JPH086285A - 電子写真用トナー - Google Patents

電子写真用トナー

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JPH086285A
JPH086285A JP6162699A JP16269994A JPH086285A JP H086285 A JPH086285 A JP H086285A JP 6162699 A JP6162699 A JP 6162699A JP 16269994 A JP16269994 A JP 16269994A JP H086285 A JPH086285 A JP H086285A
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electrophotographic toner
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ester wax
toner
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低い定着温度で定着することができ、非オフ
セット性においても実用上なんら問題を発生せず、転写
紙への定着強度の優れた電子写真用トナーを提供するこ
と。 【構成】 DSCによる吸収熱量のピーク位置が55〜
80℃に存在し、針入度が4以下である合成エステルワ
ックスを含有する電子写真用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真用トナーに関
し、特に熱ロール定着を採用している複写機又はプリン
ター用の電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた複写機及び
プリンターは、一般家庭等を含めてその普及が広まるに
ともない、複写機又はプリンターの多機能化を主な目的
とした低エネルギー化(消費電力の削減)、印刷機と複
写機との境に位置するいわゆるグレイエリアへの普及を
目的とした高速化、あるいは機械コストを下げるための
定着ロールの簡素化のための低ロール圧力化が望まれて
いる。また、複写機の高級化にともない両面コピー機能
や原稿自動送り装置の搭載された複写機が広く普及され
てきたため、複写機及びプリンターに使用される電子写
真用トナーには定着温度が低く、耐オフセット性が優れ
て、且つ両面コピー時の汚れや、原稿自動送り装置にお
ける汚れの発生を防止するため転写紙への定着強度の優
れたものが要求されている。
【0003】上記の要求に対して従来技術では、結着樹
脂の分子量や分子量分布を改良したもの等の提案がなさ
れている。具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定着
温度を低くしようとする試みがなされていた。しかしな
がら、低分子量化することにより融点は低下したが同時
に粘度も低下したため定着ロールへのオフセット現象が
発生する問題が生じていた。このオフセット現象を防ぐ
ため、該結着樹脂の分子量分布の低分子量領域と高分子
量領域を広くする方法や、あるいは高分子部分を架橋さ
せたりすることが行なわれていた。しかしながら、この
方法においては定着性を充分に持たせるために、樹脂の
ガラス転移温度を低くせざるを得ずトナーの保存性を損
なうことが避けられなかった。また、結着樹脂の低分子
部分を多くするとトナー自体が脆くなり両面コピー時の
汚れや、原稿自動送り装置における汚れが発生してい
た。更にまた、上記オフセット現象を防ぐためポリオレ
フィン系の離型剤を含有させる方法もある。しかしなが
ら、該離型剤を含有させるとトナーの融点が高くなり、
従って低い定着温度で定着した場合、転写紙への十分な
定着強度を得ることができないという問題があった。ま
た低融点のワックスにはカルナバワックス、ライスワッ
クス、キャンデリラワックス等の植物系ワックスがある
が、数種類のエステルの混合体であるためDSC吸熱域
が低温度に存在しトナーとしての保存安定性に問題を及
ぼしていた。そのため50℃以下の低融点成分を除去す
る精製等が必要であった。また前記低融点の植物系ワッ
クスは、遊離脂肪酸、遊離アルコールを含有するためト
ナーに対して帯電特性が不安定になる等の影響を与えて
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は低い定
着温度で定着することができ、非オフセット性において
も実用上なんら問題を発生せず、転写紙への定着強度の
優れた電子写真用トナーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、DSCによる
吸収熱量のピーク位置が55〜80℃に存在し、針入度
が4以下である合成エステルワックスを含有することを
特徴とする電子写真用トナーである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
電子写真用トナーに適用する合成エステルワックスは、
DSC(示差走査熱量計)で吸収熱量を測定した場合、
吸収熱量のピーク位置が55〜80℃に存在するもので
なければならない。吸収熱量のピーク位置が55℃より
低い温度であるもの、若しくは針入度が4より大きいも
のは溶融混練法による電子写真用トナーの製造工程の粉
砕時において、ジェットミル等の粉砕機の衝突板に合成
エステルワックスが付着しやすく、良好な粉砕性が得ら
れなく製造上問題がある。また、電子写真用トナーとし
た時の流動性、保存安定性が悪いという問題も生じる。
更に、吸収熱量のピーク位置は60〜70℃、針入度は
2以下の合成エステルワックスが電子写真用トナーの低
温度における定着強度を向上させることができるのでよ
り好ましい。一方、吸収熱量のピーク位置が80℃より
高い温度に有するものは、電子写真用トナーの融点を下
げる効果が十分でないので低い定着温度で定着した場
合、転写紙への十分な定着強度を得ることができない。
なお、75℃以上の合成エステルワックスは価格が高く
なる場合があるので好ましくない。DSCによる吸収熱
量のピーク位置が55〜80℃に存在する合成エステル
ワックスは、単官能直鎖脂肪酸と単官能直鎖アルコール
からエステル反応で合成される。単官能直鎖脂肪酸の具
体例としては、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコ
サン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン
酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン
酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸
等が、単官能直鎖アルコールの具体例としてはメタノー
ル、エタノール、プロパノール、プロパン1−オール、
ブタン1−オール、ペンタン1−オール、ヘキサン1−
オール、ヘプタン1−オール、オクタン1−オール、ノ
ナン1−オール、デカン1−オール、エイコサン1−オ
ール等が挙げられる。DSCの測定装置としては、例え
ばセイコー電子工業社製の示差走査熱量計SSC−52
00が挙げられる。測定条件としては、合成エステルワ
ックスを約10mg計量してDSCに載置し、1分間に
50ミリリットルのN2 ガスを吹き込む。そして、20
℃から150℃の間を1分間あたり10℃の割合で昇温
させ、次に150℃から20℃に急冷させる過程を2回
繰り返してその時の吸収熱量を測定するものである。針
入度はJIS K2235の針入度試験方法に準拠して
試験温度が25℃の時に測定した値である。前記合成エ
ステルワックスの電子写真用トナー中の含有量は、電子
写真用トナーを構成する全樹脂成分中に1〜20重量%
含有させることが好ましい。1重量%未満であると電子
写真用トナーの融点を下げる効果が少ないので低い定着
温度で定着した場合、転写紙への十分な定着強度を得に
くく、20重量%より多いと高温オフセットが発生しや
すいので好ましくない。なお、ここでいう全樹脂成分と
は合成エステルワックス、結着樹脂及びポリプロピレン
等の離型剤等の樹脂を全て合わせたものをいう。DSC
による吸収熱量のピーク位置が55〜80℃に存在する
合成エステルワックスは、従来から使用されているポリ
オレフィン系ワックスに比べて軟化点が低く、熱に対し
てシャープに融解する特性があるため、電子写真用トナ
ーに含有させた場合、保存安定性を損なうことなしに該
トナーの軟化点を低下せしめ低温度の熱定着ロールでも
十分に融解し、非オフセット性と定着強度に対して優れ
た作用効果を有する。
【0007】次に本発明の電子写真用トナーを構成する
合成エステルワックス以外の材料、すなわち結着樹脂、
着色剤等について説明する。本発明に使用される結着樹
脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステ
ル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、
スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げ
られる。着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシ
ン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロム
イエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッ
ド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フ
タロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート
およびこれらの混合物、その他を挙げることができる。
これらの着色剤は、十分な濃度の可視像が形成されるに
十分な割合で含有されることが必要であり、通常結着樹
脂100重量部に対して1〜20重量部程度の割合とさ
れる。
【0008】本発明の電子写真用トナーは、前記のごと
き合成エステルワックス、結着樹脂及び着色剤にその他
のトナー成分例えば電荷制御剤、離型剤、磁性体等を適
宜分散含有せしめてなる粒子であり、その平均粒子径は
5〜20μmの範囲である。また、このようにして得ら
れる粒子にシリカ微粉体等よりなる流動性向上剤を添加
混合して電子写真用トナーを構成してもよい。
【0009】本発明の電子写真用トナーは、溶融開始温
度を従来のトナーの溶融開始温度である110℃程度よ
り低く、より具体的には100℃以下に制御することが
低温定着性のため好ましい。しかしながら、必要以上に
溶融開始温度を低くすること、すなわち、例えば溶融開
始温度を60℃より低くすると、高温高湿環境下におい
てトナーが軟化するので、保存安定上好ましくない。こ
のため、溶融開始温度は室温より高い60℃以上である
ことが好ましい。したがって、電子写真用トナーの溶融
開始温度は、定着ロールの温度が低温でトナーを用紙に
定着でき、かつ保存安定性上好ましい温度すなわち60
〜100℃に設定されることが好ましい。なお、本発明
で特定する溶融開始温度は、以下に示す測定条件におけ
るプランジャーの降下開始温度を意味する。 測定機:島津製作所製 高化式フローテスターCFT−
500 測定条件:プランジャー 1cm2 ダイの直径 1mm ダイの長さ 1mm 荷重 20kgF 予熱温度 50〜80℃ 予熱時間 300sec 昇温速度 6℃/min
【0010】本発明の電子写真用トナーは、鉄粉、フェ
ライト、造粒マグネタイト等より成るキャリアと混合さ
れて二成分現像剤として使用されてもよいし、非磁性一
成分現像剤として使用されてもよい。また、トナー中に
磁性体を含有させてキャリアと混合することなくそのま
ま磁性一成分現像剤として、あるいはキャリアと混合さ
せて静電荷像の現像に使用させてもよい。
【0011】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、実施例において部とは重量部を示す。まず次のよう
にして合成エステルワックスを合成した。 合成例1 オクタコサン酸424g(1モル)、メタノール64g
(2モル)、硫酸20mlを攪拌器、コンデンサーを備
えた丸底フラスコに入れ130℃で4時間加熱還流させ
た。過剰のメタノールを除去した後、残渣をメチルエー
テルで精製して合成エステルワックス(A)を得た。こ
の合成エステルワックス(A)のDSC吸収熱量ピーク
は70℃、針入度は1であった。 合成例2 ドコサン酸340g(1モル)、プロパノール120g
(2モル)、硫酸20mlを攪拌器、コンデンサーを備
えた丸底フラスコに入れ130℃で4時間加熱還流させ
た。過剰のプロパノールを除去した後、残渣をプロピル
エーテルで精製して合成エステルワックス(B)を得
た。この合成エステルワックス(B)のDSC吸収熱量
ピークは58℃、針入度は2であった。 合成例3 エイコサン酸312g(1モル)、メタノール64g
(2モル)、硫酸20mlを攪拌器、コンデンサーを備
えた丸底フラスコに入れ130℃で4時間加熱還流させ
た。過剰のメタタールを除去した後、残渣をメチルエー
テルで精製して合成エステルワックス(C)を得た。こ
の合成エステルワックス(C)のDSC吸収熱量ピーク
は52℃、針入度は5であった。 合成例4 トリアコンタン酸226g(0.5モル)、エイコサン
1−オール298g(1モル)、硫酸20mlを攪拌
器、コンデンサーを備えた丸底フラスコに入れ300℃
で6時間加熱還流させた。過剰のエイコサン1−オール
を除去した後、残渣をペトロイルエーテルで精製して合
成エステルワックス(D)を得た。この合成エステルワ
ックス(D)のDSC吸収熱量ピークは82℃、針入度
は1であった。
【0012】次に下記のように電子写真用トナーを作製
した。 実施例1 重量平均分子量9×105 及び数平均分子量3.9×1
5 のスチレン−アクリル酸ブチル共重合体(A)15
部と重量平均分子量8×103 及び数平均分子量2.7
×103 のスチレン−アクリル酸ブチル共重合体(B)
85部とを混合し、ゲルパーミュエイションクロマトグ
ラフィー(GPC)によって測定されるクロマトグラム
において分子量7.5×105 と4.5×103 にピー
ク位置を有するスチレン−アクリル系共重合体樹脂を得
た。 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.4部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、99℃であった。
【0013】実施例2 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.4部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、97℃であった。
【0014】実施例3 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.4部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、96℃であった。
【0015】実施例4 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.4部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、95℃であった。
【0016】実施例5 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.4部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、94℃であった。
【0017】実施例6 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.4部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、92℃であった。
【0018】実施例7 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.4部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、96℃であった。
【0019】比較例1 合成エステルワックス(A)を混合させない以外は、実
施例2と同様にして比較用の電子写真用トナーを得た。
なお、この電子写真用トナーの溶融開始温度は、高化式
フローテスターにより前記の条件で測定した結果、10
5℃であった。
【0020】比較例2 合成エステルワックス(A)の代わりに市販のポリプロ
ピレンワックス(三洋化成工業社製 商品名:ビスコー
ル330P、DSCによる吸収熱量のピークが位置する
温度:145℃、針入度1)を5部混合させた以外は、
実施例2と同様にして比較用の電子写真用トナーを得
た。なお、この電子写真用トナーの溶融開始温度は、高
化式フローテスターにより前記の条件で測定した結果、
105℃であった。
【0021】比較例3 合成エステルワックス(A)の代わりに天然ワックス
(加藤洋行社製のカルナバワックス、DSCによる吸収
熱量のピークが位置する温度:86℃、針入度1)を5
部混合させた以外は、実施例2と同様にして比較用の電
子写真用トナーを得た。なお、この電子写真用トナーの
溶融開始温度は、高化式フローテスターにより前記の条
件で測定した結果、102℃であった。
【0022】比較例4 合成エステルワックス(A)の代わりに合成エステルワ
ックス(C)(DSCによる吸収熱量のピークが位置す
る温度:52℃、針入度5)を5部混合させた以外は、
実施例2と同様にして比較用の電子写真用トナーを得
た。なお、この電子写真用トナーの溶融開始温度は、高
化式フローテスターにより前記の条件で測定した結果、
94℃であった。
【0023】比較例5 合成エステルワックス(A)の代わりに合成エステルワ
ックス(D)(DSCによる吸収熱量のピークが位置す
る温度:82℃、針入度1)を5部混合させた以外は、
実施例2と同様にして比較用の電子写真用トナーを得
た。なお、この電子写真用トナーの溶融開始温度は、高
化式フローテスターにより前記の条件で測定した結果、
103℃であった。
【0024】次に前記実施例及び比較例について下記の
項目の試験をおこなった。 (1)非オフセット温度領域 まず、前記実施例及び比較例で得た各電子写真用トナー
4部と樹脂被覆を施してないフェライトキャリア(パウ
ダーテック社製 商品名:FL−1020)96部とを
混合して二成分系現像剤を作製した。次に該現像剤を使
用して市販の複写機(シャープ社製 商品名:SF−9
800)にてA4の転写紙に縦2cm、横5cmの帯状
の未定着画像を複数作製した。次に、表層がテフロンで
形成された熱定着ロールと、表層がシリコーンゴムで形
成された圧力定着ロールが対になって回転する定着機を
ロール圧力が5Kg/cm2 及びロールスピードが10
0mm/secになるように調節し、該熱定着ロールの
表面温度を段階的に変化させて、各表面温度において上
記未定着画像を有した転写紙のトナー像の定着をおこな
った。この時余白部分にトナー汚れが生じるか否かの観
察をおこない、汚れが生じない温度領域を非オフセット
温度領域とした。また、非オフセット温度領域の最大値
と最小値の差を非オフセット温度幅とした。
【0025】(2)定着強度 前記定着機の熱定着ロールの表面温度を130℃及び1
50℃に設定し、前記未定着画像が形成された転写紙の
トナー像の定着をおこなった。そして、形成された定着
画像に対して綿パッドによる摺擦を施し、下記式によっ
て定着強度を算出し低エネルギー定着性の指標とした。
画像濃度はマクベス社製の反射濃度計RD−914を使
用した。 定着強度(%)=摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前
の定着画像の画像濃度×100
【0026】(3)保存安定性 前記実施例1〜7、比較例1〜5で得られた電子写真用
トナーの保存安定性の評価を実施した。評価は150c
cボトルにトナーを20g充填し、50℃の高温槽中で
24時間放置した後、トナーのケーキング状態を目視に
より確認した。上記項目の試験結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1の試験結果から明らかなように、本発
明の電子写真用トナーの非オフセット温度領域は低温度
から高温度までオフセットが発生せず、その温度幅も5
0℃以上という実用上十分な範囲を維持していることが
確認された。また、定着温度130℃における定着強度
が70%以上あり実用上十分な定着強度を有することが
確認された。これに対して、比較例1、比較例2及び比
較例5は定着温度130℃における定着強度が65%以
下という低いものであることが確認された。比較例3及
び比較例4は保存安定性の試験において、トナーの凝集
塊が発生し問題があることが確認され、比較例4は流動
性も悪く実用上問題があることが確認された。また、前
項(1)における各実施例の現像剤を使用して市販の複
写機(東芝社製 商品名:BD−3810)で5000
枚までの連続コピー試験をおこなった結果、表1に示す
ように実施例1〜実施例7の全てにおいて、摩擦帯電量
が初期から5000枚までの間を−23μC/gから−
26μC/g程度の値で推移し、画像濃度も初期から5
000枚までの間を1.40から1.43までの値を推
移するもので実用上問題のないことが確認され、カブリ
も少ないことが確認された。なお、コピーした原稿は黒
色部が6%のA4のものであり、摩擦帯電量は東芝ケミ
カル社製のブローオフ摩擦帯電量測定装置を使用し、画
像濃度はマクベス社製の反射濃度計RD−914を、カ
ブリは日本電色社製色差計Z−1001DPを使用し
た。
【0029】
【発明の効果】本発明の電子写真用トナーは、保存性に
問題がなく、十分な非オフセット温度領域を維持し低い
温度で定着することができ、かつ定着強度に優れている
と共に十分な画像濃度を多数枚得ることができるという
効果を奏する。したがって、本発明の電子写真用トナー
を複写機あるいはプリンター等に適用した場合、消費電
力が削減することができ、低ロール圧力化による機械コ
ストの低減、複写速度の高速化等の効果を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DSCによる吸収熱量のピーク位置が5
    5〜80℃に存在し、針入度が4以下である合成エステ
    ルワックスを含有することを特徴とする電子写真用トナ
    ー。
  2. 【請求項2】 合成エステルワックスをトナーの全樹脂
    成分中に1〜20重量%含有することを特徴とする請求
    項1記載の電子写真用トナー。
  3. 【請求項3】 トナーの溶融開始温度が60〜100℃
    であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用トナ
    ー。
JP6162699A 1994-06-21 1994-06-21 電子写真用トナー Expired - Lifetime JP2949558B2 (ja)

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