【発明の詳細な説明】濃縮された界面活性剤組成物
本発明は新規な、濃縮された水性界面活性剤組成物、特に活性成分の高濃度に
おいて流動性又はポンプ輸送可能(pumpable)な両性界面活性剤組成物に関する
。このような組成物は相調整剤の存在下に製造されており、従って広範囲に亙る
活性成分濃度の該組成物の製造が従来から可能であった。特に、本発明は、特に
高濃度の両性界面活性剤組成物、殊にベタイン及び脂肪イミダゾール誘導体を製
造する新規な方法であって、その際該界面活性剤又は界面活性剤組成物の製造に
、相調整剤として非界面活性剤有機溶剤を使用する方法に関するものである。
本発明による好ましいベタインは、少なくとも1つの脂肪アルキル鎖を有する
3級アミン中間体のN−カルボキシメチル化された誘導体、例えばココアミドプ
ロピルベタイン(CAPB)、スルホベタイン、ホスホベタイン、及びヒドロキ
シスルホベタイン;およびイミダゾリン類、特にアルキル鎖及びヒドロキシアル
キル鎖を有するイミダゾリン類の加水分解により製造された、アミドアミン類の
N−カルボキシメチル化誘導体、例えばN−カルボキシメチル化ラウリルヒドロ
キシエチルイミダゾリン(CLHI)である。技術的背景
両性界面活性剤は同一分子中に陰性要素及び陽性要素が組み込まれているので
、酸性又はアルカリ性条件において塩の形成が可能となる。両性界面活性剤は一
般に皮膚及び眼に温和であり、低い毒性を示し、そしてマイルドな界面活性剤と
して非常に効果的である。
さらに、洗剤及び人用衛生製品分野における発達は、天然脂肪及び天然油のよ
うな天然製原料の誘導体への注目が増大して来ており、該誘導体は環境上及び毒
性上の利点からより慣用の原料を提供する。
界面活性剤組成物は工業用及び家庭用の広範囲な用途のために製造及び販売さ
れている。該組成物はしばしば流体形態のものが要求され、従って、貯蔵及び輸
送コストを減少させるために流動性を維持しながら、活性物質の割合をできるだ
け高く含有するものが望まれる。
界面活性剤組成物が常温以下又は常温より僅かに高い融点を有する場合は、界
面活性剤を無水組成物又は約5%までの水を含有する組成物の形態でそれぞれ供
給することは時々可能である。水を含有する組成物の場合は、痕跡量の水が融点
降下剤として働くようである。
しかしながら、約25℃以上の温度において固体状の界面活性剤組成物の場合
は、組成物基準で約30〜40重量%以上の濃度で流体組成物を得ることがしば
しば可能であった。相転換を引き起こすのに十分な多量の水は流体溶液よりはむ
しろ硬質ゲルを形成させる結果となるが、約10%までの少量の水は十分には融
点を低下させない。希薄な溶液中の活性成分の全濃度が通常約30重量%の、ま
たはある種の混合物の場合にはやや高い、例えば約55重量%までの臨界レベル
に近づいているので、その際溶液の粘度は上昇しはじめ、組成物の調製及び取り
扱いが困難となることが一般にわかっている。臨界濃度レベルまたはその付近に
おいては、溶液は非流動性ゲルとなるか、相分離が起こる。
粘度調整剤又は共溶剤の添加により溶液中に安定に配合される活性成分の濃度
を増加させることは時々可能である。これらの添加剤は溶液の粘度を低下させ且
つゲルの形成を抑制する希釈剤として働くので、より高い濃度にすることができ
る。しかしながら、多くの望ましい最終用途のための製品の性質に悪く影響し及
び/又は製品のコストを増加させる程に大量に、このような共溶剤、例えばアル
コール類を存在させたときでさえも、許容しうる粘度を有する界面活性剤組成物
の達成可能な濃度を実質的に増加させる効果がある。
多くの界面活性化合物又は混合物は高粘稠で非ポンプ移動性の液晶相を形成す
ることが可能であることは公知である(例えば、”Advancse in Co11oid Interf
ace Science”1(1967)79-110頁の82-83頁参照)。これら化合物又は混合物の
いくつかは他の液晶相に比べて比較的低い粘度の相を形成する。該相は通常、「
G相」又は「ラメラ相」と呼ばれており、特別の濃度範囲内においてのみ形成さ
れる。「G相」はポンプ移動可能な流体であり、該流体は通常活性成分が40〜
85重量%の範囲にある狭い濃度範囲にわたって形成され、そして界面活性剤分
子が会合して水分子の面により区分された不特定サイズの面を形成するラメラ構
造により特徴づけられる。しかしながら、「G相」の存在が報告されている両性
界面活性剤の僅かなケースにおいては、高められた温度または実際的な使用では
ないような狭い濃度範囲にかぎり「G相」を形成することができる。
商業的価値に有用なある種の界面活性剤、例えば幾つかのアンモニウムアルキ
ルサルフェート類及びオレフィンスルホネート類が常温で「G相」を形成し、そ
して予め達成することができた濃度よりも非常に高い濃度において流体形態で調
製されるという技術は公知である(例えば、英国特許第1,488,352号明
細書参照)。
界面活性剤の混合物は、(G相を形成しうる)殆どの個々の界面活性剤の水溶
液がこのような相として存在することができる典型的な最低温度に比べて比較的
低い温度で流体G相を形成する傾向がある。通常、界面活性剤混合物は常温で又
は少し温めることにより、流体G相として得ることができるのに、個々の界面活
性剤は典型的にはG相を得るには非常に困難である。
典型的には、本発明による界面活性剤組成物が増大した濃度の水溶液で調製さ
れる場合は、分子が会合して球晶状クラスター(ミセル)となることが最初に分
かり、該クラスターは増大した濃度によりロッド状になる。増加した濃度により
、ミセルはより密になり、溶液の粘度が上昇し、そして多くの場合、該ミセルは
結局長くなって、水溶液中に円筒状の界面活性剤ミセルの規則正しい六角状配列
を
形成し、通常はこれを硬質「M1」液晶相という。「M1」相中の界面活性剤の濃
度が次第に増加すると、相変換が起こり水和固体相を生成するか、または本発明
の界面活性剤1種以上を含有するある種の界面活性剤混合物の場合は、M1相は
次第に粘度が最少となるまで流体G相へ転換する。さらにG相の濃度が増加する
と粘度が増加し、ついにはさらに相変換して、水和固体相を、又は構造的にM1
に似ているが構造的が逆である、即ち内部相として水及び連続相として界面活性
剤を有する第2非流動性液晶相(M2相)を形成する。
しかしながら、上記記載は多少簡略化されている。「水和固体相」という用語
は、偏光電子顕微鏡下で通常は粒状の外観を有する多少硬質な物質を与えるため
に、通常1種以上の粘稠な相又はゲル相中の固体又は非流動性ゲル相の懸濁液を
含む系を包含する広い意味に使用されている。種々の液晶相全てを形成する界面
活性剤は見いだされていない。
下記する用語は、本明細書において異なる語句で使用する場合は、ここに説明
または定義する必要がある。「光学的に等方性の」相とは、面偏光の偏光面を回
転させる傾向がないことをいう。偏光面が直角であり且つ光が一方のシートに当
てられる光学的面偏光物質の2枚のシートの間に1滴のサンプルを挟んだ場合、
光学的に等方性のサンプルはもう一方のシートから見たときにその周囲よりも実
質的に明るく見えない。しかしながら、光学的に異方性の物質は実質的により明
るく見える。光学的に異方性のメソ相は、典型的にはクロス偏光子間で顕微鏡で
見たときに、特徴ある組織を示すが、光学的に等方性の相は通常暗く、本質的に
特徴のない連続体を示す。
ニュートン液体はせん断に影響を受けない粘度を有する。本明細書においては
、1000/秒までのせん断速度で粘度が実質的に変化しない液体をニュートン
液体という。
L1相は流動性であり、光学的に等方性であり、そして典型的なニュートン液
体であり、偏光顕微鏡下で組織を示さない。電子顕微鏡で、非常に高い磁場にお
いてのみ組織の分析が可能である。L1相の粘度は通常は低いが、濃度が上層限
界に近づいたときに充分に粘度を上げることができる。これは球晶から偏長へと
ミセルの形が変わることを反映しているものと信じられる。
G相は注加可能な、チキソトロープの、異方性の生成物である。G相は典型的
には、流れる際に特徴ある「べとべとする」外観を有する粘稠性の、乳白色物質
である。G相は偏光顕微鏡下で特徴ある組織を形成している。
M相は典型的にはワックスに似た非流動性の、異方性生成物である。このもの
は偏光顕微鏡下で特徴ある組織を与える。
標準的な実験装置を使用して、加熱載物台式顕微鏡(heated stage microscop
e)のブロックの滑り面に試験組成物のサンプルを(G相又はL1相の生成が見込
まれる活性濃度でおいて)置くことにより非常に早く且つ容易にG相又はL1相
にすることができる。クロス偏光子での検査はサンプルが該相中に存在すること
を示す。種々の相は各々、例えば、Rosevearの古典的論文(JA0CS 31p628(195
4))又はJ.Co11oid and Interfacial Science,30,No.4,p500)に示されて
いる典型的な液晶相の写真と比較することにより容易に同定される特徴ある外観
を有している。
混合物がM1相中にある場合は、水はカバーディスク下のサンプルの端から蒸
発し、形成される相の変化が観察される。M2相又は水和固体が存在する場合は
、水はカバーディスクの端周辺に添加され、そして組成物中へ拡散し、その両者
がG相を生成するのに充分な量により、試験中のサンプルの活性濃度を変えるこ
とができる。このような手法でG相にならないときは、サンプルを前記ブロック
上で暫時加熱し、この操作を繰り返すことができる。
本明細書における「活性濃度」という用語は、水性界面活性剤組成物全量中の
界面活性物質の全濃度のことである。課題
流動性で、ポンプ移送可能な、濃縮された水性両性界面活性剤組成物について
は、輸送および貯蔵コストの低減のために、特別な要求がある。この必要性は、
界面活性剤の重要な特徴としてマイルド性が考慮される用途における両性界面活
性剤組成物の使用に対する傾向が増えることにより、増加している。
さらに、従来達成できなかった活性成分の高濃度において、流動性で、ポンプ
移送可能な、濃縮水性両性界面活性剤組成物を製造するために、”その場で”両
性界面活性剤を調製することの要求も存在する。
本明細書に記載の活性成分のレベルにおいて、従来のこのような組成物は典型
的には希釈特性の劣った非流動性ゲル(M1相)であり、調製及び取り扱い上重
大な問題を引き起こしていた。従来技術
従来、両性界面活性剤、例えばCAPB及びCLHIは組成物全重量当たり約
30W/W%未満の活性成分の濃度において液体組成物として得られるだけであっ
た。商業的により望ましい濃度(例えば約50W/W%までの活性成分)において
は、その組成物は典型的には、ねばねばした、非常に粘稠な又は非流動性の、且
つ取り扱い難く、商業的に許容しうる粉末状製品を得るためには高価なスプレー
ドライが必要である。しかしながら、このものは粉末の微細に分割された性質の
ために取り扱いの困難性及びさらに健康上のリスクを伴う。本発明
本発明者らは、G相又はL1相の形成に対応する特定の活性濃度において水可
溶性非界面活性溶剤の少量の存在下に、個々の界面活性剤の溶液を調製すること
により、従来達成されている濃度を越える活性濃度において、ポンプ移送可能な
、流動性の界面活性剤組成物を得ることができることを見いだした。これは製品
の輸送及び貯蔵コストの実質的な節約を向上させる。
一般的に及び予期せずに、多くの場合、濃縮された組成物を従来の濃度へ希釈
することには、希釈するのに十分な水の添加により内部ゲル相が形成される傾向
を殆ど又は全く示さない組成物についての特別の技術的困難性は存在しない。
さらに本発明者らは、反応媒体中の非界面活性有機溶剤と水の割合を調節する
ことにより、従来該溶剤の不存在下で典型的にはM1相組成物が生成された活性
成分の濃度において、流動性で且つポンプ移送可能なL1相又はG相の、濃縮さ
れた水性界面活性剤組成物を製造することが可能であることを見いだした。L1
相又はG相組成物を得るために必要な溶剤と水の割合は、当該特定の活性成分に
より変わるが、L1相組成物は過剰の水を有する反応媒体中で形成されるようで
あり、G相組成物は過剰の溶剤を有する反応媒体中で形成されるようである。し
かしながら、これは一般的に言えることであって、反応媒体についての実際の割
合は前記界面活性剤系を含有する活性成分に依存する。発明の記述
本発明は、水性の、流動性の、濃縮された両性界面活性剤組成物を提供するも
のであり、該組成物は少なくとも5重量%で45重量%以下、好ましくは40重
量%以下の水;少なくとも30重量%、好ましくは35〜70重量%の両性界面
活性剤;5〜45重量%の水混和性非界面活性有機溶剤から実質的になり、該組
成物はG相であり且つ該組成物中の前記界面活性剤の濃度は、該組成物の少なく
とも大部分がG相として存在することができる濃度に相当するものである。
さらに本発明は、水性の、流動性の、濃縮された両性界面活性剤組成物を提供
するものであり、該組成物は少なくとも5重量%で65重量%以下、好ましくは
10〜60重量%の水;少なくとも25重量%、好ましくは30〜70重量%の
両性界面活性剤;5〜45重量%の水混和性非界面活性有機溶剤から本質的にな
り、該組成物はL1相であるものである。
前記両性界面活性剤は、例えば、下記式で示される化合物である。
(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキルアミドアルキル基、アルケニ
ルアミドアルキル基、アルキル又はアルケニルポリオキシアルキレン基、または
アルカリール基であり、各基はC7〜C22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はア
ルケニル基を有するものであり、あるいはR1と結合して環式基を形成していて
もよく;xは0〜8;yは0又は1;zは0〜20;R1は水素原子またはC1〜
C6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシル基であり、
あるいはR又はR2と結合して環式基を形成していてもよく;R2は水素原子また
はC1〜C6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシル基で
あり、あるいはなくてもよいし、もしくはR1と結合して環式基を形成していて
もよく;Xは窒素原子又はリン原子であり;nは1〜3;AはCOO-、SO3 -
又はPO3H-である。)
本発明の組成物は、適当な割合の非界面活性水混和性溶剤及び水の存在下に、
下記式の2級又は3級アミンをカルボキシメチル化剤と反応させることにより製
造することができる。
(式中、R、R1及びR2は上記定義と同じ)。
典型的には、両性界面活性剤は、例えばN−ヒドロキシルエチル脂肪アルキル
イミダゾリンのような脂肪イミダゾリンの誘導体であることができる。
本発明の組成物は
(i)クロロ酢酸エステルを2級又は3級アミンに加えて下記式のエステルを
製造する;
(式中、R、R1及びR2は上記定義と同じであり、R4はC1〜C4のアル
キル基である)、および
(ii)前記4級化されたアミンを次いで水性塩基、例えば水酸化ナトリウムで
ケン化してベタインを製造する
ことにより調製することができる。界面活性剤
本発明の組成物は、組成物全重量基準で、少なくとも30重量%、好ましくは
33重量%、例えば少なくとも35重量%、例えば45重量%の両性界面活性剤
を含有することが好ましい。
前記ベタイン両性界面活性剤は、アルキルアミドジメチルアミン類、アルキル
ジメチルアミン類又は脂肪酸ヒドロキシエチルイミダゾリンから調製されること
が特に好ましいことである。
使用される脂肪イミダゾリン類はC8〜C22のアルキル基、特にC10〜C18ア
ルキル基;およびC1〜C4のヒドロキシアルキル基、特にC2〜C3のヒドロキシ
アルキル基を含有することが好ましいことである。例えば、脂肪イミダゾリン誘
導体はラウリルヒドロキシエチルイミダゾリンから誘導することができる。反応媒
体
本発明の反応媒体の調製に使用される有機溶剤は、非界面活性であるか、また
は全ての割合で水と混和しうるものである。
本発明の使用に適した有機溶剤は、水可溶性一価アルコール類、例えばC1〜
C4の一価アルコール類;水可溶性ジオール類、例えばエチレングリコール、プ
ロピレングリコール及びヘキシレングリコールのようなC2〜C8のグリコール類
;水可溶性ポリグリコール類、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレ
ングリコール;水可溶性多価アルコール類、グリセロール、ポリグリセロール類
及びペンタエリトリット;水可溶性エトキシ化C1〜C4のアルコール類、例えば
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを包含する。
本発明による特に好ましい有機溶剤は、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及び/又はグリセロー
ルである。
反応媒体中の水溶性の非界面活性有機溶剤と水との割合は、得られる界面活性
剤組成物の所望の相および粘度に依存して、1:10〜10:1である。
前記溶剤は、界面活性剤がL1相又はG相中に存在するような溶剤:水の割合
で、組成物中に存在させることができる。典型的には、溶剤の過剰、例えばプロ
ピレングリコール/水が60/40w/wの割合は、G相を調製するための両性界
面活性剤、例えばベタインを製造するときに必要であり、水の過剰、例えばプロ
ピレングリコール/水が15/85w/wの割合は、L1相を調製するための両性界
面活性剤、例えばイミダゾリン誘導体を製造するときに必要であり、その際溶剤
の不存在は非流動性又は高粘度組成物を生ずる。
典型的には、前記溶剤は組成物中に、組成物全重量基準で75%を越えないレ
ベル、通常は5〜65%、好ましくは7〜40%のレベルで存在する。溶剤の百
分率および水との割合は、特に両性界面活性剤、有機溶剤および水を含有し、常
温においてL1相又はG相である組成物を与えるように、特別の両性界面活性剤
の相挙動により調節される。
組成物中の反応媒体のレベルは、典型的には活性成分の性質に依存して、組成
物の35重量%以上で且つ70重量%以下、例えば40〜65重量%である。組成物の製造
本発明の組成物は、L1相又はG相の界面活性剤組成物を得るために、本発明
による反応媒体の不存在下に非流動性又は高粘度ゲルが典型的に製造されるのに
適量の両性界面活性剤を、正確な割合の水及び水混和性非界面活性有機溶剤と混
合することにより製造することができる。
また、L1相又はG相以外の相中に活性成分を含有する組成物を調製し、混合
物からの蒸発により又は混合への拡散により該組成物の水含量を調節して、本発
明の組成物を製造することもできる。しかしながら、この拡散による方法は工業
的規模での通常の実施可能性はない。
また、本発明の組成物は、両性界面活性剤を溶剤/水媒体中で、即ちその場で
直接調製することにより、製造することができる。この場合は、前記媒体中の溶
剤と水の割合はG相又はL1相中の組成物が製造されるのに十分でなけらばなら
ない。両性界面活性剤の調製のためのアミンのカルボキシメチル化
しばしば使用されるカルボキシメチル化剤としては、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、アクリル酸、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンサルトン、
3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、1,3−プロパンサルトン、
アルキルクロロアセテート及び特にクロロ酢酸ナトリウムのようなものが包含さ
れる。アルキル化は最後に記載の好ましいカルボキシメチル化剤により、それだ
けで、不活性溶剤中又は水溶液中で行われる。
溶剤が実質的にカルボキシメチル化される危険性を避けるために、十分な水を
溶剤媒体中に存在させるべきである。
カルボキシメチル化剤の適量を反応媒体に添加することができ、典型的にはア
ミンが実質的にカルボキシメチル化されるのに必要な最少量である。
カルボキシメチル化物は、適当な中和剤、例えば水酸化アルカリ又はアルカリ
土類、例えばNaOHで処理することにより中和されて、両性界面活性剤が製造
される。
カルボキシメチル化反応の温度は常温から120℃、例えばアミン又は両性界
面活性剤の分解が起こらない、例えば35〜90℃、殊に50〜80℃である。
カルボキシメチル化反応は、反応混合物の温度及び要求されるカルボキシメチ
ル化の度合に依存して、0.5〜24時間、例えば5〜20時間、殊に12〜1
8時間で実施することができる。
典型的には、反応混合物は7〜14、例えば9〜12.5、殊に10〜12の
10%水溶液pHであることができる。
カルボキシメチル化反応が完結して両性界面活性剤組成物が調製されると、使
用された反応媒体及び活性成分に依存して、該組成物は、典型的には30〜60
w/w%、例えば35〜55w/w%の固形分含量を有し、そしてL1相又はG相のど
ちらかである。粘度特性
本発明の組成物は、流動性であるが、その取り扱いが容易となるのに十分な速
度でポンプ移送できるような常温における粘度を有することが好ましい。
典型的には、本発明の組成物は常温で400〜15,000センチポアズ(cp
s)、好ましくは600〜7000cps)より好ましくは700〜6000cpsの
範囲の粘度を有する。
通常、組成物は、最少粘度における濃度の±10%、好ましくは±5%、例え
ば±2.5%の範囲内の活性成分濃度においてポンプ移送が可能である。この範
囲は温度が上昇すると広がる傾向がある。
本発明の組成物の粘度は適当な方法、例えばBrookfie1d粘度計又は制御せん断
/応カレオメーターにより測定することができる。任意成分
本発明の組成物は塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムのような非コロイド状電
解質を少量含有することができる。このようなものは成分の製造中に、使用原料
から不純物として存在したり、又は界面活性剤がその場で調製される場合に副生
成物として発生することがある。しかしながら、有機塩類又は類似の非コロイド
状電解質は、しばしば流体G相の粘度を増加させ、塩化物の塩類の場合は結局腐
食の問題を生ずるので、望ましくない。従って、本発明の組成物に存在させる非
界面活性電解質の割合は活性混合物の10重量%以下、より好ましくは5重量%
以下で、全組成物の5重量%以下が好ましい。しかしながら、ある種の電解質の
存在が有用である状況があり、それは例えばG相の融点が常温より少し高い場合
及び組成物の電解質含量の増加が加熱することなくポンプ移送可能なG相を得る
ために十分に粘度を低下させる場合である。
このような状況において、約6重量%までの非コロイド状電解質、例えば塩化
ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム又はくえん酸ナトリウムを故意に
添加すると望ましいことが時々ある。
本発明の組成物は、さらに場合により、少量の、例えば本明細書に規定した界
面活性物質以外の界面活性物質を活性混合物の5重量%まで含有することができ
る。両性界面活性剤組成物の使用
本発明の両性界面活性剤は、典型的には、例えば他の界面活性剤または相乗剤
、抗発汗剤(antiperspirant)、消臭剤、ラノリン、又は他の皮膚柔軟又は湿潤
配合物、鎮痛剤、防腐剤、乳化剤、分散剤、セッケン、高分子増粘剤、湿潤剤、
発砲調節剤、香料および着色剤を付加的に含有することができる界面活性剤組成
物中へ配合することができる。
本発明の両性界面活性剤は、特にそのマイルドな性質が望まれるパーソナルケ
ア製品へ含有させるのに特に適している。実施例
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1
プロピレングリコール:水60/40w/wの反応媒体中でのココアミドプロピ ルベタイン(CAPB)の調製
プロピレングリコール/水の60/40w/w混合物中で、その場でCAPBを
調製した。水(581.6g)、プロピレングリコール(1556.4g)、80%モノクロ
ロ酢酸水溶液(781.2g)、47%NaOH水溶液(394.0g)及びココアミドプロ
ピルジメチルアミン(2000.0g)を混合し、80℃に加熱した。反応物の初期供
給の後、反応混合物のpHをNaOH水溶液(172.0g)を用いて9.0に調整し
、反応混合物が澄んだ淡黄色液体となった。この初期段階では、本発明の反応媒
体を使用しない調製物の粘度の”山”(hump)は示さなかった。NaOH溶液(
全量で100.0g)を添加してpHを9.0〜9.5に維持しながら、該混合物をさ
らに80℃で加熱した。
反応の進行につれて、混合物は殊に室温で次第に濁り、50℃でついに完全に
濁ってしまった。全反応時間はほぼ20時間であり、80%モノクロロ酢酸溶液
(7.5g)の一度添加により遊離のアミドアミン含量が低下した。最終生成物のp
Hは濃硫酸の添加により5.1へ低下させた。
分析:
w/w%
CAPB活性物質 40.2
塩化ナトリウム 7.0
プロピレングリコール 30.7
水 22.8
遊離アミドアミン 0.43
モノクロロ酢酸ナトリウム <25ppm
遊離脂肪酸 0.45
硫酸ナトリウム 0.30
ホルムアルデヒド 0.03
全活性レベル(塩含有) 47.2
生成物は流動性で、自由に流れるG相であった。
実施例2
プロピレングリコール:水85/15w/wの反応媒体中でのラウリルイミダゾ リン誘導体(CLHI)のその場での調製
適当な容器中で、ラウリルヒドロキシエチルイミダゾリン438gを水391
g及びプロピレングリコール119gを含有する反応媒体に加えた。これに47
%NaOH水溶液21gを添加した。
カルボキシメチル化剤として80%モノクロロ酢酸(280g)を、次いで中和剤
として47%NaOH(180g)を反応混合物に添加した。反応混合物を15時間
70℃に維持し、さらに47%NaOHを加えて反応混合物のpHを維持した。
生成物は澄んだ、流動性、琥珀色の液体であり、全固形物含量は50重量%で
あり、常温でL1相であった。
最後に、濃塩酸(36%)20gを1時間かけて添加して、全反応時間は約22
時間で、反応混合物のpHを10%水溶液pHとして10.0へ低下させた。
生成物の分析:
全活性物質 33.5%
(カルボキシメチル化アミドアミン 32 %)
(非カルボキシメチル化物質 0.5%)
(遊離脂肪酸 1.0%)
塩化ナトリウム 9.3%
モノクロロ酢酸ナトリウム <0.1%
グリコール酸ナトリウム 1.7%
水(カールフィッシャー) 42.7%
プロピレングリコール 7.1%
全固形物 50.2%
粘度(25℃、Brookfield,スピンドル#3,速度10) 4100cps
pH(10%溶液、25℃) 10.3
外観 透明、流動性、薄琥珀色溶液
相(25℃) L1
初期供給物中のプロピレングリコール(プロピレングリコール:水=15:8
5)の含有は、溶剤の不存在下に製造された通常のカルボキシメチル化ラウリル
ヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体のサンプルに似た粘度を有する生成物が得
られ、該生成物は同一組成物と比較して、案分基準で(on a”prorata”basis
)、固形物含量が39w/w%増加する利点を有していた。
実施例3
溶剤の不存在下の両性界面活性剤(I)の製造
ラウリルイミダゾリン誘導体(I)のサンプルを、水混和性有機溶剤を含有し
ない水性反応媒体中で実施例2の方法により、その場で製造した。このものは、
水混和性有機溶剤の存在下で製造された組成物よりも、対応する固形物のレベル
において高い粘度を示した。固形物
粘度(25℃,Brookfie1d)
ラウリルイミダゾリン
36±2%固形物(全活性成分24.0-26.0%) 5000mPa・s
42±2% 36000mPa・s
50% 3725mPa・s
50%固形物含有組成物は25℃で六角状M1相構造、即ち非流動性ゲルを示
した。
実施例4
実施例3の組成物の濃縮および再希釈
水を蒸発することにより、実施例3のラウリルイミダゾリン誘導体組成物のサ
ンプルを70〜80w/w%の固形物に濃縮し、ついで種々の割合のプロピレン
グリコール:水又はグリセロール:水共溶剤の混合物を添加することにより50
w/w%固形物へ再希釈した。
希釈及び混合の完了後、組成物の25℃、37℃及び45℃における相粘度お
よび常温での相を測定した。制御せん断/応カレオメーターを使用して測定された粘度
制御せん断/応力レオメーター使用測定系
42cm 2°円錐/平面,せん断速度8.51s-1
全ての組成物は常温で澄んだL1相溶液であり、濃縮サンプルを希釈したとき
相分離又はゲル形成を示さなかった。この結果は、グリセロールの含有が実施例
3の組成物のサンプルの粘度の減少に有益であり、プロピレングリコールの含有
が粘度減少に関してより効果的であることを示唆している。
実施例5
プロピレングリコール:水=60:40w/w反応媒体中でのラウリルアミド プロピルベタイン(LAPB)の製造
プロピレングリコール:水の60:40w/w混合物中で、LAPBをその場
で製造した。
水(450.8g)、プロピレングリコール(1149.9g)80w/w%モノクロロ酢酸
(MCA)水溶液(540.7g;4.58mol)、47w/w%NaOH水溶液(272.7g;3.
20mol)及び99%C12脂肪酸に基づくラウリルアミドプロピルジメチルアミン
(1300.0g;4.58mol)を一緒に混合し、80℃に加熱した。47w/w%NaOH
水溶液(119.0g;1.40mol)をさらに添加して、反応混合物のpHを9.0へ上
げた。ついで混合物を撹拌し、NaOH水溶液を滴下してpHを9.0〜9.5
の範囲に維持しながら、80℃で4時間加熱した。さらに80w/w%MCA水
溶液(5.8g;0.05mol)を加えて遊離アミドアミン含量を低下させ、そして混合物
を80℃、pH9.0〜9.5でさらに20時間加熱した。36%w/w塩酸を
加えてpHを低下させ、生成物を常温に冷却した。ラウリルアミドプロピルジメ
チルアミン:MCAの全モル比は1.00:1.01であった。
反応混合物は、供給、反応及び中和工程を通して、澄んだ、高流動性、淡黄色
溶液の外観を有していた。最終生成物の分析結果はつぎの通りである。
w/w
LAPB活性物質 40.8%
全固形物 48.1%
塩化ナトリウム 7.3%
モノクロロ酢酸ナトリウム <80ppm
遊離アミドアミン 0.2%
遊離脂肪酸 0.5%
水 21.9%
プロピレングリコール 29.4%
色相(ヘイズ) 70
pH(25℃,5w/w%溶液) 5.8
粘度(Brookfie1d;24℃) 705mPa・s
25℃での外観 澄んだ、流動性、淡黄色の溶液
生成物は3℃で3カ月に亙る貯蔵中安定であり、最終外観も変化なく、沈殿も
生じなかった。
実施例6
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル:水=60:40w/w反応媒体 中でのLAPBの製造
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル:水の60:40w/w混合物中
でLAPBをその場で製造した。
水(86.4g)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(223.5g)、80w
/w%MCA水溶液(107.6g;0.91mol)、47w/w%NaOH水溶液(77.5g;0.
91mol)及び99%C12脂肪酸に基づくラウリルアミドプロピルジメチルアミン
(250.0g;0.88mol)を一緒に混合し、80℃に加熱した。混合物を撹拌し、Na
OH水溶液を滴下してpHを9.0〜9.5の範囲に維持しながら、80℃で4
時間加熱した。さらに80w/w%MCA水溶液(2.lg;0.018mol)を加えて遊
離アミドアミン含量を低下させ、そして混合物を80℃、pH9.0〜9.5で
さらに16時間加熱した。36%w/w塩酸を加えてpHを低下させ、そして生
成物を常温に冷却した。ラウリルアミドプロピルジメチルアミン:MCAの全モ
ル比は1.0:1.05であった。
反応混合物は、供給、反応及び中和工程を通して、流動性G相の外観を有して
いた。最終生成物の分析結果はつぎの通りである。分析
w/w
LAPB活性物質 41.0%
全固形物 49.3%
塩化ナトリウム 7.3%
グリコール酸ナトリウム 0.4%
モノクロロ酢酸ナトリウム <5ppm
遊離アミドアミン 0.3%
遊離脂肪酸 0.3%
水 23.4%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 27.3%
pH(25℃,5w/w%溶液) 6.0
粘度(15℃; 4cm 2°円錐&平面; せん断速度8.51s-1) 3725mPa・s
25℃での外観 流動性、淡黄色のG相溶液
実施例7
水:プロピレングリコール=80:20w/w反応媒体中でのラウリルイミダ ゾリン誘導体の製造
カルボキメチル化ラウリルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体を20:80
w/wプロピレングリコール:水混合物中で、その場で製造した。
99%C12含量を有するラウリルヒドロキシエチルイミダゾリン(LHI)(2
68.0g;1.00mol)を水(126.0g)、プロピレングリコール(80.4g)及び47w/
w%NaOH水溶液(12.8g;0.15mol)からなる反応媒体に加えた。
反応混合物に、80w/w%MCA水溶液(全量で141.8g;1.20mol)及び47
w/w%NaOH水溶液(全量で111.9g;1.31mol)を加えた。ついで、47w/w
%NaOH水溶液をさらに添加することによりpHを維持しながら、混合物を8
5℃でさらに15時間加熱した。
反応混合物は、反応中は澄んだ高流動性であったが、冷却すると、特に55℃
以下で高粘性となった。従って、80:20w/wの水:プロピレングリコール
からなる溶剤(164g)をさらに加えた。生成物を常温に冷却し、36w/w%塩
酸を添加して10%溶液のpHを10.0に調整した。
分析
w/w
全活性物質 34.7%
全固形物 48.6%
活性物質/固形物比 71.4%
非カルボキメチル化物質 0.8%
遊離脂肪酸 1.4%
塩化ナトリウム 7.3%
モノクロロ酢酸ナトリウム <500ppm
水 41.4%
プロピレングリコール 10.0%
pH(25℃,10w/w%溶液) 10.0
粘度(Brookfie1d 25℃,スピンドル#3,速度10rpm) 1400mPa・s
25℃での外観 澄んだ、流動性、淡琥珀色溶液
実施例8
水:プロピレングリコール=80:20w/w反応媒体中でのココナッツイミ ダゾリン誘導体の製造
カルボキメチル化されたココナッツヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体を2
0:80のプロピレングリコール:水混合物中で、その場で製造した。
硬化ココナッツ脂肪酸に基づくココナッツヒドロキシエチルイミダゾリン(C
HI)(278g;1.00mol)を、水(198.0g)、プロピレングリコール(91.3g)及
び47w/w%NaOH水溶液(12.8g;0.15mol)からなる反応媒体に添加した
。
反応混合物に、80w/w%MCA水溶液(全量で141.8g;1.20mol)及び47
w/w%NaOH水溶液(全量で109.8g;1.29mol)を加えた。ついで、47w/w
%NaOH水溶液をさらに添加することによりpHを維持しながら、混合物を
85℃でさらに15時間加熱した。
生成物を常温に冷却し、36w/w%塩酸を添加して10%溶液のpHを8.
8に調整すると、塩化ナトリウム結晶の沈殿が形成された。生成物に水(36g)
を加えて、固体沈殿物のない、流動性、僅かに濁った、琥珀色溶液を得た。
分析
w/w
全活性物質 34.9%
全固形物 53.4%
非カルボキメチル化物質 2.0%
遊離脂肪酸 1.4%
塩化ナトリウム 9.9%
モノクロロ酢酸ナトリウム <500ppm
水 36.6%
プロピレングリコール 10.0%
pH(25℃,10w/w%溶液) 8.8
粘度(Brookfie1d 25℃,スピンドル#3,速度10rpm) 2150mPa・s
25℃での外観 濁った、流動性、淡琥珀色溶液
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C11D 11/04 9546−4H
(72)発明者 ブレザード、マイケル
イギリス国、カンブリア、ホワイトヘヴ
ン、ロウ・モーズビー、マネスティ・ライ
ズ 7
(72)発明者 ヒーリー、クリストファー
イギリス国、カンブリア・シーエイ14・1
エルエル、ワーキントン、シートン、ホワ
イトスタイルズ 82
(72)発明者 マーティン、アンソニー
イギリス国、カンブリア・シーエイ14・1
ジェイキュー、ワーキントン、シートン、
リングベック・パーク 34