JPH0851862A - きのこの培養方法及びそれに用いるきのこ培養袋 - Google Patents

きのこの培養方法及びそれに用いるきのこ培養袋

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JPH0851862A
JPH0851862A JP6211759A JP21175994A JPH0851862A JP H0851862 A JPH0851862 A JP H0851862A JP 6211759 A JP6211759 A JP 6211759A JP 21175994 A JP21175994 A JP 21175994A JP H0851862 A JPH0851862 A JP H0851862A
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JP
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mushroom
bag
culture
air
sterilization
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JP6211759A
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English (en)
Inventor
Keiji Iguchi
圭二 井口
Takahiko Baba
隆彦 馬場
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KAWAKAMI SHOJI KK
NIDAIKI KK
Kanebo Ltd
Original Assignee
KAWAKAMI SHOJI KK
NIDAIKI KK
Kanebo Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】袋にきのこ培地を充填後滅菌するきのこ培養法
に適したきのこ培養袋を提供する。 【構成】袋の開口部周辺に殺菌,冷却の際に必要な空気
流通孔を穿設した通気部分(A)と、その下方にきのこ
菌糸の生育に必要な通気部分(B)の2種類の空気流通
孔を備えたきのこ培養袋。これにより、きのこを培養す
る各工程に於て、各工程毎に適した空気流通状態できの
こを殺菌,培養させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、袋を用いてきのこ種菌
を培養するきのこの培養方法及びそれに用いるきのこ培
養袋に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、きのこの人工栽培は、榾木を用
い、農家において零細的に行われているが、現在、工業
的生産工程において量産することが考えられている。例
えば、えのき茸やひら茸等では、瓶にきのこ培地を詰
め、これに種菌を接種し培養して栽培することが行われ
ている。しかしながら、このような瓶栽培は、えのき茸
やひら茸のようなきのこには適用できるものの、なめ
こ,まいたけ,しいたけ等では、瓶の口が狭く、ここか
らきのこを採取することが困難なため適用できない。そ
のため、上記なめこ,まいたけ,しいたけ等の人工栽培
では、培養袋を用い、その袋内に培地を詰め、きのこ種
菌を接種して袋の開口部を閉じ、これを培養した後、袋
の肩口を破って菌床を取り出し、きのこを発生させるこ
とが行われている。
【0003】このようなきのこ培養袋を用いての人工栽
培は、例えば、図7に示すようなプラスチックフィルム
製の透明な培養袋11aを用い、その上部開口部に、該
開口をリング状の肩口キャップ13内に通してそれを外
側に折り返し、その状態で、内部にフィルター12を有
するキャップ14を肩口キャップ13に嵌着して密封
し、培養袋11a内部に雑菌を侵入させないようにして
培養することが行われている。これにより、外気は、上
記キャップ14に設けられているフィルター12を通し
て流入するため、雑菌がここで除去されて培養袋11a
内に入るようになっている。しかしながら、このように
培養袋11aの上部を肩口キャップ13内に入れたのち
外側に折り返し、そこにフィルター12内蔵のキャップ
14を嵌着するということは操作が煩雑であり、自動化
には不適当である。したがって、手作業に頼っているの
が実情であり、製造されるキノコのコスト高の原因とな
っている。他方、上記の肩口キャップ13、キャップ1
4のセットに代えて、図8に示すような、袋11bの一
部にフィルター15を装着し、その袋11b内にきのこ
培地8を充填した後、上部を密封16して使用するきの
こ培養袋11bが提案されている。
【0004】この培養袋11bによれば、キャップ等の
組立が不必要となるため、自動化が容易となる。この培
養袋11bを用いた、きのこ培養基の培養は、まず培養
袋11bを開口してきのこ培地8を充填した後、開口部
をゴム輪等の紐状体でくくる、或いは、クリップ等のハ
サミ治具、粘着テープ等で留めて、高圧蒸気滅菌し、冷
却後改めて培養袋を開放して、所望のきのこ種菌を接種
する。このようにしてきのこ種菌の接種を終えたものに
対して図8に示すヒートシール等により密閉して培養を
行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記培
養袋に設けられたフィルター自身による袋内外の空気の
流通量は、茸菌の生長に必要な空気を雑菌が混入するこ
となく、供給するための穴面積に限られているため、こ
の培養袋にきのこ培地を充填後、袋上部の開口部を上述
の方法で密閉して高圧蒸気滅菌を行うと、より気密性が
高い方法になるに従い、きのこ培地中に含まれる空気を
充分に逃がすことが出来ず、高圧蒸気滅菌中に通気不足
による培養袋の破裂が生じたり、或いは高圧蒸気滅菌
時、培養袋内及びきのこ培地に含まれる空気の排気がか
ろうじて出来たとしても、高圧蒸気滅菌終了時、常圧、
室温に戻る際、吸気が充分に行われず、きのこ培地が培
養袋により真空パック状に圧縮される現象が多発し、安
定なきのこ類の培養基が製造出来ない。
【0006】逆に、培養袋上部の開口部の密閉を弱くす
ると、袋開口からの空気の出入がスムーズとなり上記培
養袋の破裂や、真空パック状に圧縮される現象は少なく
なるが、殺菌釜でせっかくきのこ培地を高圧蒸気滅菌し
ても、高圧蒸気滅菌終了後、殺菌釜から90℃程度の高
温状態で取り出してきのこ培地の品温が30℃以下にな
るまで、外気中で約半日かけて冷却し、その後種菌を接
種するため、その間に雑菌の侵入が生じる。このため、
きのこ培地冷却用に無菌室を設けたりしているが、多大
な投資を必要とし、また、多大な投資を行っても、作業
者の衣服、毛髪等に付着した雑菌が持ち込まれてしま
う。従って、この培養袋11bを用いてせっかくキャッ
プ等の組立が、不必要となっても、袋にきのこ培地を入
れて、クリップ等で開口部を閉じる煩雑な手作業に加え
て上述した様な密閉程度を調整する細やかな手作業が必
要となり必然的に自動化が困難となる。
【0007】又、逆に培養袋にきのこ培地を入れ、袋開
口部をヒートシール等で完全に密閉し殺菌,冷却しても
袋の破裂を生じない程度にまで袋に取付けるフィルター
の面積を大きくすると、すなわち空気流通路を大きくす
ると、きのこ培養中に培養基の水分蒸散が多くなり、き
のこ種菌の活着不良が生じたり、培地の含水率が低下
し、きのこの生育が悪くなる。すなわち、きのこ培養に
は、培養継続するに従って菌の呼吸作用により培養基内
水分の上昇がみられるため、この呼吸生成水が培養基内
空隙部に充満して培養基内を酸素欠乏状態にし菌糸の活
力を著しく低下させない穴面積であると共に、菌糸の生
育に必要な空気の供給と生産にともない発生する炭酸ガ
ス等の呼吸ガスの除去が適切に行われる穴面積でなけれ
ばならない。したがって、菌糸培養中の培養袋の空孔率
が適切でないと、培養基内水分の蒸発が促進されて培養
基が乾燥しすぎたり、逆に培養に際する酸素不足や炭酸
ガス等の蓄積による生育阻害が生じる。又、この場合に
於ても、高圧蒸気滅菌の際、内圧により培養袋上部が膨
れ、きのこ培地上面と培養袋によってヘッドスペースが
形成され、培養袋内面の結露が甚だしくきのこ培地に流
れ落ちるため、雑菌汚染の原因となった。
【0008】本発明は、前述した従来技術の問題点に鑑
みなされたもので、きのこ培養時に必要とする空気流通
路と、加熱殺菌時に比較的大量に必要とする空気流通路
の2種類の空気流通路を備えた培養袋を用いて安定して
きのこを培養することを特徴とするきのこ培養方法及び
それに用いるきのこ培養袋を提供することを目的とし、
しかも、従来の様に高圧蒸気滅菌後の冷却室のクリーン
管理に多大な投資を必要としない簡易な方法を提案する
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、袋の開口
部周辺に殺菌,冷却の際に必要な空気流通孔を穿設した
通気部分(A)と、その下方にきのこ菌糸の生育に必要
な通気部分(B)を備えた培養袋を用い、該袋にきのこ
類の人工培養基を充填した後、開口部をヒートシール等
で密封し、これに加熱殺菌を施し、ついで冷却した後該
袋の前記通気部分(A)を切断し、袋を開口して種菌を
接種し、引き続き通気部分(A)削除後の袋の開口部を
密封してきのこ培養基を培養することを特徴とするきの
この培養方法によって達成される。
【0010】又、このきのこ培養方法の実現には、袋の
開口部周辺に殺菌,冷却の際に必要な空気流通孔を穿設
した通気部分(A)と、その下方にきのこ菌糸の生育に
必要な通気部分(B)の2種類の空気流通孔を備えたき
のこ培養袋によって達成される。
【0011】
【作用】上記のように2種類の空気流通路を有する培養
袋を用いてきのこを培養すれば、レトルト殺菌,冷却の
際には、該袋の開口部周辺に設けた比較的大量の空気流
通が可能な通気部分(A)により空気の流通が行われる
ため、従来のような冷却の際の空気流通不足により生じ
る培養袋の破裂、又は真空パック状の収縮現象がなくな
る。又、きのこ培養時には、前記通気部分(A)を削除
し、菌糸培養に適した空気流通孔を有する通気部分
(B)で培養するのでしいたけ等のきのこの呼吸に必要
な酸素の供給や炭酸ガス等の排出、及び呼吸に伴って生
じる分解水の蒸散を適切に行うことが出来るので、きの
この生育を早期にバラツキなく培養することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、
培養袋を用いて該培養袋にきのこ培地を充填後滅菌する
きのこ培養法において、殺菌,冷却の際に必要な空気流
通孔を穿設した通気部分(A)と、その下方に、きのこ
菌糸の生育に必要な通気部分(B)を備えた培養袋を用
いてきのこの培養を行うもので、きのこ培養工程に於
て、各工程に適した空気の流通状態で培養を行うもので
ある。
【0013】この培養袋の構造の一例を図1及び図2に
示す。図1は該培養袋の分解組立図、図2はその完成斜
視図である。図に於て、1はフィルム状材からなるプラ
スチックシートで、前面1a、裏面1b、右側面1c、
左側面1dをその上辺を除きそれぞれの端部同士をヒー
トシールすることにより図1に示す有底筒状の袋が形成
される。2は、通気性多孔質シートで、前記培養袋の前
面を形成するプラスチックシート1aの袋開口部分と重
ね合わされ、その端部同士は、シート前面1aとヒート
シールされシート前面1aと一体となる。3は、この通
気性多孔質シートとの重ね合せ部分に穿設された穿孔で
あり、きのこ菌糸の生育に適合した孔が設けられてい
る。4は、前記シート前面1aと通気性多孔質シート2
とのヒートシールに於て左右縦辺の一部がヒートシール
されないヒートシール非接着部分で、この部分は非接着
のため外部との空気通気孔を形成している。
【0014】すなわち、この実施例による培養袋の袋内
外の空気流通路は、前記ヒートシール非接着部分及び通
気性多孔質シート2を介して流通する空気流通路と、前
記シート1aに穿設した穿孔3及び通気性多孔質シート
を介して流通する空気流通路から構成され、前者がレト
ルト殺菌,冷却の際に機能する通気部分(A)であり、
後者がきのこ培養時に機能する通気部分(B)であり、
前者の方が後者より大きな空気流通路を有している。し
たがって、この培養袋にきのこ培地を充填して加熱殺菌
するときは、ヒートシール非接着部分4から上の袋開口
部分をヒートシールして行なう。これによりレトルト殺
菌,冷却による急激な熱変化を受けても、該ヒートシー
ル非接着部分4から、空気の流通が行なわれる為、従来
のような空気流通量不足による袋の破裂又は真空パック
現象が皆無となる。
【0015】又、その後のきのこ種菌接種後の培養は、
前記ヒートシール非接着部分4から上の部分を切断削除
し、シート前面1aに穿設した穿孔3部分を残した上の
部分をヒートシールして培養を行うため、きのこの生育
に適した通気の下で培養が行われる。
【0016】図3は、図2の通気部分(A)の一部切断
面図を示すもので、シート前面1aと通気性多孔質シー
ト2との非接着部分4は、その非接着部分4の長さを変
えることにより空気流通量を適宜に設定することができ
る。この非接着部分4は、殺菌,冷却時の急激な熱変化
に伴う空気の流通を補償するものである。
【0017】尚、通気部分(A)をなす、前記非接着部
分の製作は、ヒートシールを行うヒータブロックのシー
トシール部分に切欠部を設け、この切欠部分のみヒート
シールされない様にしても良いし、又、該非接着部分に
耐熱性ペイントを塗布したり、非溶着性シートを狭んで
製作しても良い。又、前記通気部分(B)は、きのこ菌
糸の生育に適正な空気流通を補償するものである。
【0018】次に、本発明に用いるシートの材質として
は、ポリエチレン,ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン,
ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリアミド、又はそ
れらの共重合体、ブレンドポリマー等の合成樹脂から形
成されたフィルム及びシートが挙げられる。尚、それら
の1種或いは2種以上、又はそれらとアルミ箔などの金
属箔をラミネート(積層)したものを使用することがで
きる。又、上記した合成樹脂シート上に、穿孔3を設け
ないで、そのかわりに該シート上に針を周壁に植設した
ロール、またはルーレットの、該針を突刺させて破裂口
又は亀裂口を形成するか、パンチ(Puch)によい穿
孔(突抜き)するか、カッターナイフのようなもので間
歇的に切れ目を形成するかして得た多孔性の被覆シート
を別に作り用いても良い。
【0019】又、この多孔性の被覆シートは、上記の様
に、合成樹脂シートに穴を穿設したものの他、ポリカー
ボネートシート,繊維,不織布,紙,マニラ麻等の様
な、通気性を有するシートを用い、前記合成樹脂シート
と組み合せて用いても良い。
【0020】次に、通気性多孔質シートの材質として
は、スパンボンド法,メルトブロン法,フラッシュ法等
により作られる不織布,紙,セルロース加工品,ジュラ
ガード,滅菌紙,各種繊維等が挙げられるが、この通気
性多孔質シートにバクテリアバリア性(例えば、黄色ぶ
どう球菌を用い、菌の懸濁液をネブライザーでエアロゾ
ル化し、これをアンダーセンサンプラーにより吸収し、
菌の捕集効率を計算する。)や、ダスト捕集性(例え
ば、JIS試験用ダスト10種を用いて捕集効率を計算
する。)をある程度付加すれば、高圧蒸気滅菌後、殺菌
釜から取り出して冷却室で半日冷却する際、培地内への
戻り空気は全てこの通気性多孔質シートを介して流入す
るため、冷却室のクリーン管理に多大な経費をかけなく
ても、培地が雑菌で汚染されることは無く、工場建設コ
ストの大幅な圧縮が可能でひいてはきのこ価格も低減さ
れる。又、通気性多孔質シート(2)と前述の多孔性の
被覆シート(1)の空気流通性は、高圧蒸気殺菌の際
は、前者に対し後者の通気量が多い方が、望ましいが、
培養の際には、菌の呼吸量や、培地の水分の蒸散度合に
応じて、調整すれば良い。更に、通気性多孔質シート
(2)と多孔性の被覆シート(1)の接着は、両者全面
を密着しても良いし、散在状に接着しても良いし、図2
の様に両者の周縁部を接着することも可能であるが、後
2者の方が両者の間に、ある程度空気層を形成できるた
め、空気流通の過程で、緩衝作用が期待出来る。
【0021】次に、本発明のきのこ培養方法の一例を図
4に基づいて説明する。まず、鋸屑,米糠等を混合し、
加水して水分調整されたきのこ培地を、培養袋6に充填
する(同図(A))。そして、全体の形を整え、袋の上
部を一文字上に閉じ合わせて、ヒートシール5した後、
加熱滅菌装置に入れて滅菌する(同図(B))。次い
で、滅菌終了後、冷却室(クラス10万程度)に入れ
る。この冷却室内で25℃以下に冷却した後、通気部分
(A)を切断削除し、残された培養袋6の上部開口部を
開口し所望のきのこ種菌を接種する。このようにしてき
のこ種菌の接種を終えたものに対して、通気部分(B)
だけとなったきのこ培養袋の開口部を閉じ、ヒートシー
ル5により閉じ、培養する。
【0022】以上のように、高圧蒸気による加熱殺菌,
冷却時には、通気部分(A)及び通気部分(B)により
袋内外の空気の流通が行われるため、従来のように通気
流通不足による袋の破裂又は袋の真空パック現象が皆無
となると共に、植菌後は、通気部分(B)を有するきの
こ培養袋で培養するため、菌糸の生育に必要な酸素の供
給及び生育に伴い発生する炭酸ガスの除去が程よく行わ
れ、又菌類の呼吸作用により生成される余分な水分も適
度に気中に蒸散されるので、培養基内は常に菌糸の生育
に好適な環境となり、培養基内を速やかにし、短期間に
収量良く子実体を得ることができる。
【0023】次に、上述の通気性多孔質シートの面積に
ついて説明する。まず初めに高圧蒸気滅菌の際の、培養
袋内外の空気の流通を考えると、滅菌の過程で温度上昇
に伴ない培養袋内の空気が全て袋外へ排出されるため、
通気性多孔質シートの面積は、培養袋及びきのこ培地
内の含気量ときのこ培地の温度上昇率で決定される。
きのこ培地内の含気量は、培地の原料や含水率、培地成
形の際の圧縮率及び培地上面と、袋によって形成される
ヘッドスペースの如何によって異なるが、きのこ培地内
に限っても30〜70%程度の含気量を有している。高
圧蒸気滅菌時の温度上昇率は、殺菌釜によって異なるが
工場生産を考えると蒸気を直接殺菌釜内に入れるため、
数分の単位で殺菌釜内は100℃に達する。通常ここで
100℃一定の時間を、保持する「ならし時間」をもう
け、脱気を図り、その後所望の殺菌温度へ上昇させる。
この急激な温度上昇に加え、通気性多孔質シートに、殺
菌時の蒸気やドレインのため、湿りや濡れが生じ、通気
性多孔質シートの通気量が著しく激減する。
【0024】又、高圧蒸気殺菌終了後、殺菌釜からきの
こ培養基を取り出し、冷却する場合も同様で、上述の通
気性多孔質シートの濡れにより、充分に戻り空気がもど
らない場合がある。一方、きのこ菌糸の成育は、きのこ
の種類によって異なるが、十数日から、数ヶ月を要し、
しかも、培養室では通気性多孔質シートは、乾燥状態で
使用されるため、殺菌・冷却時の通気量に比べて、1/
2〜1/10の通気量で充分と考えられる。従ってこの
通気量の差異を上記通気性多孔質シートの面積で図4
(C)の様に切り分けることが基本となる。しかし、実
際の作業では、上記面積の正確な切り分けは難しく、上
述の高圧蒸気滅菌時の状態の様に、きのこ培養基によっ
てバラツキが見られるため、本発明では、上記通気性多
孔質シートの外側を多孔性の被覆シートで覆い、図4
(C)の切り分け作業を容易にしている。
【0025】続いて、通気性多孔質シートの外側を覆
う、多孔性の被覆シートについて説明する。多孔性の被
覆シートには、前述の様に、高圧蒸気滅菌時の通気部分
(A)ときのこの成育に必要な通気部分(B)の2種の
空気流通路が設けられており、図4(C)の通気性多孔
質シートの切り分けをより効果的に行うことができ、し
かもある程度の幅を持たせることが可能となる。すなわ
ち、高圧蒸気滅菌時の空気流出入はきのこの生育のそれ
に比べて極端に大きく、短時間で起こるため、通気部分
(A)(B)と通気性多孔質シートの通気量の関係を、
例えば下記の様に設定すれば、 通気部分(A)+(B)の通気量の和≧通気性多孔質シ
ート全体の通気量 通気部分(A)の通気量≫通気部分(B)の通気量 通気部分(B)の通気量≦通気性多孔質シートの内、図
4(D)に相当する、きのこ培養時の通気量 きのこ培養袋内外の空気の流通を、通気性多孔質シート
の面積と、多孔性の被膜シートの穴面積両者で、調整出
来、各種きのこの種類や、環境条件に応じて、対応が可
能となる。
【0026】尚、多孔性の被膜シートに高圧蒸気滅菌時
釜内でのドレーン防止や、滅菌以後の冷却・培養過程で
雑菌付着防止の働きがあることは言うまでもない。又、
図4(C)で切り分ける通気性多孔質シートは予め異な
る材質や通気度等を組合わせたものを用いることも可能
である。又、高圧蒸気滅菌の際内圧により、培養袋上部
が膨れるのを防止するため、プラスチックや金属等のメ
ッシュを有する簡易な押さえ器具を被せると、培地上面
にヘッドスペースが出来ず、袋内面に結露が出来ない。
更に、滅菌釜内にきのこ培地を入れる際、押さえ器具を
用いると、各培地に出来るヘッドスペース体積が均一化
し、よりバラツキなくきのこ培地を滅菌することが可能
となる。図5、図6は、被膜シートにに施される通気部
分(A)(B)の一実施例を示すもので、きのこの種類
や高圧蒸気滅菌の条件、冷却室、培養室の環境条件によ
って、調整が可能である。
【0027】上記培養袋に用いられるきのこ培地の原料
は、例えば、鋸屑等の木質材料,バガス,籾穀、わら,
ビートパルプ,コーンコブ等の植物繊維質原料等の1種
または2種以上を主原料とし、これに、米糠,麸,糖
蜜,大豆粕粕,ビール粕,魚粉等の栄養物質を加えたも
のが挙げられ、通常のきのこの栽培に用いられているも
のであればよい。
【0028】また、本発明の対象となるきのことして
は、えのきたけ,ひらたけ,なめこ,しいたけ,まいた
け,たもぎたけ,くりたけ,まんねんたけ、ぬめりすぎ
たけ,はたけしめじ,ときいろひらたけ,むきたけ,な
らたけ,やなぎまつたけ,やまぶしたけ,まつおうじ,
ぶなはりいたけ等が挙げられる。次に、実施例を挙げて
本発明を具体的に説明する。
【0029】(実施例1)50μのポリプロピレン製の
プラスチックシートを用い、図2に示す直径12cm、
長さ35cmのガゼット袋を作った。その際、5×10
cmのポリプロピレン製の不織布(通気度6cm3 /c
2 /秒、バクテリアバリア性97%)をヒートシール
で固定し、被覆シートに設ける通気部分(A)は幅1c
mで2箇所、通気部分(B)は直径500μの穴を4箇
所穿孔し、キノコ培養袋とした。次に、キノコ培養袋
に、鋸屑4重量部(以下「部」に略す)米糠1部に加水
し、含水率70%に調整した培地を1kg充填した。そ
して、全体の形を整え、袋の上部を一文字上に閉じ合わ
せて、袋開口をヒートシールで密閉し、高圧蒸気滅菌釜
内に入れ、120℃において、90分間保持して滅菌し
た。次いで、これを冷却室(クラス10万程度)に取り
出し、培地温度が、25℃になるまで冷却した後、図4
(C)に従って、袋上端より2.5cm位置を切断し、
袋を開口して、シイタケオガクズ種菌を5g接種した
後、袋上部を図4(D)の様に再びヒートシールで密閉
し、培養室で培養した。この培養室は20〜25℃、9
0%湿度に管理されていて床面が清潔に保たれていた。
【0030】(実施例2)図5に示す様に、通気部分
(A)は、直径500μの穴を30箇所、通気部分
(B)は、直径1mmの穴を3箇所穿孔し、不織布は、
通気度4cm3 /cm2/秒、バクテリアバリア性99
%のものを用いた。
【0031】(実施例3)図6に示す様に、通気部分
(A)は、直径1cmの穴を3箇所、通気部分(B)
は、直径2mmの穴を2箇所穿孔し、不織布は、通気度
2cm3 /cm2 /秒、バクテリアバリア性99%のも
のを用いた。又、キノコ培養袋に培地を充填し、ヒート
シールで密閉した後キノコ培養基をトレイに9個並べ、
上からメッシュ状の押さえカゴ(2g/cm2 )を被せ
て、滅菌及び冷却を行った。
【0032】(比較例1)市販フィルター貼付袋を用
い、袋にキノコ培地を充填後、袋上部をヒートシール密
閉して、高圧蒸気滅菌を行った。
【0033】(比較例2)市販フィルター貼付袋を用
い、袋にキノコ培地を充填後、袋上部を2つ折りにしク
リップ留めを行って高圧蒸気滅菌を行った。
【0034】(比較例3)市販肩口キャップを使用する
と共に、スポンジフィルター付きキャップを用い図8に
示すようにして培養を行った。
【0035】以上の実施例及び比較例は、殺菌・冷却で
の袋の破損状況、落下菌によるコンタミ率と菌糸成長の
状態を検査し、その結果を以下の表に示した。尚、それ
ぞれの実験は50の培養袋を用いて行った結果を示して
いる。
【0036】
【表1】
【0037】上記の表からも明らかなように、実施例の
ものは、いずれも殺菌・冷却での袋の破損、真空パック
状の圧縮等の不良は無く、培養中の落下菌によるコンタ
ミ率、及び乾燥による不良が無く、且つ、シイタケ菌糸
蔓延の状態も良好である。
【0038】これに対し、比較例1は、殺菌・冷却後の
検査で、全ての袋に、伸びや破裂及び真空パック状の圧
縮等、何らかの不良が生じた。又、比較例2は、殺菌・
冷却での不良及び、冷却室での汚染、比較例3では、冷
却・培養中に落下菌による汚染が生じた。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明に係るきのこの培養
袋は、レトルト殺菌,冷却の際に必要な空気流通孔を
設した通気部分(A)と、その下方にきのこ菌糸の生育
に必要な通気部分(B)を備えた培養袋としたため、該
培養袋にきのこ培地を充填後、滅菌するきのこ培養法に
おいて、各工程毎にその工程に適合した空気流通状態に
てきのこを培養させることができる。
【0040】また、きのこ培養時には、前記通気部分を
削除し、菌糸培養に適した空気流通孔を有する通気部分
(B)できのこを培養するので、きのこの呼吸に必要な
酸素の供給炭酸ガス等の排出及び呼吸に伴って発生する
分解水の蒸散を程よく行うことが出来るので、きのこの
生育を早期にバラツキなく行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】きのこ培養袋の組立ての一例を示す分解斜視図
である。
【図2】図1のきのこ培養袋の完成斜視図である。
【図3】図1の通気部分(A)の断面図である。
【図4】図1の培養袋を用いたきのこ培養法の工程図で
ある。
【図5】他の実施例によるきのこ培養袋を用いたきのこ
培養法の工程図である。
【図6】他の例によるきのこ培養袋の正面図である。
【図7】従来のきのこ培養基の一例を示す説明図であ
る。
【図8】従来のきのこ培養基の他の例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 プラスチックシート 2 通気性多孔質シート 3 穿孔 4 シートシール非接着部分 5 シートシール部 6 きのこ培養袋 8 きのこ培地 9 切断線 10 きのこ種菌 12,15 フィルター 30 通気部分(B) 40 通気部分(A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 袋の開口部周辺に殺菌,冷却の際に必要
    な空気流通孔を穿設した通気部分(A)と、その下方に
    きのこ菌糸の生育に必要な通気部分(B)を備えた培養
    袋を用い、該袋にきのこ類の人工培養基を充填した後、
    開口部を密封し、これに加熱殺菌を施こし、ついで冷却
    した後該袋の前記通気部分(A)を切断し、袋を開口し
    て種菌を接種し、引き続き通気部分(A)削除後の袋の
    開口部を密封してきのこ培養基を培養することを特徴と
    するきのこの培養方法。
  2. 【請求項2】 袋の開口部周辺に殺菌,冷却の際に必要
    な空気流通孔を穿設した通気部分(A)と、その下方に
    きのこ菌糸の生育に必要な通気部分(B)の2種類の空
    気流通孔を備えたきのこ培養袋。
JP6211759A 1994-08-12 1994-08-12 きのこの培養方法及びそれに用いるきのこ培養袋 Pending JPH0851862A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007228871A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Sakato Sangyo:Kk キノコ栽培用袋体
KR20210048777A (ko) * 2019-10-24 2021-05-04 김기영 평판배지 성형지그

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JP2007228871A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Sakato Sangyo:Kk キノコ栽培用袋体
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