JPH085114Y2 - 自動二輪車の物入れ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動二輪車のシートの後端面に相対するキ
ャリアに設けられる物入れ装置に関するものである。

（従来の技術） 従来より発展途上国においては、二輪車は重い荷物の
運搬や人を運ぶのに使用されているが、時としては３人
以上が乗車して移動することがある。このため、車体を
少し大きめのものに改造したいが、車格は大きくできな
いため、シートの上面のみをオーバハングさせ、すなわ
ち、後方に延長させることによって上記の事情に対処し
ている。

しかし、このようにシートの上面のみを後方に延長さ
せると、シートの後部のみが切上がった形状となり、車
体の後方からはキャリアを介してシートの底面が丸見え
となり外観の見栄えが悪くなると共に、マニュアル等を
収納する収納容器の取付場所が制限を受けることにな
る。このため、収納容器をシート後端面と対向するキヤ
リアに取付けて上記問題を解決するようにしている。

なお、自動二輪車のルーツボックス取付構造として、
特開昭59−164275号公報に開示されているものがある。
この公報のものは、シート後部のキャリアとリヤフェン
ダとの間に形成される空間にルーツボックスを配設した
もので、その取付けおよび固定は、キャリアの前部クロ
スメンバに１個、後部クロスメンバに２個設けた後方向
きの係止片にルーツボックスの上部に形成した凹部を後
方より嵌合させ、この状態で、蓋に設けたロック装置の
レバーをクロスメンバの凹部に嵌合させることにより行
っている。そして、通常は、ツールボックスをキャリア
に取付けた状態で、蓋を開閉し収納物の出入れをするよ
うにしている。

さらに、自動二輪車のクラブレールとして、実開昭61
−72483号公報に開示されているものがある。この公報
に開示されているものは、シート後部のクラブレールに
ツールボックスや尾灯からなる後尾装備品をボルト固定
し、この固定した状態で、ツールボックスに設けた蓋を
開閉し、収納物の出入れをするものである。

（考案が解決しようとする課題） 上記説明した、特開昭59−164275号公報に開示されて
いるものは、あくまでもツールボックスをキャリアに固
定した状態で、蓋を開閉して収納物を出入れできるよう
に配慮されているので、収納物を出入れするときにツー
ルボックスを取り外さなくてもよいことから、ツールボ
ックス自体の着脱が必ずしも容易に行われるようにはな
っていない。このため、ツールボックスをキャリアに取
付ける際、ツールボックスの前後の凹部を同時に、クロ
スメンバの係止片に嵌合させなければならず、その嵌合
の仕方が難しい問題がある。

また、ツールボックスをキヤリアから取外す際、蓋に
取付けられているロック装置を解除すると、蓋も同時に
解放状態になる。このため蓋がロックされていない状態
で、ツールボックスを取外すことになり、ツールボック
スを取外す際には開いている蓋が邪魔になって取外しに
くくなる。また、蓋が開いているので収納物がこぼれ落
ちないようにして取外すので取外しが困難になるという
問題もある。

さらに、ツールボックスがキャリアに堅く係合してい
たような場合には、ツールボックスを強く引いて外すこ
とになり、この際、内部の収納物が飛び出してくる虞が
ある。

また、実開昭61−72483号公報に開示されているもの
は、後尾装備品をクラブレールから容易に取外すことが
できないので、後尾装備品をクラブレールから取り外し
て持ち運びすることができない。このため後尾装備品を
クラブレールに装着したまま運転者が車両から離れる
と、収納物がツールボックスに入れてあった場合には、
収納物が盗難にあう虞がある。

本考案は、上記従来の問題点を解決するためになされ
たもので、キヤリアへの取付け、およびキヤリアからの
取外しを容易にして、収納物の盗難を回避させた自動二
輪車の物入れ装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は、自動二輪車１のシート２後端面に相対する
キャリア３に設けられる物入れ装置５において、前記キ
ャリア３の左右一対のチューブ4,4にブラケット20,21を
設け、一方のブラケット20には矩形状の開口部20aを形
成し、他方のブラケット21には切欠き23を有する略円形
状の開口部21aを形成すると共に、容器本体12とキャッ
プ13とからなる収納容器11の底面部12aまたは上面部13a
のいずれか一方に前記矩形状の開口部20aに挿入するた
めの矩形状の突部16を形成し、他方に前記略円形状の開
口部21aに嵌合するための円柱状の突部17を形成し、該
円柱状の突部17を前記円形状の開口部21aに固定するロ
ック装置25を前記キャリア３に固定したブラケット24に
設けたことを特徴とするものである。

（作用） 以上のように、一方のブラケット20に形成した矩形状
の開口部20aに、収納容器11の一方に設けた矩形状の突
部16を挿入することにより収納容器11の回るのが阻止さ
れる。このように収納容器11の突部16を一方のブラケッ
ト20の開口部20aに挿入させ、さらに、収納容器11の他
方に設けた円柱状の突部17を他方のブラケット21に形成
した略円形状の開口部21aの切欠き23に位置させ、円柱
状の突部17を切欠き23の方向に移動させて収納容器11を
キャリア３に着脱させる。

したがって、収納容器11を取外すときには、収納容器
11の他方の円柱状の突部17を切欠き23を通し開口部21a
より外して支持しながら、引くことにより一方の矩形状
の突部16を矩形状の開口部20aより抜くようにする。ま
た、収納容器11をキャリア３に装着するときには、収納
容器11の他方を支持しながら、一方の矩形状の突部16を
矩形状の開口部20aに挿入すると共に、他方の円柱状の
突部17を切欠き23より略円形状の開口部21aに嵌合させ
る。

また、収納容器11の底面部または上面部のいずれか一
方に形成した矩形状の突部16と、他方に形成した円柱状
の突部17とをそれぞれ、ブラケット20,21の矩形状の開
口部20aおよび略円形状の開口部21aに挿入、嵌合させ
て、キャップ13をした容器本体12をブラケット20,21の
間に挟み、この状態でキヤリア３に固定したブラケット
24に設けたロック装置25で円柱状の突部17を円形状の開
口部21aに固定して収納容器11を取外せないようにロッ
クする。

（実施例） 次に、本考案の一実施例を図にもとづいて説明する。
第１図及び第２図は第３図に示す自動二輪車１のシート
２及びキャリア３の部分の拡大側面図及び拡大平面図で
あり、第４図はシート２の後端面2a側のキャリア３のア
ッパーチューブ４に取付けた物入れ装置５の拡大側面図
を示している。シート２はその上面部2bのみを通常のシ
ートより後方に長さＬだけ延長させた形状に形成され、
シート２の長さが十分に確保しうるようになっている。

また、鋼管製のキャリア３はリヤクッションユニット
６の上部の締付部７に前端部8aが取付けられて後方に延
びるロアチューブ８と、車体フレーム９の後端のボス部
10に前端部4aが取付けられ、シート２の後端面2aに相対
する傾斜部4bを有して後方に水平に延びるアッパーチュ
ーブ４と、によって概略構成されている。

物入れ装置５のマニュアル等を収納する収納容器11は
シート２の後端面2aと相対するアッパーチューブ４の傾
斜部4bにシート２の後端面2aに平行してすなわち側部11
aをやや上にして取付けられている。

次に、この物入れ装置５について、第５図および第６
図を用いて詳述する。物入れ装置５の収納容器11は容器
本体12とこの容器本体12に取付けるキャップ13とからな
り、それぞれPE（ポリエチレン）、PP（ポリプロピレ
ン）等の合成樹脂のブロー成形にて製造されている。

容器本体12とキャップ13との嵌合部には凹凸部すなわ
ち容器本体12側に凸部14が、キャップ13側に凹部15がそ
れぞれ全周に亙って設けられ（第７図参照）節度をもっ
て掛止されている。これによって収納容器11のシール性
が向上する効果がある。

また、キャップ13の上面部13aには取付用のための矩
形状の突部、すなわち矩形状の舌状突部16が一体成形に
て設けられ、容器本体12の底面部12aにはキャップ13の
舌状突部16と対角線の方向の位置に円柱状の突部、すな
わち円柱状の段付突部17が同じように一体成形にて設け
られている。この段付突部17の小径部17aには断面形状
Ｈ型の、スリット18入りのグロメット（保護環）19が嵌
められている。実際の取付けにおいては、第５図に示す
ように、収納容器11のキャップ13の上面部13aが自動二
輪車１の右側に位置し、容器本体12の底面部12aが左側
に位置する。

一方、この収納容器11を固定するシート２の後端面2a
と相対するキャリア３の左右アッパーチューブ4,4には
それぞれＬ字状のブラケット20,21が溶接によって設け
られている。一方のブラケットである右側（第５図にお
ける右側）のブラケット20には矩形状の開口部すなわち
長方形の孔20aが形成され、この孔20aには同じく長方形
の孔を有する断面形状Ｈ型のグロメット22が嵌るように
なっている。

また、他方のブラケットである左側のブラケット21に
も略円形状の開口部すなわち上部に切欠き23を設けた略
円形状の孔21aが形成され、容器本体12の底面部12aに一
体成形によって設けられた段付突部17の小径部17aに取
付けたグロメット19が嵌合するようになっている。さら
に、左側のアッパーチューブ４とロアチューブ８とを連
結するブラケット24（第４図および第６図参照）にはロ
ック装置25が固着している。このロック装置25にはキー
26が嵌め込まれて操作されロックプレート27が作動し、
容器本体12に設けた段付突部17の大径部17bの上に係り
収納容器11が上方向に抜け出るのを防止している。

以上のように構成したので、この物入れ装置５の収納
容器11をシート２の後端面2aに相対するキャリア３のア
ッパーチューブ４の傾斜部4bに取付けるには、まず、キ
ャップ13の舌状突部16を右側のブラケット20に嵌め込ま
れている断面形状Ｈ型のグロメット22に嵌め、次いで容
器本体12の底面部12aの段付突部17に嵌合させた断面形
状Ｈ型のグロメット19を左側のブラケット21の切欠き23
より略円形状の孔21aに嵌め込み、アッパーチューブ４
とロアチューブ８に固着しているロック装置25にキー26
を嵌めてロックプレート27を回して、段付突部17の大径
部17b上に掛け収納容器11の抜け止をする。

このようにすれば、シート２の上面部2bを後方に延長
させたことによって生ずるシート２の後端面2aの開口部
分が収納容器11すなわち物入れ装置５によって覆われ
る。

なお、本実施例では収納容器11のキャップ13の上面部
13aに矩形状の舌状突部16を設け、収納容器11の容器本
体12の底面部12aに円柱状の段付突部17を設け、さら
に、Ｌ字状のブラケット20には縦方向の長方形の孔20
a、Ｌ字状のブラケット21には上部に切欠き23を設けた
円形状の孔21aをそれぞれ形成したものについて説明し
たが、これに限定されず、これらを適宜変更して形成し
てもよい。また、舌状突部16やＬ字状のブラケット20の
縦方向の長方形の孔20aを水平に形成してもよいし、切
欠き23をブラケット21の上部だけでもなく、横部分に形
成してもよい。

（考案の効果） 本発明は、以上詳細に説明したように、収納容器を取
外す際は、収納容器の他方の円柱状の突部をブラケット
の円形状の開口部の切欠きより外して保持し、収納容器
の一方の矩形状の突部をブラケットの矩形状の開口部か
ら引き抜くことにより、収納容器を容易にキャリアから
取外すことができるので、収納容器を持ち運ぶことが可
能となる。これによって、収納容器に収納してある内容
物が盗難にあうことがない。

収納容器を装着する際は、収納容器の他方を保持し
て、一方の矩形状の突部をブラケットの矩形状の開口部
に挿入すると共に、他方の円柱状の突部を切欠きから円
形状の開口部に嵌合させることにより、収納容器を容易
にキャリアに装着することができるので、取付時の煩雑
さが回避され、これにより、収納容器の取り外し時のた
めらいもなくなり、迷うことなく外せるようになって、
結果的には盗難の防止につながる。

また、収納容器を装着したときは、収納容器がブラケ
ットの間には挟まれているので、収納容器のキャップを
外部より外すことができず、これによっても盗難を防止
することができる。さらに、収納容器をロックすること
ができるので、収納容器自体の盗難を防止することがで
きる。

このように、収納容器の持ち運び、キャップの外れ防
止、収納容器のロックの相乗効果により、収納容器内の
収納物および収納容器自体の盗難を確実に防止すること
ができる。

また、ブラケットの矩形状の開口部に収納容器の矩形
状の突部を挿入して収納容器が回らないようにし、さら
に、円柱状の突部をロック装置で係止して収納容器をロ
ックしてあるので、収納容器が安定して保持され、破損
や脱落を確実に防止することができる。

さらに、自動二輪車のシートの後端面に相対するキャ
リアに物入れ装置を取付けているので、シートの後端面
の開口部分がこの物入れ装置によって覆われ、シートの
底面が見えなくなり、自動二輪車の外観がよくなる。ま
た、この物入れ装置は合成樹脂のブロー成形によって形
成されており型費用も安価になり、経済的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部の拡大側面図、第
２図は第１図のものの拡大平面図、第３図は自動二輪車
の側面図、第４図はキャリアに取付けた物入れ装置の分
解斜視図、第５図は物入れ装置の分解斜視図、第６図は
物入れ装置の断面図、第７図は物入れ装置の収納容器の
断面図である。 １……自動二輪車 ２……シート 2a……後端面 ３……キャリア ４……チューブ（アッパーチューブ） ５……物入れ装置 16……収納容器 16……突部（舌状突部） 17……突部（段付突部） 20……ブラケット 20a……開口部（孔） 21……ブラケット 21a……開口部（孔） 25……ロック装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動二輪車（１）のシート（２）後端面に
   相対するキャリア（３）に設けられる物入れ装置（５）
   において、前記キャリア（３）の左右一対のチューブ
   （4,4）にブラケット（20,21）を設け、一方のブラケッ
   ト（20）には矩形状の開口部（20a）を形成し、他方の
   ブラケット（21）には切欠き（23）を有する略円形状の
   開口部（21a）を形成すると共に、容器本体（12）とキ
   ャップ（13）とからなる収納容器（11）の底面部（12
   a）または上面部（13a）のいずれか一方に前記矩形状の
   開口部（20a）に挿入するための矩形状の突部（16）を
   形成し、他方に前記略円形状の開口部（21a）に嵌合す
   るための円柱状の突部（17）を形成し、該円柱状の突部
   （17）を前記円形状の開口部（21a）に固定するロック
   装置（25）を前記キャリア（３）に固定したブラケット
   （24）に設けたことを特徴とする自動二輪車の物入れ装
   置。