JPH086740B2 - 二層ロールの製造方法 - Google Patents

二層ロールの製造方法

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JPH086740B2
JPH086740B2 JP14111889A JP14111889A JPH086740B2 JP H086740 B2 JPH086740 B2 JP H086740B2 JP 14111889 A JP14111889 A JP 14111889A JP 14111889 A JP14111889 A JP 14111889A JP H086740 B2 JPH086740 B2 JP H086740B2
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鴻司 森田
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抄紙機カレンダロール、印刷機等に使用さ
れる外層と内層の特性が異なる二層ロールの製造方法に
関する。
〔従来の技術〕
従来、二層ロールの製造方法としては種々のものがあ
るが、このうち、抄紙機カレンダロールで実用化されて
いる方法としては次の2つの方法がある。
第1の方法は第4図に示す二層遠心鋳造法による方法
であり、第2の方法は第5図に示す金型静置鋳造法であ
る。
また、他の一般的二層ロールの製造方法としては、焼
バメによる方法、冷しバメによる方法がある。さらに、
小形ロールでは、外筒を圧延する方法等もある。
第4図に示す従来の二層遠心鋳造法による方法は、大
形ロールの製造に用いられている方法であり、回転用モ
ータ8によって駆動される回転ローラ5によって砂型12
を収容したコアケース13を回転させ、まず、外層に要求
される特性を有する材質の溶湯1′を鋳込み、引き続い
て内層に要求される特性を有する材質の溶湯2′を鋳込
んで、二層ロールを製造する。
第5図に示す従来の金型静置鋳造法による方法は、鋳
込み後の冷却速度の大小によってそれぞれ外筒及び内筒
に要求される材料特性に変化するような材質の溶湯1″
を抜き勾配16をもつ静置された金型15へ鋳込み、金型15
による急冷効果によって外層1′と内層2′で異なる材
料特性を有する二層ロールを製造する。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来、大形の二層ロールの製造においては、上記のよ
うに、第4図及び第5図に示す方法が主に用いられてい
るが、これらは次のような問題点を有する。
まず、第4図の方法においては、外層となるべき材質
1′と内層となるべき材質2′が境界層付近で混合し易
く、内、外層それぞれの厚さがロール各部で変動し易い
欠点がある。
つぎに第5図の方法においては、外層と内層の材料特
性は金型15による冷却特性によって支配される結果とな
り、内、外層の材料特性を大きく変化させることは不可
能である。また、外層1′の形成は熱的特性に依存する
ため、金型につけられた抜き勾配16によって最終製品と
なったロール両端部では外層1′の厚さが変化する欠点
があった。
以上のような内、外層の厚さの変動のあるロールは、
ロール使用字に温度上昇があると、内、外層の熱膨張係
数をはじめとする熱的特性の差によって、真円度の狂
い、直径の場所的変動、ロールのフレ等を発生する欠点
があった。
また、焼バメ、あるいは冷バメの方法においては、必
然的に外筒に引張りの残留応力が発生するため、外筒材
料として脆弱な材料が使用できないことになり、使用材
料が制限される欠点がある。
本発明は、これらの従来の方法による二層ロールの欠
点、すなわち、 (1) ロール温度上昇によるロールの変形 (2) 外筒に発生する引張残留応力 に関する問題点を解決することができる二層ロールの製
造方法を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の二層ロールの製造方法では、あらかじめ加熱
した外筒に、外周面にロウ材を配置した内筒を外筒より
も低温で挿入し、次いで両者を同一回転速度で回転しつ
つロウ材による接合を行った上冷却して二層ロールを製
造する。
〔作用〕
あらかじめ外筒を加熱することによって、外筒は熱膨
張して内筒を挿入する半径方向のスキマが維持され、低
温度の内筒は容易に外筒内へ挿入される。
内、外筒は同一回転速度で回転しながら内筒外周面の
ロウ材によって両者がロウ接される。内、外筒は同一回
転速度で回転することによって、その変形が防止され均
一な適性ロウ接スキマが確保されて良好なロウ接結果が
得られる。
また、ロウ接完了後も内、外筒を回転しつつ冷却する
ことによって、ロールの変形が防止される。
以上のようにして、外層と内層の厚さはロール全体に
わたって均一化され、また両者は確実にロウ接され、こ
れによって使用中の温度上昇等によって不均一な変形を
起さないロールが製造される。
また、外筒と異なる熱膨張係数を有する内筒材を用い
るようにすれば、外筒又は内筒に強度上有利な圧縮残留
応力を任意に与える。たとえば、外筒に圧縮残留応力を
与える場合は、内筒に外筒よりも大きな熱膨張係数を有
する材料を用い、逆に内筒に圧縮残留応力を与える場合
は内筒に外筒よりも小さな熱膨張係数を有する材料を用
いることによって、外筒又は内筒にそれぞれ圧縮残留応
力が与えられる。
〔実施例〕
本発明の一実施例を第1図ないし第3図によって説明
する。
1は外筒であり、その両端には内方へ向って突出する
高さの小さいフランジ1aが設けられている。2は上記外
筒1内へ挿入される外筒1とは異る熱膨張係数をもつ材
質からなる内筒である。外筒1は、回転用モータ8aによ
って駆動される回転ローラ5aにその外周を接してその軸
まわりに回転できるようになっており、また、内筒2の
軸方向に移動可能な支持第6に支持され、回転用モータ
8bによって駆動される回転ローラ5bに、円筒2の両側に
取付けられた支持シャフト7の外周が接しており、これ
によって円筒2はその軸まわりに回転できるようになっ
ている。外筒1の内周面には、酸化防止用のフラックス
4が供給されており、また内筒2の外周面にはロウ材3
が配置されている。また、第2図に示される外筒1の両
端の厚さaのフランジ1aの内側面間の距離L′は、第3
図に示される内筒2の軸方向の長さlよりも若干大きい
ように設定されている。第1図中、10は外筒1の外側に
設けられた外部加熱装置、11は内筒2の内側に設けられ
た内部加熱装置である。(なお、第1図中、外筒1と内
筒2との間のスキマは、説明の都合上大きく示されてい
る。) 本実施例では、外筒1を回転ローラ5aによって回転さ
せながら、同外筒1を外部加熱装置10によって加熱する
ことによって、外筒は熱膨張して外筒1に内筒2を挿入
するための半径方向のスキマが生ずる。その上で、支持
台6を内筒2の軸方向に移動して、内筒2と外筒1の軸
心が一致した状態にして内筒2を外筒1内へ挿入する。
なお、この時内筒2も、回転ローラ5bによって外筒1と
同一回転速度で回転させ乍ら挿入することが望ましい
が、内、外筒間に十分な半径方向のスキマをロール全体
にわたって維持することができれば、内筒2を回転させ
なくてもよい。
次に、外筒1及び内筒2を、それぞれ回転ローラ5a,5
bによって、同一回転速度で同方向(第1図矢印9に示
す方向)へ回転させる。同時に外部加熱装置10及び内部
加熱装置11によって加熱を行ない、内、外筒をロウ付温
度になるように加熱し、ロウ材3による接合を行なう。
接合が完了したときには、外部加熱装置10及び内部加熱
装置11による加熱を停止し、内、外筒の回転を継続する
ことによって冷却を行ない、二層ロールの製造を完了す
る。
本実施例では、 (1) あらかじめ加工された外筒及び内筒を用い、こ
れをロウ材によって接合することによって、均一な内外
層厚さをもつロールを得ることができる。
(2) 外筒1をあらかじめ加熱することによって、内
筒2を挿入するための半径方向のスキマが確保される。
(3) 内筒2を外筒1へ挿入した上、両者を同一速度
で回転させつつロウ材で接合するために、内、外筒の変
形は防止され、かつ均一適性なロウ接スキマが確保さ
れ、良好なロウ接を行なうことができる。
(4) ロウ接完了後も、内、外筒を回転しつつ冷却す
ることによって、ロールの変形を防止することができ
る。
(5) 外筒1と熱膨張係数の異なる内筒2を用いるこ
とによって、内筒又は外筒に強度上有利な圧縮応力を与
えることができる。
等の効果を奏することができる。
なお、本実施例において、ロウ付温度Tにおける外筒
の内半径DiT/2と内筒の外半径doT/2(第2図及び第3図
参照)が、(DiT−doT)/2=適性ロウ接スキマ≒0.05〜
0.15mmとなるように常温時の外筒内径Di及び内筒doを決
めておく必要がある。
本実施例の外筒及び内筒の一例として、 外筒は、第2図に示す外径Do=810φ,内径Di=740
φ,フランジ1aの内径D′=738φ,厚さa=20で熱
膨張係数α=8.7×10-6のチルド鋳鉄材を、 内筒は、第3図に示すその外周に厚さt=0.2mmで625
〜635℃で溶融するロウ材を有し、外径do=739.06,内径
di=610φ,の熱膨張係数α=10.3×10-6のグレイ鋳
鉄材を、 それぞれ用いた場合について以下説明する。
この外筒1を温度T=650℃に加熱し回転保持する。
この時外筒1の内面には、上記のように、酸化防止を目
的としたフラックス4が供給されている。
この時の外筒内径Di及びフランジ1aの内径D′をD
i650及びD′i650とすれば、 Di650=Di(1+α・ΔT)=740{1+8.7 ×10-6×(650−20}≒744.06 D′i650=D′(1+α・ΔT)=738{1+8.7 ×10-6×(650−20}≒742.04 となっている。
次に常温(20℃)の内筒2を外筒1に軸心を一致させ
て挿入する。このとき、フランジ内径D′i650=742.04
は内筒とロウ材の外形do+2t=739.46より大きいので、
内筒2をフランジ1aを通して外筒1へ挿入することがで
きる。
この時の内筒2と外筒1の直径差δは、 δ=Di650−(do+2t)=4.6(mm)である。
この状態で内、外筒を回転保持すると共に、内外筒を
適宜加熱して、外筒温度を650℃に保ち内筒温度を順次
上昇させると、内筒温度がT=625℃のロウ材固相線に
達した状態では、外筒内径と内筒母材外径のスキマδ
625となり、内筒ロウ材と外筒内径はほぼ接した状態にな
る。
更に内筒温度が上昇すると共にロウ材の溶融がはじま
り、T=635℃のロウ材の液相線に達するとロウ材は完
全な溶融状態になる。この時の外筒内径と内筒母材外径
間のスキマδ635は、 δ635=Di650−do635=0.318<2t となり、両者のスキマは溶融したロウ材で完全に満たさ
れる。
また更に、温度が上昇し、内筒温度=外筒温度=ロウ
付温度=650℃になると、外筒内径と内筒母材外径間の
スキマδ650は、 δ650=Di650−do650≒0.204 すなわち、半径スキマδ650/2は、 δ650/2≒0.102≒適性ロウ付スキマ となってロウ接が完了する。
ロウ接が完了後は内、外筒を回転しつつ冷却するが、
冷却にあたっては、ロウ材が十分な強度を有する温度ま
で計算上の外筒内径と内筒母材外径間のスキマがロウ付
完了時のスキマを越えないように外筒温度<内筒温度の
条件を保持しつつ冷却することが望ましい。
〔発明の効果〕
本発明は次の効果を奏することができる。
(1) あらかじめ加工された外筒及び内筒を用い、こ
れをロウ材を用いて接合することによって、ロール全体
にわたって均一な内外層厚さを有するロールを製造する
ことができる。
(2) これにより、両層の熱膨張差及び厚みの変動に
起因する熱変形を起さない二層ロールを得ることができ
る。
(3) 外筒をあらかじめ加熱して内筒を挿入すること
により、内筒を挿入することができる外筒の半径方向の
スキマを確保することができ、また任意の熱膨張係数を
有する材料の接合ができる。
(4) 接合及び冷却中に内、外筒に同一回転速度の回
転を付与することにより、内、外筒の変形が防止できる
と共に、良好なロウ接結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示し、第1図(a)は1部
を縦断して示す立面図、第1図(b)は第1図(a)の
A−A断面図、第2図は同実施例に用いられる外筒を示
し、第2図(a)はその側面図、第2図(b)はその縦
断面図、第3図は同実施例に用いられる内筒を示し、第
3図(a)はその側面図、第3図(b)はその縦断面
図、第4図は従来の二層遠心鋳造法による二層ロールの
製造方法を示し、第4図(a)はその縦断面図、第4図
(b)は第4図(a)のB−B断面図、第5図は従来の
金型静置鋳造法による二層ロールの製造方法を示し、第
5図(a)はその縦断面図、第5図(b)は第5図
(a)のC矢視図である。 1……外筒、2……内筒、 3……ロウ材、4……フラックス、 5a,5b……回転ローラ、6……支持台、 7……支持シャフト、8a,8b……回転用モータ、 10……外部加熱装置、11……内部加熱装置。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】あらかじめ加熱した外筒に、外周面にロウ
    材を配置した内筒を外筒よりも低温度で挿入し、次いで
    両者を同一回転速度で回転しつつロウ材による接合を行
    った上冷却することを特徴とする二層ロールの製造方
    法。
JP14111889A 1989-06-05 1989-06-05 二層ロールの製造方法 Expired - Lifetime JPH086740B2 (ja)

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JPH039115A JPH039115A (ja) 1991-01-17
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