JPH0855780A - 露光装置 - Google Patents

露光装置

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JPH0855780A
JPH0855780A JP6210666A JP21066694A JPH0855780A JP H0855780 A JPH0855780 A JP H0855780A JP 6210666 A JP6210666 A JP 6210666A JP 21066694 A JP21066694 A JP 21066694A JP H0855780 A JPH0855780 A JP H0855780A
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JP
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mask
amount
image forming
exposure apparatus
expansion
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JP6210666A
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English (en)
Inventor
Tsuneo Miyai
恒夫 宮井
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 露光中にマスクが熱変形(膨張)しても、結
像特性に悪影響が少ない露光装置を提供する。 【構成】 マスクステージ上のマスクに光源からの照明
光を照射する照明光学系と、前記マスクを保持するマス
クステージ手段と、前記マスクのパターンを感応基板上
に結像する投影光学系とを備えた露光装置において、マ
スクをマスクステージに設けられた複数の微動可能なマ
スク保持部により保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、露光装置に関し、例え
ば、半導体素子又は液晶表示素子等の製造の際に用いら
れる露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体素子や液晶表示素子など
を製造する際に、所望の回路パターンを基板上に転写し
て形成させる装置として、所望の回路パターンを備えた
フォトマスク又はレチクル(以後、「マスク」と総称す
る。)に露光用の照明光を照射し、このマスクのパター
ンから発生した光によって前記パターンの像を感応基板
上に結像させて転写する投影露光装置が用いられてい
る。
【0003】近年、半導体集積回路の高集積化、高性能
化の実現のために、半導体集積回路素子の微細化が強く
要求されている。そのため、マスクから感応基板上に回
路パターンを転写する際に高い解像度で転写する要求が
高まり、この要求を満たすために、X線を用いたX線露
光装置等の様々な露光装置が提案されている。
【0004】このような半導体集積回路素子の微細化に
伴い、従来では余り問題にならなかった事象、即ち、露
光の際に、マスクステージに固定されたマスクが照明光
のエネルギーを吸収して撓んだり、歪む等のように熱変
形(膨張等)するために発生する、基板上に結像するパ
ターン像の結像特性(例えば、投影光学系の倍率、焦点
位置等)の変化を補正する必要が生じてきた。
【0005】このようなマスクの熱変形による悪影響を
防ぐために、マスクの熱変形量を検出し、これに伴う結
像状態を補正する機構が提案されている。これは、マス
クの熱吸収率及びパターンの密度分布等に基づいて、そ
の都度マスクの熱変形量を数値計算し、又はマスクの計
測用マーク位置を直接計測することにより投影光学系に
よる結像状態の変化を認識し、投影レンズの調整手段
や、ウェハステージの上下動手段等を用いて結像特性の
補正を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
投影露光装置では、マスクがマスクステージに固定され
ている状態で、マスクが熱膨張に伴う変形を生じるもの
であるため、固定部に対する熱応力(熱膨張に対する)
の反力から、マスク自体が撓んだり歪んだりして変形す
る事となる。
【0007】即ち、マスクステージの吸着部の吸着力が
マスクの膨張力より強い場合では、マスクの熱変形は撓
みや伸び等のように三次元的に生じ、言い換えれば、実
際のマスクの変形方向が空間的となり、かつ、パターン
の有無や密度(存在率)の差異から変形方向がランダム
となり易い。さらに、マスク表面のパターンの方向やパ
ターンの材質、及びマスク基板の材質等の様々な要素が
複雑に絡み合っているために、これらの変形状態を更に
複雑化する事となる。
【0008】このため、このようなマスクの熱変形量を
計算によって求める場合には、その計算量が莫大な量に
なるだけでなく、計算過程での誤差もそれなりに大きく
なってしまい、算出結果が正確さに欠けるという問題が
ある。一方、結像状態を直接計測する場合にも、上記の
ような複雑な熱変形が生じれば、部分的には補正できて
も全体には補正できないような状態が生じ易くなる。
【0009】また、マスクステージの吸着部の吸着力が
マスクの膨張力より弱い場合では、マスクが膨張する際
に、マスク基板とマスクステージ(正確には、マスクス
テージの保持部又は吸着部)との間でスベリが生じると
考えられるが、このスベリの量と方向は、微小な摩擦係
数の相違により異なるため、予想がつかない。
【0010】更に、マスク基板の熱変形(膨張)する方
向と熱変形(膨張)により生じるマスクパターンの横ズ
レは、上述したようにランダムなものであり、さらにこ
れらがどの程度発生するかが未だ不明であるという問題
がある。これらは、上記の算出結果に対し、更なる誤差
として積算されてしまう問題ともなる。
【0011】加えて、マスクの熱変形(膨張)は、個々
のマスクによって異なるので一概に決定できず、更に
は、露光作業の経過時間によっても変形量が異なるの
で、その都度計算を行わなければならないために、かな
りの手間がかかるという難点があった。これらは、露光
動作中の演算や検出を行なう場合には、処理速度の遅延
化を生じさせるために、投影露光装置のスループットを
低下させる問題にもつながる。
【0012】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、露光中にマスクが熱変形(膨張)しても、結
像特性に悪影響が少ない露光装置を提供することを目的
とするものである。また、マスクの熱変形(膨張)量の
検出や、これに伴う結像特性や結像位置の変化等を簡単
に検出することにより、補正作業を容易化して結像状態
や重ね合わせ精度が向上した露光装置を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1に記載した発明では、予め定められたパターンが
形成されたマスクに光源からの照明光を照射する照明光
学系と、前記マスクを保持するマスクステージ手段と、
前記マスクのパターンを感応基板上に結像する投影光学
系とを備えた露光装置において、前記マスクステージ手
段がマスクを保持する複数の保持部を備えており、前記
複数の保持部のうち、少なくとも一つはマスクを保持し
た状態でマスク面方向に微動可能な可動保持部であるこ
とを特徴とする露光装置を提供する。
【0014】請求項2に記載した発明は、請求項1に記
載の露光装置において、前記可動保持部のうち、少なく
とも一つはマスクの一部を予め定めた位置に固定させる
固定保持部であり、少なくとも一つはマスク面内の予め
定めた一方向のみに微動可能な一方向可動保持部である
ことを特徴とするものである。
【0015】請求項3に記載した発明は、請求項2に記
載の露光装置であって、前記マスクステージ手段が少な
くとも二つの前記一方向可動保持部を備え、これらの一
方向可動保持部が、それぞれの移動方向が互いに直交す
るように配設されていることを特徴とするものである。
【0016】請求項4に記載した発明は、請求項1〜3
のいずれかに記載の露光装置に、前記可動保持部の位置
を検出する位置検出手段を更に備えたことを特徴とす
る。
【0017】請求項5に記載した発明は、請求項4に記
載の露光装置に、前記投影光学系の結像特性を変化させ
る結像特性調整手段と、前記位置検出手段の検出結果に
基づいて、前記結像特性調整手段の調整量を制御する結
像特性制御手段を更に備えたことを特徴とする。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5に
記載の露光装置に、前記感光基板と前記マスクとを相対
的に移動させる相対移動手段と、感光基板の露光領域に
対し、前記マスクの変形に伴うマスクパターンの結像位
置の相対的な変位を検出する結像位置検出手段とを更に
備え、前記結像位置検出手段の検出結果に基づいて、相
対移動手段の変位量を調整することを特徴とする。
【0019】請求項7に記載の発明は、請求項1に記載
の露光装置において、前記照明光の吸収による前記マス
クの熱変形量に応じて生じる前記結像特性の変化量を演
算する演算手段と、前記変形量に基づき前記結像特性を
変化させる結像特性調整手段とを更に有することを特徴
とする。
【0020】
【作用】本願に係る発明は上記のように構成されている
ため、以下の作用を奏する。まず、請求項1に記載の発
明は、予め定められたパターンが形成されたマスクに光
源からの照明光を照射する照明光学系と、前記マスクを
保持するマスクステージ手段と、前記マスクのパターン
を感応基板上に結像する投影光学系とを備えた露光装置
に関するものであり、いわゆる良く知られた投影露光装
置において、マスクを載置するマスクステージ手段に特
徴を備えている。
【0021】本発明のマスクステージ手段は、マスクを
保持する複数の保持部を備え、前記複数の保持部のう
ち、少なくとも一つはマスクを保持した状態でマスク面
方向に微動可能な可動保持部であることを特徴とする。
即ち、マスクに直接当接して支持する保持部が、マスク
の面方向に可動に構成されているため、マスクが照明光
(照明光の熱エネルギー等)を吸収して徐々に膨張(伸
縮)して熱変形が生じると、それに伴って保持部も面方
向に沿って移動する。
【0022】ここで、マスクは平板状である事から、熱
変形が生じた場合に、厚さ方向への変形は極めて微小で
あるが、幅方向(面と平行な方向)への変形量が大きい
ものとなる。従来のマスクステージはマスクを固定して
いたため、この変形量が撓みやひずみ等となってマスク
自体に現れる事となっていた。
【0023】しかし、本発明では、マスク自体は熱膨張
により変形するが、その変形方向は少なくとも可動保持
部の移動方向であり、マスク面に沿った二次元平面内と
なる。即ち、面方向に対してのマスクの熱膨張(変形)
をそのまま許容する事で、固定部からの支持反力による
内部応力が生じないように自由変形させ、逆に、従来の
ような内部応力(熱膨張による固定支持部からの反力
等)による複雑な変形状態とならないように、マスクを
変形させた状態で保持するものとなっている。
【0024】言い換えると、マスク面方向に微動可能な
可動保持部を備えているため、マスクが露光中に撓む等
の上下方向に対する変形を防ぐことができるので、マス
クの熱変形を平面的に捉えることが可能となり、変形状
態の特定が容易になる。このため、マスクの変形状態の
計算による特定や、結像状態の検出も容易であり、これ
らに基づく、結像状態の補正を行うことも容易になる。
【0025】このような可動保持部は、少なくとも一つ
以上存在する事が好ましく、全部の保持部が可動保持部
として構成されていても良いが、この場合には、個々の
可動状態を制御する手段を設ける事が好ましい。
【0026】また、可動保持部の可動手段は、マスクの
熱膨張変形量を許容する程度(熱膨張に対する反力を生
じさせない程度)に移動するものであれば良く、このよ
うな面方向への可動手段であればその構成は特に限定さ
れるものではない。
【0027】更に、少なくとも一つの保持部を、少なく
ともマスクステージ手段とマスクとの間で相対的な移動
が生じない状態でマスクを保持する固定保持部とする
と、他の可動保持部に対する基準位置が特定できるとい
う利点がある。
【0028】本発明における可動保持部は、マスクの膨
張(伸縮)量に則して平面的に微動(移動)することに
なり、可動保持部の微動量をマスクの膨張(伸縮)量と
して捉えることができる。言い換えると、マスクの熱変
形状態を、可動保持部の移動量をパラメータとする膨張
(伸縮)量として捉えることが可能となる。このパラメ
ータ値を、投影光学系の光学特性の調整等の補正に用い
ることで重ね合わせ精度を向上させることができるだけ
でなく、常に良好な重ね合わせ精度を維持することがで
きる。
【0029】一般に、マスクの膨張(伸縮)は、マスク
基板の材質、パターンの存在率、及び前記パターンの材
質等により決定されている。一例を示せば、パターンの
密度が高い箇所は膨張しやすく、パターンの密度が低い
箇所は膨張しにくいものとなる。
【0030】このため、本発明のマスクステージ手段で
は、可動保持部をパターンの密度分布によって偏在させ
れば、パターンの方向性のない歪み(即ち、ランダムな
歪み)やマスクの撓みを有効に防止ことができ、結像特
性等の補正を容易に行うことが可能である。
【0031】このようなマスクの変形状態は、個々のマ
スクごとに予め実験的に検出しておけば良く、それに基
づいてマスクステージ手段の可動保持部の配設位置等を
決定すれば良い。
【0032】逆に、可動保持部を任意の複数位置に予め
設けておき、使用するマスクの材質や、パターンの存在
率、あるいは予想される変形状態、若しくは予め実験的
に求められた変形状態等によって、使用する可動保持部
を変化させ、予め定めた複数の方向にマスクが膨張(伸
縮)するように構成させてもよい。これらにより、マス
ク及びそこに設けられたパターンの変形状態を調整する
ことも又可能である。
【0033】次に、請求項2に記載の発明では、請求項
1の露光装置において、前記可動保持部のうち、少なく
とも一つはマスクの一部を予め定めた位置に固定させる
固定保持部であり、少なくとも一つはマスク面内の予め
定めた一方向のみに微動可能な一方向可動保持部である
ものを提案している。
【0034】前述したように、固定保持部を一つ設ける
と、マスクステージ手段に対して固定保持部に支持され
たマスクの一部は移動しないので、ここには変形(マス
クの変形)は生じない。ここで、他の移動保持部が存在
することから、この固定支持部を基準にして、ここから
離れる方向(遠ざかる方向)に向かって熱膨張変形が生
じることとなる。しかし、マスクとパターンの変形率の
相違や、パターンの集積状態(密度や一つのパターンを
構成するラインの方向性等)により、単純な一方向に向
かない場合がある。
【0035】請求項2の発明では、可動保持部の移動方
向を一方向に固定することで、マスクの変形状態を制限
している。即ち、可動保持部は固定保持部を基点とした
予め定めた一方向にマスクの一端を微動可能に保持する
構成となっている。そのため、マスクの膨張(伸縮)方
向は、この可動保持部に予め定められた一方向に則して
決定されることになる。これにより、マスクの面内での
ひずみ等を防ぐことは勿論、マスクの変形を一方向に決
定して、マスクがランダムに変形することを防止してい
る。
【0036】更に、請求項3に記載の発明では、マスク
ステージ手段が、少なくとも二つの一方向可動保持部を
備え、これらの一方向可動保持部のそれぞれの移動方向
が、互いに直交するように配置されている露光装置を提
案している。
【0037】先にも述べたように、マスクの熱膨張(伸
縮)は、マスク基板の材質、パターンの存在率、及びパ
ターンの材質等により決定されているが、個々のマスク
によりこれらは異なるので、マスク面内においても夫々
の変形状態が異なる。
【0038】そのため、例えば、固定保持部を基点とし
てマスク表面のパターンの密度が比較的低い領域を通っ
た一方向を移動するように配置した可動保持部を少なく
とも二つ設けると、マスクの膨張(伸縮)方向は、固定
保持部を基点とした前記二点方向に則して決定されるこ
とになる。
【0039】これにより、マスクの変形量がマスク面内
で二次元的に規定(例えば、X−Y方向)されるので、
マスクの変形状態の特定が容易に行える。そして、この
ように規定された変形状態の元では、この変形に基づく
投影光学系等による結像状態の補正や、露光装置におけ
る結像位置の補正等が容易となり、パターンの重ね合わ
せ精度を向上させることができる。即ち、簡単な構成
で、方向性のない(ランダムな)歪みの発生を効果的に
防止し、露光装置における重ね合わせ精度を向上させる
ことができる。
【0040】好ましくは、二つの一方向可動保持部の移
動方向が互いに直交するように配置すれば、マスクが菱
形状に変形することを防ぎ、マスクパターンのアスペク
ト比の変動を少なく抑えることができる。
【0041】前述したように、一方向可動保持部の移動
方向を互いに直交させると、マスクの膨張(伸縮)量を
個々の保持部位置の平面座標として表すことができる。
即ち、一方向可動保持部の一方を仮にX方向保持部、他
方をY方向保持部とすると、これらの保持部は、マスク
が膨張(伸縮)する量に則して微動するため、マスクの
膨張(伸縮)量の相対量(パラメータ)として捉えるこ
とができる。
【0042】従って、これらの移動量を検出することに
よりマスクの変形状態が容易に検知できるものとなる。
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかの露光装
置において、これらの可動保持部のそれぞれに、夫々の
位置を検出する位置検出手段を更に備えており、この位
置検出手段により可動保持部の移動量、ひいてはマスク
の変形量を検知している。
【0043】そして、請求項2または3に記載した発明
では、可動保持部の移動方向が予め定められていること
から、この方向性を持った移動量を検出することで、そ
れぞれの位置を平面座標として検出することが容易に行
える。
【0044】即ち、可動保持部の位置をパラメータ値と
した正確な膨張(伸縮)量を検出することにより、単位
時間あたりに検出された膨張(伸縮)量の正確な値をも
検出することができるため、個々のデータの積み重ねに
より経時的な移動量(変形量)が直接検知できると共
に、最終的なマスクの膨張(伸縮)量を予測することも
可能である。
【0045】この検出された情報に基づいて、パターン
像の光学的な補正を行えば、かなり正確にパターンを重
ね合わせることが可能である。もちろん、この位置検出
手段は、直に前記可動保持部の位置を測定するもので
も、例えば、基板上に投影された像からそれぞれの位置
を検出するもののように間接的に可動保持部の位置を測
定するものでも良い。
【0046】更に、位置検出手段の検出結果より検出さ
れた膨張(伸縮)量に基づき、照明光の照射量や照射時
間、間隔等を調節する等の方法を用いてマスクの膨張
(伸縮)状態を正確に制御することも可能である。
【0047】また、請求項5の発明に係る露光装置で
は、マスクの変形に伴う補正手段として、投影光学系の
結像特性を変化させる結像特性調整手段を備えているの
で、変形後のマスクに最適な投影条件で転写露光作業を
行うことができる。
【0048】それに加えて、前記位置検出手段の検出結
果に基づいて、前記結像特性調整手段の調整量を制御す
る結像特性制御手段を更に備えているので、例えば、露
光中にマスク基板が膨張(伸縮)して可動保持部が移動
した場合、位置検出手段が前記可動保持部の位置を検出
するが、結像特性制御手段がここで検出された位置情報
を入力してそれに対応した結像特性調整手段の調整量を
制御するというように、常時(リアルタイムで)正確に
補正を行うことができる。
【0049】更に、位置合わせ等の正確さを必要とする
作業性の悪い工程を自動化したことにより、製造効率を
向上させることができる。なお、このような補正工程
は、例えば、ステッパー等のような感光基板上の複数の
位置に同じパターンの転写露光を行ういわゆるステップ
アンドリピート方式の投影装置においては、露光動作中
ではなく移動動作中、若しくは移動後のアライメント工
程において重ねて行うことが望ましい。
【0050】また、照明光の照射量調節手段と前記光学
特性調整手段及び光学特性制御手段とを連動させること
により、マスクの膨張量(伸縮量)と照射量とを正確に
制御し、更に正確にパターンの転写を行うことも可能で
ある。
【0051】更に、請求項6の発明では、請求項1〜5
のいずれかの露光装置において、前記感光基板と前記マ
スクとを相対的に移動させる相対移動手段と、感光基板
の露光領域に対し、前記マスクの変形に伴うマスクパタ
ーンの結像位置の相対的な変位を検出する結像位置検出
手段とを更に備え、前記結像位置検出手段の検出結果に
基づいて、相対移動手段の変位量を調整するものを提案
している。
【0052】即ち、相対移動手段は、マスクと基板とを
予め定めた関係を保つように配置させており、結像位置
検出手段は、マスクの位置又は基板上の結像点の位置を
検出して相対移動手段に入力している。
【0053】更に、請求項7の発明では、演算手段が照
明光の吸収によるマスクの熱変形量に応じて生じる結像
特性の変化量を演算して、これによりマスクの中心位置
ずれを求めることができるので、マスクとウェハとのア
ライメント時に結像特性調整手段が得られた変形量に基
づいて結像特性を変化させてマスクの撮影像の横ずれを
補正することができる。
【0054】即ち、本発明では、面方向に対してのマス
クの熱膨張(変形)をそのまま許容する事で、固定部か
らの支持反力による内部応力が生じないように自由変形
させ、逆に、従来のような内部応力(熱膨張による固定
支持部からの反力等)による複雑な変形状態とならない
ように、マスクを変形させた状態で保持するものとなっ
ているため、マスクの熱変形を平面的に捉えることが可
能となり、変形状態の特定が容易である。
【0055】請求項7の発明では、演算手段を設けるこ
とでマスクの熱変形量に応じて生じる結像特性の変化量
を演算し、この演算結果に基づいて結像特性調整手段が
結像特性を調整するのでマスクとウェハとのアライメン
ト時にマスクの撮影像の横ずれを補正できる。
【0056】以上のように本発明では、マスクの熱膨張
に伴い、マスクが面方向変形するように構成されている
ことから、マスク上の個々のパターンは面方向に横ずれ
を生ずることとなる。これには、一方向への横ずれの場
合や、全体的な間隔の広がりに伴うパターン自体の拡大
等が生ずる場合がある。
【0057】本発明によれば、マスクの膨張によるパタ
ーン移動や結像光が照射される基板の横ズレ、拡大(収
縮時には縮小)等が生じても、すぐに結像位置検出手段
によりマスク及び基板のそれぞれの変位状態が検出さ
れ、これが相対移動手段に入力される。そして、相対移
動手段では、前記マスク(上のパターン)と前記基板
(上の転写領域)との相対位置ズレ量を算出し、前記マ
スクと前記基板との相対的な位置関係が良好となるよう
に直ちに補正を行っている。
【0058】これにより、照明光を照射されたマスク
が、照明光を吸収して徐々に膨張(伸縮)して熱変形を
起こす際に生じるパターンの横ズレや、スベリの影響を
相殺させることが可能であると共に、マスク基板とマス
クステージとの間でスベリや、感光基板と基板ステージ
との間で生じるスベリによる影響もまた相殺させること
ができ、重ね合わせ精度をさらに向上させることができ
る。
【0059】一例を示せば、パターンが特定方向に横ず
れを生じた場合には、これを打ち消す方向にマスク若し
くは感光基板又は双方の面方向の補正移動を行えば良
い。また、パターン間隔の拡張等による拡大が生じた場
合には、投影光学系の軸方向への相対移動により、結像
位置の変化に伴う倍率変化等の補正を行うことも考えら
れる。
【0060】このような補正作業は、前述した投影光学
系の結像特性の補正とは別個に行っても、双方を同時に
組み合わせて行ってもよく、いずれかの補正手段によ
り、最適な補正動作を行って、パターンの良好な重ね合
わせ転写作業を行えば良い。
【0061】これらの補正作業を行う場合であっても、
本発明ではマスクの変形状態を簡素化したので、変形状
態の検出と共に、それに伴う補正作業も、従来に比較し
て格段に容易に行えるものとなっている。
【0062】
【実施例】以下、実施例を通じて本発明を更に詳しく説
明する。図1は、本発明の実施例に係る投影露光装置全
体の概略構成を示している。図1は、以下に述べる第一
実施例及び第二実施例の構成をすべて含んだ投影露光装
置の概略構成を示しており、図1において、半透過鏡5
0、パワーモニタ51、反射量モニタ52及び照射量モ
ニタ53は、後述する第二実施例において使用するもの
であるため後で詳しく述べるが、第一実施例においても
使用してもよい。
【0063】図1に示した投影露光装置は、大別して、
光源1(水銀ランプ、エキシマレーザ、YAGレーザ
等)からの照明光(高調波等)をマスクMに照射する照
明光学系と、マスクMからの光をウェハW上に結像させ
る投影光学系とからなっている。
【0064】光源1からの照明光は、楕円鏡2により第
二焦点に収斂した後、発散光となってコリメータレンズ
4に入射する。ここでは、光源1として水銀ランプを用
いて高輝度な照明光を得ている。
【0065】また、前記第二焦点位置にはロータリーシ
ャッター3が配置されており、照明光の照射量(通過、
遮断)はロータリーシャッター3の開閉により調節され
ている。更に、このロータリーシャッター3の開閉は、
シャッター制御部18により制御されている。
【0066】コリメータレンズ4に入射した照明光は、
ここでほぼ平行光束に変換されて射出され、干渉フィル
ター5に入射する。干渉フィルター5は、露光に必要と
される所望の波長の光(例えば、i線)を選択的に透過
させるものであり、ここで必要な波長の光(i線)が透
過されてフライアイレンズ6に入射することになる。
【0067】フライアイレンズ6は、複数のレンズエレ
メントよりなる光学部材であり、このフライアイレンズ
6に入射した照明光(ほぼ平行光束)は、フライアイレ
ンズ6の複数のレンズエレメントによって分割され、各
レンズエレメントのそれぞれの射出側に二次光源像(水
銀ランプの発光点の像)を形成する。言い換えると、こ
のフライアイレンズ6の射出側にはレンズエレメントの
数と同じ数の点光源像が分布し、面光源像が形成されて
いるのと同じ状態になる。
【0068】更に、前記フライアイレンズ6の射出側
に、この面光源像の大きさを調整するための可変絞り7
が設けられており、フライアイレンズ6により分割され
一定の強度分布を持つ光束に変換された照明光は、絞り
7によりマスクMへの入射角度範囲が調整されることに
なる。
【0069】この可変絞り7を通過した照明光(発散
光)は、第一ミラー8で反射され、リレーレンズ系9に
入射した後、集光レンズ系10、第二ミラー11を介し
てコンデンサーレンズ12に入射し、前記コンデンサー
レンズ12から射出された光が照明光となってマスクM
に達する。
【0070】マスクMは、マスクステージMSTに保持
されており、このマスクステージMSTには、マスクM
に直接当接してこれを保持するマスク吸着機構が設けら
れている。マスク吸着機構は、マスク保持部21、2
2、23、24(図1では21、22のみ図示)に設け
られたマスク吸引部31、32、33、34(図1では
31、32のみ図示)及びマスク吸引ポンプ25とによ
り構成されるものである。
【0071】マスク保持部21、22、23、24は、
マスクMの一つの角部をマスクステージMSTに対して
相対移動しないように固定する固定保持部24と、固定
保持部を基点とした直交方向のそれぞれに設けられ、そ
れぞれの一方向に微動可能に構成された二つの一方向可
動保持部21、23と、マスクステージMST上の面内
で方向性を規定せずに微動可能に構成された自由可動保
持部22とよりなっている。
【0072】それぞれの保持部は、吸引ポンプ25に連
結されたマスク吸引部31、32、33、34を備えて
いる。吸引ポンプ25は、主制御部19によりその吸引
力が制御されており、マスクMの材質やパターンの材
質、又はパターンの存在率等に依存するマスクMの膨張
(伸縮)量によって、マスク保持部21、22、23、
24による吸着固定させる強さが制御されている。
【0073】また、可動保持部21、23それぞれに
は、干渉計26、28(図1では26のみ図示)が設け
られており、この干渉計26、28により固定保持部を
基点とする各可動保持部の位置(又は、移動量)を測定
する。即ち、干渉計により検出されたそれぞれの位置情
報を、演算部16に出力し、この演算部16において、
それぞれの可動保持部の位置を検出して二次元座標に変
換した後、主制御部19に出力している。
【0074】ここで、マスクMを透過した照明光は、投
影光学系PLに入射してウェハWの表面に結像される
が、本実施例では、投影光学系PLとして、光学特性を
任意に変化させることができる構成のものを用いてい
る。
【0075】このような投影光学系PLとしては、例え
ば、特開昭60−78454号公報に示されるような、
投影光学系PLを構成する複数の光学レンズ間の特定の
空間の圧力を前記位置検出手段の検出結果に基づいて変
化させる手段が挙げられる。
【0076】即ち、投影光学系PL内部の密閉された空
間において、レンズとレンズとの間に形成される間隔の
うち二箇所を外気から遮断された空気室とし、その他の
間隔を圧力が大気圧とほぼ等しく変化する大気室とした
時、第一空気室内の圧力が初期倍率設定時より単位圧力
だけ変化した場合の投影光学系PLの倍率変化量(即
ち、結像面上での所定の軸外像点の変化量)をΔX1
結像面変化量をΔZ1 、また、単位圧力の変化に対する
第二空気室による倍率変化量をΔX2 、結像面変化量を
ΔZ2 とし、前記大気室の圧力が初期倍率設定時より単
位圧力だけ変化した場合の投影光学系PLの倍率変化量
(即ち、結像面上での所定の軸外像点の変化量)をΔ
X、大気室内の圧力変化量をΔP、前記第一空気室内の
圧力変化量をΔP1 、前記第二空気室内の圧力変化量を
ΔP2 とすると、以下に述べる (1)式及び (2)式を同時
に満足させることによって倍率及び結像面の変化を補正
することができる。
【0077】 ΔP1 ・ΔX1 +ΔP2 ・ΔX2 +ΔP・ΔX=0 ・・・・(1)式 ΔP1 ・ΔZ1 +ΔP2 ・ΔZ2 +ΔP・ΔZ=0 ・・・・(2)式
【0078】従って、上記式を満足させるように、それ
ぞれの可動保持部の位置情報をパラメータ値とした正確
な膨張(伸縮)量に基づいて、前記第一と第二の空気室
内の圧力を変化させる光学特性制御手段を設けることに
よって簡単にマスクの膨張(伸縮)に追従した補正を行
うことが可能である。
【0079】また、別の投影光学系PLとして、例え
ば、特開平4−134813号に示されるような、投影
光学系PLの構成要素の一部を投影光学系PLの光軸に
対して傾斜させることにより光学特性を調整する方法が
挙げられる。
【0080】これは、配設位置や配設角度等が移動可能
なレンズエレメントを複数備えた投影光学系PLを用
い、所望のレンズエレメントを駆動させることにより、
投影光学系PLのディストーション特性を変化させ、更
に、このようなレンズエレメントを複数組み合わせるこ
とで台形歪みや、菱形歪みなどの歪みを補正するもので
ある。
【0081】勿論、レンズエレメントの移動は、投影光
学系PLの非点収差などの他の諸収差に及ぼす影響が無
視できる範囲内で行うものとし、また、レンズエレメン
ト相互の間隔を調整することにより倍率、ディストーシ
ョン特性を制御しつつ他の諸収差をも補正するという方
式を採用してもよい。
【0082】ここでは、一例として駆動可能なレンズエ
レメントを二群備えた投影光学系PLについて簡単に説
明する。第一レンズエレメントの周縁上の任意の二点に
それぞれ駆動素子を設け、前記二つの駆動素子の間の垂
直二等分線を回転軸R1として第一レンズエレメントを
駆動させると、得られる投影像は、最もこの回転軸R1
から離れた像部分が、前記回転軸R1に対して垂直方向
に大きく変形したものとなる。
【0083】同様に、第二レンズエレメント周縁上の任
意の二点にそれぞれ駆動素子を設け、前記二つの駆動素
子の間の垂直二等分線を回転軸として第二レンズエレメ
ントを駆動させると、得られる投影像は、最もこの回転
軸から離れた像部分が、前記回転軸に対して垂直方向に
大きく変形したものとなる。即ち、それぞれのレンズエ
レメントによって像変形方向が決定されるため、投影光
学系PLにより投射される投影像は、これらのベクトル
和方向に変形した像となる。
【0084】ここでは、二つの駆動素子の間の垂直二等
分線を回転軸とする駆動によりディストーション特性を
変化させているが、勿論、これらのレンズエレメントを
光軸と垂直なX−Y平面内に二次元移動させることによ
りディストーション特性を変化させてもよく、更に、前
述した回転駆動と、この平行駆動とを組み合わせること
により一層良好な補正を行うことが可能である。
【0085】従って、投影光学系PLとして、本発明の
可動保持部のそれぞれの移動方向に対して直交する回転
軸を備えたレンズエレメントを多数設け、前記可動保持
部の移動量に対応して前記レンズエレメントをそれぞれ
駆動させる光学特性制御手段を設けることで、マスクが
膨張(伸縮)してパターンが歪んでしまっても、その膨
張(伸縮)量に合わせた補正を簡単に行うことができ
る。
【0086】勿論、本発明の光学特性調整手段は、以上
に挙げた方式に限らず、投影光学系PLの光学特性を良
好に調節するものであれば何を用いてもよい。また、補
正方式としてはこれに限らず、一般的に用いられている
投影光学系PLを使用し別の補正手段でウェハW上に結
像されるパターン像の補正を行う方式としてもよい。
【0087】本実施例では、上述したような配設位置や
配設角度などが移動可能なレンズエレメントを複数備
え、それぞれのレンズエレメントを駆動させることによ
りディストーション特性を変化させる投影光学系PLを
用いて、ウェハW上に結像される回路パターンの結像特
性を補正している。
【0088】即ち、本実施例では、マスクが熱変形を起
こした場合に、前述したマスク保持部21、22、2
3、24によりマスクの膨張方向を前記三つのマスク保
持部21、22、23の可動方向に規定しているため、
この方向に応じて投影光学系PLの光学特性(ディスト
ーション特性)を調整することにより、ウェハW上に投
影されるパターン像の歪みを防止することが可能であ
る。
【0089】パターン像が結像されるウェハWは、ウェ
ハステージWST上に載置されているが、このウェハス
テージWSTは、X−Y方向(面方向)に移動可能なX
−Yステージと、前記X−Y方向に対するZ方向(面に
直交する方向)に上下動可能なZステージとを備えてい
る。前記それぞれのステージは、個々のステージ位置を
検出する位置検出手段を備えたステージ制御部17によ
り、その移動動作が制御されており、さらにステージ制
御部17は、主制御部19の指令により作動する構成と
なっている。
【0090】この主制御部19は、前述したシャッター
制御部18、可変絞り7、吸引ポンプ25、ステージ制
御部17等の投影露光装置の個々の手段の総制御を行う
ものであり、ここでは、図示しないバーコードリーダー
からのマスクM名を記憶するメモリ手段等もまた備えて
いる。
【0091】この主制御部19の動作として、例えば、
次に露光するマスクM名をメモリ手段から読み出して、
その読み出した個別情報に基づいてロータリーシャッタ
ー3及び可変絞り7の開口量を制御してマスクMへの入
射角度範囲、照明光学系の有効径及び光量の調整を行っ
たり、前記演算部16からの各可動保持部の位置情報に
基づいてマスクMの膨張(伸縮)状態を検出し、それに
対応して、投影光学系PLの光学特性を変化させ、ステ
ージ制御部へのX−YステージとZステージとの移動量
の指示を行ったりしている。
【0092】従って、照明光を吸収したマスクが徐々に
膨張(伸縮)して熱変形を起こす際に生じるパターンの
横ズレや、スベリの影響を、投影光学系PL内での補正
及びウェハステージWSTによる調節により、リアルタ
イムで相殺させることができるので、重ね合わせ精度の
良好な投射装置が得られる。
【0093】更に、本実施例では特に開示はしていない
が、マスクステージMSTが、上記ウェハステージWS
Tと同様に、X−Y方向(面方向)に移動可能なX−Y
ステージと、前記X−Y方向に対するZ方向(面に直交
する方向)に上下動可能なZステージとを備え、マスク
の熱変形状態に則した主制御部19からの指令によりウ
ェハステージWSTと相対的に位置合わせを行うような
構成としても構わない。
【0094】図2(a)は、図1で示した露光装置に設
けられるマスク保持部(可動保持部)の一構成例を示す
概略説明図であり、この可動保持部の進行方向に対して
垂直な断面における断面図を示している。図2(a)に
おいて、マスク保持部21は、可動保持部21aと車輪
21bとを有しており、この可動保持部21aは、マス
クステージMSTに設けられた移動溝21c上を移動す
るような構成となっている。
【0095】可動保持部21aには、マスクMを吸着す
るための吸着孔31aが設けられており、この吸着孔3
1aには図示しない吸引ポンプに接続される吸引管31
bが接続されている。また、マスクステージMSTに
は、吸引管31bを通過させるための通過孔31cが可
動保持部21aの進行方向に沿って設けられている。
【0096】更に、車輪21bは、マスクステージMS
T上を滑らかに滑る素材を用いて構成されており、その
ため、摩擦によるマスクのズレ等を起こすことなくマス
クの膨張(伸縮)に応じて正確に微動できるようになっ
ている。
【0097】また、図2(b)は、ベアリングによりマ
スクステージ上を自由に微動するマスク保持部の一構成
例を示す概略説明図であり、この可動保持部の側面にお
ける断面図を示している。図2(b)において、マスク
保持部22は、可動保持部22aとベアリング22bと
により構成され、この可動保持部22aは、マスクステ
ージMSTに設けられた移動平面22c上を自由に移動
するような構成となっている。
【0098】可動保持部22aには、マスクを吸着保持
するための吸着孔32aが設けられており、この吸着孔
32aには図示しない吸引ポンプに接続させる吸引管3
2bが接続されている。また、マスクステージMSTに
は、吸引管32bを通すための貫通孔32cが設けられ
ている。
【0099】吸引管32bは、貫通孔32cを介して吸
着孔32aと接続されているが、可動保持部22aが吸
引管32bにより制限を受けないように吸着孔32aと
貫通孔32cとの間の吸引管部分を多少長めに構成して
いるので、可動保持部22aがマスクの膨張(伸縮)量
に応じて自由に移動できるようになっている。
【0100】勿論、ベアリング22bは、マスクステー
ジMST上を滑らかに滑る素材を用いて構成されてお
り、そのため、マスクの膨張(伸縮)に応じて正確に微
動できるようになっている。
【0101】ここで、マスクステージMSTについての
具体的な一実施例を図3を用いて説明する。図3では、
図1に示した露光装置のマスクステージMST部分を示
すものであり、マスク支持部30a、30bによりマス
クMを吸着してステージ上にマスクMを載置した状態を
示している。
【0102】マスク保持部は、マスクMの一端部35a
をマスクステージMSTの支持部30aに固定するマス
ク保持部(固定保持部)24と、マスクMの伸縮に応じ
てマスクの端部35bをマスクステージMSTの支持部
30aに沿って微動可能に保持するマスク保持部(X方
向可動保持部)21と、前記X方向に対して直交する方
向(Y方向)にマスクの端部35cを微動可能に保持す
るマスク保持部(Y方向可動保持部)23と、支持部3
0b上の平面(即ち、マスク面と平行、X−Y平面)内
でマスクの端部35dを微動可能に保持するマスク保持
部(X−Y方向可動保持部)22とにより構成されてい
る。
【0103】即ち、マスクMが照明光の熱エネルギー等
を吸収して熱膨張(伸縮)した場合、マスク保持部(X
方向可動保持部)21、マスク保持部(Y方向可動保持
部)23及びマスク保持部(X−Y方向可動保持部)2
2のそれぞれがマスクMの膨張に応じて移動(微動)
し、これらの移動量がマスクの膨張(伸縮)量として表
われる。
【0104】マスクの膨張(伸縮)量を検出するため
に、マスク保持部(X方向可動保持部)21、マスク保
持部(Y方向可動保持部)23、マスク保持部(X−Y
方向可動保持部)22のそれぞれに個々の位置を検出す
る干渉計26、28、27X、27Yが設けられてい
る。
【0105】マスク保持部21のX方向の位置は干渉計
26によって検出され、マスク保持部23のY方向の位
置は干渉計28によって検出される。また、マスク保持
部22のX方向の位置は干渉計27X、Y方向の位置は
干渉計27Yによって検出される。
【0106】なお、マスク保持部の夫々には、移動方向
に対して直交する側面(計測面)が設けられており、各
々の干渉計は、計測面にレーザ光を入射させ、計測面か
らの反射光を受光してマスク保持部の位置を計測する。
【0107】即ち、干渉計26は、マスク保持部21の
マスク保持部24に対して反対側の側面に設けられた反
射面21X(計測面)にレーザ光を照射すると共に、干
渉計26の内部に設けられた基準固定ミラー(図示せ
ず)にもレーザ光を照射し、反射面21Xからの反射光
束と固定ミラーからの反射光束とを干渉させ、発生する
干渉縞の変化を光電検出することによってマスクステー
ジMSTのX−Y平面内でのマスク保持部21のX方向
の位置を検出している。
【0108】同様に、干渉計28は、マスク保持部23
のマスク保持部24に対して反対側の側面に設けられた
反射面23Y(計測面)にレーザ光を照射し、上記同様
の干渉計の構成で、マスクステージMSTの支持部30
a、30b平面内でのマスク保持部23のY方向の位置
を検出している。
【0109】更に、干渉計27Xは、マスク保持部22
のマスク保持部23に対して反対側の側面に設けられた
反射面22X(計測面)にレーザ光を照射し、マスク保
持部22のX方向の位置を検出している。また、干渉計
27Yは、マスク保持部22のマスク保持部21に対し
て反対側の側面に設けられた反射面22Y(計測面)に
レーザ光を照射して、マスク保持部22のY方向の位置
を検出している。
【0110】それぞれの干渉計26、28、27X、2
7Yにより得られた位置情報(変位情報や移動量等)
は、マスクの変形状態を検知するものであり、これに基
づいて変形後のマスクによる結像状態の変化量(変形前
との変化量)が検出される。従って、この検出結果に基
づいて、投影光学系の光学特性を調整すれば良い。
【0111】例えば、マスクが冷却時に比べて膨張した
場合、それぞれの可動保持部が固定保持部から離れるほ
ど横ズレが大きくなる。この時、マスクが等方的に膨張
していれば、それぞれの可動保持部がマスクの膨張に伴
って移動する距離αの半分α/2が中心部分が移動した
距離になるため、この距離α/2の分だけマスクステー
ジMSTを移動させたり、距離α/2に投影倍率をかけ
て得られる量だけウェハステージWSTを移動させるこ
とにより重ね合わせの精度の確保が可能となる。
【0112】また、検出された移動距離αに対応した量
だけ、投影光学系PLの一部のレンズ群を光軸に対して
水平方向に移動させたり、投影光学系PL全体またはマ
スクステージMSTを光軸に対して水平方向に移動させ
たり、投影光学系PL内のレンズ室の気圧を変化させる
などの方法でベースライン(マスクの投影像と不図示の
アライメント系の検出位置との距離)の変動補正を行う
ことが可能である。
【0113】更に、台形歪みや菱形歪みなどのようにマ
スクが一方向又は二方向のみに膨張した場合、投影光学
系PLの一部のレンズ群の光軸を投影光学系PLの光軸
に対して傾斜させることにより一方向に対する歪みを補
正することができるので、検出された移動距離αに対応
した角度を求めて、得られた角度だけ一部のレンズ群の
光軸を傾けることにより良好な結像状態、即ち、重ね合
わせ精度を向上させることができる。
【0114】即ち、このようにマスクステージMSTが
マスクを固定保持せずに、ある程度マスクの膨張に合わ
せて可動にマスクを保持している為、マスクがマスク面
に対する直交方向に撓む等の変形を起こすのを防げる。
従って、マスクパターンが光軸方向に移動することを防
げるので、マスクの膨張に起因する軸上収差の発生が抑
えられる。即ち、マスクが照明光を吸収して膨張した場
合に、補正方法が簡単な平面状態の補正を行うだけでウ
ェハ上に結像する回路パターンの結像特性を向上させる
ことが可能となる。
【0115】また、本実施例では、位置検出手段として
干渉計を用いているが、勿論、これに限らずバネと圧力
ダイオードによる光電検出手段やリニアエンコーダなど
可動保持部22aのそれぞれの位置(あるいは移動量)
を検出できるものであれば、特に限定はしない。
【0116】更に、マスク保持部は四点に限らず、マス
クの三点を保持する構成のものや、複数のマスク保持部
を設け、そのうち幾つかの保持部のみを微動可能とした
構成のものとしてもよい。
【0117】勿論、マスクステージ平面内を移動する可
動保持部22aは、マスク膨張(伸縮)に合わせて移動
する方法のほかに、可動保持部22aの可動状態を制御
する切り替え手段を更に設け、この切り替え手段が、例
えば、Y方向保持部及びX−Y方向保持部のY方向に対
する移動を固定してマスクをX方向のみに熱膨張(伸
縮)させる等のように、一方向のみにマスクを熱膨張
(伸縮)させるようにしてもよいし、また、ある一定時
間を単位時間とし、切り替え手段が単位時間ごとに、マ
スクの熱膨張(伸縮)方向を、X方向またはY方向に順
次切り替えるように構成させることも可能である。
【0118】具体的には、図3において、まず四つのマ
スク保持部の吸着のうち、マスク保持部22、23の吸
着をOFFにしてY方向にマスクを伸縮させ、その後再
び、四つのマスク吸着部をONにした後、マスク保持部
21、22の吸着をOFFにする動作を繰り返すことに
よりマスクの膨張方向をマスク保持部24を基準とする
方向にを限定できる。
【0119】また、マスク保持部24の吸着力がマスク
をしっかり固定できる程度に十分大きければ、マスク保
持部21、22、23を同時にOFFにしてもよい。さ
らに、四つのマスク保持部21、22、23、24のす
べてを自由方向に可動とし、各々のマスク保持部のX−
Y方向の位置を検出できる八つの干渉計を設けるように
してもよい。
【0120】図4は、マスクMに対して、八つの干渉計
を設けた場合の一構成例であるが、図4では、干渉計4
0Xの光路と干渉計26Xの光路とが同一の直線上に光
路を持つように配置されると共に、干渉計40Xの光路
と平行な光路を取るように干渉計28Xが配置されてお
り、この干渉計28Xの光路上には、干渉計27Xが干
渉計28Xの光路と同一の直線上に光路を持つように配
置されている。
【0121】更に、干渉計40Yの光路と干渉計28Y
の光路とが同一の直線上に光路を持つように配置される
と共に、干渉計40Yの光路と平行な光路を取るように
干渉計26Yが配置されており、この干渉計26Yの光
路上には、干渉計27Yが干渉計26Yの光路と同一の
直線上に光路を持つように配置されている。
【0122】そして、干渉計40Xと干渉計26Xとか
ら得られるマスク保持部材の移動量(マスクの変形量)
と、干渉計28Xと干渉計27Xとから得られるマスク
保持部材の移動量(マスクの変形量)とを比較すること
で干渉計40Xの光路と平行な方向に対するマスクの非
等方的な変形(非線形的な変形)について検出すること
ができる。
【0123】更に、干渉計40Yと干渉計28Yとから
得られるマスク保持部材の移動量(マスクの変形量)
と、干渉計26Yと干渉計27Yとから得られるマスク
保持部材の移動量(マスクの変形量)とを比較すること
で干渉計40Yの光路と平行な方向に対するマスクの非
等方的な変形(非線形的な変形)について検出すること
ができる。即ち、八つの干渉計を設けることで直交する
二つの方向に対するマスクの非等方的な変形(非線形的
な変形)について検出することができる。
【0124】以上は、マスクの熱膨張(伸縮)状態、言
い換えると、マスク保持部材の移動量(マスクの変形
量)を直接測定して、この測定結果に基づいて、投影光
学系PLの光学特性を変化させた場合の一実施例を挙げ
たが、マスクを構成する遮光部材の種類やパターンの密
度分布等からマスクの熱変形量を予め演算し、この熱変
形量に基づいて投影光学系PLの結像特性の変化量を演
算して、マスクの熱変形に応じて発生する結像特性の変
化を補正することも可能である。
【0125】以下に、このような場合の一実施例を本発
明の第二実施例として図1の露光装置を用いて説明す
る。
【0126】光源1からの照明光は、楕円鏡2により第
二焦点に収斂した後、発散光となってコリメータレンズ
4に入射する。ここでは、光源1として水銀ランプを用
いて高輝度な照明光を得ている。
【0127】また、前記第二焦点位置にはロータリーシ
ャッター3が配置されており、照明光の照射量(通過、
遮断)はロータリーシャッター3の開閉により調節され
ている。更に、このロータリーシャッター3の開閉は、
シャッター制御部18により制御されている。
【0128】コリメータレンズ4の前段には、半透過鏡
50が配置されており、半透過鏡50で反射された照明
光の一部は、PINフォトダイオードなどの光電検出器
であるパワーモニタ51に入射する。パワーモニタ51
は、入射した光を光電検出して強度値で表される光情報
PSに変換して主制御部19に出力している。主制御部
19は、入力された光情報PSを投影光学系PLの結像
特性の変動量を求めるための基礎データとしてメモリに
記憶している。
【0129】半透過鏡50を通過した照明光は、コリメ
ータレンズ4に入射し、ここでほぼ平行光束に変換され
て射出され、干渉フィルター5に入射する。干渉フィル
ター5は、露光に必要とされる所望の波長の光(例え
ば、i線)を選択的に透過させるものであり、ここで必
要な波長の光(i線)が透過されてフライアイレンズ6
に入射することになる。
【0130】フライアイレンズ6に入射した照明光(ほ
ぼ平行光束)は、フライアイレンズ6の複数のレンズエ
レメントによって分割され、各レンズエレメントのそれ
ぞれの射出側に二次光源像(水銀ランプの発光点の像)
を形成する。更に、前記フライアイレンズ6の射出側
に、この面光源像の大きさを調整するための可変絞り7
が設けられており、フライアイレンズ6により分割され
一定の強度分布を持つ光束に変換された照明光は、絞り
7によりマスクMへの入射角度範囲が調整されることに
なる。
【0131】この可変絞り7を通過した照明光(発散
光)は、第一ミラー8で反射され、リレーレンズ系9に
入射した後、集光レンズ系10、第二ミラー11を介し
てコンデンサーレンズ12に入射し、前記コンデンサー
レンズ12から射出された光が照明光となってマスクM
に達する。
【0132】マスクMは、マスクステージMSTに保持
されており、このマスクステージMSTには、マスクM
に直接当接してこれを保持するマスク吸着機構が設けら
れている。マスク吸着機構は、マスク保持部21、2
2、23、24(図1では21、22のみ図示)に設け
られたマスク吸引部31、32、33、34(図1では
31、32のみ図示)及びマスク吸引ポンプ25とによ
り構成されるものである。
【0133】マスク保持部21、22、23、24は、
マスクMの一つの角部をマスクステージMSTに対して
相対移動しないように固定する固定保持部24と、固定
保持部を基点とした直交方向のそれぞれに設けられ、そ
れぞれの一方向に微動可能に構成された二つの一方向可
動保持部21、23と、マスクステージMST上の面内
で方向性を規定せずに微動可能に構成された自由可動保
持部22とよりなっている。
【0134】それぞれの保持部は、吸引ポンプ25に連
結されたマスク吸引部31、32、33、34を備えて
いる。吸引ポンプ25は、主制御部19によりその吸引
力が制御されており、マスクMの材質やパターンの材
質、又はパターンの存在率等に依存するマスクMの膨張
(伸縮)量によって、マスク保持部21、22、23、
24による吸着固定させる強さが制御されている。
【0135】マスクMを透過した照明光は、投影光学系
PLに入射してウェハWの表面に結像されるが、本実施
例では、投影光学系PLとして、光学特性を任意に変化
させることができる構成のものを用いている。
【0136】ウェハステージWST上には、例えば、投
影光学系PLのイメージフィールドとほぼ同じ面積の受
光面を備えた光電検出器等の照射モニタ53が、その表
面がウェハWの表面位置とほぼ一致するように設けられ
ている。
【0137】この照射量モニタ53は、入射した照明光
を光電検出して強度値で表される光情報LSに変換して
主制御部19に出力している。主制御部19は、入力さ
れた光情報LSを投影光学系PLの結像特性の変動量を
求めるための基礎データとしてメモリに記憶している。
【0138】また、照明光の照射によりウェハWから発
生する反射光は、コンデンサーレンズ12、第二ミラー
11、集光レンズ系10及びリレーレンズ系9を通過し
た後、第一ミラーを通過して光検出器である反射量モニ
タ52に入射する。反射量モニタ52は、入射した反射
光を光電検出して強度値で表される光情報RSに変換し
て主制御部19に出力している。主制御部19は、入力
された光情報RSを投影光学系PLの結像特性の変動量
を求めるための基礎データとしてメモリに記憶してい
る。
【0139】主制御部19内のメモリには、以上に述べ
た三つの基礎データのほか、マスクの遮光部材の種類や
パターンの密度分布等の露光光吸収によるマスクの熱変
形量を算出するために必要な種々のデータ及び、マスク
熱変形量に対応する投影光学系PLの結像特性の変化量
を演算するための数式若しくはテーブルなども格納され
ている。
【0140】ここで、投影光学系PLの結像特性の変化
量の演算方法について説明する。投影光学系PLの結像
特性は、マスク熱変形量に対応して変化させているた
め、本実施例では、マスクMの熱変形量を求めてこの結
果から投影光学系PLの結像特性の変化量を演算してい
る。
【0141】マスクMの熱変形は、マスクMの温度分布
に比例して発生していると考えられるので、この温度分
布を計算機でシュミレーションすることによりマスクM
の熱変形量を求めることができる。
【0142】マスクMの温度分布を計算機でシュミレー
ションする方法としては、マスクMをある有限な要素に
分解して各点の温度変化を差分法、有限要素法などによ
り計算することが挙げられる。本発明では、特にどの方
法を用いるのかは限定しないが、一例として以下に差分
法を用いた場合を説明する。
【0143】まず、予めパターンの描かれていないマス
クで照射量モニタ3の各出力とパワーモニタ51の出力
の比を求めておく。マスクのパターンの分布によりマス
クM上に吸収される熱量は、場所によって異なるので、
まず、マスクMの正方形の露光エリアを、例えば、4×
4の16ブロックに分割して、各ブロックごとに求めた
パターンの存在率に基づいて各ブロックの熱吸収量を計
算する。
【0144】各ブロックのパターン存在率は、照射量モ
ニタ53と、パワーモニタ51の出力比で求められる。
照射量モニタ53は、各ブロックを通過して照射量モニ
タ53上に結像した照明光の光量をブロック毎に独立し
て測定している。
【0145】次に、パターンの描かれたマスクMの出力
比を測定して、先に測定したパターンの描かれていない
マスクの出力比とによりパターンの存在率を求める。こ
の測定は、マスク交換毎に行ってもよいし、予め測定し
ておき、主制御部の19内のメモリに記憶させておいて
もよい。勿論、マスクの製造時のデータによりパターン
の存在率をわかっていれば測定の必要はない。
【0146】各ブロックは、光源1のパワーとパターン
存在率とに比例して熱量を吸収し、それぞれのブロック
間において、吸収された熱は、各ブロックにおいて移動
したり、空気中、あるいはマスクステージMSTを介し
て逃げていく。
【0147】以上のようにして求めた各ブロック毎のパ
ターンの存在率に基づいて各ブロックの熱吸収量を計算
する。具体的な計算式については、特開平4−1923
17号公報に詳しく開示されているので省略する。
【0148】このようにして、各ブロックの温度分布を
求め、これらとマスクの膨張係数(本実施例では、石英
ガラスよりなるマスクを用いているため、石英ガラスの
膨張係数と言い換えることができる。)より各ブロック
の中心点の相互の距離変化を求めることができる。
【0149】これにより、マスク上の各点の動きを決定
することができ、この動きに基づいて、例えば、ウェハ
に投影される像の歪み等の結像特性の変動を計算するこ
とができる。また、マスクの温度分布を求める代わりに
直接ディストーション、像面湾曲等の像歪みを計算して
もよい。
【0150】以上第二実施例では、可動タイプのマスク
保持部を備えたマスクステージ上に載置したマスクMの
熱膨張による像歪み(ディストーション、像面湾曲等)
を計算により求め、この計算に応じて投影光学系PLの
結像特性を変化させる構成としているため、以下のこと
が達成できる。
【0151】即ち、本実施例のマスク保持部の少なくと
も一点は不動な点であり、さらに、伸縮方向が規定され
ている点も設けられているため、マスクのランダムな変
形(伸縮)に対してある程度の方向性を持たせることが
でき、マスク保持部位置の相互の距離変化のみならず、
各点の位置を前述した計算の相互距離より求めることが
可能である。
【0152】第二実施例では、マスクのシフトを直接測
定しなくてもマスクの中心位置ずれを求めることができ
るため、この中心位置ずれを基にして露光時にベースラ
インの補正を行なって、マスクの熱膨張によるマスクの
投影像のずれ分を補正することができる。勿論、マスク
の伸縮量の計算に基づいて、ディストーション、像面湾
曲等の像歪みを補正してもかまわない。
【0153】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、マスクの
変形を面方向で自由に行えるようにすることでマスクが
露光中に撓む等の上下方向に対する変形を防ぐことがで
きるので、マスクの熱変形状態を平面的に捕えることが
可能となる。
【0154】従って、結像状態の検出が容易となり、こ
れらに基づく結像状態の補正も容易で且つ正確となる。
勿論、マスクの膨張量を計算により検出する場合の計算
も簡単で、且つ、正確になる。また、マスクの熱変形量
(膨張量)を座標として表すことができるので、パター
ン像の補正の際の微調整を正確に行うことができる。
【0155】更に、マスクが熱変形(膨張)する時にマ
スクステージとマスクとの間でスベリが発生せず、重ね
合わせ精度を向上させることができる。また、検出した
マスクの膨張量(膨張量)に合わせて照明光の光強度を
調整する等の最適な露光条件になるように簡単に調整す
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の投影露光装置の概略構成図である。
【図2】本発明の可動保持部の一例を示す説明図であ
る。
【図3】本発明の投影露光装置に備えたマスク保持部部
分の概略説明図である。
【図4】本発明において、八つの干渉計を設けた場合の
一構成図である。
【符号の説明】
1 光源 2 楕円鏡 3 ロータリーシャッター 4 コリメータレンズ 5 干渉フィルター 6 フライアイレンズ 7 絞り 8 第一ミラー 9 リレーレンズ系 10 集光レンズ系 11 第二ミラー 12 コンデンサーレンズ 16 演算部 17 ステージ制御部 18 シャッター制御部 19 主制御部 21、22、23、24 マスク保持部 21a、22a 可動保持部 21b 車輪 21c 移動溝 22b ベアリング 22c 移動平面 25 マスク吸引ポンプ 26、27X、27Y、28 干渉計 21X、23Y、22X、22Y 反射面 30a、30b マスク支持部 31、32、33、34 マスク吸引部 31a、32a 吸着孔 31b、32b 吸引管 31c、32c 通過孔 35a、35b、35c、35d マスク端部 50 半透過鏡 51 パワーモニタ 52 反射量モニタ 53 照射量モニタ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定められたパターンが形成されたマ
    スクに光源からの照明光を照射する照明光学系と、前記
    マスクを保持するマスクステージ手段と、前記マスクの
    パターンを感応基板上に結像する投影光学系とを備えた
    露光装置において、 前記マスクステージ手段は、マスクを保持する複数の保
    持部を備え、 前記複数の保持部のうち、少なくとも一つはマスクを保
    持した状態でマスク面方向に微動可能な可動保持部であ
    ることを特徴とする露光装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の保持部のうち、少なくとも一
    つはマスクの一部を予め定めた位置に固定させる固定保
    持部であり、 前記可動保持部のうち、少なくとも一つはマスク面内の
    予め定めた一方向のみに微動可能な一方向可動保持部で
    あることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 【請求項3】 前記マスクステージ手段は、少なくとも
    二つの前記一方向可動保持部を備え、前記一方向可動保
    持部は、それぞれの移動方向が互いに直交するように配
    設されていることを特徴とする請求項2に記載の露光装
    置。
  4. 【請求項4】 前記可動保持部の位置を検出する位置検
    出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の露光装置。
  5. 【請求項5】 前記投影光学系の結像特性を変化させる
    結像特性調整手段と、 前記位置検出手段の検出結果に
    基づいて、前記結像特性調整手段の調整量を制御する結
    像特性制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項4
    に記載の露光装置。
  6. 【請求項6】 前記感光基板と前記マスクとを相対的に
    移動させる相対移動手段と、 感光基板の露光領域に対し、前記マスクの変形に伴うマ
    スクパターンの結像位置の相対的な変位を検出する結像
    位置検出手段とを更に備え、 前記結像位置検出手段の検出結果に基づいて、相対移動
    手段の変位量を調整することを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の露光装置。
  7. 【請求項7】 前記照明光の吸収による前記マスクの熱
    変形量に応じて生じる前記結像特性の変化量を演算する
    演算手段と、 前記変形量に基づき前記結像特性を変化させる結像特性
    調整手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記
    載の露光装置。
JP6210666A 1994-08-12 1994-08-12 露光装置 Pending JPH0855780A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10135119A (ja) * 1996-10-30 1998-05-22 Canon Inc 投影露光装置
JP2011060882A (ja) * 2009-09-08 2011-03-24 Nikon Corp 露光方法、デバイス製造方法、及び露光システム
JP2011199244A (ja) * 2009-08-10 2011-10-06 Nikon Corp 露光方法、サーバ装置、露光装置及びデバイスの製造方法

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