前記ファンケ−シングから舌部、前記本体の後
面側を経て前記室内側熱交換器へ向う方向としたことに
ある。請求項２に記載の室内ユニットは、効果的に下吹
出し特性を高めるべく、横流ファンの吸込み側に静翼を
設けたことにある。

【００１４】

【作用】請求項１に記載の室内ユニットによると、吹出
口は本体真下に開口し、吹出路は下向きとなっているに
加えて、横流ファンは従来の回転方向とは逆回転になっ
ている上、さらにファンケ−シングおよび舌部はこの回
転方向に対応した配置となっているから、従来とは異な
り、吹出路および吹出口は鉛直方向に近い下向きとな
る。つまり、横流ファンによって、吸込口から吸込まれ
室内側熱交換器を通過した後の室内空気は、吹出口から
真下方向へ吹出される。この吹出方向が、上下方向ル−
バにて、水平から真下まで調節されることとなる。この
ことは、上下方向ル−バの存在（通風抵抗）による圧力
損失は真下吹出しのときが最も小さくなる。これによ
り、下吹出しにした場合こそ、吹出風の風量、風速の減
少が抑制され、下吹出し時における能力ならびに快適性
が高められる。したがって、水平吹出しで行われる冷房
よりも、下吹出しで行われる暖房が優先するかのような
室内ユニットが構成され、下吹出し特性が向上する。請
求項２に記載の室内ユニットによると、上記に加え、横
流ファンの吸込流の乱れが抑制される分、一層、下吹出
し特性が高められる。

【００１５】

【実施例】以下、この発明を図１に示す一実施例にもと
づいて説明する。

【００１６】但し、室内ユニットの全体は、先の「従来
の技術」の項で説明した図２の室内ユニットの構成と同
じなので、その部分については同一符号を付して説明を
省略し、この項では異なる構造（発明の要部）について
説明することにする。本実施例は、吹出系の構造が異な
っている。すなわち、横流ファン２０は、室内側熱交換
器７の後方の下部に、同室内側熱交換器７と並行に配置
してある。

【００１７】吹出口２１は、この横流ファン２０の下側
部分と対応する本体４の下部壁４ａの前側に設けてあ
る。この吹出口２１は、本体４の真下方向に開口する開
口部からなる。

【００１８】この吹出口２１と横流ファン２０の吸込み
側との間には、下向きに適した吹出路２２が設けてあ
る。詳しくは、吹出路２２は、本体４の前側に、横流フ
ァン２０の略半周を囲むようにファンケ−シング２３を
設け、このファンケ−シング２３を対面する吹出口２１
の本体後部側の開口縁部に、横流ファン２０の外周部と
近接する舌部２４を設けてなる。

【００１９】また横流ファン２０は、従来の室内ユニッ
トの横流ファンの回転方向とは逆方向、すなわち矢印で
示すようにファンケ−シング２３から舌部２４、本体４
の後面側を経て室内側熱交換器７へ向う、反時計方向へ
回転するように設定されていて、横流ファン２０、吹出
路２２および吹出口２１の組合わせにより、本体４の真
下方向へ吹出すのに対応した吹出系を構成している。

【００２０】また室内側熱交換器７の後方に形成され
た、当該室内側熱交換器７と本体４の後部壁４ｃとで囲
まれた空間よりなる横流ファン２０の吸込路２５には、
横流ファン２０の外周部と近接して断面が円弧状の静翼
２６が設けられていて、横流ファン２０に吸込まれる室
内空気を案内するようにしている。

【００２１】しかして、このように構成された室内ユニ
ット３は、冷凍サイクル運転が行われるとともに、横流
ファン２０が反時計方向（ファンケ−シング２３から舌
部２４、本体４の後面側を経て室内側熱交換器７へ向う
方向）へ回転すると、吸込口６から室内空気が吸込ま
れ、吸込口６の後方の室内側熱交換器７へ導かれる。つ
いで、室内空気は、室内側熱交換器７を通過する間に熱
交換される。このとき、室内空気は冷房運転であれば熱
交換により冷風となり、暖房運転であれば温風となる。
熱交換後の室内空気は、吸込路２５、静翼２６、横流フ
ァン２０の翼２０ａを経て、吹出路２２へ吹出され、吹
出口２１から吹出される。

【００２２】このとき、吹出口２１は本体真下に開口
し、吹出路２２は下向きとなっているに加えて、横流フ
ァン２０は従来の回転方向とは逆回転になっている上、
さらにファンケ−シング２３および舌部２４はこの横流
ファン２０の回転方向に対応した配置となっているか
ら、従来とは異なり、吹出口２１および吹出路２２にお
ける吹出方向は鉛直方向に近い下向きとなる。つまり、
横流ファン２０によって、室内側熱交換器７を通過した
後の室内空気は、吹出口２１から真下方向へ吹出され
る。

【００２３】そして、この吹出方向が、上下方向ル−バ
にて、水平から真下まで調節され、冷房時は、横向きに
した上下方向ル−バ１２により、冷風は水平吹出しで吹
出され、暖房時は、下向きにした上下方向ル−バ１２に
より、温風は下吹出しで吹出される。

【００２４】このとき、吹出口２１および吹出路２２の
吹出方向は鉛直方向に近い下向きであるから、上下方向
ル−バ１２の存在（通風抵抗）による圧力損失は真下吹
出しのときが最も小さく、吹出方向は、従来に比べて、
格段に下向きに大きく是正されることとなる。

【００２５】つまり、下吹出しにした場合こそ、吹出風
の風量、風速の減少が最も少なくなり、下吹出しの暖房
は、暖房能力が増加し、かつ温風（吹出空気）の到達距
離も延び、従来に比べて、格段に優れた下吹き特性をも
たらすことができる。

【００２６】したがって、水平吹出しで行われる冷房よ
りも、下吹出しで行われる暖房が優先するかのような室
内ユニット３が構成され、下吹出し特性の向上から、暖
房時の暖房能力ならびに快適性を高めることができる。
しかも、横流ファン２０の吸込側に静翼２５を設けたこ
とにより、横流ファン２０の吸込流の乱れが抑制され、
一層、下吹出し特性を高めることができる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように請求項１および請求
項２に記載の発明によれば、吹出口は本体真下に開口
し、吹出路は下向きで、かつ横流ファンは下吹出し向き
の回転方向に設定されるから、吹出空気の吹出口からの
吹出方向は鉛直方向に近い下向きとなり、室内側熱交換
器を通過した後の室内空気は、横流ファンにより、吹出
口から本体の真下方向へ吹出されることになる。

【００２８】したがって、下吹出しにした場合こそ、最
も吹出風の風量、風速の減少を抑制することができ、下
吹出し時における能力ならびに快適性を高めることがで
きる。

【００２９】よって、水平吹出しで行われる冷房より
も、下吹出しで行われる暖房が優先するかのような室内
ユニットを構成することができ、下吹出し特性が格段に
向上した室内ユニットを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の室内ユニットを、室内の
壁部に据付けた状態と共に示す断面図。

【図２】従来の壁掛け式の室内ユニットを示す断面図。

【符号の説明】

４…本体 ４ａ…下部壁 ６
…吸込口 ７…室内側熱交換器 １２…上下方向ル−バ ２０
…横流ファン ２１…吹出口 ２２…吹出路 ２
３…ファンケ−シング ２４…舌部 ２５…静翼

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前部側に吸込口が設けられ、この吸込口
   の後方に室内側熱交換器が設けられた、後面を据付部と
   した本体と、 前記室内側熱交換器の後方に位置して前記本体内に配設
   された、前記吸込口から吸込んだ空気を前記室内側熱交
   換器へ導く横流ファンと、 前記本体の下部壁に設けられた、当該本体の真下方向に
   開口する吹出口と、 この吹出口と前記横流ファンの吹出側との間に渡り設け
   られた、前記本体の前側にファンケ−シングを有し、こ
   のファンケ−シングと対面する側に舌部を有した、前記
   横流ファンからの吹出流を前記吹出口へ導く吹出路とを
   具備し、 かつ前記横流ファンの回転方向を前記ファンケ−シング
   から舌部、前記本体の後面側を経て前記室内側熱交換器
   へ向う方向としたことを特徴とする壁掛け式の室内ユニ
   ット。
2. 【請求項２】 前記横流ファンの吸込み側には、吸込み
   空気を案内する静翼が設けられていることを特徴とする
   請求項１に記載の壁掛け式の室内ユニット。