JPH0854521A - プラスチック光ファイバ - Google Patents

プラスチック光ファイバ

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JPH0854521A
JPH0854521A JP6210379A JP21037994A JPH0854521A JP H0854521 A JPH0854521 A JP H0854521A JP 6210379 A JP6210379 A JP 6210379A JP 21037994 A JP21037994 A JP 21037994A JP H0854521 A JPH0854521 A JP H0854521A
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JP
Japan
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optical fiber
refractive index
plastic optical
difference
peripheral portion
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Pending
Application number
JP6210379A
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English (en)
Inventor
Michinori Kawamata
理記 川股
Yasuo Matsumura
泰男 松村
Hidenori Kasama
秀徳 笠間
Ryoichi Miura
良一 三浦
Noboru Kiyota
昇 清田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Publication date
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐屈曲性に優れたGI型プラスチック光ファ
イバを提供する。 【構成】 周辺部から中心部に向かって連続的な屈折率
勾配を有するプラスチック光ファイバの外周に、周辺部
よりも屈折率が低い層を反射層として設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、周辺部から中心部に向
かって連続的な屈折率勾配を有し、耐屈曲性に優れたプ
ラスチック光ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光を伝送する光ファイバとして石
英ガラス製のものとプラスチック製のものとがある。石
英ガラス製の光ファイバは、伝送損失が非常に小さいた
め、長距離の光伝送およびデータ伝送に広く用いられて
いる。一方、プラスチック製の光ファイバは石英ガラス
製のものに比べて伝送損失は大きいが、軽量であるこ
と、大口径で可撓性がよいこと、加工が容易で種々の素
子との結合が容易であることなどの利点があり、しかも
安価であるためにデータリンク等の短距離伝送用あるい
はセンサーなどへの応用が図られている。
【0003】プラスチック製の光ファイバは屈折率の様
式で分類すると、コアとクラッドと呼ばれる2層の異な
る物質からなり、2段の屈折率を持つSI型(ステップ
インデックス型)と、ファイバー断面の半径方向に連続
した屈折率勾配を有するGI型(グラジエントインデッ
クス型、屈折率分布型)に分類され、前者は光伝送ある
いはセンサーなどに利用されており、後者は伝送帯域が
広い利点を利用して近距離大容量通信へ利用が期待され
ている。
【0004】現在使用されているプラスチック光ファイ
バは、コア材としてポリメタクリル酸メチルを、クラッ
ド材として含フッ素ポリマーを用いたSI型が主流であ
り、その開口数は約0.5である。ここで、開口数とは
光ファイバの受光角の限界を表すパラメータであり、光
ファイバのコアとクラッドの屈折率差が大きいものほど
開口数も大きくなる。すなわち、開口数の大きい光ファ
イバほど、より大きい角度で入射した光も伝播させる能
力があるので、伝送し得る光パワーも大きくなる。また
開口数を大きくすることにより、通常は接続損失や曲げ
損失についても改善される。このような理由から、従
来、開口数のより大きい光ファイバが要求されており、
更に、伝送帯域の広いことも要求される。
【0005】SI型プラスチック光ファイバの製造方法
としては、均一組成の2種類の溶融したポリマー液をノ
ズルから吐き出す溶融複合紡糸法が主として採用されて
いる。従って、SI型プラスチック光ファイバでは、用
いる2種類のポリマーの屈折率の差を大きくすれば開口
数を大きくすることができ、開口数の大きいものを製造
することは比較的容易である。
【0006】一方、ポリマーの組成が光ファイバの半径
方向に連続的に変化しているGI型プラスチック光ファ
イバにおいても、中心部と周辺部との屈折率の差が大き
い光ファイバを得る製造方法が提案されている。例え
ば、特開平3−78706号公報によれば、重合体と単
量体の混合物の表面から単量体を揮発させて予備的な屈
折率勾配を形成した後に、別の単量体を内部へ拡散する
方法を用いることにより、中心部と周辺部との屈折率の
差が0.090の光ファイバが得られる。
【0007】しかしながら、ポリマーの組成が光ファイ
バの半径方向に連続的に変化しているGI型プラスチッ
ク光ファイバにおいては、単に中心部と周辺部との屈折
率の差を大きくするだけでは必ずしも十分ではないこと
が判明した。すなわち、GI型プラスチック光ファイバ
において、広い伝送帯域を有する光ファイバとするため
には、屈折率が光ファイバの中心部から周辺部に向かっ
て距離の2乗に比例して減少するような屈折率勾配を持
つことが理論的に必要である。本発明者らは、GI型プ
ラスチック光ファイバにおいて、中心部から周辺部に向
かって距離の2乗に比例して減少するような屈折率勾配
が形成され、広い伝送帯域が確保されるためには、中心
部と周辺部との屈折率の差は0.035以下であること
が好ましいことを実験的に見出した。開口数を高くする
ために、中心部と周辺部との屈折率の差を0.035よ
りも大きくすると、連続的な屈折率勾配の制御が難し
く、中心部から周辺部に向かって距離の2乗に比例して
減少するような屈折率勾配を形成することが困難にな
り、その結果、製造されたGI型プラスチック光ファイ
バの伝送帯域は狭くならざるを得ない。前記特開平3−
78706号公報には、中心部と周辺部との屈折率の差
の大きい光ファイバが提案されているが、この方法で得
られる光ファイバの伝送帯域は必ずしも満足できるほど
広いものではない。すなわち、従来のGI型プラスチッ
ク光ファイバにおいては、開口数が高く、かつ広い伝送
帯域を有する光ファイバを得ることは実際上困難であっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な事情に鑑み、開口数が高く、かつ広い伝送帯域を有
し、耐屈曲性に優れたGI型プラスチック光ファイバを
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、GI型プラス
チック光ファイバにおいて中心部と周辺部との屈折率の
差を0.035以下とし、周辺部の外側に中心部よりも
屈折率が0.08以上低い反射層を設けることにより、
広い伝送帯域を有し、かつ耐屈曲性に優れた光伝送体を
提供するものである。すなわち、本発明の第1は、周辺
部から中心部に向かって連続的な屈折率勾配を有するプ
ラスチック光ファイバにおいて、内部光を反射させるた
めの反射層として、周辺部の外側に周辺部よりも屈折率
が低い層を設けたことを特徴とするプラスチック光ファ
イバに関するものである。本発明の第2は、上記第1の
発明のプラスチック光ファイバにおいて、中心部と反射
層との屈折率の差が0.08以上であるプラスチック光
ファイバに関するものである。本発明の第3は、上記第
1または第2の発明のプラスチック光ファイバにおい
て、中心部と周辺部との屈折率の差が0.035以下で
あるプラスチック光ファイバに関するものである。本発
明の第4は、上記第1から第3の発明のプラスチック光
ファイバにおいて、反射層の厚みが1〜200μmの範
囲であるプラスチック光ファイバに関するものである。
本発明の第5は、上記第1から第4の発明のプラスチッ
ク光ファイバにおいて、反射層が含フッ素透明樹脂また
は透明なシリコーン樹脂からなるプラスチック光ファイ
バに関するものである。
【0010】以下、本発明を更に説明する。本発明のG
I型プラスチック光ファイバは、例えば、連続した屈折
率勾配を有するプラスチックファイバーを形成する工程
と、得られたプラスチックファイバーに反射層を付与す
る工程により製造することができる。以下に、まず連続
した屈折率勾配を有するプラスチックファイバーを形成
する工程について述べる。本発明で使用する周辺部から
中心部に向かって屈折率勾配を有するプラスチック光フ
ァイバ重合体を作製するには、公知のいかなる方法を用
いてもよく、例えばビニル系モノマーのラジカル重合の
方法を利用することができる。また、GI型プラスチッ
ク光ファイバの製法には、屈折率勾配を有するプリフォ
ームを製造し、それを加熱延伸して光りファイバを得る
方法、および複合紡糸法により屈折率勾配を持つ光ファ
イバを直接製造する方法がある。
【0011】プリフォームを製造し、それを加熱延伸し
て光ファイバとする場合には、例えば、回転する円筒内
に屈折率の異なる2種のモノマー混合液を徐々に供給し
ながら共重合を行い、モノマー比を徐々に変化させつつ
順次円筒内側に向かって重合体を生長させる方法(特開
昭57−185001号公報)、2種のビニルモノマー
の反応性比の違いを利用する方法(特開昭54−303
01号公報)、ポリマーの溶解を利用する方法(特開平
4−97303号公報)、あるいは2種のポリマーの選
択拡散効果を利用する方法(特開平4−97302号公
報)などにより屈折率勾配を有するプリフォームを製造
し、それらを延伸紡糸して光ファイバとする方法等を利
用することができる。
【0012】また、複合紡糸法により光ファイバを得る
場合には、紫外線硬化樹脂を用いた複合紡糸法(特開平
5−142433号公報)や、重合体と常温で液体の単
量体とからなる重合性混合物であって屈折率が異なる2
種類以上の混合物を、同心円状複合紡糸ノズル等を用い
て2層以上の積層構造体として所定の形状に賦形し、各
層間で重合性混合物中の単量体を相互に拡散移動させる
と共に成形物の表面より単量体を一部揮発させた後、重
合硬化させる方法(特開平3−192310号公報)等
を利用することができる。
【0013】これらの方法はいずれを採用してもよい
が、実用性のあるプラスチック光ファイバは、その製造
過程において延伸処理を施すことにより繊維としての腰
の強さと引張強度を有することが好ましいので、周辺部
から中心部に向かって屈折率勾配を持つプリフォームを
あらかじめ製造し、それを延伸紡糸する方法が好まし
い。また、これらの方法においては、得られた光ファイ
バがなだらかな屈折率勾配を有し、広い伝送帯域を有す
る必要があることから、容器内に上部よりモノマー液を
徐々に供給しつつ、容器壁を構成するポリマーをモノマ
ー中に溶解させながら重合反応を進行させる方法を用い
てプリフォームを作製し、それを延伸紡糸して光ファイ
バを得る方法が最も好ましい。
【0014】周辺部から中心部に向かって屈折率勾配を
有するプリフォームをあらかじめ製造し、それを加熱延
伸して得られた光ファイバには、その製法上、周辺部に
屈折率の均一な層が生成するが、本発明の光ファイバは
周辺部にそのような屈折率の均一な層があってもよい。
例えば、ポリマーパイプ内で重合を行い、パイプを構成
するポリマーの溶解を利用する前記特開平4−9730
3号公報に記載された方法によれば、ファイバの最外層
としてパイプを構成するポリマーからなる屈折率の均一
な層が残存する。本発明でいう周辺部は、このような均
一層も含むものである。
【0015】本発明において、周辺部から中心部に向か
って屈折率勾配を持つ重合体を製造するために用いるラ
ジカル重合性モノマーは、ラジカル重合活性のある官能
基、例えばアリル基、アクリル基、メタクリル基および
ビニル基のような二重結合を1個以上有するモノマーで
ある。またこれらは、透明な重合体を与え、均一に共重
合するものであれば、いかなる組合せでも使用すること
ができる。具体的なモノマーとしては、塩化ビニル、酢
酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、パラクロロ
スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フ
ェニル酢酸ビニル、安息香酸ビニル、フッ化ビニル、ビ
ニルナフタレン、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル
酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸
フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸ナフチル、アク
リル酸アダマンチル、メタクリル酸アダマンチル、アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタク
リル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸グリシジル、
メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−メチルグリシ
ジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、アクリル酸
2,3−エピチオプロピル、メタクリル酸2,3−エピチ
オプロピル、アクリル酸パーフルオロアルキル、メタク
リル酸パーフルオロアルキル等が挙げられる。
【0016】これらの中で、スチレンおよびアクリル酸
系またはメタクリル酸系のモノマー、例えばアクリル酸
メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタ
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、
アクリル酸パーフルオロアルキルおよびメタクリル酸パ
ーフルオロアルキルが特に好ましい。これらは1種また
は2種以上の混合物として使用することができ、好まし
くは2種以上のモノマーを使用する。2種以上のモノマ
ーを組み合わせる場合、特に好ましいモノマーの組合せ
の例としては、スチレン/アクリル酸メチル、スチレン
/メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル(またはメタ
クリル酸メチル)/アクリル酸ベンジル(またはメタク
リル酸ベンジル)、アクリル酸メチル(またはメタクリ
ル酸メチル)/アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチ
ル(またはメタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチ
ル)等を挙げることができる。更に、これらの中でも、
アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルと、アクリ
ル酸ベンジルまたはメタクリル酸ベンジルとの組合せ
は、モノマーの入手のし易さ、得られるポリマーの透明
度などの点から特に好ましい。もちろん3種以上のモノ
マーを組み合わせて用いることもできる。
【0017】また、複合紡糸法により光ファイバを得る
場合には、上記の単官能モノマーの他に多官能モノマー
も用いることができる。多官能モノマーの例としては、
ジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸エチ
レングリコール、ジアクリクリル酸ジエチレングリコー
ル、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル
酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレ
ングリコール等のジアクリル酸アルキレングリコールま
たはジメタクリル酸アルキレングリコール類、ジまたは
トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジまたはトリ
メタクリル酸トリメチロールプロパン、ジ、トリまたは
テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、ジ、トリまた
はテトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、テトラア
クリル酸ジグリセリン、テトラメタクリル酸ジグリセリ
ン、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサ
メタクリル酸ジペンタエリスリトール、ポリアクリル酸
フッ素化アルキレングリコール、ポリメタクリル酸フッ
素化アルキレングリコール、イソシアヌル酸トリス(2
−アクリロイルオキシエチル)、イソシアヌル酸トリス
(2−メタクリロイルオキシエチル)、ジエチレングリ
コールビスアリルカーボネート、フタル酸ジアリル、イ
ソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジ
アリル等が挙げられる。
【0018】ラジカル重合のための紫外線等の光線の波
長や加熱温度などは、採用するモノマーの種類により任
意に選択することができる。また、ベンゾイルパーオキ
サイド(BPO)などの公知のラジカル重合開始剤ある
いは光重合増感剤を、必要に応じて任意の量を混合する
ことができる。光、電子線等の放射線による重合と熱重
合とを併用することもできる。
【0019】熱ラジカル重合の開始剤としては、例えば
BPO、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオ
キサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタ
ール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエス
テル類、およびアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス
イソバレロニトリル等のアゾビス類等を使用することが
でき、使用量はモノマーの0.1〜10重量%である。
【0020】また、光(紫外線)重合の開始剤として
は、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチ
ルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシフェ
ニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノン、チオキ
サントン類、あるいはアミンと併用するベンゾフェノン
類が挙げられる。
【0021】また必要に応じ、四塩化炭素、四臭化炭素
等のアルキルハライド類あるいはブチルメルカプタン、
ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシ
ルメルカプタン、2−メルカプトエタノールあるいはチ
オグリコール酸オクチル等のアルキルメルカプタン類等
を分子量調整剤として適宜用いることもできる。また、
得られるポリマーの透明性や物性を阻害しない限り、任
意の添加剤、例えば酸化防止剤、耐光安定剤などを用い
ることができる。
【0022】次に、本発明の光ファイバにおいて反射層
を設ける方法を説明する。本発明のGI型光ファイバ
は、光ファイバ内を伝播する光のうちファイバ外へ漏洩
しようとする光をファイバ内へ反射させるための反射層
を有するため、開口数が大きく、その結果接続損失や曲
げ損失についても改善される。更に、通常のGI型光フ
ァイバでは、屈折率分布の乱れやマイクロボイドなどの
構造不整がある場合、あるいは光ファイバを曲げた場合
などにも、光ファイバ内を伝播する光が散乱して光ファ
イバ外に出るため伝送損失が大きくなることがある。そ
れに対して本発明のプラスチック光ファイバは、反射層
を有するため、光ファイバ内を伝播する光が散乱しても
反射層で反射されて再び光ファイバ内に戻ってくるの
で、散乱による伝送損失の増大を防ぐことができ、耐屈
曲性に優れたものである。
【0023】本発明において、広い伝送帯域を有する光
ファイバを得るためには、中心部と周辺部との屈折率の
差が0.035以下であることが好ましい。好ましく
は、0.001〜0.035の範囲である。中心部と周辺
部との屈折率の差が0.035よりも大きくなると、連
続的な屈折率勾配の制御が難しく、中心部から周辺部に
向かって距離の2乗に比例して減少するような屈折率勾
配を形成すること、すなわち広い伝送帯域の光ファイバ
を得ることが困難となるので好ましくない。好ましい屈
折率差を有する光ファイバは、適当な屈折率を有する前
記モノマーを適宜に選択することにより容易に製造する
ことができる。
【0024】また、高い開口数を有し、耐屈曲性に優れ
た光ファイバを得るためには、光ファイバの中心部と反
射層との屈折率の差は大きければ大きいほどよいが、少
なくとも0.08以上であることが適当である。好まし
くは0.08〜0.99の範囲である。
【0025】本発明における反射層の材料としては、周
辺部から中心部に向かって屈折率勾配を持つ重合体ファ
イバとの密着性がよく、重合体ファイバの中心部よりも
屈折率が0.08以上低い透明な重合体であればいずれ
も用いることができる。具体的には、アクリル酸フッ素
化アルキルまたはメタクリル酸フッ素化アルキルの単独
重合体および共重合可能なモノマーとの共重合体、フッ
化ビニリデンの単独重合体および共重合可能なモノマー
との共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共
重合体、フルオロオレフィン−塩化ビニリデン共重合
体、パーフルオロ環状エーテル系重合体などの含フッ素
透明樹脂およびシリコーン樹脂などを挙げることができ
る。
【0026】反射層を製造するために使用するモノマー
の具体例を挙げると、アクリル酸フッ素化アルキルまた
はメタクリル酸フッ素化アルキルとしては、例えばアク
リル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸
2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2,2,3,
3−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸2,2,3,
3−テトラフルオロプロピル、アクリル酸2,2,3,4,
4,4−ヘキサフルオロブチル、メタクリル酸2,2,3,
4,4,4−ヘキサフルオロブチル、アクリル酸2,2,
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、メタク
リル酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペン
チル等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸2,2,
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルおよびメ
タクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ
ペンチルは、中心部と反射層との屈折率の差を大きくす
ることができ、高い開口数の光ファイバが得られるので
特に好ましい。
【0027】アクリル酸フッ素化アルキルまたはメタク
リル酸フッ素化アルキルと共重合可能なモノマーとして
は、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−
プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブ
チル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブ
チル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキ
シル、メタクリル酸n−ヘキシル等のアクリル酸エステ
ルおよびメタクリル酸エステル類が挙げられ、得られる
ポリマーの透明性の点からアクリル酸メチルおよびメタ
クリル酸メチルが最も好ましい。
【0028】また、フッ化ビニリデンと共重合可能なモ
ノマーとしては、例えばテトラフルオロエチレン、ヘキ
サフルオロプロピレン等が挙げられる。
【0029】本発明のGI型プラスチック光ファイバの
反射層の厚みは1〜200μmであることが好ましく、
特に好ましくは3〜20μmである。反射層の厚みが1
μm未満であると、反射層の表面に微細な傷が生じた際
に、その部分で光が散乱し伝送損失が増加するので好ま
しくない。一方、反射層の厚みが200μmを越える
と、実質的に光を伝達するコア相当部の断面積が小さく
なり、光ファイバの光伝送量が少なくなるため好ましく
ない。
【0030】また、反射層を付与する方法は、屈折率勾
配を有する光るファイバの製造方法に応じて、それぞれ
適当な方法を選ぶことができる。すなわち、複合紡糸法
により屈折率勾配を有する光ファイバを直接製造する場
合には、まず光ファイバを作製した後に、得られた光フ
ァイバの表面に反射層を塗布する方法が好ましい。
【0031】また、屈折率勾配を有するプリフォームを
作製し、それを加熱延伸して光ファイバを製造する場合
には、反射層を付与する工程をプリフォームを加熱延伸
する工程の前後どちらで行ってもよい。具体的には、
(1)外周部の屈折率を低くした2層構造を有する円筒
状容器を用いて屈折率勾配を有するプリフォームを作
り、それを加熱延伸する方法、(2)屈折率勾配を有す
るプリフォームの外側に反射層を塗布した後に加熱延伸
する方法、(3)屈折率勾配を有するプリフォームを加
熱延伸して得られた光ファイバの表面に反射層を塗布す
る方法などが例示される。これらはいずれも採用するこ
とができるが、(3)の方法が工程的に簡単であり生産
性が高いため最も好ましい。
【0032】本発明において、反射層を光ファイバの表
面に塗布する場合には、低屈折率の重合体を適当な溶媒
に溶解した溶液を塗布した後に溶媒を揮発させる方法、
低屈折率の重合体を溶融し光ファイバに直接付着させる
方法、あるいは重合後に低屈折率となる紫外線硬化型塗
料を塗布した後に紫外線を照射することにより硬化させ
る方法などのいずれを用いてもよい。
【0033】光ファイバの表面に低屈折率重合体を溶液
として塗布する場合に用いる溶媒としては、重合体に対
して溶解性があり、沸点が低く、かつ光ファイバに悪影
響を与えない物質を選ぶ必要があり、この点からジクロ
ロメタン、クロロホルム、フロン溶剤等の含ハロゲン炭
化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クメン等の芳香族炭化水素が好ましく、トルエンお
よびキシレンが特に好ましい。
【0034】また、溶媒を揮発させる工程において、乾
燥は溶媒が十分に揮発する温度で行わなければならない
が、温度が高すぎると光ファイバが収縮して伝送損失が
増大するので、75℃以下が好ましく、特に好ましくは
60℃以下である。必要に応じて減圧下で乾燥を行って
もよい。
【0035】光ファイバの表面に溶融した低屈折率の重
合体を塗布する方法は公知の方法で行うことができ、例
えばクロスヘッドダイケーブル加工機を用いて押出し被
覆する方法等を利用することができる。
【0036】反射層として紫外線硬化型塗料を塗布する
場合に、紫外線硬化型塗料としては、重合後に低屈折率
となるものであれば公知のいかなる塗料も用いることが
できるが、一般的には、フッ素系樹脂あるいはシリコー
ン系樹脂からなる塗料が用いられる。紫外線硬化型塗料
を塗布し硬化させる方法は公知の方法で行うことができ
る。
【0037】本発明において得られた反射層を有するG
I型プラスチック光ファイバは、保護のために熱可塑性
樹脂により適宜に被覆することができる。このような被
覆に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂や
ポリ塩化ビニル樹脂などが好ましい。また、保護のため
に光ファイバを熱可塑性樹脂で被覆するためには公知の
方法で行うことができ、例えば電線を被覆する通常の方
法であるケーブル加工機を用いて行うことができる。
【0038】
【実施例】実施例により本発明を更に説明する。 <実施例1>水平に保持したガラス管内にメタクリル酸
メチル(MMA)を入れ、両端をシールした後、回転数
1500rpmで回転させながら常法に従い熱重合させ
ることにより、外径20mmおよび内径12mmを有
し、分子量7万のポリメタクリル酸メチル(PMMA)
からなる中空の重合管を得た。外側のガラス管を壊して
これを除いた後、図4に略示縦断面を示すように、得ら
れた重合管1の片側を封じ、95℃のシリコーンオイル
の熱媒2の中に垂直に保持して、重合管内にモノマー液
面3より0.5cm上部にモノマー供給ノズル4を設
け、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン0.2重
量%および重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド
0.50重量%を加えたメタクリル酸メチル(MMA)
とメタクリル酸ベンジル(BzMA)の混合液(仕込重
量比4:1)を、ノズルを通して30時間を費やし徐々
に一定流量で上部から供給しながら重合させた。重合の
間、重合管1を徐々に下方へ移動させて、モノマー供給
ノズル4は常にモノマー液面3から0.5cm上部に、
またモノマー液面3は常に熱媒体液面より0.5cm上
になるように保った。モノマー供給終了後、95℃で2
0時間熱重合させて長さ60cmのプリフォームロッド
を得た。重合が終了した後、0.2mmHg に減圧し、1
10℃で20時間保持した。プリフォームロッド中の未
反応モノマーの含有量を測定したところ、0.5重量%
以下であった。このようにして製造したプリフォームロ
ッドを220℃に設定した円筒型加熱炉内で間接加熱し
ながら熱延伸することにより直径0.7mmの光ファイ
バを得た。得られた光ファイバについて、横方向干渉法
により半径方向の屈折率分布を測定したところ、図2に
示すように中心部と周辺部との屈折率の差は0.014
であり、屈折率は連続的に分布していることが判った。
周辺部に屈折率の均一な層があるが、これは初めに得た
中空重合管によるものである。なお、図2において、縦
軸は中心部の最大屈折率と任意の半径位置における屈折
率との差(Δn)を示す(以下同じ)。開口数0.3の
入射光を用い、励振器を使用せずにパルス変調法により
求めた伝送帯域(3dB帯域)は151MHz・km であ
った。
【0039】続いて、得られた光ファイバの表面に、フ
ルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(屈折率
1.38;商品名:ルミフロン、旭硝子(株)製)の50
%キシレン溶液を塗布し、温風で乾燥することによりキ
シレンを揮発させて厚み10μmの反射層を設け、反射
層を有する光ファイバを作製した。図1に示すように、
中心部と反射層との屈折率の差は0.126であった。
このようにして得た反射層を有する光ファイバをポリエ
チレン樹脂で被覆し、直径1mmの光ファイバコードを
得た。得られた光ファイバコードの伝送帯域は206M
Hz・km であった。
【0040】続いて、このようにして得た反射層を有す
る光ファイバコードを2mに切断し、その一端から白色
光を入射し、円筒に巻き付ける前の出射光量Aおよび直
径20mmの円筒に1回巻き付けたときの出射光量Bを
測定し、次式化1により曲げによる損失を算出したとこ
ろ1.39dBであった。反射層を有しない光ファイバ
をポリエチレン樹脂で被覆した光ファイバコードの曲げ
損失7.45dBに比べて非常に良好な値であった。
【0041】
【化1】
【0042】<実施例2>実施例1で製造した直径0.
7mmの光ファイバの一部を用い、その表面に紫外線硬
化型フッ素系樹脂(硬化後の屈折率1.38;商品名:
DEFFENSA7702A、大日本インキ化学工業
(株)製)を塗布し、80W/cm の高圧水銀灯3本からな
る紫外線照射機に連続的に導き、紫外線を20秒照射し
て厚み10μmの反射層を設け、反射層を有する光ファ
イバを作製した。中心部と反射層との屈折率の差は0.
124であった。このようにして得られた反射層を有す
る光ファイバをポリエチレン樹脂で被覆し、直径1mm
の光ファイバコードを得た。得られた光ファイバコード
の曲げ損失は1.51dBであり、反射層を有しない光
ファイバコードの7.45dBに比べて非常に良好な値
であった。
【0043】<実施例3>紫外線硬化型樹脂としてシリ
コーン系樹脂(硬化後の屈折率1.41;商品名:OF
163、信越化学工業(株)製)を用いた他は実施例2と
同様の操作を行い、反射層を有する光ファイバを得た。
中心部と反射層との屈折率の差は0.092であった。
このようにして得られた反射層を有する光ファイバを、
軟質塩化ビニル樹脂で被覆し、直径1mmの光ファイバ
コードを得た。得られた光ファイバコードの曲げ損失は
1.77dBであり、反射層を有しない光ファイバコー
ドの7.51dBに比べて非常に良好な値であった。
【0044】<比較例1>実施例1と同様にして得た円
筒状重合管を用い、MMAとBzMAの仕込重量比を
1:2にした以外は実施例1と同様の操作を行い、直径
0.7mmの光ファイバを得た。得られた光ファイバの
屈折率分布を測定したところ、中心部と周辺部との屈折
率の差は0.047であり、図3に示すように疑似SI
型の屈折率分布が得られた。また、伝送帯域を測定した
ところ62MHz・km であった。
【0045】
【発明の効果】本発明のGI型プラスチック光ファイバ
は、外周に反射層として屈折率の低い層を設けることに
より、高い開口数を確保することができ、接続損失や曲
げ損失について著しく改善されている。また、中心部と
周辺部との屈折率の差を0.035以下とすることによ
り、中心部から周辺部へ向かって距離の2乗の比例して
減少する屈折率勾配を形成することが容易であり、その
結果広い伝送帯域を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のプラスチック光ファイバにおいて反
射層を付与した後の半径方向の屈折率分布を示すグラフ
である。
【図2】実施例1のプラスチック光ファイバにおいて反
射層を付与する前の半径方向の屈折率分布を示すグラフ
である。
【図3】比較例1のプラスチック光ファイバにおける半
径方向の屈折率分布を示すグラフである。
【図4】実施例1で用いた重合体製造装置の略示縦断面
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清田 昇 神奈川県横浜市港北区仲手原2−6−12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周辺部から中心部に向かって連続的な屈
    折率勾配を有するプラスチック光ファイバにおいて、内
    部光を反射させるための反射層として、周辺部の外側に
    該周辺部よりも屈折率が低い層を設けたことを特徴とす
    るプラスチック光ファイバ。
  2. 【請求項2】 中心部と反射層との屈折率の差が0.0
    8以上である請求項1に記載のプラスチック光ファイ
    バ。
  3. 【請求項3】 中心部と周辺部との屈折率の差が0.0
    35以下である請求項1または2に記載のプラスチック
    光ファイバ。
  4. 【請求項4】 反射層の厚みが1〜200μmの範囲で
    ある請求項1から3のいずれかに記載のプラスチック光
    ファイバ。
  5. 【請求項5】 反射層が含フッ素透明樹脂または透明な
    シリコーン樹脂からなる請求項1から4のいずれかに記
    載のプラスチック光ファイバ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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