JPH0868461A - 変速装置 - Google Patents

変速装置

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JPH0868461A
JPH0868461A JP6202509A JP20250994A JPH0868461A JP H0868461 A JPH0868461 A JP H0868461A JP 6202509 A JP6202509 A JP 6202509A JP 20250994 A JP20250994 A JP 20250994A JP H0868461 A JPH0868461 A JP H0868461A
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Yosuke Ishida
洋介 石田
Koichi Hashimoto
浩一 橋本
Yoshihiro Sakamoto
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁駆動でありながら電力消費が少なく、電
池電源の機器に好適に使用することができる。 【構成】 変速機構部と、この変速機構部に変速を行わ
せる切換部材70と、切換部材を駆動する電磁駆動部材
とを備えた変速装置において、電磁駆動部材をキープソ
レノイド7で形成する。キープソレノイドは無励磁でそ
の状態を保持することから、変速を行う際にのみ駆動部
材に通電すればよく、電力消費が極めて少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は変速装置、殊に電磁力に
よって変速動作を行う変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】変速装置には各種構造のものがあるが、
一般的には入力軸から出力軸に至るまでのギアの組み合
わせの変更によって減速比が異なる出力を取り出すこと
ができるようにしたものが用いられており、特に電動ド
リルドライバーのような電動工具においては、入力軸と
出力軸とを同心に配置することができるとともに得られ
る減速比に比してコンパクトにまとめることができる遊
星機構を用いた変速装置が多用されている。
【0003】このような変速装置においては、上述のよ
うにギアの組み合わせを変更することで変速を行うわけ
であり、このために組み合わせの変更を行うための切換
部材と、この切換部材を駆動するための駆動部材とが必
要となっているわけであるが、特開平4−262151
号公報に示されているように、駆動部材として電磁アク
チュエーターであるソレノイドを用いた場合、電気的な
変速制御が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来から変速
装置に用いられていたソレノイドは、励磁吸引力にてば
ね付勢に抗して吸引したプランジャーを、励磁吸引力で
保持するものであったことから、励磁吸引によって所定
減速比に切り換えた後、この減速比を保つには、ソレノ
イドに通電し続けなければならず、このために電池を電
源とする機器に採用するには電池消耗の点で問題があっ
た。
【0005】本発明はこのような点に鑑み為されたもの
であり、その目的とするところは電磁駆動でありながら
電力消費が少なく、電池電源の機器に好適に使用するこ
とができる変速装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】しかして本発明は、変速
機構部と、この変速機構部に変速を行わせる切換部材
と、切換部材を駆動する電磁駆動部材とを備えるとも
に、電磁駆動部材がキープソレノイドで形成されている
ことに特徴を有している。
【0007】
【作用】本発明によれば、キープソレノイドで形成され
た電磁駆動部材は無励磁でその状態を保持することか
ら、変速を行う際にのみ電磁駆動部材に通電すればよ
く、電力消費が極めて少なくなる。この時のキープソレ
ノイドとしては、プランジャーの吸引状態を内蔵永久磁
石で保持するとともにプランジャーの突出状態がばねで
保持されるタイプのものを好適に使用することができる
が、プランジャーの永久磁石による保持をストロークの
両端において行うことができるタイプのものであっても
よい。
【0008】電磁駆動部材の作動方向と、切換部材の作
動方向とを異ならせる場合、部材配置の自由度が高くな
る。また電磁駆動部材と切換部材とをストローク増幅用
部材を介して連結した時には、切換部材に必要なストロ
ークよりも電磁駆動部材の動作ストロークを小さくする
ことができるために、電磁駆動部材としてより小型のも
のを採用することができる。
【0009】変速機構部としては、どのような形式のも
のであってもよいが、サンギアとこれに噛み合う遊星ギ
ア及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み合っているリン
グギアからなる遊星機構が軸方向に複数個設けられて、
各遊星機構におけるリングギアのなかの一つの回転の阻
止と他の回転を自在とすることで出力を取り出すととも
に回転を阻止するリングギアの選択にて減速比の切り換
えを行うものとして形成されたものを用いる時には、電
磁駆動部材で駆動される切換部材として、リングギアと
係合自在であり係合時にそのリングギアの回転を阻止す
るものを用いればよい。
【0010】また変速機構部として、サンギアとこれに
噛み合う遊星ギア及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み
合っているリングギアからなる遊星機構が軸方向に複数
個設けられて、各遊星機構におけるリングギアのなかの
一つの回転の阻止と他の回転を自在とすることで出力を
取り出すとともに回転を阻止するリングギアの選択にて
減速比の切り換えを行うものとして形成され、少なくと
も一つのリングギアが一方向にのみ回転自在とするワン
ウェイクラッチを介して支持されてこのリングギアの回
転阻止がワンウェイクラッチによって行われているもの
を用いる時には、電磁駆動部材で駆動される切換部材と
して、他のリングギアと係合自在であり係合時にそのリ
ングギアの回転を阻止するものを用いればよい。
【0011】変速状態を報知する報知手段を備えたもの
とすることも好ましい。
【0012】
【実施例】以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述す
ると、図1及び図2において、モータ6の出力軸である
入力軸60には、一体物として形成された歯数の異なる
二つのサンギア11,12が固着されており、軸方向に
並ぶこれらサンギア11,12には夫々遊星ギア21,
22が噛み合っている。両遊星ギア21,22は互いに
歯数が異なるとともに、出力軸5を一体に備えたキャリ
ア4に対し、遊星ギア21は軸41で、遊星ギア22は
軸42で支持されており、両遊星ギア21,22は、同
軸に並ぶ入力軸60及び出力軸5の回りに回転方向にお
いてずれた状態で個々に自転を行なうものの、同じ公転
を行なうものとなっている。そして上記入力軸60と同
心に配されているとともに軸方向に並ぶ二つのリングギ
ア31,32のうち、リングギア31が遊星ギア21と
噛み合っており、リングギア32が遊星ギア22と噛み
合っている。両リングギア31,32は図1及び図3に
示すように、各々の外周面に多数個の係合突起35,3
6が周方向に等間隔で形成されている。なお、図では遊
星ギア21,22が各1個となっているが、実際には夫
々複数個が等間隔で配されている。
【0013】この遊星機構を用いた変速装置では、共に
遊転自在となっている二つのリングギア31,32のい
ずれか一方を固定した状態から他方を固定した状態に変
更することで変速を行う。図中70は、リングギア3
1,32を選択的に固定する切換部材であり、遊星機構
の軸方向にスライド自在となっている切換部材70は、
そのスライド動作により、リングギア31外周面の係合
突起35に係合してリングギア31の回転を止める状態
と、リングギア32外周面の係合突起36に係合してリ
ングギア32の回転を止める状態とを切り換える。
【0014】リングギア31の回転を止めた時には、サ
ンギア11と遊星ギア21、リングギア31、そしてキ
ャリア4を介して出力軸5に減速出力を取り出すことが
でき、この時にはリングギア32は空転を行う。リング
ギア32の回転を止めた時にはサンギア12と遊星ギア
22とリングギア32とキャリア4を介して出力軸5に
減速出力を取り出すことができて、この時にはリングギ
ア31は空転を行う。図示例ではサンギア12の歯数が
サンギア11の歯数より少なく且つ遊星ギア22の歯数
が遊星ギア21の歯数より多くなっていることから、前
者が高速回転低トルク出力を、後者が低速回転高トルク
出力を得られる状態となる。
【0015】ここにおいて、そのスライド動作により変
速を行う切換部材70は、キープソレノイド7によって
駆動されてスライドするものとなっている。このキープ
ソレノイド7は、吸引状態にあるプランジャー74を永
久磁石77によって保持することができるとともに、逆
極性で励磁した時には永久磁石77の磁力をほぼ打ち消
すことができるタイプのもので、プランジャー74の先
端に上記切換部材70が取り付けられている。また、切
換部材70には引っ張りコイルばね型のばね75が初期
ばね力aが設定された状態で連結されており、プランジ
ャー74が距離xだけ吸引されて永久磁石77の磁力で
吸着されている時、上記の逆極性で励磁すると、ばね力
a+kx(k:ばね定数)によって引き出されるように
なっている。
【0016】しかして、プランジャー74が吸引されて
いるとともに永久磁石77によるところの無励磁吸着力
fm(fm>ばね力a+kx)によってこの状態が保持
されている時、切換部材70がリングギア31を固定し
ているために、高速回転出力の状態となっている。この
時、キープソレノイド7に逆極性電流を瞬間的に流せ
ば、逆励磁で永久磁石70の磁力が打ち消されてばね力
a+kxによってプランジャー74が引き出されるため
に、切換部材70はリングギア32の回転を止める位置
までスライドして以降の出力を低速回転とする。この位
置では永久磁石70のプランジャー74に対する磁力は
ほぼ零となるために、ばね力aによってこの状態が保持
される。そして、低速回転出力となっている状態で、キ
ープソレノイド7を瞬間的に励磁すれば、ばね力aに勝
る励磁吸引力fcがプランジャー74を吸引して、切換
部材70をリングギア31に係合する状態とし、以降は
励磁しておかなくとも永久磁石77によるところの無励
磁吸着力fmによってこの状態が保持される。
【0017】切り換えが完了すれば、永久磁石77によ
るところの無励磁吸着力fm又はばね力a+kxによっ
てその状態が保持されることから、切り換えを行う時点
でキープソレノイド7に切り換え方向に応じた極性の電
流を瞬間的に流すだけでよく、プランジャー74の吸引
状態の保持に電流を流し続けなくてはならない通常のソ
レノイドを用いる場合に比して、消費電流がきわめて少
なくてすむものである。キープソレノイド7は上記タイ
プのものに限るものではなく、他のタイプのものであっ
てもよい。図5に示すように、キープソレノイド7と引
っ張りコイルばね型のばね75との作用方向が逆となっ
ているものでもよい。この場合も同じ動作を得ることが
できる。
【0018】いずれにしても、キープソレノイド7を用
いた場合、その変速、つまりキープソレノイド7への瞬
間的通電は、手動操作されるスイッチによって行うほ
か、負荷変動による出力トルクや出力回転数の変化を電
気的に検出する検出回路の出力で行ったり、リングギア
31にかかる負荷反力に応動するスイッチで行ったりす
ることができ、また自動変速と手動変速とを切り換えら
れるようにすることも容易に行うことができる。
【0019】図7及び図8は、変速機構部として異なる
タイプのものを用いた場合を示しており、ここでは入力
軸60と同心に配されているリングギア31に遊星ギア
21がかみ合っており、同じく入力軸60と同心に配さ
れている2つのリングギア32a,32bが遊星ギア2
2とかみ合っている。軸方向に並ぶこれら3つのリング
ギア31,32a,32bのうち、リングギア31はそ
の外周面に複数個の係合突起35が周方向において等間
隔に形成されたもので、ギアケース1に対して遊転自在
とされている。またリングギア32a,32bは、いず
れも外レース330と内レース331及びこの両者の間
の楔状空間に配されたボール332からなるフリーホイ
ール型のワンウェイクラッチ33a,33bの内レース
331として形成されたもので、軸方向に並ぶ両ワンウ
ェイクラッチ33a,33bの各外レース330はやは
りギアケース1に対して遊転自在とされており、更に両
ワンウェイクラッチ33a,33bでは、外レース33
0に対する内レース331(リングギア32a,32
b)の回転可能方向が逆とされている。なお、ここでは
フリーホイール型のワンウェイクラッチ33a,33b
を示したが、この形式のものに限るものではない。
【0020】上記リングギア31及び両ワンウェイクラ
ッチ33a,33bは上述のようにギアケース1に対し
て遊転自在とされているが、リングギア31については
切換部材70によってその回転を止めることができ、二
つのワンウェイクラッチ33a,33bについては回転
方向切換部材76によって選択的に回転を止めることが
できるようになっている。
【0021】すなわち、ギアケース1にスライド自在に
保持されている切換部材70は、リングギア31外周面
の上記係合突起35と係合することでリングギア31の
回転を阻止するものであるとともに、そのスライドで係
合突起35との係合が解除された時、リングギア31の
回転を許すもので、前記実施例の場合と同じく、キープ
ソレノイド7と引っ張りコイルばね型のばね75とによ
って上記2位置を切り換える。
【0022】一方、二つのワンウェイクラッチ33a,
33bの回転を選択的に止める回転方向切換部材76
は、ギアケース1にスライド自在に保持されるととも
に、外レース330に係合することでその外レース33
0の回転を止めるもので、スライド移動に伴って係合す
る外レース330を両ワンウェイクラッチ33a,33
bの間で切り換える。なお、回転方向切換部材76を操
作した時には、モータの回転方向を切り換えるスイッチ
(図示せず)も駆動される。
【0023】しかしてこの遊星変速装置においては、切
換部材70がリングギア31の回転を阻止している位置
にあり、且つ回転方向切換部材76によって両ワンウェ
イクラッチ33a,33bのうち、ワンウェイクラッチ
33aの回転を止めている状態の時にモータを正転させ
れば、その回転出力は、回転が阻止されているリングギ
ア31と噛み合った遊星ギア21を通じてキャリア4に
伝達され、キャリア4から出力軸5に伝達される。この
時、リングギア32a,32bは出力軸5と逆方向に空
転するが、この空転は、リングギア32aについてはワ
ンウェイクラッチ33aにおける回転可能方向となって
おり、リングギア32bについてはワンウェイクラッチ
33bの回転不能方向であるもののワンウェイクラッチ
33bそのものが遊転自在な状態にあることから、ワン
ウェイクラッチ33bと共に空転している。
【0024】この状態でキープソレノイド7を逆励磁す
ることで、切換部材70をばね75のばね力によって係
合突起35との係合位置から外して図8に示すようにリ
ングギア31をフリーとすれば、負荷につながったキャ
リア4の停止でサンギア11,12に噛み合う遊星ギア
21,22の自転でリングギア31、32a,32bを
回転させようとするが、この時のリングギア32a,3
2bの回転方向は、上記空転時とは逆方向になることか
ら、ワンウェイクラッチ33aによってリングギア32
aの回転が止められるために、この時点からリングギア
32aと噛み合った遊星ギア22を通じてキャリア4に
動力が伝達される。サンギア12の歯数がサンギア11
の歯数より少なく且つ遊星ギア22の歯数が遊星ギア2
1の歯数より多くなっていることから、高速回転低トル
ク状態から低速回転高トルク状態に切り換えられたこと
になる。低速回転状態からキープソレノイド7を瞬間的
に励磁することで、切換部材70を図7に示すようにリ
ングギア31に係合させれば、再度高速回転低トルクの
出力が得られる状態となる。
【0025】回転方向切換部材76を操作して、ワンウ
ェイクラッチ33bの遊転を阻止するとともにモータの
回転方向を逆にした時には、回転が止められているリン
グギア31に噛み合う遊星ギア21を通じてキャリア4
に動力が伝達され、この時、リングギア32bはワンウ
ェイクラッチ33bにおける回転可能方向に空転し、リ
ングギア32aはワンウェイクラッチ33aと共に空転
している。
【0026】この状態でキープソレノイド7を逆励磁す
ることで、切換部材70をばね75のばね力によって係
合突起35との係合位置から外してリングギア31をフ
リーとすれば、ワンウェイクラッチ33bによって回転
が阻止されているリングギア32bとこれに噛み合う遊
星ギア22を通じてキャリア4に動力が伝達され、キー
プソレノイド7を瞬間的に励磁することで、切換部材7
0をリングギア31に係合させれば、再度高速回転低ト
ルクの逆回転出力が得られる状態となる。
【0027】この場合、高速回転出力から低速回転出力
に切り換える時、ワンウェイクラッチ33a,33bを
利用してリングギア32aまたはリングギア32bの回
転を止めるために、リングギア31の係止突起35から
切換部材70が離れるだけで、リングギア32a,32
bの回転阻止のために衝突が生じる部材が存在しておら
ず、従って動作中の変速であるにもかかわらず、スムー
ズで且つ騒音の無い変速がなされるものである。低速回
転出力から高速回転出力への切り換え、つまりフリーな
状態にあるリングギア31に切換部材70を係合させて
リングギア31の回転を止めることは、電動工具におい
ては通常モータがオフの時になされるわけであるから、
リングギア31と切換部材70との衝突が問題となるこ
とはない。
【0028】遊星ギア22に二つのリングギア32a,
32bを噛み合わせているのは、電動ドリルドライバー
としての利用を考えた場合を想定して、正転時と逆転時
とで同じ動作を行わせるためであり、このために、モー
タを一方向にしか回転させないのであれば、ワンウェイ
クラッチ33a,33b及びリングギア32a,32b
の各一方は不要である。
【0029】図9及び図10は、変速機構部として更に
他の構成を用いたものを示しており、ここではサンギア
11と噛み合う遊星ギア21を支持するキャリア4aに
サンギア12を一体に設け、このサンギア12と噛み合
う遊星ギア22をキャリア4bで支持しているととも
に、遊星ギア21に噛み合うリングギア31はギアケー
ス1に固定し、遊転自在となっているリングギア32は
これを軸方向に動かすことによって、図9に示すように
キャリア4bに係合してキャリア4bと一体に回転する
状態と、図10に示すようにリングギア31と一体にな
ってその回転が止められる状態とを切り換えることがで
きるようにしてある。前者の時にはサンギア12とキャ
リア4bとが直結されて2段目の遊星機構がキャンセル
されるために高速回転を得ることができる状態となり、
後者の時には2段目の遊星機構も減速を行うことになっ
て低速回転出力を得ることができる状態となる。
【0030】キャリア4bはサンギア13を一体に備え
ており、このサンギア13の回転はサンギア13とリン
グギア45とに噛み合う遊星ギア44を支持しているキ
ャリア46に伝達され、更にキャリア46の回転はオー
トロック機構55を通じて出力軸5に伝達される。ここ
におけるオートロック機構55は、モータの回転を止め
た時に出力軸5をギアケース1に対して自動的にロック
してしまい、モータを回転させればこのロックを自動的
に解除する機能をもつものであるが、この点については
説明を省略する。また、上記リングギア45も遊転自在
として、このリングギア45にクラッチばね47のばね
圧力でボール48を係合させることで、負荷トルクが所
定値以上になった時に出力軸5とサンギア13とを切り
離してしまうトルクリミッターを構成しているのである
が、この点についても説明を省略する。
【0031】そして、この変速機構部では、切換部材7
0をリングギア32に係合させることで、キープソレノ
イド7とばね75とによってリングギア32を軸方向に
移動させて上記2状態を切り換えることができるように
しており、図9に示す状態はばね75のばね力によって
保持され、図10に示す状態はキープソレノイド7が内
蔵する永久磁石の無励磁吸着力によって保持される。
【0032】以上の各実施例においては、変速機構部と
して、遊星機構を利用したものを示したが、通常の平歯
車を用いたものであってもよい。また、変速機構部の外
周にキープソレノイド7を配したものを示したが、図1
1に示すように、キープソレノイド7と切換部材70と
の間をベルクランク80やリンク81を利用した多関節
リンク機構や往復スライダーリンク機構、ラックアンド
ピニオン、ウォーム歯車等を用いて連結すれば、キープ
ソレノイド7の配置の自由度が高くなる。
【0033】また、図11や図12に示すように、ベル
クランク80やリンク81を用いる際にキープソレノイ
ド7のストロークが増幅されて切換部材70に伝えられ
るように支点84の位置を設定した時には、変速切り換
えに必要な切換部材70のストロークSaよりも、キー
プソレノイド7のストロークSsを小さくすることがで
きるとともに、図13から明らかなように、ソレノイド
の特性として、ストロークが小さい方が二次関数的に大
きな励磁吸引力を得ることができることになるために、
キープソレノイド7の小型化についても有利となる。
【0034】図14に示すものは、変速に伴って開閉さ
れる対の接点85,86を設けたもので、この接点8
5,86の開閉を利用して、発光素子やブザー等の報知
手段を駆動する時、変速状態を使用者に報知することが
できる。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明においては、キープ
ソレノイドで形成された電磁駆動部材は無励磁でその状
態を保持することから、変速を行う際にのみ電磁駆動部
材に通電すればよく、電力消費が極めて少なく、従っ
て、電池電源の電動工具に電磁駆動変速を適用する際の
電池の供給電力に関する問題を解消することができる。
【0036】この時のキープソレノイドとして、プラン
ジャーの吸引状態を内蔵永久磁石で保持するとともにプ
ランジャーの突出状態をばねで保持するタイプのものを
用いる時、キープソレノイドの動作特性に応じたばね特
性の選択で、キープソレノイドとして安価なものを用い
ることができるにもかかわらず、確実な変速切換を行う
ことができる。
【0037】そして、電磁駆動部材の作動方向と、切換
部材の作動方向とを異ならせる場合、部材配置の自由度
が高くなり、携帯型電動工具等の小型化が要求される機
器への組み込みが容易となる。また電磁駆動部材と切換
部材とをストローク増幅用部材を介して連結した時に
は、切換部材に必要なストロークよりも電磁駆動部材の
動作ストロークを小さくすることができるとともに、こ
の時に電磁駆動部材から得られる力は大きくなるため
に、電磁駆動部材としてより小型のものを採用すること
ができる。
【0038】変速機構部として、サンギアとこれに噛み
合う遊星ギア及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み合っ
ているリングギアからなる遊星機構が軸方向に複数個設
けられて、各遊星機構におけるリングギアのなかの一つ
の回転の阻止と他の回転を自在とすることで出力を取り
出すとともに回転を阻止するリングギアの選択にて減速
比の切り換えを行うものとして形成されたものを用いる
時には、電磁駆動部材で駆動される切換部材として、リ
ングギアと係合自在であり係合時にそのリングギアの回
転を阻止するものを用いればよく、この場合、変速機構
部をコンパクトで且つ安定した出力トルクを得られるも
のとすることができる。
【0039】また変速機構部として、サンギアとこれに
噛み合う遊星ギア及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み
合っているリングギアからなる遊星機構が軸方向に複数
個設けられて、各遊星機構におけるリングギアのなかの
一つの回転の阻止と他の回転を自在とすることで出力を
取り出すとともに回転を阻止するリングギアの選択にて
減速比の切り換えを行うものとして形成されているとと
もに、少なくとも一つのリングギアが一方向にのみ回転
自在とするワンウェイクラッチを介して支持されてこの
リングギアの回転阻止がワンウェイクラッチによって行
われているものを用いる時には、電磁駆動部材で駆動さ
れる切換部材として、他のリングギアと係合自在であり
係合時にそのリングギアの回転を阻止するものを用いれ
ばよく、この時、ワンウェイクラッチで支持されたリン
グギアについては回転阻止部材を係合させなくともワン
ウェイクラッチによって回転阻止がなされることから、
変速時に衝突を起こす部材を必要とせず、衝突に起因す
る騒音や寿命についての問題を招くことがないものとす
ることができる。
【0040】変速状態を報知する報知手段を備えたもの
とすると、変速状態を使用者に知らせることができて、
作業に適していない変速状態で作業を行うミスを少なく
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例を示す概略断面図である。
【図2】同上の変速機構部の概略斜視図である。
【図3】同上のリングギアと切換部材との係合部を示す
斜視図である。
【図4】同上の動作説明図である。
【図5】他の実施例を示す概略断面図である。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】変速機構部の他例を示す縦断面図である。
【図8】同上の変速後の状態を示す縦断面図である。
【図9】変速機構部の別の例を示す縦断面図である。
【図10】同上の変速後の状態を示す縦断面図である。
【図11】別の実施例を示す概略断面図である。
【図12】更に別の実施例を示す概略図断面図である。
【図13】ソレノイドのストローク−励磁吸引力特性図
である。
【図14】報知手段駆動用接点を設けた場合の一例を示
す概略断面図である。
【符号の説明】
7 キープソレノイド 70 切換部材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速機構部と、この変速機構部に変速を
    行わせる切換部材と、切換部材を駆動する電磁駆動部材
    とを備えるともに、電磁駆動部材がキープソレノイドで
    形成されていることを特徴とする変速装置。
  2. 【請求項2】 電磁駆動部材はプランジャーの吸引状態
    を内蔵永久磁石で保持するとともにプランジャーの突出
    状態がばねで保持されるタイプのキープソレノイドであ
    ることを特徴とする請求項1記載の変速装置。
  3. 【請求項3】 電磁駆動部材の作動方向と、切換部材の
    作動方向とを異ならせていることを特徴とする請求項1
    または2記載の変速装置。
  4. 【請求項4】 電磁駆動部材と切換部材とがストローク
    増幅用部材を介して連結されていることを特徴とする請
    求項1または2記載の変速装置。
  5. 【請求項5】 変速機構部は、サンギアとこれに噛み合
    う遊星ギア及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み合って
    いるリングギアからなる遊星機構が軸方向に複数個設け
    られて、各遊星機構におけるリングギアのなかの一つの
    回転の阻止と他の回転を自在とすることで出力を取り出
    すとともに回転を阻止するリングギアの選択にて減速比
    の切り換えを行うものとして形成され、電磁駆動部材で
    駆動される切換部材はリングギアと係合自在であり係合
    時にそのリングギアの回転を阻止するものであることを
    特徴とする請求項1記載の変速装置。
  6. 【請求項6】 変速機構部は、サンギアとこれに噛み合
    う遊星ギア及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み合って
    いるリングギアからなる遊星機構が軸方向に複数個設け
    られて、各遊星機構におけるリングギアのなかの一つの
    回転の阻止と他の回転を自在とすることで出力を取り出
    すとともに回転を阻止するリングギアの選択にて減速比
    の切り換えを行うものとして形成されているとともに、
    少なくとも一つのリングギアが一方向にのみ回転自在と
    するワンウェイクラッチを介して支持されてこのリング
    ギアの回転阻止がワンウェイクラッチによって行われて
    おり、電磁駆動部材で駆動される切換部材は他のリング
    ギアと係合自在であり係合時にそのリングギアの回転を
    阻止するものであることを特徴とする請求項1記載の変
    速装置。
  7. 【請求項7】 変速状態を報知する報知手段を備えてい
    ることを特徴とする請求項1または2記載の変速装置。
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