JPH086067B2 - 水性塗料用樹脂の製造法及び水性塗料 - Google Patents

水性塗料用樹脂の製造法及び水性塗料

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JPH086067B2
JPH086067B2 JP13080790A JP13080790A JPH086067B2 JP H086067 B2 JPH086067 B2 JP H086067B2 JP 13080790 A JP13080790 A JP 13080790A JP 13080790 A JP13080790 A JP 13080790A JP H086067 B2 JPH086067 B2 JP H086067B2
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辰夫 後藤
靖 小島
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日立化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,水性塗料用樹脂の製造法及びこれにより得
られる水性塗料用樹脂を用いてなる水性塗料に関する。
(従来の技術) 塗料には,通常,大量の有機溶剤を使用するため,塗
装の際に大気中に有機溶剤が排出され,大気汚染の原因
となつており,また火災の危険性も高い。近年,有機溶
剤量を低減する努力が種々なされ,ハイソリツド塗料,
粉体塗料,電子線・紫外線硬化塗料,水性塗料等がその
目的のために開発されている。特に,水性塗料は危険性
のない,また経済性の高い水を利用し,さらに従来の塗
装設備からの転用が容易であることから注目を集めてい
る。しかしながら,従来の水性塗料には,塗料の乾燥が
遅い,耐水性及び耐食性が劣るという欠点がある。
このような欠点を改良するために,これまでに様々な
方法が考えられ,例えば水性アルキド樹脂塗料において
樹脂成分中に,フエノール樹脂,石油樹脂,エポキシ樹
脂等を含有させる方法,重合性単量体を重合させる方法
等が挙げられる。
これらのひとつに,ビスフエノール型エポキシ樹脂と
脂肪酸のエステルを基体とした,水希釈可能なビニル変
性エポキシ脂肪酸エステル樹脂が知られている。これ
は,エポキシ樹脂を用いることにより,高い耐食性を有
しまた脂肪酸エステルにより常温乾燥型としても使用で
きるという利点がある。
(発明が解決しようとする課題) このビニル変性エポキシ脂肪酸エステル樹脂は,一般
にビニル単量体中にカルボキシル基含有単量体を必須成
分として合成され,導入されたカルボキシル基をさらに
アミン等で中和することにより,樹脂中に,親水性部分
を形成し,水性としている。安定な水性樹脂を得るため
には,ビニル変性エポキシ脂肪酸エステル樹脂の酸価
は,30〜50と溶剤型に比べ高くする必要があるが,エポ
キシ脂肪酸エステル部分にグラフトしたビニル単量体の
重合部分について考えれば,その部分酸価はさらに高い
ものとなつている。そのため,塗膜としたときに耐水
性,耐加水分解性,耐アルカリ性に著しく劣る原因とな
つている。
一方,アルキド樹脂等を水性化する方法としてポリオ
キシエチレングリコールを樹脂中に導入する方法が知ら
れている。ポリオキシエチレングリコールを併用するこ
とで水性樹脂の酸化を低減できるため加熱残分が高く,
また,耐食性,耐水性にも優れた塗膜を与えることが可
能である。しかし,これらの方法では,ポリオキシエチ
レングリコールが比較的低分子量の部分にオリゴマー,
あるいは未反応の状態で遍圧するため,例えば,耐水
性,耐湿性において,溶剤型に比べて十分な性能が得ら
れていない。
本発明は,以上の問題点を解決するものであり,安定
でかつ,塗膜としての耐水性,耐加水分解性,耐アルカ
リ性に優れ,その上塗料の乾燥性にも優れる水性塗料用
樹脂の製造法及び水性塗料を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は,脂肪酸(a)25〜60重量部,ビスフエノー
ル型エポキシ樹脂(b)70〜20重量部及び1分子中に1
〜4個のグリシジル基を有する脂肪族系エポキシ化合物
(c)0〜40重量部を合計が100重量部となるように配
合し,付加,縮合して得られる脂肪酸エステル(I)10
〜90重量部,一般式 (ただし,式中Rは水素または低級アルキル基であり,
R′は,水素,低級アルキル基またはハロゲンであり,n
は3以上の整数である)で示される化合物(II)1〜20
重量部,並びに他の重合性ビニル単量体(III)89〜0
重量部を(I)成分,(II)成分及び(III)成分の合
計が100重量部となるように配合した混合物中に,ラジ
カル重合開始剤を滴下して重合することを特徴とする水
性塗料用樹脂の製造法,該製造法により得られる水性塗
料用樹脂を含有してなる水性塗料に関する。
本発明に使用する(a)成分である脂肪酸としては,
乾性油又は半乾性油か誘導されうる脂肪酸及び合成脂肪
酸があり,例えば桐油,大豆油,アマニ油,ヒマシ油,
脱水ヒマシ油,サフラワー油,綿実油等から得られる脂
肪酸,合成により得られるバーサチツク酸(シエルケミ
カル社商品名)等が挙げられる。(a)成分としては,
乾性油又は半乾性油から誘導されうる脂肪酸を使用する
のが,常温硬化性を付与できるので好ましいが,不乾性
油から誘導されうる脂肪酸を使用してもよい。(a)成
分は一種又は二種以上使用される。その使用量は,
(a),(b)及び(c)成分の合計100重量部に対し
て25〜60重量部,好ましくは30〜55重量部である,
(a)成分の使用量が25重量部未満であると塗膜の可と
う性が低下し,(a)成分の使用量が60重量部を超える
と塗膜の硬さ及び耐食性が低下する。
(b)成分であるビスフエノール型エポキシ樹脂と
は,ビスフエノールA,ビスフエノールF等のビスフエノ
ールとエピクロルヒドリンの反応によつて得られるエポ
キシ樹脂であり,例えば,エピコート828,エピコート10
01,エピコート1004,エピコート1007,エピコート1009
(いずれも,シエルケミカル社商品名)等として市販さ
れているものが使用できる。(b)成分は一種又は二種
以上使用されるが,軟化点が60℃以上のものが,塗膜性
能の観点から特に好ましい。(b)成分は,(a),
(b)及び(c)成分の合計100重量部に対して70〜20
重量部,好ましくは60〜30重量部配合される。(b)成
分の使用量が20重量部未満であると塗膜の硬さ及び耐食
性が低下し,70重量部を超えると塗膜の可とう性が低下
する。
(c)成分である1分子中に1〜4個のグリシジル基
を有する脂肪族系エポキシ化合物は,必要に応じて使用
される。該化合物としては,ラウリルアルコール,アリ
ルアルコール等の一価脂肪族アルコールのグリシジルエ
ーテル,エチレングリコール,プロピレングリコール,
ブチレングリコール等のアルキレングリコール,ジエチ
レングリコール,ポリエチレングリコール,ジプロピレ
ングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリ(テト
ラメチレングリコール),1,6−ヘキサンジオール,ネオ
ペンチルグリコールなどの二価脂肪族アルコールとジグ
リシジルエーテル,トリメチロールプロパン,グリセリ
ン等の三価脂肪族アルコールのジ−又はトリ−ジグリシ
ジルエーテル,ペンタエリスリトール,ソルビトール,
グリセリン二量体,グリセリン多量体等の四価以上の脂
肪族アルコールのジ−,トリ−又はテトラ−グリシジル
エーテル,アジピン酸,テトラメチレンジカルボン酸等
の脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステルなどがあ
る。(c)成分は一種又は二種以上使用することができ
る。(c)成分は(a),(b)及び(c)成分の合計
100重量部に対して0〜40重量部,好ましくは5〜20重
量部使用される。(c)成分の使用量が40重量部を超え
ると塗料の安定性が劣る。
脂肪酸エステル(I)は,前記(a)成分,(b)成
分及び(c)成分を反応させて得られる。反応方法は公
知の方法により,付加,縮合反応させられる。例えば18
0〜250℃で加熱すればよい。この反応はキシレン,トル
エン等の(a)成分,(b)成分及び(c)成分と反応
しない有機溶剤中で行なつてもよい。また,反応は,
(a)成分,(b)成分及び(c)成分を同時に混合し
て反応させてもよく,(a)成分と(b)成分又は
(c)成分を反応させたのち,(c)成分又は(b)成
分を添加し反応させてもよい。生成物は,(a)成分と
(b)成分のエステル及び(a)成分と(c)成分のエ
ステルの混合物となる。これらのエステルを別個に製造
しておき,混合して使用すると特性が低下しやすいので
好ましくない。このようにして得られる脂肪酸エステル
(I)の存在下に,以下の重合性ビニル単量体を配合
し,重合させる。
本発明に使用される上記の一般式で示される化合物
(II)としては,該一般式において,RがH,CH3,C2H5,C3H
7等,R′がH,CH3,C2H5,C3H7,Cl,Br等の組み合わせのもの
が挙げられ,さらに具体的には,ポリエチレングリコー
ルモノアクリレート,ポリエチレングリコールモノメタ
クリレート等が挙げられる。一般式において,nは3以上
であり,特に5以上であるのが好ましい。nが3未満で
あると充分な効果が得られず,nが5未満であると効果が
低下する傾向にある。市販品としては,ブレンマーPE−
350(R;H,R′:CH3,n;7〜9,日本油脂(株)製),ブレン
マーPE−200(R;H,R′:CH3,n;4〜5)などが使用でき
る。これらは,一種又は二種以上使用することができ
る。(II)成分は,前記(I)成分,(II)成分及び後
述する(III)成分の合計100重量部に対して1〜20重量
部となるように使用される。(II)成分が1重量部未満
であると樹脂の安定性が低下し,20重量部を超えると塗
膜の耐水性が低下する。
本発明に使用する他の重合製ビニル単量体((III)
成分)としては,アクリル酸,メタクリル酸,マレイン
酸,無水マレイン酸,フマル酸,クロトン酸,イタコン
酸等のカルボキシル基を含有するもの,アクリル酸メチ
ル,アクリル酸エチル,アクリル酸n−プロピル,アク
リル酸イソプロピル,アクリル酸n−ブチル,アクリル
酸tert−ブチル,アクリル酸イソブチル,アクリル酸2
−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル,メタクリル
酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸n−プロ
ピル,メタクリル酸イソプロピル,メタクリル酸n−ブ
チル,メタクリル酸tert−ブチル,メタクリル酸イソブ
チル,メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル
酸エステル,スチレン,ビニルトルエン,α−メチルス
チレン等のスチレン系モノマー,酢酸ビニル,アクリル
酸β−ヒドロキシエチル,アクリル酸グリシジル,メタ
クリル酸グリシジル,アクリルアミド,N,N−ジエチルメ
タクリルアミド,アクリロニトリル,メタクリロニトリ
ル等が挙げられ,これらは一種又は二種以上使用するこ
とができる。
他の重合性ビニル単量体(III)は,前記(I),(I
I)成分の残部,すなわち89〜0重量部配合される。
他の重合性ビニル単量体(III)として,カルボキシ
ル基含有重合性ビニル単量体を使用すると,本発明によ
り得られる樹脂にカルボキシル基が導入され,これを,
アミン等で中和,親水化することにより(II)式で表わ
される化合物中の親水性部分とともに水性化が可能にな
り,良好な特性を与えるので好ましい。該カルボキシル
基含有重合性ビニル単量体は,本発明により得られる樹
脂の酸価が5〜40になるように調整して配合されるのが
好ましい。
前記一般式で表わされる化合物(II)及び他の重合性
ビニル単量体(III)は,前記脂肪酸エステル(I)の
存在下に重合される。この場合,脂肪酸エステル/重合
性ビニル単量体((II)および(III)成分)の重量比
が10/90〜90/10,好ましくは50/50〜80/20になるような
割合で配合される。この重量比が小さすぎると水希釈性
が劣り,大きすぎると塗膜の乾燥性が低下しやすくな
る。
本発明における重合性ビニル単量体の重合は,上記の
脂肪酸エステル(I),前記一般式で示される化合物
(II)及び他の重合性ビニル単量体(III)を配合した
混合物中に,ラジカル重合開始剤を滴下して重合する。
この場合,(I),(II)及び(III)成分の混合
物,重合開始剤は各々の有機溶剤と混合又は有機溶剤に
溶解しておくのが好ましい。
有機溶剤としては親水性溶剤が好ましく,このような
ものとしては,例えば,メチルセロソルブ,エチルセロ
ソルブ,ブチルセロソルブ,tert−ブチルセロソルブ,
イソプロピルセロソルブ,イソプロピルアルコール,ブ
チルアルコール,tert−ブチルアルコール,イソブチル
アルコール等を使用することができる。
滴下する重合開始剤の有機溶剤中の濃度は,脂肪酸エ
ステル(I)の分子量,重合濃度,合成温度等の条件に
より適宜決定される。滴下時間および滴下速度は,合成
温度等により適宜選択されるが,通常2〜4時間で均一
に滴下するのが好ましい。滴下時間が短かすぎる(すな
わち滴下速度が大きすぎる)とゲル化,粘度上昇等の問
題が生じやすく,長すぎると分子量が小さくなる傾向に
あり,優れた特性が得られにくい。また,合成温度は80
〜140℃が好ましい。
本発明においては,前述のようにラジカル重合開始剤
を滴下しつつ重合することが必須要件であり,このた
め,重合濃度が高くなりエポキシ脂肪酸エステル(I)
にビニル単量体(II)及び(III)成分がグラフトされ
やすくなつて高分子量化され,高分子量部分が多くな
る。そのために塗膜性能を維持したまま塗料の乾燥性が
著しく向上できる。
こうして得られる樹脂の酸価は5〜40の範囲であるよ
うに調整されるのが好ましい。酸価が5未満であると塗
料安定性が劣る傾向にあり,酸価が40を越えると,塗膜
の耐水性及び耐アルカリ性が劣る傾向がある。酸価の調
整は脂肪酸エステル(I)の酸価とカルボキシル基含有
重合性単量体の使用量を調整することにより行なうこと
ができる また,分子量(数平均,Mn)は,4,000〜7,000,特に4,5
00〜6,500であるのが好ましく,分子量分散度(重量平
均分子量/数平均分子量,Mw/Mn)は4〜7,特に4.5〜6.5
であるのが好ましい。分子量が4,000未満または分子量
分散度が4未満では充分な乾燥性が得られにくく,一方
分子量が7,000を超えるかまたは分子量分散度が7を超
えると,粘度が高くなりすぎたりゲル化したりして塗料
として使用できなくなることがある。
使用するラジカル重合開始剤としては,アゾビスイソ
ブチロニトリル,アゾビスバレロニトリル等のアゾビス
ニトリル型触媒,ベンゾイルパーオキシド,ブチルパー
ベンゾエート等の過酸化物等が用いられる。
このようにして得られた樹脂は,中和後,前記した親
水性溶剤と水の混合溶剤又は水に溶解ないし分散させて
(水希釈して)使用に供することができる。中和及び水
希釈は,前記重合を親水性溶剤中で行なつたときは,重
合完了後,ひきつづいて中和し,さらに水を添加するこ
とによつて行なうことができるが,重合後,脱落したの
ち,中和及び水希釈することもできる。
上記中和は,pHが好ましくは,7〜10になるように,樹
脂中のカルボキシル基の一部又は全部を中和剤により中
和して行なわれる。中和剤としては,アンモニア,トリ
エチルアミン,ジメチルエタノールアミン等のアミン,
水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ金属の
水酸化物,炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩,
重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩等を使用することができ
る。
このようにして得られる水性塗料用樹脂は,水希釈
後,水性塗料としてそのまま使用することができるが,
その他の成分として顔料,可塑剤,溶剤,着色剤等を添
加したり,変性アミノ樹脂,エポキシ樹脂,ポリエステ
ル樹脂,アクリル樹脂等の広範囲の水溶性又は水分散性
樹脂を配合することもできる。例えば,変性アミノ樹
脂,エポキシ樹脂等と組み合わせることにより,焼付用
塗料として使用することができ,特に本発明により得ら
れる水性樹脂のうち,乾性油又は半乾性油の脂肪酸を用
いた場合には,金属乾燥剤を添加したものは,常温硬化
型塗料として有用である。これらは,更に通常使用され
る顔料,表面処理剤,有機溶剤等を用いることにより塗
料化できる。塗料組成物は浸漬法,刷毛塗り,スプレー
塗り,ロール塗り等の方法によつて塗装することがで
き,木材,紙,繊維,プラスチツク,セラミツク,鉄,
非鉄金属等の表面に塗装することができる。
(実施例) 次に,実施例により本発明を詳述するが,本発明はこ
れらに限定されるものではない。
実施例1 (A) 撹拌機,温度計,還流脱水装置及び窒素ガス導
入管を付けた1のガラス製フラスコ中にキシレン10g,
大豆油脂肪酸300g及びビスフエノール型エポキシ樹脂
(エピコート1001,シエルケミカル社製)240gを入れ,
窒素ガスを吹き込みながら230℃で2時間反応させた後
冷却し,エポキシ化合物としてトリメチロールプロパン
のジグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンの
トリグリシジルエーテルの混合物(「デナコールEX32
1」,ナガセ化成工業(株)商品名)40gを加え,還流し
ながら220℃まで加熱し,酸価が1以下になるまで付
加,縮合を進め,この後,キシレンを留去して,脂肪酸
エステルを得た。
(B) 撹拌機,温度計,還流脱水装置及び窒素ガス導
入管を付けた1のガラス製フラスコ中に(A)で得ら
れた脂肪酸エステル252g,ブチルセロソルブ120g,スチレ
ン80g,ブレンマーPE−350(日本油脂株式会社製,商品
名)18g,メタクリル酸10gを入れ100℃に加熱撹拌する。
これにアゾビスイソブチロニトリル9gとブチルセロソル
ブ73gを混合したものを2時間かけて均一に滴下し更に
3時間保温する。80℃に冷却後,トリエチルアミン10.5
gを添加し撹拌する。水280gを加え加熱残分47.3%,粘
度70ポアズ(25℃),pH7.9の水性樹脂を得た。
実施例2 実施例1の(B)においてスチレンを73g,ブレンマー
PE−350を25gに変更した以外は,実施例1と同様に操作
し,加熱残分45.5%,粘度85ポアズ(25℃),pH8.0の水
性樹脂を得た。
実施例3 実施例1の(B)において,スチレンを70g,ブレンマ
ーPE−350を25g,メタクリル酸を13g,トリエチルアミン
を14gに変更した以外は,実施例1と同様に操作し,加
熱残分41.9%,粘度75ポアズ(25℃),pH8.2の水性樹脂
を得た。
比較例1 実施例1の(A)で得られた脂肪酸エステル252g及び
ブチルセロソルブ193gを入れ100℃に加熱撹拌する。ス
チレン80g,ブレンマーPE−350 18g,メタクリル酸10g及
びアゾビスイソブチロニトリル9gを混合し,2時間かけて
均一に滴下し,更に3時間保温する。以下,実施例1と
同様に操作し,加熱残分47.5%粘度80ポアズ(25℃),p
H7.9の水性樹脂を得た。
比較例2 比較例1の(B)において,スチレンを73g,ブレンマ
ーPE−350を25gに変更した以外は比較例1と同様に操作
し加熱残分45.4%,粘度75ポアズ(25℃),pH8.0の水性
樹脂を得た。
比較例3 比較例1の(B)において,スチレンを70g,ブレンマ
ーPE−350を25g,メタクリル酸を13g,トリエチルアミン
を14gに変更した以外は比較例1と同様に操作し,加熱
残分42.0%,粘度65ポアズ(25℃),pH8.2の水性樹脂を
得た。
比較例4 比較例1の(B)において,モノマーとしてスチレン
80g,メタクリル酸28gを使用し,ブレンマーPE−350を使
用しない以外は,比較例1と同様な方法で操作し,加熱
残分35.5%,粘度99ポアズ(25℃),pH9.2の水性樹脂を
得た。
比較例5(樹脂組成) 比較例1の(B)において,モノマーとしてスチレン
88g,メタクリル酸20gを使用し,ブレンマーPE−350を使
用しない以外は,比較例1と同様な方法で操作し,加熱
残分40.5%,粘度85ポアズ(25℃),pH8.9の水性樹脂を
得た。
各実施例及び比較例1〜3により得られた水性樹脂の
分子量分布を以下の方法で測定し,その数平均分子量及
び分子量分散度を表1に示すとともに,チャートを第1
図に示した。
分子量分布測定法;高速液体クロマトグラフイー法 測定条件 ポンプ:655A−11((株)日立製作所製) 検出機;RI655A−30C カラム;ゲルパツクR400M,R440,R450(いずれも日立化
成工業(株)製)を3本直列に接続 溶 媒;テトラヒドロフラン 流 量;2ml/min 試料濃度;0.15g/5ml 各実施例及び比較例により得られた水性樹脂液を下記
のように塗料化し,試験を行なつた。
白エナメル塗料配合 前記成分をガラスビーズの存在下にサントグラインダ
ーを用いて1250rpmで60分間分散させ,ガラスビーズを
除いて白エナメル(I)を得た後,下記の組成物を添加
して白エナメル(II)を得た。
このようにして得られた白エナメル(II)を適量の水
で希釈し,フオードカツプ#4で30〜35秒に調製した。
この塗料の安定性及び塗膜の特性試験結果を表1に示
す。
試験板作成条件 基材:ボンデライト#1077処理鋼板(日本テストパネル
社,厚さ0.8mm) 塗装:エアスプレー(岩田ワイダ61,口径1.5mm),空気
圧4kg/cm2 乾燥:22〜24℃で3日間。
評価基準 塗料安定性;50℃で7日間放置後も塗料成分が均一に溶
解ないし分散しているものを良好とした。
耐食性;JIS K 5400の塩素噴霧試験に準じて行なつ
た。さび幅が1mm以下のものを良好とした。
耐水性;23℃の水に7日間浸漬後,ブリスタ発生なしの
ものを良好とした。
(発明の効果) 本発明の製造法により,得られる水性塗料用樹脂を含
有してなる水性塗料は,耐食性が優れ,塗料固形分が高
く,また塗料安定性も良好でかつ,塗料の乾燥性の優れ
たものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例及び比較例で得られた水性樹脂
の高速液体クロマトグラフイー法によつて測定された分
子量分布を示すチヤートである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂肪酸(a)25〜60重量部,ビスフエノー
    ル型エポキシ樹脂(b)70〜20重量部及び1分子中に1
    〜4個のグリシジル基を有する脂肪族系エポキシ化合物
    (c)0〜40重量部を,合計が100重量部となるように
    配合し,付加,縮合して得られる脂肪酸エステル(I)
    10〜90重量部,一般式 (ただし,式中Rは水素または低級アルキル基であり,
    R′は,水素,低級アルキル基またはハロゲンであり,n
    は3以上の整数である)で示される化合物(II)1〜20
    重量部,並びに他の重合性ビニル単量体(III)89〜0
    重量部を(I)成分,(II)成分及び(II)成分の合計
    が100重量部となるように配合した混合物中に,ラジカ
    ル重合開始剤を滴下して重合することを特徴とする水性
    塗料用樹脂の製造法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造法により得られる水性
    塗料用樹脂を含有してなる水性塗料。
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