JPH08510176A - 装飾層構造とその使用 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 装飾層構造およびそのような層構造を有する熱押箔を提示しており、この構造においては、被覆ラッカー層の内表面の少なくとも一区域に、光学回折効果を有する立体構造体が存在し、この立体構造体には、該立体構造体を目ではっきりと見えるようにする反射層を施す前に、装飾ラッカー層が設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】 装飾層構造とその使用 本発明は装飾層構造に関し、この装飾層は、少なくとも一つの透明被覆ラッカ ー層であって、その表面（これは使用時には見えない）の少なくとも一区域内に 光学回折効果を有する立体構造体が存在する透明被覆ラッカー層と、少なくとも 立体構造体の領域に存在する反射層とを含む。さらに本発明は、このような装飾 層構造の使用に関する。 上述したような装飾層構造あるいは構成は、たとえば、銀行券、クレジットカ ード、ＩＤカードあるいは切符などの有価発行物の防犯要素等として幅広く使用 されている。ここで、「光学回折効果を有する立体構造体」とは、入射光の回折 または屈折によりきわめて特殊な効果を生じる構造を意味している。そのような 光学回折効果を有する構造としてはたとえば、ホログラム、コンピュータにより 作られる回折構造、干渉層あるいは回折格子などがある。 ドイツ特許DE 41 30 896 A1は、本明細書の冒頭部分に記載した種類の複合層 構造を開示しており、その中では、屈折率Ｎ＝2.5の誘電体を反射層として用い ている。既知の複合層構造においては、光学回折効果を有する構造体の両側に隣 接しているラッカー層は、各々の表面の全体を覆っている。 ドイツ特許公開公報（DE-OS）第23 52 366号は、光学回折効果を有する立体構 造体が一区域に存在するＩＤカードを開示している。この構成においては、実質 的に同一の屈折率を有する二つの層が、一区域内に層物質を囲んでおり、この層 物質の屈折率は囲んでいる二つの層のそれとは異なる。光学回折効果を有する立 体構造体は一つの層の限られた領域にのみ存在し、その領域の物質は異なる屈折 率を有している。 一般に、光学回折効果を有するそのような構造体は、保護すべき書類に配置す るに当たって、その限られた領域のみを覆うようにする。通常、適切な形状の箔 押し部材あるいは押抜き部材を使用して、限られた領域のみに存在する光学回折 構造体を有する装飾層構造を作る。光学回折効果を有する構造に追加して、特殊 なプリントなどの他の防犯要素を設ける場合には、プリントなどの他の防犯要素 に対して、光学回折効果を有する構造体を製造するための箔押し部材あるいは押 抜き部材を相互に正確に整合させなければならないという問題が生じてくる。従 って、従来は、種々の防犯要素相互の見当合せが比較的かなりの程度不正確であ ることをしんぼうしなければならないか、またはゆっくりとした作業速度にもか かわらず、生産工程中に比較的大量のロスを生じるかのどちらかであった。 そこで本発明の目的は、この点に関する改善策を提起することであり、また、 上述した種類の光学回折効果を有する構造体が装飾層構造の一区域のみに存在す るようにしながら、特殊なプリント等の追加の防犯要素を非常に正確にある程度 の高生産速度で付与することができ、あるいは光学回折効果を有し、一区域のみ に存在する構造体を少なくとも非常に正確な位置に生産することができる可能性 を提示することである。 本発明にしたがってこれらの目的を達成するためには、上述した種類の装飾層 構造を設計するに当たり、被覆ラッカー層の表面（この表面に光学回折効果を有 する立体構造体が存在する）と反射層との間の一区域に存在するように別の装飾 ラッカー層を設け、これが立体構造体を満たし、その層厚が少なくとも立体構造 体の厚さに相応し、かつ、その基本組成が、透明被覆ラッカーの屈折率との差が 0.8未満であるラッカーから形成されるようにする。 上述の装飾層構造の構成からわかるように、光学回折効果を有する立体構造体 の正確な位置決めを、立体構造体を型押しする工程中に実施しておく必要はなく なる。それどころか、本発明に従う構成においては、光学回折効果を有する立体 構造体は被覆ラッカー層の表面域に導入され、この際、この表面域は、立体構造 体が存在すべき区域よりも広い。にもかかわらず、装飾層構造を見る人は、立体 構造体が所望される領域に正確に存在しているかのような印象を持つ。これは、 立体構造体の陥没部と隆起部が、該構造体が所望されている領域外の装飾ラッカ ー層により水準化されているためであり、この場合、見る人の側からすると、反 射層は、一方では立体構造体に満たされた装飾ラッカー層の後ろ側に存在し、他 方では追加の装飾ラッカー層がなく、立体構造体のすぐ後ろの領域に存在するよ うに見える。従って本発明に従う装飾層構造の場合には、立体構造体の正確な位 置決めは、箔押し部材や押抜き部材などを用いて正確に揃えることによってでは なく、反射金属層を施す前に立体構造体で満たされた追加の装飾層を設けること によって得られる。追加の装飾ラッカー層は、ここではたとえばプリント工程な どにより製造することができ、そのため、比較的容易に正確に揃えることができ る。装飾ラッカー層を施す操作に続いて金属による被覆操作を行うとしても、そ して、それはさらにプリント工程を行った後であっても、通常、正確に揃えるこ とに対して特に困難は生じない。 それ故、本発明の手法に従えば、光学回折効果を有し、一区域のみに存在する 立体構造体を伴う装飾層構造を比較的容易に製造することができ、しかも、最も 簡単な場合には、一区域に存在する立体構造体を設けるべき被覆ラッカー層の全 表面に光学回折効果を有する立体構造体が存在するように製造可能であり、これ はたとえば、適切な型出しローラーなどを用いることにより非常に容易に行うこ とができる。次に、第二の作業工程において、適切な装飾ラッカー層を施して一 領域に存在する立体構造体を満たす。このとき、透明被覆ラッカーの屈折率と装 飾ラッカー層の基本物質のそれとのわずかな差によって被覆ラッカー層と装飾ラ ッカー層との界面が、普通の状況では目に見えなくなる。ここで、装飾ラッカー 層の「基本組成」あるいは「基本物質」とは、顔料および充填剤を含まないラッ カー自体を意味している。 通常、装飾ラッカー層は被覆ラッカー層のように透明ラッカーからなっており 、その点では、それらの透明ラッカーは、たとえばアルミニウムの反射層を用い た場合に金色に見せるために着色されていてもよいことは明かであろう。 しかし、特別な使用状況においては、顔料で着色された層により形成された装 飾ラッカー層を使用することも可能である。しかし、装飾ラッカー層に顔料が存 在していても、もし基本組成が適切な屈折率を有している場合には、被覆ラッカ ー層と装飾ラッカー層との間に生じた界面は見ることができない。しかしながら 、たとえば顔料で着色された装飾ラッカー層を使用する場合には、さらに特別な 効果を期待することができる。というのは、そのような場合には、実際、装飾ラ ッカー層の片方側（使用時には見る人から反対側）に存在する反射層は見えない のである。 アルミニウムやクロムなどを真空蒸着により施した金属層を反射層として使用 することが望ましく、これは既知の方法である。そのほか、屈折率が少なくとも ２の誘電性物質を反射層として使用することもできる。 上述したように、本発明に従う装飾層構造は非常に幅広い分野での使用に供す ることができる。しかしながら、特に有用な用途は、押箔、特に熱押箔の転写層 集合体の構成要素としてであり、ここで該押箔、特に熱押箔は、支持フィルムお よび転写層集合体からなっており、該転写層集合体は接着剤層を介して基材に固 定され、かつ、支持フィルムから剥離することができ、このような場合は、被覆 ラッカー層が装飾された基材の自由表面を形成する保護ラッカー層として機能す る。そのような種類の熱押箔の個々の層は、通常の方法により形成することがで き、たとえば、磁性層などを用いた既知の組合せを使用することも可能である。 たとえば装飾ラッカー層を磁化性ラッカーによって形成した場合には、金属処理 を行うことにより装飾ラッカー層から磁性層が剥離しないという利点が加えられ 、その結果、磁性層の磁化、および磁性層に記録されている情報の読み出し操作 のいづれもがより簡単になる。 本発明のその他の特徴、詳細および利点について、以下に示す本発明に従う装 飾層構造を有する熱押箔の説明に沿い、その一部の切断面を模式的に示した図面 を参照しながら明らかにする。図示した態様の層厚の関係は必ずしも正確ではな い。 図に示す熱押箔は既知のものと同様に支持フィルム１を有する。支持フィルム １上には、ワックスなどからなる剥離層２を介して、全体として参照番号３で示 されている転写層集合体がある。 支持フィルム１に近い方から、転写層集合体３には透明被覆ラッカー層４があ り、これは、支持フィルム１から遠い方の表面の少なくとも一区域内に立体構造 体５を有する。立体構造体５は、例えば回折、屈折等によって光学回折効果を発 揮するような形状と寸法を有している。たとえば、立体構造体５は、ホログラム 、あるいはコンピュータにより作られる回折構造であり、また、回折格子であっ てもよい。 立体構造体５は、通常、支持フィルム１に施される被覆ラッカー層４に型押し してつくられ、このため、被覆ラッカー層４は、立体構造体５を型押しする際に は完全に硬化していない架橋ラッカーまたは熱可塑性ラッカーである。 図面からはっきりわかるように、立体構造体５を有する被覆ラッカー層４の表 面は、所々装飾ラッカー層６により覆われており、この装飾ラッカー層６は、少 なくとも立体構造体５の陥没部を完全に満たすような厚さを有している。すなわ ち、装飾ラッカー層６は、少なくとも立体構造体５の最大の深さに対応する厚さ でなければならない。 被覆ラッカー層４の表面に、反射金属層７を真空蒸着などにより施すが、これ は支持フィルム１からは遠い方にあり、その一部は立体構造体５により、また一 部は装飾ラッカー層６により形成されている。 次に、金属層７に隣接して結合層８があり、接着剤層９を確実に結合する。接 着剤層９は、転写層集合体３を基材上に固定する働きをする。転写層集合体３を 基材上に配置した後、支持フィルム１を既知の方法によりはがす。これは、熱押 箔を使用すると容易に行えるが、これは、適切な熱の効果により剥離層２が軟化 するようためである。接着剤層９は通常、熱活性化性の層であり、これも、転写 の際に使用する熱により転写操作中のみ接着性となる。 被覆ラッカー層４は透明ラッカー層であるため、転写層集合体３を接着剤層９ を介して基材上に配置した後は、被覆ラッカー層４を通して立体構造体５を見る ことができる。特別な視覚効果を与えるために被覆ラッカー層を着色してもよい 。 装飾ラッカー層６は、少なくともその基本物質に関して被覆ラッカー層４と適 合していることが重要である。事実、装飾ラッカー層６を設ける意図は、被覆ラ ッカー層４と、立体構造体５を有する装飾ラッカー層６との界面を、支持フィル ム１側から被覆ラッカー層４を介しては見ることができない、あるいはほとんど 見ることができないようにすることである。このことは、被覆ラッカー層４の屈 折率と装飾ラッカー層６のそれとの差が0.8より小さいときに確実になる。 既に述べたように、装飾ラッカー層６の基本物質が屈折率において被覆ラッカ ー層４に実質的に相応していれば充分である。しかし、装飾ラッカー層６は顔料 で着色されていてもよく、それによって、装飾層構造あるいは転写層集合体３の 中で、装飾ラッカー層６を有する領域を、立体構造体５のみを有する領域に対し て異なる色に着色することができ、かくして、装飾ラッカー６により被覆された 領域がはっきりと可視化される。 図示する実施態様による熱押箔の製造は、押箔の製造から既知である方法を用 いることにより実施でき、たとえば、ドイツ特許DE 34 22 910 C1を参照のこと 。 図示した実施態様においては、たとえば、以下のような層を用いることができ る： 支持フィルム１は、たとえば、厚さ19〜23μｍのポリエステル箔であり、ここ に、被覆ラッカー層４および装飾ラッカー層６を凹版印刷ローラーを用いて施す ことができる。被覆ラッカー層４と装飾ラッカー層６を施す間に、支持フィルム １から遠い方の被覆ラッカー層４の表面に、たとえば適切な型押しローラーを用 いて型押しすることにより立体構造体５を形成することができる。 一般に、被覆ラッカー層４は厚さ0.3から1.2μｍであり、たとえば、以下の組 成を有している： 装飾ラッカー層６はたとえば、層厚0.5〜２μｍとし、ガラス転移温度Ｔｇ＝1 00℃の高分子PMMA樹脂を含むものが好ましい。装飾ラッカー層はたとえば、以下 のような組成である： 金属層７は真空蒸着により施し、たとえば、アルミニウム、クロム、銅、スズ 、銀もしくは金またはそれらの合金からなるものであってもよい。通常、厚さは 0.01〜0.04μｍである。 しかしながら、金属層の代わりに、屈折率が少なくとも２の誘電性物質を反射 層として使用することも可能である。 たとえば、次のような材料を誘電性物質として使用することができる： ゲルマニウムウムおよびインジウムなどの化学元素、 または、酸化ケイ素（SiO）、五酸化二タンタル（Ta₂O₅）、二酸化チタン（TiO₂ ）、三酸化二チタン（Ti₂O₃）、二酸化セレン（CeO₂）、二酸化ハフニウム（HfO₂ ）および二酸化ケイ素（SiO₂）などの酸化物、 または、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛などの塩。 結合層８は、通常、厚さ0.2〜0.7μｍであり、もし結合層８の厚さがそれほど 大きくない場合には、図面に示しているように、接着剤層９に対する境界面構造 が形成される。 結合層８は、たとえば以下のような組成である： 層９の接着剤は、たとえば被覆ラッカー層４の厚さにほぼ相応した厚さに施す 。接着剤層９は、たとえば既知の熱接着剤層であってもよい。しかしながら、必 ずしも常に接着剤層を施す必要はない。接着剤層の必要性は、押箔を形成すべき 基材の組成による。たとえば、基材がPVCを含む場合（これはクレジットカード などによく用いられる）、通常、特別な熱接着剤層は省略することができる。こ のときに必要なのは、単に、適当な接着特性を有する適切な厚さの結合層８を使 用することである。 層構造は、必ずしも図示した実施態様に沿うものでなくてもよい。たとえば、 装飾ラッカー層６はいろいろな着色ラッカーを用いて与えられたパターンを形成 するものから構成されていてもよく、また、装飾ラッカー層６として磁性ラッカ ー層を使用してもよい。特に磁性顔料を使用する場合には、少なくとも一部区域 に追加の層を設ける必要が生じる場合もある。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 使用時には目に見えない表面に、光学回折効果を有する立体構造体（５） が少なくとも一区域内に存在する少なくとも一つの透明被覆ラッカー層（４）と 、少なくとも立体構造体（５）の領域に存在する反射層（７）とを有する装飾層 構造であって、この装飾層構造は、立体構造体（５）を有する被覆ラッカー層（ ４）の表面と反射層（７）との間に別の装飾ラッカー層（６）が存在し、これが 、立体構造体（５）を満たすと共にその層厚が少なくとも立体構造体（５）の深 さ（ｄ）に相応し、また、前記装飾ラッカー層が、透明被覆ラッカー（４）との 屈折率の差が0.8より小さい基本組成のラッカーからなっていることを特徴とす る装飾層構造。 ２． 装飾ラッカー層（６）が透明ラッカーからなっていることを特徴とする請 求の範囲第１項記載の装飾層構造。 ３． 装飾ラッカー層（６）が顔料を含むラッカーからなっていることを特徴と する請求の範囲第１項記載の装飾層構造。 ４． 反射層（７）が、真空蒸着により施された金属層であることを特徴とする 前記請求の範囲第１項から第３項のいずれか１項記載の装飾層構造。 ５． 金属層（７）が、屈折率２以上の磁性物質からなることを特徴とする請求 の範囲第１項から第３項のいずれか１項記載の装飾層構造。 ６． 上記請求の範囲第１項から第５項のいずれか１項記載の装飾層構造の使用 方法であって、支持フィルム（１）と、接着剤層（９）を介して基材に固定する ことができ、かつ、支持フィルム（１）から剥離することができる転写層集合体 （３）とを有する押箔、特に熱押箔の転写層集合体（３）の構成要素として使用 し、被覆ラッカー層（４）が装飾された基材の自由表面を形成する保護ラッカー 層として機能することを特徴とする方法。