【発明の詳細な説明】
多相ポリマー混合物
本発明は、
a)ポリマー(A)、
b)ブロックA、弾性ブロックB及びブロックCから構成されているA−B−
C−ブロックコポリマー(B)(ここで、ブロック−A、B及びCは、それぞれ
相互に異なる)、
c)並びに(A)及び(B)と異なり、かつポリマー(A)と非相溶性である
少なくとももう1種のポリマー(C)
を含有する多相ポリマー混合物に関し、その際、ポリマー(A)は、ブロックA
と相溶性であり、かつブロックCと非相溶性であり、ポリマー(C)は、ブロッ
クCと相溶性であり、かつブロックAと非相溶性であり、弾性ブロックBは、+
20℃未満のガラス温度を有し、かつブロックA、B及びCは、相互に非相溶性
である。
更に、本発明は、これらの成形材料を、様々な種類の成形体を製造するために
使用すること及びそれから製造される成形体に関する。
ポリマー混合物は、ポリマーブレンドともいわれ、一般に、各成分にそれぞれ
所望の特性を有する2種の
異なるポリマーを結合させるのに役立ち、その際、可能な限り不所望な特性を補
償するべきである。この方法で、新規のブレンド組成物を用いて、新たな使用分
野を開拓することができる。
しかし、高分子物質は、他種のポリマーとの著しい非混和性を示すので、ブレ
ンド組成物は大抵、相溶化助剤(Phasenvermittler)を含有する。
数種の相互に非相溶性のポリマーからなるポリマー混合物を製造する場合に多
くの問題が、不充分な相結合、即ち、個々のポリマー相間の不充分な接着により
生じる。より良好な相結合を達成するために、混合成分に、しばしばブロック−
又はグラフトコポリマーが添加される。しかし、従来公知のポリマー混合物では
、相結合はまだ完全に満足しうるものではない。更に、その加工の際に、その原
因がポリマー相の種々異なる熱膨張にあるボイドの発生が、個々のポリマー相の
境に観察される。このことは、得られるポリマー混合物の機械的強度、特に靭性
及び応力亀裂抵抗に影響を及ぼす。
更に、いくつかの重要なポリマー、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE
)とその他のポリマーとが難相溶性であるので、ポリマー混合物の製造の際に、
しばしば、種々異なるポリマーを適当な方法で相互に混合するのは困難である。
このような場合に、しばしば、2種の相溶性の低いポリマーの混和性を改善すべ
き、いわゆる相溶化助剤が使用される。特開平(JP−A)01−054052
公報から、この関係で、特にスチレン及びアクリルニトリル及び/又はメタクリ
レートからなるコポリマーを、PPE/ABSブレンドのために使用することが
公知である。しかし、その際得られるブレンドは、不充分な靭性並びに不充分な
応力亀裂抵抗及び接合強度(Bindenahtfestigkeit)を有する。
従って、本発明の課題は、特に、相溶化助剤により、可能な限り多くのポリマ
ーを用いて良好な相結合を有する良好なブレンド組成物を生じる、僅かな混和性
のポリマーからなる多相ポリマー混合物の提供であった。これらは、非常に良好
な靭性(特に耐多軸方向衝撃性;multiaxiale Schlagzaehigkeit)並びに応力亀
裂抵抗及び接合強度と組み合わされた良好な耐熱変形性により優れているべきで
ある。
それに応じて、冒頭に詳述された多相ポリマー混合物を発見した。このような
有利な混合物並びにその使用は、従属の請求項に記載されている。
本発明のポリマー混合物は、ポリマー(A)と並んで、それぞれ相互に異なる
ブロックA、+20℃未満、特に0℃未満のガラス温度を有する弾性ブロックB
及びブロックCからなるA−B−C−ブロックコポリマー(B)を含有する。有
利な多相ポリマー混合物は、共役ジエンのポリマーから構成されているような弾
性
ブロックBを有する。更に、本発明のポリマー混合物は、(A)及び(B)と異
なり、かつポリマー(A)と非相溶性である少なくとももう1種のポリマー(C
)を含有する。その際、ポリマー(A)が、ブロックAと相溶性であり、かつブ
ロックCと非相溶性であり、ポリマー(C)が、ブロックCと相溶性であり、か
つブロックAと非相溶性であり、かつブロックA、B及びCが、相互に非相溶性
であることも重要である。相溶性が保証されているかぎり、ポリマー(A)は、
ブロックAと構造的に同じでも異なっていてもよい。同様に、ポリマー(C)と
ブロックCとは、この場合にも、相溶性があるかぎり、構造的に同じでも異なっ
ていてもよい。
本発明のポリマー混合物中でのA−B−C−ブロックコポリマーの作用方式は
、特に、ブロックA及びCによりポリマー(A)及び(C)中での同時接着の際
に、柔らかい弾性中間相がブロックBの形で形成されることに基づく。その際、
ポリマー(A)との結合は、このポリマーとブロックAとのループ結合(Versch
laufung)により生じ、ポリマー(C)との接着は、ブロックCでの侵入により
生じる。その際、柔らかい中間相(ブロックB)は、相界面間の応力を吸収する
ことができ、かつこのブレンドの混和性の改善及び耐衝撃性の向上に寄与する。
2種のポリマーが混和可能、即ち、相溶性か否か、
かつどのような条件下で混和可能かといった疑問は、しばしば、実験によっての
み決定することができる。
2種のポリマー成分の相溶性とは、一般に、成分の混和性又は一方のポリマー
が他方のポリマー成分中へ溶解する傾向(B.Vollmert、Grundriss der makromol
ekularen Chemie、Band IV、222頁〜、E.Vollmert-Verlag 1979参照)
である。
それらの可溶性パラメーターの差が僅かなほど、2種のポリマーは相溶性を増
す。このようなパラメーター並びに混合エンタルピーは、一様に全てのポリマー
で測定可能ではなく、コポリマーの場合には、個々の成分に特徴的な段階がない
ので、可溶性は、間接的にのみ、例えば、捩じり振動−又はDTA測定により測
定可能である。
それが、次の基準のうち少なくとも1つを満たす場合には、2種以上のポリマ
ーからなる混和可能な、即ち相溶性の系から出発することができる:
−光学的透明性:
相互に相溶性のポリマーからなる膜は、光学的に透明であるが、それらが非相
溶性である場合には、その膜は光学的に不透明である。判断しかねる場合には、
電子顕微鏡検査で透明度を測定することができる。
−ガラス温度:
相互に混和可能な、即ち相溶性のポリマーは、熱負荷(DTA−又はDSC−
測定)の際に、出発ポリマ
ーのガラス温度の中間のガラス温度のみを示す。部分的に相溶性のポリマーの場
合には、相互に近づいてはいるが2種の異なるガラス温度が測定されうる。
−核磁気共鳴−(NMR)−緩和:
非常に精密な方法は、NMR−緩和時間測定によるポリマー混和性の測定であ
る。混和不可能なポリマーの場合には、純粋なポリマーのスピン−スピン−もし
くはスピン−格子−緩和時間が測定され、混和可能なポリマーの場合には、他の
緩和時間が現われる。
−その他の方法:
ポリマーの混和性の測定のために参考にすることのできる他の使用可能な方法
は、不透明度測定、散乱法(光散乱)、IR−分光法及び蛍光技術(L.A.Utrack
i ”Polymer Alloys and Blends”、34〜42頁、New York 1989)である
。
相互に混和可能なポリマーの例は、種々の論文(例えば、J.Brandrup、E.H
.Immergut:Polymer Handbook、第3版、1989)に詳述されている。
本発明のポリマー混合物中に含有されるA−B−C−ブロックコポリマー(B
)の製造は、一般に公知の方法で、例えば、逐次陰イオン重合により行なうこと
ができる(米国特許(US−A)第3251905号明細書、米国特許(US−
A)第3390207号明細書、米国特許(US−A)第3598887号明細
書、米国特許(US−A)第4219627号明細書)。
全ての3種のモノマーが、所望の順序で陰イオン重合可能でない場合には、方
法を、2種又は1種のモノマーのみを重合させ、次いで他の方法で、例えば、更
なるラジカル又は陽イオン重合で更に処理するように変更することができる。陰
イオン重合から他の増加メカニズムへの変換の可能性は、例えば、:P.Rempp、
E.Franta、J.E.HerzのAdvances in Polymer Science 1988、164〜1
68頁に記載されている。
重縮合のみが可能なモノマーも、例えば、官能性末端基を有し、陰イオン重合
により製造された2成分ブロックコポリマーを、重縮合の際に添加することによ
り、このような3成分ブロックコポリマーに導入することができる(R.N.Youn
g、R.P.Quirk、L.J.Fetters、Advances in Polymer Science、第56巻、7
0頁、1984)。
更に、A−B−C−ブロックコポリマー(B)は、なお、官能性開始剤(funk
tionelle Initiatoren)又はマクロ開始剤(Makroinitiatoren)を用いてラジカ
ル重合により製造することもできる(G.Riess、G.Hurtrez、P.Bahadur ”Enc
yclopedia of Polymer Science and Engineering”、第2巻、327〜330、
Wiley & Sons[1985])。
次に、本発明の多相ポリマー混合物の目的にとって特に好適なA−B−C−ブ
ロックコポリマー(B)のいくつかを数例記載する。その際、勿論、本発明の多
相ポリマー混合物は、次に記載のA−B−C−ブロックコポリマー(B)を含有
するようなポリマー混合物に限らないことが理解される。
特に好適なA−B−C−ブロックコポリマー(B)の例としては、特に次のも
のが挙げられる:
ブロックAとしてのポリスチレン、弾性ブロックBとしてのランダムプロピレ
ン−エチレン−コポリマー及びブロックCとしてのポリエチレンを有するA−B
−C−ブロックコポリマー(B)。このようなブロックコポリマー(B)は、殊
にポリマー(A)としてのポリスチレン及びポリマー(C)としてのポリエチレ
ンと結合させて、本発明の多相ポリマー混合物にすることができる。
ブロックAとしてのポリエチレン、弾性ブロックBとしてのランダムエチレン
−ブテ−1−エン−コポリマー及びブロックCとしてのポリメチルメタクリレー
トを有するA−B−C−ブロックコポリマー(B)。このブロックコポリマー(
B)は、殊にポリマー(A)としてポリエチレン及びポリマー(C)としてポリ
メチルメタクリレート、スチレン−アクリルニトリル−コポリマー又はポリ塩化
ビニルを含有するような多相ポリマー混合物のために好適である。
ブロックAとしてのポリスチレン、弾性ブロックBとしてのポリブタジエン及
びブロックCとしてのポリヘキサメチレンアジピン酸ジアミドを有するA−B−
C−ブロックコポリマー(B)。このようなブロックコポリマー(B)は、特に
、ポリマー(A)としてのポリスチレン又はポリフェニレンエーテル及びポリマ
ー(C)としてのポリアミドからなる多相ポリマー混合物のために好適である。
ブロックAとしてのポリスチレン、弾性ブロックBとしてのポリブタジエン及
びブロックCとしてのポリ−ε−カプロラクトンを有するA−B−C−ブロック
コポリマー(B)。このようなブロックコポリマー(B)は、殊に、ポリマー(
A)としてのポリスチレン又はポリフェニレンエーテル及びポリマー(C)とし
てのポリエステル又はボリ塩化ビニルを有する多相ポリマー混合物中で好適であ
る。
ブロックAとしてのポリスチレン、弾性ブロックBとしてのポリブタジエン及
びブロックCとしてのポリ−ε−カプロラクタムを有するA−B−C−ブロック
コポリマー(B)。このブロックコポリマーは、特に、ポリマー(A)としての
ポリスチレン又はポリフェニレンエーテル及びポリマー(C)としてのポリアミ
ド6からなる多相ポリマー混合物のために好適である。
有利に、ポリマー(A)としてのポリスチレン及びポリマー(C)としてのポ
リエチレンオキシド又はポリオキシフェニレンスルホニルフェニレンからなる多
相ポリマー混合物中で使用される、ブロックAとしてポリスチレン、弾性ブロッ
クBとしてのポリブタジエ
ン及びブロックCとしてのポリエチレンオキシドを有するA−B−C−ブロック
コポリマー(B)。
有利にポリマー(A)としてのポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリ
ル−ニトリル−コポリマー又はABS−コポリマー及びポリマー(C)としての
ポリアミド66からなる多相ポリマー混合物中で使用される、ブロックAとして
のポリメチルメタクリレート、弾性ブロックBとしてのポリブタジエン及びブロ
ックCとしてのポリヘキサメチレンアジピン酸アミドを有するA−B−C−ブロ
ックコポリマー(B)。
有利に、ポリマー(A)としてのポリメチルメタクリレート、スチレン−アク
リルニトリル−コポリマー又はABS−コポリマー及びブロックCとしてのポリ
アミド6からなる多相ポリマー混合物中で使用される、ブロックAとしてのポリ
メチルメタクリレート、弾性ブロックBとしてのポリブタジエン及びブロックC
としてのポリ−ε−カプロラクタムを有するA−B−C−ブロックコポリマー(
B)。
特に有利な多相ポリマー混合物は、特に、
a)ポリマー(A)としてのポリフェニレンエーテル
10〜89重量%、
b)ビニル芳香族ブロックA及びブロックBとしての共役ジエン並びにアクリ
ル酸のC1〜C18−アルキルエステル又はメタクリル酸のC1〜C18−アルキルエ
ステル又はこれらの混合物からなるブロックCから
構成されているA−B−C−ブロックコポリマー(B)
1〜40重量%、
c)(A)及び(B)とは異なる少なくとももう1種のポリマー(C)
10〜89重量%
を有する。
このような多相ポリマー混合物は、ポリマー(A)として、ポリフェニレンエ
ーテル10〜89、有利に10〜79及び殊に15〜50重量%を含有する。
このポリフェニレンエーテルは、一般に、10000〜80000、有利に2
0000〜60000の範囲の分子量(重量平均値)を有する。
これは、クロロホルム中の0.5重量%溶液で、25℃で、DIN53726
に従って測定された0.2〜0.9dl/g、有利に0.35〜0.8かつ殊に
0.45〜0.6の還元比粘度(ηred)に相応する。
好適なポリフェニレンエーテルは、自体公知であり、かつo−位で二置換され
たフェノールの酸化的カップリングにより有利に製造することができる。
置換基の例としては、ハロゲン原子、例えば、塩素又は臭素及び、有利にα−
位に第三水素原子を有さない、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えば
、メチル−、エチル−、プロピル−又はブチル基を挙げることができる。アルキ
ル基は、更にハロゲン原子、例えば、塩素又は臭素又はヒドロキシル基により置
換
されていてよい。可能な置換基の他の例は、有利に4個までの炭素原子を有する
アルコキシ基、又は場合によりハロゲン原子及び/又はアルキル基により置換さ
れたフェニル基である。同様に、種々異なるフェノールのコポリマー、例えば、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとのコポリマ
ーが好適である。勿論、種々異なるポリフェニルエーテルの混合物も使用できる
。
ビニル芳香族ポリマーと相溶性、即ち完全に又は充分にこのポリマー中に溶け
るようなポリフェニレンエーテルを使用するのが有利である(A.Noshay、Block
Copolymers、8〜10頁、Academic Press、1977及びO.Olabisi、Polymer-P
olymer Miscibility、1979、117〜189参照)。
ポリフェニレンエーテルの例は、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニ
レンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、
ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジ
エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ
−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレンエ
ーテル)、ポリ−(2−クロル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,5
−ジブロム−1,4−フェニレンエーテル)である。置換基が、1〜4個の炭素
原子を有するアルキル基であるポリフェ
ニレンエーテル、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(
2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジ
プロピル−1,4−フェニレンエーテル)及びポリ(2−エチル−6−プロピル
−1,4−フェニレンエーテル)を使用するのが有利である。
更に、ポリフェニレンエーテル及びビニル芳香族ポリマー、例えば、スチレン
、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びクロルスチレン並びに国際公開WO
−A86/02086、国際公開WO−A87/00540、ヨーロッパ特許(
EP−A)第222246号明細書、ヨーロッパ特許(EP−A)第22311
6号明細書及びヨーロッパ特許(EP−A)第254048号明細書から公知の
ような官能化された又は変性されたポリフェニレンエーテルからなるグラフトポ
リマーが好適である。
ポリマー(A)は、50重量%、有利に40重量%までビニル芳香族ポリマー
で換えることができる。
ビニル芳香族ポリマーは、ポリマー(A)として使用されるポリフェニレンエ
ーテルと相溶性であるのが有利である。
この自体公知でかつ市販のポリマーの分子量は、一般に、1500〜2000
000の範囲、有利に、70000〜1000000の範囲である。
有利なポリフェニレンエーテルと相溶性のビニル芳香族ポリマーの例は、既に
挙げたOlabisiの論文(224〜230頁及び245頁)に記載されている。こ
の場合、スチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン及びp−メチルスチレ
ンからなるビニル芳香族ポリマーを代表的なものとして挙げることができ;僅か
な割合(有利に、20重量%未満、特に8重量%未満)で、(メタ)アクリルニ
トリル又は(メタ)アクリル酸エステルのようなコモノマーも、構成に関与して
いてよい。特に有利なビニル芳香族ポリマーは、ポリスチレン、及び耐衝撃性に
変性されたポリスチレンである。勿論、これらのポリマーの混合物も使用するこ
とができることは理解される。この製造を、ヨーロッパ特許(EP−A)第30
2485号明細書に記載の方法に従って行なうのが有利である。
ブロックコポリマー(B)として、本発明のポリマー混合物は、ビニル芳香族
ブロックA及びブロックBとしての共役ジエン並びにアクリル酸のC1〜C18ア
ルキルエステル又はメタクリル酸のC1〜C18アルキルエステル又はこれらの混
合物からなるブロックCから構成されているA−B−C−ブロックコポリマー1
〜40、有利に1〜20及び殊に5〜19重量%を含有する。
ブロックコポリマーとは、公知のように、種々異なるモノマーが、ランダムに
連鎖中に組み込まれている
のではなく、種々異なるモノマーのホモポリマー連鎖セグメント(ポリマーブロ
ック)中で相互に結合しているようなコポリマーである。一般式:A−Bの2成
分ブロックコポリマーの場合には、ホモポリマー連鎖セグメントAが、他のモノ
マーのホモポリマー連鎖セグメントBと結合している。
相応して、一般式:A−B−Cの3成分ブロックコポリマーの場合には、ホモ
ポリマー連鎖セグメントBが、続いて他のモノマーのホモポリマー連鎖セグメン
トCと結合する。
A−B−C−ブロックコポリマーB)は、ブロックAとポリフェニレンエーテ
ルA)とが相溶性であり、かつブロックCが他のポリマー成分C)と相溶性であ
ることを特徴とする。2種のポリマー成分の相溶性とは、一般に、成分の混和性
又は一方のポリマーが、他方のポリマー成分中へ溶解する傾向である(B.Vollme
rt、Grundriss der makromolekularen Chemie、第IV巻、222頁〜、E.Vollmer
t-Verlag1979参照)。
本発明のポリマー混合物中に含有されるA−B−C−ブロックコポリマー(B
)は、0℃を上回る、有利に80℃を上回るブロックA及びCのガラス転移温度
を有する。ブロックBは、0℃未満の、有利に−30℃未満のガラス転移温度を
有する。
ブロックコポリマー(B)に対する各ブロックの重量比は、次のとおりである
:
ブロックA 10〜85、有利に15〜80
及び殊に30〜60重量%、
弾性ブロックB 5〜80、有利に5〜60
及び殊に5〜40重量%、
ブロックC 10〜85、有利に15〜80
及び殊に25〜60重量%。
次に、A−B−C−ブロックコポリマーの個々の構成成分を記載する:
ブロックAは、ビニル芳香族ポリマーからなる。
有利に、ポリフェニレンエーテルと相溶性のビニル芳香族ポリマーの例は、O.
O1abisiの論文(Polymer-Polymer Miscibility、1979、224〜230頁及
び245頁)に記載されている。
8〜12個のC−原子を有するビニル芳香族モノマーのホモ−及びコポリマー
も、これに該当する。
その際、モノビニル芳香族化合物としては、特に、スチレン、更に、核又は側
鎖でアルキル化されたスチレンがこれに該当する。例としては、クロルスチレン
、α−メチルスチレン、スチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン及びp
−t−ブチルスチレンを挙げることができる。しかし、スチレンのみを使用する
のが有利である。
ホモポリマーは、一般に、公知方法で固体、溶液又は懸濁液として製造される
(Ullmanns Enzyklopaedie der techn.Chemie、第19巻、265〜272頁、
Ve
rlag Chemie、Weinheim1980参照)。このホモポリマーは、1500〜20
00000、有利に50000〜1000000の分子量重量平均Mwを有して
いてよく、これは、常法で測定できる。
コポリマーを製造するためのコモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル
酸、アルキル基中に1〜4個のC−原子を有する(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル、アクリルニトリル及び無水マレイン酸並びにマレイン酸イミド、アクリ
ルアミド及びメタクリルアミド並びにアルキル基中に1〜10個のc−原子を有
するN,N−又はN−アルキル置換された誘導体が、これに該当する。
これらのコモノマーは、その化学構造により種々異なる量で、スチレンポリマ
ー中に含有されている。ポリマー混合物中のコモノマー含分にとり決定的なこと
は、コポリマーとポリフェニレンエーテルとの混和性である。このような混和限
界は公知であり、かつ例えば、米国特許(US−A)第4360618号明細書
、米国特許(US−A)第4405753号明細書及びJ.R.Fried、G.A.Han
naの刊行物(Polymer Eng.Scie.第22巻(1982)705頁〜)に記載さ
れている。このコポリマーの製造は、例えば、Ullmanns Enzyklo paedie der te
chn.Chemie、第19巻、273頁〜、Verlag Chemie、Weinheim(1980)に
記載されている公知の方法で行なう。このコポリマーは、一般に、
10000〜500000、有利に70000〜300000の分子量重量平均
(Mw)を有し、これは、常法で測定できる。
ブロックBは、4〜16個のC−原子、有利に4〜8個のC−原子を有する共
役ジエンのポリマーからなる。
例としては、1,3−ペンタジエン、アルキル置換されたジエン、例えば、2
,3−ジメチルブタジエン又は共役ヘキサジエン、−ヘプタジエン並びに、オク
タジエン及び環状ジエン、例えば、シクロペンタジエンを挙げることができ、そ
の際、ブタジエン及びイソプレンが有利である。共役ジエンの混合物も、ブロッ
クBの構成に使用することができ、その際、混合比は、任意である。
ブロックBの平均分子量は広い範囲で、厳密ではない。しかし、Bが、ブロッ
クA又はCとほぼ同じ又はより少ない分子量を有する場合が有利である。ポリマ
ーブロックBの平均分子量は、例えば、A及びCの分子量とA−B−C−ブロッ
クコポリマーの平均分子量との差を求めることにより得られる。
更に、ブロックA又はCが、それぞれのブロックが相溶性であるポリマー(A
)又は(C)とほぼ同じ又はより長いブロック長さを有する場合が有利である。
コポリマーのブロックCを形成するモノマーとして、メタクリル酸又はアクリ
ル酸のC1〜C18−アルキル
エステル又はそれらの混合物が好適である。
アクリル酸のエステルとしては、本発明では、C1〜C18−アルキルエステル
、例えば、メチル−、エチル−、n−プロピル−、i−プロピル、n−ブチル−
、i−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル−、ペンチル−、ヘキシル−、ヘプ
チル−、オクチル−、2−エチルヘキシル−、ノニル−、デシル−、ラウリル−
又はステアリルアクリレート、有利に、メチルアクリレート、n−ブチルアクリ
レート及び2−エチルヘキシルアクリレート並びにこれらのモノマーの混合物を
使用する。
メタクリル酸のエステルとしては、本発明では、C1〜C18−アルキルエステ
ル、例えば、メチル−、エチル−、n−プロピル−、i−プロピル、n−ブチル
−、i−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル−、ペンチル−、ヘキシル−、ヘ
プチル−、オクチル−、2−エチルヘキシル−、ノニル−、デシル−、ラウリル
−又はステアリルメタクリレート、有利に、メチルメタクリレート並びに、これ
らのモノマーの混合物を使用する。
ヒドロキシ−、エポキシ−及びアミノ官能性メタクリレート及びアクリレート
の使用が同様に可能である。この場合、これらの官能基を、例えば、トリアルキ
ルシリル基により重合の前に保護するのが有利である。このような保護基の存在
下での重合方法は、S.Nakaha
ma et al、Prog.Polym.Sci.第15巻299〜335、1990に記載されて
いる。
コモノマーとして更に、次に例示されたモノマー50重量%まで、有利に1〜
20重量%を使用することができる:
− ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン又はp−t−ブチルスチレン;
− p−アミノスチレン;
− p−ヒドロキシスチレン;
− p−ビニル安息香酸
− アクリル−及びメタクリル酸;
− アクリル−及びメタクリルアミド;
− マレイン酸並びにそのイミド及びC1〜C10−アルキルエステル;
− フマル酸並びにそのイミド及びC1〜C10−アルキルエステル;
− イタコン酸並びにそのイミド及びC1〜C10−アルキルエステル;
− アクリル−及びメタクリルニトリル;
− ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート。
A−B−C−ブロックコポリマー(B)の製造は、モノマーの逐次的付加によ
る陰イオンブロック共重合の公知方法又はカップリング技術で行なうことができ
る。このような方法は、例えば、米国特許(US)第
3251905号明細書、同3390207号明細書、同3598887号明細
書及び同4219627号明細書に詳細に記載されている。重合の開始剤として
は、アルカリ金属有機化合物、有利に、リチウムアルキル、例えば、メチルリチ
ウム、エチルリチウム、n−又はs−ブチルリチウム又はイソプロピルリチウム
が好適である。n−又はs−ブチルリチウムを使用するのが特に有利である。重
合のための溶剤としては、有利に、直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素、例えば、
n−オクタン又はn−ヘキサン並びに非置換の又は置換された環式脂肪族及び芳
香族炭化水素、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン又はトルエン、
ベンゼン並びに脂肪族、環式脂肪族及び芳香族炭化水素のそれぞれ任意の混合物
が好適である。シクロヘキサンを溶剤として使用するのが有利である。
溶剤成分としては更に、0.01〜20、有利に0.01〜2重量%の濃度の
エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル並びに3級アミン
、例えば、テトラメチルエチレンジアミン又はピリジンが好適である。テトラヒ
ドロフランが有利である。
全ての添加物質から、酸素−及びプロトン活性不純物を除去すべきであり、こ
れは、例えば、有機金属化合物と接触させることにより、又は吸着精製、例えば
、水素化カルシウムにより行なうことができる。重合の実施は、不活性ガス条件
下、−100〜+120℃、
有利に−80〜80℃の温度で行なう。モノマー及び溶剤が、重合温度で気化し
ない圧力で操作する。重合の終了後に、活性末端基もしくは過剰の開始剤を失活
させるために、ポリマー混合物に充分な量の水、メタノール又はイソプロパノー
ルを添加する。
一般に、第1の重合過程で、ビニル芳香族炭化水素を完全に重合させてA−ブ
ロックを形成し、第2の重合過程で、ジエン炭化水素を、完全に反応させてB−
ブロックを形成するように進行させる。その際、個々のブロックの間には、はっ
きりとした変化が生じる。
ポリジエンブロックの活性陰イオンを、立体障害された基を有する化合物、例
えば、ジフェニルエチレンを用いて覆うのが有利である。これにより、(メタ)
アクリレートのエステル結合への陰イオンの攻撃が回避され、所望の場合には、
この反応をほぼ完全にメタ(アクリレート)の反応性2重結合を介して行なわせ
る。
こうして得られるブロックコポリマー(B)を、常法に従って水素化処理によ
り、脂肪族不飽和結合が、部分的に飽和している、即ち、50〜100重量%、
有利に70〜100及び特に90〜100重量%の水素化度を有するポリマーに
移行させることができる。
この水素化を、水素分子及び周期律表の第8族の金属又は金属塩をベースとす
る触媒を用いて実施するのが有利である。これは、例えば、ラネーニッケルを用
いる不均一相中で、又は有利に金属アルキル、特にアルミニウムアルキルと組合
わされているコバルト、ニッケル又は鉄の塩、特にカルボン酸塩、アルコキシド
又はエノラートをベースとする触媒を用いる均一相中で、又は均一で、例えばト
シルヒドラジドからその場で生じるジイミンにより行なう、ことができる。ブロ
ックコポリマーの選択的水素化の方法は、特に、米国特許(US)第31139
86号明細書及び同第4226952号明細書に記載されている。
この重合混合物は、ポリマーの単離のために公知方法に従って、任意に直接、
加熱乾燥させるか、又は水蒸気で処理することができ、その際、溶剤を留去する
。同様に、過剰の非溶剤、例えば、エタノール中で沈殿させ、かつ機械的に分離
除去し、かつ乾燥させるか、又は押出機での脱ガスにより後処理することができ
る。
オレフィン系不飽和結合の残留2重結合含分を、赤外線スペクトルのフーリエ
解析により、又はWijsによるヨウ素酸塩滴定により、並びに1H−NMR−分光
法により測定する。
ブロックコポリマー(B)中のモノマーの重量割合は、常法により、例えば、
四酸化オスミウムを用いる非水素化ブロックコポリマーの酸化分解及び重量分析
、IR−分光法により、又は屈折率の測定を介して測定することができる。
本発明の範囲では分子量の数平均であるブロックコ
ポリマー(B)の平均分子量は、10000より大きい、有利に50000より
大きい、特に、100000より大きいべきである。これを、次に記載のように
、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
ブロックコポリマー(B)の同定の際には、次の方法を使用する:
平均分子量M及び分子量分布(数平均Mn、重量平均Mw、U(不均一性)=Mw
/Mn−1)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレ
ン(非常に僅かな分子量分布:約1のMw/Mnを有する較正物質)の検量線に基
づき、23℃、0.125重量%テトラヒドロフラン溶液中で、1.5ml/m
inの流動速度で測定する[G.Gloeckner、”Polymercharakterisierung durch
Fluessigkeitschromatographie”、Verlag A.Huetig、Heidelberg、1982
参照]。
エラストマー中間ブロックBの化学組成及びミクロ構造(ブロック中のジエン
の1,2もしくは1,4結合又はシス/トランス割合)を、常法で、1H−NM
R−分光法により測定する。ガラス転移温度を、動的機械的分析(振動数:1r
ad/s)により測定する。
ポリマー(C)として、本発明のポリマー混合物は、(A)及び(B)とは異
なる、少なくとももう1種のポリマー(C)を、ポリマー(A)〜(C)の総重
量
に対して10〜89、有利に20〜80及び特に40〜80重量%含有する。
このポリマー(C)は、ポリマー(A)として使用されるポリフェニレンエー
テルと非相溶性である。
このようなポリマー(C)の例は、ASA−又はABS−又はSAN−ポリマ
ー又は(メタ)アクリル酸のC1〜C18アルキルエステルからなるポリマー又は
これらのポリマーの混合物である。
ポリマーの混合比は、広い範囲に渡り変動可能である;しかし、(メタ)アク
リレートとASA、ABS又はSANとの混合物の場合には、これらは、アクリ
ルニトリル含分に、例えば、ABSの総重量に対して27重量%(250℃まで
)まで、25重量%(300℃まで)までしか混合できないことに注意すべきで
ある。
有利なASA−ポリマーは、次のものからなるグラフトポリマーからなる軟質
−又はゴム相から構成されている:
C1次のものをベースとするグラフト基体50〜90重量%
C11 C2〜C10−アルキルアクリレート95〜99.9重量%及び
C12 2個のオレフィン系非共役2重結合を有する二官能性モノマー0.1
〜5重量%及び、
C2次のものからなるグラフト基体0〜50重量
%
C21 一般式Iのスチレン又は置換されたスチレン又はこれらの混合物20
〜50重量%及び
C22 アクリルニトリル、メタクリルニトリル、アクリル酸エステル又はメ
タクリル酸エステル又はこれらの混合物10〜80重量%
これらは、次のものからのSAN−コポリマーC3)をベースとする硬質マト
リックスと混合されている:
C31 一般式Iのスチレン及び/又は置換されたスチレン50〜90、有利
に55〜90及び特に65〜85重量%及び
C32 アクリルニトリル及び/又はメタクリルニトリル10〜50、有利に
10〜45及び特に15〜35重量%。
成分C1)は、−20℃、特に−30℃未満のガラス転移温度を有するエラス
トマーである。
このエラストマーの製造のために、主モノマーC11)として、2〜10個のC
−原子、特に4〜8個のC−原子を有するアクリル酸のエステルを使用する。特
に有利なモノマーとしては、ここでは、t−、i−及びn−ブチルアクリレート
並びに2−エチルヘキシルアクリレートを挙げることができ、そのうち、最後に
挙げた2種が特に有利である。
アクリル酸のこれらのエステルと並んで、少なくとも2個のオレフィン系非共
役2重結合を有する多官能
性モノマーを、総重量C11+C12に対して0.1〜5、特に1〜4重量%使用す
る。このうち、二官能性、即ち、2個の非共役2重結合を有する化合物を使用す
るのが有利である。この例は、ジビニルベンゼン、ジアリルフマレート、ジアリ
ルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリシ
クロデセニルアクリレート及びジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレートを
挙げることができ、これらのうち、最後の2種が特に有利である。
グラフト基体C1の製法は、自体公知であり、例えば、ドイツ特許(DE−B
)第1260135号明細書に記載されている。相応する生成物は、市販もされ
ている。
いくつかの場合に、乳化重合による製造が特に有利であると立証された。
少なくとも部分的に架橋されているアクリル酸エステルのラテックスが、約2
00〜700、特に250〜600nmの範囲の平均粒度(重量平均d50)を有
するように、正確な重合条件、特に乳化剤の種類、配量及び量を選択するのが有
利である。このラテックスは、狭い粒度分布を有する、即ち、商:
が、有利に0.5未満、特に0.35未満であるのが有利である。
グラフトポリマーC1+C2におけるグラフト基体C1の割合は、C1+C2の総
重量に対して、50〜90、有利に55〜85及び特に60〜80重量%である
。
C21 一般式I:
[式中、Rは、1〜8個のC原子を有するアルキル基、水素原子又はハロゲン原
子を表し、かつR1は、1〜8個のC−原子を有するアルキル基又はハロゲン原
子を表し、かつnは、0、1、2又は3の値を有する]のスチレン又は置換され
たスチレン20〜90、有利に、30〜90及び特に30〜80重量%及び
C22 アクリルニトリル、メタクリルニトリル、アクリル酸エステル又はメタ
クリル酸エステル又はこれらの混合物10〜80、有利に、10〜70及び特に
20〜70重量%
の共重合により得られるグラフト莢(Pfropfhuelle)C2を、グラフト基体(Pfr
opfgrundlage)C1上にグラフト重合させる。
置換されたスチレンの例は、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−
クロルスチレン及びp−クロル−α−メチルスチレンであり、これらのうち、ス
チレン及びα−メチルスチレンが有利である。
有利なアクリル−もしくはメタクリル酸エステルは、その成分C22)のホモポ
リマーもしくはその他のモノマーとのコポリマーが、20℃を上回るガラス転移
温度を有するものであるが、原則的に他のアクリル酸エステルも、有利に、総じ
て成分C2に20℃を上回るガラス転移温度Tgが生じるような量で使用できる
。
アクリル−又はメタクリル酸とC1〜C8−アルコールとのエステル及びエポキ
シ基含有エステル、例えば、グリシジルアクリレートもしくはグリシジルメタク
リレートが特に有利である。更に特に有利な例としては、メチルメタクリレート
、t−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート及びn−ブチルアクリ
レートを挙げることができ、その際、最後のものは、その非常に低いTgを有す
るポリマーを形成する特性により、高すぎる割合では使用しないのが有利である
。
グラフト莢C2)は、1又は数工程、例えば、2又は3の処理工程で製造する
ことができ、これにより、全組成物に影響は及ばない。
例えば、ドイツ特許(DE−PS)第1260135号明細書、ドイツ特許公
開(DE−OS)第3227555号明細書、ドイツ特許公開(DE−OS)第
3149357号明細書及びドイツ特許公開(DE−OS)第3414118号
明細書に記載のようにグラフト莢を、エマルジョンで製造するのが有利である。
それぞれ選択された条件に応じ、グラフト共重合の
場合には、スチレンもしくは置換されたスチレン誘導体及び(メタ)アクリルニ
トリルもしくは(メタ)アクリル酸エステルの遊離のコポリマーが一定の割合で
生じる。
グラフトコポリマーC1+C2は、一般に、100〜1000nm、特に200
〜700nmの平均粒度(d50−重量平均値)を有する。従って、エラストマー
C1)の製造の際及びグラフト重合の際の条件は、この範囲の粒度が生じるよう
に選択するのが有利である。このための方法は公知であり、かつ、例えば、ドイ
ツ特許(DE−PS)第1260135号明細書及びドイツ特許公開(DE−O
S)第2826925号明細書並びにJournal of Applied Polymer Science、第
9巻(1965)、2929〜2938頁に記載されている。エラストマーのラ
テックスの粒子を増大させることは、例えば、凝集により実施することができる
。
本発明の範囲では、グラフトポリマー(C1+C2)に、成分C2)を製造する
ためのグラフト共重合の際に生じる遊離のグラフト重合されていないホモ−及び
コポリマーも包含される。
次に、有利なグラフトポリマーを挙げる:
1:
C11 n−ブチルアクリレート98重量%及び
C12 ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレ
ート2重量%
からなるグラフト基体C160重量%及び
C21スチレン75重量%及び
C22アクリルニトリル25重量%
からなるグラフト莢C240重量%
2:
スチレンからなる第1−のグラフト莢5重量%を有する1におけると同様の
グラフト基体及び
C21スチレン75重量%及び
C22アクリルニトリル25重量%からなる第2のグラフト構成物35重量%
3:
スチレンからなる第1のグラフト構成物13重量%
及びスチレン及びアクリルニトリル(重量比3:1)からなる第2のグラフ
ト構成物27重量%を有する1と同様のグラフト基体。
成分C3)として含有される生成物は、例えば、ドイツ特許出願公告(DE−
AS)第1001001号明細書及びドイツ特許出願公告(DE−AS)第10
03436号明細書に記載の方法で製造することができる。このようなコポリマ
ーは市販もされている。光散乱により測定される分子量の重量平均値は、500
00〜500000、特に、100000〜250000の範囲であるのが有利
である。
(C1+C2):C3の重量比は、1:2.5〜2.5:1、有利に、1:2〜
2:1及び特に1:1.5〜1.5:1の範囲である。
成分C)として好適なSAN−ポリマーは、既に記載されている(C31及びC32
参照)。
DIN53727により、ジメチルホルムアミド中の0.5重量%溶液として
23℃で測定されるSAN−ポリマーの粘度数は、一般に、40〜100、有利
に50〜80ml/gの範囲である。
本発明の多相ポリマー混合物中のポリマー(C)としてのABS−ポリマーは
、前記のASA−ポリマーの構成と同じ構成を有する。ASA−ポリマーの場合
のグラフト基体のアクリレートゴムC1)の代わりに、通常、ABC−コポリマ
ーのブロックBの構成の際に記載したような共役ジエンを使用すると、グラフト
基体C4として、特に次の組成物が生じる:
C41 共役ジエン70〜100重量%及び
C42 2個のオレフィン系非共役2重結合を有する二官能性モノマー0〜30
重量%。
グラフト莢C2及びSAN−コポリマーC3)の硬質マトリックスは、この組成
物中で変化しない。このような生成物は市販されている。その製法は、当業者に
公知であるので、更なる記載はこの場合に必要ではない。
(C4+C2):C3の重量比は、3:1〜1:3、有
利に、2:1〜1:2の範囲である。
更に、本発明の多相ポリマー混合物中のポリマーC)としては、更に、A−B
−CブロックコポリマーのブロックCの構成の際に既に記載したような(メタ)
アクリル酸のC1〜C18アルキルエステル又はそれらの混合物からなるポリマー
がこれに該当する。
更に、本発明のポリマー混合物は、慣用の添加剤及び加工助剤も含有してよい
。これらの添加剤の割合は、ポリマー(A)〜(C)及びこれらの添加剤及び助
剤の総重量に対して、一般に、60、特に50及び殊に30重量%未満である。
添加剤としては、熱−及び光安定剤、滑剤、離型剤、着色剤、例えば、通常の
量の染料及び顔料を挙げることができる。その他の添加剤は、補強剤、例えば、
ガラス繊維、石綿繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維及び/又は填料、石膏
繊維、合成ケイ酸カルシウム、カオリン、焼カオリン、珪灰石、タルク及びチョ
ークである。
低分子又は高分子ポリマーも、添加剤として使用され、その際、ポリエチレン
ワックスが、滑剤として特に有利である。
顔料としては、例えば、TiO2及びカーボンブラックがこれに該当する。
TiO2を使用する場合には、その平均粒度は、50〜400nm、特に15
0〜240nmの範囲であ
る。工業的には、場合により、金属酸化物、例えば、A1−酸化物、Si−酸化
物、Zn又はシロキサンの酸化物で覆われていてもよい金紅石及び鋭錐石が使用
される。
カーボンブラックとは、微晶性の微粉末炭素と理解すべきである(Kunststoff
lexikon、第7版、1980参照)。
好適なものとして、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ガスブラック
、並びに熱処理により得られるサーマルブラックが挙げられる。
これらの粒度は、有利に、0.01〜0.1μmの範囲であり、かつその表面
積は、102〜103ml/100gのDBP−吸着(ASTM d 2414)
の場合に、102〜104m2/g(BET/ASTMD3037)の範囲である
。
付加的な防炎剤として、特に、リン含有化合物を、20重量%まで、有利に1
0重量%までの量で使用することができる。この例は、トリアジン誘導体又はポ
リテトラフルオルエチレンと組み合わせて使用することができるリン酸エステル
、ホスフィン酸エステル、酸化ホスフィン、リン及び、有機リン酸塩である。
これらの添加物の種類及び量により、最終産物の所望の特性を広い範囲で調整
することができる。
本発明の多相ポリマー混合物の製造を、有利に、200〜320℃の範囲の温
度で、慣用の混合装置、例
えば、ニーダー、バンバリーミキサー及び単軸スクリュー押出機中で、有利に二
軸スクリュー押出機を用いて、ポリマー(A)、(B)及び(C)を混合するこ
とにより行なう。可能な限り均質な成形材料を得るために、激しい充分な混合が
必要である。ポリマーの混合順序は変動可能であり、2又は場合により3種のポ
リマーを、予め混合するか又は全てのポリマーを、一緒に混合することもできる
。本発明のポリマー混合物の製造は、適当な溶剤の溶液からも行なうことができ
る。
ポリマー混合物の有利な製造は、有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン又は
CHCl3/トルエン中に、20〜70、有利に30〜60℃の温度で個々のポ
リマーを溶かすことにより行なう。個々のポリマーを溶かし、かつ激しく混合し
た後に、この混合物を、過剰のアルコール、例えば、メタノールを用いて、沈殿
させ、溶剤を分離除去し、かつポリマー混合物を、高めた温度で真空中で乾燥さ
せる。
試験体の製造を、通常、溶解物を適当な圧縮型中で200〜320℃の温度で
圧縮することにより行なう。
同様に、本発明のポリマー混合物から、例えば、射出又は押出しにより、良好
な相結合を有する成形体を製造することができる。これらは、非常に良好な耐熱
変形性と合わせて、非常に良好な靭性並びに改善された応力亀裂抵抗及び接合強
度を有する。特に、延性破
壊が生じる前に、このような成形体は、きわめて大きな変形性を示す。
この特性スペクトルの結果、本発明のポリマー混合物から製造可能な成形体は
、特に、例えば、車両部材、生活用品分野、その他の建築部材(住居)での使用
に好適である。
例
I.A−B−Cブロックコポリマーの製造
1.モノマーの精製:
全ての操作工程を、窒素下で実施した。
スチレン:
スチレンの精製を、微細に粉末化された水素化カルシウムによる予備乾燥によ
り行なった。良好な精製のために、このスチレンから、高真空ラインでガスを除
去し、かつ再び凝縮させた。縮合の前に、モノマービュレット中で、スチレン1
00gにジブチルマグネシウムを添加し、かつ3時間撹拌した。
ブタジエン:
慣用の耐圧容器中に、それぞれブタジエン100g及びヘプタン中のジブチル
マグネシウムの0.5モル溶液10mlを予め装入した。溶剤を、真空中で除去
した。ブタジエンを、貯蔵ボンベ(Vorratsflasche)から凝縮させ、かつ室温で
少なくとも3時間撹拌した。
1,1−ジフェニルエチレン:
1,1−ジフェニルエチレンに、シクロヘキサン/
イソペンタン中のs−ブチルリチウムの12%溶液を、陰イオンに特有な濃赤色
が形成されるまで添加した。更なる精製を分別蒸留により行なった。
メチルメタクリレート:
メチルメタクリレートを、水素化カルシウム上で予備乾燥させた。良好な精製
を、高真空下でのガスの除去及び再凝縮により行なった。モノマービュレット中
での縮合の前に、メチルメタクリレートにトリエチルアルミニウムを添加する。
その際、ヘキサン100m1当り、ヘキサン中のトリエチルアルミニウムの1.
0モル溶液約5mlを使用した。
精製され、かつ非安定化されたモノマーであるスチレン及びメチルメタクリレ
ートを、使用するまで液体窒素の温度で貯蔵した。
溶剤の精製:
工業用品質のテトラヒドロフランを、6時間に渡り良好に粉末化された水素化
カルシウムと共に還流下に保持した。その後、第2の蒸留容器中で留去した。こ
のTHFを、必要な純度が達成されるまでカリウムと共に加熱還流させた。その
際の基準は、僅かに1,1−ジフェニルエチレンを添加されたTHFの試料にブ
チルリチウムを添加する際の1,1−ジフェニルエチレンの赤色陰イオンの直ち
の形成である。
2.陰イオン重合
必要量のスチレン(第1表参照)を、溶剤としての
テトラヒドロフラン中に予め装入した。この溶液を、−85℃まで冷却した。計
算量の開始剤(s−ブチルリチウム;第1表参照)を添加し、それによりスチレ
ンモノマーの陰イオン重合を開始させ、その際、これは、僅かに温度が上昇する
発熱反応及び生じるスチリル陰イオンの橙赤色で認識できた。約20分後に、溶
液から少量の試料を、ポリスチレンブロックの分子量の測定のために取り出し、
かつメタノール中で沈殿させた。
温度を、約−50℃まで上昇させた。引き読き、計算量のブタジエン(第1表
参照)を、反応容器中で縮合させた。その際、溶液が着色された。ブタジエンの
完全な縮合の後に、温度を、約−15℃まで上昇させた。この反応混合物を、更
に4〜5時間撹拌した。この条件下で、ブタジエンが定量的に反応した。
ポリ陰イオンを覆うために、ジフェニルエチレンを、反応容器中に注入した。
数分以内に、ジフェニルエチレン陰イオンの濃赤色が生じた。その後、温度を、
再び−60〜−70℃まで低下させた。僅かな量の溶液を、この段階での分析の
ために取り出した。
強い撹拌下で、必要量のメチルメタクリレートを徐々に滴加した。その際、こ
の溶液はすぐに脱色された。全量のメチルメタクリレートを添加した後に、反応
の完結のために温度を−50℃まで上昇させ、なお、約30分間撹拌した。この
後、このトリブロックコポリ
マーを水中で沈殿させた。
前記の方法により、スチレン:ブタジエン:メチルメタクリレートの任意の比
を有するトリブロックコポリマーが製造できる。ブロック長さ及び総分子量も制
限されていない。
II.多相ポリマー混合物の製造
次の成分を使用した:
ポリマーC
連続的な溶液重合により得られたスチレン及びアクリルニトリル(重量比80
/20)からなるSAN−コポリマー(VZ=83ml/g;DIN53727
により、DMF中の0.5重量%溶液として23℃で測定)。
ポリマーA
0.56の還元粘度(クロルホルム中の1重量%溶液として30℃で、DIN
53728により測定;ηred
=0.56)を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)。
ポリマーB1
Mn=237000(数平均)の平均分子量及び0.08の不均一性を有する
、陰イオン重合(前記と同様)により製造されたポリ(スチレン−b−ブタジエ
ン−b−メチルメタクリレート)−ブロックコポリマー。この組成は、ポリスチ
レン38.0重量%、ポリブタジエン38.0重量%及びポリメチルメタクリレ
ート24重量%であった。ポリブタジエン−中間ブロックは、90モル%まで1
,2−単位からなる。
ポリマーB2
ポリマーB1と同様だが、3成分ブロックコポリマーを付加的に水素化した。
そのために、3成分ブロックポリマーをトルエン中に溶かし(1重量%)、かつ
4倍モル過剰のトシルヒドラジド(ブタジエンブロック中に含有される2重結合
に対して)と共に空気−及び湿気遮断下、還流下に5時間保持した。水素化度>
99%が得られた。
ポリマーB3
Mn=210000の分子量(数平均)及び0.06の不均一性を有する水素
化されたポリ(スチレン−b−ブタジエン−メチルメタクリレート)−ブロック
コポリマー。この組成は、ポリスチレン48重量%、ポリブタジエン17重量%
及びポリメチルメタクリレ
ート35重量%であった。水素化を、成分B2における記載と同様に実施した(
水素化度>99%)。
ポリマーB4
Mn=180000の分子量(数平均)及び0.05の不均一性を有する水素
化されたポリ(スチレン−b−ブタジエン−b−メチルメタクリレート)−ブロ
ックコポリマー。この組成は、ポリスチレン44重量%、ポリブタジエン6重量
%及びポリメチルメタクリレート50重量%であった。水素化を、ポリマB2に
おける記載と同様に実施した(水素化度>99%)。
分子量及び分子量分布(Mn=数平均、Mw=重量平均、U=Mw/Mn−1)
を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン−検定標準
と較べて測定した(前記参照)。ポリブタジエン−中間ブロックの化学組成及び
ミクロ構造を、1H−NMR−分光法より測定した(装置:Bruker社のAC30
0)。ガラス転移温度(Tg)を、1rad/sの測定振動数での動的機械的分
析により測定した(装置:Rheometrics Solido Analyser RSA II)。
ポリマー混合物の製造
ポリマーA)〜C)を、テトラヒドロフラン中(1.2重量%)に50℃で溶
かし、かつ10倍過剰のメタノール中で沈殿させた。溶剤を分離除去し、かつ得
られた物質を、真空中、50℃で3日間乾燥させた。試験体の製造を、融解物を
加熱可能な真空油圧プレス上
の適当な圧縮金型を用いて、240℃で45分間圧縮成形することにより行なっ
た。
IIIポリマー混合物の特性
1.動的機械的分析
第3表の実験は、水素化されていない3成分ブロックコポリマーB1の相溶化
助剤としての効果を、ポリフェニレンエーテルA及びポリ(スチレン−コ−アク
リルニトリル)Cを有するポリマー混合物の例で示している。相溶性の基準は、
例えば、Fox−等式により表すことができる、純成分と較べた混合物中のガラス
温度の変化である(H.-G.Elias:Makromolekuele、第5版、1990、Basel
、Heidelberg、New York、854頁〜)。これらは、動的機械的分析により測定
された。実験1及び2に相応する測定曲線を、図Iに示した。その際、3成分ブ
ロックコポリマーを添加した場合に、ポリフェニレンエーテル。のガラス転移が
非常に変化した(3成分ブロックコポリマー9もしくは17重量%を添加した場
合、純PPEの227℃が、205℃もしくは195℃に)。これは、ポリフェ
ニレンエーテルと3成分ブロックコポリマーのポリスチレン−末端ブロックとの
相溶性の間接的尺度である。この場合、粗雑に分散された純PPE−相は存在せ
ず、良好に分散されたポリフェニレンエーテル及びポリスチレンブロックからな
る混合相が存在する。これに反して、混合物中には純ポリブタジエン相が存在し
、これは、−13もしくは−11℃での比較的弱いガラス転移で認知しうる。ポ
リブタジエン−ブロックは、これにより2種の硬質相との間にエラストマーの中
間層を形成する。第2の硬質相中でポリ(スチレン−コ−アクリルニトリル)に
、ブロックコポリマーが更に結合し、即ち、ここに、ポリ(スチレン−コ−アク
リルニトリル)と3成分ブロックコポリマーのポリメチルメタクリレート末端ブ
ロックとの間の混和性が存在する。ポリ(スチレン−コ−アクリルニトリル)と
ポリメチルメタクリレートとのガラス温度の僅かな差により、こ
の場合には、ポリ(スチレン−コ−アクリルニトリル)のガラス転移温度の位置
はほとんど変化しない。
ポリブタジエン−中間相は水素化されたブロックコポリマーでも観察される。
第4表は、それぞれ同量(17重量%)の種々異なる水素化された3成分ブロッ
クコポリマーを含有するポリフェニレンエーテルとポリ(スチレン−コ−アクリ
ルニトリル)との混合物に関する結果を示している。水素化されたブロックコポ
リマーの使用は、水素化されていないブロックコポリマーに較べて、より大きな
熱安定性の利点を示している。
3成分系混合物中の水素化された3成分ブロックコポリマー(B2、B3、B
4)の特性は、水素化されていない3成分ブロックコポリマーの特性に類似して
いる。使用された3成分ブロックコポリマーは、本質的にその異なる”EB”−
含分により区別される(”EB”は、水素化されたポリブタジエンの構造である
)。3つの全ての場合に、エラストマー中間ブロックの
ガラス温度の位置は、約−40℃であった。ポリフェニレンエーテル−相のガラ
ス転移は、3種の全てのブレンドの場合に、ホモポリマーに較べて明らかに低く
、かつ更に、ポリフェニレンエーテルと3成分ブロックコポリマーのポリスチレ
ン末端ブロックとの充分な混合を示している。ガラス温度の低下の絶対値は、ポ
リスチレンブロックの長さ及びポリフェニレンエーテルとポリスチレンとの重量
比に依存している。ポリスチレン−末端ブロックとポリフェニレンエーテルとの
この充分な混合は、3成分ブロックコポリマーがポリフェニレンエーテル−相中
でのミセルの形成により行なわれず、これは耐衝撃性変性による。むしろ、3成
分ブロックコポリマーは、相臨界の所に集中する。3成分ブロックコポリマーが
、ミセル状でポリフェニレンエーテル中に分配される場合には、”EB”−マイ
クロドメインと並んで、純粋なポリメチルメタクリレート−マイクロドメインも
存在してしまう。しかし、機械的動的測定は、純粋なポリメチルメタクリレート
−マイクロドメインの緩和は生じないことを示す。従って、3成分ブロックコポ
リマーのエラストマー”EB”−中間ブロックは、純粋なマイクロ相を形成して
いる。ポリメチルメタクリレート−末端ブロックは、ポリ(スチレン−コ−アク
リルニトリル)に結合し、かつポリスチレン末端ブロックは、ポリフェニレンエ
ーテルと充分に混合されている。このことは、ポリフェニレ
ンエーテル相が、良好に分散されて存在することを意味する。
2.相接着の特性を調べるための破壊機構
測定方法:
応力−ひずみ−装置中に、それぞれ4cmの長さの成形体を固定(両側)し、
かつ試料中央で力の作用により破壊した。図2〜6は、用いられるべき力を送り
の関数(Funktionn des Vorschubs)として示している。矢印の特徴を有すカー
ブの位置は、変形の開始を示し
図2は、ポリマーCの破壊特性を示す。
図3は、28重量%のゴム含分(軟質相含分)を有するASA−ポリマーの破
壊特性を示し、グラフトゴムの全含分は、46.6重量%である。
図4は、比較例2によるPPE/SAN−混合物の破壊特性を示す。
図5は、例3の本発明の混合物の破壊特性を示す。
図6は、78000のMn(数平均)を有するポリスチレンブロック及び91
000のMn(数平均)を有するPMMA−ブロック(重量比46/54)から
なり、陰イオン重合により得られる特開平(JP−A)01−54052号公報
に記載のブロックコポリマーを有するポリマーA及びCからなる混合物の破壊特
性を示す。
ブレンド組成物の量比は次のとおりである:
SAN(ポリマーC) 50重量%
PPE(ポリマーA) 33重量%
スチレン/PMMAブロックコポリマー(ポリマーB*)
17重量%。
特に、図3と図5との比較は、本発明のポリマー混合物が非晶質ポリマーPP
E33重量%を含有する際に、合計で本発明の混合物より多いゴム割合を有する
純粋なASA−混合物に較べて、著しく高い靭性水準を有することを示している
。
コポリマー不含のブレンド(図4)及び従来技術から公知のブレンド(図6)
に較べて、その靭性は著しく良好である。更に、本発明のブレンドの非常に良好
な相接着性は、試料の破壊特性からも明らかである。これらは、連続的ひび形成
によればほぼ均一に白色である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
D01F 6/76 D 7199−3B
(72)発明者 シュタートラー, ライムント
ドイツ連邦共和国 D―55278 モメンハ
イム ショイレーベンヴェーク 31
(72)発明者 アウシュラ,クレメンス
ドイツ連邦共和国 D―55122 マインツ
アム ユーゲントヴェルク 7
(72)発明者 ヴェーバー, マルティン
ドイツ連邦共和国 D―67433 ノイシュ
タット エックシュトラーセ 19