JPH0852711A - 中密度繊維板の製造方法とこの中密度繊維板を用いた床材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加湿によっても膨潤することがないようにす
る。 【構成】 中密度繊維板用の木質繊維１に接着剤４を配
合ブレンドする。これを熱圧プレスして中密度繊維板２
を形成する。この中密度繊維板２を煮沸処理して膨潤さ
せる。次いで膨潤した中密度繊維板２を乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、床材の基材等に用いる
中密度繊維板の製造方法と、この製造方法により得られ
た中密度繊維板を基材とした床材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に中密度繊維板は、木質繊維に接着
剤を配合ブレンドし、これを熱圧プレスして形成され
る。またこの中密度繊維板を基材として用い、基材の表
面に突板のような表面単板を積層して床材が形成され
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に中密度繊維板は、熱圧プレスして成形しただけである
ために、加湿により膨潤し、床材等に用いた場合、カッ
ピングや段違いや反りを発生していた。本発明は上記問
題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とす
るところは加湿によっても膨潤することがない中密度繊
維板の製造方法とこの中密度繊維板を用いた床材を提供
するにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明中密度繊維板の製造方法は、中密度繊維板用の木
質繊維１に接着剤４を配合ブレンドし、これを熱圧プレ
スして中密度繊維板２を形成し、この中密度繊維板２を
煮沸処理して膨潤させ、次いで膨潤した中密度繊維板２
を乾燥することを特徴とする。

【０００５】また本発明床材Ａは上記のように製造方法
で製造された中密度繊維板２を基材２ａとして用い、基
材２ａの表面に表面単板３を積層して成ることを特徴と
する。

【０００６】

【作用】熱圧プレスした中密度繊維板２を煮沸処理する
ことで、膨潤させられる。このとき、木質繊維１が元の
状態に復元しようとする応力で膨らむと共に木質繊維１
間の空間部に水分が溜まる状態となる。そして膨潤した
中密度繊維板２を乾燥することで水分だけが放出され、
膨潤状態の厚みの中密度繊維板２が得られる。この中密
度繊維板２は膨潤状態に近い厚みになっているために加
湿しても膨潤することがない。従ってこの中密度繊維板
２を基材２ａとして用い、基材２ａの表面に表面単板３
を積層して床材Ａを形成すると、カッピングや段違いや
反りの発生しない床材Ａが得られる。

【０００７】

【実施例】中密度繊維板用の木質繊維１に接着剤４を配
合ブレンドし、これを図１（ａ）に示すように熱圧プレ
ス装置５の容器６内に入れ、熱盤７にて熱圧プレスし、
図１（ｂ）に示すような中密度繊維板２を熱圧成形す
る。図２（ａ）は熱圧プレスする前の状態であり、木質
繊維１間に広い空間８を有しており、熱圧プレスするこ
とにより図２（ｂ）のように殆ど空間のない状態に圧締
される。木質繊維１に配合ブレンドする接着剤４として
は例えばユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹
脂系またはそれらのブレンドしたものがあり、木質繊維
１に配合ブレンドする割合は重量比で５〜２５％であ
る。また熱圧成形するときの圧力は１０〜３０Ｋｇ／ｃ
ｍ² で温度は１００〜１５０℃である。熱圧成形された
中密度繊維板２の含水率は絶乾〜１３％である。またこ
の中密度繊維板２は床材Ａの基材２ａとして用いる場
合、例えば１０〜１５ｍｍの厚さに成形される。

【０００８】このように熱圧成形された中密度繊維板２
は次いで煮沸処理されて図２（ｃ）のように膨潤させら
れる。熱圧プレス成形した中密度繊維板２は加熱しなが
ら高圧プレスするために中密度繊維板２の厚み方向に復
元しようとする応力があり、煮沸処理すると元の木質繊
維１の状態に復元しようとし、また木質繊維１は加水さ
れて木質繊維１間の空間８に水分が溜まる状態になり、
膨潤させられる。この煮沸処理する条件は例えば７０〜
１００℃の熱湯で２〜６時間である。熱圧プレス成形し
たとき１０〜１５ｍｍの厚さの中密度繊維板２は煮沸処
理することで１３〜２１ｍｍの厚さになり、３０〜４０
％膨潤する。なお煮沸処理した状態の中密度繊維板２の
含水率は３０〜１００％である。

【０００９】このように煮沸処理して膨潤させた中密度
繊維板２は次いで乾燥処理される。この乾燥処理すると
きは厚み方向の加圧がないために水分だけが放出され、
内部に空間８ができて膨潤状態に近い厚みの中密度繊維
板２が得られる。この乾燥処理する条件は例えば７０〜
１００℃で２４〜７２時間である。煮沸処理で膨潤した
ときの厚さが１３〜２１ｍｍとなった中密度繊維板２は
乾燥処理しても厚さが殆ど変わることがなく、厚みが１
２〜２０ｍｍ程度となるだけで歩減りがしない。

【００１０】このように製造される中密度繊維板２は床
材Ａの基材２ａとして用いられる。中密度繊維板２より
なる基材２ａの表面は先ず表面研磨され、次いで基材２
ａの表面に突板のような表面単板３が貼着されると共に
着色塗装され、図３に示すような床材Ａが形成される。

【００１１】

【発明の効果】本発明は叙述のように熱圧プレスにて形
成した中密度繊維板を煮沸処理して膨潤させ、次いで膨
潤した中密度繊維板を乾燥しているので、膨潤状態に近
い厚みの状態で乾燥されるものであって、加湿しても膨
潤することがなく、使用時に加湿されても厚みの変化の
少ない中密度繊維板が得られるものであり、しかも熱圧
した状態より厚さを厚くできるので木質繊維の使用量を
少なくして厚さの厚い中密度繊維板を得ることができて
安価にできるものである。殊にこの中密度繊維板を床材
の基材として用いると、厚みの変化が少なく、カッピン
グや段違いや反りが発生しない床材を得ることができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の熱圧プレス成形を示す断面
図である。

【図２】同上の中密度繊維板の製造を説明する説明図で
ある。

【図３】同上の床材の断面図である。

【符号の説明】

Ａ 床材 １ 木質繊維 ２ 中密度繊維板 ３ 表面単板 ４ 接着剤

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴崎 博 群馬県沼田市井戸の上町135番地 ナショ ナル木材工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中密度繊維板用の木質繊維に接着剤を配
   合ブレンドし、これを熱圧プレスして中密度繊維板を形
   成し、この中密度繊維板を煮沸処理して膨潤させ、次い
   で膨潤した中密度繊維板を乾燥することを特徴とする中
   密度繊維板の製造方法。
2. 【請求項２】 請求項１の製造方法で製造された中密度
   繊維板を基材として用い、基材の表面に表面単板を積層
   して成ることを特徴とする床材。