JP2006080299A - 結像性能計測方法及び露光方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】投影光学系の結像性能を高精度に算出する。
【解決手段】第1の照明条件下で、投影光学系を介して投影光学系の光軸に直交する面内の少なくとも1つの評価位置に計測マークの第1の像が形成される(ステップ302、304)。また、第2の照明条件下で、投影光学系を介して前記少なくとも1つの評価位置に前記計測マークの第2の像が形成される(ステップ308、314)。この場合、第1の照明条件下、第2の照明条件下における、デフォーカス量と位置ずれ量との関係は既知である。そして、上記の関係と、投影光学系の光軸に直交する面内における前記第1の像の位置と前記第2の像の位置とに基づいて、前記投影光学系の結像性能を算出する(ステップ324)。従って、描画誤差やシフター誤差などの影響を受けることなく、投影光学系の結像性能を高精度に求めることが可能になる。
【選択図】図6

Description

本発明は結像性能計測方法及び露光方法に係り、更に詳しくは、投影光学系の結像性能を計測する結像性能計測方法及び該結像性能計測方法を用いる露光方法に関する。
従来より、半導体素子(CPU,DRAM等)、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)あるいは薄膜磁気ヘッド等を製造するリソグラフィ工程では、ウエハ又はガラスプレート等の物体(以下、「ウエハ」と総称する)上にデバイスパターンを形成する種々の露光装置が用いられている。近年においては、半導体素子等の高集積化に伴い、高いスループットで微細パターンを精度良くウエハ上に形成可能なステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)やこのステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))等の投影露光装置が主として用いられている。
ところで、半導体素子等を製造する場合には、いわゆる重ね合わせ精度(ウエハ上にパターンを形成し、次工程でさらにパターンを形成したときの相対的な位置精度)が良好であるとともに、デフォーカスによる回路パターンの像ぼけや色むらなどのない露光を行うことも重要である。従って、投影露光装置では、投影光学系のデフォーカス量又はベストフォーカス位置などのフォーカス性能や、像面(最良結像面)等の結像性能を正確に計測し、評価する必要がある。
投影露光装置におけるフォーカス性能を評価する手段として、最近では、PSFM(Phase Shift Focus Monitor)を用いた評価方法が注目されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載の評価方法は、孤立線状のパターンが形成されたいわゆるレベンソン型の位相シフトマスク(レチクル)を用いて露光を行う場合に、デフォーカス状態で露光を行った場合に投影光学系によって形成されるその孤立線状のパターンの像が、フォーカス状態で露光を行った場合に形成されるその孤立線状のパターンの像に対して、横方向(投影光学系の光軸に垂直な面内の方向)に位置ずれ(移動)するという現象を利用し、その位置ずれ量をデフォーカス量に換算して、フォーカス性能を評価するものである。
一方、特許文献2に記載の評価方法は、回折格子パターンにおける+1次光と−1次光の回折効率が異なる(理想的には一方が零)非対称回折格子パターンが形成されたフォーカステストマスクを用いて露光を行う場合に、デフォーカス状態で露光を行った場合に投影光学系によって形成される非対称回折格子パターンの像が、フォーカス状態で露光を行った場合に形成される非対称回折格子パターンの像に対して横方向に位置ずれ(移動)するという現象を利用し、その位置ずれ量をデフォーカス量に換算して、フォーカス性能を評価するものである。
しかるに、上記特許文献1や特許文献2に開示される評価方法を用いて投影光学系のフォーカス性能を評価するためには、位相シフトマスク又はフォーカステストマスク上のパターンの位置や配列が正確に設計値に一致していること、すなわちパターンの描画誤差などがないことが重要である。
しかしながら、現状のマスクの製造工程を考えれば、描画誤差を無くすことは、事実上殆ど困難である。また、位相シフトマスクでは、シフター誤差も存在し、これによって計測誤差が発生するおそれもある。
従って、これまでは、上述したような評価方法を用いる場合、描画誤差を0と仮定し、像の位置計測によって得られた値(前述の位置ずれ量に相当)を換算した値がデフォーカス量であるとしてそのまま利用するか、あるいは、換算した値はあくまでフォーカス再現性や、一のショット領域に対する他のショット領域でのデフォーカス量(相対値)として利用することしかできなかった。すなわち、評価点間等の相対的な値を計測することができるものの、フォーカス位置の絶対的な値を正確に求めることができなかった。
なお、上述の位相シフトマスク又はフォーカステストマスク上のパターンの線幅や位置を計測することによりレチクルパターンの描画誤差を求めることは可能であるが、そのためには別途SEM(走査型電子顕微鏡)などの高価な計測装置を用意する必要があった。また、SEM等を用いてパターンの線幅や位置を計測する場合には、長時間の計測時間が必要であった。これは、SEMでは、ウエハは、搬入後、大気側の搬送系でのアライメント処理の後、ロードロック室へ搬送され、さらに真空側の搬送系でロードロック室にて一定の真空度まで排気した後、試料室に搬送されるなどの準備作業を経た後に、計測が開始されるなどのためである。
米国特許第5,300,786号明細書 特許第3,297,423号公報
発明者等が、投影光学系による投影像が投影光学系の光軸に直交する面内でそのデフォーカス量に応じて位置ずれする現象を引き起こす計測マーク(例えば、位相シフトパターンから成るマーク等)を用い、種々の照明条件下で計測マークの像形成を行う実験やシミュレーションを繰り返し行った結果、同一のデフォーカス状態で同一の計測マークの像を形成しても照明条件が異なることにより位置ずれ量が異なる場合が多いことが判明した。また、照明条件によっては、上記の位置ずれする現象が生じたり、生じなかったりすることがあることも判明した。
本発明は、上記のような発明者等の新規知見に基づいてなされたもので、第1の観点からすると、投影光学系(PL)を介した計測マーク(FTP1,1〜FTP9,3)の像がそのデフォーカス量に応じて、前記投影光学系の光軸に直交する面内で位置ずれする現象を利用して、前記投影光学系の結像性能を計測する結像性能計測方法であって、第1の照明条件下で、前記投影光学系を介して前記投影光学系の光軸に直交する面内の少なくとも1つの評価位置に前記計測マークの第1の像を形成する第1工程と;前記第1の照明条件とは異なる第2の照明条件下で、前記投影光学系を介して前記少なくとも1つの評価位置に前記計測マークの第2の像を形成する第2工程と;前記投影光学系の光軸に直交する面内における前記第1の像の位置と前記第2の像の位置とに基づいて、前記投影光学系の結像性能を算出する第3工程と;を含む結像性能計測方法である。
これによれば、第1工程で、第1の照明条件下で、投影光学系を介して投影光学系の光軸に直交する面内の少なくとも1つの評価位置に計測マークの第1の像が形成される。また、第2工程で、第1の照明条件とは異なる第2の照明条件下で、投影光学系を介して前記少なくとも1つの評価位置に前記計測マークの第2の像が形成される。
ここで、第1の像、第2の像は、ともに同一のデフォーカス状態(デフォーカス量ΔZ)で形成された場合を考える。また、計測マークの描画誤差は、像面上換算値でaであるとする。そして、第1の像の位置は、d1だけ設計値に対して所定方向に位置ずれし、第2の像の位置は、d2だけ設計値に対して前記所定方向に位置ずれしていたものとする。
この場合、第1の照明条件下、第2の照明条件下における、デフォーカス量を位置ずれ量に換算するための換算係数を、それぞれk1、k2とすると、次式(1)、(2)が成立する。
1=a+k1・ΔZ ……(1)
2=a+k2・ΔZ ……(2)
式(1)、式(2)から、デフォーカス量ΔZは、次式(3)で表わすことができる。
ΔZ=(d1−d2)/(k1−k2) ……(3)
なお、k2がほぼ0ならば、k1−k2≒k1となるので、上記式(3)は、ΔZ=(d1−d2)/k1と表すことができる。
そして、第3工程で、上記式(3)を利用して投影光学系の光軸に直交する面内における前記第1の像の位置と前記第2の像の位置とに基づいて、前記投影光学系の結像性能(上記のデフォーカス量ΔZ又はこれに関連する結像性能)を算出する。従って、本発明によれば、描画誤差やシフター誤差などの影響を受けることなく、投影光学系の結像性能を高精度に求めることが可能になる。また、本発明では、マークそのものの描画誤差等を計測する必要は無いので、SEMなどを必ずしも用いる必要はなくなる。例えば、第1の像、第2の像がレジスト像などの転写像である場合には、重ね合わせ計測装置又は合わせずれ検査装置(Overlay Measurement Inspection Tool)とも呼ばれる測定装置や、露光装置のアライメント検出系などで第1の像、第2の像の位置を計測すれば良いし、第1の像、第2の像が空間像である場合には、空間像計測器を用いて第1の像、第2の像の位置を計測すれば良い。いずれにしても、SEM等を用いて計測を行う場合に比べて計測時間の短縮が可能である。
この場合において、前記計測マークは、位相シフトマークであり、前記第2の照明条件は、前記第1の照明条件に比べてコヒーレンスファクタが大きい照明条件であることとすることができる。発明者等の実験の結果、例えば計測マークとして位相シフトマークを用いる場合に、コヒーレンスファクタ(σ値)が所定範囲内では、コヒーレンスファクタが小さい程、同一のデフォーカス状態であっても計測マークの像の位置ずれが大きくなること、及びコヒーレンスファクタが上記の所定範囲外となる、大σ照明条件下では、デフォーカスに起因する位置ずれ現象が殆ど生じない場合のあることが確認された。
本発明は、第2の観点からすると、照明系(IL)からの照明光により、マスクステージ(RST)上に載置されたマスク(R)を照明し、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系(PL)を介して物体ステージ(WST)上に載置された物体(W)に転写する露光方法であって、本発明の結像性能計測方法を用いて前記投影光学系の結像性能を計測する工程と;前記結像性能の計測結果を考慮して前記照明系、マスクステージ、投影光学系及び前記物体ステージの少なくとも一部を調整しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記投影光学系を介して物体上に転写する工程と;を含む露光方法である。
これによれば、本発明の結像性能計測方法を用いて投影光学系の結像性能が高精度に計測され、該結像性能の計測結果を考慮して照明系、マスクが載置されるマスクステージ、投影光学系及び物体が載置される物体ステージの少なくとも一部を調整しつつ、マスクに形成されたパターンが投影光学系を介して物体上に転写される。従って、マスクに形成されたパターンを精度良く物体上に転写することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1には、本発明に係る結像性能計測方法の実施に好適なリソグラフィシステム300の全体構成が概略的に示されている。
このリソグラフィシステム300は、本発明に係る結像性能計測方法により結像性能が計測される投影光学系を有する露光装置100、該露光装置100にインラインにて接続されたコータ・デベロッパ(以下、「C/D」と略述する)110、該C/D110を介して露光装置100にインラインにて接続された重ね合わせ計測装置120、管理サーバ130、ターミナルサーバ140及びホストコンピュータ150等を備えている。露光装置100、C/D110、重ね合わせ計測装置120、管理サーバ130及びターミナルサーバ140は、ローカルエリアネットワーク(LAN)160を介して相互に接続されている。また、ホストコンピュータ150は、ターミナルサーバ140を介してLAN160に接続されている。すなわち、ハードウェア構成上では、露光装置100、C/D110、重ね合わせ計測装置120、管理サーバ130、ターミナルサーバ140及びホストコンピュータ150の相互間の通信経路が確保されている。
露光装置100は、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(走査型露光装置)であるものとする。この露光装置100の構成等については、後述する。なお、LAN160には、不図示ではあるが、他の露光装置、C/D等が接続されている。
前記C/D110は、ウエハ上へのレジストの塗布及び露光後のウエハの現像を行う。本実施形態では、C/D110はインタフェース部105、115をそれぞれ介して露光装置100、重ね合わせ計測装置120にインラインにて接続されている。
露光装置100とC/D110とをインライン接続するインタフェース部105の内部には、ウエハを相互間で受け渡すための、受け渡し部(不図示)が設けられている。また、C/D110は、装置内にウエハの搬送系を持っており、塗布工程が行われる塗布部と現像工程が行われる現像部と受渡し部との間で、一定の手順で被処理ウエハを循環搬送している。また、露光装置100も、装置内に搬送系を持っており、被処理ウエハに対する露光が行われるウエハステージと受渡し部との間で被処理ウエハを循環搬送することがなされている。C/D110の内部には、冷却部やベーク部や、被処理ウエハを一時的に保管しておくバッファ部も設けられている。
図1の配置からわかるように、C/D110は、露光装置100と重ね合わせ計測装置120との間のウエハの通路をも兼ねている。
C/D110と重ね合わせ計測装置120とをインラインにて接続するインタフェース部115の内部には、ウエハを相互間で受け渡すための、受け渡し部が設けられている。
前記重ね合わせ計測装置120は、その制御部としてマイクロコンピュータ(不図示)を備え、該マイクロコンピュータが所定のプログラムに従って処理を行うことで、例えば、パイロットウエハ(又はテストウエハ)について重ね合わせ誤差測定を実行する。
すなわち、上記のパイロットウエハなどは、プロセスに従って所定の露光装置により露光が行われ、既に1層以上のパターンが形成された状態で、例えば露光装置100に投入され、露光装置100により実際にレチクルのパターン(このパターンには重ね合わせ計測マークが含まれる)が転写され、その後に前述のC/D110により現像などの処理が行われて、重ね合わせ計測装置120に送り込まれる。そして、その重ね合わせ計測装置120は、送り込まれたウエハ上に異なる層の露光の際に形成された、重ね合わせ計測マーク(例えば、Bar in Barマーク(又はBox in Boxマーク)の像(例えばレジスト像)同士、すなわち内側マーク(又は外側マーク)の像と外側マーク(又は内側マーク)の像との重ね合わせ誤差(相対位置誤差)を計測し、更に所定の演算を行って重ね合わせ誤差情報を算出する。すなわち、重ね合わせ計測装置120は、このようにして各パイロットウエハの重ね合わせ誤差情報を測定する。本実施形態では、この重ね合わせ計測装置120は、後述する計測用レチクルに形成されたBar in Barマーク(又はBox in Boxマーク)の内側マークと外側マークとの例えばレジスト像同士の位置誤差の計測にも用いられるようになっている。
重ね合わせ計測装置120が備えるマイクロコンピュータは、LAN160を介して露光装置100の後述する主制御装置との間で通信を行い、上述のような動作を行う。また、重ね合わせ計測装置120が備えるマイクロコンピュータは、LAN160を介して、管理サーバ130との間で通信を行い、重ね合わせ誤差データ等の所定のデータの授受を行う。また、この重ね合わせ計測装置120が備えるマイクロコンピュータは、LAN160及びターミナルサーバ140を介して、ホストコンピュータ150との間で通信を行う。
前記管理サーバ130は、大容量記憶装置を備えた中型コンピュータによって構成されている。
前記ターミナルサーバ140は、LAN160における通信プロトコルとホストコンピュータ150の通信プロトコルとの相違を吸収するためのゲートウエイプロセッサとして構成される。このターミナルサーバ140の機能によって、ホストコンピュータ150と、LAN160に接続された露光装置100、C/D110及び重ね合わせ計測装置120との間の通信が可能となる。
前記ホストコンピュータ150は大型のコンピュータで構成され、本実施形態では、少なくともリソグラフィ工程を含むウエハ処理工程の統括制御を行っている。
図2には、露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、光源6及び照明光学系12を含む照明系、マスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、投影光学系PL、物体としてのウエハWが載置される物体ステージとしてのウエハステージWST、オフアクシス方式のアライメント検出系AS、及びこれらの制御系等を備えている。また、上記各構成部分のうち、光源6及び制御系の一部以外の部分は、実際には、内部の温度、圧力等の環境条件がほぼ一定に維持された不図示の環境制御チャンバ(エンバイロンメンタル・チャンバ)内に収容されている。
前記光源6としては、ここでは、ArFエキシマレーザ(出力波長193nm)が用いられている。
前記光源6は、実際には、上記の環境制御チャンバ(すなわち露光装置100の大部分を収容するチャンバ)が設置されたクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルームに設置されており、そのチャンバに設けられた光透過窓217にビームマッチングユニット(BMU)と呼ばれる光軸調整用光学系を少なくとも一部に含む不図示の送光光学系によって接続されている。光源6は、主制御装置20からの制御情報TSに基づいて、内部のコントローラにより、レーザ光LBの発光のオン・オフ、レーザ光LBの1パルスあたりのエネルギ、発振周波数(繰り返し周波数)、中心波長及びスペクトル半値幅などが制御されるようになっている。
前記照明光学系12は、シリンダレンズ、ビームエキスパンダ及びズーム光学系(いずれも不図示)、並びにオプティカルインテグレータ(ホモジナイザ)222を含むビーム整形・照度均一化光学系220、照明系開口絞り板224、第1リレーレンズ228A、第2リレーレンズ228B、固定レチクルブラインド230A、可動レチクルブラインド230B、光路折り曲げ用のミラー240及びコンデンサレンズ232等を備えている。ここで、オプティカルインテグレータ222としては、フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)あるいは回折光学素子などを用いることができるが、本実施形態では、フライアイレンズが用いられているので、以下では、「フライアイレンズ222」とも記述する。
前記ビーム整形・照度均一化光学系220は、前述の光透過窓217が設けられた照明光学系12の入射端部に位置し、光源6でパルス発光され、光透過窓217を介して入射したレーザビームLBの断面形状を、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダを用いて整形する。そして、ビーム整形・照度均一化光学系220内部の射出端側に位置するフライアイレンズ222は、レチクルRを均一な照度分布で照明するために、前記断面形状が整形されたレーザビームの入射により、その射出側焦点面(照明光学系12の瞳面とほぼ一致)に多数の点光源(光源像)から成る面光源(2次光源)を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを以下においては、「照明光IL」と呼ぶものとする。
フライアイレンズ222の射出側焦点面の近傍に、円板状部材から成る照明系開口絞り板224が配置されている。この照明系開口絞り板224には、ほぼ等角度間隔で、例えば円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、該通常絞りに比べて小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を通常絞りに比べて小さく(例えば、σ値を0.5以下、例えば0.4に)するための開口絞り(第1の小σ絞り)、該第1の小σ絞りに比べて小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を例えば0.3にするための開口絞り(第2の小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図2ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。なお、第1の小σ絞り、第2の小σ絞りの少なくとも一方を、虹彩絞りにしても良い。
この照明系開口絞り板224は、主制御装置20からの制御信号MLCによって制御されるモータ等の駆動装置240によって回転駆動され、いずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定され、これにより瞳面における2次光源の形状や大きさ(照明光の光量分布)が、輪帯、小円形、大円形、あるいは四つ目等に制限される。なお、本実施形態では、開口絞り板224を用いて、照明光学系12の瞳面上での照明光の光量分布(2次光源の形状や大きさ)、すなわちレチクルRの照明条件を変更するものとしたが、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ)222の入射面上での照明光の強度分布あるいは照明光の入射角度範囲を可変として、前述の照明条件の変更に伴う光量損失を最小限に抑えることが好ましい。このために、開口絞り板224の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、例えば照明光学系12の光路上に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系12の光軸に沿って移動可能な少なくとも1つのプリズム(円錐プリズムや多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニットを光源6とオプティカルインテグレータ(フライアイレンズ)222との間に配置する構成を採用することとしても良い。
照明系開口絞り板224から出た照明光ILの光路上に、固定レチクルブラインド230A、可動レチクルブラインド230Bを介在させて第1リレーレンズ228A及び第2リレーレンズ228Bから成るリレー光学系が配置されている。
固定レチクルブラインド230Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面又はその近傍に配置され、レチクルR上でX軸方向(図1における紙面直交方向)に細長く伸びるスリット状の照明領域を規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド230Aの近傍に走査方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)及び非走査方向(図1における紙面直交方向であるX軸方向)にそれぞれ対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド230Bが配置されている。走査露光の開始時及び終了時には、主制御装置20の制御により、その可動レチクルブラインド230Bを介してレチクルR上の照明領域をさらに制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。
リレー光学系を構成する第2リレーレンズ228B後方の照明光ILの光路上には、当該第2リレーレンズ228Bを通過した照明光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラー240が配置され、このミラー240後方の照明光ILの光路上にコンデンサレンズ232が配置されている。
このようにして構成された照明光学系12の作用を簡単に説明すると、光源6からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形・照度均一化光学系220に入射し、ここで後方のフライアイレンズ22に効率よく入射するようにその断面形状が整形された後、フライアイレンズ222に入射する。これにより、フライアイレンズ222の射出側焦点面に前述した2次光源が形成される。この2次光源から射出された照明光ILは、照明系開口絞り板224上のいずれかの開口絞りを通過した後、第1リレーレンズ228Aを経て固定レチクルブラインド230Aの矩形の開口部及び可動レチクルブラインド230Bの開口を通過する。そして、この照明光ILは、第2リレーレンズ228Bを通過してミラー240によって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ232を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上における、前述スリット状の照明領域を均一な照度分布で照明する。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、ここでは、リニアモータ等から成る不図示のレチクルステージ駆動部によって、投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向及びこれに直交するY軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微小駆動可能であるとともに、所定の走査方向(Y軸方向)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)は、主制御装置20に送られ、主制御装置20ではその位置情報(又は速度情報)に基づいてレチクルステージ駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTの移動を制御する。
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図2における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLは、例えば、両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する不図示の複数のレンズエレメントから構成されている。また、この投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4、1/5、1/6などのものが使用されている。このため、上述のようにして、照明光(露光光)ILによりレチクルR上の照明領域が照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLによって投影倍率βで縮小された像(部分縮小像)が、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上のスリット状の露光領域に投影され転写される。
なお、本実施形態では、上記の複数のレンズエレメントのうち、特定のレンズエレメント(例えば、所定の5つのレンズエレメント)がそれぞれ独立に移動可能となっている。かかる特定のレンズエレメントの移動は、特定のレンズエレメント毎に設けられた3個のピエゾ素子等の駆動素子によって行われる。すなわち、これらの駆動素子を個別に駆動することにより、特定のレンズエレメントを、それぞれ独立に、各駆動素子の変位量に応じて光軸AXに沿って平行移動させることもできるし、光軸AXと垂直な平面に対して所望の傾斜を与えることもできるようになっている。本実施形態では、主制御装置20からの指令MCDに基づいて、結像性能補正コントローラ251により各駆動素子が駆動されることで、投影光学系PLのディストーション、像面湾曲、非点収差、コマ収差、又は球面収差等の諸収差(光学特性の一種)が調整されるようになっている。
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図2における下方で、不図示のベース上に配置され、その上面にウエハホルダ25が載置されている。このウエハホルダ25上にウエハWが例えば真空吸着等によって固定されている。
ウエハステージWSTは、モータ等を含むウエハステージ駆動部24により走査方向(Y軸方向)及び走査方向に垂直な非走査方向(X軸方向)に駆動される。そして、このウエハステージWSTによって、ウエハW上の各ショット領域を走査(スキャン)露光するためにウエハWをレチクルRに対して相対走査する動作と、次のショットの露光のための走査開始位置(加速開始位置)まで移動する動作とを繰り返すステップ・アンド・スキャン動作が実行される。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置は、ウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18によって、移動鏡17を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は、主制御装置20に送られ、主制御装置20ではその位置情報(又は速度情報)に基づきウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTの駆動制御を行う。
また、ウエハステージWSTは、ウエハステージ駆動部24によりZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向:ピッチング方向)、θy方向(Y軸回りの回転方向:ローリング方向)及びθz方向(Z軸回りの回転方向:ヨーイング方向)にも微小駆動される。
なお、ウエハステージWST上には、後述するレチクルアライメント用の複数対の第1基準マーク、後述するアライメント検出系ASのベースライン計測用の基準マーク等が形成された基準マーク板FMが、その表面がほぼウエハWの表面と同一高さとなるように固定されている。
前記アライメント検出系ASは、投影光学系PLの側面に配置されている。本実施形態では、このアライメント系ASとして、画像処理方式のアライメントセンサ、いわゆるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このアライメント系ASの詳細な構成は、例えば、特開平9−219354号公報に開示されている。このアライメント系ASの検出信号は、主制御装置20に供給されるようになっている。
また、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、投影光学系PLを介してレチクルR上の一対のレチクルマークと対応する基準マーク板FM上の一対の第1基準マークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント系が設けられている。これらのレチクルアライメント系としては、例えば特開平7−176468号公報(対応する米国特許第5,646,413号)などに開示されるものと同様の構成のものが用いられる。
更に、図2の装置には、ウエハW表面の露光領域内部及びその近傍の領域のZ軸方向(光軸AX方向)の位置を検出するための斜入射方式のフォーカス検出系(焦点検出系)の一つである、多点フォーカス位置検出系(21,22)が設けられている。この多点フォーカス位置検出系(21,22)の詳細な構成等については、例えば、特開平6−283403号公報に開示されている。多点フォーカス位置検出系(21,22)による検出結果は、主制御装置20に供給される。
前記制御系は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)から成る主制御装置20を中心として構成されている。主制御装置20は、装置の構成各部を統括して制御する。主制御装置20は、前述したLAN160に接続されている。
次に、前記投影光学系PLの結像性能の計測に用いられる計測用レチクルRTについて図3等に基づいて、説明する。
図3には、計測用レチクルRTを下面側から見た図が示されている。この図3に示されるように、計測用レチクルRTには遮光帯SBで区画されたパターン領域PAが形成され、該パターン領域PAの内部には、Bar in Barマークから成る複数、ここでは27個のフォーカステストマークFTP1,1、FTP1,2、FTP1,3、……FTP9,3が、9行3列のマトリクス状の配置で形成されている。この場合、パターン領域PA内部の走査方向(Y軸方向)の中央部には、前述の固定レチクルブラインド230Aで規定される照明領域(二点鎖線で示される領域)とほぼ同じ領域内に、上記9行3列のマトリクスのうちの3行3列分のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2、FTP4,3、……FTP6,3が存在する。
なお、投影光学系PLの結像性能の計測に用いられる計測用レチクルには、多数、例えば60〜200個程度のフォーカステストマークが、投影光学系PLの視野内の有効領域(上記2点鎖線で示される領域)内に所定の配置で形成されており、フォーカステストマークの個数や配置は特に問わないが、本実施形態では、説明の複雑化を避けるために、図3のような計測用レチクルRTを用いるものとしているのである。
各フォーカステストマークFTPi,j(i=1,2,……,9、j=1,2,3)は、フォーカステストマークFTP1,1について代表的に示されるように、計測マークとしての内側マークMMAと、基準マークとしての外側マークMMBとを有する。
前記内側マークMMAは、フォーカステストマークFTPi,jを取り出して拡大して示す図4(A)から分かるように、Y軸方向に所定距離離れて平行に配置されたX軸方向を長手方向とする一対のラインパターンとしての第1計測マーク要素MA1及び第3計測マーク要素MA3と、X軸方向に所定距離離れて平行に配置されたY軸方向を長手方向とする一対のラインパターンとしての第2計測マーク要素MA2及び第4計測マーク要素MA4との4本のラインパターンを含み、全体として4つのコーナー部分が欠落したほぼ正方形の矩形マーク(Boxマーク)のような形状を有している。
前記外側マークMMBは、全体として4つのコーナー部分が欠落したほぼ正方形の矩形マーク(Boxマーク)のような形状を有し、内側マークMMAとほぼ相似で一回り大きなマークである。外側マークMMBは、X軸方向を長手方向とする一対の基準マーク要素である第1基準マーク要素MB1及び第3基準マーク要素MB3と、Y軸方向を長手方向とする一対の基準マーク要素である第2基準マーク要素MB2及び第4基準マーク要素MB4とを備えている。この外側マークMMBと内側マークMMAの中心とはほぼ一致するような位置関係とされている。
内側マークMMA及び外側マークMMBの近傍には、図4(A)に示されるように、通過する光の位相を90°ずらす位相シフト部PS1〜PS4がそれぞれ形成されている。位相シフト部PS1〜PS4のそれぞれは、計測レチクルRTの位相シフト部(PS1〜PS4)近傍を断面して示す図4(B)からわかるように、その表面が他の部分よりも一段掘り下げられた状態に加工・形成されている。
前記4つの位相シフト部のうち、位相シフト部PS1は、図4(A)に示されるように、平面視(下方から見て)概略直角二等辺三角形状の形状を有し、その直角を挟む2辺が、前述の第1計測マーク要素MA1、第2計測マーク要素MA2に接している。
また、位相シフト部PS2は、長方形状の形状を有し、その長手方向の一辺がその両端部の一部を除き、前述の第1基準マーク要素MB1に接している。また、位相シフト部PS3は、長方形状の形状を有し、その長手方向の一辺が、その両端部の一部を除き、前述の第2基準マーク要素MB2に接している。
さらに、残りの位相シフト部PS4は、概略L字状の形状を有し、前述の第3計測マーク要素MA3、第3基準マーク要素MB3、第4計測マーク要素MA4及び第4基準マーク要素MB4それぞれに接している。
このようにして構成されたフォーカステストマークFTPi,jでは、相互に対応する計測マーク要素と基準マーク要素(すなわち第1計測マーク要素MA1と第1基準マーク要素MB1、第2計測マーク要素MA2と第2基準マーク要素MB2、第3計測マーク要素MA3と第3基準マーク要素MB3、第4計測マーク要素MA4と第4基準マーク要素MB4)では、位相シフト部が互いに反対側に設けられている。例えば、第1計測マーク要素MA1では、その+Y側に位相シフト部PS1が設けられ、第1基準マーク要素MB1では、その−Y側に位相シフト部PS2が設けられている。
従って、本実施形態では、計測用レチクルRTを用いて、フォーカス状態で露光を行った場合には、照明条件によらず、図5(A)に示されるような、フォーカステストマークFTPi,jの各マーク要素の縮小像MA1’〜MA4’、MB1’〜MB4’が、投影光学系PLの像面側のXY面(例えばウエハ面)上に形成されるのに対し、計測用レチクルRTを用いて、デフォーカス状態で露光を行った場合には、例えば小σ照明条件(コヒーレンスファクタ(σ値)が0.5以下の照明条件)下では、一例として図5(B)に示されるように、フォーカステストマークFTP11の各計測マーク要素の像(MA1’〜MA4’)と対応する各基準マーク要素の像(MB1’〜MB4’)とが図中の矢印で示されるように、図5(A)の状態からほぼ同一距離だけ相互に離れる方向に位置ずれして投影光学系PLの像面側のXY面(例えばウエハ面)上に形成される。
図3に戻り、計測用レチクルRTのパターン領域PAの中心(ここではレチクルセンタに一致するものとする)を通るX軸上のパターン領域PAの両外側には、レチクルアライメントマークRM1、RM2が形成されている。レチクルアライメントマークRM1を中心としてY軸方向の一側と他側に同一距離だけ離れて、レチクルアライメントマークRM3、RM5がそれぞれ形成されている。また、レチクルアライメントマークRM2を中心としてY軸方向の一側と他側に同一距離だけ離れて、レチクルアライメントマークRM4、RM6がそれぞれ形成されている。レチクルアライメントマークRM3とRM4、RM5とRM6はレチクルセンタを通るY軸に関して対称の配置となっている。この計測用レチクルRTは、レチクルステージRST上にロードされた状態では、パターン面(図3における紙面手前側の面)が、投影光学系PLに対向する側の面となる。
ところで、本発明者等の実験及びシミュレーションの結果、計測用レチクルRTのような位相シフトレチクルの場合、コヒーレンスファクタ(σ値)が0.5以下の照明条件では、σ値が小さいほど、同一のデフォーカス量であっても、上記の位置ずれ量が大きくなること、すなわち、デフォーカス量(ΔZ)を横ずれ量に換算するための換算係数kの値が大きくなることが確認された。本実施形態では、前述の照明系開口絞り板224の第1の小σ絞りを用いた第1の照明条件下における換算係数k1と、第2の小σ絞りを用いた第2の照明条件下における換算係数k2とが、予め実験等で求められているものとする。また、これらの換算係数k1、k2は、露光装置100の主制御装置20のメモリ内は勿論、ホストコンピュータ150のメモリ内にも記憶されているものとする。
次に、本実施形態のリソグラフィシステム300で行われる、露光装置100の投影光学系PLの結像性能の計測方法について、図6のフローチャートに沿ってかつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。図6は、ホストコンピュータ150の処理アルゴリズムを示すフローチャートである。なお、ホストコンピュータ150と露光装置100、C/D110、あるいは重ね合わせ計測装置120との通信はターミナルサーバ140及びLAN160を介して行われ、露光装置100、C/D110及び重ね合わせ計測装置120相互間の通信は、LAN160を介して行われるが、以下ではターミナルサーバ140やLAN160についての記載は省略するものとする。
まず、図6のステップ302において、ホストコンピュータ150は、露光装置100の主制御装置20に対し第1の照明条件(例えば、コヒーレンスファクタσ値が0.4となる照明条件とする)の下でのテスト露光を指示する。
次のステップ304では、ホストコンピュータ150は、上記の指示に応じて露光装置100で露光が行われ、その露光済みのウエハのC/D110への搬送が終了するのを待つ。
一方、露光装置100の主制御装置20は、上記ステップ302での指示に応じて、次のような処理を行う。
すなわち、まず、図7のステップ402において、不図示のレチクルローダを介してレチクルステージRST上に計測用レチクルRTをロードする。
次いで、ステップ403において、レチクルアライメント及びブラインド調整などの所定の準備動作を行う。具体的には、まず、ウエハステージWST上に設けられた基準マーク板FMの表面に形成されている特定の一対の第1基準マークの中心が投影光学系PLの光軸AXとほぼ一致する基準位置にウエハステージWSTを移動させるとともに、レチクルRT上の一対のレチクルアライメントマークRM1、RM2の中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光軸とほぼ一致する基準位置にレチクルステージRSTを移動させる。ここで、ウエハステージWSTの移動は、主制御装置20が、ウエハ干渉計18の計測値をモニタしつつ、ウエハステージ駆動部24を制御することで行われ、レチクルステージRSTの移動は、主制御装置20が、レチクル干渉計16の計測値をモニタしつつ不図示のレチクルステージ駆動部を制御することで行われる。以下においても同様である。
次いで、前述の一対のレチクルアライメント系を用いて計測用レチクルRT上のレチクルアライメントマークRM1、RM2とこれらに個別に対応する基準マーク板FM上の特定の一対の第1基準マークの投影光学系を介した像との位置誤差を検出し、その位置誤差が同時に最小になるように、レチクルステージRSTをXY面内で微小駆動する。すなわち、ステッパなどの静止型露光装置と同様のレチクルアライメントを行う。
また、このとき、固定レチクルブラインド230Aによって規定される計測用レチクルRT上の照明光ILの照射領域(照明領域)の非走査方向の幅が、パターン領域PAより広い場合には、可動レチクルブラインド230Bの非走査方向の開口幅を調整する。これによって、非走査方向の長さがパターン領域PAに一致し、走査方向の幅が固定レチクルブラインド230Aによって規定される最大幅となる長方形状の照明領域が計測用レチクルRT上に設定されるようになる。
次のステップ404では、指示された照明条件、ここでは第1の照明条件、すなわちコヒーレンスファクタσ値が0.4となる照明条件を設定すべく、照明系開口絞り板224を回転し、第1の小σ絞りを光路上に配置する。
次のステップ406では、不図示のウエハローダを介して、ウエハステージWST上に計測用のウエハ(以下、便宜上「第1ウエハ」と呼ぶ)をロードする。ここで、この第1ウエハは前述のC/D110内にあるレジスト塗布済みのウエハであっても良いし、不図示のバッファ内にあるレジスト塗布済みのウエハであっても良い。
次のステップ408では、第1ウエハに対する第n回目(nショット目)の露光であることを示す不図示のカウンタのカウント値nを「1」に初期化する(n←1)。
次のステップ410では、露光対象のウエハ(ここでは第1ウエハ)上の転写像の形成が予定されている、第n番目(ここでは第1番目)の領域(以下、便宜上「ショット形成領域」と呼ぶ)を露光位置、すなわち投影光学系PLの直下に位置決めすべく、ウエハステージWSTを移動する。
次のステップ412では、光源6に制御情報TSを与えてレーザ光LBを発光させ、照明光ILによって計測用レチクルRTを照明して、静止露光を行う。これにより、パターン領域PA内の9個のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2……、FTP6,3が投影光学系PLを介して第1ウエハ上の第n番目(ここでは第1番目)のショット形成領域に縮小転写される。
次のステップ414では、前述のカウンタのカウント値nを参照し、n=Nか否か、すなわち予定されているN個のパターン領域PAの転写像を第1ウエハ上に形成するための露光が終了したか否かを判断する。ここでは、n=1、すなわちパターン領域PAの転写像が1つだけ第1ウエハ上に形成されただけであるから、ステップ414での判断は否定され、ステップ416に移行し、前述のカウンタのカウント値nを1インクリメントして(n←n+1)、ステップ410に戻る。
以降、ステップ414での判断が肯定されるまで、ステップ410→412→414→416のループの処理(判断を含む)を繰り返す。これにより、第1ウエハ上の第2番目〜第N番目のショット形成領域に対する露光がそれぞれ行われ、それらのショット形成領域にパターン領域PA内の9個のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2……、FTP6,3の転写像が順次形成される。
このようにして、第1ウエハ上の第N番目のショット形成領域に9個のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2……、FTP6,3の転写像が形成されると、ステップ414における判断が肯定され、ステップ418に移行する。
ステップ418では、露光処理済みのウエハ(ここでは第1ウエハ)を、インタフェース部105を介してC/D110に搬送した後、ステップ420に進んで、その露光処理済みのウエハ(ここでは第1ウエハ)のC/D110への搬送が終了した旨をホストコンピュータ150に通知した後、ここでの処理を終了する。
露光装置100側で、上述のような処理が行われている間、ホストコンピュータ150は、図6のステップ304の待ち状態にあったが、上記ステップ420における通知により、ステップ306に移行し、C/D110に露光処理済みのウエハ(ここでは第1ウエハ)の現像を指示する。これにより、C/D110によってそのウエハ(ここでは第1ウエハ)の現像が開始される。
次のステップ308で、ホストコンピュータ150は、露光装置100の主制御装置20に対し第2の照明条件(例えば、コヒーレンスファクタσ値が0.3となる照明条件とする)の下でのテスト露光を指示する。この指示に応じ、露光装置100の主制御装置20におり、図7のフローチャートと同様の処理が開始される。但し、この場合、計測用レチクルRTのロード及びレチクルアライメント等の準備動作は既に行われているので、ステップ404と同様の照明開口絞り板の設定から処理が開始される。また、この場合、照明開口絞り板の設定に際して、指示された第2の照明条件、すなわちコヒーレンスファクタσ値が0.3となる照明条件を設定すべく、照明系開口絞り板224が回転され、第2の小σ絞りが光路上に配置される。その後は、前述のステップ406〜420の処理と同様の処理が行われる。
一方、ホストコンピュータ150は、上記ステップ308の指示を行った後、ステップ310に進み、上記の露光装置100側の第2の照明条件の下でのテスト露光と並行してC/D110で行われている、前述の第1の照明条件下でのテスト露光が行われたウエハ(第1ウエハ)の現像が終了するのを待つ。所定時間後、C/D110側でその第1ウエハの現像が終了し、その第1ウエハ上には、9個のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2……、FTP6,3のレジスト像が形成されたN個の領域が形成され、このレジスト像が形成された第1ウエハが投影光学系PLの結像性能を計測するための第1の試料となる。
上記の現像終了後、C/D110からの現像終了の通知を受けると、ホストコンピュータ150は、ステップ312に進んで、C/D110に対し、その露光処理済みのウエハ(第1ウエハ)の重ね合わせ計測装置120への搬送を指示するとともに、重ね合わせ計測装置120に対し、その露光処理済みのウエハ(第1ウエハ)の計測を指示する。この指示に応じ、重ね合わせ計測装置120において、その露光処理済みのウエハ(第1ウエハ)上のN個の領域内部の9個のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2……、FTP6,3のレジスト像の計測、すなわちN×9個のフォーカステストマークそれぞれのレジスト像について、外側マークMMBの像MMB’の中心位置と内側マークMMAの像MMA’の中心位置とのXY面内での位置ずれ量(n(dx1i,jn(dy1i,j)(但し、n=1〜N、i=4〜6、j=1〜3)の計測が行われる。
ホストコンピュータ150は、上記のステップ312の指示を行った後、次のステップ314に移行し、前述のステップ308の指示に応じて露光装置100で露光が行われ、その露光済みのウエハ(便宜上、「第2ウエハ」とする)のC/D110への搬送が終了するのを待つ。
そして、露光装置100の主制御装置20からその露光処理済みのウエハ(ここでは第2ウエハ)のC/D110への搬送が終了した旨の通知を受け取ると、ホストコンピュータ150は、次のステップ316でC/D110に露光処理済みのウエハ(ここでは第2ウエハ)の現像を指示する。これにより、C/D110によってそのウエハ(ここでは第2ウエハ)の現像が開始される。
ホストコンピュータ150は、上記ステップ316の指示を行った後、ステップ318で、C/D110で行われている、前述の第2の照明条件下でのテスト露光が行われたウエハ(第2ウエハ)の現像が終了するのを待つ。所定時間後、C/D110側でその第2ウエハの現像が終了する。これにより、その第2ウエハ上には、9個のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2……、FTP6,3のレジスト像が形成されたN個の領域が形成され、このレジスト像が形成された第2ウエハが投影光学系PLの結像性能を計測するための第2の試料となる。
そして、C/D110からの現像終了の通知を受けると、ホストコンピュータ150は、ステップ318の待ち状態を終了し、ステップ320に進んで、C/D110に対し、その露光処理済みのウエハ(第2ウエハ)の重ね合わせ計測装置120への搬送を指示するとともに、重ね合わせ計測装置120に対し、その露光処理済みのウエハ(第2ウエハ)の計測を指示する。この指示に応じ、重ね合わせ計測装置120において、その露光処理済みのウエハ(第2ウエハ)上のN個の領域内部の9個のフォーカステストマークFTP4,1、FTP4,2……、FTP6,3のレジスト像の計測、すなわちN×9個のフォーカステストマークそれぞれのレジスト像について、外側マークMMBの像MMB’の中心位置と内側マークMMAの像MMA’の中心位置とのXY面内での位置ずれ量(n(dx2i,jn(dy2i,j)(但し、n=1〜N、i=4〜6、j=1〜3)の計測が行われる。
ホストコンピュータ150は、上記のステップ320の指示を行った後、次のステップ322で重ね合わせ計測装置120側で計測が終了するのを待つ。
そして、全ての計測が終了し、重ね合わせ計測装置120から計測終了の通知を受け取ると、ホストコンピュータ150では、ステップ324に進み、重ね合わせ計測装置120から全ての計測結果を受け取り、次のような手順で、投影光学系PLの最良結像面(結像性能の一種)を算出する。
すなわち、ホストコンピュータ150では、まず、次の式(4)〜式(7)に基づいて、第1の照明条件下での各フォーカステストマークFTPi,jの像の外側マークMMBの像MMB’の中心位置と内側マークMMAの像MMA’の中心位置とのX軸方向、Y軸方向に関する位置ずれ量の、Nショットの平均値(dx1)i,j及び(dy1)i,j、並びに第2の照明条件下での各フォーカステストマークFTPi,jの像の外側マークMMBの像MMB’の中心位置と内側マークMMAの像MMA’の中心位置とのX軸方向、Y軸方向に関する位置ずれ量の、Nショットの平均値(dx2)i,j及び(dy2)i,jを、それぞれ算出する。
Figure 2006080299
次に、ホストコンピュータ150では、次式(8)、(9)に基づいて、各フォーカステストマークFTPi,jの像のX軸方向、Y軸方向に関する位置情報、すなわち外側マークMMBの像MMB’の中心位置と内側マークMMAの像MMA’の中心位置とのX軸方向、Y軸方向に関する位置ずれ量から、デフォーカス量(ΔZx)i,j、(ΔZy)i,jをそれぞれ算出する。
Figure 2006080299
次いで、ホストコンピュータ150では、次式(10)に基づいて、各フォーカステストマークFTPi,jに個別に対応する投影光学系PLの視野内の評価点それぞれにおける、デフォーカス量ΔZi,jを算出する。
ΔZi,j={(ΔZx)i,j+(ΔZy)i,j}/2 ……(10)
次いで、ホストコンピュータ150では、投影光学系PLの視野内の9点のデフォーカス量ΔZi,jに基づき、最小二乗演算により投影光学系PLのスタティック・フィールドに対応する像面を算出する。
そして、ホストコンピュータ150では、次のステップ326で、算出した投影光学系PLの結像性能(ここでは、像面)の情報(途中の算出結果をも含めて)を、露光装置100の主制御装置20に転送した後、一連の処理を終了する。
その後、露光装置100では、デバイスパターンの転写の際には、レチクルアライメント及びアライメント検出系ASのベースライン計測などの準備作業の後、ステップ・アンド・スキャン方式で、レチクルR上に形成されたデバイスパターンが投影光学系PLを介してウエハW上の複数のショット領域にそれぞれ転写される。なお、このような一連の動作は、通常のスキャナと同様であるから、詳細説明については省略する。
但し、露光装置100の主制御装置20は、上述のようにしてホストコンピュータ150から転送され、メモリに記憶しておいた、投影光学系PLの結像性能(ここでは、像面)の情報(途中の算出結果をも含めて)の情報に基づいて、所定の演算プログラムに従って計算を行い、この計算結果に基づいて結像性能補正コントローラ251を介して投影光学系PLを構成するレンズの少なくとも1つを駆動して、投影光学系PLの結像性能(例えば像面湾曲又は像面傾斜)を調整する。また、走査露光時には、必要に応じて上記の結像性能補正コントローラ251の調整結果を考慮して、多点フォーカス位置検出系(21,22)の各フォーカスセンサの目標値(オフセット)を調整することで、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置、及びθy方向の回転などを微調整する。このような調整により、露光装置100によるパターンの転写特性が要求される仕様を満足するレベルに調整される。例えば、投影光学系PLのスタティック・フィールドの全域において、ウエハWの表面が投影光学系PLの焦点深度の範囲内に合致するようなウエハWのフォーカス・レベリング制御が行われる。
以上詳細に説明したように、本実施形態のリソグラフィシステム300では、ホストコンピュータ150によって、前述の図6のフローチャートに沿った処理が行われ、この際に、露光装置100、C/D110、及び重ね合わせ計測装置120が、それぞれホストコンピュータ150の指示に応じた処理を行うことで、第1の照明条件(σ値0.4)下での計測用レチクルRTのフォーカステストマークFTPi,j(i=4〜6、j=1〜3)の第1ウエハ上の複数の領域への転写、第2の照明条件(σ値0.3)下での計測用レチクルRTのフォーカステストマークFTPi,j(i=4〜6、j=1〜3)の第2ウエハ上の複数領域への転写、第1ウエハ及び第2ウエハの現像、及び現像後に形成された第1ウエハ及び第2ウエハ上のレジスト像の計測、並びにその計測結果に基づく、投影光学系PLの結像性能の算出の各処理が実行される。このとき、ホストコンピュータ150では、重ね合わせ計測装置120から全ての計測結果を受け取り、前述の式(4)〜式(10)に基づいて、投影光学系PLの結像性能の一種である像面を算出する。
ここで前述の式(8)、(9)と前述の式(3)とを比べるとわかるように、両者は同様の式である。すなわち、式(8)、(9)においても、右辺の分子において、第1の照明条件下での前述の位置ずれ量の平均値と、対応する第2の照明条件下での位置ずれ量の平均値との差をとっているので、結果的にデフォーカス量(ΔZx)i,j、(ΔZy)i,jは、フォーカステストマークの描画誤差やシフター誤差などが相殺された値となっている。従って、これらの平均値であるデフォーカス量ΔZi,jは、フォーカステストマークの描画誤差やシフター誤差などの影響を受けることがない、高精度なデフォーカス量の計測値となっている。
そして、上記のデフォーカス量ΔZi,j(i=4〜6、j=1〜3)に基づいて、最小二乗演算により投影光学系PLのスタティック・フィールドに対応する像面を算出する(上記ステップ324参照)。
従って、本実施形態によると、描画誤差やシフター誤差などの影響を受けることなく、投影光学系PLのスタティック・フィールドに対応する像面(結像性能の一種)を高精度に求めることが可能となる。
また、本実施形態では、SEMなどに比べて簡易な計測装置である重ね合わせ計測装置120を用いて、前述の第1ウエハ、第2ウエハ上に形成されたレジスト像の位置情報の計測を行う。すなわち、計測用レチクルRT上のマークそのものの描画誤差等を計測しないので、SEM等を用いる必要がなく、SEM等を用いる場合に比べて計測時間の短縮が可能である。
また、本実施形態では、基準マーク、すなわち外側マークMMBとして、その投影光学系PLによる像MMB’が、計測マークとしての内側マークMMAの像MMA’とは、XY面内で逆向きに同一量シフトする、位相シフトマークが用いられている。このため、像MMB’に対する像MMA’の計測方向の位置誤差が、基準マーク像MMB’の設計上の位置(フォーカス状態の像の形成位置)からの位置ずれ量と、計測マークの像MMA’ の設計上の位置(フォーカス状態の像の形成位置)からの位置ずれ量との和、すなわち、基準マークの像がシフトしない場合の2倍に一致している。従って、像のシフト量が微小な場合であっても、重ね合わせ計測装置120を用いて、像MMB’に対する像MMA’の計測方向の位置誤差を精度良く計測することが可能になっている。
さらに、本実施形態では、上述のようにして投影光学系PLのスタティック・フィールドに対応する像面が高精度に計測され、その計測結果を考慮して、露光装置100の投影光学系PLの調整が行われ、さらにこれら計測結果及び調整結果を考慮して、ウエハステージWSTを調整しつつ、レチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLを介してウエハW上に転写される。従って、レチクルRに形成されたパターンを精度良くウエハW上に転写することが可能となる。
なお、上記実施形態では、第1の照明条件が第1の小σ条件であり、第2の照明条件が第2の小σ条件である場合について説明したが、第1の照明条件が小σ照明条件であり、第2の照明条件がσ値が0.5より大きな照明条件、例えば通常照明条件(例えばσ値0.7程度)であっても良く、あるいはこの反対であっても良い。前者の場合には、第2の照明条件下では、デフォーカスによってマークの像の横ずれが生じないので、前述した式(8)、(9)の計算を行う際には、k2=0として計算を行えば良い。後者の場合には、第1の照明条件下では、デフォーカスによってマークの像の横ずれが生じないので、前述した式(8)、(9)の計算を行う際には、k1=0として計算を行えば良い。
なお、上記実施形態では、投影光学系PLの結像性能を計測するに際し、第1の照明条件下、第2の照明条件下で、それぞれ計測用レチクルRTを用いて、静止露光(一括露光)を行って、その結果得られた第1ウエハ、第2ウエハ上の基準マーク及び計測マークのレジスト像の計測結果から、投影光学系PLの結像性能として、スタティック・フィールドに対応する像面を求める場合について例示したが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。
例えば、投影光学系の視野内の1点に位置するフォーカステストマークのみをウエハ上にそれぞれ転写することにより、そのフォーカステストマークのレジスト像を計測して投影光学系の結像性能として投影光学系のベストフォーカス位置を算出することとしても良い。
あるいは、第1の照明条件下、第2の照明条件下で、それぞれ計測用レチクルRTを用いて、走査露光を行って、第1ウエハ、第2ウエハ上に計測用レチクル上の各フォーカスマークFTPi,j(i=1〜9、j=1〜3)のレジスト像を形成しても良い。この場合、主制御装置20は、前述の図7のフローチャートではなく、図8のフローチャートに従った処理を行えば良い。
この図8のフローチャート中のステップ502〜520は、前述のステップ402〜420と全体的には同様になっているが、その一部が相違している。すなわち、ステップ503におけるレチクルアライメントに際しては、レチクルアライメント系で、計測用レチクルRT上の少なくとも2対のレチクルアライメントマークと対応する基準マーク板FM上のレチクルアライメント用の第1基準マークとの相対位置を計測し、この計測結果に基づいて、レチクル干渉計16の測長軸で規定されるレチクルステージ座標系とウエハ干渉計18の測長軸で規定されるウエハステージ座標系との関係を求める。
また、ステップ510では、ウエハ上に第n回目の露光を行うための加速開始位置にウエハを移動する必要がある。その他は、前述のステップ402〜420と同様である。
そして、上記のようにして走査露光方式で計測用レチクルRTのパターンが転写された第1ウエハ及び第2ウエハ上の計測マークの像、基準マークの像の計測結果に基づいて、各フォーカスマークFTPi,j(i=1〜9、j=1〜3)に対応するデフォーカス量をそれぞれ求めても良い。かかる場合には、このデフォーカス量に基づいて、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの走査方向の位置に応じた、例えばレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの少なくとも一方の、Z軸方向の位置変化など、投影光学系PLの結像性能以外の露光装置の性能を、レチクルパターンの描画誤差などに影響を受けることなく、精度良く求めることが可能になる。
なお、レジスト像の計測は、重ね合わせ計測装置に限らず、露光装置100が備えるアライメント系ASを用いて行っても良い。
また、第1の照明条件下、第2の照明条件下で、第1ウエハ、第2ウエハ上には、それぞれ1ショットのみを形成しても良い。また、第1の照明条件下、第2の照明条件下で、計測用レチクルRTのパターン領域の少なくとも一部の投影像を第1の像、第2の像としてそれぞれ形成し、各投影像を空間像計測器で計測し、この計測結果に基づいて、計測用レチクルRT上の少なくとも一部のフォーカステストマークに対応するデフォーカス量等を求めても良い。
この場合、計測用レチクルRT上の少なくとも一部のフォーカステストマークに対応するデフォーカス量に基づいて、投影光学系PLの像面湾曲などを上記実施形態と同様に調整しても良いが、走査露光の際に、照明系(6、12)、レチクルステージRST、投影光学系PL及びウエハステージWSTの少なくとも一部を調整しても良い。
なお、上記実施形態では、フォーカステストマークがボックス状のマークである場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、例えば、図9(A)に示されるような、ライン・アンド・スペースパターンから成るフォーカステストマークFTP1,1’、FTP1,2’…を用いても良い。このフォーカステストマークとしては、X軸方向を計測方向とするパターン群とY軸方向を計測方向とするパターン群とから構成され、図9(B)にフォーカステストマークFTP1,1’のX軸方向を計測方向とするパターン群が代表的に示されるように、副尺33aと、該副尺33aの配列方向両側に設けられた一対の主尺33bとを備えている。前記主尺33bは、所定間隔で配列された複数本(4本)のラインパターン45bを有し、各ラインパターン45bの+X側には位相シフト部47がそれぞれ設けられている。前記副尺33aは、所定間隔で配列された複数本(6本)のラインパターン45aを有し、各ラインパターン45aの−X側には位相シフト部47aがそれぞれ設けられている。
このように、主尺33bと副尺33aとでは、ラインパターンと位相シフト部との位置関係が逆になっているため、デフォーカス状態で転写した場合には、主尺33bを構成するラインパターン45bの像と副尺33aを構成するラインパターン45aの像とは、フォーカス状態で転写した場合に対して、逆方向にシフトするようになっている。
なお、Y方向を計測方向とするパターン群も同様に構成されており、その他のフォーカステストマークFTP1,2’…も同様に構成されている。
このようなフォーカステストマークFTP1,1’、FTP1,2’…が形成されている計測用レチクルRT’を用いることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施形態のようなボックス状のマークから成るフォーカステストマークとライン・アンド・スペースパターンから成るフォーカステストマークとを計測用レチクル上に併設し、両パターンを用いて投影光学系の結像性能を計測することとしても良い。
なお、上記実施形態では、フォーカステストマークを計測用レチクルRTに配設する場合について説明したが、これに限らず、例えば、レチクルステージ上に常設されるレチクル基準板等にフォーカステストマークを設けることとしても良い。
なお、上記実施形態では、基準マークMMBの像が計測マークMMAの像に対して反対方向に移動するような基準マークMMBと計測マークMMAとから成るフォーカステストマークを用いてデフォーカス量を計測する場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、基準マークとしてデフォーカスによってその像がシフトしないマークを用いても良い。従って、この意味からすれば、基準マークを設けなくても良い。かかる場合であっても、計測マークの像の形成位置の設計位置からのずれを計測することで、計測マークの像のデフォーカスに応じた位置ずれ情報の計測が可能である。
なお、上記実施形態では、前述のフォーカステストマークFTPi,jが形成されたいわゆるレベンソン型の位相シフトレチクルを計測用レチクルとして用いる場合について説明した。しかしながら、本発明の計測方法に用いられる、計測マークが形成された部材が、これに限定されないことは勿論である。すなわち、特許第3,297,423号公報に開示されるような非対称回折格子パターンが計測マークとして形成されたフォーカステストマスクを、計測用レチクルに代えて用いても良い。この他、マーク(又はパターン)のデフォーカスに起因してそのマーク(又はパターン)の像が、投影光学系の光軸に垂直な面内で位置ずれするようなマークでしかも照明条件によってその位置ずれ量が変化するマークが形成された部材であれば、本発明の計測方法に用いることができる。
なお、上記実施形態では、リソグラフィシステム300のホストコンピュータ150が、その配下にある、露光装置100、C/D110及び重ね合わせ計測装置120に適宜指令を与えることで、オペレータが介在することなく、投影光学系の結像性能を計測するための一連の処理を行う場合について説明したが、一部、オペレータが介在しても良い。また、ホストコンピュータ150によって実行される図6の処理アルゴリズムの少なくとも一部を、露光装置100の主制御装置20が実行することとしても良い。
この他、露光装置100とインラインにて接続されたC/D110とで、投影光学系の結像性能の計測方法を実行するようにすることもできる。この場合には、重ね合わせ計測装置120で行っていたレジスト像の測定を、露光装置100のアライメント系ASを用いて行うとともに、ホストコンピュータ150によって実行される図6の処理アルゴリズムと同様の処理を、露光装置100の主制御装置20が行うようにすれば良い。
なお、上記実施形態では、投影光学系PLの結像性能が計測される露光装置が、スキャナである場合を説明したが、本発明の計測方法及び調整方法は、スキャナに限らず、ステッパなどの静止型露光装置や、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置などにも同様に適用できる。
また、露光装置の露光対象である物体は、上記の実施形態のように半導体製造用のウエハに限定されることなく、例えば、液晶表示素子、プラズマディスプレイや有機ELなどのディスプレイ装置の製造用の角型のガラスプレートや、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マスク又はレチクルなどを製造するための基板であっても良い。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、露光装置の光源としては、F2レーザ(出力波長157nm)等の真空紫外域のパルス光を出力する光源や、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)などの近紫外域のパルス光を出力する光源などを用いても良い。
さらに、例えば国際公開WO99/49504号パンプレットなどに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体(例えば純水など)が満たされる液浸型露光装置なども、本発明の結像性能計測方法により、投影光学系の結像性能を計測することができる。
なお、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、上記実施形態の露光装置を用いて本発明の露光方法を行い、マスクに形成されたパターンを感光物体上に転写するリソグラフィステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて本発明の露光方法が実行されるので、高集積度のデバイスを歩留り良く製造することができる。
以上説明したように、本発明の結像性能計測方法は、投影光学系の結像性能を計測するのに適している。また、本発明の露光方法は、照明系からの照明光により、マスクステージ上に載置されたマスクを照明し、マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して物体ステージ上に載置された物体に転写するのに適している。
本発明に係る結像性能計測方法の実施に好適なリソグラフィシステムの全体構成を概略的に示す図である。 図1の露光装置を示す概略図である。 一実施形態に係る計測用レチクルの底面図である。 図4(A)は、フォーカステストマークを拡大して示す図であり、図4(B)は、フォーカステストマークの位相シフト部近傍を拡大して示す断面図である。 図5(A)は、フォーカス状態でフォーカステストマークを露光した場合に得られる像を示す図であり、図5(B)は、デフォーカス状態でフォーカステストマークを露光した場合に得られる像を示す図である。 ホストコンピュータ150の処理アルゴリズムを示すフローチャートである。 図6のステップ302の指示に応じて露光装置の主制御装置によって実行される処理アルゴリズムを示すフローチャートである。 図7のフローチャートの変形例であって、第1、第2の照明条件下で、走査露光を行う場合の、露光装置の主制御装置の処理アルゴリズムを示す図である。 図9(A)、図9(B)は、計測用レチクルの変形例を説明するための図である。
符号の説明
6…光源(照明系の一部)、12…照明光学系(照明系の一部)、MMA…内側マーク(計測マーク)、MMB…外側マーク(基準マーク)、MA1〜MA4…計測マーク要素(ラインパターン)、PL…投影光学系、PS1〜PS4…位相シフト部、R…レチクル(マスク)、RST…レチクルステージ(マスクステージ)、RT…計測用レチクル(マーク形成部材)、W…ウエハ(物体)、WST…ウエハステージ(物体ステージ)。

Claims (13)

  1. 投影光学系を介した計測マークの像がそのデフォーカス量に応じて、前記投影光学系の光軸に直交する面内で位置ずれする現象を利用して、前記投影光学系の結像性能を計測する結像性能計測方法であって、
    第1の照明条件下で、前記投影光学系を介して前記投影光学系の光軸に直交する面内の少なくとも1つの評価位置に前記計測マークの第1の像を形成する第1工程と;
    前記第1の照明条件とは異なる第2の照明条件下で、前記投影光学系を介して前記少なくとも1つの評価位置に前記計測マークの第2の像を形成する第2工程と;
    前記投影光学系の光軸に直交する面内における前記第1の像の位置情報と前記第2の像の位置情報とに基づいて、前記投影光学系の結像性能を算出する第3工程と;を含む結像性能計測方法。
  2. 前記計測マークは、位相シフトマークであり、
    前記第2の照明条件は、前記第1の照明条件に比べてコヒーレンスファクタが大きい照明条件であることを特徴とする請求項1に記載の結像性能計測方法。
  3. 前記第1の照明条件は、そのコヒーレンスファクタが0.5以下の照明条件であることを特徴とする請求項2に記載の結像性能計測方法。
  4. 前記計測マークは、所定の計測方向に交差する方向を長手方向とするラインパターンと、該ラインパターンの近傍に設けられ、通過する光の位相をずらすための位相シフト部とを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の結像性能計測方法。
  5. 前記計測マークは前記投影光学系の物体面に配置されたマーク形成部材に形成され、該マーク形成部材には、前記投影光学系の光軸に垂直な面内で、前記第1、第2の像それぞれに関し、前記計測方向の位置の基準となる基準マーク像を形成するための基準マークが形成され、該基準マークは、前記計測マークに対して既知の位置関係にあることを特徴とする請求項4に記載の結像性能計測方法。
  6. 前記第3工程では、前記基準マークの像と前記計測マークの前記第1の像との第1の位置関係と、前記基準マークの像と前記計測マークの前記第2の像との第2の位置関係とを算出し、前記第1、第2の位置関係に基づいて、前記投影光学系の結像性能を算出することを特徴とする請求項5に記載の結像性能計測方法。
  7. 前記基準マークの像が、前記第1の照明条件下では、前記投影光学系の光軸に垂直な面内で前記計測マークの前記第1の像とは反対向きに前記計測方向に関してデフォーカス量に応じて位置ずれすることを特徴とする請求項5又は6に記載の結像性能計測方法。
  8. 前記第1、第2工程では、前記投影光学系を介して、前記投影光学系の光軸に直交する面内の1つの評価位置に前記計測マークの第1、第2の像をそれぞれ形成し、
    前記第3工程では、前記投影光学系の結像性能としてベストフォーカス位置を算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の結像性能計測方法。
  9. 前記第1、第2工程では、前記投影光学系を介して、前記投影光学系の光軸に直交する面内の複数の評価位置に前記計測マークの第1、第2の像をそれぞれ形成し、
    前記第3工程では、前記投影光学系の結像性能として最良結像面を算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の結像性能計測方法。
  10. 前記計測マークは、ボックス状のパターンから成ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の結像性能計測方法。
  11. 前記第1、第2の像は、前記投影光学系の像面側に配置された感光物体上に形成される前記計測マークの転写像であることを特徴する請求項1〜10のいずれか一項に記載の結像性能計測方法。
  12. 照明系からの照明光により、マスクステージ上に載置されたマスクを照明し、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して物体ステージ上に載置された物体に転写する露光方法であって、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の結像性能計測方法を用いて前記投影光学系の結像性能を計測する工程と;
    前記結像性能の計測結果を考慮して前記照明系、マスクステージ、投影光学系及び前記物体ステージの少なくとも一部を調整しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記投影光学系を介して物体上に転写する工程と;を含む露光方法。
  13. 前記転写する工程に先立ち、
    前記結像性能の計測結果を考慮して、前記照明系、マスクステージ、投影光学系及び前記物体ステージの少なくとも一部を調整する工程を更に含む請求項12に記載の露光方法。
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