JPH0853795A - 加工性および耐食性に優れたクロム含有亜鉛系合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性および耐食性に優れたクロム含有亜鉛系合金めっき鋼板の製造方法

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JPH0853795A
JPH0853795A JP6289493A JP28949394A JPH0853795A JP H0853795 A JPH0853795 A JP H0853795A JP 6289493 A JP6289493 A JP 6289493A JP 28949394 A JP28949394 A JP 28949394A JP H0853795 A JPH0853795 A JP H0853795A
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plating bath
plating
corrosion resistance
plated steel
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JP6289493A
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English (en)
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Tetsuhiro Koike
哲弘 小池
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Satoshi Ando
聡 安藤
Masaki Abe
雅樹 阿部
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Zn2+およびCr3+を主成分とし、Cr共析促
進剤を含むめっき浴により、Cr5〜30wt%を含有
するクロム含有亜鉛系合金電気めっきを鋼板に施してめ
っき鋼板を製造するに際し、めっき浴として、さらにフ
ッ化物を遊離Fイオンとして0.2g/l以上20g/
l以下含有させた酸性めっき浴、またはホウフッ化物イ
オンを0.2g/l以上20g/l以下含有させた酸性
めっき浴を用いる。また、上記の他にCr+6が混入した
めっき浴により、上記クロム含有亜鉛系合金電気めっき
を鋼板に施してめっき鋼板を製造するに際し、めっき浴
として、さらにフッ化物を遊離FイオンとしてCr+6
- (モル比)≦0.2、かつF- ≦20g/lとなる
ように含有させた酸性めっき浴を用いる。 【効果】苛酷な加工条件下でも加工性に優れ、しかも良
好な耐食性を有するクロム含有亜鉛系合金めっき鋼板を
製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車をはじめ、家電
製品、建材用途などに使用される加工性および耐食性に
優れたクロム含有亜鉛系合金めっき鋼板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、製品の品質向上、長寿命化のため
に亜鉛めっき鋼板が汎用されている。特に寒冷地域での
苛酷な腐食環境に対して使用される亜鉛系めっき鋼板
に、より高い耐食性が求められ続けている。
【0003】一方、従来より亜鉛系めっき皮膜の腐食速
度を低下させ長寿命化をはかる方法として、多くの亜鉛
系合金めっきが提案されている。これらは、Fe,N
i,Coといった鉄族金属を合金成分として含有するも
のや、MnやCrを含有するものが主要なものである。
【0004】Zn−Cr系合金めっき鋼板は、例えば特
公昭61−36078号公報、特開昭61−27039
8号公報などに開示されている。しかし、これらはいず
れもめっき皮膜中のCr含有率が低いため、耐食性は十
分とは言えない。また、Cr含有率を高めるために、単
にめっき浴中のCr濃度の比率を高めても、めっき皮膜
中に共析するCrは金属と酸化物の混合状態となって酸
化物の共析が増してくるため、耐食性の向上は小さく、
また、めっき皮膜の加工性が急激に低下し、はなはだし
い場合には、電流効率も著しく低下して正常なめっき皮
膜とはならない。
【0005】このような問題点を解決し、実用的にCr
含有率を5〜40wt%と高めためっきを得る技術が、
特開昭63−243295号、特開平1−55398
号、特開平1−290797号の各公報に開示されてい
る。これらは、Znイオンおよび3価Crイオンを主成
分とする浴に、共析を促進する作用のあるポリオキシア
ルキレン誘導体などの有機添加剤やポリアミンスルホン
などのカチオンポリマー、グリシン、アンモニウム塩な
どのCrイオン錯化剤などを添加するものであり、この
ような製造方法を採用することにより、高いCr含有率
を有するZn−Cr系合金電気めっき鋼板を得ることが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のZn−Cr系合金電気めっき鋼板の特性を詳細に検討
した結果、苛酷な成形加工においては、めっき皮膜が粉
状になって剥離するパウダリングと呼ばれる現象が生じ
るため、加工性は十分には満足されないという問題点が
あることが判明した。
【0007】従来からのZn−Fe合金めっきなどでも
このような問題点があり、めっき密着性を向上させるた
めにめっき皮膜の下層をFe含有率の低いZn−Fe合
金めっきとする方法などが解決策として挙げられている
が(たとえば特公昭63−15359号公報)、これら
の方法をZn−Cr系合金電気めっき鋼板に適用しても
十分な加工性の改善が得られないばかりか、耐食性の低
下が認められる。
【0008】さらに、めっき中にCr3+イオンがアノー
ドで酸化されてCr6+イオンが生成し、これがめっき液
中に蓄積してめっきに悪影響を与え、加工性、めっき密
着性、耐食性が良好な正常なめっきが得られず、さらに
は電流効率が低下するなど障害があらわれ、工業規模で
の製造上問題を有している。
【0009】このような問題を解決するために、めっき
浴中のCr6+イオン濃度を低く制御し、Cr6+イオン/
Cr3+イオンの濃度比を0.1以下とすることが特開平
1−309998号公報に提案されているが、そのため
にはめっき浴中のCr6+イオンを金属Znで還元するな
どの還元プロセスが必要であり、さらにわずかでもCr
6+イオンが浴中に存在すると、それが存在する場合より
皮膜性能は劣化するため、Cr6+イオン/Cr3+イオン
の濃度比を0.1以下とするのみでは上記問題を完全に
回避することはできない。
【0010】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、苛酷な加工条件下でも加工性に優れ、しかも
良好な耐食性を有するクロム含有亜鉛系合金めっき鋼板
の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、上
記課題を解決するために、第1に、Zn2+およびCr3+
を主成分とし、Cr共析促進剤を含むめっき浴により、
Cr5〜30wt%を含有するクロム含有亜鉛系合金電
気めっきを鋼板に施してめっき鋼板を製造するに際し、
めっき浴として、さらにフッ化物を遊離Fイオンとして
0.2g/l以上20g/l以下含有させた酸性めっき
浴を用いることを特徴とする加工性および耐食性に優れ
たクロム含有亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供するも
のである。
【0012】第2に、Zn2+およびCr3+を主成分と
し、Cr共析促進剤を含むめっき浴により、Cr5〜3
0wt%を含有するクロム含有亜鉛系合金電気めっきを
鋼板に施してめっき鋼板を製造するに際し、めっき浴と
して、さらにホウフッ化物イオン(BF4 - )を0.2
g/l以上20g/l以下含有させた酸性めっき浴を用
いることを特徴とする加工性および耐食性に優れたクロ
ム含有亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供するものであ
る。
【0013】第3に、Zn2+およびCr3+を主成分と
し、Cr共析促進剤を含み、さらに、Cr+6が混入した
めっき浴により、Cr5〜30wt%を含有するクロム
含有亜鉛系合金電気めっきを鋼板に施してめっき鋼板を
製造するに際し、めっき浴として、さらにフッ化物を遊
離Fイオンとして Cr+6/F- (モル比)≦0.2、かつF- ≦20g/
l となるように含有させた酸性めっき浴を用いることを特
徴とする加工性および耐食性に優れたクロム含有亜鉛系
めっき鋼板の製造方法を提供するものである。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。C
rを高い割合で含有するZn−Cr系合金電気めっき
は、通常Zn2+およびCr3+を主成分とし、これに特定
の有機添加剤などのCr共析促進剤を含有する浴により
形成される。
【0015】Zn−Cr合金めっきは、腐食過程で溶出
した皮膜中のCrがめっき表面に安定な腐食生成物の皮
膜を作り、めっき皮膜の消耗を抑制するために高い耐食
性を示すものと考えられる。特に、Cr含有率5wt%
以上のものでは、従来のZn−鉄族系合金めっきなどと
比較して格段に優れた耐食性を示すが、Cr含有率が3
0wt%を超えるとめっき密着性が極端に劣化し実用で
きないため、実用的なCr含有率は5〜30wt%であ
る。しかし、従来は、Crが5〜30wt%の実用範囲
であっても、自動車、家電用途などで厳しい成形加工を
受けると、めっき皮膜がパウダリングを起こしやすく、
実用上問題となる場合があった。
【0016】本発明の第1の態様では、一般的なZn−
Cr合金系めっきのめっき浴に、さらに、フッ化物を遊
離Fイオンとして0.2〜20g/lの範囲で含有さ
せ、また第2の態様ではホウフッ化物イオンを0.2〜
20g/l以下の範囲で含有させて酸性めっき浴とし、
これにより電気めっきを行う。これにより、前述のパウ
ダリングが格段に改善され、めっき密着性および加工性
に優れたZn−Cr系合金めっき皮膜を得ることができ
る。
【0017】その理由を以下に説明する。Fイオンおよ
びホウフッ化物イオンを含有していない浴を用いて形成
されためっき皮膜は、その中にわずかではあるがCr酸
化物(水和酸化物も含む)が共析されており、このCr
酸化物がめっき皮膜を脆くすると共にこれが鋼板−めっ
き界面にも同様に存在して密着性を劣化させているもの
と考えられる。この酸化物の共析は、めっき時のカソー
ド界面でめっきの副反応による水素発生のためpHが上
昇し、Cr3+が水酸化物となってカソード界面に生成さ
れ、これがめっき皮膜中に巻き込まれるために生じるも
のと推定される。
【0018】これに対し、めっき浴中にFイオンを含有
させると、カソード界面でpHが上昇してもCrにFイ
オンが配位して強固なCr水酸化物が形成されるのを妨
げると共に、形成されるCr水酸化物にFイオンが作用
して、Cr水酸化物をめっき浴中へ再溶解しやすくなる
と考えられ、このためめっき皮膜中へのCr水酸化物の
巻き込みは格段に少なくなる。
【0019】また、めっき浴中にホウフッ化物イオンを
含有させると、カソード界面でホウフッ化物イオンが作
用して、Cr酸化物が生成され難くなるとともに、たと
え形成されてもホウフッ化イオンの作用によりめっき浴
中へ再溶解しやすくなると考えられ、やはりめっき皮膜
中へのCr水酸化物の巻き込みは格段に少なくなる。
【0020】いずれを含有させた場合にも、上記作用に
よりZn−Cr系合金めっきの本来有するめっき密着性
および皮膜物性が発揮され、優れた成形加工性を示すも
のと考えられる。
【0021】耐食性に関しても、上記態様のZn−Cr
系合金めっきは、従来の製造方法によるものよりも良好
である。これは、従来の方法では共析している酸化物が
腐食過程でめっき皮膜の均一な溶解を阻害し、不均一に
腐食が進行するため、局部的な皮膜の消耗は均一に腐食
する場合に比較して早いのに対し、本発明によるものは
酸化物の共析がほとんどなく、均一なめっき皮膜の溶解
が起こるためであると推定される。
【0022】一方、Crが5〜30wt%の実用範囲に
おいて、めっき浴中にCr6+イオンが混入してくると、
成形加工性が著しく低下し、さらに耐食性も劣化する現
象が、認められる。
【0023】本発明の第3の態様では、Cr+6が混入し
たZn−Cr合金系めっきのめっき浴に、さらに、フッ
化物を遊離FイオンとしてCr+6/F- (モル比)≦
0.2、かつF- ≦20g/lとなるように含有させて
酸性めっき浴とし、これにより電気めっきを行う。これ
により、Cr+6が混入していても、めっき密着性および
加工性に優れ、かつ耐食性に優れたZn−Cr系合金め
っき皮膜を得ることができる。
【0024】めっき浴中へのCr6+イオンの混入、蓄積
は、連続的にめっきを行っているとアノード表面でめっ
き浴の主成分であるCr3+イオンが酸化されてCr6+
オンが生成するために生じるものである。この現象は、
PbおよびIn,Ag,Snなどを微量含むPb系合金
不溶性アノードを使用した場合顕著であるが、Ptや酸
化イリジウムをコーティングした不溶性アノードでもC
6+イオンの生成が見られる場合がある。
【0025】Cr6+イオンがめっき浴中に蓄積した場
合、めっき時のカソード表面でCr6+イオンも還元され
てCr3+の水和酸化物を形成するため、これがめっき皮
膜中に巻き込まれて共析するものと推定される。この共
析したCr水和酸化物は、めっき皮膜を脆くすると共に
これが鋼板−めっき界面にも同様に存在してめっき密着
性、成形加工性を劣化させる。
【0026】さらに、耐食性に関しても、共析している
酸化物が腐食過程でめっき皮膜の均一な溶解を阻害し、
不均一に腐食が進行するため、局部的な皮膜の消耗は均
一に腐食する場合に比較して速い。
【0027】このような点について検討した結果、めっ
き浴中に遊離Fイオンを含有させることにより、Cr6+
イオンが蓄積してもめっき皮膜中へのCr水和酸化物の
共析を抑制できることが見出された。
【0028】このような現象は詳細には解明されていな
いが、めっき浴中にFイオンを含有させると、カソード
表面でCr6+イオンが還元されてCr3+の水和酸化物を
形成しても、これにFイオンが作用(共析)してこれを
めっき浴中に溶解させると考えられ、このため実質的に
Cr6+イオンを含有していてもカソード表面で強固なC
r水和酸化物の形成が起こらず、めっき皮膜中へのCr
水酸化物の巻き込みは格段に少なくなるものと推定され
る。
【0029】このような作用により、Zn−Cr系合金
めっきの本来有するめっき密着性および皮膜特性が発揮
され、優れた成形加工性、耐食性を示すものと考えられ
る。本発明のいずれの態様においても、めっき浴に含有
されるCr共析促進剤としては、ポリオキシアルキレン
誘導体などの有機添加剤やポリアミンスルホンなどのカ
チオンポリマー、グリシン、アンモニウム塩などのCr
イオン錯化剤および酢酸ナトリウムなどのpH緩衝作用
を有するカルボン酸塩類が挙げられる。
【0030】本発明の第1の態様および第2の態様にお
けるめっき浴中の遊離Fイオンおよびホウフッ化イオン
の濃度はいずれも0.2〜20g/lの範囲に規定す
る。その濃度が0.2g/l未満では加工性、耐食性の
向上に効果がなく、20g/lを超えて添加しても性能
向上の効果が飽和するばかりか、電流効率の低下など悪
影響がではじめるためである。
【0031】この場合に、添加するフッ化物としては、
めっきに無関係なカチオンの塩であるNaF,NH4
F,NH4 FHFなどが好適である。また、ホウフッ化
物イオンを形成させるためのホウフッ化物についても、
同様にNa塩、NH4 塩などが好適である。
【0032】本発明の第3の態様におけるめっき浴中の
遊離Fイオン濃度は、めっき浴中のCr6+イオンとの関
係でCr6+/F- (モル比)≦0.2となるような値に
規定する。これよりも少ない場合は、加工性、耐食性の
向上に効果がない。また、極度に大量に添加しても効果
が飽和するばかりか、電流効率の低下などの悪影響が現
われはじめるため、F- ≦20g/lの範囲に規定す
る。
【0033】この態様においても、添加するフッ化物と
しては、NaF,NH4 F,NH4FHFなどが好適で
ある。上記いずれの態様においても、めっき浴中には、
電導補助剤として硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムな
どが皮膜に影響をおよぼさない程度であれば添加されて
いてもよい。また、めっき浴のpHは、1〜3が適当で
ある。めっき浴のpHが1未満であると電流効率が低下
し、pHが3を超えるとCr3+が安定に存在できなくな
る。
【0034】めっき皮膜の下地鋼板は特に限定されるも
のではなく、この分野で通常用いられている耐食鋼板、
軟鋼板、高張力鋼板などのいずれでも適用可能である。
なお、本発明では、Zn−Crめっき浴中に第三成分と
して、Ni,Fe,Co,Mn,Sn,Moなどの1種
ないし2種以上を添加し、めっき皮膜中にこれらの元素
を共析させてもよく、この場合でも本発明の効果はなん
ら損なわれることはない。
【0035】
【実施例】
(実施例1)厚さ0.8mmの冷延鋼板にアルカリ脱
脂、硫酸による酸洗を施した後、めっき液の相対流速
2.0m/s、電気密度60〜120A/dm2 、めっ
き浴温50℃、めっき浴pH1.5〜1.8の条件下で
フッ化物を添加しためっき浴により、20g/m2 のZ
n−Cr合金めっきを形成した。用いためっき浴の組成
および得られためっき皮膜の組成を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】なお、表1のCr共析促進剤の欄中、PE
Gはポリエチレングリコールを示し、ここでは平均分子
量3000〜6000のものを使用した。また、PAS
はポリアミンスルホンを示し、これは以下の化学式に示
す構造の化合物の総称である。
【0038】
【化1】 ここでは、PASとして、R1 ,R2 がC1 、分子量が
3000〜5000のものを使用した。
【0039】このようにして製造しためっき鋼板につい
て、OT曲げ試験および円筒絞り試験によりめっき密着
性、加工性を評価し、また、複合サイクル腐食試験によ
り無塗装および塗装後の耐食性を評価した。
【0040】それぞれの試験方法は、以下に示すとおり
である。 (1) OT曲げ試験:JISZ−2248により、めっき
面を外側に密着曲げ試験をおこない、曲げ部をセロテー
プ剥離して、めっき皮膜の剥離状況を調べた。評価は、
評価点5:良好(剥離なし)〜評価点1:不良(明らか
な剥離)の間で行った。
【0041】(2) 円筒絞り試験:めっき面を外側に円筒
プレス成形をおこない、壁面をテープ剥離してテープへ
の付着度によりめっき皮膜の加工性を評価した。なお、
円筒プレスは、直径85mmのブランクで、直径50m
mのポンチおよび直径53mmのダイスによりおこなっ
た。評価は、評価点5:良好〜1:不良の間で行い、3
点以下は性能が不十分とした。
【0042】(3) 耐食性試験:無塗装材および浸漬型り
ん酸塩処理後カチオン電着塗装25μmを施しクロスカ
ットを入れた塗装材について、次の複合サイクル腐食試
験をおこない、無塗装および塗装後の耐食性を評価し
た。
【0043】複合サイクル腐食試験 塩水噴霧2時間(JISZ−2371)→乾燥4時間
(60℃)→湿潤2時間(50℃,90%RH)を1サ
イクルとする。
【0044】a)無塗装耐食性評価 50サイクル後の赤
錆発生面積を評価 評価点5:良好(赤錆5%以下)〜
1:不良(赤錆30%以上) b)塗装後耐食性評価 90サイクル後のクロスカットか
らの塗膜ふくれ巾で評価 評価点5:良好(2mm以
下)〜1:不良(8mm以上) 評価結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2に示すように、遊離Fイオン濃度が本
発明の範囲である実施例1〜12は、OT曲げ試験、円
筒絞り試験、無塗装耐食性および塗装後の耐食性のいず
れも評価点が4ないし5であり、めっき密着性、加工
性、および耐食性に優れていることが確認された。これ
に対して、遊離Fイオン濃度が本発明の範囲から外れる
比較例13〜17はこれらの特性が実施例に比較して劣
っていた。
【0047】次に、遊離Fイオンが本発明の範囲内で含
有された浴により形成されたZn−Cr合金めっき皮
膜、および従来の方法で形成されたZn−Cr合金めっ
き皮膜について、その中のクロムの状態を同一条件のX
線光電子分光分析により調べた。その際のチャートを図
1に示す。なお、図1中(a)は従来の製造方法による
Zn−Cr合金めっき皮膜であり、(b)は遊離Fイオ
ンが本発明の範囲内で含有された浴により形成されたZ
n−Cr合金めっき皮膜である。また、ピークAは金属
状態のCrのピークであり、ピークBは酸素と結合した
Crのピークである。
【0048】図1から、従来の方法で形成されたZn−
Cr合金めっき皮膜はその中にCr酸化物が認められる
のに対し、本発明の方法で形成されたZn−Cr合金め
っき皮膜はCr酸化物が実質的に形成されないことが確
認された。
【0049】(実施例2)厚さ0.8mmの冷延鋼板に
アルカリ脱脂、硫酸による酸洗を施した後、めっき液の
相対流速2.0m/s、電気密度60〜120A/dm
2 、めっき浴温50℃、めっき浴pH1.5〜1.8の
条件下でホウフッ化物を添加しためっき浴により、20
g/m2 のZn−Cr合金めっきを形成した。用いため
っき浴の組成および得られためっき皮膜の組成を表3に
示す。
【0050】
【表3】
【0051】なお、PEGおよびPASとして実施例1
と同様のものを用いた。このようにして製造しためっき
鋼板について、OT曲げ試験および円筒絞り試験により
めっき密着性、加工性を評価し、また、複合サイクル腐
食試験により無塗装および塗装後の耐食性を評価した。
試験方法および評価方法は実施例1と同様である。評価
結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】表4に示すように、ホウフッ化物イオン濃
度が本発明の範囲である実施例21〜32は、OT曲げ
試験、円筒絞り試験、無塗装耐食性および塗装後の耐食
性のいずれも評価点が4ないし5であり、めっき密着
性、加工性、および耐食性に優れていることが確認され
た。これに対して、ホウフッ化物イオン濃度が本発明の
範囲から外れる比較例33〜37はこれらの特性が実施
例に比較して劣っていた。
【0054】次に、ホウフッ化イオンが本発明の範囲内
で含有された浴により形成されたZn−Cr合金めっき
皮膜、および従来の方法で形成されたZn−Cr合金め
っき皮膜について、実施例1と同様、その中のクロムの
状態を同一条件のX線光電子分光分析により調べた。そ
の結果、実施例1と同様の結果が得られた。
【0055】(実施例3)厚さ0.8mmの冷延鋼板に
アルカリ脱脂、硫酸による酸洗を施した後、めっき液の
相対流速2.0m/s、電気密度60〜120A/dm
2 、めっき浴温50℃、めっき浴pH1.5〜1.8の
条件下でCr6+イオン濃度を変化させためっき浴を用
い、これにフッ化物を添加して、20g/m2 のZn−
Cr合金めっきを形成した。用いためっき浴の組成およ
び得られためっき皮膜の組成を表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】なお、表5のCr共析促進剤の欄中、PE
GおよびPASは実施例1,2と同様のものを用いた。
また、エポキシポリマ−は以下の化学式で示す構造の水
溶性ポリマーであり、ここでは、n=22のものを使用
した。
【0058】
【化2】
【0059】さらに、PHSAはポリヒドロキシスチレ
ンアミンであり、以下の化学式で示されるものであり、
ここでは平均分子量4000〜10000のものを使用
した。
【0060】
【化3】
【0061】このようにして製造しためっき鋼板につい
て、OT曲げ試験および円筒絞り試験によりめっき密着
性、加工性を評価し、また、複合サイクル腐食試験によ
り無塗装および塗装後の耐食性を評価した。試験方法お
よび評価方法は実施例1、2と同様である。評価結果を
表6に示す。
【0062】
【表6】
【0063】表6に示すように、遊離Fイオン濃度がC
6+/F- (モル比)≦0.2、かつF- ≦20g/l
を満たす実施例41〜60は、OT曲げ試験、円筒絞り
試験、無塗装耐食性および塗装後の耐食性のいずれも評
価点が4ないし5であり、めっき密着性、加工性、およ
び耐食性に優れていることが確認された。これに対し
て、遊離Fイオン濃度が上記範囲から外れる比較例61
〜65はこれらの特性が実施例に比較して劣っていた。
【0064】次に、Cr6+イオンを含み、さらに遊離F
イオンが上記範囲内で含有された浴により形成されたZ
n−Cr合金めっき皮膜(実施例41)、および遊離F
イオンが上記範囲よりも少ない浴で形成されたZn−C
r合金めっき皮膜について、その中のクロムの状態を同
一条件のX線光電子分光分析により調べた。その際のチ
ャートを図2に示す。なお、図2中(a)は比較例の製
造方法によるZn−Cr合金めっき皮膜であり、(b)
は遊離Fイオンが上記範囲内で含有された浴により形成
されたZn−Cr合金めっき皮膜である。また、ピーク
Aは金属状態のCrのピークであり、ピークBは酸素と
結合したCr(酸化物、含水酸化物)のピークである。
【0065】図2から、比較例の方法で形成されたZn
−Cr合金めっき皮膜はその中にCr酸化物が認められ
るのに対し、遊離Fイオンが上記範囲内で含有された浴
を用いた実施例の方法で形成されたZn−Cr合金めっ
き皮膜は浴中にCr6+が存在しているのにもかかわら
ず、Cr酸化物が実質的に形成されないことが確認され
た。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
苛酷な加工条件下でも加工性に優れ、しかも良好な耐食
性を有するクロム含有亜鉛系合金めっき鋼板を製造する
ことができる。この発明によって製造されたクロム含有
亜鉛系合金めっき鋼板は、自動車をはじめ家電、建材用
途に優れた性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1態様の方法により形成されたZn
−Cr合金めっき皮膜、および従来の方法により形成さ
れたZn−Cr合金めっき皮膜におけるCrの存在状態
を示すX線光電子分光分析チャート。
【図2】本発明の第3態様の方法により形成されたZn
−Cr合金めっき皮膜、および比較例の方法により形成
されたZn−Cr合金めっき皮膜におけるCrの存在状
態を示すX線光電子分光分析チャート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 雅樹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn2+およびCr3+を主成分とし、Cr
    共析促進剤を含むめっき浴により、Cr5〜30wt%
    を含有するクロム含有亜鉛系合金電気めっきを鋼板に施
    してめっき鋼板を製造するに際し、めっき浴として、さ
    らにフッ化物を遊離Fイオンとして0.2g/l以上2
    0g/l以下含有させた酸性めっき浴を用いることを特
    徴とする加工性および耐食性に優れたクロム含有亜鉛系
    めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Zn2+およびCr3+を主成分とし、Cr
    共析促進剤を含むめっき浴により、Cr5〜30wt%
    を含有するクロム含有亜鉛系合金電気めっきを鋼板に施
    してめっき鋼板を製造するに際し、めっき浴として、さ
    らにホウフッ化物イオンを0.2g/l以上20g/l
    以下含有させた酸性めっき浴を用いることを特徴とする
    加工性および耐食性に優れたクロム含有亜鉛系めっき鋼
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 Zn2+およびCr3+を主成分とし、Cr
    共析促進剤を含み、さらに、Cr+6が混入しためっき浴
    により、Cr5〜30wt%を含有するクロム含有亜鉛
    系合金電気めっきを鋼板に施してめっき鋼板を製造する
    に際し、めっき浴として、さらにフッ化物を遊離Fイオ
    ンとして Cr+6/F- (モル比)≦0.2、かつF- ≦20g/
    l となるように含有させた酸性めっき浴を用いることを特
    徴とする加工性および耐食性に優れたクロム含有亜鉛系
    めっき鋼板の製造方法。
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