JPH0853664A - 熱伝導材料及びその製造方法、電子部品の冷却方法、回路基板の冷却方法、並びに電子部品の実装方法 - Google Patents

熱伝導材料及びその製造方法、電子部品の冷却方法、回路基板の冷却方法、並びに電子部品の実装方法

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JPH0853664A
JPH0853664A JP6188607A JP18860794A JPH0853664A JP H0853664 A JPH0853664 A JP H0853664A JP 6188607 A JP6188607 A JP 6188607A JP 18860794 A JP18860794 A JP 18860794A JP H0853664 A JPH0853664 A JP H0853664A
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heat conductive
cooling
circuit board
alloy
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正人 若村
Mitsutaka Yamada
光隆 山田
Jo Yamaguchi
城 山口
Kaoru Hashimoto
薫 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱伝導効率が高く、長期間にわたって安定し
た熱伝導率を維持し、常温において密着できる熱伝導材
料及び製造方法を提供する。また、電子部品又は回路基
板を高効率で冷却できる電子部品の冷却方法、並びに回
路基板の冷却方法を提供する。さらに、電子部品の発熱
等により発生する応力を十分に緩和し、長期間にわたっ
て高い導電率を維持できる電子部品の実装方法を提供す
る。 【構成】 電気回路を構成する電子部品32又は、複数
の電子部品32を実装する回路基板10を冷却する冷却
方法において、電子部品32又は回路基板10を、常温
において液体状の金属又は合金と、常温において液体状
の有機材料とを含有する熱伝導材料38を介して電子部
品32又は回路基板10を冷却するための冷却装置36
と接続し、冷却装置36を冷却することにより電子部品
32又は回路基板10を冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱伝導性能に優れた熱
伝導材料及びその製造方法、LSI、チップコンデン
サ、チップ抵抗等の電子部品の冷却方法、電子部品を搭
載した回路基板の冷却方法、並びに、回路基板への電子
部品の実装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、LSIチップなどの高集積化・高
速化にともなって、LSIチップからの発熱量が増大
し、電子部品を積極的に冷却する必要性が高くなってい
る。そこで、現状では、素子や基板に水冷ベローズ又は
放熱フィンを設けて冷却したり、回路基板に冷却用流路
を設ける等して、素子や基板の温度をできるだけ低下さ
せようとする対策が施されている。
【0003】水冷ベローズを用いた従来の電子部品の冷
却方法を、図10を用いて説明する。従来の電子部品の
冷却方法では、回路基板10に搭載されたLSIチップ
12の上部に、弾性伝熱シート14(図10(a))、
あるいはシリコンゴム系材料により形成されたのサーマ
ルコンパウンド16(図10(b))を介在させ、冷却
水による冷却機能をもつ水冷ベローズ18が密着あるい
は接着されている。このように、水冷ベローズ18とL
SIチップ12との間に伝熱性に優れた材料を挿入する
ことにより、放熱・冷却効率を高めていた。
【0004】また、図11は、LSIチップ12等の多
数の電子部品を搭載した回路基板10の冷却方法を示す
図である。回路基板10の表面には複数のLSIチップ
12が搭載され、裏面にはLSIチップにより発生した
熱を逃がすための放熱フィン20が、接着層22により
回路基板10に固定されている。この場合にも、図10
に示した従来例と同様に、接着層22には高熱伝導性材
料の粉末を分散させた接着剤等を用いて冷却効率を高め
ていた。
【0005】これら従来の冷却方法に用いられている弾
性伝熱シート14、サーマルコンパウンド16、高熱伝
導材料の粉末を分散させた接着剤は、有機樹脂を基材と
するものである。これは、次の理由による。即ち、LS
Iチップ12及び水冷ベローズ18の接する面に凹凸が
存在すると冷却効率が劣化するため、弾性に富み両部材
間の凹凸の影響を低減し、密着性を十分に高められる材
料が望まれる。同時に、これらを分離したときには熱伝
導材料は元の形状に戻ることが望ましいので、金属やセ
ラミック等の材料は適しておらず、ゴムのような性質を
有する有機樹脂材料が好適であるからである。
【0006】また、サーマルコンパウンド16や高熱伝
導材料の粉末を分散させた接着剤の例では、接着のため
の加熱・冷却工程において、あるいは電子機器の使用時
における温度上昇の際に、被接着部材間の熱膨張差に起
因する応力を緩和できることが望まれる。このため、低
温で接着でき、接着後も自身の柔軟性により応力を緩和
できる有機樹脂材料が好ましいからである。
【0007】有機樹脂以外の熱伝導材料として、例え
ば、特開昭56−28264号公報記載の熱伝導材料
は、液状のシリコーンキャリアにAlN等の高熱伝導性
材料微粉末を混合し、熱伝導効率を高めるものである。
また、特開平5−74503号公報記載の熱伝導材料
は、常温で液体状の液体金属を用いることにより高い熱
伝導性能を得るものである。
【0008】ところで、このように冷却装置の冷却効率
を高める一方、従来のはんだ付けに代わる電子部品の実
装方法が提案されている。これは、はんだ付けによる電
子部品の実装では、電子部品と回路基板との熱膨張係数
差があった場合に、はんだ付けの際の熱や動作時の電子
部品の発熱により、接合部に応力が発生し、最悪の場合
には接合部が破断する恐れがあるためである。
【0009】従来のはんだ付けに代わる電子部品の実装
方法としては、例えば、特開平5−190219号公報
記載の方法がある。この方法は、電子部品と回路基板と
の接点に、液体金属を用いたものである。この方法によ
れば、電子部品と回路基板との間に熱膨張係数差が存在
して接合部に応力が発生した場合にも、接続部の液体金
属が十分に応力を緩和するので、接合部での破断等の発
生を抑制することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
電子装置の小型化、高性能化により、電子部品が更に高
密度に実装され、回路基板あたりの発熱量が大幅に増加
している。このため、上記従来の有機樹脂材料からなる
接着剤を用いた電子部品の冷却方法及び回路基板の冷却
方法では熱伝導効率が十分ではなく、より冷却効率を上
げなければならないといった問題があった。
【0011】また、熱伝導効率を改善するためにAlN
等の高熱伝導性材料の微粉末を液体状の有機材料中に混
合する熱伝導材料の製造方法では、微粉末が凝集し易い
ために、均一に分散させるのが難しく、そのために混合
物内部に粉末の塊ができたり、塊と塊との間に気泡が発
生するといった問題があった。また、熱伝導材料として
液体金属を用いる方法では、冷却装置と被接着部材間に
発生する応力を緩和することができるが、液体金属は酸
化、水酸化や腐食などを生じ易く、長期間にわたって安
定して使用することは困難であるといった問題があっ
た。また、腐食した液体金属は熱伝導率が低下するた
め、冷却装置の冷却効率を悪化するといった問題があっ
た。
【0012】また、液体金属を用いた電子部品の実装方
法では、液体金属は酸化、水酸化や腐食などを生じ易
く、長期間にわたって安定して使用することは困難であ
るといった問題があった。また、腐食した液体金属は、
その電気抵抗が大幅に上昇するため、接続部の接触抵抗
が増加する問題があった。本発明の第1の目的は、熱伝
導効率が高く、長期間にわたって安定した熱伝導率を維
持し、常温において密着できる熱伝導材料及びその製造
方法を提供することにある。
【0013】また、本発明の第2の目的は、上記の熱伝
導材料を用い、電子部品及び回路基板を高効率で冷却で
きる電子部品の冷却方法並びに回路基板の冷却方法を提
供することにある。さらに、本発明の第3の目的は、電
子部品と回路基板との熱膨張係数差があった場合にも、
電子部品の発熱等により発生する応力を十分に緩和し、
長期間にわたって高い導電率を維持できる電子部品の実
装方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、常温
において液体状の有機材料と、前記有機材料中に分散さ
れた、常温において液体状の金属又は合金とを含有する
ことを特徴とする熱伝導材料により達成される。また、
上記の熱伝導材料において、前記有機材料と、前記液体
状の金属又は合金との体積比がほぼ等しいことを特徴と
する熱伝導材料により達成される。
【0015】また、常温において液体状の有機材料と、
前記有機材料中に分散された、高熱伝導性材料の微粉末
とを含有することを特徴とする熱伝導材料により達成さ
れる。また、上記の熱伝導材料において、前記有機材料
と、前記高熱伝導性材料の微粉末との体積比がほぼ等し
いことを特徴とする熱伝導材料により達成される。
【0016】また、上記の熱伝導材料において、前記有
機材料は、シリコーンオイル、ポリフェニルエーテル、
又はパーフルオロアルキルポリエーテルであることを特
徴とする熱伝導材料により達成される。また、上記の熱
伝導材料において、前記金属又は合金は、ガリウム、ガ
リウム−インジウム系合金、又はガリウム−錫系合金で
あることを特徴とする熱伝導材料により達成される。
【0017】また、上記の熱伝導材料において、前記高
熱伝導性材料は、金属又は合金の微粉末であることを特
徴とする熱伝導材料により達成される。また、上記の熱
伝導材料において、前記金属または合金は、アルミニウ
ム、銀、銅、アルミ系合金、銀系合金、又は銅系合金で
あることを特徴とする熱伝導材料により達成される。
【0018】また、上記の熱伝導材料において、前記高
熱伝導性材料は、窒化アルミニウム又は立方晶窒化ボロ
ンであることを特徴とする熱伝導材料により達成され
る。また、常温において液体状の金属又は合金と、常温
において液体状の有機材料とを混合する混合工程と、前
記有機材料中に、前記液体状の金属又は合金を分散する
分散工程とを有することを特徴とする熱伝導材料の製造
方法により達成される。
【0019】また、高熱伝導性材料の微粉末と、常温に
おいて液体状の有機材料とを混合する混合工程と、前記
有機材料中に、前記高熱伝導性材料の微粉末を分散する
分散工程とを有することを特徴とする熱伝導材料の製造
方法により達成される。上記第2の目的は、電子回路を
構成する電子部品を冷却する冷却方法であって、前記電
子部品を、上記の熱伝導材料を介して前記電子部品を冷
却するための冷却装置と接触し、前記冷却装置を冷却す
ることにより前記電子部品を冷却することを特徴とする
電子部品の冷却方法により達成される。
【0020】また、電子部品を実装する回路基板を冷却
する冷却方法であって、前記回路基板を、上記の熱伝導
材料を介して前記回路基板を冷却するための冷却装置と
接触し、前記冷却装置を冷却することにより前記回路基
板を冷却することを特徴とする回路基板の冷却方法によ
り達成される。上記第3の目的は、電子部品を実装する
ための回路基板の表面に形成された前記電子部品を搭載
するためのパッドと、前記電子部品に設けられた接続端
子とを、上記の熱伝導材料を介して電気的に接続するこ
とを特徴とする電子部品の実装方法により達成される。
【0021】
【作用】本発明によれば、従来の有機樹脂材料よりも熱
伝導効率に優れた液体金属を、液体状の有機材料中に混
合したので、熱伝導率に優れた熱伝導材料を形成するこ
とができる。また、混合した液体金属は液体状の有機材
料に囲まれ、外の環境から遮断されているので、耐酸
化、耐水酸化性に優れ、長期間にわたり高熱伝導性能を
維持できる熱伝導材料を形成することができる。
【0022】さらに、液体状の有機材料中に液体金属を
均一に分散し、ある程度の粘着性を有するエマルジョン
状の熱伝導材料を形成したので、常温にて接着できると
共に、熱伝導材料を被冷却物と冷却装置の間に介在させ
たときにも漏れでることを少なくできる。また、従来の
有機樹脂材料よりも熱伝導率に優れた高熱伝導性微粉末
を、液体状の有機材料中に混合したので、熱伝導率に優
れた熱伝導材料を形成することができる。
【0023】また、液体状の有機材料中に高熱伝導性微
粉末が凝集しないように均一に分散し、ある程度の粘着
性を有するエマルジョン状の熱伝導材料を形成したの
で、常温にて接着できると共に、熱伝導材料を被冷却物
と冷却装置の間に介在させたときにも漏れでることを少
なくできる。また、従来の有機樹脂材料よりも熱伝導率
に優れた金属微粉末を、液体状の有機材料中に混合した
ので、熱伝導率に優れた熱伝導材料を形成することがで
きる。
【0024】また、金属微粉末は液体状の有機材料に囲
まれ、外の環境から遮断されているので、耐酸化、耐水
酸化性に優れ、長期間にわたり高熱伝導性能を維持でき
る熱伝導材料を形成することができる。さらに、液体状
の有機材料中に金属微粉末を均一に分散し、ある程度の
粘着性を有するエマルジョン状の熱伝導材料を形成した
ので、常温にて接着できると共に、熱伝導材料を被冷却
物と冷却装置の間に介在させたときにも漏れでることを
少なくできる。
【0025】また、熱伝導材料の有する柔軟性により、
被冷却物と冷却装置の間に凹凸があった場合にも、その
隙間を埋めることができるので、効率よく熱を伝えるこ
とができる。また、上記の熱伝導性能に優れた熱伝導材
料を用い、電子部品又は回路基板と冷却装置を接着する
ことにより、冷却装置の冷却効率を改善することができ
る。
【0026】さらに、本発明によれば、電子部品を回路
基板に電気的に接続する際に、高い導電率を有するエマ
ルジョン状の接続材料を用いて接続したので、電子部品
の温度が上昇した際に、電子部品と回路基板との間に熱
膨張係数差が存在しても、接続材料が接合部での応力を
吸収することができる。また、接続材料は、ある程度の
粘着性を有しており、電子部品と回路基板との間に介在
させた際にも漏れ出ることを少なくすることができる。
即ち、接合部での信頼性を向上した電子部品の実装を実
現することができる。
【0027】また、回路基板と電子部品とを接続する接
続材料は、液体金属と液体状の有機材料から構成され
た、流動性をもつ複合材料であることから、接続部の接
触面積を大きくすることができるので、たとえ接続部が
微細であっても電気的に安定して実装することができ
る。また、液体金属は液体状の有機材料に囲まれている
ために外の環境からは遮断されているので、耐酸化、耐
水酸化性に優れ、長期間使用できる低抵抗な接続材料と
して用いることができる。
【0028】また、電子部品と回路基板とを接続する接
続材料はエマルジョン状であるので、接続する際には加
熱あるいは冷却操作を加えることなく常温で行うことが
できる。
【0029】
【実施例】本発明の第1の実施例による熱伝導材料及び
その製造方法、電子部品の冷却方法、及び回路基板の冷
却方法を、図1乃至図5を用いて説明する。図1は本実
施例による熱伝導材料の製造方法を示す図、図2は熱伝
導材料を製造するために用いたホモジェナイザーのカッ
ター部の概略図、図3は本実施例による熱伝導材料の冷
却能力を測定するために用いた測定装置の概略図、図4
はモデルチップの表面温度増加量とヒーターの発熱量と
の関係を示すグラフ、図5は湿潤環境下に放置した際の
熱伝導材料の熱抵抗の時間変化を示すグラフである。
【0030】はじめに、本実施例による熱伝導材料の製
造方法を、図1及び図2を用いて説明する。本実施例に
よる熱伝導材料は、熱伝導性に優れ、常温において液体
である液体金属又は液体合金を、液体状の有機材料中に
分散させて形成していることに特徴がある。なお、本実
施例では、液体金属としてガリウム(Ga)−インジウ
ム(In)共晶合金を、液体状の有機材料としてはシリ
コーンオイルを用いた。
【0031】まず、75.5wt%のGa及び、24.
5wt%のInとの組成からなる液体状のGa−In共
晶合金24を、シリコーンオイル26と混合する(図1
(a))。次いで、試料を細かく裁断、混合するための
ホモジェナイザー28により、Ga−In共晶合金24
とシリコンオイル26を十分に攪拌する(図1
(b))。
【0032】ホモジェナイザー28のカッター部は、図
2に示すように、円筒形をなす外側のカッター28a
と、外側のカッター28aの内側に挿入された内側のカ
ッター28bにより構成される。試料を攪拌する際に
は、内側のカッター28bが高速回転することにより、
試料が中央部の穴に吸引されて細かく裁断され、垂直下
に噴射される。
【0033】ホモジェナイザー28を用いた攪拌によ
り、Ga−In共晶合金24は約1μm以下の球形微粒
子となり、シリコーンオイル26中に分散する。このよ
うにしてホモジェナイザー28により形成した熱伝導材
料はエマルジョン状になることから、ある程度の粘着性
を有し、被冷却物と冷却装置の間に介在させたときには
漏れでることが少なくなる。
【0034】なお、シリコーンオイル26中に混合する
Ga−In共晶合金24は、量が少ないと熱伝導性が劣
化したりシリコーンオイル26とGa−In共晶合金2
4が分離し易くなり、多すぎると粘土状になるので、エ
マルジョン状の熱伝導材料を得るには両者の体積比がほ
ぼ等しいことが望ましい。このようにして形成した熱伝
導材料の熱伝導性能を、図3に示す測定装置により評価
した。
【0035】電子部品を接続するためのメタライズ層3
0が形成されたアルミナ製の回路基板10上に、抵抗ヒ
ーターを内蔵したシリコン製のモデルチップ32をはん
だ付けにより接合した。次いで、内部に冷却用流路34
が設けられた冷却装置36を、上記の熱伝導材料38を
用いて回路基板10の裏面に接触させた。この状態で、
冷却装置36の冷却用流路34に冷却水を流しながら、
モデルチップ32に内蔵されたヒーター(図示せず)に
電流を流して加熱し、モデルチップ32の表面温度の増
加量を測定した。また、この状態で60℃、85%RH
の湿潤環境下に放置し、熱伝導材料38の熱抵抗の時間
変化を測定した。
【0036】図4は、モデルチップ32の表面温度増加
量と、ヒーターの発熱量との関係を示したものである。
図中の比較例は、熱伝導材料38に、市販されているサ
ーマルコンパウンド16を用いた場合である。図4に示
したように、本実施例により製造した熱伝導材料38を
用いて冷却装置36を回路基板10に接触することによ
り、サーマルコンパウンド16を用いた場合と比較し
て、同一発熱量における素子温度の増加量を小さくする
ことができた。即ち、エマルジョン状、且つ熱伝導率が
高い熱伝導材料38を用いることにより、熱伝導効率が
向上し、冷却効率を改善することができた。
【0037】図5は、湿潤環境下に放置した際の熱抵抗
の時間変化を示したものである。本実施例による熱伝導
材料38は、湿潤環境下に1000時間放置しても熱抵
抗は変化することがなかった。即ち、湿潤環境下におい
てもGa−In共晶合金24の酸化や水酸化が発生して
いないために、放熱効率を維持することができた。この
ように、本実施例によれば、従来の有機樹脂材料よりも
熱伝導性に優れた液体金属であるGa−In共晶合金2
4を、液体状の有機材料であるシリコーンオイル26中
に混合したので、熱伝導性に優れた熱伝導材料38を形
成することができる。
【0038】また、混合したGa−In共晶合金24は
シリコーンオイル26に囲まれ、外の環境から遮断され
ているので、耐酸化、耐水酸化性に優れ、長期間にわた
り高熱伝導性能を維持できる熱伝導材料38を形成する
ことができる。さらに、Ga−In共晶合金24をシリ
コーンオイル中に混合する際に、ホモジェナイザーを用
いて攪拌することにより、形成された熱伝導材料はエマ
ルジョン状になり、ある程度の粘着性を有するので、常
温にて接着できると共に、熱伝導材料を被冷却物と冷却
装置の間に介在させたときにも漏れでることを少なくで
きる。
【0039】また、熱伝導材料の有する柔軟性により、
被冷却物と冷却装置の間に凹凸があった場合にも、その
隙間を埋めることができるので、効率よく熱を伝えるこ
とができる。なお、本実施例では、液体金属としてGa
−In共晶合金を用いたが、他の液体金属を用いてもよ
い。例えば、金属GaやGa−Sn系の合金を用いても
同様の効果を得ることができる。また、液体状の有機材
料としてシリコーンオイル26を用いたが、ポリフェニ
ルエーテルやパーフルオロアルキルポリエーテルを用い
てもよい。
【0040】ところで、液体金属としてGa(92wt
%)とSn(8wt%)の組成からなる共晶合金を用
い、有機液体とを混合してホモジェナイザーにより攪拌
した結果では、作成された複合材料は有機液体中に液体
金属が約1μm以下の球形微粒子になって分散された。
また、液体金属が88〜99vol%の割合のときにそ
の抵抗値は液体金属自身とほぼ同等であるが、堆積比の
減少と共に抵抗値は増大し、55vol%以下になると
100mΩを越えることが判った。さらに、複合材料を
60℃、85%RH雰囲気中に放置しても酸化や水酸化
は起こらなかった。
【0041】また、本実施例では、回路基板10と冷却
装置36とを接着する際に、両者の間に熱伝導材料38
を介在させて冷却効率を高めたが、高い熱伝導効率を必
要とする部位間に本実施例による熱伝導材料38を用い
ることにより高い冷却効率を得ることができるので、使
用箇所は上記実施例に限られるものではない。例えば、
LSIチップを直接冷却するための水冷ベローズ18と
LSIチップ12との間に上記の熱伝導材料38を介在
させてもよい。
【0042】次に、本発明の第2の実施例による熱伝導
材料及びその製造方法、電子部品の冷却方法、及び回路
基板の冷却方法を、図6を用いて説明する。尚、上記第
1の実施例と同一の構成要素には同一の符号を付して説
明を省略する。図6はモデルチップの表面温度増加量と
ヒーターの発熱量との関係を示すグラフである。
【0043】本実施例による熱伝導材料は、熱伝導性に
優れた高熱伝導性微粉末を、液体状の有機材料中に分散
させて形成していることに特徴がある。なお、本実施例
では、高熱伝導性微粉末として窒化アルミニウム(Al
N)を、液体状の有機材料としてはシリコーンオイルを
用いた。AlNは、熱伝導率が約150〜200[W/
m・K]と、高い熱伝導性を有する材料である。
【0044】まず、第1の実施例と同様の方法により、
70wt%のAlNの微粉末及び、30wt%のシリコ
ーンオイル26との組成からなる複合材料をホモジェナ
イザー28により十分に攪拌する。一般に微粉末は凝集
し易いため、均一に樹脂に分散させるのは困難である
が、ホモジェナイザー28を用いることにより、微粉末
の塊が発生したり、気泡が発生することがなくなった。
このようにしてホモジェナイザー28により形成した熱
伝導材料は、粘度の高いエマルジョン状で、ある程度の
粘着性を有することから、被冷却物と冷却装置の間に介
在させたときには漏れでることが少なくなる。また、長
時間の使用による劣化も少ない。
【0045】なお、本実施例による熱伝導材料は、高熱
伝導性微粉末に液体状の有機材料を混合したものである
ため、エタノールなどの一般的な溶剤によって容易に除
去することができる。このようにして形成した熱伝導材
料の熱伝導性能を、図3に示す測定装置により評価し
た。
【0046】冷却装置36の冷却用流路34に冷却水を
流しながら、モデルチップ32に内蔵されたヒーターに
電流を流して加熱し、モデルチップ32の表面温度の増
加量を測定した。図6は、モデルチップ32の表面温度
増加量と、ヒーターの発熱量との関係を示したものであ
る。図中の比較例は、熱伝導材料38に、市販されてい
るサーマルコンパウンド16を用いた場合である。図6
に示したように、本実施例により製造した熱伝導材料3
8を用いて冷却装置36を回路基板10に接触すること
により、サーマルコンパウンド16を用いた場合と比較
して、同一発熱量における素子温度の増加量を小さくす
ることができた。即ち、エマルジョン状、且つ熱伝導効
率に優れた熱伝導材料38を用いることにより、熱伝導
効率が向上し、冷却装置36の効率を改善することがで
きた。
【0047】このように、本実施例によれば、従来の有
機樹脂材料よりも熱伝導性に優れた高熱伝導性微粉末で
あるAlNの微粉末を、液体状の有機材料であるシリコ
ーンオイル26中に混合したので、熱伝導性に優れた熱
伝導材料38を形成することができる。また、AlNの
微粉末をシリコーンオイル26中に混合する際に、ホモ
ジェナイザー28を用いて攪拌することにより、高熱伝
導性微粉末は凝集せずに均一にシリコーンオイル26中
に混合するので、形成された熱伝導材料はエマルジョン
状になる。また、これにより、ある程度の粘着性を有す
るので、常温にて接着できると共に、熱伝導材料38を
被冷却物と冷却装置36の間に介在させたときにも漏れ
でることを少なくできる。
【0048】また、熱伝導材料38の有する柔軟性によ
り、被冷却物と冷却装置36の間に凹凸があった場合に
も、その隙間を埋めることができるので、効率よく熱を
伝えることができる。さらに、高熱伝導性微粉末である
AlNの微粉末は電気絶縁性に優れているので、熱伝導
材料38が原因でショートが発生することはない。
【0049】なお、本実施例では、高熱伝導性微粉末と
してAlNの微粉末を用いたが、他の高熱伝導性微粉末
を用いてもよい。例えば、熱伝導率が約100〜300
[W/m・K]の六方晶系の窒化ボロン(BN)を用い
ても同様の効果を得ることができる。また、液体状の有
機材料としてシリコーンオイル26を用いたが、ポリフ
ェニルエーテルやパーフルオロアルキルポリエーテルを
用いてもよい。
【0050】また、本実施例では、回路基板10と冷却
装置36とを接着する際に、両者の間に熱伝導材料38
を介在させて冷却効率を高めたが、高い熱伝導効率を必
要とする部位間に本実施例による熱伝導材料38を用い
ることにより高い冷却効率を得ることができるので、使
用箇所は上記実施例に限られるものではない。例えば、
LSIチップを直接冷却するための水冷ベローズとLS
Iチップとの間に上記の熱伝導材料38を介在させても
よい。
【0051】次に、本発明の第3の実施例による熱伝導
材料及びその製造方法、電子部品の冷却方法、及び回路
基板の冷却方法を、図7及び図8を用いて説明する。
尚、上記第1の実施例と同様の構成要素には同一の符号
を付して説明を省略する。図7はモデルチップの表面温
度増加量とヒーターの発熱量との関係を示すグラフ、図
8は湿潤環境下に放置した際の熱伝導材料の熱抵抗の時
間変化を示すグラフである。
【0052】はじめに、本実施例による熱伝導材料の製
造方法を、図7を用いて説明する。本実施例による熱伝
導材料は、熱伝導性に優れた金属または合金の微粉末
を、液体状の有機材料中に分散させて形成していること
に特徴がある。なお、本実施例では、金属の微粉末とし
てアルミニウム(Al)を、液体状の有機材料としては
シリコーンオイルを用いた。Alは、熱伝導率が約20
0[W/m・K]と、高い熱伝導性を示す材料である。
【0053】まず、第1の実施例と同様の方法により、
Alの微粉末をシリコーンオイル26と混合し、ホモジ
ェナイザー28により十分に攪拌する。このようにして
ホモジェナイザー28により形成した熱伝導材料はエマ
ルジョン状になることから、ある程度の粘着性を有し、
被冷却物と冷却装置36の間に介在させたときには漏れ
でることが少なくなる。
【0054】また、金属粉末を液体状の有機材料中に混
合した場合、金属粉末と液体状の有機材料との比重が大
きく異なるために、混合した状態で長時間放置すると金
属粉末と液体状の有機材料が分離してしまうが、ホモジ
ェナイザー28を用いることにより熱伝導材料38はエ
マルジョン状になるので、金属粉末と液体状の有機材料
が長時間にわたって分離しなくなった。
【0055】このようにして形成した熱伝導材料38の
熱伝導性能を、図3に示す測定装置により評価した。冷
却装置36の冷却用流路34に冷却水を流しながら、モ
デルチップ32に内蔵されたヒーターに電流を流して加
熱し、モデルチップ32の表面温度の増加量を測定し
た。また、この状態で60℃、85%RHの湿潤環境下
に放置し、熱伝導材料38の熱抵抗の時間変化を測定し
た。
【0056】図7は、モデルチップ32の表面温度増加
量と、ヒーターの発熱量との関係を示したものである。
図中の比較例は、熱伝導材料38として、市販されてい
るサーマルコンパウンド16を用いた場合である。図7
に示したように、本実施例により製造した熱伝導材料3
8を用いて冷却装置36を回路基板10に接触すること
により、サーマルコンパウンド16を用いた場合と比較
して、同一発熱量における素子温度の増加量を小さくす
ることができた。即ち、エマルジョン状、且つ熱伝導効
率に優れた熱伝導材料38を用いることにより、熱伝導
効率が向上し、冷却装置36の効率を改善することがで
きた。
【0057】図8は、湿潤環境下に放置した際の熱抵抗
の時間変化を示したものである。本実施例による熱伝導
材料38は、湿潤環境下に1000時間放置しても熱抵
抗は変化することがなかった。即ち、湿潤環境下におい
てもAlの微粉末の酸化や水酸化が発生していないため
に、放熱効率を維持することができた。このように、本
実施例によれば、従来の有機樹脂材料よりも熱伝導性に
優れた金属微粉末であるAlの微粉末を、液体状の有機
材料であるシリコーンオイル26中に混合したので、熱
伝導性に優れた熱伝導材料38を形成することができ
る。
【0058】また、混合したAlの微粉末はシリコーン
オイル26に囲まれ、外の環境から遮断されているの
で、耐酸化、耐水酸化性に優れ、長期間にわたり高熱伝
導性能を維持できる熱伝導材料38を形成することがで
きる。さらに、Alの微粉末をシリコーンオイル26中
に混合する際に、ホモジェナイザー28を用いて攪拌す
ることにより、形成された熱伝導材料38はエマルジョ
ン状になり、ある程度の粘着性を有するので、常温にて
接着できると共に、熱伝導材料38を被冷却物と冷却装
置36の間に介在させたときにも漏れでることを少なく
できる。
【0059】また、熱伝導材料38の有する柔軟性によ
り、被冷却物と冷却装置36の間に凹凸があった場合に
も、その隙間を埋めることができるので、効率よく熱を
伝えることができる。なお、本実施例では、金属微粉末
としてAlを用いたが、他の金属を用いてもよい。例え
ば、熱伝導率が約450[W/m・K]の銅(Cu)
や、熱伝導率が約500[W/m・K]の銀(Ag)の
微粉末を用いても同様の効果を得ることができる。ま
た、液体状の有機材料としてシリコーンオイルを用いた
が、ポリフェニルエーテルやパーフルオロアルキルポリ
エーテルを用いてもよい。
【0060】また、本実施例では、回路基板10と冷却
装置36とを接着する際に、両者の間に熱伝導材料38
を介在させて冷却効率を高めたが、高い熱伝導効率を必
要とする部位間に本実施例による熱伝導材料38を用い
ることにより高い冷却効率を得ることができるので、使
用箇所は上記実施例に限られるものではない。例えば、
LSIチップを直接冷却するための水冷ベローズとLS
Iチップとの間に上記の熱伝導材料を介在させてもよ
い。
【0061】次に、本発明の第4の実施例による電子部
品の実装方法を、図9を用いて説明する。図9は本実施
例による電子部品の実装方法を説明する図である。本実
施例による電子部品の実装方法は、回路基板10に形成
されたスタッド46上に液体金属と液体状の有機材料か
らなる接続材料52を介在して電子部品50を接続する
ことに特徴がある。
【0062】即ち、電子部品を装着するためのアルミナ
製の回路基板10上に、ニッケル(Ni)とクロム(C
r)の2層構造からなる接続用パッド44が形成され、
接続用パッド上には、Ni線を熱圧着したスタッド46
が形成されている。このような回路基板上に、バンプ形
状の接続端子48を有する電子部品50が、液体金属と
液体状の有機材料からなる接続材料52により電気的に
接続されている。
【0063】次に、本実施例による電子部品の実装方法
を説明する。まず、アルミナ製の回路基板上10に、N
iとCrの2層構造からなり、直径150μmの接続用
パッド44を形成する(図9(a))。この接続用パッ
ド44上に、ワイヤボンダを用いて、直径100μmの
Ni線を熱圧着してスタッド46を形成する(図9
(b))。
【0064】このようにして作製した回路基板10のス
タッド46上に、下部にバンプ形状の接続端子48を有
する電子部品50を、導電性をもつ熱伝導材料を接合材
料52として電気的に接続する(図9(c))。なお、
本実施例では、第1の実施例に用いた、75.5wt%
のGa及び、24.5wt%のInとの組成からなる液
体状のGa−In共晶合金24をシリコーンオイル26
と混合し、ホモジェナイザー28により十分に攪拌して
形成した熱伝導材料を用いた。
【0065】この状態で、接続材料52を介して接続し
た部位の電気抵抗を測定した。また、この状態で40
℃、85%RHの湿潤環境下に放置し、電気抵抗の時間
変化を測定した。比較例として、液体状の有機材料を混
合せずに液体金属(Ga−In共晶合金)のみで接続し
た試料についても同様の測定を行った。この結果、接合
材料として液体金属と液体状の有機材料の混合物を用い
た場合も、液体金属のみを用いた場合にも、接触部位の
電気抵抗はおよそ10mΩ程度であった。しかし、湿潤
環境下に200時間放置すると、液体金属のみで接続し
た比較例では電気抵抗は数Ωにまで上昇した。一方、液
体金属と液体状の有機材料の複合材料を用いた本実施例
では電気抵抗は全く変化しなかった。加えて、本実施例
による接続材料では、湿潤環境下に1000時間放置し
てもその電気抵抗に変化はみられなかった。
【0066】これは、比較例では液体金属が外の環境と
隔離されていないために、液体金属の水酸化が進行し、
変質、固化したためである。一方、液体金属を液体状の
有機材料で囲んだ実施例では、湿潤環境下でも液体金属
の変質が生じなかったために長時間にわたり電気抵抗の
低い状態を維持することができた。このように、本実施
例によれば、電子部品50を回路基板10に電気的に接
続する際に、高い導電率を有するエマルジョン状の接続
材料52を用いて接続したので、電子部品50の温度が
上昇した際に、電子部品50と回路基板10との間に熱
膨張係数差が存在しても、接続材料52が接合部での応
力を吸収することができる。また、接続材料52は、あ
る程度の粘着性を有しており、電子部品50と回路基板
10との間に介在させた際にも漏れ出ることを少なくす
ることができる。即ち、接合部での信頼性を向上するこ
とができる。
【0067】また、回路基板10と電子部品50とを接
続する接続材料52は、液体金属と液体状の有機材料か
ら構成された、流動性をもつ複合材料であることから、
接続部の接触面積を大きくすることができるので、たと
え接続部が微細であっても電気的に安定して実装するこ
とができる。また、液体金属は液体状の有機材料に囲ま
れているために外の環境からは遮断されているので、耐
酸化、耐水酸化性に優れ、長期間使用できる低抵抗な接
続材料52として用いることができる。
【0068】さらに、電子部品50と回路基板10とを
接続する接続材料52はエマルジョン状であるので、接
続する際には加熱あるいは冷却操作を加えることなく常
温で行うことができる。なお、本実施例では、液体金属
としてGa−In共晶合金24を用いたが、他の液体金
属や金属の微粉末等を用いてもよい。例えば、金属Ga
やGa−Sn系の合金、又はAl、Ag、Cu等の金属
の微粉末を用いても同様の効果を得ることができる。ま
た、液体状の有機材料としてシリコーンオイルを用いた
が、ポリフェニルエーテルやパーフルオロアルキルポリ
エーテルを用いてもよい。
【0069】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、従来の有
機樹脂材料よりも熱伝導率に優れた液体金属を、液体状
の有機材料中に混合したので、熱伝導率に優れた熱伝導
材料を形成することができる。また、混合した液体金属
はシリコーンオイルに囲まれ、外の環境から遮断されて
いるので、耐酸化、耐水酸化性に優れ、長期間にわたり
高熱伝導性能を維持できる熱伝導材料を形成することが
できる。
【0070】さらに、液体金属を液体状の有機材料中に
混合する際に、ホモジェナイザーを用いて攪拌すること
により、形成された熱伝導材料はエマルジョン状にな
り、ある程度の粘着性を有するので、常温にて接着でき
ると共に、熱伝導材料を被冷却物と冷却装置の間に介在
させたときにも漏れでることを少なくできる。また、従
来の有機樹脂材料よりも熱伝導率に優れた高熱伝導性微
粉末を、液体状の有機材料中に混合したので、熱伝導率
に優れた熱伝導材料を形成することができる。
【0071】また、高熱伝導性微粉末を液体状の有機材
料中に混合する際に、ホモジェナイザーを用いて攪拌す
ることにより、高熱伝導性微粉末は凝集せずに均一に液
体状の有機材料中に分散するので、形成された熱伝導材
料はエマルジョン状になる。これにより、ある程度の粘
着性を有するので、常温にて接着できると共に、熱伝導
材料を被冷却物と冷却装置の間に介在させたときにも漏
れでることを少なくできる。
【0072】さらに、高熱伝導性微粉末の微粉末は電気
絶縁性に優れているので、熱伝導材料が原因でショート
が発生することはない。また、従来の有機樹脂材料より
も熱伝導率に優れた金属微粉末を、液体状の有機材料中
に混合したので、熱伝導率に優れた熱伝導材料を形成す
ることができる。
【0073】また、金属微粉末は液体状の有機材料に囲
まれ、外の環境から遮断されているので、耐酸化、耐水
酸化性に優れ、長期間にわたり高熱伝導性能を維持でき
る熱伝導材料を形成することができる。さらに、金属微
粉末を液体状の有機材料中に混合する際に、ホモジェナ
イザーを用いて攪拌することにより、形成された熱伝導
材料はエマルジョン状になり、ある程度の粘着性を有す
るので、常温にて接着できると共に、熱伝導材料を被冷
却物と冷却装置の間に介在させたときにも漏れでること
を少なくできる。
【0074】また、熱伝導材料の有する柔軟性により、
被冷却物と冷却装置の間に凹凸があった場合にも、その
隙間を埋めることができるので、効率よく熱を伝えるこ
とができる。また、上記の熱伝導性能に優れた熱伝導材
料を用い、電子部品又は回路基板と冷却装置を接着する
ことにより、冷却装置の冷却効率を改善することができ
る。
【0075】さらに、本発明によれば、電子部品を回路
基板に電気的に接続する際に、高い導電率を有するエマ
ルジョン状の接続材料を用いて接続したので、電子部品
の温度が上昇した際に、電子部品と回路基板との間に熱
膨張係数差が存在しても、接続材料が接合部での応力を
吸収することができる。また、接続材料は、ある程度の
粘着性を有しており、電子部品と回路基板との間に介在
させた際にも漏れ出ることを少なくすることができる。
即ち、接合部での信頼性を向上した電子部品の実装を実
現することができる。
【0076】また、回路基板と電子部品とを接続する接
続材料は、液体金属と液体状の有機材料から構成され
た、流動性をもつ複合材料であることから、接続部の接
触面積を大きくすることができるので、たとえ接続部が
微細であっても電気的に安定して実装することができ
る。また、液体金属は液体状の有機材料に囲まれている
ために外の環境からは遮断されているので、耐酸化、耐
水酸化性に優れ、長期間使用できる低抵抗な接続材料と
して用いることができる。
【0077】また、電子部品と回路基板とを接続する接
続材料はエマルジョン状であるので、接続する際には加
熱あるいは冷却操作を加えることなく常温で行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による熱伝導材料の製造
方法を示す図である。
【図2】本発明の実施例において熱伝導材料を製造する
ために用いたホモジェナイザーのカッター部の概略図で
ある。
【図3】本発明の実施例において熱伝導材料の冷却能力
を測定するために用いた測定装置の概略図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるモデルチップの
表面温度増加量とヒーターの発熱量との関係を示すグラ
フである。
【図5】本発明の第1の実施例における熱伝導材料を湿
潤環境下に放置した際の熱抵抗の時間変化を示すグラフ
である。
【図6】本発明の第2の実施例におけるモデルチップの
表面温度増加量とヒーターの発熱量との関係を示すグラ
フである。
【図7】本発明の第3の実施例におけるモデルチップの
表面温度増加量とヒーターの発熱量との関係を示すグラ
フである。
【図8】本発明の第3の実施例における熱伝導材料を湿
潤環境下に放置した際の熱抵抗の時間変化を示すグラフ
である。
【図9】本発明の第4の実施例による電子部品の実装方
法を説明する図である。
【図10】従来の電子部品の冷却方法を示す図である。
【図11】従来の回路基板の冷却方法を示す図である。
【符号の説明】
10…回路基板 12…LSIチップ 14…弾性伝熱シート 16…サーマルコンパウンド 18…水冷ベローズ 20…放熱フィン 22…接着層 24…Ga−In共晶合金 26…シリコーンオイル 28…ホモジェナイザー 30…メタライズ層 32…モデルチップ 34…冷却用流路 36…冷却装置 38…熱伝導材料 44…接続用パッド 46…スタッド 48…バンプ形状の接続端子 50…電子部品 52…接続材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 薫 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温において液体状の有機材料と、前記
    有機材料中に分散された、常温において液体状の金属又
    は合金とを含有することを特徴とする熱伝導材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱伝導材料において、 前記有機材料と、前記液体状の金属又は合金との体積比
    がほぼ等しいことを特徴とする熱伝導材料。
  3. 【請求項3】 常温において液体状の有機材料と、前記
    有機材料中に分散された、高熱伝導性材料の微粉末とを
    含有することを特徴とする熱伝導材料。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の熱伝導材料において、 前記有機材料と、前記高熱伝導性材料の微粉末との体積
    比がほぼ等しいことを特徴とする熱伝導材料。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱伝
    導材料において、 前記有機材料は、シリコーンオイル、ポリフェニルエー
    テル、又はパーフルオロアルキルポリエーテルであるこ
    とを特徴とする熱伝導材料。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載の熱伝導材料におい
    て、 前記金属又は合金は、ガリウム、ガリウム−インジウム
    系合金、又はガリウム−錫系合金であることを特徴とす
    る熱伝導材料。
  7. 【請求項7】 請求項3又は4記載の熱伝導材料におい
    て、 前記高熱伝導性材料の微粉末は、金属又は合金の微粉末
    であることを特徴とする熱伝導材料。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の熱伝導材料において、 前記金属または合金は、アルミニウム、銀、銅、アルミ
    系合金、銀系合金、又は銅系合金であることを特徴とす
    る熱伝導材料。
  9. 【請求項9】 請求項3又は4記載の熱伝導材料におい
    て、 前記高熱伝導性材料の微粉末は、窒化アルミニウム又は
    立方晶窒化ボロンの微粉末であることを特徴とする熱伝
    導材料。
  10. 【請求項10】 常温において液体状の金属又は合金
    と、常温において液体状の有機材料とを混合する混合工
    程と、 前記有機材料中に、前記液体状の金属又は合金を分散す
    る分散工程とを有することを特徴とする熱伝導材料の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 高熱伝導性材料の微粉末と、常温にお
    いて液体状の有機材料とを混合する混合工程と、 前記有機材料中に、前記高熱伝導性材料の微粉末を分散
    する分散工程とを有することを特徴とする熱伝導材料の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 電気回路を構成する電子部品を冷却す
    る冷却方法であって、 前記電子部品を、請求項1乃至9のいずれかに記載の熱
    伝導材料を介して前記電子部品を冷却するための冷却装
    置と接触させ、前記冷却装置を冷却することにより前記
    電子部品を冷却することを特徴とする電子部品の冷却方
    法。
  13. 【請求項13】 電子部品を実装する回路基板を冷却す
    る冷却方法であって、 前記回路基板を、請求項1乃至9のいずれかに記載の熱
    伝導材料を介して前記回路基板を冷却するための冷却装
    置と接触させ、前記冷却装置を冷却することにより前記
    回路基板を冷却することを特徴とする回路基板の冷却方
    法。
  14. 【請求項14】 回路基板の表面に形成された接続用パ
    ッドと、前記電子部品に設けられた接続端子とを、請求
    項1乃至8のいずれかに記載の熱伝導材料を介して電気
    的に接続することを特徴とする電子部品の実装方法。
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