JPH08511682A - 組み換えbpi蛋白およびlbp蛋白、それをコードする核酸分子、その生産方法並びにそれらの使用 - Google Patents

組み換えbpi蛋白およびlbp蛋白、それをコードする核酸分子、その生産方法並びにそれらの使用

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JPH08511682A
JPH08511682A JP6524554A JP52455494A JPH08511682A JP H08511682 A JPH08511682 A JP H08511682A JP 6524554 A JP6524554 A JP 6524554A JP 52455494 A JP52455494 A JP 52455494A JP H08511682 A JPH08511682 A JP H08511682A
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ランダル ダヴリュウ. スコット
マリアン エヌ. マッラ
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インサイト ファーマシューティカルズ,インク.
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、BPI変異体、LBP変異体、LBP-BPIキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgGキメラあるいはLBP-BPI-IgGキメラをコードする組換え核酸分子と、それらによってコードされるタンパク質を提供するものである。本発明はさらに、BPI変異体、LBP変異体、LBP-BPIキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgGキメラあるいはLBP-BPI-IgGキメラを生産するための宿主ベクター系と、これらの宿主ベクター系を用いて上記タンパク質を産生させるための方法を提供するものである。本発明は、治療上有効な量のBPI変異体、LBP変異体、LBP-BPIキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgGキメラあるいはLBP-BPI-IgGキメラと薬剤学的に許容されるキャリヤーを含む薬剤学的組成物、およびこれらを用いて内毒素関連疾患を患う患者を治療するための方法を提供するものである。最後に、本発明は、予防上有効な分量のBPI変異体、LBP変異体、LBP-BPIキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgGキメラあるいはLBP-BPI-IgGキメラを被検者に投与することを含む、患者の内毒素関連疾患を予防する方法を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】 組み換えBPI蛋白およびLBP蛋白、それをコードする核酸分子、 その生産方法並びにそれらの使用 本出願は、1993年12月10日に出願された米国出願番号08/165, 717号の一部継続出願であり、前記米国出願番号08/165,717号は、 次の出願(a)および(b)の一部継続出願である。(a)1990年8月13 日に出願された米国出願番号07/567,016号および1991年4月30 日に出願されたPCT国際出願番号PCT/US91/05758の一部継続出 願である1993年4月30日に出願された米国出願番号08/056,292 号(b)1992年9月28日に出願されたPCT国際出願番号PCT/US9 2/08234。ここで、PCT国際出願番号PCT/US92/08234は 、1991年4月5日に出願された米国出願番号07/681,551号の一部 継続出願である1991年9月27日に出願された米国出願番号07/766, 566号の一部継続出願として、アメリカ合衆国を指定したものである。PCT 国際出願番号PCT/US91/05758は、1990年8月13日に出願さ れた米国出願番号07/567,016号および1991年4月5日に出願され た米国出願番号07/681,551号(この出願は、1990年1月22日に 出願された米国出願番号07/468,696号(この出願は、1989年2月 14日に出願された米国出願番号07/310,842号の一部継続出願である )の一部継続出願である1990年4月13日に出願された米国出願番号07/ 567,016号の一部継続出願である)の一部継続出願として、アメリカ合衆 国を指定したものである。なお、これらの出願の内容は参考文献として本明細書 中に含まれている。 発明の背景 本出願全体を通じて種々の公報が引用されている。これらの公報の開示は、本 発明が属する技術をより完全に記述するために参考文献として本明細書中に含ま れている。 グラム陰性菌の感染は、特に、入院していて免疫無防備状態にある患者の罹病 と死亡の主要な原因となっている(Duma,R.J.,Am.J.of Med.,78(Suppl.6A):154 -164(1985);Kreger,B.E.,D.E.Craven and W.R.McCabe,Am.J.Med.,68:344-355(19 80))。利用可能な抗生物質は、グラム陰性菌に感染していても通常有効である が、溶菌によってグラム陰性菌の外膜から放出される、熱に対して安定な細菌毒 素(内毒素あるいはリポ多糖(LPS)と呼ばれる)に関わる病態生理学的な効果 を中和するものではない(Shenep,J.L.and K.A.Morgan,J.Infect.Dis.,150(3): 380-388(1984))。内毒素は炎症反応を刺激する作用を持つ物質である。内毒素 血症は、内毒素が血流に入って劇症の全身性炎症反応を起こすことから発症する 。 生体内におけるLPSの有害な効果の多くは、炎症細胞から放出される可溶性の 媒介物質によって引き起こされる(Morrison,D.C.and R.J.Ulevitch,Am.J.Path ol,93(2):527-617(1978))。単球と好中球が、このプロセスにおいて重要な役割 を果たす。これらの細胞は微生物を細胞内に取り込んで殺すが、さらに殺菌作用 や、タンパク質分解作用、オプソニン作用、発熱作用、補体活性化作用、組織損 傷作用をもつ可溶性タンパク質を放出して、生体内で内毒素に反応する。腫瘍壊 死因子(TNF)は内毒素によって刺激を受けた単球が放出するサイトカインであ るが、この因子は内毒素が生体内でもつ毒素としての効果のいくつかを模倣する 。TNFを動物に注射すると、発熱したり、ショックを起こしたり、グルコース代 謝に変化が起きる。また、TNFは好中球を刺激する作用をもつ物質でもある。IL- 1やIL-6、IL-8などの他のサイトカインも、組織因子、キニノーゲン、酸化窒素 、および補体による内皮細胞の活性化に関する経路だけでなく、LPSの病態生理 学的効果の多くを媒介する。 内毒素の存在とその結果起こる炎症反応は、例えば、汎発性血管内凝固症(DI C)、成人呼吸促進症(ARDS)、心不全、器官不全、肝不全(肝胆汁性機能障害 )、脳不全(CNSの機能障害)、腎不全、多器官不全やショックを惹き起こすか もしれない。 内毒素血症に関連する疾病には、例示すれば、全身性炎症反応症候群(SIRS) 敗血症候群、敗血性ショック、細菌性髄膜炎、新生児敗血症、嚢胞性線維症、腸 炎および肝硬変、グラム陰性菌肺炎、グラム陰性菌腹部膿瘍、出血性ショックや 汎発性血管内凝固症などがある。化学療法を受けているか免疫無防備状態にある (例えば、AIDS)患者を含む、白血球減少症または好中球減少症の被検者は、細 菌感染や内毒素による二次的影響に対して、特に感受性が強い。内毒素関連疾患 は、グラム陰性菌の感染があるところではいつでも発生しうる。また、内毒素関 連疾患は、(a)出血性ショックの後やある種の外科手術の過程で起こりうるよう な胃腸管の虚血状態が発生したときや、(b)全身性あるいは局所性炎症によって 、内毒素やグラム陰性生物の腸管透過性が増大したときにも発生しうる。 目下のところグラム陰性菌感染への対処法は、抗生物質を用いて支持療法を行 うというものである。しかし、抗菌療法には成功しても、内毒素血症関連の罹病 率や死亡率は依然として高いままである。抗生物質はLPSの毒性効果を中和する のには有効ではない。このため、直接に内毒素を中和する活性をもった治療法に 対する需要が生じたのである。 ポリミクシンB(PMB)は塩基性のポリペプチド抗生物質で、大抵の毒素や生 物学的に活性のある内毒素成分であるリピドAに結合して、それらを構造的に破 壊することが明らかになっている。PMBは、インビトロで、内毒素による好中性 顆粒放出の活性化を阻害することが明かにされているので、グラム陰性菌感染に 対する治療薬となる可能性がある。しかし、全身毒性があるため、この抗生物質 は、局所治療薬として使用される場合を除いては、治療薬としての使用は制約さ れてきた。 抗生物質と多用量のコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(MPSS)を用い た組み合わせ療法が、イヌを用いたグラム陰性菌性敗血症のモデル実験において 死を回避できたことが示されている。しかし、抗生物質とともにMPSSを用いて、 臨床上、全身性敗血症の病徴を示していた223人の患者にマルチセンター法で二 重盲検法により偽薬を対照とした臨床実験を行った研究の結果、治療グループと 偽薬グループの死亡率に有意な差はないことが分かった(Bone,R.C.,etal.,N.En gl.J.of Med.317:653(1987))。 内毒素血症を治療するための比較的新しいアプローチは、内毒素を中和する抗 体で受動免疫するというものである。大腸菌J5に対して過免疫したヒトの免疫 グロブリンが、グラム陰性菌血症およびショックを起こした患者の死亡率を50% 減少させることが明らかにされた。他のグループは、内毒素に対する、マウス、 キメラあるいはヒトのモノクローナル抗体を用いることを提案した。しかしなが ら、これらの抗体は内毒素を中和しないのである。 内毒素血症を治療するもう一つの方法は、可溶化されたIL-1とTNF受容体ある いはIL-1受容体の拮抗剤と抗TNF抗体などのサイトカイン遮断因子の使用を伴う ものである。しかし、サイトカイン遮断因子は、それにとって特異的なサイトカ インを遮断できるだけで、他のサイトカインを遮断することはできない。さらに 、サイトカインを遮断することは、他の有害な影響をもたらすかもしれない。 内毒素に対する生理的反応において、ある種の役割を担う可溶性の内毒素結合 性タンパク質が今までに2つ同定されている。一つはリポ多糖結合タンパク質( LBP)で、血清の中で見いだされた細胞の内毒素活性化を媒介する可溶性受容体 である。二つめは殺菌性のある透過性増加タンパク質(BPI)で、内毒素に結合 してこれを中和し、炎症細胞の活性化を阻害する。これら2つの天然の結合性タ ンパク質は、内毒素の結末と、局所的あるいは全身的なグラム陰性菌感染に対し て身体がどのように反応するかを決定する際に相反する役割を果たす。 1980年代に、ユーレヴィッチとその共同研究者らは、ウサギの急性期血清から 、強い親和性をもってLPSに結合するタンパク質を単離したと報告した(Tobias, P.S.,Soldau,K.and Ulevitch,R.J.(1986)J.Exp.Med.164:777-793)。彼らはこの タンパク質をリポ多糖結合タンパク質(LBP)と名付けた。LBPは次に、LPSでコ ートされた粒子が単球によってオプソニン化される作用を刺激することが示され た(Wright,S.D.,Tobias,P.S.,Ulevitch,R.J.and Ramos,R.A.(1989)J.Exp.Med. 170:1231-1241)。さらにLBPは内毒素のリピドA部位に結合することが明らかに されたが、内毒素の生物活性の多くはリピドAとの結合が要因になっている(To bias,P.S.,Soldau,K.and Ulevitch,R.J.(1989)J.Biol.Chem.264:10867-10871) 。 BPIは好中性顆粒タンパク質として、1975年に初めて発見された(Weiss,J.,R. C.Eranson,S.Becherdite,K.Schmeidler,and P.Elsbach,J.Clin.Invest.55:33( 1975))。BPIは1978年にヒトの好中球から高純度の形態で得られ、リン酸緩衝食 塩水内というインビトロでの実験で、膜透過性を増加させ、グラム陰性菌に対す る殺菌活性をもつことが示された(Weiss,J.,et al.,J.Biol.Chem,253:2664-267 2(1978))。ワイスらはBPIがホスホリパーゼA2の活性を高めることを明らかにし たが、このことは、インビトロでの殺菌活性に加えて、BPIに対する前炎症活性 があることを示唆している(Weiss et al.,J.Biol.Chem.254:11010-11014(1979) )。 ウサギのBPIは1979年に精製された(Elsbach et al.,J.Biol.Chem.254:11000- 11009)が、ヒトからのBPI同様、殺菌作用と透過性を増加させる性質があること が明らかにされた。このため、ウサギのBPIはさらに研究を押し進めてゆくため の材料となることが分かった。ウサギのBPIもヒトのBPIも、Kl被膜をもつ大腸菌 など、様々なグラム陰性菌に対して、インビトロで有効であることが示された( Weiss et al.,Infection and Immunity 38:1149-1153(1982))。 1984年にはBPIと同じ性質をもつタンパク質がヒトの好中球から単離されて、 カチオン性抗菌蛋白57(CAP57)と名付けられた(Shafer,W.M.,C.E.Martin and J.K.Spitznagel,Infect.Immun.45:29(1984))。1986年には、ホブドとグレイがB PIと実質的に同じ性質をもつ殺菌性糖タンパク質を報告している(Hovde and Gr ay,Infection and Immunity 54(1):142-148(1986))。 1984年にはワイスらによって、インビトロでのBPIの殺菌作用におけるリポ多 糖の役割について議論された(J.Immunol.132(6):3109-3115(1984))。ワイスら は、BPIがグラム陰性菌の外膜に結合すると、LPSが細胞外へ放出し、LPSの生合 成を選択的に剌激することを示した。 1985年に大井らは、BPIは、好中球のプロテアーゼで切断された後でもインビ トロでの殺菌活性を保持していることを報告しており、BPI分子の断片が活性を 持つことを示唆した(Ooi and Elsbach,Clinical Research 33(2):567A(1985)) 。BPIのインビトロでの殺菌作用及び透過性増加活性はすべて、このタンパク質 のN末端側の25kDの断片に依存している(Ooi,C.E.,et al.,J.Biol.Chem.262:14 891(1987))。BPIのグラム陰性菌への結合は、当初LPSの構造を壊して微生物の 疎水性低分子への透過性を変化させ、細胞死をもたらすものとして報告されてい た(Weiss,et al.(1987))。BPIとLBPの分子構造 BPIはLBPと相同なアミノ酸配列をもち、免疫交差反応性をもつ(Tobias et al ., J.Biol.Chem.263:13479-13481(1988))。また、BPIをコードする遺伝子も、LBP をコードする遺伝子もクローニングされている(Gray,P.W.,Flaggs,G.,Leong,S. R.,Gumina,R.J.,Weiss,Ooi,C.E.and Elsbach,P.(1989)J.Biol.Chem.264:9505-9 509)。両遺伝子とも疎水性のリーダー配列をコードし、44%のアミノ酸配列が 同一なポリペプチドをコードしている。LBPは4つのシステイン残基と5つの糖 鎖付加が可能部位をもち、一方、BPIは3つのシステイン残基と糖鎖付加部位を 2つだけもっていることがシューマンらによって報告された。しかし、本研究で 用いられたLBPのcDNA配列とアミノ酸配列は、システイン残基を欠き、4個 のアミノ酸の挿入があるという重要な違いがあるなど、シューマンらによって発 表されたものとは異なることを注記しておきたい。ここで用いられたLBPとは、 図5でヒトのLBPとして示す配列をもつタンパク質を意味する。BPIは、プロリン を多く含むヒンジ領域により分けられるN末端側領域とC末端側領域という2つ の別々の領域をもつと言い表せる。LBP分子のN末端側の領域はBPIと同じ殺菌活 性とLPS結合ドメインをもつことが明らかにされている(Ooi and Elsbach,Clini cal Research 33(2):567A(1985);Ooi,C.E.,et al.,J.Biol.Chem.262:14891(198 7))。BPIのC末端側領域には緩やかなLPS結合活性があることが報告されている 。 LBPのC末端側領域は単球との結合とその活性化に関係すると考えられている 。BPIのN末端側領域とC末端側領域には際立った電荷の不斉性が見られるが、 これはLBPでは見られない。BPIのN末端側の領域には陽性の電荷をもつリシン残 基が非常に多く、この電荷のために、C末端側領域は僅かに陰性に荷電している にも関わらず、分子全体のpI値は10以上と推定されている。BPIの殺菌活性はこ のカチオン性に由来するのかもしれない。LBPはほぼ中性で片寄った電荷の分布 は見られず、殺菌作用も持たない(Tobias,P.S.,Mathison,J.C.and Ulevitch,R .J.(1988)J.Biol.Chem.263:13479-13481)。BPIとLBPのN末端側およびC末端側 領域の推定される機能を図2に示す。表1は、BPIとLBPの構造と機能を比較した ものである。BPIとLBPの治療への応用 LPSの炎症作用を遮断する治療的介入によって、内毒素血症と敗血性ショック 関連の罹病率と死亡率を低下させることができる。残念ながら、天然のBPIはヒ トの血流中での半減期が非常に短いため、治療への利用は制約されている。天然 のLB Pは比較的長い半減期をもつが、内毒素存在下では単球活性を強く誘導するため 、もしこの反応が過剰になるとサイトカインが身体に有害になるほど大量に放出 されてしまうことになる。理想的な候補は、より長い半減期を持ち、単球を刺激 せずに内毒素に結合してこれを不活化する効力を持つものであろう。 発明の要約 本発明は、BPIの変異体をコードする組み換え核酸分子を提供するものである 。本発明はまた、本発明に係る組換え核酸分子によってコードされるBPI変異体 を提供するものである。 本発明はさらに、本発明の組換えcDNA分子を含むベクターを提供するもの である。本発明はさらに、適切な宿主の中に取り込まれた本発明に係るベクター を含む、BPI変異体を産生するための宿主ベクター系をも提供するものである。 本発明はさらに、本発明に係る宿主ベクター系を、BPI変異体を産生させ、か つ産生されたBPI変異体を回収しうる条件下で培養することを含む、BPI変異体の 生産方法を提供するものである。 本発明は、LBPの変異体をコードする組換え核酸分子を提供するものである。 本発明はまた、本発明に係る組換え核酸分子によってコードされるLBP変異体を 提供するものである。 本発明はさらに、本発明の組換えcDNA分子を含むベクターを提供するもの である。本発明はさらに、適切な宿主の中に取り込まれた本発明に係るベクター を含む、LBP変異体を産生するための宿主ベクター系をも提供するものである。 本発明はさらに、本発明に係る宿主ベクター系を、LBP変異体を産生させ、か つ産生されたLBP変異体を回収しうる条件下で培養することを含む、LBP変異体の 生産方法を提供するものである。 本発明は、LBP-BPIキメラ体をコードする組換え核酸分子を提供するものであ る。本発明はまた、本発明に係る組換え核酸分子によってコードされるLBP-BPI キメラ体を提供するものである。 本発明はさらに、本発明に係る組換えcDNA分子を含むベクターを提供する ものである。本発明はさらに、適切な宿主の中に取り込まれた本発明に係るベク ターを含む、LBP-BPIキメラ体を産生するための宿主ベクター系をも提供するも のである。 本発明はさらに、本発明に係る宿主ベクター系を、LBP-BPIキメラ体を産生さ せ、かつ産生されたLBP-BPIキメラ体を回収しうる条件下で培養することを含む 、LBP-BPIキメラ体の生産方法を提供するものである。 本発明は、BPI-IgGキメラ体をコードする組換え核酸分子を提供するものであ る。本発明はまた、本発明に係る組換え核酸分子によってコードされるBPI-IgG キメラ体を提供するものである。 本発明はさらに、本発明に係る組換えcDNA分子を含むベクターを提供する ものである。本発明はさらに、適切な宿主の中に取り込まれた本発明に係るベク ターを含む、BPI-IgGキメラ体を産生するための宿主ベクター系をも提供するも のである。 本発明はさらに、本発明に係る宿主ベクター系を、BPI-IgGキメラ体を産生さ せ、かつ産生されたBPI-IgGキメラ体を回収しうる条件下で培養することを含む 、BPI-IgGキメラ体の生産方法を提供するものである。 本発明は、LBP-IgGキメラ体をコードする組換え核酸分子を提供するものであ る。本発明はまた、本発明に係る組換え核酸分子によってコードされるLBP-IgG キメラ体を提供するものである。 本発明はさらに、本発明に係る組換えcDNA分子を含むベクターを提供する ものである。本発明はさらに、適切な宿主の中に取り込まれた本発明に係るベク ターを含む、LBP-IgGキメラ体を産生するための宿主ベクター系をも提供するも のである。 本発明はさらに、本発明に係る宿主ベクター系を、LBP-IgGキメラ体を産生さ せ、かつ産生されたLBP-IgGキメラ体を回収しうる条件下で培養することを含む 、LBP-IgGキメラ体の生産方法を提供するものである。 本発明は、LBP-BPI-IgGキメラ体をコードする組換え核酸分子を提供するもの である。本発明はまた、本発明に係る組換え核酸分子によってコードされるLBP- BPI-IgGキメラ体を提供するものである。 本発明はさらに、本発明に係る組換え核酸分子を含むベクターを提供するもの である。本発明はさらに、適切な宿主の中に取り込まれた本発明に係るベクター を含む、LBP-BPI-IgGキメラ体を産生するための宿主ベクター系をも提供するも のである。 本発明はさらに、本発明に係る宿主ベクター系を、LBP-BPI-IgGキメラ体を産 生させ、かつ産生されたLBP-BPI-IgGキメラ体を回収しうる条件下で培養するこ とを 含む、LBP-BPI-IgGキメラ体の生産方法を提供するものである。 本発明は、治療上有効な分量のBPI変異体、LBP変異体、LBP-BPIキメラ体、BPI -IgGキメラ体、LBP-IgGキメラ体あるいはLBP-BPI-IgGキメラ体と薬学的に許可さ れた賦形剤とを含む薬学的組成物を提供するものである。 本発明はさらに、LPSに結合することによってLPSが媒介する好中球および単球 細胞への刺激を阻害しつつ対象者を治療する効果をもつ、本発明に係る薬剤組成 物を一用量投与することを含む、内毒素関連疾病に羅患した対象者の治療方法を 提供するものである。 最後に、本発明は、内毒素関連疾病を防止する方法を提供するものであり、こ の方法には、被検者が内毒素関連疾患を起こすのを防止するために、予防上有効 な分量のBPI変異体、LBP変異体、LBP-BPIキメラ体、BPI-IgGキメラ体、LBP-IgG キメラ体あるいはLBP-BPI-IgGキメラ体を対象者に投与することが含まれる。 図面の簡単な説明 図1Aおよび1B 本発明で利用されたLBPの配列(LBP-b)と、シューマン(Schumann)らにより 発表されたLBPの配列(LBP-a)との相違点を示す。図2 BPIおよびLBPの、LPSおよび単球に対する相互作用のモデルを示す。LBPはLPS に結合してLBP-LPS複合体を作り、この複合体は次にCD14に結合して単球を活性 化し炎症性のサイトカインを作らせる。BPIはLPSと結合するが、BPI-LPS複合体 はCD14には結合せず、単球を活性化することもない。図3および3B BPIの塩基およびアミノ酸配列を示す。図4および4B LBPの塩基およびアミノ酸配列を示す。図5および5B いくつかの種におけるBPIとLBP蛋白のアミノ酸配列を示す。図6 NCY118蛋白のアミノ酸配列を示す。図7および7B ヒトIgG-1のアミノ酸および塩基配列を示す。図8 ビオチン化BPIのLPSへの結合に及ぼす、BPI,NCY102,NCY103,およびNCY104の効 果を示す。図9 発色性LAL検定において、BPI,NCY102,NCY103,NCY104およびNCY105蛋白がLPS活 性に及ぼす効果を示す。図10 BPIおよびNCY103存在下での、FITC-LPSの単球との結合を示す。図11 LPSによる全血へのNIFの放出に及ぼすBPI,NCY102,NCY103およびNCY104への効 果を示す。図12 静脈内注射後のマウス血清からのBPI,NCY102,NCY103およびNCY104のクリアラ ンスを示す。図13 内毒素投与前に与えられたBPIとNCY103の効力の比較を示す。図14 ビオチン化BPIのLPSとの結合に及ぼすBPI,NCY103,NCY1118,NCY114,NCY115およ びNCY117の効果を示す。図15 10%自己由来血清存在下(パネルA)および血清非存在下ならびに、0.5%ヒト 血清アルブミン存在下(パネルB)におけるFITCでラベルされたLPSのヒト抹消血 単球への結合に及ぼすBPI,LBP,NCY103およびNCY104の効果を示す。図16 血清非存在下において、フォルボルエステルにより誘導されたTHP-1細胞によ るTNFαの放出に及ぼすLBP対NCY103,NCY104,NCY117およびPLL(ポリ-L-リジン) の刺 激効果の比較を示す。図17 血清なしで培養されたTHP-1細胞でのLPSにより媒介されるTNFの産生を示す。図18A,18B,18C,18D,18E,および18F クリアランス:BPI,LBP,NCY103,NCY104,NCY118(パネルA);BPI,NCY114,NCY1 15,NCY139(パネルB);BPI,LBP,NCY117,NCY118(パネルC);CD-1マウスにおけ るBPI,LBP,NCY114(FC,BPI双方について計った場合)(パネルD);LBP,NCY116, NCY117,NCY118(パネルE);NCY102,NCY103,NCY115,NCY135,NCY134(パネルF) ;NCY102,NCY141,NCY142,NCY143,BPI(パネルG);およびBPI,NCY115,NCY114( パネルH)図19 ピキア・パストリス(Pichia pastoris)により産生されたBPIとNCY118のウエ スタンブロットを示す。図20 内毒素による単球の活性化に及ぼすBPIとNCY103の効果を示す。 発明の詳細な説明 本発明は、内毒素血症及び敗血症に関連した罹病率及び死亡率を改善すること を目的とし、天然BPI、天然LBPのいずれとも異なり、より有益な生物学的性質を 有するBPI変異体、LBP変異体、BPI-LBPキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgGキメラ を提供するものである。本発明はまた、これらの分子の治療及び予防への利用を 提供するものである。 特に、本発明はBPI変異体をコードする組み換え核酸分子を提供するものであ る。一つの態様として、組み換え核酸分子はDNA分子である。好ましい態様とし て、DNA分子はcDNA分子である。 本明細書において用いられているように、BPI又は殺菌性透過性増加タンパク 質(bactericidal permeability increasing protein)とは、図5に示したアミ ノ酸配列を有するタンパク質を意味する。BPIヌクレオチド及びアミノ酸配列は 、図3に示した。 本明細書において用いられているように、BPI変異体とは、BPIの一部を含むタ ンパク質であり、(a)LPSに結合し、(b)LPSへの結合についてBPI又はLBPに 匹敵し、(c)ヒト単球によるLPSを介したTNFαの生産を阻害することのできる タンパク質であるものを意味する。例えば、BPI変異体には、BPIのフラグメント BPIの点変異体、PBIの欠失変異体又は、PBIの点及び欠失両方の変異体が含まれ る。 本明細書において用いられているように、LPSは「内毒素」と同義に用いられ るリポ多糖を意味する。本明細書において、TNFαは腫瘍壊死因子アルファを意 味する。 一つの態様として、BPI変異体は、セリン残基351がセリン以外のアミノ酸Xに 置換されたBPI(S351→X)という構造を有する。好ましい態様として、Xはアラニ ンである。 本出願において、BPI変異体及びキメラ中のBPIの部分は、文字Bで表し、図5 に示したヒトBPIのアミノ酸に相当するアミノ酸配列番号を後に続ける。図5は 、成熟N末端アミノ酸を残基1として表している。LBP変異体及びキメラ中のLBP の部分は、文字Lで表し、図5に示したヒトLBPのアミノ酸に相当するアミノ酸配 列の番号を後ろに続ける。図5は、成熟N末端アミノ酸を残基1として表してい る。 例えば、L1-197B200-456(NCY118)は、BPIのアミノ酸残基200-456のN末端にC末 端が融合したLBPのアミノ酸残基1-197を含む。L1-197B200-456は、図6に示した 。L1-197B200-456は、BPIのC末端ドメイン(LPSを除去すると考えられているド メインを含む)に融合したLBPのN末端ドメイン(内毒素結合ドメインを含む)を 有する。 本出願において、一つのアミノ酸置換は括弧内に記す。元のアミノ酸残基(標 準的なアミノ酸の一文字表記を用いた)を先に示し、その後に矢印と置換したア ミノ酸残基を続ける。例えば、あるBPI変異体においては、元のセリン残基351が アラニンに置換され(それにより糖結合シグナルが除去される。)、それをBPI( S351→A) と表す。もう一つの例として、LBP-BPIキメラNCY103はL1-197(143→V)B200-456(N206→D) と表され、それはLBP部分の元のイソロイシン残基43がバリン 残基に置換され、BPIの元のアスパラギン残基206がアスパラギン酸に置換された ことを意味する。適当なアミノ酸置換には、一つのタンパク質のある特定のアミ ノ酸 を、別のタンパク質の相当する位置の残基に置換するものが含まれるが、これに 限定されない。例えば、BPI(Xn→Y)は、そのような置換の一般的な表示である。 これは、BPIの位置nにおけるアミノ酸残基Xを、LBP(又はウサギ或いはウシLBP )の位置nにおける残基Yに置換したことを意味する。「X」及び「Y」は、アミ ノ酸の一次配列におけるアミノ酸の位置を表す。これに関連する「Y」は、アミ ノ酸残基チロシンを表す記号「Y」とは混同してはいけない。BPI(Xn→Y)は、LBP の位置nの残基XをBPI(又はウサギ或いはウシBPI)の位置nの残基Yと置換する ようなもう一つの例である。 アミノ酸残基の挿入もまた、括弧内に示す。まず、挿入が起こる前のアミノ酸 残基及びその番号を示す。矢印の後に、挿入前のアミノ酸残基、そして挿入アミ ノ酸を示す。例えば、B(DS200→DP)においては、プロリン残基が、位置200のセ リン残基と置換している。 本発明はまた、本発明の組み換え核酸分子によりコードされるBPI変異体を提 供するものである。 本発明はさらに、本発明の組み換えcDNA分子を含むベクターを提供するもので ある。本発明の組み換えcDNAを含まないベクターは、当業者が容易に入手でき、 本発明のベクターの作成に容易に用いられる。 本発明のタンパク質を発現するために、非常に多くのベクターが使用される。 プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクター、そして その他のウイルスなどを含むそのようなベクターは、当業者によく知られている 。例えば、あるクラスのベクターは、ウシパピローマウイルス(bovine papillom avirus)、ポリオーマウイルス(poryoma virus)、アデノウイルス(adenovirus)、 ワクシニアウイルス(vaccinia virus)、バキュロウイルス(baculovirus)、レト ロウイルス(retrovirus)(RSV、MMTV、MoMLVのいずれか)、セムリキ森林熱ウイ ルス(Semliki Forest virus)、SV40ウイルスのような動物ウイルス由来のDNA因 子を利用する。さらに、DNAを染色体に安定に取り込んだ細胞は、トランスフェ クトされた宿主細胞を選択するためのマーカーを、一つ又は複数導入することに より選別される。マーカーは、例えば、栄養要求性の宿主に対する原栄養性、生 物毒抵抗性、銅などの重金属抵抗性を供給する。選別のためのマーカー遺伝子は 、DNA配列 に直接連結させ発現させることもできるし、同一細胞に同時トランスフォーメー ション(cotransformatin)させることもできる。 発現に必要な調節因子には、RNAポリメラーゼの結合するプロモーター配列及 びリボソーム結合のための転写開始配列が含まれる。mRNAの最適な合成のために も、特別な因子が必要である。これらの特別因子には、スプライスシグナル、エ ンハンサー、終止シグナルが含まれる。例えば、細菌の発現ベクターには、ラク トース(lac)プロモーターのようなプロモーター、転写開始のためのシャイン− ダルガーノ(Shine Dalgarno)配列、開始コドンAUGが含まれる。同様に、真核細 胞の発現ベクターには、RNAポリメラーゼIIのための異種又は同種のプロモータ ー、下流のポリアデニル化シグナル、開始コドンAUG、リボソーム解離のための 終止コドンが含まれる。このようなベクターは、市販のものを購入するか、当業 者に知られた方法、例えば一般的なベクター作成のための上記方法により、前記 の配列から組み立てることもできる。 本発明はさらに、適当な宿主中に本発明のベクターを含むような、BPI変異体 の作成のための宿主ベクター系を提供するものである。宿主ベクター系の作成法 は、当業者によく知られている。 適当な宿主細胞には、細菌の細胞(グラム陽性細胞も含む)、酵母の細胞、菌 類の細胞、昆虫の細胞、動物の細胞が含まれるが、これに限定されない。適当な 動物細胞には、Hela細胞、COS細胞、(COS-7細胞も含む)、CVl細胞、NIH-3T3細 胞、CHO細胞、LtK細胞が含まれるが、これに限定されない。 ある種の動物細胞、即ち哺乳類の細胞には、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロ ポレーション、マイクロインジェクションのような当業者によく知られた方法に よりトランスフェクトできる。 一つの態様として、適当な宿主は細菌の細胞である。細菌の細胞には、例えば グラム陰性細胞(例えば大腸菌細胞)が含まれる。もう一つの態様として、適当 な細胞は真核細胞である。真核細胞には、哺乳類の細胞がある。哺乳類の細胞に は、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)が含まれる。真核細胞には 、酵母細胞もある。酵母細胞には、例えばPichia細胞が含まれる。 本発明はまた、BPI変異体を作成するための方法を供給するものである。それ は、 BPI変異体が生産され、そうして生産されたBPI変異体が回収されるような条件下 における、本発明の生育に関した宿主ベクター系を含む。 宿主ベクター系において、タンパク質が生産される条件は、当業者によく知ら れている。タンパク質の回収は、当業者によく知られた方法により達成される。 このような方法には、ゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニテ イクロマトグラフィ、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これに限定されな い。 本発明は、LBP変異体をコードする組み換え核酸分子を提供する。一つの態様 として、組み換え核酸分子はDNA分子である。好ましい態様として、DNA分子はcD NA分子である。 本明細書において用いられているように、LBP又はリポ多糖体結合タンパク質 とは、図5に示したヒトLBPのアミノ酸配列を有するタンパク質を意味する。図 5に示したヒトLBPのアミノ酸配列は、Schumannらにより報告されたアミノ酸配 列(Science 249:1429-1431(1990))と異なる。従って、図5に示したヒトLBPのア ミノ酸配列は、Schumannらにより報告された配列と混同してはいけない。図1は 、ここで用いているLBP配列と、Schumannらにより発表されたLBP配列の間の違い を示している。LBPヌクレオチド及びアミノ酸配列は、図4に示した。 本明細書において用いられているように、LBP変異体とは、LBPの一部を含むタ ンパク質であり、(a)LPSに結合し、(b)LPSへの結合についてBPI又はLBPに 匹敵し、(c)ヒト単球によるTNFαの生産を阻害することのできるタンパク質 であるものを意味する。例えば、LBP変異体には、LBPのフラグメントLBPの点変 異体、LPBの欠失変異体又は、LPBの点及び欠失両方の変異体が含まれる。 本発明は、LBP-BPIキメラをコードする組み換え核酸分子を提供するものであ る。一つの態様として、組み換え核酸分子はDNA分子である。好ましい態様とし て、DNA分子はcDNA分子である。 本明細書において用いられているように、キメラとは、第二のタンパク質のす べて又は一部に融合した、第一のタンパク質のすべて又は一部を含むタンパク質 を意味する。こうしてできた融合タンパク質は、次に第三のタンパク質のすべて 又は一部と融合することも可能である。キメラには、(a)BPIの一部に融合し た LBPの一部を含むタンパク質、(b)BPIの一部に融合したLBPの一部が、次に免 疫グロブリンの一部に融合したタンパク質、(c)BPIの一部と融合したLBPの一 部が、次にLBPの一部に融合したタンパク質が含まれるが、これに限定されない 。キメラの各タンパク部分は、タンパク質のフラグメント、タンパク質の点変異 体、タンパク質の欠失変異体又は、タンパク質の点及び欠失両方の変異体を含む 。 本明細書において用いられているように、LBP-BPIキメラとは、(i)BPIの一 部に融合したLBPの一部を含み、(ii)(a)LPSに結合し、(b)LPSへの結合 についてBPI又はLBPに匹敵し(c)ヒト単球によるTNFαの生産を阻害すること のできるタンパク質を意味する。 LBP及びBPIのキメラは、BPI及びLBP両方の性質を持ち合わせている。例えば、 BPIのC末端ドメインにLBPのN末端ドメインが融合したものはLBP-BPIキメラとな る(例えば、NCY103又はNCY118)。このLBP-BPIキメラは、血液全体の内毒素を 中和するという点でLBPと異なり、長いインビボ半減期を有するという点におい てBPIと異なる。このようなキメラは、内毒素血症の患者の血液から内毒素を除 去することに使用できる。BPI-LBPキメラは、BPIのN末端ドメインのすべて又は 一部が、LBPのC末端ドメインのすべて又は一部に融合したものを含むタンパク質 である(例えば、NCY104)。このキメラは、内毒素への結合についてBPIに匹敵 する効果を持ち、しかし、LBPのように内毒素の存在化で単球を活性化すること はない。 例えば、一つ又は複数のBPI中の陽性の非保存残基(つまり、LBPの相当部位に は存在しない残基)を、一つ又は複数のLBP中の相当する残基と置換することが できる(例えばNCY139のように)。このような置換により、BPIの陽性は低下す るであろう。もう一つの例としては、LBP中の非保存(BPIの陽性の残基に相当す る部位における)残基を、BPI中の相当する陽性の残基と置換することができる (例えばNCY141のように)。そしてその結果、陽性の増した変異体が得られ、LP Sの陰性のリン酸基への結合が強化され、陰性のグラム陰性菌表面との相互作用 が促進される。陽性の残基の例としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンがあ る。 その他のBPI或いはLBP変異体及びキメラは、一つ又は複数のシステイン残基が 欠失しているか、セリン又はその他のアミノ酸で置換されている。このような変 異体及びキメラは、作成過程又は使用過程における、BPI或いはLBP変異体又はキ メラの凝集の防止に役に立つ。例えば、BPIのシステイン残基132(LBPには保存 されていない)は、アラニン(LBPの相当する残基)又はセリンと置換される。 その他のBPI、LBP変異体及びキメラは、一つ又は複数の非保存糖結合部位を、 アミノ酸置換又は欠失により失っている(例えば、NCY105のように)。又は、そ の他のBPI或いはLBP変異体及びキメラは、アミノ酸挿入又は置換により糖結合部 位を付加されている。 その他のBPI或いはLBP変異体及びキメラは、一つ又は複数の二次構造を変化さ せるアミノ酸を欠失又は挿入されている。例えば、BPI中の一つ又は複数の非保 存プロリン残基は、プロリン以外のLBP中の相当する残基と置換され得る。又は 、LBPの一つ又は複数の(BPIのプロリンに相当する位置に存在する)非保存残 基は、LBPの二次構造をBPIにより近付けるように変化させる、プロリンと置換さ れ得る。 一つの態様として、LBP-BPIキメラは、LBP1-197BPI200-456という構造を有す る。さらに別の態様として、LBP-BPIキメラは、LBP1-197(143→V)BPI200-456(N2 06→D) という構造を有する。 好ましい態様として、LBP-BPIキメラは、BPIの残基199から残基359までのアミ ノ酸配列のすべて又は一部を含む。、BPIの残基199から残基359までのアミノ酸 配列は、LPSを中和する、つまりLPSが炎症反応を刺激するのを妨げるために必要 な領域を含む。 本発明はまた、LBP-BPIキメラをコードする組み換え核酸分子、ベクター、宿 主ベクター系を提供するものである。 本発明は、BPI-IgGキメラ及びBPI-IgGキメラをコードする組み換え核酸分子を 提供するものである。一つの態様として、組み換え核酸はDNAである。好ましい 態様として、DNA分子はcDNA分子である。 本発明において用いられているように、BPI-IgGキメラとは、(i)IgG分子の 一部のN末端にC末端が融合したBPIの一部(少なくとも10アミノ酸残基の長さ) を含み、(ii)(a)LPSに結合し、(b)LPS結合についてBPI又はLBPに匹敵し 、(c)ヒト単球によるTNFαの生産を阻害することのできるタンパク質を意味 する。好ましい態様として、IgG分子の一部は、IgG重鎖Fcドメインである。IgG 重鎖Fcドメインには、図7に示したような配列を有するIgG重鎖Fcドメインがあ る。BPI-I gGキメラの例としては、B1-199Fcがある。 本発明は、LBP-IgGキメラ及びLBP-IgGキメラをコードする組み換え核酸分子を 提供するものである。一つの態様として、組み換え核酸はDNAである。好ましい 態様として、DNA分子はcDNA分子である。 本発明において用いられているように、LBP-IgGキメラとは、(i)IgG分子の 一部のN末端にC末端が融合したBPIの一部(少なくとも10アミノ酸残基の長さ) を含み、(ii)(a)LPSに結合し、(b)LPS結合についてBPI又はLBPに匹敵し 、(c)ヒト単球によるTNFαの生産を阻害することのできるタンパク質を意味 する。 本発明はまた、本発明の組み換え核酸分子によりコードされるLBP-IgGキメラ を提供するものである。 本発明はさらに、本発明の組み換えcDNA分子を含むベクターを提供するもので ある。 本発明は、LBP-BPI-IgGキメラ及びLBP-BPI-IgGキメラをコードする組み換え核 酸分子を提供するものである。一つの態様として、組み換え核酸はDNAである。 好ましい態様として、DNA分子はcDNA分子である。 本発明において用いられているように、LBP-BPI-IgGキメラとは、(i)IgG分 子の一部のN末端にC末端が融合したBPIの一部(少なくとも10アミノ酸残基の長 さ)を含み、(ii)(a)LPSに結合し、(b)LPS結合についてBPI又はLBPに匹 敵し、(c)ヒト単球によるTNFαの生産を阻害することのできるタンパク質を 意味する。 本発明の、BPI変異株、LBP変異株、LBP-BPIキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgG キメラ、LBP-BPI-IgGキメラは、ポリエチレングリコールで修飾し、分子の血中 半減期および/または生物学的利用能を増大させることができる。 本発明は、治療上有効量のBPI変異株、LBP変異株、LBP-BPIキメラ、BPI-IgGキ メラ、LBP-IgGキメラ、LBP-PBI-IgGキメラと薬剤学的に許容されるキャリアを含 む、薬剤学的組成物を提供するものである。 薬剤学的に許容されるキャリアは、当業者によく知られたものであり、これに 限られたものではないが、0.01-0.1M、好ましくは0.05Mのコハク酸緩衝液、また は0.8%生理食塩水である。そして、このような薬剤学的に許容されるキャリア は、水性または非水性の溶液、懸濁液、乳液であり得る。さらに、薬剤学的に許 容さ れるキャリヤーは、洗浄剤、リン脂質、脂肪酸、またはその他の脂質キャリヤー を含み得る。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレング リコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレアートのような注射可能 な有機エステルがある。水溶性キャリアは、水、アルコール性/水溶性の溶液、 乳液、懸濁液で、生理食塩水と、緩衝剤で処理した溶媒を含む。非経口の溶媒に は、食塩水、リンゲルブドウ糖液(Ringer's dextrose)、ブドウ糖と食塩、乳 酸リンゲル液、固定油がある。脂質キャリヤーは、タンパク質の沈殿を起こさず 、本発明のタンパク質が溶けるような、脂溶性の物質である。 脂質キャリヤーは、無菌の溶液またはゲルの形を取りうる。脂質キャリアは洗 浄剤、または洗浄剤を含む生物学的界面活性剤でありうる。非イオン性洗浄剤の 例には、ポリソルベート80(TWEEN80またはポリオキシエチレンソルビタンモノ オレアートとしても知られている)がある。イオン性洗浄剤の例には、アルキル トリメチルアンモニウムブロマイドがあるがこれに限定されない。さらに、脂質 キャリヤーはリポソームでありうる。リポソームは、BPI或いはBPI変異株のよう な、目的とする物質をその親水性の内部に含有できる、膜結合性のリン脂質小胞 である。静脈注射の溶媒は、流体と栄養補給物、リンゲルブドウ糖液由来のもの のような電解質補給物などを含む。例えば抗菌薬、酸化防止剤、キレート試薬、 不活性ガスなどの、保存料やその他の添加物も含まれうる。 本発明はさらに、内毒素による疾患をもつ患者に対して、LPSに結合し、LPSの 生物学的活性を抑制する効果をもつ本発明の薬剤学的組成物を投与することを含 む、治療法を提供するものである。 本明細書において用いられているように、内毒素による疾患とは、内毒素によ るショック、内毒素による播種性血管内血液凝固、内毒素による貧血、内毒素に よる血小板減少、内毒素による成人呼吸窮迫症候群、内毒素による腎不全、内毒 素による肝障害や肝炎、グラム陰性菌の感染によるSIRS(全身性免疫応答症候群 )、グラム陰性菌による新生児敗血症、グラム陰性菌による髄膜炎、グラム陰性 菌による肺炎、グラム陰性菌の感染による好中球減少症および/または白血球減 少症、血流力学的ショックや内毒素による発熱を含むが、これに限定されない。 内毒素による発熱は、経尿道的前立腺切除や歯肉の手術のような、ある外科的な 操作に 伴う。内毒素の存在は、あらゆる場所でのグラム陰性微生物の感染、出血や、体 外循環を要する手術のように、消化管の虚血を惹起するような状態によって起こ りうる。 本明細書において用いられているように、投薬は当業者に既知の方法で行われ うる。一つの態様として、この投薬は、エアロゾルによる運搬経路、または直接 の喉頭注入法による、肺への供給を含む。エアロゾルは、噴霧されうる。その他 の投薬方法としては、静脈内、筋肉内、皮下への投与や感染した体腔への直接供 給があるが、これに限定されない。 本明細書において用いられているように、本発明の薬剤学的組成物がLPSに結 合することにより、LPSを介した好中球と単球の刺激を抑制する有効量は、本発 明のタンパク質を体重1kgあたり約0.1mgから約100mgの濃度で、患者に供給する に足る量である。一つの具体例としては、その用量は、本発明のタンパク質を体 重1kgあたり約1mgから約10mgの濃度で、患者に供給するに足る量である。薬剤学 的組成物内における本発明のタンパク質の、治療上の有効量は、上記の有効量に 基づく既知の方法により、求められる。 本明細書において用いられているように、抑制とは、統計学的に有意であり用 量依存的なレベルにおいて、抑制することを意味する。「統計学的に有意」と「 用量依存」という用語は、当業者によく知られている。 本発明はさらに、対象に予防薬として、BPI変異株、LBP変異株、LBP-BPIキメ ラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgGキメラ、LBP-BPI-IgGキメラの有効量を投与するこ とによって内毒素に関連した疾患を予防する方法を含む、内毒素に関連した疾患 の予防法を提供するものである。 本明細書において用いられているように、予防薬として有効な用量は、体重1k gあたり約0.1mgから約100mgである。好ましくは、予防薬として有効な用量は、 体重1kgあたり約1mgから約10mgである。 「本発明のタンパク質」という用語は、本明細書を通じて使われている。本明 細書において用いられているように、「本発明のタンパク質」という用語は、BP I変異株、LBP変異株、LBP-BPIキメラ、BPI-LBPキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgG キメラ、LBP-BPI-IgGキメラ、LBPまたはBPIの部分を含む組み換えタンパク質、 お よび、そのいかなる組合わせをも意味する。 本発明は、L1-199(NCY109)、L1-357B360-456(NCY117)、LBP(NCY102)、L1-199F c(NCY111)、L200-458(NCY113)、LBP(A132->C)(NCY126)、LBP(C61->F(NCY127)、L BP(C61->S)(NCY128)、LBP(C135->S)(NCY129)、LBP(A175->S)(NCY130)、LBPC61-> F)(C135->S)(A175->S) (NCY131)、LBP(C61->S)(C135->S)(A175->s)(NCY132)をコ ードする組み換え核酸分子を提供するものである。一つの態様として、組み換え 核酸分子は、DNA分子である。好ましい態様として、DNA分子は、cDNA分子である 。本発明はまた、これらの組み換え核酸分子によってコードされたタンパク質を 提供するものである。本発明はさらに、これらの組み換えcDNA分子を含むベクタ ーを提供するものである。本発明はさらに、適当な宿主内のこれらのベクターを 含む、これらのタンパク質生産のための宿主ベクター系を提供するものである。 一つの態様として、適当な宿主とは、細菌の細胞である。その他の態様として、 適当な宿主とは、真核生物の細胞である。真核生物の細胞は、哺乳類の細胞であ りうる。真核生物の細胞はまた、酵母菌の細胞でありうる。本発明はさらに、こ れらのタンパク質を産生させ、その結果、産生されたタンパク質を回収するよう な条件のもとで、これらの宿主ベクター系を育てることを含む、これらのタンパ ク質の産生方法を提供するものである。 タンパク質L1-199(NCY109)、L1-357B360-456(NCY117)、LBP(NCY102)、L1-199F c(NCY111)、L200-458(NCY113)、LBP(A132->c)(NCY126)、LBP(C61->F)(NCY127)、 LBP(C61->S)(NCY128)、LBP(C135->S)(NCY129)、LBP(A175->S)(NCY130)、LBPC61- >F)(C135->S)(A175->S) (NCY131)、LBP(C61->S)(C135->S)(Al75->S)(NCY132)は、 インビトロとインビボの両方において、LPSを介する細胞の反応を抑制するのに 有効である。 最後に、本発明は、包含している物質と、その中に含まれる薬剤学的組成物を 含む、製造法に関する論文を提供するものである。ここで言う包含している物質 とは、その中に、(a)内毒素による疾患をもつ患者の治療と、内毒素による炎症 の予防とに用いられる、薬剤学的組成物を示す標識を含む物質であり、薬剤学的 組成物とは、(b)治療上有効な量のBPI変異株、LBP変異株、LBP-BPIキメラ、BPI- IgGキメラ、LBP-IgGキメラ、LBP-BPI-IgGキメラ及び薬剤学的に許容されるキャ リア を含む。 これらのベクターは、適当な宿主細胞に導入され、本発明のタンパク質を産生 する、宿主ベクター系を形成しうるものである。宿主ベクター系の作成方法は、 当業者に既知である。 本発明は、下記の実験の詳細を参照することにより、よりよく理解されよう。 詳述された特定の実験は、下記に続く本発明において、より完全に説明されたも のの実例にすぎないということが、当業者には直ちに理解されよう。 実験の詳細 材料と方法 BPI及びLBP変異体とキメラの系列は表2,3で記載される。表2は例として示したBP I及びLBP変異体とキメラの一般的な種類を記載している。BPI及びLBP変異体とキ メラの特殊な例は表3に記載され、さらに産物名(例えばNCY103)により称され る。 上記の全ての構築物はまた、IgGキメラとして設計される。そのような構築物 ではFcすなわち定常部ドメイン又はヒト免疫グロブリン重鎖がBPI変異体タンパ ク質に結合できる。 nはBPI又はLBPの成熟配列におけるアミノ酸残基の位置を表し、xはBPI又はLBP の配列内にあるnに対してC末に位置するアミノ酸残基を表している。yはBPI又は LBPの配列内にあるxに対してC末に位置するアミノ酸残基を表している。記号n,x 及びyは、非変異タンパク質の成熟配列内におけるアミノ酸残基の位置を示して おり、必ずしも変異体タンパク質における位置を示すものではない。 本発明のタンパク質の構築 BPI及びLBPのcDNA配列はそれぞれ図3,4で示され、各ヌクレオチドには番号が 付与されている。本発明のタンパク質をコードするDNAは、当該分野ではよく知 られている標準的な技術を用いて部位特異的突然変異導入により調製された(Zo ll er,M.J.,et al.,(1977) Methods Enzymol.154:329)。例えば、配列「ATAGAT723 」と「ATTGAC700」は、ClaI制限部位(ATCGAT)を挿入するために都合の良い 部位として選ばれた。ClaI制限部位により、BPI及びLBP部分はそれぞれ組み換え られる。オリゴヌクレオチドプライマーはこの領域を重複し、ClaI配列を付加す るように設計され、ABI380B合成装置(Applied Biosystems社、Foster City,CA )で合成された。両分子の5'及び3'末端に結合でき、ベクター内へ挿入するため NheI(5')及びXhoI(3')制限部位を含む新たなプライマーが設計された。これらの プライマーは環状DNA増幅により、LBP及びBPIのアミノ酸残基1-197(A)と200-456 (B)をコードする部分のcDNA分子を増幅するために用いられた。生成したDNA断片 は適当な制限酵素で加水分解し、その後ゲル電気泳動により精製した。 有用なLBP-BPI,BPI-IgG,LBP-IgG及びLBP-BPI-IgGキメラが公表されたからには 、これらのキメラをコードするDNA分子は当業者に精通している諸方法を用いて 構築されても良い。哺乳類での発現 組み換えBPI,LBP及び本発明のタンパク質を哺乳類の細胞で産生するため、当 該cDNA配列を適切なプラスミドベクター内へ挿入した。このような適用にふさわ しいベクターの一つとしてpSEがある。pSEは、SV40の初期及び後期プロモーター に続いてマルチ挿入クローニング部位とB型肝炎ウイルス表面抗原遺伝子由来の 終止配列を含んでいる。バクテリアDNAの複製起点、そしてアンピシリン耐性及 びジヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子もプラスミド内に含まれている 。同様なベクターが他の外来遺伝子を発現する為に用いられてきた(McGrogan,e t al.Biotechnology 6,172-177)。特に少量の本発明のタンパク質を迅速に得る ために適した他のベクターはpCEP4(Invitrogen社、San Diego,California)で あった。pCEP4はCMVプロモーターに続いて、マルチ挿入クローニング部位とSV40 終止配列を含んでいる。バクテリアDNAの複製起点、そしてアンピシリン及びハ イグロマイシンB耐性をコードする遺伝子もプラスミド内に含まれている。pCEP4 とpSEでは、ベクター間で容易に挿入シャトリングできるように、同じ挿入クロ ーニング部位が用いられた。1度哺乳類細胞の宿主に導入すると、この特殊なプ ラスミドはエピ ソームとして複製し、導入したDNA配列は半ば安定した増幅を行う。高い遺伝子 コピー数は、ハイグロマイシンBの存在下で培養する選択圧によって維持される 。 どちらの場合もベクターDNAはcDNAを受容するため、NheI及びXhoIでの加水分 解によって調製し、次にアルカリホスファターゼ処理により脱リン酸化した。BP I,LBP又は他の発明タンパク質をコードする調製cDNA断片をpSE又はpCEP4に連結 し、生じた組み換えコロニーをアガロースゲル電気泳動によりスクリーニングし た。その後、DNA配列を標準的な酵素配列決定法(例えばSanger法、1974年)に より、確認した。 塩化セシウム勾配またはMidiキット(Qiagen社、Chatsworth,California)に より精製した発現用プラスミドDNAは、チャイニーズハムスター卵巣細胞株DUKXB 11(pSE)と293-EBNA細胞(Invitrogen社、San Diego,California)(pCEP4)に形質 転換するために用いられた。形質転換は標準的な方法によってリポフェクチン( Bethesda,Research Labs,Gaithersberg,MD)を用いて行った。生じた形質転換細 胞はGHT(-)培地(DUKX11s)またはハイグロマイシンB添加培地(293s)で選別される 。細胞は透析した10%のウシ胎児血清を添加したGHT(-)REM培地(DUKXB11s)また はREM及び10%仔ウシ血清(293s)で培養した。DUKXB11sでは、クローンを選別し 、DHFR遺伝子とそれに付随する異型遺伝子を増幅するため、メトトレキサートの 濃度を増加させる一連の培養を行った。形質転換した細胞は、混合集団又は混合 集団に由来するクローンであり、それらの上清はELISAによってBPI,LBP又は本発 明のタンパク質の検定を行った。酵母における発現 BPIとNCY118はメチロトローフである酵母のPichia pastorisで効率よく発現し た。PichiaはLPS(BPIが結合する内毒素)を欠き、哺乳類のタンパク質を高レベ ルで産生できるため、BPI及びBPI変異体に適した発現システムとして選ばれた。 P.pastoris株GS115(Invitrogen社、San Diego,California)はBPIとNCY118をコ ードするプラスミドによって形質転換され、形質転換したコロニーはInvitrogen 社による概説手順に従って選別した(A Manual of Methods for Expression of Recombinant Proteins in Pichia Pastoris,Version 1.5,Invitrogen社、San Di ego,California)。BPIとNCY118ともに、タンパク質は小型のバッチ培養培地へ 分 泌された。検定した1つのBPI構築物では116ng/mlが分泌され、3つのNCY118構築 物では14,11,10ng/mlが分泌された。分泌は酵素結合イムノソルベント測定法(E LISA)によって検定した。ポリクローナル抗BPI抗体混合液(INVN 1-2)及びア ルカリホスファターゼに結合したヤギ抗ウサギ抗体でのウエスタンブロット分析 により示されたように、両構築物とも大半のタンパク質は分泌されなかった。ウ エスタンブロットを図19に示す。 チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOs)から精製したBPIは、対照として使 用した(レーン12)。レーン1は形質転換していないGS115細胞のサンプルである 。測定法の検出限界により、抗体はこのような細胞のいかなるタンパク質も認識 しなかった。隣の3つのレーン(2-4)はBPI構築物で形質転換されたコロニーの 例であり、残りの6つのレーン(5-10)はNCY118構築物で形質転換されたコロニ ーの例である。加えた標準BPIの量に基づいて、バッチ培養で発現した細胞内BPI 又はNCY118の量は、BPI及びNCY118コロニーの培地でおよそ100μg/mlであった。タンパク質の精製 BPY(NCY101)は以下の4段階の精製により、調製培地から精製された。BPIはC Mセファロース(Pharmacia LKB Biotechnology)で回収した。カラムはpH7.4の5 0mM Trisで洗浄し、タンパク質はpH7.4の50mM Tris緩衝液と1M NaClで溶出した 。溶出液はpH8.5の50mM Trisで10倍に希釈し、高速Qセファロースにかけ、溶出 液を採取した。BPIはCMセファロースで再回収し、再度前述のように溶出した。1 0mMのコハク酸及びpH6.0の110mM NaClへの緩衝液交換はセファロースCL6B(Phar maciaLKB Biotechnology)を用いて行った。最後にTWEEN 20を最終濃度0.05%に なるように調製物に加えた。 LBP(NCY102)は高速Sセファロース(Pharmacia社)で細胞培養の培地から回 収した。カラムはpH7.4の50mM Trisで洗浄し、タンパク質はpH7.4の50mM Trisと 1MNaClを用いて溶出した。溶出液はpH8.5の50mM Trisで10倍に希釈し、ハイロー ドQセファロース(Pharmacia社)にかけた。タンパク質はpH8.5の50mM TrisとO- 1MのNaCl勾配で溶出した。 固有の分画はSDS-PAGEの移動度に応じて回収された。NCY102濃度は4.0mg/mlに 希釈し、pHは100mM HClで7.0に調製した。NCY103はNCY102と同じ方法により、細 胞培養の培地から精製された。 NCY104とNCY105はサイズによる選別段階を省略した点を除いて、BPIと同じプ ロトコールを用いて精製された。 NCY114,NCY115及びNCY138はph7.4のポロス II HS陽イオン交換カラム(PerSep tive Biosystems,Cambridge,MA)で回収した。カラムはpH7.5の20mM HEPES緩衝 液で洗浄し、pH7.5の20mM HEPESと1M NaClで溶出した。溶出液はpH7.5の20mM HE PESで5倍に希釈し、ポロス HQ 陰イオン交換カラム(PerSeptive)にかけ、溶出 液は直接ポロス II HSカラムに流した。ポロス II HSカラムは3.3mM酢酸、3.3mM MES、pH6.5の3.3mM HEPESと0-1M NaCl勾配で溶出した。 NCY117とNCY144はpH7.4でポロス II HSカラムにより調製培地から回収した。 カラムはpH7.5の20mM HEPES緩衝液で洗浄し、pH7.5の20mM HEPESと1M NaClで溶 出した。溶出液はpH7.5の20mM HEPESで10倍に希釈し、次に小型のポロス II HS カラムにかけ、3.3mM 酢酸、3,3mM MES及びpH6.0の3.3mM HEPESと0-1M NaCl勾配 で溶出した。 BPI、LBP及びIgGの精製はよく知られており、典型的なキメラの精製は上述し たので、これらの精製法を用いることにより、そして(または)当業者になじみ の深いやり方でこれらの方法を修正することにより、当業者はさらに本発明のBP I-IgG、LBP-IgG、LBP-BPI-IgGキメラを精製できると考えられる。代表的な化合物のインビトロ及びインビボ検定 インビトロ及びインビボ検定はここで公表した代表的な化合物で行った。イン ビトロ検定はLPS結合競合測定法、Limulus amebocyte Iysate(LAL)阻害検定、TN F放出阻害測定、FITC標識LPS結合阻害、Neisseriaに対するTHP-l細胞のTNF産生 やBPI活性化を含んでいる。インビボ検定はラットにおけるマウスLPSの半減期、 マウスの内毒素変化及びLPSにより誘導されるサイトカインの機能、死亡率、そ して気管支分泌液におけるLPS活性を含んでいる。 S.minnesota Re 変異体のLPSとFITCで標識したE.Coli 055:B5のLPSはList Bio logical Laboratories(Campbell,CA)から購入した。E.Coil 0111:B4のLPSはWhi taker Biologicals社(Walkersville,MD)から購入した。S.abortus eqilのLPSはS igma Chemical社(St.Louis,MO)から購入した。カルシウムとマグネシウムが含ま れていないHBSSとRoswell Park Memorial Institute(RPMI溶液)1640はGibco BRL 社(Grand Island,MD)から購入した。蛍光標示式細胞分取器(FACS)解析はBecton Dickingson免疫細胞測定システム(Mountain View,CA)のFACStarで行った。BPI結合競合測定 微量滴定プレートに固定化したLBSに対する結合はUlevitchらによって述べら れている修正法を用いて行った。簡潔に述べると、Immulon3微量滴定プレート (96ウエル、Dynatech Biotechnology Products社、Chantilly,VA)を37度で一 晩、pH9.5-9.8の50mMのホウ酸塩及び20-25mMのEDTAと1又は4μgのS.minnesota R 595 Re LPS(LIST Biological Labs,Inc.,#304)でコートした。ブランクの非L PSコートウェルが各プレートに含まれており、これらのウェルに対する結合は非 特異的結合を検出するために用いられた。予めLPSでコートしていないウェルの 吸光度は、一貫して0.05以下の光学濃度を記録した。プレートは蒸留脱イオン水 でよく洗浄し、37度で乾燥した。全てのウェルは、発熱物質の含まれていないTr is緩衝塩水(pH7.4の50mM Trisと150mM NaCl)で調製された1-2%という非常に 低い濃度の内毒素BSA(Sigma社,St.Louis,MO)で37度60分間ブロックした。ウェル を空にし、ビオチニル化したBPIを非標識BPIの存在下、もしくは非存在下でイン キュベートするか、または本発明のタンパク質(発熱物質を含まないTBSと1mg/m lの低内毒素BSA及び0.05%Tween-20)をLPSコートしたウェル及びコートしてい ないウェルで37度2-3時間、1ウェルにつき全量100μlで定温放置した。測定用緩 衝液で4回洗浄後、プレートにアルカリホスファターゼと結合したストレプタビ ジンを加え、その後、2つの5mg錠剤を溶解した10mlの基質緩衝液より新しく調製 したPNP基質溶液(Sigma社)100μlを加えて発色させた。基質緩衝液に24.5mgの 塩化マグネシウムと48mlのジエタノールアミンを加え、容量を400mlにし、pHを9 .8に合わせ、容量を500mlに調製した。吸光度はVmax kinetic微量滴定プレート 記録器(Molecular Devices社、Menlo Park,CA)により405nmで記録した。発色LAL検定 BPIと本発明のタンパク質(0-200μg/ml中25μl)は、1EU/mlのE.Coli 0111:B 4LPS(2EU/ml溶液中25μl)(Whitaker Biologicals,Walkersville,Maryland) で、 37度1時間、予めインキュベートした。その後、混合液は発色LAL検定キット(Wh itaker Biologicals,Walkersville,MD)を用いてLAL活性を測定した。FITC-LPS結合検定 クエン酸塩とブドウ糖を入れたバクテイナーチューブ(Becton Dickinson,Rut herford,ニュージャージー州)に収集した血液は、カルシウムとマグネシウムを 除いたハンクス液中で1:4に希釈した。単核細胞をフィコールパック(Pharmacia Inc.Piscataway,ニュージャージー州)を使って単離した。細胞はハンクス液中 で3回洗浄し、その後1ml中およそ1x106個の細胞が含まれるように、グルタミン と抗生物質でRPMI 1640を適切な容積に調製した。1ml容量の細胞に対して、最終 濃度が500ng/mlになるようにFITC-LPSを加えた。チューブを密閉し、37℃で振盪 培養した。培養後、細胞を0.05%のヒト血清アルブミン及び0.02%のアジ化ナト リウムを含むリン酸緩衝食塩水で2度洗浄した。細胞集団における単球の割合は サイドスキャターとフォワードスキャターのゲーティング比により決定し、フィ コエリスリンが結合した抗DR抗体(Becton Dickinson Immunocytometry Systems ,Milpitas,カリフォルニア州)で個々の細胞分画を染色することにより確認した 。平均蛍光強度を対数目盛りで示した結果を示す。全身血におけるLPSに誘導されるTNFの放出 健常者のボランティアから得た末梢血を、ヘパリンを含むバクテイナーチュー ブ(Becton Dickinson,Rutherford,NJ)に収集した。全血1mlに、本発明のタン パク質であるBPI、あるいは対照としての緩衝液を加え、さらにE.coli055:B5 1n g/mlの精製した標準内毒素(RSE)(Whitaker Bioproducts)を加えた。サンプルを 密閉したマイクロチューブに入れ、37℃で4時間振盪培養した。培養後、サンプ ルは4℃で5分間、500xgで遠心し、血漿を回収して、サイトカインの含有を検定 するまでドライアイスで凍結しておいた。TNFのレベルはヒト組み換えTNF(Genzy me,Cambridge,MA or Genentech Inc.,South San Francisco,カリフオルニア 州)を基準とした酵素結合免疫吸着検定法により測定した。 最近、全身血中でのBPI活性はヘパリンにより阻害されることが判明し、抗凝 固剤をクエン酸塩に変更した。これらの実験では、全血サンプル中の細胞を刺激 するため、120μlのクエン酸塩を添加した全血に、BPIすなわち本発明のタンパ ク質 (0-1mg/mlで)もしくは対照としての緩衝液を20μl、そして100ng/mlのE.Co1i 05 5:B5 LPS 20μlを加えた。これらの実験は、4℃で15分間、500xgで遠心したポ リプロピレン微量滴定プレート(Coster,Cambridge,MA)中で行った。THP-1細胞のTNF産生検定 THP-1細胞はATCC(American Tissue Culture Collection/Rockville,MD)から 購入し、REM培地(10%のウシ胎児血清、2mML-グルタミン、ペニシリン100ユニッ ト、100μg/mlのストレプトマイシンを含む)で維持した。細胞は3日毎に2x105 個/ml以上になる。細胞を5%のCO2を含む湿った空気中で37度,48時間、REM培地( 10%のウシ胎児血清、2mML-グルタミン、ペニシリン100ユニット、100μg/mlの ストレプトマイシン、100nMのPMAを含む)中で培養することにより、LPSに対する THP-1細胞の反応を誘発した。細胞は96ウエルの平底の組織培養プレート中で、1 ウェルあたり1-2x105個で200μlの最終容量で培養した。48時間後、粘着性の細 胞は血清を含まない200μlの培地で3回洗浄した。血清を含まず、0.5%のHSAを 含む180μlの培地に、LPS(200ng/mlで10μl)と(または)BPI,LBPもしくは他の 発明タンパク質をともに、あるいはどちらかを加え、細胞をさらに4時間培養し た。4時間後、上清を96ウエルのU型底プレートに移し、細胞の細片すべてをペ レットにするため、プレートを500xgで12分間遠心した。上清は酵素結合免疫吸 着検定法によるTNFの検定を行うまで、-20℃で2番目のプレートに貯蔵した。マウス血清半減期の検定 約20グラムのCD-1マウスに0.1mlのBPI,LBPまたは本発明のタンパク質(1mg/ml) を注射し、この時点を0時間とした。ヘパリン処置した(後にはEDTAを含むように した)チューブに、各検定時点において3匹の動物のretroorbital plexusから血 液を採取した。典型的な血液採取スケジュールは5,10,15,30,45,60,90,120,240, 360分とした。血液を約10分間、1000xgで遠心し、上清の血漿は検定までドライ アイスで凍結した。血漿サンプル中のBPI,LBPまたは本発明のタンパク質のレベ ルは、適切なタンパク質を基準とする酵素結合免疫吸着検定法により決定した。マウス内毒素の投与検定 メスのCD-1マウスの外側尾静脈に、サルモネラ・アボータス・エクイ(Salmon ella abortus equi)内毒素のLD100投与量(25-35 mg/kg)を注射し、その後BPI, 本発明のタンパク質、または対照である溶媒を逆側の外側尾静脈に、指定した時 間に注射した。タンパク質注入濃度を変えて、0.5,1,5mg/kgを投与した。対照 である溶媒を用いて検定動物での内毒素の投与効果を示した。動物は死亡率を24 ,48,72時間の時点で観測した。ラットにおけるLPS誘導性サイトカイン機能のBPI減少及び死亡率 LPSに関連するサイトカインの形成と死亡率に対するNCY101(BPI)の潜在的な 効果は、ラットにおいて(a)出血性ショック(出血させて血圧を下げ、平均動脈 血圧が30-35mmHgになった状態を90分間持続し、その後流出した血液および等体 積のリンガー液を30分間にわたり再輸液した)(b)内毒素ショック(100μgのLPS と500mg D-ガラクトサミン/kgによって起きる)の両方で調べた。BPIグループに 対しては5mg BPI/kgの静脈内注射、対照グループに対しては1mlの生理食塩水の 静脈内注射処置を行った。髄膜炎菌(N.meninitidis)と淋菌(N.gonorrhoeae)に対するBPIの活性 BPIは、広範囲のグラム陰性菌種に由来するリポ多糖(LPS)に反応して起こるヒ トの炎症細胞からのTNF遊離を抑制する。病原菌である髄膜炎菌(Neisseriameni ngitidis)と淋菌(Neisseria gonorrhoeae)からのグラム陰性リポオリゴ糖(LO S)に対するBPIの活性を試験するために、生育不能な細菌を組み換えBPIで前処置 し、ヒト全血と共に37℃で4時間培養した。BPI非存在下では髄膜炎菌の105細菌/ mlは2.93±0.53ng/mlのTNFの遊離を誘発したが、一方淋菌はさらに有力なTNF遊 離刺激物質であり、104細菌/mlで8.23±0.32ng/mlのTNF遊離を誘発した。どちら の場合においても、10μg/mlのBPIはTNFの遊離を完全に阻害した。このことは、 BPIはLPSに結合するのと同じようにこれらの生物体のLOSにも結合して解毒する ことが可能であることを示している。それゆえBPIは、これらの病原性ナイセリ ア属に関係するLOSが媒介する組織障害に対する治療薬として有効であろう。 BPI,LBPと本発明のタンパク質の、相対的なLPS結合親和性を比較するために、 これらのタンパク質について、10ng/mlのビオチン標識したBPIと、上に示したよ うなLPSで被膜した微量滴定プレートに対する結合を競合する能力を試験した。 これらの実験では、BPIはビオチン標識したBPIがLPSに結合するのを、濃度に依 存するかたちで阻害した(図8)。NCY102(LBP)とNCY103はビオチン標識したBPI の結合 を適度に阻害した。このことは、BPIは、表面に結合したLPSに対して高い親和性 を持ち、またNCY102とNCY103はLPSの異なった部位に結合する性質を持つことを 示唆している。BPIのN末端ドメインを持つNCY104は、ビオチン標識したBPIに対 して、標識していないBPIに類似した濃度で競合し、類似した親和性と結合部を 持つことを示唆している。NCY118とNCY103の、ビオチン標識したBPIに対する競 合は類似した濃度で起こり、重なり合う曲線を呈している(図14,パネルA)。 このことは、これら2つの分子の間の2つのアミノ酸の違い(NCY118-〉NCY103:( 143-〉V)及び(N206->D))が固定しているLPSに対する親和性に影響を与えないこ とを示している。NCY144(免疫グロブリン分子のヒトIgG1の)Fc定常部に連接した NCY118からなるIgGキメラ)はビオチン標識したBPIと競合する能力が変化しない( 図14,パネルA)。NCY114とNCY115が示すLPS親和性は、BPIが示すものに非常に類 似しており、このことはアミノ酸残基1-59(または1-134)の間の領域がLPS結合に おいて最小限の役割を果たしていることを示唆している(図14,パネルB)。NCY 104がBPIと効果的に競合していることを示すデータ(図8)とあわせ、これらの 結果は134-197のアミノ酸残基が、BPIの高親和性LPS結合部位の重要な構造成分 であることを示している。 LPS親和性におけるアミノ酸残基134から197の間の領域の重要性は、BPI分子のう ち全ての陽イオンを有するアミノ酸残基をLBPにおける対応するアミノ酸領域に 置換した変異体であるNCY139における親和性の著名な減少によりさらに実証され た。これらの変化は、LPSに対する結合親和性がBPIよりもむしろLBPに類似して いる分子を生じさせた(図14,パネルC,及び図B)。NCY117は、ビオチン標識し たBPIをLPSからとりはずす能力が比較的減少していることから実証できるように 、BPIのアミノ酸残基359から456は、LPS結合に関与していない(図14,パネルC )。NCY117の見かけ上のLPSに対する結合親和性は、LBPとNCY139に類似している が、それらの親和性はBPIのLPSに対する見かけ上の親和性の1/100程度である。 それゆえ、固定化LPSへの結合に関与するBPIのドメインはBPI分子のN末端側半分 に局在している。なぜなら、NCY104は本来のBPIをLPSで被膜した微量滴定プレー トからとりはずす最大の能力を持っているからである。BPIのこのドメインはさ らに特異的に、アミノ酸残基134-199の間の領域に局在していた。 BPI,LBP及び本発明のタンパク質がインビトロでLPS中和活性を解析するために、 これらのタンパク質を発色LAL検定(図9及び表4)によりLPSを阻害活性を試験 した。これらのタンパク質がLPSを中和する程度は、NCY105≧BPI>NCY103>NCY1 04>NCY102という順序だった。いくつかの研究(試料数参照)で、各々のタンパ ク質ごとに異なる量で実験を行ない、IC50値を決定した。IC50値の平均を表4に 示す。 これらの結果は、LAL検定において、BPIはLBPよりも低い濃度でLPS活性を中和 することを実証している。NCY104はBPIのN末端ドメインを含んでいるが、これは LAL検定においては比較的能力の低い阻害物質である。NCY103はNCY102(LBP)やNC Y104より有力な阻害物質であった。これらの結果は、BPIのN末端(LPS結合)ドメ イン単体ではLAL検定におけるBPIの中和活性を説明できないことと、BPIのC末端 ドメインがLAL検定における内毒素中和において非常に重要な役割を果たしてい ることを示している。 色素産生性LAL検定におけるLPS中和活性の結果をさらに表5に示す。NCY103,N CY114,NCY115はBPI分子のC末端側半分を共有しており、このドメインがLPS中和 活性において重要な役割を果たしていることを再度示している。また、これらの データは199-456領域がLPS中和において最も重要であることを示している。なぜ ならBPIアミノ酸残基の136-456の間や60-456の間を加えてもLPS中和活性は改善 し ないからである。LPS結合データとあわせ、これらの結果はBPIのC末端側半分はL PS中和に重要であり、一方N末端配列はLPS結合に対してより決定的であることを 強く示している。 NCY139は148と197の間の9つの陽イオン性残基を除く全てのBPI配列を含んでい るが、これは非常に低いLPS中和活性を示しており、これらの残基がLPS中和活性 に重要であることを示唆している。同様に、この化合物はLPS結合においても比 較的効力がない。NCY103とNCY139はともにBPIのC末端ドメインを含んでいるが、 NCY103は有力な中和活性を(NCY139はそうでないのに対して)持っているので、こ れらの陽イオン性残基は分子が正しい高次構造をとることに寄与していると考え られる。 BPIとNCY103の、ヒト末梢血中の単球へのLPSの結合を阻害する相対的な能力を 決定するため、単離されたヒト末梢血単核球を、10%のヒト血清(500ng/mlのFIT C結合E.Coli 055:B5 LPSを含む)とともに、BPIとNCY103それぞれの存在下および 非存在下で培養した。FITC-LPSの単球への結合はBPIとNCY103の両方の濃度の増 加により阻害され得た。それゆえ、NCY103はLBPのN末端ドメインを含むという事 実にもかかわらず、NCY103はBPIに似た結合活性をもつ。これらのデータは、図9 に示してあるLPS中和の研究結果とともに、BPIとLBPの(N末端ドメインではなく )C末端ドメインが、タンパク質が細胞のLPS活性化を阻害するかそれとも仲介す るかを決定しているということを示唆する。 さらに、血清の存在下および非存在下で、末梢血単球に結合するFITC標識LPS に対して、BPI,LBP,NCY103,NCY104が与える影響を決定するために、実験を行っ た。血清がないFITC標識LPS結合系で、LBPが存在しない場合には、FITC標識LPS は細胞に結合しない。一方、組み換えLBPは、細胞へのLPS結合を100ng/mlという 低濃度で促進した。NYC104もまた、より低い程度ではあったが結合を促進した。 BPIもNCY103もLPSの細胞への結合を有意に刺激しなかった。これらのデータは、 LBPのC末端ドメインはLPSが細胞に結合する際に活性を有していることを示して いる。NCY104がLBPよりも活性が低いので、BPIのN末端ドメインはLBPのC末端ド メインによるLPSの細胞への結合仲介に阻害的影響を及ぼすのだろう。 正常のヒト血清は約1-10μg/mlのLBPを含んでいる。10%の自己血清の存在下 で、BPIとNCY103は有力にFITC LPSの単球への結合を阻害した(BPIの方がわずか に強力であった)。NCY104は最低の活性を示し、LBPは全く効果を持たなかった (図15、パネルA)。これらのデータは、この試験ではBPI分子のC末端側半分がL PSを中 和したことを示している。NCY104はBPIのC末端ドメインを含まないが、これは血 清存在下におけるLPS結合阻害に関しておよそ2ケタ少ない効能しかもたない。LB Pは、予期されるように全く効果を持たなかった。これは、BPIは、LPSが単球に 結合しTNFαの遊離を起こすのを防止することにより、敗血症カスケードに介入 しうることを示している。 更に、BPIのLPS中和作用に寄与している領域、およびLBPのLPSシグナルを細胞 に伝達することに関与しているドメインを同定するために、見い出されたタンパ ク質のLBPを置換する能力が血清の非存在下で比較された。これらの実験におい ては、48時間ホルボールエステルとともに培養することにより、前単球細胞系の THP-1の細胞のLPSへの反応性を誘発した。誘発ののち、細胞は組み換えタンパク 質の存在化または非存在化において19ng/mlのLPSで刺激された。この系において は、LBPの供給なしではTNFは全く遊離されない。これらの実験のデータ(図16) は、LBPとNCY117だけがTNFの遊離を刺激したことを示している。それゆえ、LPS で誘発されるTNF遊離を促進することに関与しているLBPのドメインは、アミノ酸 残基199-357の中にあることになる。興味深いことに、NCY104は血清の非存在化 ではTNF遊離を仲介しない。これは、BPIのN末端ドメインはLPSへの結合が緊密す ぎて、マクロファージの表面にあるCD14へのLPSの転移が不可能であることを示 していると考えられる。図17にTNF産生のさらなる比較を示す。NCY135はLBPドメ イン274-456を含んでいるが、これは大きな活性を持ち、活性のあるドメインは2 74-357に限定されている。 BPI、LBP及び本発明のタンパク質が、全血におけるTNF産生のLPS活性化に影響 を与えるかを調べるために、BPI、NCY102、NCY103あるいはNCY104をヘパリン処 理した血液と混合し、この混合液にLPSを加えた。前記血液は、37度、4時間イン キュベートして、その後、血漿中のTNFを上述の通り測定した。結果を、図11に 示す。NCY103は、TNFの産出の阻害において最も有効であり、BPIが次に有効な阻 害剤であることを示した。NCY104およびLBPはほとんど作用しなかった。そのた め、全血液中において、NCY103がLPSによるサイトカイン誘導亢進に対する最も 有効な阻害剤であることが証明された。 実験がヘパリン処理でなくクエン酸処理による血液を用いて行われた場合、BP I及びNCY103は、内毒素を中和する活性においては同等であった(表6)。全血 に加える前に、組換えタンパク質を内毒素と予めインキュベートした場合、これ らの物質はおおまかに2つのグループに分かれた。BPI、NCY103、NCY114、NCY115 及びNCY118はLPS中和活性を有しており、一方、NCY104、NCY109及びNCY117は比 較的不活性であった。NCY116、NCY139及びNCY144でははっきりした結果が得られ なかった。LPSを加える直前に、血液サンプルにこれらの物質を加えた場合、IC5 0値は比較的高いが、しかし、同じグループに属するタンパク質は活性を示した 。これらのデータは、さらに、全血のような高く生理学的な環境下において、BP Iのカルボキシ末端、特にアミノ酸残基200-359が、LPS中和活性において役割を 有することを示した。それは、NCY109が有効な内毒素中和タンパク質ではないこ とから(表9及び11参照)、BPIのC-末端領域がNCY103及びNCY119における内毒素 中和活性に寄与すると結論づけることができる。この配列(200-359)を含む全 物質はNCY139を除いて活性を有している。このNCY139は、他の解析系においても 不活性であった。このことは、恐らく置換された陽イオンを有するアミノ酸が本 来の分子構造を決定しているためであろう。 有効な抗内毒治療剤は、内毒素を中和するだけでなく、循環血中の内毒素を排 除する能力を有しているべきである。放射線標識した1251-BPIの循環血に存在す るレベルは、マウスにおいて、内毒素存在下及び非存在下において測定した(表 7)。内毒素非存在下では、排除(アルファ)フェイズは、2分以内であった。内 毒素存在下では、アルファフェイズは、6.2分に及んだ。125I-LPSのみでは、単 一フェイズ分布(ベータ)を示し、半減期が約101分であった。125I-LPS及び非 標識BPIを投与した場合、排除(アルファ)フェイズが6.2分であり、このことは 排除がBPIにより顕著に影響されることを示している。 BPIの最も短い循環血中の半減期が分子学的な技法により延長されるかどうか を調べるために、BPI、LBP、NCY104及びNCY103の循環血中の半減期を比較した( 図12)。標識した試料を用いて行ったところ、BPIのマウスの血中における半減 期が非常に短いことが観察された。これは、推定p110.6であるBPIの高い陽イオ ンの性質に起因することが考えられる。LBPは、通常循環血中に10ug/mlの濃度で 存在しており、これは、推定pIが6.8である。予想されるように、NCY103(LBP-B PIキメラは陽イオン残基を欠いている)は、NCY104(BPI-LBPキメラは陽イオン 残基を有している)よりもかなり長い半減期であった。図12は、NCY103が、BPI よりも確かに長い半減期を有していることを示している。NCY104はBPIのN末端を 有しており、BPIよりもより短い半減期であった。そのため、BPIのN末端領域は 、循環において短い半減期とすることに主な役割を果たしていると考えられる。 さらなる薬学的な研究は、本発明のタンパク質をCD-1マウスに丸薬として5mg / kg量を投与することにより行った。これらの結果を。図18に示す。5mg/kgにお いて、NCY104の半減期は、BPIと同等であった。NCY103及びNCY118は、オーバー ラップする排泄カーブを有し、また、BPIあるいはNCY104よりもかなり長く循環 血中に維持されたが、血清タンパク質であるLBPほどは長くはなかった。NCY114 、NCY115及びNCY139の排泄カーブの比較は、LBPのN末端が循環血中の半減期を延 ばすことに役割を果たしていることを示した。NCY114は、BPIよりもわずかに長 く循環血に存在し、テストした組換えタンパク質のいずれにもないLBP配列(ア ミノ酸残基1-59)を含んでいる。NCY115は、比較的ゆっくりと排泄された。こ のことは、LBPアミノ酸残基60-134は、より長い循環血中の半減期を可能にする ことを示している。逆に、BPIにおけるアミノ酸残基134-199の陽イオン性残基は 、半減期を短くする。このことは、NCY139において、上記領域のイオン性残基を LBPにおける対応する残基に置換した際に、半減期がNCY115と同様になったこと に由来する。N末端領域のLBP残基をより多く含有することにより、さらに半減期 が長くなった。LBPのアミノ酸残基199-357が加わった(NCY117)場合、半減期は より長くなるが、しかし、LBPの半減期と同等にはならない。同様に、NCY135(L BP領域1-199及び274-456を含有)は、比較的長いT1/2を有している。これらの結 果は、より”LBPに類似”した分子が、より長く循環血に存在することを示して いる。さらには、免疫グロブリンのFcフラグメントをNCY103に組み込むことによ り、最も長い半減期を獲得する。 BPI、LBP、NCY103、NCY104及びNCY105の致死的な内毒素を投与されたマウスに 対する効果を比較した(表8-10)。NCY103、NCY118、NCY114、NCY115、NCY144、 NCY116、NCY117、NCY139、NCY138及びNCY140における致死的な内毒素を投与され たマウスに対する効果も比較した(表11)。これらタンパク質が、致死的な内毒 素投与後2分間以内に投与された場合、BPI、NCY103及びNCY105は、ほぼ同程度の 効能を示し、一方、LBPおよびNCY104は、弱く、不完全な阻害を示し、BPI程有効 でないことが明らかになった。LBPおよびNCY104の部分的な阻害は、ヒト及びマ ウス間での種の違いに影響されるかもしれない。これらの分子は、in vitroヒト 細胞に作用するLPS由来炎症性シグナルをブロックしない(図11)。 LPS投与前あるいは後1時間以上の時点でNCY103を投与した場合、BPIを投与し た場合よりもより顕著に効果的であった(図13)。これらの結果は、NCY103にお けるより長い循環血中の半減期あるいは恐らくNCY103における全血中の内毒素の 阻害活性の上昇が、IN vivo NCY103作用上におけるめざましい効果につながっ ていることを示している。 さらなる実験は、in vivoの本発明のタンパクにおけるLPS中和活性を解析する 目的で行った。これらの実験において、致死的LPS投与を0時間目において投与し 、次いですぐに組換えタンパク質を丸薬として5mg/kgを投与した。 LPSが関与するサイトカインの生成及び致死率に対するNCY101(BPI)の作用効果 は、出血性のショック(a)あるいは内毒素ショック(b)のいずれかを与えた ラットをもちいて解析した。出血(消化管から内在性LPSが移行することに伴う 出血)、外傷及び敗血症における内毒素の重要な役割はよく知られている。BPI はLPSと結合して、LPSが起因する好中球および単核球への刺激を阻害する。同様 に、組換えBPIがLPSに結合して、in vitroでのTNF生成を阻害する。 出血性のショック(a)あるいは内毒素ショック(b)のいずれかを与えたラット をもちいたBPIの作用における解析結果は、(a)出血性のショックを与えられたラ ットにおいて、48時間目の致死率を、5/10(対照群では50%)から2/10(BPI投 与群では20%)まで減少させ、(b)内毒素ショックを与えられたラットにおい て、5日目の致死率は、BPI投与により43%であり、対照群における83%と比較 して、顕著に減少した(p=0.055)。血漿LPSレベルは、2時間において少なくと も部分的には中和した(5.9±4.1 vs 10.8±4.1ng/ml)。サイトカイン生成は 、2時間目の結漿TNFレベルにおいて測定されたように、+BPI投与群におい減少 した(3.9±2.9 VS 10.3±6.3ng/ml)。肝臓のトランスアミラーゼ(GOT及びG PT、これらの上昇は肝不全において観られる)及びビリルビンは、8時間目にお いても依然として上昇しており、しかしながら、この上昇はBPIにおいてよりも 少なかった。これらのデータは、BPIが内毒素に関連した出血性及び内毒素性シ ョックにおける疾患に対する治療剤として有効に作用することを示している。 麻酔処理した雄性CD-1マウスは、BPIあるいはNCY103の1から10ugを50ulに溶か して、鼻の内部に投与した。対照動物には、生理食塩水50ulを投与した。20分後 動物は、再び麻酔され、10ngの大腸菌055:B5 LPSを投与した。内毒素投与後1時 間目において、マウスは、再麻酔され、1%ヒト血清アルブミンを含む0.7mlの生 理食塩水を気管を介して肺に投与した。その後、肺をゆっくりともんだ。0.5ml のBAL(気管支肺胞の洗浄)液はアシピレートされ、細胞を遠心により沈殿させ て、その後BAL試料は-70度にて保存した。前記BAL液中のTNFアルファのレベルは 、ELISAより検定した(その結果を図20に示した)。図20は、BPI及びNCY103のよ うな内毒素中和タンパクが、肺における内毒素に由来するTNFの産出をも中和可 能であることを示している。これらの結果は、これらタンパク質が、肺に直接導 入された場合に効果的であることを示している。このことは、肺炎及びARDSのよ うな他の内毒素に起因する肺疾患の治療に利用できることを示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12P 21/02 9281−4B C12N 5/00 B //(C12N 1/19 C12R 1:84) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,CA,JP,US

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.BPI変異体をコードする組換え核酸分子。 2.BPI変異体がBPI(S35-X)構造を有しており、Xがアラニンあるいはセリン以外 のアミノ酸残基である請求の範囲1の核酸分子。 3.LBP変異体をコードする組換え核酸分子。 4.LBP-BPIキメラをコードする組換え核酸分子。 5.LBP-BPIキメラがLBPI-197-BPI200-456構造を有している請求の範囲4の核酸 分子。 6.LBP-BPIキメラがLBPI-197(143-V)-BPI200-456(N206-D)構造を有している請 求の範囲4の組換え核酸分子。 7.BPI-IgGキメラをコードする組換え核酸分子。 8.LBP-IgGキメラをコードする組換え核酸分子。 9.LBP-BPI-IgGキメラをコードする組換え核酸分子。 10.核酸分子がDNA分子である請求の範囲1から9のいずれかに記載の組換え 核酸分子。 11.請求の範囲1から9のいずれかに記載の組換え核酸分子によりコードされ たポリペプチド。 12.請求の範囲1から9のいずれかに記載の組換え核酸分子を含むベクター。 13.BPI変異体の産生に使用する宿主ベクター系であって、適切な宿主内に請 求の範囲12におけるベクターを含有している宿主ベクター系。 14.適切な宿主が細菌あるいは哺乳動物細胞である請求の範囲13の宿主ベク ター系。 15.変異ポリペプチドの産生に使用する方法であって、請求の範囲13の宿主 ベクター系を該変異ポリペプチドの産生が可能な条件下において増殖させ、ここ で産生された変異ポリペプチドを回収することからなる方法。 16.薬学的組成物であって、BPI変異体、LBP変異体、LBP-BPIキメラ、BPI-IgG キメラ、LBP-IgGキメラあるいはLBP-BPI-IgGキメラの治療上有効な量と薬学的に 許可された賦形剤とを含む薬学的組成物。 17.内毒素に関連した疾病に羅患した対象を治療する方法であって、請求の範 囲16における薬学的組成物の有効量を対象に投与して、LPSに結合させること により、LPSが起因する好中球及び単核細胞の活性化を阻害して、前記対象を治 療することからなる治療方法。 18.対象における内毒素に関連した疾病を予防する方法であって、BPI変異体 、LBP変異体、LBP-BPIキメラ、BPI-IgGキメラ、LBP-IgGキメラあるいはLBP-BPI- IgGキメラの予防上の有効量を対象に投与することからなる予防方法。
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