JPH0860568A - 糸条の染色装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は糸条の染色装置に関し、回転シャッ
タを使用することにより、糸条の上に任意のタイプのパ
ターンを創出可能とすることにある。 【構成】 糸条２０を連続的に染色するための装置は、
少なくとも一つの染料付与ステーション１５Ａを具えて
いる。該ステーションは染料散布手段１４と保護ケース
形成手段２１とを具え、該保護ケース形成手段は中に糸
条２０を延在させると共に、前記染料散布手段１４と一
致する位置に糸条２０が染料散布手段１４に対面するよ
うに設けられた開放部２１ａを有する。糸条２０と染料
散布手段１４との間には、シャッタ形成手段１６が設け
られ、糸条２０に向かって散布される染料ジェット１７
の遮断と通過を交互に行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、前面を多数の糸条が連
続して走行する少なくとも一つの染料付与ステーション
を具えた糸条を染色するための装置に関し、該染料付与
ステーションは、糸条の通過域に、糸条の運動方向を横
断して染料ジェットを散布するように構成された染料散
布手段を有している。

【０００２】

【従来の技術】連続的に糸条を染色する装置によれば、
連続して走行する糸条に種々の色の染料を付与すること
が可能である。この糸条は、特に敷物又はカーペットを
製造するのに使用される。このような装置は、本出願人
による、１９８９年７月２６日付けのフランス特許89 1
0 277 に記載されている。

【０００３】該装置は、一つのケーシングを有し、該ケ
ーシング内には、固定された散布ノズルによって単色染
料を付与する付与ステーションと、糸条に不連続な染料
のスポットを付与するための染色タービンを具えた三つ
の付与ステーションとが取り付けられている。各タービ
ンは、その外周に染料が通過可能な数個の孔を有し、こ
れによって糸条の上に複数の色彩スポットを作り出す。

【０００４】こうした染料付与ステーションを並べるこ
とによって、連続して繰り返される、所定の順序で並ん
だ一連の異なる色彩のスポットからなるパターンを、糸
条の所定の長さにわたって創出することが可能となる。
各タービンの外周の孔の位置、これらの孔の直径、ター
ビンの回転速度、糸条の走行速度等を変更することによ
って、異なったパターンを創出することが可能である。

【０００５】５cm程度の比較的短い色彩スポットからな
るパターンの場合には、この装置によって満足すべき結
果が得られる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば２０〜
３０cmの範囲の長いスポットからなるパターンを創出す
ることは不可能であり、実際、そうするためには、ター
ビンの孔の直径を大きくすると共に、各タービンを低い
回転速度で駆動する必要がある。しかし、このような条
件で操業した場合、糸条が過度に濡れてしまい、蒸発に
よって染料を固定する次の工程がやり難くなる。

【０００７】更に、糸条は、通常、各染料付与ステーシ
ョンの出口において、それ自体で巻かれてコンベアベル
トの上に堆積させられる。糸条に染料が付着し過ぎた場
合には、堆積工程での染料の飛散が観察されると共に、
異なる染料同士の混合が観察される。ヨーロッパ特許0
26 843には、糸条の走行方向を横断してジェットを噴出
するように構成された散布ノズルを具え、糸条が通過す
る際に該ノズルからの染料ジェットを受けるようになっ
ている染料付与ステーションが開示されている。散布ノ
ズルと糸条との間には、同心円をなすように穿孔された
点状の孔とスロットとを有する１枚の円板が設けられて
いる。一つの孔又はスロットが散布ノズルに一致する
と、糸条は染料ジェットを受けるが、穿孔されていない
円板部分がノズルと糸条との間にある場合には、染料ジ
ェットを受けない。ヨーロッパ特許0 26 843に記載され
たこの円板装置は、一度に一本だけの糸条しか染色でき
ない。この装置においては、糸条は染色チャンバを通過
する際にその全経路を通じて保護されずに走行する。こ
のチャンバ内にはいつも染料の霧が充満しているので、
糸条は、回転する円板の孔が染料ノズルに一致したとき
にスポット状に染色されるだけでなく、チャンバ内を通
過する際にその全経路を通じてチャンバ内の雰囲気によ
って連続的に染色される。このようにして、糸条には、
独立したスポットのみでなく、連続的な背景も与えられ
る。このタイプの複数の染色チャンバを直列に配置する
と、異なった順次の染料の混合である連続的な背景が糸
条に与えられ、各チャンバによって創出されるスポット
の色彩陰影(color shading) はこの染色背景に影響され
る。

【０００８】本発明の目的は、前述の問題を解決し、糸
条の上に任意のタイプのパターンを創出可能な装置を提
供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的は、前記染料付
与ステーションが、糸条をその内部に延在させる保護ケ
ース形成手段を具え、該保護ケース形成手段は染料散布
手段に一致するように設けられた開放部を有し、これを
通じて糸条は前記染料散布手段と対面しており、前記染
料付与ステーションは、糸条と染料散布手段との間に設
けられて糸条に対して散布される染料ジェットの遮断／
通過を交互に行うように構成されたシャッタ形成手段を
具え、該シャッタ形成手段は、実質的に半径方向に延在
する少なくとも一つの開口を有する回転円板を具え、前
記染料散布手段は実質的に前記円板の半径方向に延在し
ている、前述のタイプの装置によって達成される。

【００１０】このシャッタ形成手段によって、染料散布
手段とは独立して、糸条の上に付与される染料スポット
の長さ等の創出されるパターンを変化させることが可能
となる。一方、得られるパターンに影響を及ぼすことな
く、散布される染料ジェットの流量を変化させることも
可能である。

【００１１】本発明によれば、染料散布手段によって散
布される染料ジェットの流量を維持したまま、糸条の上
に大きな染料スポットを創出することも可能である。染
色後の糸条は、過剰に濡れることがなく、後に糸条を堆
積させる際に染料の飛散や混合を回避することができ、
蒸発の際に染料の固定を容易に行うことができる。

【００１２】本発明の好適態様によれば、前記回転円板
は散布される染料ジェットの方向に実質的に平行なシャ
フトを中心に回転する。従って、開口を具えたこの円板
の回転によって、動揺運動をするシャッタ形成手段によ
って得られるよりも、遙かに規則的なやり方で糸条の上
に色彩スポットを周期的に創出することが可能である。
円板上の開口の位置、その寸法、並びに円板の回転速度
に応じて、各色彩スポットの長さとそれぞれの間の距離
を調整することが可能であり、これによって、糸条の上
にあらゆるタイプのパターンを創出することが可能とな
る。

【００１３】本発明の好適態様によれば、円板の開口
は、該円板の所定角度の扇形部によって構成される。糸
条の層が円板の下を移動すると、全糸条は該円板の回転
中心に関するそれらの位置がどこにあろうと、同じよう
に染色される。糸層に対する円板の相対速度は、円板の
回転中心に近い地点では、周辺地点よりも遅いので、開
口の形状によって、層内のすべての糸条に対して同じ糸
長を染料ジェットに曝すことが可能である。

【００１４】本発明のその他の特徴と利点については、
以下の説明によって更に明らかになるであろう。

【００１５】

【実施例】先ず図１を参照すると、本発明の装置によれ
ば、染料付与ステーション１５Ａ，１５Ｂ，１５Ｃの前
面を移動する糸条２０を連続に染色することができる。
更に詳細な説明は、フランス特許89 10 277 を参照され
たい。糸条２０は、互いに平行に実質的に水平な面上に
層状に並列されている。

【００１６】第１染色槽１３によって、すべての糸条２
０に均一な基本色が付与されることが望ましい。各染料
付与ステーション１５Ａ，１５Ｂ，１５Ｃでは、糸条２
０に異なる色彩スポットを付与することが望ましい。染
料散布手段１４は、糸条２０に染料を散布するように構
成されている。

【００１７】この実施例においては、これらの散布手段
１４は固定型の偏平ノズル１４で構成されている。調整
手段は、糸条２０の走行速度と品質に応じて、散布され
る染料ジェットの流量を調節することができる。各染料
付与ステーションに対応して、糸条２０に吸収されなか
った散布染料を回収してリサイクルさせる装置１５’
Ａ，１５’Ｂ，１５’Ｃが設けられている。

【００１８】図２と３に示されているように、保護ケー
ス形成手段２１は通過する糸条２０を保護するように構
成されている。該手段はノズル１４に一致する位置に設
けられた開放部２１ａを有し、糸条２０がノズル１４に
対面して染料ジェット１７の下にくるようにしている。
この保護ケースによって、糸条２０をその経路の限定さ
れた部分２１ａにおいてのみ染色することが可能とな
る。

【００１９】本発明によれば、各付与ステーション１５
Ａ，１５Ｂ，１５Ｃは、散布された染料ジェット１７の
方向に実質的に平行なシャフト１６ａを中心に回転駆動
されるシャッタ形成円板１６を具えている。図３に示さ
れた例では、この円板１６は、該円板１６の半径方向に
延在する二つの開口１８ａと１８ｂを具えている。

【００２０】ノズル１４も円板１６の半径方向に配置さ
れている。各開口１８ａ，１８ｂは、糸条２０が円板１
６の中心の近傍にあろうと、外周の近傍にあろうと、層
内の糸条２０の上に同じ長さのスポットを創出するよう
に、円板１６の所定角度の扇形部によって構成される。
本発明の装置は、図１に示されたように、各染料付与ス
テーション１５Ａ，１５Ｂ，１５Ｃの円板１６の回転を
同期させるための手段１１，１２を具えている。

【００２１】これらの同期手段は、公知のように、円板
１６の回転シャフト１６ａがそれぞれ取付けられている
角度同期装置１２を、ノンスリップ伝達装置を介して操
作する逓降モータ(stepped-down motor)１１によって構
成されている。この同期手段１１，１２は天井１０の上
方に収容され、糸条染色工程によって汚染されないよう
に保護されている。

【００２２】更に、各染料付与ステーション１５Ａ，１
５Ｂ，１５Ｃは、開放位置と前記保護ケース形成手段２
１の開放部２１ａを遮断する閉鎖位置との間を移動可能
なスクリーン２２を具えている。これらのスクリーン２
２は、染料ジェット１７と糸条２０の層との間に設置さ
れ、糸条を保護している。

【００２３】これらのスクリーン２２は、装置が完全に
停止する場合には全付与ステーション１５Ａ，１５Ｂ，
１５Ｃを一斉に操作したり、糸条２０上での一つの色の
染色を一時的に停止する場合等には、必要に応じてそれ
ぞれを操作したりすることができる。シャッタ形成手段
１６は、染料を通過させるための開口を切断によって容
易に形成できるように、薄いプラスチックのシートから
なることが好ましい。

【００２４】円板１６は軽くて丈夫でなければならな
い。外周リング１６ｂによって、開口１８ａ，１８ｂの
ために弱くなった円板１６の構造を強化することが好ま
しい。回転シャフト１６ａの周囲にリング１６ｃを取付
けて、円板が水平面内でシャフト１６ａの周囲でぶらぶ
らしないようにするために、開口は円板１６の中心を越
えて延びてはならない。

【００２５】円板１６のシャフト１６ａは、染料ジェッ
ト１７が円板１６の開口１８ａ，１８ｂの全範囲にわた
って分布するように、ノズル１４の軸に関してずれてい
る。本発明は、図５に示す実施例を参照することによ
り、更によく理解できるであろう。この例においては、
本発明の装置は、異なった染料Ａ，Ｂ，Ｃを付与するよ
うに構成された三つの染料付与ステーションを具えてい
る。

【００２６】各染料付与ステーションは、３０°の開口
（色Ａ）、二つの１０°の開口（色Ｂ）、５°の開口
（色Ｃ）のいずれかを有する円板１６を具えている。こ
れらの円板１６の回転は、糸条２０上に付着した色彩ス
ポットＴＡ，ＴＢ，ＴＣが分離するように、同期させら
れる。糸条の一サイクルＬＣの長さ、即ち糸条２０に沿
って連続して繰り返されるパターンの長さは、円板１６
の回転速度Ｖｃと糸条２０の運動速度Ｖｆとの関数 ＬＣ＝Ｖｆ／Ｖｃ で表される。

【００２７】糸条の速度Ｖｆが３００ｍ／分、各円板の
回転速度Ｖｃが１００ｒｐｍであるならば、糸条２０上
のサイクルＬＣの長さは３ｍとなるであろう。糸条２０
の速度は、通常、連続染色装置の生産能力と糸条２０の
太さとによって決められる。従って、与えられ糸条に対
しては、パターンの長さＬＣは円板１６の回転速度の変
更によって変えられる。

【００２８】スポットＴＡ，ＴＢ，ＴＣの長さＬ_T は、
次の関係式により、円板１６の開口の扇形角度αと糸条
２０に対する円板１６の相対速度とによって決まる。 Ｌ_T ＝α／３６０×Ｖｆ／Ｖｃ＝α／３６０×ＬＣ このようにして、図５に示された実施例では、色Ａのス
ポットＴＡの長さは０．２５ｍ、色ＢのスポットＴＢの
長さは０．０８ｍ、色ＣのスポットＴＣの長さは０．０
４ｍとなる。

【００２９】サイクルの長さＬＣが一旦決まると、スポ
ットＴＡ，ＴＢ，ＴＣの長さは円板１６に設けられる開
口の扇形角度αを変えることによって、変更可能とな
る。こうして、シャッタ形成手段２６によって、糸条の
上に染め出されるパターンを容易に変更することが可能
となり、特に、散布される染料の流量に影響を及ぼすこ
となく、長い色彩スポットを創出することが可能とな
る。

【００３０】本発明は上の実施例に限定されるものでは
なく、本発明の範囲を逸脱することなく多くの変更が可
能なことは言うまでもない。染料散布手段１４として、
糸条２０の走行方向に平行な軸を中心に回転するタービ
ンを用いることもできる。各タービンはその外周の全面
に孔を有する。これら孔の寸法と分布によって、散布さ
れる染料の流量を調整することができるが、従来技術と
異なって、糸条２０上に創出されるパターンに影響を及
ぼすことはない。

【００３１】一例を挙げれば、タービンの外周の孔は
０．５mmの直径を有し、且つタービンは約１５００rpm
の速度で回転する。円板１６は、切取りによって開口を
形成可能なものの代わりに、それぞれが開口を有し共通
の回転シャフト上で相互に回動可能な２枚又はそれ以上
の円板を用いて、該開口の重なりの程度に応じて染料を
通過させる開口の寸法を調節可能に構成してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の装置の全体側面図である。

【図２】図２は本発明の装置の染料付与ステーションの
概略図である。

【図３】図３は図２の側面図である。

【図４】図４は図２の平面図である。

【図５】図５は本発明の装置によって染色された糸条の
一例である。

【符号の説明】

１４…染料散布手段 １６…シャッタ形成手段１４ １７…ジェット ２０…糸条 ２１…保護ケース形成手段 １５Ａ…染料付与アセンブリ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 糸条（２０）の通過域に、該糸条（２
   ０）の走行方向を横断して染料ジェット（１７）を散布
   するように構成された染料散布手段（１４）を有する、
   前面を多数の糸条（２０）が連続して走行する少なくと
   も一つの染料付与ステーション（１５Ａ，１５Ｂ，１５
   Ｃ）を具えた糸条を染色するための装置であって、前記
   染料付与ステーション（１５Ａ，１５Ｂ，１５Ｃ）は、
   糸条（２０）をその内部に延在させる保護ケース形成手
   段（２１）を具え、該保護ケース形成手段（２１）は染
   料散布手段（１４）に一致するように設けられた開放部
   （２１ａ）を有し、これを通じて糸条（２０）は前記染
   料散布手段（１４）と対面しており、前記染料付与ステ
   ーション（１５Ａ，１５Ｂ，１５Ｃ）は、糸条（２０）
   と染料散布手段（１４）との間に設けられて糸条（２
   ０）に対して散布される染料ジェット（１７）の遮断／
   通過を交互に行うように構成されたシャッタ形成手段
   （１６）を具え、該シャッタ形成手段は、実質的に半径
   方向に延在する少なくとも一つの開口（１８ａ，１８
   ｂ）を有する回転円板（１６）を具え、前記染料散布手
   段（１４）は実質的に前記円板（１６）の半径方向に延
   在している装置。
2. 【請求項２】 前記回転円板（１６）が散布される染料
   ジェット（１７）の方向に実質的に平行なシャフト（１
   ６ａ）を中心に回転する請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】 円板の開口（１８ａ，１８ｂ）が、該円
   板（１６）の所定角度の扇形部によって構成される請求
   項１又は２に記載の装置。
4. 【請求項４】 各染料付与ステーション（１５Ａ．１５
   Ｂ．１５Ｃ）の円板（１６）の回転を同期させるための
   手段（１１、１２）を具えている請求項２に記載の装
   置。
5. 【請求項５】 染料散布手段（１４）が固定式の偏平ノ
   ズルである請求項１〜４のいずれか１項に記載の装置。
6. 【請求項６】 染料散布手段（１４）が外周に孔を具え
   た回転タービンである請求項１〜４のいずれか１項に記
   載の装置。
7. 【請求項７】 各染料付与ステーション（１５Ａ．１５
   Ｂ．１５Ｃ）が、更に、開放位置と保護ケース形成手段
   （２１）の開放部（２１ａ）を遮蔽する閉鎖位置との間
   を移動するように構成されたスクリーン（２２）を具え
   ている請求項１〜６いずれか１項に記載の装置。