【発明の詳細な説明】
官能化エチレン/プロピレン共重合体又はエチレン/プロピレン/ジエン
三元共重合体を用いた極性及び非極性エラストマーブレンドの相溶化 発明の背景
1.発明の分野
本発明は、1992年1月29日出願の係属中の出願である米国特許出願第8
27772号に関連する。本発明は相溶化技術の分野に関する。具体的には、本
発明は、カルボキシル化エチレン/プロピレン共重合体、スルホン化又はエポキ
シ化エチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体などの官能化EPゴム又はEPD
Mゴムの、極性/非極性エラストマーブレンドの相溶化剤としての使用に関する
。
2.関連技術の説明
特定の用途に対して特定の属性が向上していたり或いは様々な属性の組合わせ
に優れた新規ポリマーを得ることに関して、ここ数年の間にかなりの研究が行わ
れてきた。現在多大な関心が払われているのは、種々の既存ポリマーの傑出した
特性を組合わせる、すなわち、ポリマーブレンドを作成するという最も単純な方
法である。文献で報告された相溶性ブレンドの数も徐々に増えつつあるが[D.
R.Paul他,J.Macromol.Sci.,Rev.Macromol
.Chem.,C-18:109(1980)]、ほとんどのポリマーは不混和性で異
相ポリマーブレンドを与える。一般に、「相溶性(混和性)であるのは例外であ
って、不相溶性であるのが通例である」[Dobry及びBoyer-Kawe
nski,J.Polymer Science,2(1),90−100(19
47)]。
広く役立つエラストマーブレンドには、単相ブレンドと二相ブレンドの2種類
がある。単相ブレンドは混和性である。混和性という用語は理想的な分子混合状
態を意味するものではなく、その分子混合状態のレベルが単相材料に期待される
巨視的性質をもたらすに十分であることを示す。
二相エラストマーブレンドの形成は必ずしも不都合な出来事ではない。そのよ
うなブレンド組成物においても、ブレンド組成に応じて平均化される性質があっ
たとしても、単相に固有の有用な性質の多くが保持されることがあるからである
。良好な機械的性質を得るためには、如何なる場合も、エラストマーブレンド全
体の形態を適切に制御すること並びに異相間での接着性に優れていることが必要
とされる。全体的な相分離に対する耐性をもつと共に/或いは望ましいブレンド
の性質を与えるエラストマーブレンド成分は、熱力学的見地からは「混和性」と
はいえなくても、しばしば「相溶性」の資格をもつといわれる。強調しておくが
、「相溶性(compatibility)」と「混和性(miscibility)」とは相異なる用語であ
る。相溶性とは、製品の予想有効寿命期間中ポリマーアロイの成分の分離や層別
(stratification)がみられないことを意味する(Gaylord,N.C.著,“
Copolymers,Polyblends and Composites
”,Advances in Chemistry Series 142,A
merican Chemical Society(ワシントンD.C.)発行
,1975年,第76頁)。Coranとその共同研究者の報文[Rubber
Chem.Technol.,56,1045(1983)]によれば、「技術
的相溶化(technological compatibilization)」は「ブレンド中のポリマーの不
相溶性を減じることによって極限の性質を改良するためのプロセス又は技術の所
産(the result of a process or technique for improving ultimate propertie
s by making polymers in a blend less incompatible)」であって、それらのポ
リマーを「単一の分子的混合均一相(a single molecularly blended homogeneou
s phase)」に存在させるようにする「熱力学的相溶性(thermodynamic compatibi
lity)」を誘起するような技術を用いたものではない。
ある種のポリマー種(通常は適当な構造のブロック又はグラフト共重合体)の
存在がそれらの界面の状況を変化させる能力によって不混和性エラストマーブレ
ンドの混和を実際にもたらすことは十分に確認されている。そのため、かかるポ
リマー種は「相溶化剤」或いは「界面剤(interfacial agent)」と呼ばれること
が多いが、後者は油と水を混合する能力に関して界面活性剤のもつ効果を説明す
るためにコロイドの分野で用いられる「可溶化」という用語(McBain他,
“Solubilization and Related Phenomen
a”,Academic Press(ニューヨーク)発行,1995年)に類
似している。このような「相溶化剤」は、予め生成させてから二成分系ブレンド
に添加することもできるし、ブレンディングプロセスの間に「その場(in situ)
」で生成させることもできる。
エラストマーブレンドにおける相溶化剤の役割は多岐にわたっており、(1)相
と相の間の界面エネルギーを低下させ、(2)混合時に一段と微細な分散体を与え
、(3)全体的な相分離に対するある程度の安定性を与え、かつ(4)界面接着性を高
める結果をもたらす(G.E.Molau,“Block Copolymer
s”,S.L.Agarwal編,Plenum(ニューヨーク)発行,197
0年,79頁)。
2種類のエラストマーが下記の特徴の少なくとも1つを有していればそれらの
エラストマーは相溶性混合物を形成する。
・セグメント構造の一致。例えば、ブタジエンとスチレンのグラフト又はブロ
ックコポリマーはポリブタジエン又はポリスチレンのいずれとも相溶性である。
・相互の混和性又は部分的混和性。溶解度パラメーター(δ)の差が1単位未
満、一般には0.2単位未満であること。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、
ポリアクリル酸エチル(PEA)、ポリアクリル酸メチル(PMMA)は9.4
〜9.5の範囲の溶解度パラメーターを有しており、相溶性混合物を形成する。
ニトリルゴム(NBR)の構造はPVC、PEA、PMMAの構造と全く異なる
が、9.5という似通った溶解度パラメーターを有しているので上記3種類のポ
リマーと相溶性である。
・ポリマー間で共有結合、イオン結合、供与体-受容体結合又は水素結合を生
じ得る官能基。
異種エラストマーブレンドの相溶化は、技術的見地だけでなく科学的見地から
も高い関心を集めている領域である。合成及び天然エラストマーの大半は、類似
した性質又は補足的性質をもつ別のゴムと組み合わせたとき、その生成物におい
て望ましい特色を発揮するという良好な性質を有している。
ネオプレン、すなわちポリクロロプレンゴム(CR)は、耐油性・靭性・動的
屈曲寿命・他の材料との良好な接着性・100℃までの耐熱性という、そのユニ
ークな性質の組み合わせのゆえに、ほとんどの動力伝達用ベルトに採用されてき
た材料である。過去においてはCRベルトは自動車産業のニーズに添っていたが
、最近では要求の一段と厳しい用途のための新材料が求められている。第一に、
ボンネット下の温度の上昇(150℃に達する)のために、CRベルトに課せら
れる運転時の熱的拘束が増大しつつある。第二に、自動車産業の保証期間の長期
化(「100000マイル目標」)を満足すべく、CRベルトは、たとえ高温に
遭遇しないときでも高い平均寿命を保ちつつ一段と低い破壊率を有していなくて
はならない。これらの新たなニーズに応えるため、ネオプレンベルトの耐熱性、
耐オゾン性及び耐切傷生長性を改良することが望まれている。ネオプレンベルト
に対する上記要件は、エチレン/プロピレンゴム(EP)又はエチレン/プロピレ
ン/ジエン三元共重合体(EPDM)のような耐熱/オゾン性及び耐切傷生長性
に優れたポリオレフィンエラストマーを配合することによって満足することがで
きた。しかし、このようなネオプレン/EPブレンド又はネオプレン/EPDMブ
レンドはその儘では不相溶性である。
オゾン及び酸素からの化学的攻撃に対するポリブタジエンやポリイソプレンの
ような硬化不飽和エラストマーの耐性を、それらを少量のエチレン/プロピレン/
ジエン三元共重合体とブレンドして、そのブレンドを共加硫(co-vulcanization)
することによって改良できることが当技術分野で知られている。この技術開発は
、化学的攻撃に対するオレフィン/ジエン三元共重合体固有の耐性を利用したも
ので、この性質を共加硫ブレンドに付与したものである。
しかし、その他のエラストマーとのブレンドにオレフィン/ジエン三元共重合
体を使用できるのは、そうしたエラストマーがオレフィン/ジエン三元共重合体
との相溶性及びそれと同程度の硬化速度挙動をもつ場合に限られることが多い。
例えば、ポリブタジエンやポリイソプレンのような高度不飽和エラストマーは、
場合によっては、オレフィン/ジエンエラストマーとほどほどの相溶性を有して
いて、エチレン性不飽和部位の有用性が高いので容易に共加硫し得るものの、そ
の他のエラストマー、例えばポリクロロプレンなどのポリマー鎖に沿って極性基
を含んでいたりエチレン性不飽和度の比較的低い材料では、それほど容易には共
加硫されない。これら後者のエラストマーとのブレンドの場合、オレフィン/ジ
エン三元共重合体の影響によって化学的攻撃に対する耐性を改良することはでき
るかもしれないが、共加硫物の引張強さ、伸び率、モジュラス及び/又は耐摩耗
性などの物理的性質が硬化エラストマー自体に比べて低くなってしまうという犠
牲を伴うことが多い。
したがって、CR/EPDM、CR/EPのような極性/非極性ゴムブレンドに
対する相溶化剤を見出だすことができれば、当技術分野において多大な重要性を
もつであろう。
スルホン化EPDM、エポキシ化EPDM及びカルボキシル化EPのような官
能化EP又はEPDMを極性/非極性エラストマーブレンドの相溶化剤としての
使用することは知られていない。
マレイン酸化EPDMをポリマーブレンドの改質剤として使用することは公知
である(Kinoshitaの米国特許第4508411号参照)。改質剤は必
ずしも相溶化剤ではなく、そこでの改質剤としての使用は、生じたブレンドが、
相溶化によって生ずるような好ましい三成分系ブレンドではなく、二成分系ブレ
ンドであることを意味している。改質剤は粘着性を改良でき、典型的には室温で
の動的性質を改善する。実際、改質剤は可塑剤や潤滑剤にずっと近い挙動をとる
傾向がある。一方、相溶化剤は不相溶性ブレンドの界面の状況を変える能力を有
しており、その結果、室温のみならず高い最終使用温度でのブレンド特性の相乗
的改善がみられる。相溶化剤の効果は、油と水を混じり合わせるする能力もつ界
面活性剤の効果(コロイドの分野では「乳化効果」と呼ばれることが多い)に類
似している。エラストマーブレンド中での相溶化剤の役割は多岐にわたっており
、(1)相と相の間の界面エネルギーを低下させ、(2)混合時に一段と微細な分散体
を与え、(3)全体的な相分離に対するある程度の安定性を与え、かつ(4)界面接着
性を高める結果をもたらす。
Cornellの米国特許第4397987号には、ニトリルゴムに対する改
質剤としてのマレイン酸化EPDMが開示されている。
さらに、デュポン(DuPont)社の米国特許第4307204号には、エ
チレン/プロピレン/ジエン三元共重合体(EPDM)エラストマー又はポリクロ
ロプレンエラストマーを基体とし、少量のイオノマー樹脂を含む発泡性硬化性ス
ポンジ組成物が開示されている。このイオノマー樹脂は、約50モル%以上の酸
官能基を含んだエチレン重合体又は共重合体であり、上記酸官能基の50モル%
以上が金属イオンで中和されている。これらの酸修飾エチレン重合体(酸修飾E
PDM三元共重合体も包含される)は、重合体組成物を硬化発泡材料の製造に使
用するときのその硬化特性と発泡特性のバランスを改良すると開示されている。
上述の明細書のいずれも、オゾン及び酸素の攻撃に対する耐性並びに熱安定性
が改善されているだけでなく、室温及び最終使用温度での引張強さ、伸び率、モ
ジュラス及び耐摩耗性などの重要な物理的性質が保持(場合によっては改善)さ
れているような相溶化ポリクロロプレン/EPDM(又はEP)に関して取り組
んだものではない。発明の概要
本明細書中では、極性/非極性エラストマーブレンド用の新規な一群の相溶化
剤について開示する。今般、種々の官能基で修飾したEPDM又はEP、特にカ
ルボキシル化又はスルホン化又はエポキシ化したEPDM又はEPが、ネオプレ
ン/EPDMやネオプレン/EPなど(ただし、これらに限定されない)の極性/
非極性エラストマーブレンドの総合的性質を改善して、かかるブレンドを相溶化
することを発見した。本発明は、ネオプレン/EPDM(EP)の相溶化ブレン
ド及び1〜約15phrの官能化EPDM又はEP(特にマレイン酸化又はスル
ホン化又はエポキシ化されたエチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体又はエチ
レン/プロピレン共重合体)を含んでなる、改善された耐熱性・耐オゾン性及び
耐切傷生長性をもつネオプレン/EPDM又はネオプレン/EPブレンド組成物並
びにその加硫物を提供する。本発明のブレンドは、自動車用駆動ベルト類や自動
車用ホース類のような、耐熱・耐オゾン・耐切傷生長・耐油性の成形製品に容易
に共加硫及び成形することができる。これらの製品は、耐熱性・耐オゾン性及び
耐切傷生長性が改善されているだけでなく、耐摩耗性・モジュラス・伸び率・引
張強さのような物理的性質も保持されているか改善されている。
本発明の官能化EPDM又はEP、特にEP-MA、EPDM-エポキシ及びE
PDM-スルホネートは、ネオプレンゴムとエチレン/プロピレンゴムのブレンド
(CP/EPブレンド)及びネオプレンゴムとエチレン/プロピレン/ジエンのブ
レンド(CP/EPDMブレンド)に対する優れた相溶化剤である。
本発明の相溶化剤には、α,β-不飽和カルボン酸とその無水物、エポキシ又は
スルホン酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される官能基で修飾されたE
PDM又はEPが包含される。本明細書中で「MA」とはマレイン酸及び無水マ
レイン酸を包含するものと定義される。EPDMは、エチレン/プロピレン/ジエ
ンのランダムコポリマーであって、当該コポリマーの重量を基準にして、エチレ
ンが35〜80重量%存在し、ジエンが0〜15重量%存在するランダムコポリ
マーである。かかるEPDMポリマーは、周知のチーグラー・ナッタ重合法で製
造することができる。EPDMコポリマーの製造に有用なジエンは、通常は、1,
4-ヘキサジエン、シクロアルキリデンノルボルネンなどである。次に、かかるE
P又はEPDMを、通常は、当技術分野で公知の任意の方法によってマレイン酸
、無水マレイン酸又はその他のα,β-不飽和モノ又はジカルボン酸又はその無水
物でグラフトするか、或いは文献記載の公知方法にしたがってエポキシ化又はス
ルホン化する。
上記ゴムと相溶化剤は、幾多の好適な方法の中のいずれかの方法で、ブレンド
、成形、もしくは混合される。
本発明で有用なゴムには、エチレン/プロピレンゴム(EP)、エチレン/プロ
ピレン/ジエン三元共重合体(EPDM)、ポリクロロプレン(ネオプレンもし
くはCRゴムともいう)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン/ブタジエンゴム
(SBR)、天然ゴム(NR)及びポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、
ハロブチルゴム、ポリ(イソブチレン-コ-4-メチルスチレン)ゴム及び臭素化ポ
リ(イソブチレン-コ-4-メチルスチレン)ゴムが含まれる。
本発明で有用なEPゴムは、エチレンとプロピレンのランダムコポリマーであ
って、当該コポリマーのエチレン含有量が、当該コポリマーの重量を基準にして
、30〜85重量%であるコポリマーである。かかるEPコポリマーは周知のチ
ーグラー・ナッタ重合法で製造することができる。
本発明で相溶化されるEPDMゴムは、エチレンとプロピレンとジエンのラン
ダムコポリマーであって、当該コポリマーの重量を基準にして、エチレンが35
〜80重量%存在し、かつジエンが0〜15重量%存在するランダムコポリマー
である。かかるEPDMコポリマーは周知のチーグラー・ナッタ重合法で製造す
ることができる。EPDMコポリマーの製造に有用なジエンは、通常は、1,4-ヘ
キサジエン、アルキリデンノルボルネン類などである。
本発明で有用なネオプレンゴムはクロロプレンの重合体である。これらは周知
のラジカル重合法で製造することができる。
特に、本発明の官能化EPDM又はEPゴムは、ネオプレン/EPブレンド及
びネオプレン/EPDMブレンドの相溶化に有用である。発明の詳細な説明
本発明は、ゴムブレンドを相溶化する方法にして、2種類以上の異なるゴムを
官能化EP又はEPDMとブレンドすることを含んでなる方法を提供する。好ま
しくは、本発明は、極性/非極性ゴムブレンドを相溶化する方法にして、官能基
グラフトEPDM又はEP(当該官能基はMA、SO3及びエポキシである)を
2種類以上の極性及び非極性の合成又は天然ゴムとブレンドすることを含んでな
る方法に関する。さらに好ましくは、本発明は、極性/非極性ゴムブレンドを相
溶化する方法にして、2種類以上の極性及び非極性の合成又は天然ゴムを、修飾
EP又はEPDM(当該修飾には、マレイン酸化、スルホン化及びエポキシ化が
包含される)とブレンドすることを含んでなる方法に関する。
本発明は、さらに、極性ゴムと非極性ゴムと官能化EPDM又はEPからなる
相溶化組成物に関する。特に、本発明は、官能基が好ましくはMA、スルホン酸
又はエポキシ基である官能化EPDM又はEP、少なくとも1種類の極性ゴム及
び少なくとも1種類の非極性ゴムを含んでなる相溶化ゴムブレンドに関する。
本質において、本発明は、官能化(特にマレイン酸化)EP共重合体又はEP
DM三元共重合体を相溶化剤として用いてゴムブレンドをコンパウンディングす
るための新規方法を提供する。本発明者らは、これらの官能化EP共重合体又は
EPDM三元共重合体がネオプレン/エチレン-プロピレンゴムブレンド及びネオ
プレン/エチレン-プロピレン-ジエンゴムブレンドを相溶化するための優れ
た物質であることを発見した。
本発明において相溶化剤として有用な具体的マレイン酸化EP又はEPDMゴ
ムとしては、エクソン・ケミカル(Exxon Chemical)社からEx
xelor VA1801及びExxelor VA1803の商品名で製造販
売されているものが挙げられる。
本発明の相溶化剤には官能化EP又はEPDMが包含される。本明細書中で用
いるEPDM又はEPという用語には、特記しない限り、好ましくはエチレンと
C3〜C28α-オレフィン(通常はプロピレン)及び/又は非共役ジエン(かかる
ジエンの混合物も使用し得る)の三元共重合体、四元重合体なども包含される。
非共役ジエンの量は、存在するエチレンとα-オレフィンの全量を基準にして、
一般には約0.5〜20重量%であり、好ましくは約1〜約7重量%である。
三元共重合体中の第3のモノマーとして使用し得る非共役ジエンの代表例には
、次のものが含まれる。
a.1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-オクタジエンのような直鎖非
環式ジエン.
b.5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメ
チル-1,7-オクタジエン、及びジヒドロミルセンとジヒドロシメンの混合異性体
のような枝分れ鎖非環式ジエン.
c.1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、1,5-シクロドデカジ
エン、4-ビニルシクロヘキセン、1-アリル,4-イソプロピリデン-シクロヘキサン
、3-アリル-シクロペンテン、4-アリル-シクロヘキセン、及び1-イソペニル-4-(
4-ブテニル)シクロヘキサンのような脂環式単環ジエン.
d.4,4'-ジシクロペンテニル、4,4'-ジシクロヘキセニルのような多単環脂環
式ジエン.
e.テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジ
エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン、並びにエチリデンノルボルネン、
5-メチレン-6-メチル-2-ノルボルネン、5-メチレン-6,6-ジメチル-2-ノルボルネ
ン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-(3-シクロペンチリデン)-2-ノルボルネン
及び5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのアルキルノ
ルボルネン、アルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアル
ケニルノルボルネン、シクロアルキリデンノルボルネンのような、多環脂環式縮
合環及び有橋環ジエン.
最も好ましいEPDMエラストマーは、約60〜約80重量%のエチレンと約
15〜約35重量%のプロピレンと約3〜約7重量%の非共役ジエンを含む。E
PDMの合成は当技術分野において周知である。G.ver Strate著,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering
,Vol.6,2nd Ed.,1986年,522〜
564頁参照。
本発明の相溶化剤を製造するには、EP又はEPDMを官能基、通常は酸基で
グラフトするが、当該官能基はカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン
酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヒム酸などとそれらの無水物、好
ましくはマレイン酸又は無水マレイン酸)、スルホン酸及びエポキシ基から選択
し得る。
本明細書で用いる「カルボキシル化」という用語は、約0.05〜約10重量
%の不飽和ポリカルボン酸又はその低級アルキルエステル又は無水物をポリマー
鎖に含有させることによって修飾した上述のEP又はEPDM重合体を指す。E
P又はEPDMと不飽和モノ又はジカルボン酸及びその誘導体との反応はフリー
ラジカル源の存在下で実施することができる。EP又はEPDMを、ラジカル源
の存在下、一般に300℃未満の温度、好ましくは約150℃〜250℃の温度
で、不飽和モノ又はポリカルボン酸及びその誘導体と反応させればよい。好適な
フリーラジカル源は、例えば、ジt-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオ
キシド、クメンヒドロペルオキシド、p-メンタンペルオキシド、p-メンタンヒド
ロペルオキシドのようなペルオキシド、或いはアゾビス(イソブチロニトリル)の
ようなアゾ化合物、又は輻射線源である。好適な輻射線源には、例えば、コバル
ト、ウラン、トリウムなどの放射線源並びに紫外線が包含される。好ましくは、
EP又はEPDMの重量を基準にして、約0.05〜約10重量%の有機不飽和
ポリカルボン酸、その無水物又はエステルを使用することができる。ペルオキシ
ド又はフリーラジカル剤の使用量は一般には極めて低く、EP又は
EPDMの重量を基準にして、約0.01〜約0.5重量%のオーダーである。好
適な不飽和モノ又はポリカルボン酸及びその誘導体には、マレイン酸、無水マレ
イン酸、フマル酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、無水イタコン酸、こ
れらから誘導される半エステル又は全エステル、例えばマレイン酸メチル、マレ
イン酸エチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸メチルエチ
ル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸イソプロピルなど、或いは例えば高い反応
温度でこれらの化合物を生成するような化合物(例えばクエン酸など)が含まれ
る。
この反応は回分法でも連続法でも行うことができ、接触時間は約1分から約2
時間のオーダーである。EP又はEPDMの反応は押出機又はバンバリーミキサ
ーの中で実施することができる。このプロセスは、190℃での溶融粘度が50
00cpを超え、190℃での粘度が500000cp以下のEP又はEPDM
に対して使用することができる。
EP又はEPDMの合成の際に、不飽和ポリカルボン酸又はその誘導体をオレ
フィンモノマー又はオレフィン及びジエンモノマーと共に共重合することによっ
て、EP又はEPDMポリマー鎖中に酸官能基を組み込むこともできる。エチレ
ンとこのような酸モノマーの共重合によって製造された重合体は米国特許第32
64272号に開示されている。
本発明の目的のため、カルボキシル化EP又はEPDMを製造するための好ま
しい方法は、有機好ましくはペルオキシドのようなフリーラジカルの存在下で、
ポリマー主鎖上に不飽和酸モノマーをグラフトすることである。
上記で示した通り、本発明においてEP又はEPDM重合体に導入される不飽
和ポリカルボン酸モノマー又はその誘導体の量は、EP又はEPDM重合体の重
量を基準にして、一般に約0.05〜10.0重量%、さらに好ましくは約0.1
〜約5重量%、最も好ましくは約0.15〜約1.0重量%の範囲である。本発明
で使用されるカルボキシル化EP又はEPDMは、ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)で測定される数平均分子量(Mn)が約15000〜約150000
、さらに好ましくは約25000〜約90000の固体材料である。
本発明の相溶化剤の一つであるEPDM-エポキシは、EPDMの不飽和部位
の直接的なエポキシ化或いはエポキシ基含有モノマーをEPDMにグラフトする
ことによって得ることができる。これ以降のエポキシ基という用語の用法には、
上記いずれかの方法で得られたエポキシドが包含される。EPDM-エポキシを
製造するためのこれらの合成技術の詳細は、米国特許第4156061号、同第
3842010号、同第3448174号及び同第3330794号に記載され
ている通り、当技術分野において周知である。典型的な例では、EPDM三元共
重合体(Vistalon 7000)をトルエン溶液中でm-クロロペルオキ
シ安息香酸と6時間にわたって反応させ、反応混合物をイソプロピルアルコール
で稀釈して沈殿した重合体を回収し、真空オーブンなかで乾燥することによって
反応生成物を単離した。反応生成物におけるエポキシ基の存在はFTIRスペク
トルをエポキシ基に特有の857cm-1の吸収バンドについて解析することによ
って確認されている。
本発明の目的のために好ましいスルホン化ゴム状弾性重合体は水に不溶性であ
り、スルホン化されたエチレンとプロピレンとジエン(好ましくは非共役ジエン
)の三元共重合体(EPDM)である。本発明の水に不溶性のスルホン化重合体
は、重合体100g当り約4〜約200ミリ当量のペンダントスルホン基、さら
に好ましくは10〜100ミリ当量のペンダントスルホン基を含んでいる。本発
明で使用されるスルホン化エラストマーは、元素周期律表の第IA族及び第IIA
族の元素、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、第VIIIB族、第IB族
及び第IIB族の遷移金属、鉛、スズ及びアンチモン、並びにアンモニウム及びア
ミン対イオンで中和される。亜鉛及びナトリウム中和イオン(酢酸塩や水酸化物
などのイオン塩として)が好ましい。適当な金属水酸化物、金属酢酸塩、金属酸
化物又は水酸化アンモニウムなどでの上記重合体の中和は当技術分野で周知の手
段によって行うことができる。本発明のスルホン化エラストマーの数平均分子量
は1000〜10000000、好ましくは5000〜1000000、最も好
ましくは10000〜600000の範囲にある。これらの重合体は当技術分野
で公知の方法によって製造することができ、例えば米国特許第3642728号
(その開示内容は文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす)を参照され
たい。
本発明で使用するのに最も好ましいスルホン化重合体はスルホン化エチレン/
プロピレン三元共重合体であり、これは米国特許第3870841号及び同第4
119616号(それらの開示内容は文献の援用によって本明細書の内容の一部
をなす)に記載された方法で製造し得る。
これらの三元共重合体を用いて相溶化することのできるゴムには、エチレン/
プロピレンゴム、ネオプレン、ニトリルゴム、エチレン/プロピレン/ジエンター
ポリマー、SBR、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリ(イソブチレン-コ-4-メ
チルスチレン)及び臭素化ポリ(イソブチレン-コ-4-メチルスチレン)ゴム、天
然ゴムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で用いるEPDM又はEPという用語には、特記しない限り、好ま
しくはエチレンとC3〜C28α-オレフィン(好ましくはプロピレン)及び/又は
非共役ジエン(かかるジエンの混合物も使用し得る)の三元共重合体、四元重合
体なども包含される。非共役ジエンの量は、存在するエチレンとα-オレフィン
の全量を基準にして、一般には約0.5〜20重量%であり、好ましくは約1〜
約7重量%である。
三元共重合体中の第3のモノマーとして使用し得る非共役ジエンの代表例には
、次のものが含まれる。
a.1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-オクタジエンのような直鎖非
環式ジエン.
b.5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメ
チル-1,7-オクタジエン、及びジヒドロミルセンとジヒドロシメンの混合異性体
のような枝分れ鎖非環式ジエン.
c.1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、1,5-シクロドデカジ
エン、4-ビニルシクロヘキセン、1-アリル,4-イソプロピリデン-シクロヘキサン
、3-アリル-シクロペンテン、4-アリル-シクロヘキセン、及び1-イソペニル-4-(
4-ブテニル)シクロヘキサンのような脂環式単環ジエン.
d.4,4'-ジシクロペンテニル、4,4'-ジシクロヘキセニルのような多単環脂環
式ジエン.
e.テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジ
エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン、並びにエチリデンノルボルネン、
5-メチレン-6-メチル-2-ノルボルネン、5-メチレン-6,6-ジメチル-2-ノルボルネ
ン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-(3-シクロペンチリデン)-2-ノルボルネン
及び5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのアルキルノルボルネン、アル
ケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアルケニルノルボルネ
ン、シクロアルキリデンノルボルネンのような、多環脂環式縮合環及び有橋環ジ
エン.
最も好ましいEPDMエラストマーは、約60〜約80重量%のエチレンと約
15〜約35重量%のプロピレンと約3〜約7重量%の非共役ジエンを含む。E
PDMの合成は当技術分野において周知である。G.ver Strate著,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering
,Vol.6,2nd Ed.,1986年,522〜
564頁参照。
本発明の一つの実施態様においてエラストマーブレンド中の主成分として使用
されるポリクロロプレンは商業的に入手可能な材料であり、一般にはCR又はネ
オプレンゴムと呼ばれている。種々のグレード及び分子量のものが入手可能であ
り、エラストマーグレードのものであれば本発明の組成物に使用するのに適して
いる。好ましいグレードはネオプレンGRTであり、これは結晶化に対する抵抗
性が高く、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンのコポリマーをベース
としたものである。ネオプレンの合成は当技術分野において周知である。C.A
.Hargraves他著,Encyclopedia of Polymer Science and Technology
,Vol.3,705〜73
0頁参照。
上記の通り、ポリクロロプレンは好ましくは本発明のエラストマー混合物の主
成分を構成するが、一般には全エラストマー分の重量を基準にして約30〜90
重量%の範囲で存在する。
ポリクロロプレンと他の極性ゴムのブレンドをベースにしたエラストマー組成
物を提供することも本発明の範囲に含まれる。
本発明の加硫性組成物には、EP又はEPDM及びポリクロロプレンに対する
慣用の混合加硫系も含まれる。一般に、かかる加硫系には、金属酸化物(酸化亜
鉛、酸化マグネシウム及びそれらの混合物など)が含まれるが、これらは単独で
使用することもできるし、或いは1種又はそれ以上の有機促進剤又は補充硬化剤
(アミン、フェノール系化合物、スルホンアミド、チアゾール、チウラム化合物
、チオウレア又はイオウなど)と混合して用いてもよい。有機ペルオキシドも硬
化剤として使用することができる。酸化亜鉛又は酸化マグネシウムは一般にエラ
ストマーブレンド100重量部当り約1〜約10重量部程度存在し、イオウ及び
補充硬化剤又は硬化促進剤を使用する場合には、それらはエラストマーブレンド
100重量部当り約0.1〜約5重量部程度存在していればよい。
本発明のエラストマーブレンド組成物は、その他に、滑剤、充填剤、可塑剤、
粘着付与剤、着色剤、発泡剤及び酸化防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。
充填剤の具体例としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タル
ク及びクレーなどの無機充填剤、並びに高スチレン樹脂、クマロン-インデン樹
脂、フェノール樹脂、リグニン、改質メラミン樹脂及び石油樹脂などの有機充填
剤が含まれる。
滑剤の具体例としては、オイル、パラフィン、液体パラフィンなどの石油系滑
剤;コールタール及びコールタールピッチなどのコールタール系滑剤;ヒマシ油
、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系のもの;タル油;ミツロウ、カル
ナバロウ及びラノリンなどのワックス類;チシノール酸(Ticinoleic acid)、パ
ルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム及びラウリン酸亜
鉛などの脂肪酸及び脂肪酸塩;並びに石油樹脂のような合成高分子物質が含まれ
る。
可塑剤の具体例としては、パラフィン、芳香族油及びナフテン系油のような炭
化水素油、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル並びに
リン酸系可塑剤が含まれる。
粘着付与剤の具体例は、石油樹脂、クマロン-インデン樹脂、テルペン-フェノ
ール樹脂、並びにキシレン/ホルムアルデヒド樹脂が含まれる。
着色剤の具体例は、無機及び有機顔料である。
発泡剤の具体例は、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、N,N'-ジニトロソ
ペンタメチレンテトラアミン、アゾカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、カルシウ
ムアミド、p-トルエンスルホニルアジド、サリチル酸、フタル酸及び尿素である
。
本発明の相溶化エラストマーブレンド組成物は、密閉式ミキサー(ブラベンダ
ープラスチコーダー)、バンバリーミキサー、押出機、ニーダー又は同様の混合
装置など好適な混合装置を用いて、調製及びブレンドすることができる。
相溶化すべきEPやEPDMゴムは、典型的には10〜90phr、さらに好
ましくは15〜50phr、最も好ましくは20〜40phrで存在する。改質
EPDM又はEPは、典型的には0.1〜60phr、さらに好ましくは5〜3
0phr、最も好ましくは5〜20phrで存在する。CRは、典型的には10
〜90phr、好ましくは30〜80phr、最も好ましくは40〜70phr
で存在する(phrはゴム100部当りの部分を意味する)。
ブレンド温度とブレンド時間はそれぞれ約45〜180℃及び約1〜10分間
である。上記エラストマーの均一混合物(適宜、任意成分としての充填剤、加工
助剤、酸化防止剤などと共に)を形成した後、架橋剤及び促進剤をさらに添加混
合し、次いで得られたブレンドを約100℃〜250℃、さらに好ましくは約1
25℃〜200℃の温度に1〜60分間加熱することによって上記混合物を加硫
する。ベルト類、ホース類、空気バネ、及び動力伝達ベルトなどの(ただし、こ
れらに限られない)成形品は、予備加硫した配合物を押出機又は金型を用いて成
形した後、上記規定の温度及び硬化時間に組成物を付すことによって製造される
。
実施例で使用した材料は以下の通りである。
(A)ネオプレン(CR)GRTはデュポン(DuPont)社製のポリクロロ
プレンである。
(B)ビスタロン7000(Vistalon 7000)(V7000と略す
)はエクソン・ケミカル(EXXON Chemical Company)か
ら入手可能な、125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が60でエチレン含
有
量が70重量%の急速硬化性の高ジエン・エチレン-プロピレンターポリマー(
EPDM)である。
(C)エクセラーVA1801(EXXELOR VA1801)は、エチレン
含有量が77重量%で、メルトフローレートが9g/10分(230℃で荷重1
0kg)で、無水マレイン酸含有量が0.7重量%以上のマレイン酸化EPゴム
である。
(D)N650及びN762は周知の汎用・中程度補強用カーボンブラックであ
る。これらはASTM D 1765-89に規定された規格品であり、コンチ
ネンタル・カーボン(Continental Carbon)社、J.M.ヒュ
ーバー(J.M.Huber)社、フィリップス・ケミカル(Phillips
Chemical)社、コロンビアン・ケミカルズ(Columbian Ch
emicals)社、コボット(Cobot)社及びアシュランド・ケミカル(
Ashland Chemical)社などの様々な企業によって製造されてい
る。
(E)サンデックス790(Sundex 790)は、NR、SBR、CR、
IIR、BR、EP、EPDMなど様々なゴムのコンパウンディングに使用され
る標準的な芳香族加工助剤(オイル)である。これも、カーボンブラックと同様
に、幾多の企業(例えばハーウィック(Harwick)社、マトロケム(Ma
trochem)社、R.E.キャロル(R.E.Carroll)社など)によ
って製造されている。
(F)オクタミン(Octamine)は主にCR、NR及びSBRに用いられる
酸化防止剤である。これは、熱、酸素及び屈曲に対して優れた保護効果を与える
。化学的には、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応生成物である。これは
ユニロイヤル・ケミカル(Uniroyal Chemical)社によって製
造されている。
(G)エージライトHP-S(AgeRite HP-S)は(オクタミンと同様
に)ゴムコンパウンディングに用いられる酸化防止剤である。これは、ジオクチ
ル化ジフェニルアミンとジフェニル-p-フェニレンジアミンのブレンドであり、
R.T.ヴァンダービルト(R.T.Vanderbilt)社によって製造さ
れている。
(H)マグライトD(Maglite D)は酸化マグネシウムであり、我々の
コンパウンドでは硬化剤として使用した。これはC.P.ホール(C.P.Hal
l)社及びメルク・ケミカル(Merk Chemical)社によって製造さ
れている。
本発明についての以上の概説的な説明を以降の具体的な実施例によってさらに
例示するが、これらは例示のためのものであって本発明を限定するものではない
。
用いた試験条件及び試験法を次の表1にまとめた。
実施例
I例1
密閉式ミキサー(バンバリー強力ミキサー)に、ポリクロロプレン(ネオプレ
ンGRT)100部、並びに酸化マグネシウムと酸化亜鉛硬化剤を除いた表2の
例1に列挙した成分すべてを投入した。混合物の温度を100〜120℃に維持
し、混合を約5分間続けた。この強力混合には、混練、剪断及びクロスオーバー
ブレンディングが含まれていた。均一混合をバンバリーミキサーから吐出して、
2本ロールミルの間に入れて、80〜90℃の温度でロール練りした。このエラ
ストマー塊に酸化亜鉛/酸化マグネシウム硬化剤を加え、ロール練りを約15〜
20分間継続した。
ロール練りしたエラストマー組成物をロールミルから厚さ約0.1インチのシ
ートとして取りだし、6インチ×6インチ×0.0075インチの金型に入れ、
約160℃の温度で20分間硬化した。成形試料の性質の評価を表1に示す標準
試験法で行った。例2
エラストマー組成物がポリクロロプレン70部とEPDM(V7000)30
部の混合物からなっていたこと以外は、例1のプロセスを繰り返した。その他の
成分については表2の例2に示す通りであった。例3
エラストマー組成物が70部のポリクロロプレンと30部のEPDMと10部
の本発明の相溶化剤であるEP-MA(エクセラーVA1801)の混合物から
なっていたこと以外は、例1のプロセスを繰り返した。その他の成分については
表2の例3に示す通りであった。
表2に示すデータから分かる通り、CR/EPDM/EP-MA(エクセラーV
A1801)の70/30/10アロイの相溶化の有益な効果は、熱老化特性(引
張り強さ及び伸び率の変化)、耐オゾン性、耐切傷生長性及びその他の物理的性
質が格段に改善されていることから明らかである。EPDMだけを添加しても(
表2の例2)、CRとEPDMの不相溶性のために、引張り強さ及び伸び率
が低下してしまう。しかし、本発明の相溶化剤であるエクセラーVA1801を
少量(10重量部)添加すると、これらの性質を回復させるのに役立つ。換言す
れば、相溶化ブレンド(表2の例3)の物理的特性は、非相溶化ブレンド(表2
の例2)に比べ、熱に暴露する前後を通じて全般的に優れている。ネオプレンに
EPDMを添加すると一般に耐オゾン性が改善される。しかし、CR/EPDM
の70/30ブレンドに、本発明の相溶化剤であるエクセラーVA1801を添
加すると(表2の例3)、耐オゾン性(特に動的耐オゾン性)がさらに一段と改
善される。耐切傷生長性試験では、相溶化ブレンド(表2の例3)はネオプレン
(表2の例1)及び二成分系ブレンド(表2の例2)に比べて格段の改善がみら
れた(数値の低いほど性能に優れる)。これは、動力伝達ベルトに応用する際の
重要な性質である。
II
ネオプレンGRT/EPDM/エポキシEPDM又はスルホン化EPDMブレンド例1〜例5
この研究のための手順では、上述のネオプレンベルト用の典型的コンパウンデ
ィング処方(表2)と同じ比率の硬化剤と酸化防止剤とステアリン酸を使用した
が、充填剤、カーボンブラック及びオイルは除いた。ブレンド(表3)を酸化防
止剤及びステアリン酸と共に小規模(45cc)C.W.ブラベンダーの中で11
0℃で5分間コンパウンディングした。ブレンド材料を50℃に冷却して硬化剤
(マグライトD及び酸化亜鉛)を加え、さらに5分間混合した。促進剤添加材料
を次に金型に入れて160℃で20分間プレスすることにより、硬化した。ダン
ベル形引張り試験片を金型から取り出し、室温での引張り特性、熱老化特性及び
動的耐オゾン性について測定した。結果は表3に記載されている。
少量の官能化EPDM(エポキシEPDM及びスルホン化EPDM)を添加し
たときの有益な効果は、引張り特性(引張り強さ及び伸び率)、熱老化特性及び
動的耐オゾン性が格段に改善されていることから明らかである。EPDM-エポ
キシの場合、結果から、ネオプレン/EPDMブレンド中のネオプレンの熱老化
特性及び耐オゾン性を改善するのにV7000をV7000-エポキシで完全に
置き換える必要のないことは明らかである。上記ブレンドの性質に相乗的効果を
与えるには少量(10重量%)のV7000-エポキシで十分であった。表3の
例5に示す通り、スルホン化EPDMの場合にはさらに良い結果が得られ、ネオ
プレン/EPDMブレンドの性質を改善するのに必要なスルホン化EPDMの量
は5重量%で十分であった。
これらの結果は、ネオプレン/EPDM/EP-MAの相溶性の向上に関する前
述の知見と一致する。これらの結果から、別の同様の官能化EPDMも理論上は
ネオプレン/EPDMブレンドの相溶化剤として作用し得るものと推断される。
このような官能化EPDMとしては、EPDM-アミン、EPDM-ヒドロキシ、
EPDM-SH、EPDM-CO2Hなどが考えられる。
上述の記載から、製造した材料及び手順は広範な本発明の特定の実施態様に関
するものであることは明らかである。上述の一般的説明及び特定の実施態様で本
発明の数々の形態について説明し例示してきたが、本発明の技術的思想及び技術
的範囲を逸脱せずに種々の変更を加えることができることは明らかである。した
がって、本発明はそれらに限定されるものではない。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C08L 23:16
23:26
51:04)
B60C 1/00
(72)発明者 ホワイト、ドナルド・アンドリュー
アメリカ合衆国、ニュー・ジャージー州
08540、プリンストン、ウッドサイド・レ
ーン 90