JPH08201637A - 合成樹脂光伝送体の連続的製造方法 - Google Patents

合成樹脂光伝送体の連続的製造方法

Info

Publication number
JPH08201637A
JPH08201637A JP7027412A JP2741295A JPH08201637A JP H08201637 A JPH08201637 A JP H08201637A JP 7027412 A JP7027412 A JP 7027412A JP 2741295 A JP2741295 A JP 2741295A JP H08201637 A JPH08201637 A JP H08201637A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
continuously
pipe
refractive index
methacrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7027412A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Matsumura
泰男 松村
Noboru Kiyota
昇 清田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Petrochemicals Co Ltd filed Critical Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority to JP7027412A priority Critical patent/JPH08201637A/ja
Publication of JPH08201637A publication Critical patent/JPH08201637A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 伝送損失、伝送帯域などの光学性能に優れた
GI型合成樹脂光伝送体を、生産性よく連続的に製造す
る。 【構成】 次の4工程を含む、周辺部から中央部に向か
って連続的な屈折率勾配を有する光ファイバー23とし
ての合成樹脂光伝送体の連続的製造方法、(I)熱可塑
性透明重合体を鉛直下方に押し出し、中空体を連続的に
成形する工程、(II)得られた鉛直な中空体内に、前記
熱可塑性透明重合体に対して親和性を有するラジカル重
合性モノマー液20を、供給管2を介して連続的に充填
する工程、(III)モノマー液面の位置を変化させず
に、充填されたラジカル重合性モノマー液20を連続的
にラジカル重合させ、中実体21を連続的に製造する工
程、(IV)得られた中実体21の最下部を連続的に加熱
延伸する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、周辺部から中心部に向
かって連続的な屈折率勾配を有する光学性能の優れた合
成樹脂光伝送体を、生産性良く連続的に製造する方法に
関するものである。更に詳しくは、押出機より鉛直方向
に連続的に押し出される透明重合体パイプ内に、連続的
にモノマー液を供給してモノマー液を重合させることに
より、周辺部から中央部に向かって連続的な屈折率勾配
を有する合成樹脂光伝送体を連続的に製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、光を伝送する光ファイバーとして
は、石英ガラス製のものとプラスチック製のものが知ら
れている。石英ガラス製の光ファイバーは、伝送損失が
非常に小さいため、長距離の光伝送およびデータ伝送に
広く用いられる。一方、プラスチック製の光ファイバー
は、石英ガラス製のものに比べて伝送損失は劣るが、軽
量であること、大口径で可撓性がよいこと、加工が容易
で種々の素子との結合が容易であることなどの利点があ
り、しかも安価であるためにデータリンク等の短距離伝
送用あるいはセンサーなどへの応用が計られている。プ
ラスチック製の光ファイバーは、屈折率の様式により、
コアとクラッドと呼ばれる異なる屈折率を持つ2層から
なるSI型(ステップ型)と、連続した屈折率勾配を有
するGI型(屈折率分布型)の二つに分類される。SI
型は効率の良い方法により製造されており、ライトガイ
ドあるいはセンサー等に利用されている。一方、GI型
光ファイバーは、伝送帯域が広い利点を持ち、近距離の
大容量通信への利用が期待されているが、光伝送性能が
広いファイバーを効率よく生産する方法の開発が遅れて
いる。
【0003】すなわち、プラスチック製のGI型光ファ
イバーの従来の製造方法としては、連続した屈折率勾配
を有する棒状のプリフォームをあらかじめ製造し、これ
を熱延伸する方法が提案されてるが(たとえば、特公昭
54−30301号公報、特開昭61−130904号
公報、特開昭57−185001号公報、特開平4−9
7302号公報、特開平4−97303号公報)、これ
らの製造方法はバッチプロセスであるために製造される
プリフォームの長さに限度がある。このようなプリフォ
ームを熱延伸する方法は、(1)延伸初期において延伸
装置が安定するまでファイバーの線径が安定しない、
(2)1本の棒状プリフォームから得られるファイバー
が短い、(3)短いファイバーをポリエチレン等の合成
樹脂で被覆する際に、装置が安定するまでに被覆した部
分は製品として使用できないなどの理由により、伝送損
失や伝送帯域等で表示される光学性能の点では優れてい
るが、生産性が高い光伝送体を製造する方法とはいい難
い。
【0004】また、複合紡糸法によりプラスチック製の
GI型光ファイバーを直接製造する方法(たとえば、特
開平5−142433号公報、特開平3−192310
号公報)では、(1)光ファイバーの中心部まで十分に
屈折率勾配を設けることが困難である、(2)得られた
ファイバーの透明性が不十分な場合があるなどのため
に、生産性としては優れているが、光学的性能の点で優
れた光伝送体の製造方法とはいい難い。
【0005】本発明者らは、ポリマーの組成が光ファイ
バーの半径方向に連続して変化しているGI型プラスチ
ック光ファイバーについて、生産性が高く、かつ光学的
性能に優れた、すなわち透明性の高いものを製造する方
法を鋭意検討した結果、後記の図1で示すような装置を
用い、押出機により鉛直下方に連続的に押し出された透
明重合体パイプ内に、連続的にモノマー液を供給管を介
して供給し、その際モノマー液のラジカル重合により生
成するポリマーの上方への成長速度と、パイプの下方へ
の押出速度を同期させることによりモノマーの液面の位
置を実質的に変化させないようにし、更に中央部にポリ
マーが充填されたパイプの最下部を連続的に加熱延伸す
ることからなる方法が、生産性および光伝送体の光学的
性能の上から好ましいことを見出した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に鑑み、伝送損失または伝送帯域として示される
光学性能に優れたGI型合成樹脂光伝送体を、生産性よ
く連続的に製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、次の工程(I)、(II)、(III)および(IV)を含
むことを特徴とする、周辺部から中央部に向かって連続
的な屈折率勾配を有する光ファイバーとしての合成樹脂
光伝送体の連続的製造方法に関するものである。 (I)熱可塑性透明重合体を押出機から下方向鉛直に押
し出すことにより、中空体を連続的に成形する工程、
(II)得られた鉛直中空体内に、前記熱可塑性透明重合
体に対して親和性を有するラジカル重合性モノマー液
を、供給管を介して連続的に供給し充填する工程、(II
I)モノマー液面の位置を実質的に変化させずに、充填
されたラジカル重合性モノマー液を逐次連続的にラジカ
ル重合させ、中実体を連続的に製造する工程、(IV)得
られた中実体の最下部を連続的に加熱延伸する工程。本
発明の第2は、本発明の第1において得られる光ファイ
バーの中心部と周辺部の屈折率の差が0.005から0.
035の範囲であることを特徴とする連続的製造方法に
関する。本発明の第3は、本発明の第1において、供給
管の先端とモノマー液面との位置関係が実質的に変化し
ないことを特徴とする連続的製造方法に関する。本発明
の第4は、本発明の第1において、モノマー液面の位置
を検知し、その結果によりモノマー供給量を制御するこ
とを特徴とする連続的製造方法に関する。本発明の第5
は、本発明の第1において、工程(III)の重合領域と
工程(IV)の延伸領域の間に予備加熱領域を設けたこと
を特徴とする連続的製造方法に関する。
【0008】以下、本発明を更に説明する。ポリマー製
中空体、たとえば円筒型のポリマー製容器内に充填され
たモノマーを、外部から加熱したり光線を照射すること
により、ポリマー製の容器壁とモノマーの重合により生
成したポリマーとを一体化させ、周辺部から中心部に向
かって連続的な屈折率勾配を有する光伝送体を製造する
方法としては、屈折率勾配が発現する原理はそれぞれ異
なるが、従来、次のような提案がなされている。 (A)透明なポリマー製パイプの中に反応性比と屈折率
が異なる2種類のモノマーを充填し、外周部より重合さ
せることにより、反応性比の高いモノマーが優先的に外
周部に多く含まれるようにして屈折率勾配を形成する方
法(特開昭61−130904号公報および特開平5−
45502号公報など)、(B)モノマーに対して親和
性を有する透明なポリマー製パイプの中に、屈折率の異
なる2種類のモノマーを充填して外周部より重合させる
に際し、一方のモノマーが選択的にゲル内に拡散される
ことを利用して屈折率勾配を形成する方法(特開平4−
97302号公報など)、(C)重合によりポリマーと
したときの屈折率がパイプを構成するポリマーの屈折率
と異なり、かつパイプを構成するポリマーに対して親和
性を有するモノマーを、上記パイプに充填して外周部よ
りモノマーを重合させるに際し、パイプ形成ポリマーが
モノマーに溶解することを利用して屈折率勾配を形成す
る方法(特開平4−97303号公報など)、(D)重
合性モノマーと重合に関与しない異屈折率物質とをポリ
マー製のパイプに充填し、外周部より重合させるに際
し、異屈折率物質が中央部に濃縮されることを利用して
屈折率勾配を形成する方法(特再平5−808488号
公報など)等が挙げられる。上記の方法は、いずれもポ
リマー製の透明中空体の中にモノマーを含む液を充填
し、モノマーを外部から付与するエネルギーによりモノ
マー液面より順次重合させるものであって、このような
方法により上記モノマーの重合体が中空体壁を構成する
ポリマーと一体化して、周辺部から中心部に向かって屈
折率勾配を有する光伝送体が得られる。本発明は、これ
らの方法に適用することができるものである。
【0009】以下、本発明の方法を添付図面により更に
説明する。図1は、プラスチック製光伝送体の製造装置
を示す略示立面図である。図1の装置によりプラスチッ
ク製の光伝送体を製造する方法は、(1)透明重合体を
連続的に押し出し、パイプ形状の中空体を成形する工
程、(2)パイプ内にモノマー混合液を連続的に供給す
る工程、(3)モノマーが充填されたパイプの内部でモ
ノマーを順次重合させることにより屈折率勾配を発現さ
せる工程および(4)得られた中実体(パイプ内部が重
合体で充満した円筒状成形体)を連続的に加熱延伸しフ
ァイバーを製造する工程から構成されている。すなわ
ち、透明重合体ホッパー4から透明重合体を供給し、パ
イプ引取機7で引き取りながら押出機5のクロスヘッド
ダイ6を通して溶融押出しを行い、冷却サイジング部2
2を経て、透明重合体パイプ8を鉛直下方に連続的に引
き取る。一方、モノマーポンプ1およびモノマー供給管
2を経て、モノマー液を連続的に透明重合体パイプ8内
に供給し、充填する。透明重合体パイプ8内には窒素導
入管3を経て窒素を導入する。透明重合体パイプ8内に
導入されたモノマー液20の液面は、液面センサー9に
より位置を検出し、そのデータをモノマー供給ポンプ1
にフィードバックすることにより、上記液面の位置を制
御する。透明重合体パイプ8内に導入されたモノマー液
は、重合炉10により間接的に外部から加熱され、モノ
マーは重合固化する。ここで、重合炉10における加熱
は、透明重合体パイプ8をある程度軟化させることはあ
るが、溶融したり極端に変形させるような高温で行うも
のではない。上記のようにして、中空体内部も固化し透
明重合体と一体化した中実体21が連続して製造され
る。次に、得られた中実体21を必要に応じて予備加熱
炉11により間接的に外部加熱を行った後、加熱延伸炉
12において加熱し、中実体を軟化溶融させ、巻取装置
13で引き取りながら加熱延伸することにより、光ファ
イバー23を連続的に製造する。
【0010】以下、各工程ごとに更に説明する。 工程(I):この工程においては、熱可塑性透明重合体
を押出機から鉛直下方に押し出すことにより、中空体を
連続的に成形する。長尺な中空体であればよく、特にそ
の形状は限定されないが、通常は円筒形、すなわちパイ
プ状である。押出機から鉛直下方に連続的に押し出さ
れ、冷却固化することにより成形された透明重合体パイ
プの内部において、後に述べるように充填したモノマー
液を連続的に重合させる。このときパイプ押出速度はポ
リマー成長速度および加熱延伸速度と同期していること
が必要である。
【0011】鉛直下方に押し出されるパイプ状の中空体
を構成する透明重合体は、最終的には内部に注入され重
合したモノマーと一体化して光伝送体の外周部となるた
め、光伝送体の中央部を形成するポリマーあるいはその
成分モノマーに対する親和性が大きくかつ透明であるこ
とが好ましい。この透明重合体は、通常ラジカル重合活
性基を1個有する単官能性モノマーの単独重合体または
2種以上の共重合体である。また押出機で溶融押出しを
行ってパイプを成形するためには、熱可塑性であること
が必要であり、熱可塑性である限り多官能性モノマーを
使用することもできる。中央部すなわちパイプ内部で重
合させるべきモノマーと同一のモノマー、そのモノマー
に対し親和性が大きいモノマーまたはそれらを含むモノ
マー混合物を重合して得られる透明重合体を使用するこ
とが特に好ましい。すなわち、本発明においてパイプ状
の中空体を構成する透明重合体を製造するために使用す
るモノマーは、ラジカル重合性であることが好ましく、
従って、ラジカル重合活性のある官能基、たとえばアリ
ル基、アクリル基、メタクリル基およびビニル基のよう
な炭素−炭素二重結合を1個以上有するモノマーが用い
られる。前記(A)から(D)の方法において用いられ
る透明容器を構成する熱可塑性樹脂であれば、いずれも
使用することができる。
【0012】透明重合体を得るためのモノマーとして、
具体的には、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、α−
メチルスチレン、パラクロロスチレン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、フェニル酢酸ビニル、安息香
酸ビニル、フッ化ビニル、ビニルナフタレン、フッ化ビ
ニリデン、メチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチ
ルアクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェ
ニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジル
アクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルアク
リレート、ナフチルメタクリレート、アダマンチルアク
リレート、アダマンチルメタクリレート、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェ
ノキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、2−メチルグリシジル
アクリレート、2−メチルグリシジルメタクリレート、
エピチオアクリレート、エピチオメタクリレート、パー
フルオロアルキルアクリレート、パーフルオロアルキル
メタクリレートなどが挙げられる。前述のように、得ら
れた透明重合体が熱可塑性である限り、多官能モノマー
を用いることもできる。これらの中でも、スチレンの他
に、アクリレート系またはメタクリレート系モノマー、
たとえばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、
エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルア
クリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルア
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル
アクリレート、ベンジルメタクリレート、パーフルオロ
アルキルアクリレート、パーフルオロアルキルメタクリ
レートなどが特に好ましい。
【0013】上記ラジカル重合性モノマーから本発明に
用いる透明重合体を得る方法は、特に限定されず、熱重
合、光重合などの従来公知の方法により適宜に重合を行
うことができる。このようにして製造された熱可塑性透
明重合体としてのポリマーをパイプ状に成形する。ここ
で透明重合体は、パイプの押出成形に適した溶融粘度を
有することが必要である。すなわち、透明重合体の押出
温度における溶融粘度が大きすぎても小さすぎても好ま
しくない。分子量が大きすぎると溶融粘度が増大するた
めに好ましくなく、また、分子量が小さすぎると、パイ
プ自体あるいは本発明の光伝送体の機械的強度が不足し
て好ましくない。このような観点から、通常は溶融粘度
に相関する物性として分子量が用いられる。本発明にお
いては平均分子量1万から100万の範囲において選択
することが適当であり、好ましくは5万から20万の範
囲である。
【0014】中空体製造のための押出機としては、通常
のプラスチックパイプ押出成形用のものが用いられる。
本発明においては、パイプを鉛直下方に連続的に押し出
して製造するが、更にダイ内型を貫通してモノマー液供
給管をパイプの中心近くに設置することが必要である。
このような観点から、押出機のダイとしては、簡便性も
考慮してクロスヘッドダイを利用することが適当であ
る。図2は、クロスヘッドダイ6の縦断面図である。図
2において、押出機(図示せず)から供給される溶融し
た透明重合体16は、ダイ内型14およびダイ外型15
により構成される間隙、すなわち図2の直交斜線部分を
通りパイプ状に成形される。クロスヘッドダイ6には、
モノマー供給管2と窒素導入管3が貫通しており、更に
モノマー供給管2は窒素導入管3の内部を貫通してい
る。なおモノマー供給管2は、ダイ周辺の高温部分に触
れないように、パイプの中心に沿ってクロスヘッドダイ
6を貫通している。高温の部分に触れると、たとえば供
給管内でモノマーが重合して供給管を閉塞することがあ
る。また、上記のようにダイス内型14の中央に、窒素
ガス等の不活性ガスを導入できるようにしておくことに
より、パイプ内径を安定化させるとともに、透明重合体
パイプを内側から冷却し、重合領域内においては酸素に
よる反応阻害を防止することができる。
【0015】押出機のクロスヘッドダイから下方に押し
出されるパイプの内径は、通常40mm以下である。内
径は大きいほど生産性は向上するが、余り大きすぎると
後述の周辺部から中心部に向かって連続的に変化する屈
折率を形成することが困難になり、SI型分布に近いフ
ァイバーとなるため、光伝送帯域は狭くなる。従って、
内径は特に6〜25mmの範囲が好ましい。成形される
パイプの肉厚は小さい方が光伝送体の光学性能の点で好
ましいが、後述のように温度の高い重合炉10内でパイ
プ形状を保持するには機械的強度が必要であることを考
慮すると、あまり薄いものは好ましくない。このような
観点から2mm以上の肉厚を有することが好ましく、通
常は2〜100mmの範囲である。
【0016】このようにして押し出されたパイプは、必
要に応じサイジングおよび冷却を行った後、鉛直下方に
パイプ引取機7で引き取られる。冷却サイジング部22
における冷却方法としては、空冷あるいは適宜の冷媒を
用いる常法の冷却装置を任意に選択することができる。
この冷却により、溶融押出しにより成形された中空体を
固化させるとともに、重合炉10に入るまでのパイプの
温度を重合温度以下にすることができる。重合炉10に
入る前のパイプの温度は、好ましくは、重合温度より2
0℃以上低い温度とする。重合領域前のパイプの温度が
高いと、モノマー液面で蒸発したモノマー蒸気によりパ
イプが溶解または膨潤し、得られるファイバーに屈折率
勾配の乱れが生じて好ましくない。蒸発が更に激しくな
るとパイプが溶断することもある。
【0017】パイプ引取機7は、キャタピラ式のもので
もロール式のものでもよいが、精度良く等速度で引き取
ることが肝要である。引取速度は後述するポリマーの成
長速度に同期させることが肝要であり、通常は0.01m
m/min から3.0mm/min の範囲で選択することができ
る。更に好ましくは0.1から1.5mm/min の範囲であ
る。
【0018】工程(II):この工程においては、上記の
ようにして得られた鉛直な中空体内に、前記熱可塑性透
明重合体に対して親和性を有するラジカル重合性モノマ
ー液を、供給管を介して連続的に供給し充填する。図3
は、重合領域の略示部分縦断面図である。モノマー液は
モノマー供給管2を経て連続的に供給される。ここで、
図3に示されるように、上記供給管の先端はモノマー液
面の近傍にあることが必要であり、モノマー液面から上
下5mm以内に位置することが特に好ましい。供給管の
先端がモノマー液面から5mm以上下の液中に入ると、
供給管はポリマーで閉塞しやすくなり、一方、供給管の
先端が液面から5mm以上上方に離れると、モノマー液
滴が液面に落ちるときの衝撃が液面を乱すために、得ら
れるファイバーの屈折率勾配が乱れやすくなり、いずれ
も好ましくない。
【0019】モノマー液の供給速度は、モノマー液面を
常に同一の位置に保つように選ばれる。ここでパイプの
降下速度(パイプ引取速度)が速すぎる場合は、未反応
モノマーの部分が多くなり、重合収縮により気泡が生じ
やすくなる。この場合は連続的な屈折率勾配が形成され
難くなり、屈折率分布の形状がSI型に近くなるので好
ましくない。一方、パイプ引取速度が遅すぎるとファイ
バーの生産性が低くなる。通常は、前記の通り0.01
〜3.0mm/min の範囲内でポリマーが成長するように選
択する。好ましくは0.1〜1.5mm/min の範囲であ
る。本発明においては、モノマー供給速度とパイプ押出
速度を同一にするのみでは、モノマー液面を一定の位置
に保つことは困難である。一般にモノマーが重合すると
体積は収縮するため、モノマー供給速度はポリマー成長
速度より大きくする必要がある。しかし、モノマー供給
速度とポリマー成長速度の差を考慮してパイプ押出速度
とモノマー供給速度とを一定の速度比に保つように設定
しても、時間の経過とともに液面レベルが変動すること
がしばしば見られた。これはパイプ内径のわずかな変動
に起因するものであることがわかった。
【0020】更に、本発明において熱重合を用いる場合
に、モノマー液面は重合炉10の僅か上方に位置するこ
とが必要である。具体的には0.5〜30mmの距離で
ある。モノマー液面が加熱領域の中にある場合は、パイ
プがモノマー液面より上部まで加熱されることになる。
この場合に、モノマー液面で発生したモノマー蒸気が上
部の加熱されたパイプを侵し、パイプが溶解または膨潤
し、屈折率分布に乱れが生じるので好ましくない。蒸発
が更に激しくなるとパイプが溶断することもある。ま
た、モノマー液面が加熱領域の上端よりも30mm以上
離れた位置にあると、加熱炉の外のパイプ内に存在する
未反応モノマーの量が多くなり、モノマーは透明重合体
に対して親和性を有するためにパイプがモノマー混合液
に溶解または膨潤することがある。これもまたパイプ溶
断の原因となるので好ましくない。
【0021】そこで、モノマー液面の位置を一定に保つ
ためには、適宜のセンサーによりモノマー液面の位置を
常に検知し、その位置に応じてモノマー液の供給量を制
御するようにすることが好ましい。このためには、たと
えば、図1および図3に示すように、パイプ側面から発
光ダイオード(LED)などの適宜の光源(図示せず)
を用いて光線を照射し、その反射光あるいは透過光を適
宜の液面センサー9、たとえばファイバーセンサーで検
出し、そのデータをモノマー供給ポンプ1にフィードバ
ックして、モノマー液面を一定に保つようにモノマー供
給ポンプ1を動作させる方法が最も容易である。
【0022】透明中空体内に供給するモノマー液として
は、前記(A)から(D)の方法において透明容器内へ
注入充填したものと同様のものが用いられる。すなわ
ち、本発明において周辺部から中心部に向かって屈折率
勾配を有する重合体を製造するために使用するモノマー
は、ラジカル重合性モノマーが好ましく、従って、ラジ
カル重合活性のある官能基、たとえばアリル基、アクリ
ル基、メタクリル基およびビニル基のような炭素−炭素
二重結合を1個以上有するモノマーが用いられる。得ら
れるポリマーが熱可塑性である限り、多官能性のモノマ
ーを使用することもできる。
【0023】中空体内へ供給する具体的なモノマーとし
ては、前記透明重合体の作製に用いたモノマーがすべて
用いられる。すなわち、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチ
レン、α−メチルスチレン、パラクロロスチレン、アク
リロニトリル、メタクリニトリル、フェニル酢酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、フッ化ビニル、ビニルナフタレ
ン、フッ化ビニリデン、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレ
ート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、シ
クロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレ
ート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレー
ト、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、
ナフチルアクリレート、ナフチルメタクリレート、アダ
マンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレー
ト、2−フェノキシエチルメタクリレート、グリシジル
アクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メチル
グリシジルアクリレート、2−メチルグリシジルメタク
リレート、エピチオアクリレート、エピチオメタクリレ
ート、パーフルオロアルキルアクリレート、パーフルオ
ロアルキルメタクリレートなどが挙げられる。これらの
中でも、スチレンの他に、アクリレート系またはメタク
リレート系モノマー、たとえばメチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタ
クリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリ
レート、パーフルオロアルキルアクリレート、パーフル
オロアルキルメタクリレートなどが特に好ましい。
【0024】たとえば、前記(B)の方法のように、屈
折率の異なる2種のモノマーを充填してこれを重合させ
る場合には、モノマーの組合わせの例としては、スチレ
ン/(メチルアクリレートまたはメチルメタクリレー
ト)、(メチルアクリレートまたはメチルメタクリレー
ト)/(ベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリ
レート)、(メチルアクリレートまたはメチルメタクリ
レート)/(2,2,2−トリフルオロエチルアクリレー
トまたは2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレー
ト)等を挙げることができる。更に、これらの中でも、
メチルアクリレートまたはメチルメタクリレートとベン
ジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートの組合
わせは、モノマーの入手のし易さ、得られるポリマーの
透明度などの点で特に好ましい。なお、いずれの場合で
も、必要に応じて2種またはそれ以上のモノマーの混合
液を用いることができる。
【0025】このほか前記(D)の方法のように、上記
ラジカル重合性モノマーの重合には関与しないが、屈折
率が上記重合性モノマーが重合して生ずるポリマーの屈
折率に比べて0.001以上異なる異屈折率物質を混合
したモノマー液も用いることができる。このような異屈
折率物質としては、重合活性は有しない物質であって、
重合すべきモノマーや生成するポリマーに良く相溶し、
透明体を形成するものが用いられる。重合すべきモノマ
ーあるいは他の液状の異屈折率物質に溶解し、かつ生成
ポリマーにも良く相溶して析出し難い物質であれば、固
体であっても使用することができる。液状の場合には、
沸点が低すぎると重合時はもちろん、その後においても
長期間使用する際に蒸発することがあるので、難揮発性
であることが好ましい。
【0026】異屈折率物質の具体例としては、フタル酸
ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ベンジルn−
ブチル、1−メトキシフェニル−1−フェニルエタン、
安息香酸ベンジル、ジベンジルエーテル、フェノキシト
ルエン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフイドな
どの芳香族環を2個または3個有する含酸素化合物また
は含窒素化合物;ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼ
ン、m−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモエタンな
どのハロゲン化炭化水素;ビフェニル、モノイソブチル
ビフェニル、ジイソブチルナフタレン、ジフェニルメタ
ン、フェニル(sec-ブチルフェニル)メタン、フェニルト
リルメタン、フェニルキシリルメタン、1,1−ジフェ
ニルエタン、1,1−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エ
タン、1−フェニル−1−(ジメチルフェニル)エタン、
1−フェニル−1−(sec−ブチルフェニル)エタン、1,
2−ジフェニルエタンなどの縮合または非縮合型芳香環
を2個有する芳香族炭化水素;ジスチリルベンゼン、ジ
ベンジルベンゼン、ジベンジルトルエンなどの芳香環を
3個有する縮合または非縮合型芳香族炭化水素などが挙
げられる。この中でも特に安定性の点から、縮合または
非縮合型芳香環を2個または3個有する芳香族炭化水素
が好ましい。
【0027】上記異屈折率物質の混合割合は、モノマー
などとの相溶範囲などを考慮し、製造すべき光伝送体の
屈折率勾配に応じて任意に決定する。たとえば、1〜1
00重量%の範囲で適宜に選択することができる。
【0028】そのほか、モノマー液には公知のラジカル
重合開始剤を、必要に応じ任意の量で混合することがで
きる。また光、電子線あるいは放射線による重合と熱重
合とを併用することもでき、光重合開始剤を必要に応じ
て任意の量で混合することができる。熱ラジカル重合開
始剤としては、たとえばベンゾイルパーオキサイド、ラ
ウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド
類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、
ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類お
よびアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロ
ニトリル等のアゾビス類等を使用することができ、その
使用量はモノマーの0.1〜10重量%である。また、
光(紫外線)重合開始剤としては、たとえば、ベンゾイ
ンメチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒドロキ
シフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノン、
チオキサントン類、あるいはアミン併用のベンゾフェノ
ン類などが挙げられる。
【0029】また、モノマー液には必要に応じて四塩化
炭素、四臭化炭素等のアルキルハライド類あるいはブチ
ルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、オクチルメル
カプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタ
ノールあるいはチオグリコール酸オクチル等のアルキル
メルカプタン類などの分子量調整剤を適宜用いることも
できる。また、得られるポリマーの透明性や物性を阻害
しない限り、任意の添加剤、たとえば酸化防止剤、光安
定剤などを加えることができる。
【0030】工程(III):この工程においては、モノ
マー液面の位置を実質的に変化させずに、充填されたラ
ジカル重合性モノマー液を逐次連続的にラジカル重合さ
せ、中実体を連続的に製造する。中心部にモノマー供給
管2を有し、内部が窒素ガスに満たされ連続して下方に
伸びている透明重合体パイプ8は、次に鉛直下方に位置
する重合炉10に導かれる。重合炉10内において、透
明重合体パイプ8内に充填されたモノマーが重合する。
熱重合による場合は、その温度は透明重合体パイプ内に
充填されたモノマーが重合するために十分な温度であれ
ばよく、50〜150℃の範囲から選択することができ
る。ただしモノマー溶液の沸点以下であることが必要で
あり、好ましくは、モノマー溶液の沸点より5℃以上低
い温度である。これより温度が高いと、モノマー溶液が
沸騰し、得られたファイバーの屈折率の乱れや気泡の原
因となり、光伝送体は性能が低下して製品とすることが
できない。
【0031】パイプおよび供給されたモノマーの加熱に
は、光線による方法あるいはパイプ外部を熱風などの熱
媒で加熱する方法を適宜に利用することができ、更にこ
れらを併用することもできる。一般的には装置が簡便で
あることから、円筒形のヒーターによる外部加熱の方法
あるいは熱風をパイプ外部に吹き付ける方法が最も好ま
しい。この場合にも、供給管内でモノマー液が重合しな
いように注意しなければならない。重合炉10の長さに
特に制限はないが、重合炉出口ではモノマーの95%以
上の重合が終了していることが好ましい。残留モノマー
を5%未満にするためには、パイプの重合炉内における
滞留時間が12時間以上でなければならない。更に好ま
しくは24時間以上である。重合時間が短く重合が不十
分な場合には、残留するモノマーが原因となって延伸時
に激しく発泡する。
【0032】工程(IV):この工程においては、上記に
おいて得られた中実体の最下部を連続的に加熱延伸す
る。パイプ内部にポリマーが充満した中実体21の最下
端は、重合炉10を出た後、そのまま鉛直下方に設置さ
れた加熱延伸炉12に導かれる。必要に応じて加熱延伸
炉の上部に予備加熱炉11を設けることができ、これに
より延伸温度を下げることが可能となる。予備加熱炉1
1内の温度は、加熱延伸炉12内の温度と重合炉内温度
との中間で適宜選択することができる。加熱延伸炉12
内の温度は、150〜250℃の範囲で適宜選択するこ
とができるが、温度が高すぎると中実体が発泡しやすく
なる。発泡しない範囲内では、温度が高いほどファイバ
ーの延伸による配向は弱く、温度が低いほど配向が強い
ため腰の強いファイバーが得られる。重合体は加熱延伸
炉12内で軟化し、巻取機13で巻き取られながら延伸
される。その結果、外径0.1mmから3.0mmの太さ
の光ファイバー23として巻取られる。
【0033】ここで、ファイバー巻取り速度(VF)と
製品のファイバー外径(DF)との積は、パイプ外径
(DP)とパイプ降下速度(VP)との積と以下の関係
を有することが必要である。この範囲から外れると、外
径が安定し張力の一定したファイバーを得ることが困難
である。 0.9×(VP×DP2) ≦ VF×DF2 ≦ 1.1×(V
P×DP2) また、広帯域な光ファイバーを得るためには、中心部と
周辺部の屈折率差が0.035以下であることが好まし
い。中心部と周辺部の屈折率差が0.035よりも大き
くなると屈折率勾配の制御が難しく、広帯域の光ファイ
バーを得ることが困難であるため好ましくない。ファイ
バーの中心部と周辺部の屈折率差が0.035以下であ
っても、開口数が不十分なために、耐屈曲性に劣ること
がある。耐屈曲性に優れ、高開口数の光ファイバーを得
るためには、ファイバー外周部に低屈折率層を設けるこ
とが効果的である。低屈折率層はファイバー内を伝搬し
てきた光を全反射してファイバー中心部へ戻す作用を示
し、耐屈曲性に優れたファイバーが得られる。光ファイ
バーの中心部と低屈折率層との屈折率差は大きければ大
きいほど開口数が大きくなるが、少なくとも0.08以
上であることが好ましい。
【0034】本発明における低屈折率層の材料として
は、周辺部から中心部に向かって屈折率勾配を持つ重合
体との密着性が良く、重合体の中心部よりも屈折率が
0.08以上低い重合体であればよい。具体的には、フ
ッ素化アルキルアクリレートまたはフッ素化アルキルメ
タクリレートの単独重合体および共重合可能なモノマー
との共重合体、フッ化ビニリデンの単独重合体および共
重合可能なモノマーとの共重合体、フルオロオレフィン
−ビニルエーテル共重合体、フルオロオレフィン−塩化
ビニリデン共重合体、パーフルオロ環状エーテル系重合
体などの含フッ素透明樹脂、シリコーン樹脂などを挙げ
ることができる。
【0035】低屈折率層を製造するために使用されるモ
ノマーの具体例のうち、フッ素化アルキルアクリレート
およびフッ素化アルキルメタクリレートとしては、2,
2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−
トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テ
トラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テ
トラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,
4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,3,
4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,
2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルアクリ
レート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペ
ンチルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルア
クリレートおよび2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフ
ルオロペンチルメタクリレートは、中心部と低屈折率層
との屈折率差を大きくすることができ、高開口数の光フ
ァイバーを得ることができるので特に好ましい。
【0036】上記フッ素化アルキルアクリレートまたは
フッ素化アルキルメタクリレートと共重合可能なモノマ
ーとしては、たとえばメチルアクリレート、メチルメタ
クリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレー
ト、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリ
レート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタク
リレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメ
タクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシ
ルメタクリレート等のアクリレート類またはメタクリレ
ート類が挙げられ、得られるポリマーの透明性の点から
メチルアクリレートおよびメチルメタクリレートが最も
好ましい。またフッ化ビニリデンと共重合可能なモノマ
ーとしては、たとえばテトラフルオロエチレン、ヘキサ
フルオロプロピレン、ヘキサフルオロアセトンなどが挙
げられる。
【0037】本発明のGI型プラスチック光ファイバー
の低屈折率層の厚みは1〜200μmとすることが好ま
しく、特に好ましくは3〜20μmである。低屈折率層
の厚みが1μm未満であると、低屈折率層の表面に微細
な傷が生じた際に、その部分で光が散乱し伝送損失が増
加するので好ましくない。一方、低屈折率層の厚さが2
00μmを越えると、実質的に光を伝達するコア部の断
面積が小さくなり、光ファイバーの光伝送量が少なくな
るため好ましくない。
【0038】本発明のファイバーは、上記の方法で製造
した後、常法に従い保護のための被覆を施す。たとえば
ポリエチレンあるいは塩化ビニル樹脂で被覆を行うこと
により、製品としての光ケーブルあるいはコードが得ら
れる。
【0039】
【実施例】実施例により本発明を更に説明する。 <参考例>(透明重合体の製造) 連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン0.2重量
%、および重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド
05重量%を加えたメチルメタクリレートを、常法に従
い熱重合させ、更に減圧下で脱気することにより、未反
応モノマー含有量が0.5%以下であり、重量平均分子
量が72,000のポリメチルメタクリレート(PMM
A)を得た。
【0040】<実施例1>図1の装置を用いてGI型フ
ァイバーを製造した。すなわち、参考例で得たPMMA
をパイプ押出機5を経て、クロスヘッドダイ6に導入
し、内径20mm、厚み3mmのPMMAパイプを鉛直
下方に押し出し、パイプ引取機7で正確に0.6mm/min
の速度で引き取った。更に透明重合体パイプ8を下部に
設置されている長さ1mの重合炉10内に導いた。重合
炉10は90℃に保持された空気浴であり、その中に垂
直に保持されているパイプ8内に、モノマー液面より
0.5cm上部にモノマー供給管の先端を設け、連鎖移
動剤としてn−ブチルメルカプタン0.2重量%および
重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5重量
%を加えたメチルメタクリレート(MMA)とベンジル
メタクリレート(BZMA)との混合液(仕込み重量比
=4:1)を供給管を通して徐々に上部から供給しなが
ら重合させた。モノマー液面は常にLED光源を用いた
液面センサー9で検知し、液面を一定に保つようにモノ
マー供給ポンプ1を運転した。重合の間、モノマー供給
管の先端は常にモノマー液面から0.5cm上部に、ま
たモノマー液面は常に重合炉10としての空気浴槽の上
端より0.5cm上になるように保った。内部でポリマ
ーが成長したパイプを、130℃に保持した長さ0.6
mの空気浴からなる予備加熱炉11に導入した。続いて
210℃に設定された円筒型の加熱延伸炉12内で間接
加熱しながら熱延伸することにより、直径0.50mm
の光ファイバーを1分間当たり162cmの速度で製造
した。得られた光ファイバーには気泡が見られなかっ
た。また横方向干渉法により半径方向の屈折率分布を測
定した結果を図4に示すが、中心部と周辺部の屈折率差
は0.015であり、半径方向に連続的に屈折率が変化
していることがわかった。この屈折率勾配は、ファイバ
ーのいかなる部分で測定しても同様であった。なお、図
4において横軸は光ファイバー中心部からの距離の比率
を、また縦軸は最も高い屈折率と特定の距離における屈
折率との差をそれぞれ示す。光学性能としては、パルス
変調法により求めた伝送帯域は384MHz・km であり、
カットバック法による伝送損失は230dB/km であっ
た。
【0041】(低屈折率層の付与)得られた光ファイバ
ーの表面に、紫外線硬化型フッ素樹脂(硬化後の屈折率
1.38;商品名:DEFFENSA 7702A、大日
本インキ化学工業(株)製)を塗布し、80W/cm の高圧
水銀灯3本からなる紫外線照射機に連続的に導き、紫外
線を20秒照射して厚さ10μmの低屈折率層を設け
た。中心部と外周の低屈折率層との屈折率の差は0.1
24であった。このようにして得た低屈折率層を有する
光ファイバーを、常法によりポリエチレン樹脂で被覆
し、直径1.2mmの光ファイバーコードを得た。得ら
れた光ファイバーコードの伝送帯域は209MHz・km で
あった。上記の低屈折率層を有する光ファイバーコード
について、曲げ損失の測定を行うため、2mの長さに切
断し、その一端から白色光を入射し、円筒に巻き付ける
前の出射光量(A)および直径20mmの円筒に1回巻
き付けたときの出射光量(B)を測定し、次式により曲
げによる損失の増加(以下、「曲げ損失」という)を算
出した。その結果、曲げ損失は1.41dBであり、本
実施例で得られた低屈折率層を有しない光ファイバーを
ポリエチレンで被覆した光ファイバーコードの曲げ損失
7.88dBと比べて良好な値であった。 曲げ損失(dB)=−10log〔出射光量(B)/出射光量
(A)〕
【0042】<実施例2〜6>実施例1において重合さ
せたベンジルメタクリレート(BzMA)の代わりに下
記表1に示す化合物を用い、更に重合炉10内の温度を
70℃とした以外は実施例1と同様の操作を行うことに
より、表1に示す性能の光ファイバーを得た。なお、得
られた光ファイバーの屈折率分布の分布形状は、全て実
施例1の図4と同様であった。
【0043】
【表1】
【0044】<実施例7>実施例1において、押出機5
からパイプを1.5mm/min の速度で引き取った。そのパ
イプを下部に設置されている長さ2mの重合炉10に導
いたほかは実施例1と同様に操作した。重合炉10を出
た後、実施例1と同様に熱延伸することにより直径0.
50mmの光ファイバーを1分間当たり400cmの割
合で得た。得られた光ファイバーには気泡もなく、また
実施例1と同様に連続的に変化する屈折率が得られた。
伝送帯域は326MHz・km であり、伝送損失は282dB/
km であった。
【0045】<比較例1>押し出されたパイプをパイプ
引取機で正確に3.2mm/min の速度で引き取り、下部に
設置されている長さ5mの重合炉に導いた以外は実施例
1と同様な操作を行った。得られた光ファイバーの屈折
率分布を測定したところ、中心部と周辺部の屈折率差は
0.018であったが、図5に示すように疑似SI型の
屈折率分布が形成されていた。また、その伝送帯域を測
定したところ80MHz・km であった。この結果から、押
出速度が速すぎる場合には連続した屈折率勾配が形成さ
れないことがわかる。
【0046】<比較例2>液面センサーによるモノマー
液面の位置の調節を行わず、それ以外は実施例1と同様
にして重合反応を行ったところ、供給管の先端に対して
モノマー液面が上下に変動した。液面が上昇した場合
に、供給管の先端は液面より最大25mm下まで達し
た。その結果、得られたファイバーの外径は0.25〜
0.90mmの範囲で変動が著しかった。このように外
径が著しく変動するファイバーにおいては均一なポリエ
チレン被覆が困難であった。従って、供給管の先端とモ
ノマー液面の相対的位置が一定しない場合には、ファイ
バー外径の変動が大きいことがわかる。
【0047】
【発明の効果】本発明の方法によれば、伝送損失が少な
くまた伝送帯域が広い、光学性能に優れたGI型光ファ
イバーを、生産性よく連続的に製造することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成樹脂光伝送体の製造装置の略示立面図であ
る。
【図2】図1の装置において用いる押出機のクロスヘッ
ドダイの縦断面図である。
【図3】本発明における重合領域の略示部分縦断面図で
ある。
【図4】実施例1で得られた光ファイバーの半径方向に
おける屈折率分布を示すグラフである。
【図5】比較例1で得られた光ファイバーの半径方向に
おける屈折率分布を示すグラフである。
【符号の説明】 1 モノマーポンプ 2 モノマー供給管 3 窒素導入管 4 透明重合体ホッパー 5 押出機 6 クロスヘッドダイ 7 パイプ引取機 8 透明重合体パイプ 9 液面センサー 10 重合炉 11 予備加熱炉 12 加熱延伸炉 13 巻取機 14 ダイ内型 15 ダイ外型 16 溶融透明重合体 20 モノマー液 21 中実体 22 冷却サイジング部 23 光ファイバー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程(I)、(II)、(III)および
    (IV)を含むことを特徴とする、周辺部から中央部に向
    かって連続的な屈折率勾配を有する光ファイバーとして
    の合成樹脂光伝送体の連続的製造方法、(I)熱可塑性
    透明重合体を押出機から下方向鉛直に押し出すことによ
    り、中空体を連続的に成形する工程、(II)得られた鉛
    直中空体内に、前記熱可塑性透明重合体に対して親和性
    を有するラジカル重合性モノマー液を、供給管を介して
    連続的に供給し充填する工程、(III)モノマー液面の
    位置を実質的に変化させずに、充填されたラジカル重合
    性モノマー液を逐次連続的にラジカル重合させ、中実体
    を連続的に製造する工程、(IV)得られた中実体の最下
    部を連続的に加熱延伸する工程。
  2. 【請求項2】 前記光ファイバーの中心部と周辺部の屈
    折率の差が0.005から0.035の範囲であることを
    特徴とする請求項1に記載の連続的製造方法。
  3. 【請求項3】 前記供給管の先端とモノマー液面との位
    置関係が実質的に変化しないことを特徴とする請求項1
    に記載の連続的製造方法。
  4. 【請求項4】 前記モノマー液面の位置を検知し、その
    結果によりモノマー供給量を制御することを特徴とする
    請求項1に記載の連続的製造方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(III)の重合領域と工程(I
    V)の延伸領域の間に、予備加熱領域を設けたことを特
    徴とする請求項1に記載の連続的製造方法。
JP7027412A 1995-01-23 1995-01-23 合成樹脂光伝送体の連続的製造方法 Pending JPH08201637A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7027412A JPH08201637A (ja) 1995-01-23 1995-01-23 合成樹脂光伝送体の連続的製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7027412A JPH08201637A (ja) 1995-01-23 1995-01-23 合成樹脂光伝送体の連続的製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08201637A true JPH08201637A (ja) 1996-08-09

Family

ID=12220381

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7027412A Pending JPH08201637A (ja) 1995-01-23 1995-01-23 合成樹脂光伝送体の連続的製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08201637A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000035517A (ja) * 1998-07-17 2000-02-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光伝送体、光伝送体アレイ、イメージセンサー、レンズプレートおよび画像形成装置
WO2003102641A1 (fr) * 2002-05-30 2003-12-11 Asahi Glass Company, Limited Procede de production de fibre optique en plastique
WO2005006037A1 (en) * 2003-07-11 2005-01-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Plastic optical fibers and processes for producing them

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000035517A (ja) * 1998-07-17 2000-02-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光伝送体、光伝送体アレイ、イメージセンサー、レンズプレートおよび画像形成装置
WO2003102641A1 (fr) * 2002-05-30 2003-12-11 Asahi Glass Company, Limited Procede de production de fibre optique en plastique
WO2005006037A1 (en) * 2003-07-11 2005-01-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Plastic optical fibers and processes for producing them
US7228038B2 (en) 2003-07-11 2007-06-05 Fujifilm Corporation Plastic optical fibers and processes for producing them

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20060135013A (ko) 플라스틱 광섬유 및 그 제조 방법
US20040179798A1 (en) Method and apparatus for manufacturing plastic optical transmission medium
CA1265903A (en) Optical fiber
JPH01314206A (ja) 光導波路
JP2004264758A (ja) プラスチックオプティカルファイバー用クラッドパイプの製造方法及び製造装置並びにクラッドパイプ,プラスチックオプティカルファイバー
JP2013213888A (ja) プラスチック光ファイバーの製造方法
JPH08201637A (ja) 合成樹脂光伝送体の連続的製造方法
JPH10123336A (ja) 傾斜屈折率を有する光学材料の製造
JP4657208B2 (ja) プラスチック光ファイバ及びその製造方法
US6013205A (en) Method and apparatus for manufacturing distributed refractive index plastic optical-fiber
EP1583654B1 (en) Method of fabricating a preform for producing plastic optical components
JPH0727928A (ja) プラスチック光伝送体の製造方法
EP1509380B1 (en) Plastic optical product, plastic optical fiber, apparatus for manufacturing plastic optical part, and method for manufacturing plastic optical part and plastic optical product
US20090238525A1 (en) Production method of preform of plastic optical member and plastic optical fiber
KR20010067464A (ko) 굴절률 구배를 가진 플라스틱 광섬유 모재의 제조방법
JP2006163031A (ja) プラスチック光学部材の製造方法及び製造装置
JPH0854521A (ja) プラスチック光ファイバ
JPH09138313A (ja) 屈折率分布型プラスチック光ファイバの製造方法
JPH10133036A (ja) マルチステップインデックス型プラスチック光ファイバ及びその製造方法
KR100327867B1 (ko) 플라스틱광섬유의프리폼제조방법
JP2005321686A (ja) マルチステップインデックス型プラスチック光ファイバ
JP2001215345A (ja) 屈折率勾配を有するプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法
JP2003329856A (ja) 光伝送体の製造方法
JPH08334605A (ja) プラスチック光伝送体の製造方法および溶融紡糸装置
JPH0629885B2 (ja) 合成樹脂光伝送体の製造方法