【発明の詳細な説明】
ピペラジニルピリジニル水クラスレート
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルビリジン(III)の製法、その
精製方法、およびその水クラスレートに関する。3-アルキルアミノ-2-ピペラ
ジニルピリジン(III)は、HIV陽性である個人を治療するのに有用な公知の
化合物の製造に用いる。
2.関連分野の説明
特定の有機分子および無機分子は、「ゲスト分子」を取り囲む水分子の「ホス
ト格子」よりなる結晶固体である「水クラスレート」としても知られている「多
水和物(polyhydrate)」を形成することが知られている。多水和物においては
、水分子が、ゲスト分子が占めるボイドで格子を形成する。
文献標題「クラスレート水和物(Clathrate Hydrates)」のプログ・インオー
グ・ケム(Prog.Inorg.Chem.)、第8巻、43頁(1967年)において、標題
の多水和物が概説されていた。この概説には、当時に水クラスレートを形成する
ことが知られていた全ての有機分子のリストが含まれている。ジエチルアミン、
エチルアミン、t-ブチルアミン等のごとき大部分の小分子が掲載されている。
ピペラジンの六水和物は、44-45°で融解することが知られている(ジャ
ーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(Journal of Chemical Physics)、第
48巻、4134頁(1968年)参照)。しかしながら、一置換ピペラジン水
クラスレートの例は掲載されていない。
該先行文献には、水クラスレート形成が有機分子精製の驚くべき有効な手段と
なり得ることの示唆は全く含まれていない。
水クラスレート形成を介して粗精の3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)
ピリジンを精製することは非常に有利である。
3-アミノ-2-クロロ置換ピリジンの塩素をアミンで置換することは困難であ
ることが知られている。該文献は、銅(II)塩を含有させることによって置換を
触媒することが必要であることを教示している。たとえそのようにしても、収率
は低く、48-59%の範囲である。例えば、触媒量の硫酸銅(II)の存在下で
、3-アミノ-2-クロロ-ピリジンを、過剰量の水酸化アンモニウムで縮合させる
と(130°、20時間)、2,3-ジアミノピリジンが58.9%収率で生成し
、過剰量の水性メチルアミンで縮合させると(150°、17時間)、3-アミ
ノ-2-メチルアミノ-ピリジンが48.2%収率で生成する(ベルボー(Ber.)、
第69巻、2593頁(1936年)および独国特許第667,219号(19
38年11月7日)参照)。また、触媒量の硫酸銅(II)の存在下において、3
-メチルアミノ-2-クロロ-ピリジンを、過剰量の水酸化アンモニウムで縮合させ
ると(130°、30時間)、2-アミノ-3-メチルアミノ-ピリジンが54%収
率で生成し(ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(J.Chem.Soc.)、
第442巻(1957年)参照)、過剰量の水性メチルアミンで縮合させると(
160°、20時間)、2,3-ジ-(メチルアミノ)-ピリジンが55%収率で生
成する(ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(J.Chem.Soc.)、パー
キン,アイ(Perkin,I)、673頁(1973年))。硫酸銅(II)は、(3-4
のファクターによって)3-エチルアミノ-2-クロロピリジンおよびピペラジン
の間の反応も触媒する。
また、塩酸のごとき強プロトン酸が、クロロ複素環の塩素のアニリンによる置
換を触媒し、対応するアニリノ置換複素環を形成することも知られている。例え
ば、塩酸は、アニリンと、2-クロロ-s−トリアゼンとの間(ジャーナル・オブ
・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Amer.Chem.Soc.)、第66巻、1
127頁(1944年)参照);4-クロロキノリンとの間(米国特許第3,63
2,761号、米国特許第4,025,629号および米国特許第4,167,56
7号参照);および種々の4-クロロ-ピリミジンとの間(ジャーナル・オブ・ケ
ミカル・ソサイエティー(J.Chem.Soc.)、1014頁(1949年)、ジャー
ナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)、第6
6巻、1127頁(1944年)およびジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエ
ティー(J.Chem.Soc.)、370頁(1946年)参照)の反応を触媒する。
しかしながら、触媒として作用する塩酸の能力は、置換アミンがアニリンのご
とき比較的弱い塩基(pKa=4.6)である場合には制限されると考えられてい
る。アミンのpKaが5.1よりも大きい場合には、塩酸は置換を触媒せず(ジャ
ーナル・オブ・ケミカル・ソサイティー(J.Chem.Soc.)、1014頁(194
9年))、むしろ単にアミンにプロトンを付加することが主張されている。例え
ば、ベンジルアミン(pKa=9.3)は、塩酸の存在下にて4-クロロ-(6また
は7)-ニトロキナゾリンで縮合されない。ピペラジン(pKa=9.8)はベン
ジルアミンよりもさらに強い塩基であるため、塩酸は、3-アルキルアミノ-2-
クロロピリジンのピペラジンとの反応を触媒せず、単にピペラジンにプロトンを
付加するであろうことは予想されよう。文献には、強プロトン酸によってクロロ
複素環とピペラジンとの間の反応が加速され得ることの示唆は含まれていない。
強プロトン酸の存在下にて、ピペラジン(II)によって3-アルキルアミノ-2
-クロロピリジン(I)の置換を行うのが非常に有利である。
発明の概要
式(III):
[式中、R3は-CH2-CH3]
で示される3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジンの水クラスレートを開
示する。
また、式(III)で示される3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン[式
中、R3は-CH(CH3)2]の水クラスレートも開示する。
さらに、
(1)式(I):
[式中、X1は-Clまたは-Brで、R3は、前記定義に同じ]で示される3-アミ
ノピリジンをピペラジン(II)と接触させ、次いで、
(2)工程(1)の混合物を110°を超える温度に加熱することからなる式
(III)で示される3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン[式中、R3は-
CH2-CH3または-CH(CH3)2]の製法も開示する。
加えて、
(1)未精製の3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)、その塩
または水和物を水性混合物に添加し、
(2)そのpHを7を超える値に保持し、次いで
(3)その混合物から水クラスレート3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピ
リジン(III)を結晶化させることからなる式(III)で示される3-アルキルア
ミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)[式中、R3は-CH2-CH3または-CH
(CH3)2]の水クラスレートを製造することによる精製方法も開示する。
発明の詳細な説明
本発明は、3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)の製法、その
精製方法、ならびに3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)[式中
、R3は-CH2-CH3または-CH(CH3)3]の水クラスレートを提供する。
3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)は、チャートAに掲載し
たごとく、対応するアミノピリジン(I)およびピペラジン(II)から製造する
。3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)は水クラスレート形態に
て得るのが好ましい。3-アミノピリジン(I)およびピペラジン(II)は公知
である。
3-アミノピリジン(I)については、R3はエチル-CH2-CH3またはイソプ
ロピル-CH(CH3)2のいずれかであり、X1は-Clまたは-Br;好ましくは-
Clである。3-アミノピリジン(I)をピペラジン(II)と接触させ、銅(II)
イオンの不存在下にて、110°を超える温度まで加熱する。製法は、1当量の
ピペラジン(II)のみでも操作できるが、約3〜10当量を用いるのが好ましく
、約5当量を用いるのが最も好ましい。反応混合物は135°を超える温度まで
加熱するのが好ましく;約145°ないし約170°の範囲で加熱するのがさら
に好ましい。
その好ましい温度範囲はピペラジン(II)の沸点を超えるため、接触および加熱
は密閉系で行うのが好ましい。プロセスを開放系で実践する場合には、有機溶媒
を反応混合物に添加できる。該溶媒を添加して、還流の間のピペラジン(II)の
結晶化を防ぐことができる。プロセスを閉鎖系で実践する場合には、圧力を加え
るため、溶媒がない方が好ましい。前の反応から持ち越されてくるために、閉鎖
系でさえも最小量の溶媒を存在させればよいことが認知される;閉鎖系において
は、有機溶媒が全く存在しないか、最小量のみしか存在しないのが好ましい。開
放系に添加する場合には、溶媒は約0ないし約20容積%の範囲であるのが好ま
しい。好ましくは、有機溶媒は約80ないし約150°の範囲の沸点を有するで
あろう。適当な有機溶媒には、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール
およびt-ブタノールが含まれる。有機溶媒を用いる場合には、トルエンである
ことが好ましい。
酸が反応速度を高めるであろうため、プロセスは酸存在下にて行うのが好まし
い。反応過程の間に、ハロゲン(-X1)および(ピペラジンからの)-Hは一当
量の塩酸を発生させる。反応速度が酸によって早められるために、さらなる酸を
添加するのが有利である。外部的に添加した酸(好ましくは無水和物)は、2.
0またはそれ未満のpKaを有する酸よりなる群から選択されるのが好ましい;
該酸は塩酸またはメタンスルホン酸が好ましい。プロセスを酸存在下にて行う場
合には、その温度は約135ないし約170°の範囲が好ましい。酸の添加によ
って反応速度は加速されるが、所望の3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリ
ジン(III)およびピペラジン(II)は該酸によってプロトン付加され、次いで
、それは、仕上げ処理の間に共結晶化(co-crystalize)されて、幾分かの所望
の3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)が失われる。別法として
、仕上げ処理の間に失われる生成物がより少ないため、プロセスは塩基(好まし
くは無水和物)の存在下にて行うのが好ましい。使用できる塩基は、その共役酸
が約5またはそれより大きなpKaを有するものである。塩基は、その共役酸が
約5ないし約14のpKaを有する塩基よりなる群から選択されるのが好ましい
;該塩基は炭酸塩がさらに
好ましい。水は反応混合物の沸点を低下させるであろうため、非水性酸/塩基が
好ましい。反応が完了したら、その反応混合物を冷却し、トルエンで希釈すると
、もしあれば、過剰量のピペラジンが結晶化して、所望の3-アルキルアミノ-2
-ピペラジニルピリジン(III)を母液中に残す。所望の3-アルキルアミノ-2-
ピペラジニルピリジン(III)は、3-アミノ-2-ピペラジニルピリジンのごとき
塩基性未精製物と共に水性酸中に抽出される。この抽出により、ビスアダクトお
よび未反応の3-アミノピリジン(I)のごとき中性不純物が除去される。次い
で、水性塩基を添加することによって酸抽出物を塩基性化し、種晶添加すると、
前記に同定したいずれの不純物をも含まない3-アルキルアミノ-2-ピペラジン
ピリジン(III)が分析的に純粋な状態で析出する。所望の3-アルキルアミノ-
2-ピペラジニルピリジン(III)を濾過することにより晶出混合物から単離し、
水で洗浄し、処理できる固形物まで乾燥する。この固形物は、吸着水および/ま
たは吸着された無水の3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)が存
在することにより、多少の水、従って、純粋なクラスレート(約3ないし10分
子の水/3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III))を含有し得る。
不純な状態の3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)は、水また
は水性混合液からの結晶化によって精製できる。水性混合液は、水混和性の有機
溶媒または無機もしくは有機塩を含んでいてもよい。塩は、反応混合物の中和に
際して生成する。
水性媒質から結晶化させることによって得た多水和形態の3-アルキルアミノ-
2-ピペラジニルピリジン(III)は、3-エチルアミノ-2-ピペラジニルピリジ
ンおよび3-イソプロピルアミノ-2-ピペラジニルピリジンの水クラスレートの
X線結晶回折実験によって判明したごとく、真性の水クラスレートであって、水
と無水和物結晶との単なる混合物ではない。
3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)は、種々の医薬剤の製造
における中間体として有用てある(米国特許第4,996,318号、第5,12
0,843号および第5,175,281号参照)。N-エチル-2-[4-(5-メト
キシ-1H-インドール-2-イルカルボニル)-1-ピペラジニル]-3-ピリジンア
ミン(V)
は、HIV陽性である患者を治療するのに有用であることが知られている(国際
特許出願番号PCT/US90/07390を基礎とする、1991年7月11日
に公開された国際公開番号WO91/09849、実施例16参照)。N-エチル
-2-[4-(5-メトキシ-1H-インドール-2-イルカルボニル)-1-ピペラジニ
ル]-3-ピリジンアミン(V)は、3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピ
リジン(III)との反応によって、対応する適当に置換されたインドール(IV)
から製造する(チャートB参照)。
2-[4-(5-メタンスルホンアミド-1H-インドール-2-イルカルボニル)-
1-ピペラジニル]-N-(1-メチルエチル)-3-ピリジンアミン(V)は、HI
V陽性である患者を治療するのに有用であることが知られている(国際特許出願
番号PCT/US90/07390を基礎とする1991年7月11日に公開され
た国際公開番号WO91/09849、実施例105参照)。2-[4-(5-メタ
ンスルホンアミド-1H-インドール-2-イルカルボニル)-1-ピペラジニル]-
N-(1-メチルエチル)-3-ピリジンアミン(V)は、3-イソプロピルアミノ-
2-(1-ピペラジニル)ピリジン(III)との反応によって、対応する適当に置
換されたインドール(IV)から製造する(チャートB参照)。
定義および約束
以下の定義および説明は、明細書および請求の範囲の双方を含むこの文書全体
にわたって用いる用語に関するものである。
1.定義
全ての温度は摂氏単位である。
TLCとは、薄層クロマトグラフィーを示す。
HPLCとは、高速液体クロマトグラフィーを示す。
LODとは乾燥減量を示す。
CMRとは、C-13磁気共鳴スペクトルを示し、化学シフトはTMSから低
磁場へのppm(δ)で報告される。
NMRとは、核(プロトン)磁気共鳴スペクトルを示し、化学シフトはテトラ
メチルシランから低磁場へのppm(δ)で報告される。
MSとは、m/eまたは質量/電荷単位として表される質量分析をいう。
[P+H]+とは、親の陽イオン十水素原子を示す。CIとは、化学イオン化を
示す。
対の溶媒を用いる場合、用いる溶媒の比は容積/容積(v/v)である。
溶媒中の固形物の溶解度を用いる場合、溶媒に対する固形物の比は重量/容積
(wt/v)である。
3-アルキルアミノ-2-ピペラジニルピリジン(III)なる語には、3-エチル
アミノ-2-ピペラジニルピリジン(IIIA)および3-i-プロピルアミノ-2-ピ
ペラジニルピリジン(IIIB)が含まれる。
実施例
さらに詳述しなくても、当業者であれば、前記の説明を用いて本発明をその最
大限の範囲で実施することができると考えられる。以下の詳細な例は、種々の化
合物をどのようにして製造し、かつ/または本発明の種々の処理をどのように行
うかを記載しており、単に例示的に解釈されるべきであって、いかなる場合にお
いても前記の開示を限定するものではない。当業者であれば、反応物および反応
条件の双方の方法ならびに技術からの適当な変形を容易に認識するであろう。
調製例1 2-クロロ-3-エチルアミノピリジン(I)
500mlフラスコに、3-アミノ-2-クロロピリジン(20.01g、0.15
56モル、1.00当量)、p-トルエンスルホン酸無水和物(0.080g、0.
47ミリモル、0.0030当量)およびオルト酢酸トリメチル(23.36g)
0.1945モル、1.25当量)を順次添加する。そのスラリーを攪拌すると、
約22°から約10°への発熱が認められる。その混合物を、出発物質の不純溶
解物と共に約30°に加温する。その溶液を25-30℃にて10分間維持し、
次いで、70mmHgまで徐々に真空をかけ、同時にメタノールを蒸留し、混合
物を10°まで冷却する。そのメタノールを70mmHgで30°に加熱しつつ
さらに蒸留して、メチル-1-(2'-クロロ-3'−ピリジニル)イミノ-エチルエ
ーテルを得る。CMR(CDCl3,ppm δ)16.33,53.44,122.7
5,130.03,142.40,142.99,143.40,163.64;
NMR(CDCl3,ppm,δ)1.82,3.84,7.16,7.21,8.08;M
S(CI,CH4)m/e=185,187(100.%,P+1)
この物質をトルエン(150ml)で希釈し、その混合液を-20°に冷却する
。攪拌して-17±3°に維持しつつ、水素化ジイソブチルアルミニウム(50.
282g、0.3536モル、2.272当量)を滴下する。その混合物を-20
°にて15分間攪拌し、その時点でHPLCは<0.2%のイミノエーテルを示
し、希薄なスラリーが生成する。次いで、水素ガス同時蒸留しつつ、メタノール
(2.84ml、0.0701モル、0.451当量)を-17±3°にて徐々に添加
する。1Lフラスコに、水(100ml)および20°Beの塩酸(49.09g
、0.431モル、2.770当量)を順次添加する。この混合物に、カニューレ
を介して、水素化ジイソブチルアルミニウム反応混合物を添加し、発熱的である
ため、氷浴冷却を介して45-55°に維持する。クエンチした混合物からイソ
ブタンを蒸留できるように、この添加は注意深く行う。その混合物を45°にて
15分間攪拌し、この時点で二相の液状混合物が生成する。濁った水性下相を捨
てる。有機相を70mmHg真空下、70°にて濃縮して、標題化合物2-クロ
ロ-3-エチルアミノピリジン(14重量%のトルエンを含む)を得る(NMRお
よびMSにて確認)。CMR(CDCl3,ppm δ)14.46,37.86,117.
21,123.41,136.11,136.95,140.87;NMR(CDCl3,
ppm δ)1.32,3.18,4.3,6.87,7.09,7.69;MS(CI,CH4)
:m/e=157,159(100.%,P+1)
調製例2 2-クロロ-3-イソプロピルアミノピリジンメタンスルホン酸塩(I
)
窒素下にて、3-アミノ-2-クロロピリジン(26.9kg)、酢酸(75.3l
)およびアセトン(258.2l)を混合し、20-25°にて攪拌する。ホウ水
素化ナトリウムペレット(13.3kg)を少しづつ添加し、25°-30°の間
に温度を維持する。添加を完了したら、その混合物を20-25℃にて1時間攪
拌する。その反応を水(403.5l)でクエンチし、水酸化ナトリウム(50%
)の添加によってpHを8.0に調整する。水性溶液を酢酸エチル(3×133l
)で抽出し、有機抽出物を合わせ、重炭酸ナトリウム(5%、140l)、セー
ライン(140l)で洗
浄し、濃縮する。ヘプタンで共沸させると、いずれの残存イソプロパノールも除
去される。
残渣をTHF(236kg)に再溶解し、窒素下、20-25°にて攪拌する
。この混合物にメタンスルホン酸(13.5l)を添加する。要すれば、この混合
物に種結晶を添加して結晶化を行うこともできる。得られたスラリーを-20°
に冷却し、濾過し、0°のテトラヒドロフランで洗浄し、20-25°にて乾燥
して標題化合物を得る。融点=110.5−112°;NMR(CDCl3,ppm
δ)10.2,8.0,7.4,3.7,2.81,1.25;CMR(CDCl3,ppm
δ)140.9,132.2,131.3,125.1,124.5,45.4,39.3,2
1.6
実施例1 塩基として炭酸ナトリウムを用いる3-エチルアミノ-2-(1-ピペ
ラジニル)ピリジン五水和物(III)
ピペラジン(II、70.10g)、炭酸ナトリウム(22.55g)および2-
クロロ-3-エチルアミノピリジン(I、調製例1)を混合し、1気圧水蒸気のコ
ンデンサー上にそれを添加し、その固形混合物を攪拌せずに≒100°に加温す
る。その混合物を144°にてさらに加熱還流する。加温の間に、多量のピペラ
ジンがフラスコの上部に昇華するが、還流に達した時点でこれを洗い落とす。こ
の混合物を、HPLCにより終了するまで(16時間)(<1%2-クロロ-3-
エチルアミノピリジンが残っている)還流温度にて攪拌し、この間に還流温度が
152°まで徐々に上昇する。次いで、この反応混合物を147°に冷却し、ト
ルエン(250ml)を断熱的に滴下する。この添加は74°にて完了する。さ
らにスラリーを-3°に冷却する。真空濾過によって固形物を採取し、0°のト
ルエン(2×50ml)で洗浄する。トルエンで濯ぎつつ、合わせた濾液および
洗液を混合する。攪拌しつつ、水(150ml)を添加する。37重量%の塩酸
(25.17g)でそのpHを10.9から5.4に調整して、二相混合物を得る
;上相は捨てる。50重量%の水酸化ナトリウム水溶液(10.22g)て水性
相をpH8.9に調整する。その混合物を20°に冷却し、先のロットの3-エチ
ルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物を用いて種結晶を与える。
<30°に維持されてい
る間に、50重量%の水酸化ナトリウム水溶液(15.49g)でpHを>12.
5にさらに調整する。得られたスラリーを16°に冷却する。真空濾過によって
生成物を採取し、スラリーを15°の水(50ml)で洗浄し、次いで、10°
の水(50ml)で置換洗浄する。その固形物を5psi窒素下にて20分間乾燥し
て標題化合物を得る。TLC溶離液:89/10/1の塩化メチレン/メタノール/
29%アンモニア水、Rf=.37;CMR(CDCl3,ppm δ)14.80,3
8.13,46.55,50.56,115.94,119.87,135.21,137.
57,151.00;NMR(CDCl3,ppm δ)1.31,1.79,3.02,3
.12,4.23,6.81,6.91,7.71;MS(CI)m/e=207(100.
%,P+1)、LOD=30.5%、収率=(I)から80.1%
実施例2 塩基を用いない3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン
五水和物(III)
いずれの塩基も用いず、ピペラジンのみを用いる以外は重要でない変形を施し
た実施例1の一般的な方法に従って、14時間加熱還流(152-158°)し
て、標題化合物(44.60g)を得る。LOD46.9%,73.8%全収率
実施例3 3-イソプロピルアミン-2-(1-ピペラジニル)ピリジン(III)
2-クロロ-3-イソプロピルアミノピリジンメタンスルホン酸塩(I)調製例
2、51.57kg)、ピペラジン(II、99.9kg)およびトルエン(9.7l
)の混合物を150°まで加熱する。20-24時間還流した後に、その反応混
合物を110°に冷却し、その反応温度を105°より高い温度に維持しつつト
ルエン(380l)を添加する。その反応物をさらに0°まで冷却し、濾過によ
って沈殿固形物を取り除き、トルエン(3×50l)で洗浄する。濾液を合わせ
、水(180l)を添加する。濃塩酸を添加することによって、水溶液のpHを
4.3-4.5に調整する。相を分離して、水性相を保持し、水酸化ナトリウム(
50%)を添加することによってpHを12.5-13.0に調整する。水性相を
トルエン(3×100l)で抽出し、有機抽出物を合わせ、飽和塩化ナトリウム
(50%飽和、150l)で洗浄する。減圧下にて濃縮して、標題化合物を得る
。NMR(CDCl3、ppm δ)7.1,6.8,4.2,3.5,3.0,1.2;CM
R(CDCl3、ppm δ)151.0,
136.5,134.8,119.8,116.1,50.6,46.6,43.8および2
2.9
実施例4 3-イソプロピルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物
(III)の結晶性水和物の調製
無水3-イソプロピルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン[III、実施例
3〜92%およびトルエン〜8%]の少量の油性混合物で出発し、減圧下にて粘
性油状物に濃縮することにより水中のスラリーとして少量の標題化合物を得る。
少量の水を添加し、二相液体混合物を-25°にて冷凍する。20-25°に加温
して溶解させると、標題化合物のスラリーが生成する。このスラリーからの結晶
をさらに多くのロットに種結晶を添加するのに用いた。これは以下の方法を用い
て調製した。
無水3-イソプロピルアミノ-2-(1-ピペラジニル)-ピリジン[実施例3、
〜70%およびトルエン〜30%、10.028g]の液状混合物を減圧下にて
粘性の油性物(7.106g)に濃縮する。一部(5.580g)を水(30ml
)と混合して、液体二相混合物を得る。標題化合物の種結晶を添加し、攪拌しつ
つ0°まで冷却を続け、濃厚なスラリーが生成する。真空濾過によって生成物を
採取し、0°にて水で洗浄する。その混合物を室温空気流中で乾燥して処理でき
る固形物とし、標題化合物を得る。カール・フィッシャー=49.6重量%の水
、融点=26-27℃
実施例5-7は、3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン(実施例
5)の五水和物誘導体の結晶化が、無水遊離塩基(実施例6)または二塩酸塩(
実施例7)のいずれの結晶よりも遥かに高い純度まで引き上げることを証明して
いる。
実施例5 3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン(III)が夾雑する場
合の、水からの3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物(II
I)の精製
精製した3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物(III、
9.916g、LOD=46.4%、25.765ミリモル)に、無水の遊離塩基
に基づいて、1.15重量%に等しい精製した無水3-アミノ2-(1-ピペラジニ
ル)ピリジン(62mg)を添加する。次に、水(25ml)を添加し、その混
合物を48°
に加温し、その温度にてそれは均一な溶液になる。その混合物を20°に冷却し
、真空濾過によって生成物を採取し、水(40ml)で洗浄する。その混合物を
空気流中にて10分間乾燥して、3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)-ピ
リジン五水和物(7.899g;LOD=41.6%;22.381ミリモル、8
6.9%)を得る。HPLCによって生成物をアッセイしたところ、無水遊離塩
基に基づいて0.1重量%の3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジンであり
、この結晶化における純度の有意な改善が反映されていた。
実施例6 3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物として
3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二塩酸塩が夾雑する場合の3-エチ
ルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二塩酸塩の精製
0.3%の3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二塩酸塩を含有する3-
エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二塩酸塩(III、7.587g)
を、3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二塩酸塩(0.069g)およ
び水(28ml)に添加する。pH=1.5の得られた溶液に水酸化ナトリウム(
50%水溶液、4.1g)を添加してpH9.5とする。この混合物を、3-エチ
ルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物(III)を種結晶として添加
し、次いで、3.8gの50%水酸化ナトリウム水溶液でpHをさらに12.7に
調整する。その生成物を20-25°、減圧下にて採取し、水(20ml)で洗浄
する。その生成物を、ゆっくりとした空気流中で1日間乾燥させて標題化合物が
得られ、これをLODによりアッセイしたところ27.0%の水を含有し、TL
Cによってアッセイしたところ検出できる3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピ
リジンは含有していなかった。
実施例7 3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン(III)が夾雑してい
る場合の有機溶媒からの無水遊離塩基としての3-エチルアミノ-2-(1-ピペラ
ジニル)ピリジン(III)の精製の試行
精製した3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物(III、
10.268g、LOD=46.4%)に塩化メチレン(50ml)を添加する。
この混合物を加温して固形物を溶解し、相を分離させる。その水性相を塩化メチ
レン(10ml)で洗浄し、有機相を合わせる。次いで、その有機相に、無水遊
離塩基
に基づいて1.15重量%に相当する純粋な無水3-アミノ-2-(1-ピペラジニ
ル)ピリジン(64mg)を添加する。メチルt-ブチルエーテル(21ml)お
よびヘキサン(15ml)を添加し、得られた混合物を減圧下にて全量10mlに
濃縮する。次いで、メチルt-ブチルエーテル(10ml)を添加し、生成物を2
0-25°にて結晶化させる。次に、ヘキサン(20ml)を得られたスラリーに
徐々に添加する。その混合物を0°に冷却し、真空濾過によって生成物を採取し
、ヘキサン(〜10ml)で洗浄する。その生成物を20-25°の窒素蒸気中で
乾燥して、無水3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン(3.372
g)を得る。その生成物をHPLCよりアッセイしたところ、1.5重量%の3-
アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジンを含有しており、この低収率結晶化法
における純度の低下を反映している。
実施例8 3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二塩酸塩(III)が夾
雑する場合のメタノール/酢酸エチルからの3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジ
ニル)ピリジン二塩酸塩(III)の精製の試行
純粋な3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物(III、9.
988g、LOD=46.4%、25.954ミリモル)に塩化メチレン(50m
l)を添加する。その混合物を加温して固形物を溶解し、相を分離させる。その
水性相を塩化メチレン(10ml、次いで5ml)で洗浄し、有機相を合わせる。
次いで、その有機相に、無水遊離塩基に基づいて1.13重量%に相当する純粋
な無水3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン(61.0mg)を添加する
。次いで、メタノール(49ml)中の塩酸(4.13g)の溶液を攪拌しつつ添
加して均一な溶液を得る。次いで、真空下にて溶媒を全量約12mlになるまで
留去する。次いで、酢酸エチル(73ml)を添加し、減圧下にて溶媒を全量約
12mlになるまで留去する。次いで、酢酸エチル(73ml)を添加し、減圧下
にて溶媒を全量約22mlになるまで留去する。真空濾過によって生成物を採取
し、酢酸エチル(37ml)で洗浄し、50°真空オーブンで3日間乾燥して、
3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二塩酸塩(7.215g、2
5.841ミリモル、99.6%収率)を得る。該生成物をHPLCによってアッ
セイしたところ、無水遊離塩基に基づい
て1.03重量%の3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)-ピリジンを含有していた
。しかしながら、2.16mgの3-アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン二
塩酸塩および1.39mgの3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン
二塩酸塩しかHPLCによって濾液に検出されなかったことは、ほぼ全ての3-
アミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジンおよび3-エチルアミノ-2-(1-ピペ
ラジニル)ピリジンが、有意でない純度上昇で、二塩酸塩として沈殿することを
明らかに示している。
実施例9 塩酸を添加して用いる3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピ
リジン五水和物(III)
ピペラジン(68.20g、0.7917モル)、塩酸(5.16g、0.141
5モル)および2-クロロ-3-エチルアミノピリジン(7.23%トルエンを含む
26.65g、24.72g、0.1579モル)を混合する。その固形混合物を
、攪拌せずに約110°に加温する。その混合物を、さらに152°で加熱還流
する。その混合物を、HPLCにより反応が完了するまで(<1%2-クロロ3-
エチルアミノピリジン)(8時間)還流温度にて攪拌する。反応工程を通して、
還流温度が168°に徐々に上昇する。その混合物を126°まで徐々に冷却し
、その温度にて塩酸ピペラジンが沈殿する。次いで、トルエン(150ml)を
断熱的に、よく攪拌しつつ滴下する。添加は75°にて完了させる。そのスラリ
ーをさらに3°に冷却する。真空濾過によって固形物を採取し、0°トルエン(
2×40ml)で洗浄し捨てる。合わせた濾液および洗液を、トルエンで濯いだ
500mlフ
(28.41g)0.2494モル、1.58当量)でpHを11.1から4.9に
調整して、液体二相混合液を得る。上相は捨てる。下相はトルエン(100ml
)で洗浄する。水酸化ナトリウム(50%、13.30g、0.1663モル、1
.05当量)で水性相をpH9.1に調整する。その混合物を25°に冷却し、前
ロットの標題化合物を種結晶として加える。水酸化ナトリウム(50%、11.
52g、0.1440モル、0.91当量)で、<30°に維持しつつ、pHをさ
らに>12.5に調整する。得られたスラリーを12°に冷却する。真空濾過に
よっ
て生成物を採取し、そのスラリーを10°の水(89ml)で洗浄し、次いで1
0°の水(89ml)で置換洗浄する。その固形物を5psi窒素下で30分間乾燥
して、3-エチルアミノ-2-(1-ピペラジニル)ピリジン五水和物(44.60
g、LOD=34.7%)を得る。
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(72)発明者 パーラウルト,ウィリアム・アール
アメリカ合衆国ミシガン州49001、カラマ
ズー、パビリオン・ドライブ5108番
(72)発明者 ドブロウォルスキー,ポール・ジェイ
アメリカ合衆国ミシガン州49008、カラマ
ズー、ダブリュー・キルゴア2002番