JPH085647Y2 - 中央部分を強化織成したシーツ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、敷ふとん等に被せ使用するシーツに関し、
特に中央部分を強化織成したシーツに関するものであ
る。

（従来の技術） 従来、シーツは強度的に全体均質に織成した織布から
成るのが通例であるが、使用に際して中央部分に身体を
横たえる関係上、その中央部分、とりわけ腰の当たる部
分だけが摩耗による傷みを早く生じてしまい、これ以外
の両側部分がそれほどには傷まないにもかかわらず使用
できなくなって廃棄処分しなければならなくなるという
問題があり、非合理的であり、不経済であった。また、
だからといってシーツの場合、部分的に強度を変えるよ
うに適当に布地を継ぎ合わせるというようなことは、継
ぎ目が身体に当たって不快であるので不可であった。ま
た、シーツの織布に対して化学的方法等による後処理に
よって部分的に強度を高めるような方法も耐久性や身体
への影響において実施困難であった。従って、この問題
の良好な解決策はいまだ実現されていないのが実情であ
った。

（考案が解決しようとする課題） 本考案はシーツにおける上記のような従来懸案の問題
を良好に解決することを課題とするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は、一製織工程で織成されるシーツにおいて、
その左右幅方向における中央部分を両側部分よりも経糸
の密度を高くし、又は太い経糸を使用し、又は耐摩耗性
及び引張強度の高い経糸を使用して耐摩耗強度及び引張
強度を高強度に織成したものである。

（作用） 本考案のシーツによれば、左右幅方向における中央部
分を両側部分よりも耐摩耗強度及び引張強度を高強度に
織成したものであるので、使用に際してその中央部分と
りわけ腰が当たる部分が摩耗による傷みを両側部分より
も早く生じてしまうことがなくなる結果、耐用期間を長
くでき、経済的になる。しかも、そのことがシーツの一
製織工程での織成における経糸の密度又は種類に関する
選択によって組織そのものにおいてなされるものであ
り、布地の継ぎ合わせや後処理によってなされるもので
はないので、身体への不快感や悪影響のおそれなく快適
に使用できるとともに、作用の持続性が高く、また製造
も容易で能率的、経済的にできるものである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。第１図に示すシーツ（１）は一製織工程で平織製織
される一枚の織布からなる所要の大きさのものであっ
て、基本的に通常の織成方法通り、その組織における経
糸の方向を当該シーツ上下の縦幅方向とし、緯糸の方向
を当該シーツの左右の横幅方向とするものである。

本考案は、かかるシーツ（１）において、その左右幅
方向における全幅Ｗの約1/3に当る幅（ｗ）の中央部分
（Ａ）と、その左右の各々全幅の約1/3に当る両側部分
（B,B）とに分け、該左右両側部分（B,B）をさらにほぼ
二等分して中央部分（Ａ）寄りの（全幅の約1/6に当
る）内側部分（B₁，B₁）と左右両側端の（全幅の約1/6
に当る）外側部分（B₂，B₂）とに分け、上記中央部分
（Ａ）は、その両側の内側部分（B₁，B₁）よりも、又該
内側部分は、その両側の外側部分（B₂，B₂）よりも、耐
摩耗強度及び引張強度を高強度に織製するものであり、
これを使用する経糸に関する構成の変化によって実現す
るものである。即ち、その構成において中央部分（Ａ）
は両側の内側部分（B₁，B₁）よりも、又内側部分（B₁，
B₁）はその外側部分（B₂，B₂）よりも、第１には経糸の
密度を高く織成すること、又第２には経糸に太い糸を用
いて織成すること、第３には経糸に耐摩耗性及び引張強
度が特に高い糸を用いて織成することであり、これら第
１〜第３の構成のうちのいずれか一つを選択的に適用
し、或いはそれらを任意選択的に組合わせて適用するこ
とによって、外側から中央部分にかけて段階的に順次耐
摩耗強度及び引張強度を高強度に増大して構成すること
により中央部分を強化織成したシーツが得られる。

しかして、前記経糸に関する第１の構成においては、
中央部分（Ａ）の経糸の密度をその両側の内側部分
（B₁，B₁）の経糸の密度よりも10％前後高くし、さらに
内側部分（B₁，B₁）の経糸の密度をその外側部分（B₂，
B₂）の経糸の密度よりも約10％高くし、従って中央部分
（Ａ）の経糸の密度を外側部分（B₂，B₂）の経糸の密度
より約20％程度高くするのが実用上良好である。その一
具体例をあげると、経糸と緯糸のいずれにも綿70％、ポ
リエステル30％又は綿50％、ポリエステル50％の混紡糸
で太さ22番手（S/1）の糸を用いて平織でシーツを織製
する。この場合緯糸の密度を全体にわたり58本/1インチ
（2.54cm）とし、経糸の密度を外側部分（B₂，B₂）にお
いては58本/1インチ（2.54cm）、内側部分（B₁，B₁）に
おいては63本/1インチ（2.54cm）、中央部分（Ａ）にお
いては68本/1インチ（2.54cm）として織成する。これを
テストしたところ、内側部分（B₁，B₁）が外側部分
（B₂，B₂）に比して平面的な耐摩耗強度において10％前
後高く、縦方向の引張強度において10％前後高く、また
中央部分（Ａ）が内側部分（B₁，B₁）に比して平面的に
耐摩耗強度において10％前後高く、縦方向の引張強度に
おいて10％前後高いという実用的に好ましい結果が得ら
れた。

又前記経糸に関して、第２の構成を実施する場合に
は、経糸の太さを例えば外側部分（B₂，B₂）においては
22番手の糸を、その内側部分（B₁，B₁）においては20番
手の糸を、そして中央部分（Ａ）においては18番手の糸
をそれぞれ使用するようにすればよい。

また、前記経糸に関する第３の構成を実施する場合に
は、糸の材質や混紡度、或いは強化加工等において適当
な種類の糸を選択し、中央部分（Ａ）はその両側の内側
部分（B₁，B₁）よりも、又該内側部分はその外側部分
（B₂，B₂）よりも耐摩耗性及び引張強度の高い糸を用い
るようにすればよい。

（考案の効果） 以上の通り、本考案のシーツは、一製織工程で平織製
織され、経糸の密度や太さ、又は耐摩耗性及び引張強度
等による経糸の種類に関する選択によって組織そのもの
においてシーツの左右幅方向における外側部分より中央
部分にかけて段階的に耐摩耗強度及び引張強度を高強度
に組成してなり、即ち、耐摩耗強度及び引張強度におい
てシーツの横幅方向における約1/3に当る中央部分は、
その左右両側の横幅方向約1/6に当る両内側部分よりも1
0％前後高く、該両内側部分は、その左右両側の横幅方
向約1/6に当る両外側部分よりも10％前後高く、従って
中央部分は外側部分よりも耐摩耗強度及び引張強度にお
いて20％前後高強度となっているため、シーツの使用に
際して常に身体を横たえて使用頻度が高く摩耗度の最も
激しい中央部分は、最も高強度となっており、中央部分
に次いで使用頻度の高いその両側の内側部分も次いで高
強度となっており、従ってこれら使用頻度の高い部分が
摩耗による傷みを左右両外側部分よりも早く生じてしま
うというおそれはなくなり、シーツの耐用期間を長くす
る経済的効果がある。

しかも、本考案のシーツは前記の通り一製織工程によ
り平織製織され、身体を横えることの少ない左右の両外
側部分は経緯共に糸の密度を同じくし、上記強化部分の
強化は経糸のみの変化により実現するものであるから、
シーツの製織工程は簡単で極めて能率的であるので前記
の長期耐用という作用的経済効果と合わせて相乗的経済
的効果大なるものがある。

又使用に際して身体への悪影響や不快感もなく快適に
使用できる等の作用上の効果があり、従って、本考案の
シーツは、従来の課題を合理的に解決し得た実用的価値
の高いシーツということができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す平面図である。 （１）…シーツ （Ａ）…中央部分 （Ｂ）…両側部分 （B₁）…両側の内側部分 （B₂）…両側の外側部分 （Ｗ）…シーツの全幅 （ｗ）…中央部分の幅

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】経糸、緯糸のいずれにも綿約70％とポリエ
   ステル約30％又は綿約50％とポリエステル約50％の混紡
   糸を用い経糸、緯糸各一本宛により、一製織工程で平織
   織製され、その組織における経糸の方向を縦幅方向と
   し、緯糸の方向を横幅方向とするシーツ（１）におい
   て、その横幅方向において全幅Ｗの約1/3程度に当る中
   央部分（Ａ）と各々全幅の約1/3宛に当る両側部分（B,
   B）とに分け、さらに両側部分（B,B）をほぼ二等分して
   それぞれ全幅の約1/6となる中央部分寄りの内側部分（B
   ₁，B₁）とその外側部分（B₂，B₂）とに分け、上記中央
   部分（Ａ）は、その両側における内側部分（B₁，B₁）よ
   りも、又上記内側部分（B₁，B₁）はその外側部分（B₂，
   B₂）よりも、それぞれ経糸の密度を10％程度高くし、又
   は太い経糸を使用し、或いは耐摩耗性及び引張強度の高
   い経糸を使用することにより、さらにこれら強度増大手
   段を任意選択的に組合わせて適用することにより外側部
   分から順次中央部分にかけて段階的に耐摩耗強度及び引
   張強度を増大して高強度に織成してなることを特徴とす
   る中央部分を強化織成したシーツ。