JPH085416B2 - 自動二，三輪車の前フエンダ取付け構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばスクータ型自動二，三輪車に最適な
前フェンダ取付け構造に関し、特に可動式前フェンダの
前側部分の着脱性の改善に関する。

〔従来の技術〕

従来、特にスクータ型自動二，三輪車では、前輪の上
方を前フェンダで覆うとともに、乗員の脚部前方をレッ
グシールドで覆うのが一般的である。このようなスクー
タ型自動二，三輪車では、例えば衝突等によって前フェ
ンダが破損した場合は、これを取り外して修理したり、
あるいは新しいものと交換することとなる。一方、前フ
ェンダの破損について考えると、その後半部よりも前半
部が破損する可能性が高く、従って前半部だけを後半部
と分離して着脱できる構造にすれば補修コストを低減で
きる。

そこで、従来、前フェンダを、前半部と後半部とから
なるいわゆる前後分割型とし、この前半部を前フォーク
に着脱可能に取た付けた前フェンダ取付け構造があり、
この構造では前フェンダの破損した部分のみを交換で
き、補修コストを低減できる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、特にスクータ型自動二，三輪車では、
前フェンダの前半部取付け部付近にはレッグシールドが
覆いかぶさるように位置して取付け部が隠れてしまって
おり、そのため上記従来構造では、上記前半部を着脱す
るには、まずレッグシールドを取り外す必要があり、そ
れだけ着脱作業性が悪いという問題がある。この作業性
を向上するには、前フェンダ取付ボルトを緩めるための
工具用挿入口をレッグシールドに形成することが考えら
れるが、このようにすればレッグシールドにデザイン上
及び機能上不要の開口等ができることとなり、外観，機
能が悪化するおそれがある。

そこで本発明の目的は、レッグシールドを取り外すこ
となく、かつ専用の工具挿入口を設けることなく、前フ
ェンダの前半部を容易に着脱でき、作業性を向上できる
自動二，三輪車の前フェンダ取付け構造を提供する点に
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、可動式前フェンダと、操向操作時の前フェ
ンダとの干渉を避けるための逃げ部を有するレッグシー
ルドとを備えた自動二，三輪車において、前フェンダを
前後分割型とし、フェンダ後半部を前フォークに取り付
け、フェンダ前半部の後端縁上部左，右の上側取付け部
を前フォークに形成された支持ブラケットに取付部材で
固定し、後端縁下部左，右の下側取付け部をフェンダ後
半部の前端縁部に、又は前フォークに形成された支持ブ
ラケットに固定し、上記後端縁上部の右，左の取付部材
は、直進走行状態では側面視でレッグシールド内に隠れ
る位置に、かつ操向ハンドルをそれぞれ左，右方向に回
動させた時、上記レッグシールドの逃げ部を通って前方
に臨む位置に配置されていることを特徴とする前フェン
ダ取付け構造である。

ここで、上記上側取付け部を固定する取付部材は、ボ
ルトナット，あるいは樹脂製リベット等の着脱自在の結
合手段をいい、また下側取付け部は、ボルトナット，樹
脂製リベットで固定したり、あるいは単に相互に掛止し
たりすればよく、特にその手段は限定しない。

〔作用〕

本発明に係る自動二，三輪車の前フェンダ取付け構造
では、前フェンダの前半部を着脱する場合は、操向ハン
ドルを左，又は右に回動させる。すると、フェンダ前半
部の上側取付部の右，又は左の取付部材がレッグシール
ドの逃げ部を通して前方に臨むこととなり、この逃げ部
を利用して工具を挿入すれば、上記取付部材を容易に着
脱でき、従ってフェンダ前半部の着脱が容易である。そ
してこの場合、工具を挿入するための専用の開口等を設
けるのではなく、レックシールドの、操向操作時の前フ
ェンダとの干渉防止用に従来から設けられている逃げ部
を利用しているから、外観あるいは機能を悪化させるこ
ともない。

また、上記左，右の取付け部材は直進走行状態では側
面視でレッグシールド内に隠れているので、この点から
も外観低下を回避できる。

さらにまた、左，右一対の取付け部材でフェンダ前半
部を固定するので、該フェンダ前半部を車幅方向中心に
精度よく位置決めできる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図について説明する。

第１図ないし第４図は本発明の一実施例によるスクー
タ型自動二輪車の前フェンダ取付け構造を説明するため
の図である。図において、１はスクータ型自動二輪車
で、該自動二輪車１の車体フレームの前端部には前フォ
ーク３が枢支され、該フォーク３の上端には操向ハンド
ルが固着され、下端には前輪５が回転自在に軸支されて
いる。

上記前フォーク３は直管からなる支持軸部3aの下端部
に２叉状のフォーク部3bを固着してなり、この支持軸部
3aのフォーク部3bとの接続部の直上には支持ブラケット
15が固着されている。この支持ブラケット15は支持軸部
3aに固着された平板状の後支持部15aと、この後支持部1
5aの左，右両端に続いて正面から見て外方かつ上方に折
り曲げ形成された左，右の前支持部15b,15bとからな
る。そして上記後支持部15aの下面及び、左，右の前支
持部15bの内面にはナット15cが固着されている。

また、上記前輪５の上方には、これの上面を覆うよう
に、樹脂製の前フェンダ12が配設されている。この前フ
ェンダ12は前フォーク３、ひいては前輪５と共に回動さ
れる可動式のもので、フェンダ前半部13と、フェンダ後
半部14とからなる。上記フェンダ後半部14は前輪５の上
方後部を覆っており、上端に形成された取付座14aには
前フォーク挿入口14bが形成されており、この挿入口14b
に前フォーク３の支持軸部3aが挿通されるとともに、こ
の取付座14aが上記支持ブラケット15の後支持部15aに取
付けボルト16aで締付け固定されている。

また、上記フェンダ前半部13は前輪５の上方前部を覆
っており、その後端縁の上部左，右には上側取付部13a
が上記支持ブラケット15の前支持部15bに沿うように折
り曲げ形成されており、この上側取付部13aはこの前支
持部15bに取付けボルト16bによって固定されている。こ
の取付けボルト16bは前輪５の軸方向に対してそのボル
ト頭が少し前方に傾いており、操向ハンドルを回動させ
ない状態では、前方からはほとんどフェンダ前半部13の
後方に隠れており、また側面視ではレッグシールド11内
に隠れている。さらにまた上記取付ボルト16bは、操向
ハンドルを右，又は左に回動させると左，又は右側取付
ボルト16bが前方に露出する。

また、フェンダ前半部13の後端縁の下部左，右には下
側取付け部13bが一体形成されており、この下側取付け
部13bには上記フェンダ後半部14の前端縁の下部左，右
部分が取付けボルト16cで固定されており、この取付け
ボルト16cのボルト頭は前輪５の軸方向外方に向いてい
る。

そして、上記車体フレームの前フォーク支持部付近に
は、レッグシールド11が装着されている。このレッグシ
ールド11は乗員の脚部前方を覆う風防板の機能を果たす
とともに、上記前フォーク３の車体フレームへの取付部
付近を囲んで、これらが外方に露出しないようにして外
観の向上を図るためのものである。そしてこのレッグシ
ールド11の下半部には、上記前フェンダ12との干渉を避
けるための逃げ部11aが形成されており、このレッグシ
ールド11は全体として見ると門型になっている。この逃
げ部11aは操向ハンドルを左，右に一杯回動させた場合
にも前フェンダ12と干渉しない形状となっている。

次に本実施例の作用効果について説明する。

本実施例の前フェンダ取付構造では、第３図に示すよ
うに、フェンダ前半部13の上側取付け部13aは、操向角
がほぼ０°の場合、つまり前輪５が真っ直ぐ前方を向い
ている場合は、このフェンダ前半部13にほとんど隠れて
いる。これに対して、第４図に示すように、操向ハンド
ルを右方向に一杯に回動させた場合は、レッグシールド
11の逃げ部11aを通して前方からよく見ることができ
る。従って、本実施例構造において、前フェンダ12のフ
ェンダ前半部13を取り外す場合は、第４図に示すように
操向ハンドルを右方向に一杯に回動させ、この状態で前
方からドライバーを挿入して左の上側取付け部13aの取
付けボルト16bを取り外し、次に逆方向に操向ハンドル
を回動させ、この状態で右側の取付けボルト16bを取り
外し、最後に下側の取付けボルト16cを取り外せば、こ
れによりフェンダ前半部13を取り外すことができる。

このように、本実施例では、操向ハンドルを回動させ
た時、レッグシールド11の逃げ部11aから前方に臨む位
置に取付けボルト16bを配置したので、レッグシールド1
1を取り外すことなく前フェンダ12のフェンダ前半部13
を着脱でき、補修作業等の作業性を向上できる。

また、この場合、レッグシールド11に専用の工具挿入
口を設けるのではなく、レッグシールド11の逃げ部11a
を利用したので、デザイン上不要の開口を設ける必要も
なく、外観及び機能の悪化を防止できる。

なお、上記実施例では、フェンダ前半部13の上側取付
け部13aを支持するための前支持部15bが、前フォーク３
に固定された支持ブラケット15に形成されている場合に
ついて説明したが、この上側取付け部13aを支持するた
めの構造は、要は操向ハンドルを左，右に回動させた時
レッグシールド11の逃げ部11aから前方に臨む位置、つ
まり工具を挿入できる位置に取付けボルトを配置すれば
よい。また、この場合、取付け部材としてボルトナット
を用いたが、これはボルトナットに限定されるものでは
なく、例えば樹脂製リベットでもよい。また下側取付け
部を固定する方法にも各種の変形例が考えられ、例えば
上述の樹脂製リベットを採用したり、あるいは単に掛止
するようにしてもよい。

また、上記実施例では、スクータ型自動二輪車につい
て説明したが、本発明は、他の型式の自動二輪車、ある
いは前１輪，後２輪のスクータ型自動三輪車等、可動式
前フェンダ及びレッグシールドを備えた車両であればど
のようなものにも適用できる。

〔発明の効果〕

以上のように本発明に係る自動二，三輪車の前フェン
ダ取付け構造によれば、前フェンダを前後分割式とし、
フェンダ前半部の上側取付け部材を、操向ハンドルを
左，右に回動させたとき、レッグシールドの逃げ部から
前方に臨む位置に配置したので、レッグシールドを取り
外すことなく、フェンダ前半部を着脱でき、補修作業等
の作業性を向上できる効果があり、また、専用の工具挿
入口を設けることなくレッグシールドの逃げ部を利用し
たので、外観，機能の悪化を招くこともない。

また、上記取付部材は、直進走行状態では車両側面視
でレッグシールド内に隠れており、この点からも外観悪
化を回避できる。

さらにまた、左，右一対の取付け部材でフェンダ前半
部を固定するようにしたので、該フェンダ前半部を車幅
方向中心に精度よく位置決めでき、この点からも外観を
向上できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本発明の一実施例による前フェン
ダ取付け構造を説明するための図であり、第１図はその
前フェンダ取付け部の側面図、第２図はその断面平面
図、第３図及び第４図はその作用効果を説明するための
正面図である。 図において、１はスクータ型自動二輪車、３は前フォー
ク、５は前輪、11はレッグシールド、11aは逃げ部、12
は前フェンダ、13はフェンダ前半部、13aは上側取付け
部、13bは下側取付け部、14はフェンダ後半部、15bは前
支持部（支持ブラケット）、16b,16cは取付けボルト
（取付け部材）である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前輪の上方を覆うとともに、操向操作に応
   じて前フォークと共に回動する可動式前フェンダと、乗
   員の脚部前方を覆うとともに、操向操作時の上記前フェ
   ンダとの干渉を避けるための逃げ部が形成された門型の
   レッグシールドとを備えた自動二，三輪車の前フェンダ
   取付け構造において、上記前フェンダをフェンダ前半部
   とフェンダ後半部とに分割し、フェンダ後半部を前フォ
   ークに固定し、フェンダ前半部の後端縁上部に形成され
   た左，右の上側取付け部を前フォークに形成された支持
   ブラケットに取付け部材により着脱自在に固定し、上記
   フェンダ前半部の後端縁下部に形成された左，右の下側
   取付け部をフェンダ後半部の前縁部に、又は前フォーク
   に形成された支持ブラケットに着脱自在に固定し、上記
   上側取付け部の右，左の取付け部材は、操向ハンドルを
   直進方向に位置させた状態では側面視で上記レッグシー
   ルド内に隠れる位置に、かつ操向ハンドルをそれぞれ
   左，右方向に回動させた状態では前方に臨む位置に配置
   されていることを特徴とする自動二，三輪車のフェンダ
   取付け構造。