JPH0853470A - 蒸気圧の高い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物 - Google Patents
蒸気圧の高い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物Info
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- JPH0853470A JPH0853470A JP18834894A JP18834894A JPH0853470A JP H0853470 A JPH0853470 A JP H0853470A JP 18834894 A JP18834894 A JP 18834894A JP 18834894 A JP18834894 A JP 18834894A JP H0853470 A JPH0853470 A JP H0853470A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】MOCVD法による銀薄膜の形成に際し、熱安
定性及び揮発性に優れ、不純物混入のおそれもない銀薄
膜形成用有機銀化合物を提供する。 【構成】下記式(I)で表されるMOCVD法銀薄膜形
成用有機銀化合物。 (R1 はH又はC1 〜C8 のアルキル基を示し、R2 は
C1 〜C8 のフッ化アルキル基を示し、R3 及びR4 は
C1 〜C4 のアルキル基)
定性及び揮発性に優れ、不純物混入のおそれもない銀薄
膜形成用有機銀化合物を提供する。 【構成】下記式(I)で表されるMOCVD法銀薄膜形
成用有機銀化合物。 (R1 はH又はC1 〜C8 のアルキル基を示し、R2 は
C1 〜C8 のフッ化アルキル基を示し、R3 及びR4 は
C1 〜C4 のアルキル基)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蒸気圧の高い有機金属化
学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物に係り、特に、
半導体装置のコンタクト及び配線等の銀薄膜を有機金属
化学蒸着法(Metalorganic Chemical Vapor Depositio
n:以下「MOCVD法」と称す。)により形成するに
際して、蒸着原料として用いるのに適した有機銀化合物
に関する。
学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物に係り、特に、
半導体装置のコンタクト及び配線等の銀薄膜を有機金属
化学蒸着法(Metalorganic Chemical Vapor Depositio
n:以下「MOCVD法」と称す。)により形成するに
際して、蒸着原料として用いるのに適した有機銀化合物
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置のコンタクト及び配線
等の各種銀薄膜をMOCVD法により形成するに際して
用いられる蒸着原料としては、下記構造式(II)で表さ
れる(1,5−シクロオクタジエン)(1,1,1,
5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナ
ト)銀(I)(以下「(COD)(hfac)Ag」と
略記する。)からなる有機銀化合物又は下記構造式(II
I) で表される(トリメチルホスフィン)(1,1,
1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジ
オナト)銀(I)(以下「(TMP)(hfac)A
g」と略記する。)からなる有機銀化合物が知られてい
る。
等の各種銀薄膜をMOCVD法により形成するに際して
用いられる蒸着原料としては、下記構造式(II)で表さ
れる(1,5−シクロオクタジエン)(1,1,1,
5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナ
ト)銀(I)(以下「(COD)(hfac)Ag」と
略記する。)からなる有機銀化合物又は下記構造式(II
I) で表される(トリメチルホスフィン)(1,1,
1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジ
オナト)銀(I)(以下「(TMP)(hfac)A
g」と略記する。)からなる有機銀化合物が知られてい
る。
【0003】
【化2】
【0004】
【化3】
【0005】このような蒸着原料を用いてMOCVD法
により銀薄膜を形成するには、例えば、図1の概略説明
図に示す如く、反応炉7内に設けたヒーター6上に基板
5を置き、一方、この反応炉7と連接して設けた加熱炉
3内で、気化容器2内の上記有機銀化合物からなる蒸着
原料1を気化させ、得られた蒸気を配管4から導入され
るAr等のキャリアガスで反応炉7内に送給して拡散さ
せ、加熱基板5上に銀を析出させる。なお、図中、8は
真空引配管である。この方法は熱分解型MOCVD法と
称される。
により銀薄膜を形成するには、例えば、図1の概略説明
図に示す如く、反応炉7内に設けたヒーター6上に基板
5を置き、一方、この反応炉7と連接して設けた加熱炉
3内で、気化容器2内の上記有機銀化合物からなる蒸着
原料1を気化させ、得られた蒸気を配管4から導入され
るAr等のキャリアガスで反応炉7内に送給して拡散さ
せ、加熱基板5上に銀を析出させる。なお、図中、8は
真空引配管である。この方法は熱分解型MOCVD法と
称される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の熱分解
型MOCVD法の蒸着原料として従来用いられている前
記構造式(II)で示される有機銀化合物は、気化の際の
加熱温度に対して極めて不安定で、気化における加熱の
際、図1の気化容器3内にて、気化のみならず有機銀化
合物の大部分が熱分解反応を起こすなど、化合物の熱安
定性に問題があった。一方、前記構造式(III) で示され
る有機銀化合物は、前記構造式(II)の有機銀化合物に
比べて熱安定性に優れるものの、作製した銀膜中に燐等
の不純物が混入するおそれがあるという欠点がある。
型MOCVD法の蒸着原料として従来用いられている前
記構造式(II)で示される有機銀化合物は、気化の際の
加熱温度に対して極めて不安定で、気化における加熱の
際、図1の気化容器3内にて、気化のみならず有機銀化
合物の大部分が熱分解反応を起こすなど、化合物の熱安
定性に問題があった。一方、前記構造式(III) で示され
る有機銀化合物は、前記構造式(II)の有機銀化合物に
比べて熱安定性に優れるものの、作製した銀膜中に燐等
の不純物が混入するおそれがあるという欠点がある。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、熱分
解型MOCVD法等のMOCVD法による銀薄膜の形成
に際し、熱安定性及び揮発性に優れ、不純物混入のおそ
れもない銀薄膜形成用有機銀化合物を提供することを目
的とする。
解型MOCVD法等のMOCVD法による銀薄膜の形成
に際し、熱安定性及び揮発性に優れ、不純物混入のおそ
れもない銀薄膜形成用有機銀化合物を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の蒸気圧の高い有
機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物は、下
記一般式(I)で表されることを特徴とする。
機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物は、下
記一般式(I)で表されることを特徴とする。
【0009】
【化4】
【0010】(ただし、上記(I)式中、R1 は水素或
いは炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基を示
し、R2 は炭素数1〜8のフッ化アルキル基を示し、R
3 及びR4 は炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル
基を示す。) 即ち、本発明者らは上述の観点から、熱分解型MOCV
D法を含め、その他のMOCVD法により銀薄膜を作製
するに際して、気化速度が均一で、かつ気化の際の熱安
定性に優れた高純度な銀薄膜形成用蒸着原料を見出すべ
く研究を行った結果、上記一般式(I)で表される有機
銀化合物は、配位子のエチレン誘導体がトランス位置に
トリアルキルシリル基を有するために、前記構造式(I
I),(III) の従来有機銀化合物よりも、安定した気化
速度を得ることが可能であると共に、配位子の一つであ
るβ−ジケトンの末端を嵩高いアルキル基又はフッ化ア
ルキル基に置き換えることで優れた揮発性及び熱安定性
が得られるという知見を得、本発明を完成させた。
いは炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基を示
し、R2 は炭素数1〜8のフッ化アルキル基を示し、R
3 及びR4 は炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル
基を示す。) 即ち、本発明者らは上述の観点から、熱分解型MOCV
D法を含め、その他のMOCVD法により銀薄膜を作製
するに際して、気化速度が均一で、かつ気化の際の熱安
定性に優れた高純度な銀薄膜形成用蒸着原料を見出すべ
く研究を行った結果、上記一般式(I)で表される有機
銀化合物は、配位子のエチレン誘導体がトランス位置に
トリアルキルシリル基を有するために、前記構造式(I
I),(III) の従来有機銀化合物よりも、安定した気化
速度を得ることが可能であると共に、配位子の一つであ
るβ−ジケトンの末端を嵩高いアルキル基又はフッ化ア
ルキル基に置き換えることで優れた揮発性及び熱安定性
が得られるという知見を得、本発明を完成させた。
【0011】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の有機銀化合物を示す前記一般式
(I)において、R1 としては、好ましくは水素、メチ
ル基、t−ブチル基、イソプロピル基等が挙げられる。
(I)において、R1 としては、好ましくは水素、メチ
ル基、t−ブチル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0013】また、R2 としては、好ましくはトリフル
オロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の直鎖フッ
化アルキル基が挙げられる。
オロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の直鎖フッ
化アルキル基が挙げられる。
【0014】R3 ,R4 としては、好ましくはメチル
基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。なお、
R3 ,R4 は同一であっても異なっていても良いが、好
ましくはR3 とR4 は同一の置換基であることが望まし
い。
基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。なお、
R3 ,R4 は同一であっても異なっていても良いが、好
ましくはR3 とR4 は同一の置換基であることが望まし
い。
【0015】本発明の有機銀化合物の具体例としては、
後述の実施例の項に例示される[trans−1,2−
(ビストリメチルシリル)−エテン](1,1,1,
2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−
4,6−オクタンジオナト)銀(I)、[trans−
1,2−(ビストリメチルシリル)−エテン](1,
1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘ
キサンジオナト)銀(I)が挙げられる。
後述の実施例の項に例示される[trans−1,2−
(ビストリメチルシリル)−エテン](1,1,1,
2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−
4,6−オクタンジオナト)銀(I)、[trans−
1,2−(ビストリメチルシリル)−エテン](1,
1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘ
キサンジオナト)銀(I)が挙げられる。
【0016】このような有機銀化合物は、後掲の実施例
に示されるように、例えば次のような反応に従って合成
される。
に示されるように、例えば次のような反応に従って合成
される。
【0017】Si(R3)3-C ≡CH + Si(R4)2ClH → Si(R
3)3-CH=CH-Si(R4)2Cl Si(R3)3-CH=CH-Si(R4)2Cl + R4MgI → Si(R3)3-CH=CH
-Si(R4)3 + MgClI 1/2Ag2O + Si(R3)3-CH=CH-Si(R4)3 + R1COCH2COR2 →
一般式(I) の化合物 このような本発明の有機銀化合物は、従来の有機銀化合
物と同様の操作で熱分解型MOCVD法等のMOCVD
法による銀薄膜蒸着原料として用いることができる。
3)3-CH=CH-Si(R4)2Cl Si(R3)3-CH=CH-Si(R4)2Cl + R4MgI → Si(R3)3-CH=CH
-Si(R4)3 + MgClI 1/2Ag2O + Si(R3)3-CH=CH-Si(R4)3 + R1COCH2COR2 →
一般式(I) の化合物 このような本発明の有機銀化合物は、従来の有機銀化合
物と同様の操作で熱分解型MOCVD法等のMOCVD
法による銀薄膜蒸着原料として用いることができる。
【0018】
【作用】本発明の銀薄膜形成用有機銀化合物は、配位子
のエチレン誘導体がトランス位置にトリアルキルシリル
基を存するため、前記構造式(II),(III) で表される
従来の有機銀化合物よりも安定した気化速度で気化し、
また、配位子の一つであるβ−ジケトンの末端に嵩高い
アルキル基又はフッ化アルキル基を導入したことによ
り、優れた揮発性及び熱安定性を示す。
のエチレン誘導体がトランス位置にトリアルキルシリル
基を存するため、前記構造式(II),(III) で表される
従来の有機銀化合物よりも安定した気化速度で気化し、
また、配位子の一つであるβ−ジケトンの末端に嵩高い
アルキル基又はフッ化アルキル基を導入したことによ
り、優れた揮発性及び熱安定性を示す。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
説明する。
【0020】実施例1 有機銀化合物の合成 乾燥、窒素置換した三口フラスコにトリメチルシリルア
セチレン26.0gと10重量%塩化白金酸水溶液4m
lを混合し50℃に加熱した。滴下ロートよりジメチル
クロロシラン25gをゆっくりと滴下し、50℃にて加
熱攪拌した。反応終了後、減圧蒸留により精製を行い1
8.3gのtrans−1−(クロロジメチルシリル)
−2−(トリメチルシリル)−エテンを得た(沸点56
〜60℃/20torr)。この化合物を60mlの無
水ジエチルエーテルに溶解し、氷浴中で1モル濃度の沃
化メチルマグネシウムのエーテル溶液102mlをゆっ
くりと滴下し、滴下終了後4時間加熱攪拌した。再び氷
浴中にて、100mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を
ゆっくりと添加した。水溶液層はエーテルにより3回抽
出し、有機層と抽出溶液を合わせ、溶媒を減圧下で留去
した。残留する油状物を減圧蒸留により精製し、10.
4gのtrans−1,2−(ビストリメチルシリル)
−エテン(以下「BTMSE」と略記する。)を合成し
た(沸点85〜90℃/100torr)。
セチレン26.0gと10重量%塩化白金酸水溶液4m
lを混合し50℃に加熱した。滴下ロートよりジメチル
クロロシラン25gをゆっくりと滴下し、50℃にて加
熱攪拌した。反応終了後、減圧蒸留により精製を行い1
8.3gのtrans−1−(クロロジメチルシリル)
−2−(トリメチルシリル)−エテンを得た(沸点56
〜60℃/20torr)。この化合物を60mlの無
水ジエチルエーテルに溶解し、氷浴中で1モル濃度の沃
化メチルマグネシウムのエーテル溶液102mlをゆっ
くりと滴下し、滴下終了後4時間加熱攪拌した。再び氷
浴中にて、100mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を
ゆっくりと添加した。水溶液層はエーテルにより3回抽
出し、有機層と抽出溶液を合わせ、溶媒を減圧下で留去
した。残留する油状物を減圧蒸留により精製し、10.
4gのtrans−1,2−(ビストリメチルシリル)
−エテン(以下「BTMSE」と略記する。)を合成し
た(沸点85〜90℃/100torr)。
【0021】次いで、酸化銀5.56gに十分に窒素脱
気を行った乾燥塩化メチレン140mlを注ぎ、サスペ
ンジョン溶液とした。これに上記のBTMSE4.13
gを激しく攪拌しながら添加し、更に、1,1,1,
2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−
4,6−オクタンジオン5.0g(以下「Hfod」と
略記する。)を1滴づつシリンジにより滴下した。反応
系を2時間攪拌した後、窒素気流下で濾過し、濾液を3
5℃減圧下で留去し、白色粉末15.8gを得た。精製
は、昇華により行い(60℃/0.2torr)、白色
の粉末である下記構造式(IV)で示される本発明有機銀
化合物の[trans−1,2−(ビストリメチルシリ
ル)−エテン](1,1,1,2,2,3,3−ヘプタ
フルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオナ
ト)銀(I)(以下「(BTMSE)(fod)Ag」
と略記する。)8.5gを得た。このものの融点は53
〜60℃付近であった。得られた有機銀化合物の同定
は、下記NMRの結果により行った。
気を行った乾燥塩化メチレン140mlを注ぎ、サスペ
ンジョン溶液とした。これに上記のBTMSE4.13
gを激しく攪拌しながら添加し、更に、1,1,1,
2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−
4,6−オクタンジオン5.0g(以下「Hfod」と
略記する。)を1滴づつシリンジにより滴下した。反応
系を2時間攪拌した後、窒素気流下で濾過し、濾液を3
5℃減圧下で留去し、白色粉末15.8gを得た。精製
は、昇華により行い(60℃/0.2torr)、白色
の粉末である下記構造式(IV)で示される本発明有機銀
化合物の[trans−1,2−(ビストリメチルシリ
ル)−エテン](1,1,1,2,2,3,3−ヘプタ
フルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオナ
ト)銀(I)(以下「(BTMSE)(fod)Ag」
と略記する。)8.5gを得た。このものの融点は53
〜60℃付近であった。得られた有機銀化合物の同定
は、下記NMRの結果により行った。
【0022】1H−NMR(CDCl3 );0.19(s,18
H),1.12(s,9H),5.71(s,1H),6.02(s,2H)
H),1.12(s,9H),5.71(s,1H),6.02(s,2H)
【0023】
【化5】
【0024】別に、酸化銀5.91gに十分に窒素脱気
を行った乾燥塩化メチレン140mlを注ぎ、サスペン
ジョン溶液とし、上記と同様にして製造したBTMSE
4.39gを激しく攪拌しながら添加し、更に、1,
1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘ
キサンジオン5.0g(以下「Hpta」と略記す
る。)を1滴づつシリンジにより滴下した。反応系を2
時間攪拌した後、窒素気流下で濾過し、濾液を35℃減
圧下で留去し、白色粉末16.7gを得た。精製は昇華
により行い(50℃/0.2torr)、白色の粉末で
ある下記構造式(V)で示される本発明有機銀化合物の
[trans−1,2−(ビストリメチルシリル)−エ
テン](1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル
−2,4−ヘキサンジオナト)銀(I)(以下「(BT
MSE)(pta)Ag」と略記する。)7.2gを得
た。このものの融点は49〜55℃付近であった。得ら
れた有機銀化合物の同定は、下記NMRの結果により行
った。
を行った乾燥塩化メチレン140mlを注ぎ、サスペン
ジョン溶液とし、上記と同様にして製造したBTMSE
4.39gを激しく攪拌しながら添加し、更に、1,
1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘ
キサンジオン5.0g(以下「Hpta」と略記す
る。)を1滴づつシリンジにより滴下した。反応系を2
時間攪拌した後、窒素気流下で濾過し、濾液を35℃減
圧下で留去し、白色粉末16.7gを得た。精製は昇華
により行い(50℃/0.2torr)、白色の粉末で
ある下記構造式(V)で示される本発明有機銀化合物の
[trans−1,2−(ビストリメチルシリル)−エ
テン](1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル
−2,4−ヘキサンジオナト)銀(I)(以下「(BT
MSE)(pta)Ag」と略記する。)7.2gを得
た。このものの融点は49〜55℃付近であった。得ら
れた有機銀化合物の同定は、下記NMRの結果により行
った。
【0025】1H−NMR(CDCl3 );0.22(s,18
H),1.13(s,9H),5.68(s,1H),5.92(s,2H)
H),1.13(s,9H),5.68(s,1H),5.92(s,2H)
【0026】
【化6】
【0027】また、比較の目的で上記のBTMSEの代
わりに、1,5−シクロオクタジエン及びトリメチルホ
スフィンを用いたこと以外は同一の条件で、前記構造式
(II)及び(III) に示される従来有機銀化合物(CO
D)(hfac)Ag,(TMP)(hfac)Agを
それぞれ合成した。
わりに、1,5−シクロオクタジエン及びトリメチルホ
スフィンを用いたこと以外は同一の条件で、前記構造式
(II)及び(III) に示される従来有機銀化合物(CO
D)(hfac)Ag,(TMP)(hfac)Agを
それぞれ合成した。
【0028】図2,3,4に、得られた本発明有機銀化
合物(BTMSE)(fod)Ag(図2)、(BTM
SE)(pta)Ag(図3)及び従来有機銀化合物
(COD)(hfac)Ag(図4)の気化特性を評価
する目的で熱重量曲線(昇温速度10℃/min,窒素
雰囲気)を示した。
合物(BTMSE)(fod)Ag(図2)、(BTM
SE)(pta)Ag(図3)及び従来有機銀化合物
(COD)(hfac)Ag(図4)の気化特性を評価
する目的で熱重量曲線(昇温速度10℃/min,窒素
雰囲気)を示した。
【0029】 銀薄膜の蒸着 本発明有機銀化合物及び従来有機銀化合物を各々用い
て、図1に示す装置により、熱分解型MOCVD法に従
って、下記条件にて銀薄膜の作製を行い、10分毎の膜
厚を測定した。膜厚は、膜の断面SEM像から測定し
た。この測定結果を表1に示した。
て、図1に示す装置により、熱分解型MOCVD法に従
って、下記条件にて銀薄膜の作製を行い、10分毎の膜
厚を測定した。膜厚は、膜の断面SEM像から測定し
た。この測定結果を表1に示した。
【0030】基板;1インチ角のSi基板上にTiを1
000Åの厚さにスパッタ法により蒸着した基板 基板温度;300℃ 気化温度;60℃ 圧力;2torr キャリアガスの流量;100ccmのAr
000Åの厚さにスパッタ法により蒸着した基板 基板温度;300℃ 気化温度;60℃ 圧力;2torr キャリアガスの流量;100ccmのAr
【0031】
【表1】
【0032】 考察 図2〜4に示される結果から次のことが明らかである。
即ち、本発明有機銀化合物は室温から140〜160℃
までの温度で完全に気化させることが可能であるが、一
方、従来有機銀化合物は気化終了の際、約30%程の残
留物が生成している。このことから、本発明有機銀化合
物は、気化の際の熱安定性に優れることが明らかであ
る。
即ち、本発明有機銀化合物は室温から140〜160℃
までの温度で完全に気化させることが可能であるが、一
方、従来有機銀化合物は気化終了の際、約30%程の残
留物が生成している。このことから、本発明有機銀化合
物は、気化の際の熱安定性に優れることが明らかであ
る。
【0033】また、表1より、次のことが明らかであ
る。即ち、本発明有機銀化合物は、成膜時間に対しほぼ
一定の割合で膜厚が増加し、かつ、その成膜速度も従来
有機銀化合物に比べて速いのに対し、従来有機銀化合物
の場合は、成膜時間において30分を超えた頃から成膜
量の減少傾向が顕著になる。
る。即ち、本発明有機銀化合物は、成膜時間に対しほぼ
一定の割合で膜厚が増加し、かつ、その成膜速度も従来
有機銀化合物に比べて速いのに対し、従来有機銀化合物
の場合は、成膜時間において30分を超えた頃から成膜
量の減少傾向が顕著になる。
【0034】なお、本発明有機銀化合物を用いた場合
は、図1に示す装置の気化容器内には分解銀の生成が見
られなかったのに対し、従来有機銀化合物の場合には分
解銀の生成が認められた。これより、本発明有機銀化合
物は、気化容器内で分解することなしに成膜時間に対し
一定の速度で気化し、また、従来有機銀化合物より気化
の際の熱安定性、揮発性に優れた有機銀化合物であるこ
とを示している。
は、図1に示す装置の気化容器内には分解銀の生成が見
られなかったのに対し、従来有機銀化合物の場合には分
解銀の生成が認められた。これより、本発明有機銀化合
物は、気化容器内で分解することなしに成膜時間に対し
一定の速度で気化し、また、従来有機銀化合物より気化
の際の熱安定性、揮発性に優れた有機銀化合物であるこ
とを示している。
【0035】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の蒸気圧の高
い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物
は、室温付近で固体で、安定な気化速度を有し、かつ気
化の際の熱安定性に優れる上に、不純物混入のおそれも
なく、MOCVD法による均一かつ緻密な銀薄膜成膜原
料として極めて有用であり、半導体装置の配線材料等と
して有用な銀薄膜の製造に有効に利用することができ
る。
い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物
は、室温付近で固体で、安定な気化速度を有し、かつ気
化の際の熱安定性に優れる上に、不純物混入のおそれも
なく、MOCVD法による均一かつ緻密な銀薄膜成膜原
料として極めて有用であり、半導体装置の配線材料等と
して有用な銀薄膜の製造に有効に利用することができ
る。
【図1】熱分解型MOCVD法を説明する装置の概略断
面図である。
面図である。
【図2】本発明有機銀化合物の熱重量曲線を示すグラフ
である。
である。
【図3】本発明有機銀化合物の熱重量曲線を示すグラフ
である。
である。
【図4】従来有機銀化合物の熱重量曲線を示すグラフで
ある。
ある。
1 蒸着原料 2 気化容器 3 加熱炉 4 キャリアガス導入配管 5 基板 6 ヒーター 7 反応炉 8 真空引配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小木 勝実 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 下記一般式(I)で表される蒸気圧の高
い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物。 【化1】 (ただし、上記(I)式中、R1 は水素或いは炭素数1
〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基を示し、R2 は炭素
数1〜8のフッ化アルキル基を示し、R3 及びR4 は炭
素数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18834894A JP2785694B2 (ja) | 1994-08-10 | 1994-08-10 | 蒸気圧の高い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18834894A JP2785694B2 (ja) | 1994-08-10 | 1994-08-10 | 蒸気圧の高い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0853470A true JPH0853470A (ja) | 1996-02-27 |
JP2785694B2 JP2785694B2 (ja) | 1998-08-13 |
Family
ID=16222055
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18834894A Expired - Fee Related JP2785694B2 (ja) | 1994-08-10 | 1994-08-10 | 蒸気圧の高い有機金属化学蒸着による銀薄膜形成用有機銀化合物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2785694B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100446937B1 (ko) * | 2001-10-22 | 2004-09-01 | 김형준 | 탄화규소 박막증착방법 및 장치 |
JP2015083204A (ja) * | 2009-05-27 | 2015-04-30 | マイクロマス・ユーケー・リミテッド | 生体組織の識別用のシステム及び方法 |
CN115955893A (zh) * | 2023-03-15 | 2023-04-11 | 南京迪视泰光电科技有限公司 | 一种含有Ag电极的OLED器件的制备方法 |
-
1994
- 1994-08-10 JP JP18834894A patent/JP2785694B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN115955893A (zh) * | 2023-03-15 | 2023-04-11 | 南京迪视泰光电科技有限公司 | 一种含有Ag电极的OLED器件的制备方法 |
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---|---|
JP2785694B2 (ja) | 1998-08-13 |
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