JPH0860275A - Ti−Ni系金属細線及びその製造方法 - Google Patents

Ti−Ni系金属細線及びその製造方法

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JPH0860275A
JPH0860275A JP19942994A JP19942994A JPH0860275A JP H0860275 A JPH0860275 A JP H0860275A JP 19942994 A JP19942994 A JP 19942994A JP 19942994 A JP19942994 A JP 19942994A JP H0860275 A JPH0860275 A JP H0860275A
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fine wire
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oxygen
refrigerant
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JP19942994A
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Shuji Ueno
修司 上埜
Kohachi Nomura
紘八 野村
Katsuyuki Fujimoto
勝幸 藤本
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 形状記憶特性や超弾性特性を示し、かつ優れ
た伸線加工性を有するTi−Ni系金属細線及びその製
造方法を提供する。 【構成】 熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−N
i系の合金組成からなり、酸素含有量が600ppm以
下であることを特徴とするTi−Ni系金属細線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形状記憶特性や超弾性
特性を示し、かつ優れた伸線加工性を有するTi−Ni
系金属細線及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、難加工性のTi−Ni系合金
をノズルから噴出させて、冷媒中で冷却固化させること
により、形状記憶特性を示すTi−Ni系金属細線が作
製されている。例えば、特開平2−275286号公報
には、黒鉛製のノズルを用いることにより溶湯とノズル
との反応を抑制し、溶湯を冷媒中で冷却固化させること
により、良好な変態点や優れた機械的特性を有するTi
−Ni系合金細線を製造する方法が開示されている。ま
た、特開平2−175055号公報には、溶融したTi
−Ni系合金をシリコンオイル類を含む冷媒流体中に噴
出して凝固させることにより、溶湯と冷媒との反応を抑
制し、連続性に優れ、形状記憶特性を有するTi−Ni
系合金細線を製造する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが上記の特開平2−275286号公報の開示に従
い、紡糸ノズルには黒鉛を、冷媒には水を用いて、回転
液中紡糸法によりTi−Ni系急冷凝固細線を作製した
ところ、作製された細線は、形状記憶特性は示すものの
伸線加工が困難であり、減面率7〜10%のダイヤモン
ドダイスを複数枚用いて冷間伸線を行ったところ、加工
時に切断が頻繁に生じることが判明した。
【0004】また、特開平2−175055号公報の記
載に従い、紡糸ノズルには石英を、冷媒にはシリコンオ
イルを用いて、回転液中紡糸法によりTi−Ni系急冷
凝固細線を作製したところ、この細線も、形状記憶特性
は示すものの伸線加工が困難であり、冷間伸線時に切断
が頻繁に生じることが判明した。さらに、紡糸ノズルに
黒鉛を用い、冷媒にシリコンオイルを用いて回転液中紡
糸法によりTi−Ni系急冷凝固細線を作製しても、冷
間伸線時に切断が頻繁に生じる伸線加工性の悪いTi−
Ni系急冷凝固細線であった。本発明は、形状記憶特性
や超弾性特性を示し、かつ優れた伸線加工性を有するT
i−Ni系金属細線及びその製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意検討の結果、Ti−Ni系
金属細線の酸素含有量を低減させることにより、細線の
伸線加工性を顕著に向上させることができるという事実
を見出し、本発明に到達した。すなわち、第一の発明
は、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系の
合金組成からなり、酸素含有量が600ppm以下であ
ることを特徴とするTi−Ni系金属細線を要旨とする
ものである。また、第二の発明は、Ti−Ni系母合金
を溶解させて溶融金属となし、その溶融金属をノズルか
ら噴出させ、冷媒中で冷却固化させて熱弾性型マルテン
サイト変態を示すTi−Ni系金属細線を製造するに際
し、Ti−Ni系母合金として酸素含有量が600pp
m以下であるTi−Ni系母合金を用い、冷媒としてオ
イルを用いることを特徴とする請求項1記載のTi−N
i系金属細線の製造方法を要旨とするものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
Ti−Ni系金属細線においては、優れた伸線加工性を
有するために、酸素含有量が600ppm以下であるこ
とが必要であり、好ましくは、酸素含有量が450pp
m以下であり、さらに好ましくは、350ppm以下で
ある。Ti−Ni系金属細線において、酸素は、細線表
面の酸化皮膜(酸化物)及び細線内部の固溶酸素あるい
は酸化物として含有されるが、酸素含有量が600pp
mより多くなると、金属細線の伸線加工性が極端に低下
し、冷間伸線工程において減面率5〜10%のダイスを
用いて連続的に伸線加工を行うことが困難になり、伸線
時に切断が頻繁に発生するようになる。なお、金属中の
酸素含有量については、黒鉛ルツボを用いる不活性ガス
融解法(いわゆるガス分析法)により定量できることが
知られているが、本発明のTi−Ni系金属細線中やT
i−Ni系母合金中の酸素含有量についても、Ni金属
浴を利用した黒鉛ルツボを用いる不活性ガス融解法によ
り定量化が可能である。
【0007】また、本発明のTi−Ni系金属細線の合
金組成としては、熱弾性型マルテンサイト変態を示すT
i−Ni系合金であれば、特に限定されるものではない
が、Niの含有量が45〜55原子%であるTi−Ni
系合金又はこの合金中にFe、Co、Mn、Cr、V、
Zrの群から選ばれる1種又は2種以上の元素が合計で
5原子%以下含有する合金、あるいは、Niの含有量が
30〜50原子%、Cuの含有量が0〜20原子%であ
るTi−Ni−Cu合金であることが好ましい。また、
さらに好ましくは、Niの含有量が49.5〜51.5
原子%であるTi−Ni系合金又はこの合金中にFe、
Co、Mn、Cr、V、Zrの群から選ばれる1種又は
2種以上の元素が合計で2原子%以下含有した合金、あ
るいは、Niの含有量が35〜50原子%、Cuの含有
量が0〜15原子%であるTi−Ni−Cu合金があげ
られる。さらに、本発明においては、前記の合金に0.
5原子%以下のCが含有されていても、優れた伸線加工
性を有する、本発明のTi−Ni系金属細線を得ること
ができる。
【0008】本発明のTi−Ni系金属細線は、急冷凝
固状態及び種々の加工熱処理を受けた状態において熱弾
性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系金属細線で
あり、断面が実質的に円形で、急冷凝固状態において形
状記憶特性又は超弾性特性を示し、冷間伸線後に200
〜700℃において1〜60分間熱処理された状態にお
いても形状記憶特性又は超弾性特性を示すものである。
また、本発明のTi−Ni系金属細線は、優れた伸線加
工性を有するため、減面率5〜10%のダイスを用いて
ほとんど切断することなしに冷間で伸線加工が可能であ
り、複数のダイスを用いて50%以上の減面率まで冷間
伸線加工を容易に行うことができる。
【0009】さらに、本発明のTi−Ni系金属細線の
線径としては、200μm以下であることが好ましく、
140μm以下であることがより好ましい。線径が20
0μmより大きくなると、急冷凝固細線として線径斑が
大きくなり、伸線加工時に、線径斑による応力集中のた
め、切断が生じる傾向が強くなる。
【0010】本発明のTi−Ni系金属細線を製造する
には、Ti−Ni系母合金を溶解させて溶融金属とな
し、その溶融金属をノズルから噴出させ、冷媒中で冷却
固化させてTi−Ni系金属細線を製造するに際し、T
i−Ni系母合金として酸素含有量が600ppm以下
であるTi−Ni系母合金を用いることが必要であり、
酸素含有量が450ppm以下、さらには、酸素含有量
が350ppm以下のTi−Ni系母合金を用いること
が好ましい。
【0011】Ti−Ni系母合金の酸素含有量が600
ppmより多くなると、作製した金属細線の酸素含有量
も600ppmより多くなるため、金属細線の伸線加工
性が極端に低下し、冷間伸線工程において、減面率5〜
10%のダイスを用いて連続的に伸線加工を行うことが
困難になり、伸線時に切断が頻繁に発生するようにな
る。また、母合金の酸素含有量が600ppm以下であ
れば、種々の作製法により合金化されたTi−Ni系母
合金を用いることができる。例えば、酸素含有量が合計
で600ppm以下であるように所望の合金組成に秤量
した合金原料を、不活性雰囲気中においてのアーク溶解
法又は黒鉛ルツボを用いた高周波誘導溶解法によって、
本発明に用いられるTi−Ni系母合金を作製すること
ができる。
【0012】さらに、本発明のTi−Ni系金属細線の
製造に用いられる冷媒としては、非水溶液系の冷媒であ
るオイルを用いることが必要であり、そのオイルとして
は、粘性が100cst以下の各種鉱物油、焼き入れオ
イル、エステル系オイル、各種シリコンオイルがあげら
れる。なかでも、ジメチルシリコンオイルやメチルフェ
ニルシリコンオイル等のシリコンオイルを用いることが
好ましい。
【0013】また、本発明のTi−Ni系金属細線の製
造に際して、Ti−Ni系母合金を溶解させて溶融金属
となし、その溶融金属をノズルから噴出させるが、その
ノズルとして、黒鉛、炭化珪素、窒化ホウ素や窒化珪素
などの非酸化物系の材料からなるノズルを用いることが
望ましい。また、ノズルの孔径としては、0.05〜
0.3mmであることが好ましく、より好ましくは、
0.08〜0.15mmである。
【0014】また、本発明のTi−Ni系金属細線を製
造する工業的な方法として、例えば、特開昭56−16
5015号公報に開示された回転液中紡糸法や、特開昭
58−173059号公報に開示されたベルトコンベア
ー法を用いることができる。回転液中紡糸法とは、回転
するドラムの内壁に遠心力で保持された冷媒中に、アル
ゴンなどのガス圧によりノズルから溶融金属を噴出さ
せ、この溶融を冷却固化させてアモルファス金属細線や
結晶質金属細線などを製造する方法である。また、ベル
トコンベアー法とは、ベルトコンベアー上を移動する整
流された冷媒中に、アルゴンなどのガス圧によりノズル
から溶融金属を噴出させ、この溶融金属を冷却固化させ
てアモルファス金属細線や結晶質金属細線などを製造す
る方法である。
【0015】例えば、回転液中紡糸法を用いて本発明の
Ti−Ni系金属細線を製造する場合、溶融金属の入射
角を30〜65度、ドラムの周速度を7〜15m/se
c、オイル冷媒の液深を15〜40mmとすることによ
り、連続したTi−Ni系金属細線を製造することがで
きる。さらに、上記の製造方法において、ノズル先端と
冷媒との距離を3〜15mm程度にすることが望まし
く、また、このノズル先端と冷媒との間を不活性ガスで
満たしてやることが望ましい。このようにすることによ
り、溶融金属を安定して噴出させ、連続したTi−Ni
系金属細線を容易に製造することができる。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって具
体的に説明する。 実施例1 高周波誘導溶解法により、黒鉛ルツボを用いて作製され
た、酸素含有量が430ppmで、合金組成がTi49.9
Ni50.1(数字は原子%を示す)であるTi−Ni系母
合金50gを、直径が130μmのノズル孔を有する黒
鉛ノズル中で高周波誘導加熱により溶解した後、この溶
融金属を、340rpmの速度で回転する直径500m
mのドラム内壁に遠心力によって形成された、液深15
mm、粘性10cstのジメチルシリコンオイルUTN
−901(竹本油脂社製)の冷媒中に入射角50度で噴
出させて、Ti−Ni系急冷凝固細線を作製した。ここ
で、ノズル先端とシリコンオイル表面との間隔を3mm
とし、この間をArガスで満たした。さらに、溶融金属
の噴出温度は1400℃で、黒鉛ノズルよりArガスを
用いて4.5kg/cm2 の加圧下で噴出させた。この
方法により得られた急冷凝固細線の線径は128μmで
あり、長さは580mであった。
【0017】得られた急冷凝固細線の酸素含有量を、N
i金属浴を利用した酸素窒素分析器EMGA−2200
(堀場製作所社製)により測定した結果、445ppm
mであった。また、得られた急冷凝固細線の変態特性を
示差走査熱量分析(DSC)により測定したところ、マ
ルテンサイト変態を開始する温度(Ms)及びマルテン
サイト変態を終了する温度(Mf)は、それぞれ18
℃、−16℃であり、逆変態を開始する温度(As)及
び逆変態を終了する温度(Af)は、それぞれ27℃、
69℃で、熱弾性型のマルテンサイト変態を示すことが
確認された。
【0018】次に、作製した急冷凝固細線を、減面率が
10%のダイスを複数枚用いて冷間伸線を行った結果、
急冷凝固細線100mを減面率50%まで伸線するのに
際し、切断が生じたのは1回のみであった。また、減面
率50%まで伸線加工された細線を、Arガス中で70
0℃において30分熱処理を行ったところ、良好な形状
記憶特性を示した。さらに、Arガス中で400℃にお
いて30分熱処理を行ったところ、良好な超弾性特性を
示した。
【0019】実施例2〜18 表1に示す各組成を有し、酸素含有量が600ppm以
下のTi−Ni系母合金をアーク溶解法によりArガス
中で作製した点以外は、実施例1と同様の条件下でTi
−Ni系急冷凝固細線を作製した。酸素含有量は、Ni
金属浴を利用した酸素窒素分析器EMGA−2200
(堀場製作所社製)により測定し、変態特性は、示差走
査熱量分析(DSC)により測定した。また、伸線加工
性は、実施例1と同様に、急冷凝固細線100mを室温
で減面率50%まで伸線加工を施した際の切断数を求め
て検討した。表1に、実施例2〜18で用いられた各母
合金の合金組成、各母合金及び各急冷凝固細線の酸素含
有量、伸線時の切断数及び変態特性を示す。
【0020】
【表1】
【0021】実施例1の結果と表1の結果より明らかな
ように、酸素含有量が600ppm以下で良好な熱弾性
型マルテンサイト変態を示す実施例1〜18のTi−N
i系金属細線は、減面率50%までの冷間伸線工程にお
いて切断がほとんど生じない優れた伸線加工性を有する
細線であった。
【0022】比較例1〜10 表2に示す各組成を有し、酸素含有量が600ppmを
越えるTi−Ni系母合金を、アーク溶解法によりAr
ガス中で作製した点以外は、実施例1と同様の条件下で
Ti−Ni系急冷凝固細線を作製した。表2に、比較例
1〜10で用いられた各母合金の合金組成、各母合金及
び各急冷凝固細線の酸素含有量、伸線時の切断数及び変
態特性を示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2の結果より明らかなように、酸素含有
量が600ppmを越えるTi−Ni系母合金を用いて
作製されたTi−Ni系急冷凝固細線の酸素含有量は6
00ppmより多くなり、急冷状態において熱弾性型の
マルテンサイト変態は示すものの、減面率50%までの
冷間伸線工程において切断が頻繁に生じる伸線加工性の
悪い細線であった。
【0025】実施例19 冷媒として、粘性が40cstのテトラメチル・テトラ
フェニル・トリシロキサン(メチルフェニルシリコンオ
イル)(東レ・ダウコーニング社製)を用いた点以外
は、実施例1と同様にして合金組成がTi49.9Ni50.1
(数字は原子%を示す)の金属細線の製造を行った。得
られた急冷凝固細線の酸素含有量は437ppmであ
り、急冷凝固細線の変態特性を示差走査熱量分析(DS
C)により測定したところ、Ms及びMfは、それぞれ
16℃、−19℃であり、As及びAfは、それぞれ2
5℃及び68℃で、熱弾性型のマルテンサイト変態を示
すことが確認された。また、作製した急冷凝固細線を減
面率が10%のダイスを複数枚用いて冷間伸線を行った
結果、急冷凝固細線100mを減面率50%まで伸線す
るに際し、切断が生じたのは1回のみであった。
【0026】実施例20 冷媒として、粘性が25cstのJIS1種の焼き入れ
オイル(大同化学社製)を用いた点以外は、実施例1と
同様にして合金組成がTi49.9Ni50.1(数字は原子%
を示す)の金属細線の製造を行った。得られた急冷凝固
細線の酸素含有量は482ppmであり、急冷凝固細線
の変態特性を示差走査熱量分析(DSC)により測定し
たところ、Ms及びMfは、それぞれ17℃、−18℃
であり、As及びAfは、それぞれ25℃及び69℃
で、熱弾性型のマルテンサイト変態を示すことが確認さ
れた。また、作製した急冷凝固細線を減面率が10%の
ダイスを複数枚用いて冷間伸線を行った結果、急冷凝固
細線100mを減面率50%まで伸線するに際し、切断
が生じたのは3回のみであった。
【0027】比較例11 冷媒として、水を用いた点以外は、実施例1と同様にし
て合金組成がTi49.9Ni50.1(数字は原子%を示す)
の金属細線の製造を行った。得られた細線の表面は黒紫
色の厚い酸化層を有し、酸素含有量は2400ppmで
あった。また、得られた急冷凝固細線の変態特性を示差
走査熱量分析(DSC)により測定したところ、Ms及
びMfは、ぞれぞれ10℃、−25℃であり、As及び
Afは、それぞれ15℃、58℃で、熱弾性型のマルテ
ンサイト変態を示すことは確認されたが、作製した急冷
凝固細線を減面率が10%のダイスを複数枚用いて冷間
伸線を行った結果、急冷凝固細線10mを減面率50%
まで伸線するに際し、切断が100回以上生じ、伸線が
ほとんど不可能であった。
【0028】比較例11より明らかなように、冷媒とし
てオイルを用いない製造方法によれば、酸素含有量が6
00ppm以下のTi−Ni系母合金を用いて回転液中
紡糸法により作製された細線であっても、冷媒と溶解し
たTi−Ni系合金との反応が避けられず、酸素含有量
が600ppmより多くなってしまうため、伸線加工性
の悪いTi−Ni系金属細線しか得るこができなかっ
た。
【0029】
【発明の効果】本発明のTi−Ni系金属細線は、優れ
た伸線加工性を有するため、冷間で容易に所望の線径ま
で伸線加工が可能である。また、冷間伸線後に200〜
700℃において1〜60分間熱処理された状態におい
て形状記憶特性又は超弾性特性を示すため、小型アクチ
ェータ用精密バネや小型アクチェータ用細線、衣料用芯
材等として種々の応用が可能である。また、本発明の製
造方法によれば、形状記憶特性又は超弾性特性を示し、
かつ優れた伸線加工性を有するTi−Ni系金属細線を
容易に製造することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 14/00 Z // B21C 1/00 L 9347−4E C22K 1:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi
    −Ni系の合金組成からなり、酸素含有量が600pp
    m以下であることを特徴とするTi−Ni系金属細線。
  2. 【請求項2】 Ti−Ni系母合金を溶解させて溶融金
    属となし、その溶融金属をノズルから噴出させ、冷媒中
    で冷却固化させて熱弾性型マルテンサイト変態を示すT
    i−Ni系金属細線を製造するに際し、Ti−Ni系母
    合金として酸素含有量が600ppm以下であるTi−
    Ni系母合金を用い、冷媒としてオイルを用いることを
    特徴とする請求項1記載のTi−Ni系金属細線の製造
    方法。
JP19942994A 1994-08-24 1994-08-24 Ti−Ni系金属細線及びその製造方法 Pending JPH0860275A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005290467A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Daido Steel Co Ltd 溶融金属形成用Ti系線材の製造方法及び溶融金属形成用Ti系線材
WO2019073754A1 (ja) * 2017-10-10 2019-04-18 株式会社古河テクノマテリアル Ti-Ni系合金、これを用いた線材、通電アクチュエータ及び温度センサ並びにTi-Ni系合金材の製造方法

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US11313732B2 (en) 2017-10-10 2022-04-26 Furukawa Techno Material Co., Ltd. Ti—Ni-based alloy; wire, electrically conductive actuator, and temperature sensor, each using this alloy; and method of producing a Ti—Ni-based alloy

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