JPH0857028A - 脱臭剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンモニア、アミン類あるいはメルカプタン
類などの悪臭を吸着する脱臭剤を提供する。 【構成】 稲藁、麦藁、玉蜀黍の茎、笹の葉等の枯死植
物体の粉砕物あるいは大鋸屑などに第一鉄塩水溶液の単
独あるいは第一鉄塩及び第二銅塩との混合水溶液を含浸
させてなることを特徴とする脱臭剤、その脱臭剤が袋状
の不織布または和紙に収納されている脱臭用構造物袋、
及びその脱臭剤と粒状ベントナイトとが混合されて砂状
となっているペット動物し尿処理用砂。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は便所、冷蔵庫、ごみ箱、
ペットケージなどで発生する臭気、特にこのような場所
で放出されるアンモニア、アミン類、メルカプタン類等
の悪臭を除去するのに適した脱臭剤およびこの脱臭剤を
利用した脱臭用構造物並びにペット動物し尿処理用砂に
関する。

【０００２】

【従来の技術】便所や冷蔵庫内の臭気を除去する方法と
して、従来芳香剤で悪臭をマスキングする方法活性
炭で臭気成分を吸着させる方法Ｌ−アスコルビン酸と
硫酸第一鉄からなる脱臭剤（商品名アニコ、特公昭６１
−４３０９１号公報）が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記三
方法とも次のような問題点がある。すなわち、の方法
は臭気物質の除去ではなく、単に芳香性物質により悪臭
を被覆して芳香性を付与するものであり、人により匂い
に対する嗜好性が異なるので、必ずしも好まれる方法で
はない。の方法は吸着能力に限界があり、かつ比較的
高価であるので、普及に限界がある。の方法は及び
の欠点を改良するべく考案されたものであるが、構成
材料の一つであるＬ−アスコルビン酸が高価であるため
必ずしも十分に普及していない。

【０００４】本発明はこれらの問題点を解決し、安価で
使いやすい脱臭剤を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の考
え方を発展させ、かつ安価な原料を用いて普及し易い製
品の開発を意図して、種々研究した結果、第一鉄塩水溶
液または第一鉄塩及び第二銅塩の混合水溶液を稲藁、麦
藁、玉蜀黍の茎、笹の葉など通常廃棄される枯死した植
物体の粉砕物に第一鉄塩水溶液に含浸させると、これら
の枯死植物体粉砕物の臭気吸着能力が著しく高まること
を発見した。

【０００６】したがって、本発明は第一鉄塩水溶液の
単独または第一鉄塩および第二銅塩の混合水溶液を枯死
植物体の粉砕物に含浸させてなるることを特徴とする脱
臭剤、このような脱臭剤が袋状の不織布または和紙に
収納されている脱臭用構造物及びこの脱臭剤と粒状ベン
トナイトが混合されて砂状となっているペット動物し尿
処理用砂に関するものである。

【０００７】本発明者は、植物の細胞組織が極めて微細
な空隙を有しており、更にその構成物質の一部であるリ
グニンの分子構造にはＬ−アスコルビン酸が有する酸化
還元され易い構造と同じ様な分子構造を多数有している
ことに着目し、これを活用すればＬ−アスコルビン酸よ
り高性能の脱臭機能を発揮するであろうと推察し、種々
検討した結果、本発明に到達したものである。

【０００８】稲、麦、玉蜀黍、竹、笹の葉などの枯死し
た植物体を粉砕機例えばウイレー型粉砕機にて粉砕した
粉砕物（篩の網目２ｍｍを通過する程度の大きさが好適
であるが粉砕物粒子の大きさは特に限定されない）に第
一鉄塩水溶液を均一に混合・含浸させる。第一鉄塩とし
ては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄などのいず
れでも良く、またこれらの混合物でも差し支えない。枯
死植物体への第一鉄塩の添加量は特に限定する必要はな
いが、不必要に多くすべきではなく、例えば硫酸第一鉄
七水塩の場合乾燥植物体に対して１０％〜３０％の濃度
で優れた脱臭性能が発揮される。散布する第一鉄塩の水
溶液濃度としては特に限定する必要はないが、５〜２５
％水溶液を均一に噴霧、含浸させると好適である。この
場合リボンブレンダーのような混合機を用いてスプレー
しながら混合すると均一に混合・含浸される。

【０００９】第一鉄塩を混合させた後水分を乾燥させ
る。乾燥方法は減圧乾燥でも良いし、通常の加熱乾燥で
も良いが乾燥温度は低い方が好ましく、９０℃以下で乾
燥することが望ましい。乾燥の程度は特に限定されない
が、粉砕物の取扱いが容易であるような含水率でよい。

【００１０】第一鉄塩に第二銅塩例えば硫酸銅、硝酸
銅、塩化第二銅のいずれか単独あるいはこれらの混合物
を加えると第一鉄塩単独の場合よりも吸着性能が向上す
る事が確認された。銅塩の添加量は特に限定する必要は
ないが、第一鉄塩に対して５〜２０％で十分である。

【００１１】このようにして得られた枯死植物体粉砕物
の第一鉄塩含浸物あるいは第二銅塩との混合含浸物は従
来の脱臭剤に比べてより優れた脱臭性能を有する事が確
認された。

【００１２】以下に具体的に本発明の実施態様を例示す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。

【００１３】

【実施例１】製材工場で発生する大鋸屑を風乾し、２ｍ
ｍの篩を通過したもの４０ｇに硫酸第一鉄七水和物５ｇ
を水１５０ｍｌに溶解した水溶液をスプレーで均一に噴
霧含浸させ、室温で自然乾燥させる。この含浸物を本発
明脱臭剤１とする。

【００１４】同様にして上記硫酸第一鉄七水和物５ｇを
１０ｇとした以外はすべて同じにして作製した含浸物を
本発明脱臭剤２とする。

【００１５】これらの脱臭剤１ｇをそれぞれ採取し、内
容積２４０ｍｌのガラス瓶に入れ、１０％アンモニア水
溶液をミニピペットで滴下し、密封する。滴下数は、２
滴、４滴、６滴の物を用意する。

【００１６】同様にして、４０％メチルアミン水溶液２
滴、４滴、６滴をそれぞれの含浸物に滴下し、密封す
る。

【００１７】一時間室温に放置してから瓶中のアンモニ
ア及びメチルアミンの濃度を（株）ガステック製のガス
検知管を用いて測定した。ブランク試験として大鋸屑単
独の場合も同時に評価した。

【００１８】その結果を表１に示す。

【００１９】以上の結果から、大鋸屑単独では吸着性能
は大きくないが、第一鉄塩を含浸させた本発明脱臭剤１
及び２では吸着性能が著しく高まり、かつ鉄塩の含浸量
が大きくなると更に吸着性能は高まる事が明らかになっ
た。

【００２０】

【実施例２】実施例１の本発明脱臭剤２の試料を用いて
市販の椰子殻活性炭「キムコ」及び脱臭剤「アニコ」と
の吸着性能を比較した。試験要領は実施例１と全く同様
とし、アンモニア水溶液及びメチルアミン水溶液はそれ
ぞれ１０滴及び８滴とした。

【００２１】測定結果を表２に示す。

【００２２】

【実施例３】稲藁を長さ３ｍｍに細断し、コーヒーミル
にて粉砕する。この粉砕物２５ｇに硫酸第一鉄七水和物
の７％水溶液４０ｍｌを霧吹きにより均一に散布し、室
温にて乾燥させる。この硫酸第一鉄含浸稲藁を本発明脱
臭剤３とする。この１ｇを採取し、内容積２４０ｍｌの
ガラス瓶に入れ、１０％のアンモニア水溶液をミニピペ
ットで１０滴滴下し、直ちに密封する。同様にして、市
販の椰子殻活性炭キムコ及び脱臭剤アニコを比較例とし
て試験した。アンモニアを滴下して１時間経過してか
ら、ガラス瓶中のアンモニア濃度をガス検知管により測
定した。

【００２３】また、同様にして４０％メチルアミン水溶
液８滴した場合についても評価した。

【００２４】その結果を表３に示す。

【００２５】

【実施例４】実施例１で用いた大鋸屑１０ｇに、硫酸第
一鉄七水和物１０ｇと硫酸銅五水和物２ｇを１５０ｍｌ
の水に溶解した混合水溶液をスプレーで均一に散布し、
風乾する。この含浸物を本発明脱臭剤４とする。

【００２６】同様にして、実施例３で用いた稲藁粉砕品
１０ｇに上記の混合水溶液１５０ｍｌを含浸させ、風乾
する。これを本発明脱臭剤５とする。

【００２７】これらの試料１ｇをガラス瓶に採取し、実
施例１と同じ要領で１０％アンモニア水溶液１２滴並び
に４０％メチルアミン水溶液８滴を滴下し、１時間室温
放置後瓶中のガス濃度をガス検知管で測定する。比較の
ためアニコ及びキムコについても評価した。

【００２８】その結果を表４に示す。

【００２９】以上の結果から、一価の鉄イオン単独より
も二価の銅イオンが共存する場合相乗効果により吸着性
能は著しく向上する事が明らかになった。

【００３０】

【実施例５】乾燥した熊笹の葉を細断し、コーヒーミル
にて粉砕する。２ｍｍの篩を通過する物１０ｇに、実施
例４と同じ濃度の硫酸第一鉄と硫酸銅の混合水溶液４０
ｍｌを均一に含浸させる。これを風乾した物を本発明脱
臭剤６とする。この１ｇを採取し、実施例１と同じ要領
で、１０％アンモニア水溶液１０滴及び１５滴を滴下し
て密封し、室温で１時間放置した後の瓶中のアンモニア
濃度はそれぞれ０及び２５ｐｐｍであった。

【００３１】

【実施例６】実施例１の本発明脱臭剤２の５ｇをポリプ
ロピレン製不織布を用いた袋（縦１０ｃｍ×横７ｃｍ）
に詰めたものをインコの鳥かごの中に吊り下げたところ
何もしない場合に比べて臭気はかなり軽減した。

【００３２】

【実施例７】ヒマラヤン種のペット猫の飼育において、
実施例４の本発明脱臭剤４の２００ｇと粒状ベントナイ
ト１ｋｇを混合したものをいわゆるペット砂として用
い、市販のペット砂と比較した結果、明らかにし尿の匂
いが少なくなることを確認した。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明による脱臭
剤は従来の脱臭剤に比べて悪臭成分の吸着性能が優れて
おり、かつ安価な原料で製造できるので、悪臭防除の必
要がある用途への広い適用が可能になる。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第一鉄塩水溶液の単独または第一鉄塩お
   よび第二銅塩の混合水溶液を枯死植物体の粉砕物に含浸
   させてなることを特徴とする脱臭剤。
2. 【請求項２】 枯死植物体が稲藁、麦藁、玉蜀黍の茎、
   竹及び笹の葉のいずれか一種または二種以上である請求
   項１記載の脱臭剤。
3. 【請求項３】 枯死植物体の粉砕物が大鋸屑である請求
   項１記載の脱臭剤。
4. 【請求項４】 第一鉄塩が、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、
   及び硝酸第一鉄のいずれか一種または二種以上からな
   り、そして第二銅塩が硫酸銅、硝酸銅、及び塩化第二銅
   のいずれか一種または二種以上からなる請求項１記載の
   脱臭剤。
5. 【請求項５】 請求項１記載の脱臭剤が袋状の不織布ま
   たは和紙に収納されている脱臭用構造物。
6. 【請求項６】 請求項１記載の脱臭剤と粒状ベントナイ
   トが混合されて砂状となっているペット動物し尿処理用
   砂。