JPH086332B2 - 法面保護用受圧板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は法面の崩壊を防ぐため
のプレキャスト製の受圧板に関するものであり、特にプ
レストレス力を与えたアンカーによって地山に固定する
法面保護用受圧板に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】法面の崩壊を防ぐために、プレキャスト
コンクリート製の受圧板が使用されている。この受圧板
は全体が円形や、多角形のほぼ円形状の形状を成してい
る。図７に示すように、この受圧板ａを地山に置き、予
め地山に打設したアンカーｂにプレストレス力を与えて
定着する。地山が浮き上がろうとする力を受圧板ａによ
って押えようとするものである。

【０００３】

【この発明が解決しようとする課題】このようにアンカ
ーｂにはプレストレス力を与えるため、受圧板ａには外
周方向へ拡ろうとする水平力（引張力）Ｈが作用するこ
とになる。この水平力Ｈによって受圧板ａにはクラック
が発生しようとする。これを防ぐ目的で、従来はプレス
トレスコンクリート（ＰＣ）用の鉄筋を配置してこの水
平力Ｈに対抗させていた。しかしながら円形やほぼ円形
に近い形状の受圧板ａは、その受圧板ａの外周全体が引
張応力を受けることになるので、他の形状の構造物に比
してクラックが数多く、またそのクラックの巾も大きく
生じていた。このクラックを伝って雨水が受圧板ａの内
部に浸透して、鉄筋を錆付かせるという問題があった。
このためこのタイプの信頼性の高い受圧板ａが実用化さ
れていないというのが現状であった。

【０００４】この発明は以上のような課題を解決するた
めになされたもので、円形やほぼ円形状の受圧板であっ
て、クラックの発生量の少ない、信頼性の高い受圧板を
提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明にかかる法面保
護用受圧板は、プレキャストコンクリート製の基盤の外
周をフープ材によって締め付けるものでる。基盤は円形
や円形に近い多角形を成している。基盤の中心部には上
面から底面に貫通するアンカー孔が形成されている。こ
の基盤の外周縁には単数若しくは複数本のフープ材が掛
けられて、周縁から締め付けるように緊結している。フ
ープ材としては鋼製の線材が使用でき、通常のＰＣ鋼よ
り線や、合成樹脂製のアンボンドシースの中に通したア
ンボンドＰＣ鋼より線も使用できる。その他、合成樹脂
製のフープ材も使用できる。このような基盤を地山の上
に置き、予め地山に打設しておいたアンカーをアンカー
孔に通して、アンカーにプレストレス力を与えた状態で
基盤の上面側で定着する。

【０００６】基盤の底面側には硬化材充填凹部を設けて
おき、アンカーを定着した後に地山との間に出来た空間
にモルタルやコンクリートなどの硬化材を充填してもよ
い。

【０００７】

【作用】フープ材によって基盤を外周から緊結してある
ため、アンカーに与えたプレストレス力によって作用す
る水平力をフープ材との間の圧縮力に変え、クラックの
発生を防ぐ。硬化材充填凹部に充填した硬化材にはプレ
ストレス力もフープ材の緊結力も作用しない。

【０００８】

【実施例】以下、図に示す実施例に基づきこの発明を詳
細に説明する。図において１はプレキャストコンクリー
ト製の基盤であり、外周形状が八角形で中心部が高くな
った角錐形を成している。基盤１の底面側には、硬化材
充填凹部２が形成されている。この基盤１の中心部には
上面から底面に貫通するアンカー孔３が形成されてい
る。基盤１の外周縁には、連続して溝４が形成されてい
る。溝４は基盤１の外周縁に円弧状に凹設されている。

【０００９】溝４にはフープ材５が配設されている。フ
ープ材５としてはＰＣ鋼より線が使用されている。図３
に示すように、フープ材５を基盤１の一部に通して一端
を圧縮グリップ６により止め、他端を再度基盤１の一部
に通して緊張した後にくさび７によって止めるものであ
る。これによってフープ材５によって基盤１を周りから
締め付けるようにするものである。図において７は支圧
板であり、緊張力を受けている。実施例では二本のフー
プ材５によって基盤１を外周から締め付けている。フー
プ材５緊結後、溝４はモルタル８によって埋めておく。

【００１０】以上のような基盤１を地山に置き、予め地
山に打設しておいたアンカー９をアンカー孔３に通し、
緊張してプレストレス力を与えた後、支圧板１０にくさ
びにて定着する。アンカー９としては複数本の引張材を
シースの中に通し、削孔内にてグラウト材にて定着する
グラウンドアンカーが使用されている。硬化材充填凹部
２にはコンクリート１１を打設する。以上のようにして
地山に複数個の法面保護用受圧板を並べる。

【００１１】図５に示すのは、フープ材５の緊結の別の
態様である。支圧板１２を介して定着部１３を溝４内に
突設し、左右からフープ材５の端を通し、一端を圧縮グ
リップ６により止め、他端を緊張した後くさび７によっ
て止めたものである。

【００１２】

【発明の効果】この発明は以上のような構成を有するた
め、以下のような効果を得ることができる。 基盤の外周縁にフープ材を配して、これを緊張して周
囲から締め付けるようにしたため、アンカーにプレスト
レス力を与えて基盤の外周方向に水平力が作用しても、
フープ材によって圧縮力になるため、基盤にクラックが
発生するのを防ぐことができる。 基盤の底面側に硬化材充填凹部を設け、この地山にア
ンカーによって固定した後に硬化材を充填することによ
り、硬化材が地山の凹凸に対応して受圧板が有効に地山
を押えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる法面保護用受圧板の一部切り
欠き斜視図である。

【図２】法面保護用受圧板の断面図である。

【図３】法面保護用受圧板の底面図である。

【図４】基盤の外周縁の断面図である。

【図５】フープ材の緊結部の断面図である。

【図６】法面に固定した状態の全体図である。

【図７】従来の受圧板の断面図である。

【符号の説明】

１ 基盤 ２ 硬化材充填凹部 ３ アンカー孔 ４ 溝 ５ フープ材 ６ 圧縮グリップ ７ くさび ８ モルタル ９ アンカー １０ 支圧板 １１ コンクリート １２ 支圧板 １３ 定着部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレキャストコンクリート製の基盤の外
   周縁にフープ材を掛けて周縁から締め付けるよう緊結
   し、地山上に載置して地山に打設したアンカーを基盤の
   中心部にてプレストレス力を与えて定着したことを特徴
   とする法面保護用受圧板。
2. 【請求項２】 基盤の底面側には硬化材充填凹部を設
   け、地山との間に空間に硬化材を充填したことを特徴と
   する請求項１記載の法面保護用受圧板。
3. 【請求項３】 フープ材としてＰＣ鋼より線を使用した
   ことを特徴とする請求項１記載の法面保護用受圧板。
4. 【請求項４】 フープ材としてアンボンドシースの中に
   通したアンボンドＰＣ鋼より線を使用したことを特徴と
   する請求項１記載の法面保護用受圧板。