JPH0868499A - ガスのバックアップ供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人工空気等を病院に供給する際、異常が発生
しても予備のバックアップガスを、無瞬断で供給して病
人等の生命に危険のない高信頼性を保証する。 【構成】 人工空気等のメインガス供給装置１から導出
のメインガス供給配管２に、そのアウトレット２ａに向
け順次電磁式等の自動遮断弁３と、バックアップガス供
給源４から導出のバックアップガス供給配管５が連通す
る連結部６を設ける。バックアップガスＢＧのガス圧を
メインガスＭＧのそれより低圧に設定して、正常時はメ
インガスＭＧが優先的にメインガス供給配管２から病院
等へ供給され、メインガス供給装置１からの異常入力信
号Ｓによる電気制御系７の出力Ｐで自動遮断弁３が閉止
されることによるメインガスＭＧの降圧により、バック
アップガスＢＧが無瞬断で連結部６よりメインガス供給
配管２を介し需要側へ切り替え供給される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は酸素と窒素とを混合して
得られる人工空気などの医療ガスその他のガスにつき、
これを病院その他の需要側へ供与するに当り、当該ガス
供給装置に、人工空気の酸素濃度異常、ガス供給圧の低
下、制御系やガス混合器の故障、そして電源停止などの
異常事態が発生した際、正常ガスの供給が断たれてしま
うことなく、別途設置されているバックアップガス源か
ら、無瞬断状態にてバックアップガスを供給可能とし、
これにより需要側における病人等の安全を保証しようと
する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】特に医療ガスなどにあっては、瞬時たり
とも当該ガスの供給が停止されてはならないことから、
ガス切れなどの事故を防止するため、バックアップ用の
ガス源が備えられ、これより適時バックアップガスが、
上記医療ガス等のメインガスに替えて、需要側へ供給さ
れるように配慮されている。

【０００３】しかし、旧来におけるガスのバックアップ
供給装置では、前記の通り人工空気等のメインガス供給
装置から導出されるメインガス供給配管に、手動式切替
弁を介設しておき、当該メインガス供給装置に異常が生
じたことを知得したならば、監視者が手動によって上記
の手動式切替弁を操作し、これにより需要側へバックア
ップガス源からのバックアップガスを供給するようにし
ていた。

【０００４】ところが、上記の旧来装置によるときは、
人手による操作に、切替弁の作動が委ねられているの
で、ヒューマンエラーによる誤操作等が生じ易いだけで
なく、異常事態が発生した場合、無瞬断の切替えが実際
上不可能となって、タイムラグを生ずることとなるか
ら、ガスの種類と用途によっては、使用できないことと
なる。

【０００５】そこで、手動式でなく図３に示す如く自動
式切替弁ａを採択したガスのバックアップ供給装置も既
に知られており、その構成はメインガス供給装置ｂのメ
インガス供給ラインｃにあって、そのアウトレットｄ側
に、上記の自動式切替弁ａを介設すると共に、当該自動
切替弁ａに、バックアップガス源ｅのバックアップガス
供給配管ｆを連結するようにしている。さらに、上記メ
インガス供給装置ｂには、ガスの供給圧などを検知する
ための図示しないセンサが設けられ、当該センサにて異
常の発生が検知されると、リレー等による電気制御系ｇ
に異常信号が入力されるようにしてあり、これにより当
該電気制御系ｇから発する出力により、電磁弁などによ
る自動式切替弁ａが作動して、メインガスＭＧの供給が
遮断されると同時に、バックアップガス源からのバック
アップガスＢＧが、バックアップガス供給配管ｆと自動
式切替弁ａとを介してアウトレットｄから、図示しない
需要側へと供給されることになる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記の自動式切替弁ａ
を用いるガスのバックアップ供給装置によるときは、確
かに、人為的なミスによる事故はなくなり、かつ、正常
ガスの供給が跡絶えることのない無瞬断切替えも可能と
なるのであるが、自動式切替弁ａは電気制御系ｇからの
出力によって、メインガスＭＧの流通を遮断すると同時
に、バックアップガスＢＧの流通を許容する複雑な機械
的作動を不可欠としている。

【０００７】ところが、上記の如き異常事態の発生は、
もちろん、その頻度が低いものであり、従って、自動式
切替弁の上記の如き機械的作動が、実際に稼動するのは
極めて稀であり、このため、異常発生時に正常な作動が
なされるかどうかについて、高い信頼性を保証し難いこ
とになり、従って、酸素濃度の低下した人工空気が、そ
の儘供給されてしまう虞れを絶滅しなければならないと
いった要求に対しては、充分な満足を与えることが困難
となる。

【０００８】本発明は、上記ガスのバックアップ供給装
置がもつ難点に鑑み、請求項１では自動式切替弁によっ
てメインガスとバックアップガスの切替えを行うのでは
なしに、メインガス供給装置に前記の如く異常事態が発
生したことで、メインガス供給配管の流通を電気制御系
からの出力による電磁式、空圧式、油圧式等の自動遮断
弁の作動で閉止するようになし、かつ、バックアップガ
ス供給配管は、単にアウトレット側のメインガス供給配
管に連通状態にて連結するだけとするのである。ただ
し、この際バックアップガス圧力をメインガス圧力より
も低く設定しておくことで、上記メインガスの遮断によ
るメインガス圧力の低下により、バックアップガスの自
圧によって、無瞬断でバックアップガスの供給が始動す
るようにし、これにより、自動式切替弁を用いる従来装
置では充足し得なかった信頼性を向上して、人命にかか
わるガスの供給にも、高い安全性をもって使用できるよ
うにするのが、その目的である。

【０００９】さらに、請求項２にあっては、上記請求項
１の構成に加えて、メインガス供給配管とバックアップ
ガス供給配管とに夫々逆止弁を介設することにより、当
該両配管の間におけるバックアップガスとメインガスの
混入を完全に阻止し、メインガスの供給からバックアッ
プガスへの供給を、より円滑に切り替え得るようにして
いる。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、請求項１にあっては、メインガス供給装置
より導出されるメインガス供給配管には、上記メインガ
ス供給装置の異常発生による異常入力信号により電気制
御系から発する出力を受けることにより、当該メインガ
ス供給を閉止する自動遮断弁が設けられると共に、当該
メインガス供給配管のアウトレット側には、バックアッ
プガス供給源から導出されたバックアップガス供給配管
を連結部にて連通状態となし、かつ、上記バックアップ
ガス供給配管内のバックアップガス圧力が、前記メイン
ガス供給配管内のメインガス圧力よりも低く設定されて
いることを特徴とするガスのバックアップ供給装置を提
供しようとするものである。

【００１１】請求項２の場合には、上記請求項１の構成
にあって、メインガス供給配管には、その自動遮断弁に
次いで、メインガス側逆止弁を介設し、このメインガス
側逆止弁のアウトレット側に連結されているバックアッ
プガス供給配管には、バックアップガス側逆止弁を介設
するようにしたことを、その内容としている。

【００１２】

【作用】請求項１に係るガスのバックアップ供給装置に
よるときは、人工空気等のメインガス供給配管にあっ
て、これに付設されている各種のセンサにより、特定箇
所における圧力異常低下とか、酸素と窒素との混合器
（ブレンダ）に故障が生じた等の異常が検知されると、
リレー等による電気制御系に異常入力信号が入力され、
これにより当該電気制御系から出力により、電磁式、空
圧式、油圧式といった自動遮断弁が作動することにな
る。

【００１３】従って、上記自動遮断弁の作動により、メ
インガス供給配管を閉止することとなり、それまでアウ
トレットから需要側に供給されていたときのメインガス
供給配管内におけるメインガス圧力が低下する。ここ
で、本発明ではメインガス供給時における上記メインガ
ス圧力よりも、少しだけバックアップガス供給配管内の
バックアップガス圧力が低くなるように差圧が設定され
ているので、正常稼動時には、バックアップガスがメイ
ンガス供給配管内に流入されないが、上記のようにメイ
ンガスの流通が閉止されることによるメインガス圧力の
低下により、バックアップガス圧力の方がメインガス圧
力よりも大きくなることで、当該バックアップガスは、
メインガス供給配管内に流入して、バックアップガスが
タイムラグによる瞬断状態となることなく、需要側へ供
給される。

【００１４】請求項２によるときは、上記請求項１の構
成に、メインガス側逆止弁とバックアップガス側逆止弁
とを付設することで、メインガス供給配管からのメイン
ガスが、バックアップガス供給配管側へ混入することを
阻止すると共に、バックアップガス供給源からメインガ
ス供給配管に流入したバックアップガスがメインガス供
給配管側へ混入することも防止できることになり、これ
によって、より確実なメインガスの供給からバックアッ
プガス供給への切り替えを保証することができる。

【００１５】

【実施例】本発明につき以下図１および図２に示す実施
例によって、これを詳記すると、１が人工空気などの医
療ガス等を病院などの需要側へ供与するためのメインガ
ス供給装置で、これより導出されているメインガス供給
配管２には、電磁式、空圧式、油圧式等による自動遮断
弁３が介設されていると共に、この自動遮断弁３と、メ
インガス供給配管２におけるアウトレット２ａとの間に
あって、当該メインガス供給装置２には、バックアップ
ガス供給源４から導出されたバックアップガス供給配管
５が、連結部６にあって連通状態となっている。

【００１６】上記メインガス供給装置１にあっては、既
知の如く当該装置の異常を検知するため、図示しない圧
力センサとか、人工空気中のＯ₂ を検知する酸素センサ
といったセンサが組み込まれており、当該センサにより
異常事態が検知されることで生ずる異常入力信号Ｓが、
別途設けられたリレー等による電気制御系７に入力され
る。このことにより、当該電気制御系７からの出力Ｐ
が、図１（Ａ）にあっては、前記の電磁式である自動遮
断弁３を作動する結果、メインガス供給装置２を流過し
て、そのアウトレット２ａから、病院等の需要側に供給
されていたメインガスＭＧが遮断状態となるよう構成さ
れている。

【００１７】本発明にあって重要なことは、上記メイン
ガス供給配管２におけるメインガス圧力ＭＧＰが、例え
ば４ｋｇ／ｃｍ² Ｇに設定されたとすれば、バックアッ
プガス供給源４からバックアップガスＢＧがメインガス
供給配管２に送られてくるバックアップガス圧力ＢＧＰ
は、３．５ｋｇ／ｃｍ² Ｇとするといったように、予め
ＭＧＰ＞ＢＧＰとなるように差圧を設定しておくことで
ある。

【００１８】従って、本発明によるときは、メインガス
供給装置１に異常がなく、正常運転を続けているとき
は、自動遮断弁３は開通しているから、メインガスＭＧ
はメインガス供給配管２を流過して、そのアウトレット
２ａから需要側に供給される。この際、バックアップガ
ス供給配管５からのバックアップガスＢＧは、メインガ
ス供給配管２のメインガスＭＧよりも、そのガス圧が低
いので、この差圧によりバックアップガスＢＧがメイン
ガス供給配管２内へ流入することなく、ガス圧の高いメ
インガスＭＧが優先的に需要側へ流出されて行くことに
なる。

【００１９】ところが、前記の通りメインガス供給装置
１の図示しないセンサが異常入力信号Ｓを電気制御系７
に入力すると、その出力により自動遮断弁３が閉成する
から、それ以降におけるメインガス供給配管２のメイン
ガスＭＧは、その流通が閉止される。これにより、バッ
クアップガス圧力ＢＧＰがメインガス圧力ＭＧＰより大
きくなり、連結部６は単なる連通箇所であることから、
無瞬断にて、バックアップガスＢＧがメインガス供給配
管２へと流れるのである。

【００２０】ここで、図１（Ｂ）の実施例では自動遮断
弁３に電磁式のものを用いることなく、空圧式とか油圧
式を採択するようにし、別途電磁式遮断弁３ａを、図示
しない空気または油の供給源に連結の空圧または油圧用
の作動配管３ｂに介設し、この作動配管３ｂの端管部
を、上記の自動遮断弁３に連結するよう構成している。

【００２１】従って、当該実施例によるときは、電気制
御系７に異常入力信号Ｓが入力されることで、電磁式遮
断弁３ａが開通状態となり、このことにより空圧または
油圧が、作動配管３ｂを介して自動遮断弁３に作用し、
これによって当該自動遮断弁３が閉止されることとな
る。このようにして空圧式または油圧式の自動遮断弁３
を用いるようにしたときは、電磁式の自動遮断弁３を採
択した際、その開閉作動時に生じ得る引火の問題を解消
することができる。

【００２２】次に、請求項２にあっては、上記の自動遮
断弁３と連結部６との間にあって、メインガス供給配管
２にメインガス側逆止弁８ａを、そして、バックアップ
ガス供給配管５にはバックアップガス側逆止弁８ｂが夫
々介設されている。従って、この場合には、メインガス
ＭＧがメインガス供給配管２により需要側に供給されて
いる際、当該メインガスＭＧがバックアップガスＢＧ側
へ混入することを阻止すると共に、バックアップガスＢ
Ｇが、メインガスＭＧ側へ混入して来ることも阻止され
ることとなり、異常事態の発生時におけるバックアップ
ガスＢＧの無瞬断な供給につき、その信頼性を、さらに
向上することができる。

【００２３】

【発明の効果】本発明は以上のようにして構成されるも
のであるから、請求項１によるときは、自動式切替弁に
よってメインガスとバックアップガスを切り替えるよう
にした従来装置のように、長期不使用により作動しなく
なる虞れのある切替弁を使用することなしに、閉止だけ
を行う自動遮断弁により、メインガスの供給が異常発生
により遮断されるようにしたので、不使用が継続して
も、その作動につき高い信頼性の得られるものが採択で
きることとなる。

【００２４】しかも、当該発明によるときは、もちろん
メインガスを遮断すること以外に、全く機構的な作動部
材を用いずメインガス側とバックアップガス側との連結
部を、単なる連通構成とし、かつメインガス圧力よりも
バックアップガス圧力を低くして、両着間に差圧を設定
するようにしたから、メインガス供給装置の正常運転時
はメインガスが優先的に需要者側へ供給され異常発生に
よる自動遮断弁の作動によるメインガス圧力の低下によ
り、人手を要しないことはもちろん、メインガスとバッ
クアップガスの供給切り替えが、無瞬断にしてタイムラ
グなく、しかも誤操作の生ずる余地なく、かつ、誤作動
についても高い信頼性をもって安全確実なバックアップ
ガスの供給を保証し得ることになる。

【００２５】請求項２にあっては、請求項１の構成にメ
インガス側逆止弁とバックアップ逆止弁を付設したの
で、メインガスとバックアップガスの不本意な相互間に
おける混入現象が阻止され、これにより、さらに高い信
頼性を与えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）、（Ｂ）は本発明に係るガスのバックア
ップ供給装置につき、その請求項１に係る異種実施例を
示した配管系と電気系の各全体構成図である。

【図２】同上装置につき、その請求項２に係る一実施例
を示した配管系と電気系の全体構成図である。

【図３】従来におけるガスのバックアップ供給装置につ
き、その一例を示した配管系と電気系の全体構成図であ
る。

【符号の説明】

１ メインガス供給装置 ２ メインガス供給配管 ３ 自動遮断弁 ４ バックアップガス供給源 ５ バックアップガス供給配管 ６ 連結部 ７ 電気制御系 ８ａ メインガス側逆止弁 ８ｂ バックアップガス側逆止弁 ＢＧ バックアップガス ＭＧ メインガス Ｓ 異常入力信号

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メインガス供給装置より導出されるメイ
   ンガス供給配管には、上記メインガス供給装置の異常発
   生による異常入力信号により電気制御系から発する出力
   を受けることにより、当該メインガス供給を閉止する自
   動遮断弁が設けられると共に、当該メインガス供給配管
   のアウトレット側には、バックアップガス供給源から導
   出されたバックアップガス供給配管を連結部にて連通状
   態となし、かつ、上記バックアップガス供給配管内のバ
   ックアップガス圧力が、前記メインガス供給配管内のメ
   インガス圧力よりも低く設定されていることを特徴とす
   るガスのバックアップ供給装置。
2. 【請求項２】 メインガス供給装置より導出されるメイ
   ンガス供給配管には、上記メインガス供給装置の異常発
   生による異常入力信号により電気制御系から発する出力
   を受けることにより、当該メインガス供給を閉止する自
   動遮断弁を設けると共に、当該メインガス供給配管のア
   ウトレット側には、メインガス側逆止弁を介して、バッ
   クアップガス供給源から導出されたバックアップガス側
   逆止弁付きのバックアップガス供給配管が、連結部にあ
   って連結状態であり、かつ、上記バックアップガス供給
   配管内のバックアップガス圧力が、前記メインガス供給
   配管内のメインガス圧力よりも低く設定されていること
   を特徴とするガスのバックアップ供給装置。