JPH0859605A - メルカプトカルボン酸エステルの合成 - Google Patents
メルカプトカルボン酸エステルの合成Info
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Abstract
4の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基を表し、R
は炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基
を表し、Yは塩素または臭素原子を表す)で表されるハ
ロゲン化カルボン酸エステルにアンモニウムメルカプタ
ン、アルカリ金属メルカプタンまたはアルカリ土類金属
メルカプタンを作用させることによってHS−X−CO
OR(ここで、RおよびXは上記と同じものを意味す
る)で表される対応するエステルを合成する方法の改
良。 【解決手段】 反応を無水または実質的に無水のアルコ
ール媒体中で少なくとも絶対圧10バールの硫化水素圧下
で行う。
Description
酸エステルの合成に関するものであり、特に、下記一般
式(I) で表されるエステルの合成に関するものである: HS−X−COOR (I) (ここで、Xは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖を有す
るアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜18、好ましくは
1〜12の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を表
す。)
各種中間体、特にポリ塩化ビニルの熱安定化剤として有
用な中間体として工業的に利用されており、低級アルコ
ールエステルの場合(特にR=メチルの場合)には、植
物防疫剤として有用な複素環式誘導体(チオフェンまた
はチアゾール誘導体)の合成中間体として利用される。
エステル(I) を得るための主ルートはアルコールROH
を酸HS−X−COOHでエステル化するものである。
この酸自体は対応するクロロ(またはブロモ)カルボン
酸にハイドロサルファイト(メルカプタン)を作用させ
て得られる。この方法は全体収率が非常に優れている
が、多量の塩類廃水が生ずるという欠点がある。
リ金属メルカプタンを作用させてメルカプトカルボン酸
エステルを得る方法も知られている。特に、アケソン
(R. M.ACHESON) 達は、この方法を用いて無水メタノー
ル中でメチルα−ブロモ−α−メチルプロピオネートに
ナトリウムメルカプタンを作用させてメチルα−メルカ
プト−α−メチルプロピオネートを合成している (J. C
hem. Soc. 1961、第 650〜660 頁(特に、第 656頁)。
しかし、その収率は非常に低い(約36%)。さらに、日
本の特許出願第48-86818号、第63-10755号および第2-30
4061号を挙げることもできるが、これらは全て水の存在
下で操作を行い、水性アルコール媒体中(第48-86818
号、第63-10755号)または相転移剤を含む水−トルエン
媒体中(第2-304061号)で操作を行う。
中に所定の量の水(メルカプタンの生成時に生ずる可能
性のある水以外)が存在すると、反応の選択性に不利で
あること、そして、硫化水素圧を高くして操作すると選
択性がさらに向上するということを見出し、本発明を完
成させた。
るアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜18の直鎖または
分岐鎖を有するアルキル基を表し、Yは塩素または臭素
原子を表す)で表されるハロゲン化カルボン酸エステル
にアンモニウムメルカプタン、アルカリ金属メルカプタ
ンまたはアルカリ土類金属メルカプタンを作用させるこ
とによって式(I) : HS−X−COOR (I) (ここで、RおよびXは上記と同じものを意味する)で
表される対応するエステルを合成する方法において、反
応を無水または実質的に無水のアルコール媒体中で少な
くとも絶対圧10バールの硫化水素圧下で行うことを特徴
とする方法を提供する。
反応系(in situ) でメルカプタンを作る場合に生じる可
能性のある水、例えば下記反応: NaOH+H2 S→NaSH+H2 O に従ってナトリウムメルカプタンを作る場合に生じる水
以外には、反応媒体が水を含まないということを意味し
ている。アルコールとしては炭素数1〜4の低級アルコ
ールを用いることができ、イソプロパノールが好まし
く、特に、メタノールが好ましい。反応は温度0℃〜80
℃で行うことができるが、10℃〜60℃で操作するのが好
ましい。
とができるが、絶対圧10〜20バールにするのが有利であ
る。本発明方法は下記: Cl−X−COOH + ROH → Cl−X−COOR
+ H2 O のエステル化反応に従って極めて高い収率(約96%)で
得られる塩化カルボン酸エステルを出発物質とするのが
好ましいが、ブロモカルボン酸エステルを出発物質とす
ることもできる。反応媒体中でのエステル(II)の初期濃
度は使用するエステル(II)の種類によって変わるが、ア
ルコール1リットル当り1〜5モルにすることができ
る。
カプタンとアルカリ土類金属メルカプタン、例えばNaS
H、KSHおよび Ca(SH)2を用いることもできるが、
水を生じずにその場(in sutu) で合成可能なアンモニウ
ムメルカプタンを用いるのが好ましい。メルカプタン/
エステル(II)のモル比は一般に1〜2にするが、エステ
ル(II)を完全に変換させるには 1.1〜1.5 にするのが好
ましい。当然ながら、この比の値は Ca(SH)2のような
2官能価のメルカプタンを使用する場合には2分の1に
しなければならない。
チ式)に行うことができる。本発明方法は、アルコール
ROHを酸HS−X−COOHでエステル化するメルカ
プトカルボン酸エステルの通常の合成方法に比べて、副
生成物(アンモニウム塩、アルカリ金属塩またはアルカ
リ土類金属塩)が2分の1になり、塩類廃水の量が大幅
に減少するという利点がある。事実、反応混合物中の過
剰のメルカプタンを酸(好ましくはHClまたはH2S
O4)で中和した後に、沈澱した塩はアルコールを蒸発
させる前または後に濾過で簡単に分離することができ
る。以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記
実施例に限定されるものではない。パーセンテージは重
量%で示し、硫化水素の圧力は絶対圧で示す。
メタノール溶液151 g(すなわち0.808 モルのNH3 )
を導入した後、絶対圧力12バールになるまで硫化水素を
導入した。その後、温度を10±2℃に保った状態でポン
プを用いて120g(0.57モル)の2−エチルヘキシルク
ロロ酢酸を40分かけて導入した。反応物を1時間攪拌し
後、オートクレーブを開けた。メタノール溶液を分析し
た結果、この溶液は49.3%の2−エチルヘキシルチオグ
リコラートと、1.2 %の2−エチルヘキシルチオジグリ
コラートとを含むことが分かった(従って、2−エチル
ヘキシルチオグリコラートの収率は97.4%)。塩酸を用
いて中和した後、メタノール溶液を減圧下で加熱してメ
タノールを蒸発させ、次いで、濾過によって沈澱した塩
化アンモニウムを除去し、最後に蒸留した。こうして、
酸の残留がない2−エチルヘキシルチオグリコラートが
純度99%以上で得られた。
%メタノール溶液 350g(すなわち0.53モルのNaSH)
を導入し、次いで硫化水素を導入して圧力を10バールに
した。温度を10℃に保ちながら、39g(0.36モル)のメ
チルクロロ酢酸を導入した。反応終了後、圧力を大気圧
に戻した後に得られたメタノール溶液は、 8.7%のメチ
ルチオグリコラートと、0.96%のメチルチオジグリコラ
ートと、0.01%以下のメチルクロロ酢酸とを含んでい
た。メチルチオグリコラートの収率は89%に相当する。
温度および/またはメルカプタン/2−エチルヘキシル
クロロ酢酸の比を変えて、2−エチルヘキシルチオグリ
コラートの合成試験を7回行った。比較例として行った
実施例3、4では、メタノールの全量(実施例3)また
は半量(実施例4)を水で置き換えた。操作条件および
得られた結果は〔表1〕に示す。なお、表中のRは−C
H2 COOC8 H17−基を表す。
Claims (7)
- 【請求項1】 式(II): Y−X−COOR (II) (ここで、Xは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖を有す
るアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜18の直鎖または
分岐鎖を有するアルキル基を表し、Yは塩素または臭素
原子を表す)で表されるハロゲン化カルボン酸エステル
にアンモニウムメルカプタン、アルカリ金属メルカプタ
ンまたはアルカリ土類金属メルカプタンを作用させるこ
とによって、式(I) : HS−X−COOR (I) (ここで、RおよびXは上記と同じものを意味する)で
表される対応するエステルを合成する方法において、 反応を無水または実質的に無水のアルコール媒体中で少
なくとも絶対圧10バールの硫化水素圧下で行うことを特
徴とする方法。 - 【請求項2】 アルコールがメタノールまたはイソプロ
パノールである請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 硫化水素圧が絶対圧10〜20バールである
請求項1または2に記載の方法。 - 【請求項4】 温度0〜80℃、好ましくは10〜60℃で操
作を行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 - 【請求項5】 反応媒体中のエステル(II)の初期濃度が
アルコール1リットル当たり1〜5モルである請求項1
〜4のいずれか一項に記載の方法。 - 【請求項6】 メルカプタン/エステル(II)のモル比
が、1〜2、好ましくは1.1 〜1.5 である請求項1〜5
のいずれか一項に記載の方法。 - 【請求項7】 アンモニウムメルカプタンを用いる請求
項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
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