JP2509988B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2509988B2 JP25489088A JP25489088A JP2509988B2 JP 2509988 B2 JP2509988 B2 JP 2509988B2 JP 25489088 A JP25489088 A JP 25489088A JP 25489088 A JP25489088 A JP 25489088A JP 2509988 B2 JP2509988 B2 JP 2509988B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、成形加工性、機械的強度、耐衝撃強度など
に優れた樹脂組成物に関するものである。詳しくは、ポ
リフェニレンエーテル樹脂、ポリプロピレン樹脂、特定
のスチレン系モノマー変性プロピレン共重合体およびア
ルケニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン化
合物重合体ブロックBとからなるブロック共重合体の水
素添加物を配合した樹脂組成物に関するものである。こ
のような組成物とすることにより、ポリフェニレンエー
テル樹脂の特長である耐熱性、機械的強度とポリプロピ
レン樹脂の特長である成形加工性、耐有機溶剤性の大き
く損なうことなく、同時に耐衝撃強度を大きく改良し
た、自動車や電気製品の構造部材などの高度な要求性能
を満足する成形用材料を提供しようとするものである。
〔従来の技術および課題〕
環非置換ないし環置換フェニレン基からなるポリフェ
ニレンエーテル樹脂、特にポリ−2,6−ジメチル−1,4−
フェニレンエーテルは耐熱性および機械的強度が優れ、
いわゆるエンジニアリング樹脂として有用であるが、一
方では、溶融粘度が高く、射出成形等における成形加工
が困難であるという望ましくない性質を有することも良
く知られている。また耐衝撃強度、耐溶剤性も耐熱エン
ジニアリング樹脂としての多くの用途分野でまだ不十分
である。
単独の樹脂材料のみでは所望の諸性質を充分に満たす
に至らない場合の試みの一つとして、他の樹脂材料を混
合することによって、不充分な性質を補うという考え方
は良く知られている。ポリフェニレンエーテルと相溶性
が良く、成形加工性の良好なポリスチレンを配合して、
ポリフェニレンエーテルの成形性を改良した材料は、広
く実用に供されている。この場合、両成分とも耐有機溶
剤性は不良であり、当然のことながら混合組成物は耐溶
剤性が不充分である。一方、ポリプロピレン樹脂は、成
形加工性、耐有機溶剤性などに優れ低比重で安価である
ことから、広く成形品に利用されている材料であるが、
耐熱性がそれほど高くなく、エンジニアリング樹脂用途
に利用されるには満足できるものではない。
ポリフェニレンエーテル樹脂とポリプロピレン樹脂の
良好な性質を併せ持ち、望ましくない点を相補う組成物
が得られれば、利用分野の広い優れた樹脂材料の提供が
可能となる。
しかしながら、一般的なポリマーブレンドの熱力学的
考察において理解されているように、ポリフェニレンエ
ーテルとポリプロピレンは非相溶であり親和性を有しな
いため、単に二成分を混合した場合に組成物の示す二相
構造の界面は付着性が悪く、このため得られる成形品の
二相界面は強度が低く欠陥部となり、機械的強度、耐衝
撃強度低下を生じ易い。また射出成形などで成形加工時
に剪断応力を受けた時、相剥離(デラミネーション)を
生じ易い。
一般的に非相溶ポリマーブレンドにおいて、上記のよ
うな問題点を解決するために考えられる方法の一つは、
目的とする二成分組成物の親和性改良の為に第三成分を
配合することである。
相溶化剤と称される概念の物は、第三成分の代表的な
例である。相溶化剤は、第一成分および第二成分の界面
に位置し、これら両成分と同時に親和性を示し、本来二
相の間に存在した付着性の不良な部分をなくし、より均
質な分散構造を発現可能にする作用を有することを理想
とする。例えば特開昭58−103557号には、アルケニル芳
香族化合物と共役ジエのブロックまたはラジアルテレブ
ロック共重合体は“相溶性付与剤”として働き、ポリオ
レフィンがポリフェニレンエーテルと相当な割合で均質
にブレンドされることが記載されている。また特公昭56
−22344号は、ポリフェニレンエーテルに特性ポリプロ
ピレン、即ち、スチレン系単量体と有機過酸化物を用い
てポリプロピレンをグラフト変性したものを配合するこ
とにより、未変性ポリプロピレンを使用する際にみられ
る機械的強度低下を防ぐ方法が開示されている。しかし
ながら、このような従来の相溶性付与剤は、まだ大量部
のポリフェニレンエーテルと大量部のポリプロピレン
(未変性)を配合する場合の親和性改良剤としての効果
は不充分なものである。
本発明は前述のような現状に鑑み、新規な配合を開発
することにより、耐熱性、耐溶剤性、成形加工性に優
れ、高い衝撃強度を有する樹脂組成物を提供しようとす
るものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリプ
ロピレン樹脂からなる組成物において、ポリフェニレン
エーテル樹脂の耐熱性、ポリプロピレン樹脂の成形加工
性、耐有機溶剤性など、成分樹脂の特長をバランス良く
発現させる一方で、上記のような非相溶ブレンド材料の
一般的短所である、二成分の親和性不良による性能の低
下、特に耐衝撃強度の低下を改良するため、プロピレン
を主成分とし、ジアルケニルベンゼンを少量部共重合し
て得た結晶性のプロピレン−ジアルケニルベンゼン化合
物共重合体と、スチレン系モノマーとを重合に付して得
られる、スチレン系モノマーで変性されたプロピレン−
ジアルケニルベンゼン化合物共重合体を、親和性改良剤
として使うことが有効であることを既に見出だし、特許
出願した(特願昭62−329060)。
本発明者らはさらに耐衝撃性を大きく改良するために
鋭意研究を行った結果、アルケニル芳香族重合体をブロ
ックAと共役ジエン化合物重合体ブロックBとからなる
ブロック共重合体の水素添加物が、耐衝撃性改良剤とし
て有効であることを見出だし本発明に至った。さらに付
加的成分としてエチレン−プロピレンゴムをバランス良
く配合することにより、樹脂組成物の耐衝撃性が飛躍的
に向上することも見出だした。
すなわち本発明による樹脂組成物は、 (a)ポリフェニレンエーテル樹脂100〜40重量%とス
チレン系樹脂0〜60重量%からなる樹脂30〜70重量部、 (b)結晶性ポリプロピレン樹脂30〜70重量部、 上記成分(a)と成分(b)の合計量100重量部に対し
て、 (c)チーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合されたプ
ロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体であっ
て、ジアルケニルベンゼン化合物の含有量が0.001〜10
重量%である共重合体と、スチレン系モノマーとを共重
合させて得られる、スチレン系モノマーで変性されたプ
ロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体1〜40
重量部、 (d)アルケニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役
ジエン化合物重合体ブロックBとからなるブロック共重
合体の水素添加物1〜40重量部、 を含有することを特徴とする成形加工性、機械的強度、
耐熱性、耐有機溶剤性に優れ、特に耐衝撃性に優れた樹
脂組成物である。
〔発明の具体的説明〕
成分(a);ポリフェニレンエーテル樹脂 本発明で用いるポリフェニレンエーテル樹脂は公知で
ある。本発明で使用されるポリフェニレンエーテルは、
一般式 で表される繰り返し構造単位を有し、式中一つの単位の
エーテル酸素原子は隣接単位のベンゼン核に接続してお
り、nは少なくとも30であり、Qはそれぞれ独立に水
素、ハロゲン、三級α炭素原子を含有しない炭化水素
基、ハロゲン原子とフェニル核との間に少なくとも2個
の炭素原子を有するハロ炭化水素基、炭化水素オキシ基
およびハロゲン原子とフェニル核との間に少なくとも2
個の炭素原子を有するハロ炭化水素オキシ基からなる群
より選択した一価置換基を示す。
代表的なモノマーとしては、フェノール、o−,m−,
またはp−クレゾール、2,6−,2,5−,2,4−,または3,5
−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェ
ノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフ
ェノール、2,3,5−,2,3,6−,または2,4,6−トリメチル
フェノール、2−メチル−6−t−ブチルフェノールな
どがあげられる。上記化合物を主成分とし、ビスフェノ
ールA、テトラブロモビスフェノールA、レゾルシン、
ハイドロキノン2,2′−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシ)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシ)メタン、4,4′−ジヒドロキシビフェニルのよう
な多価ヒドロキシ芳香族化合物を、共重合成分とするこ
ともできる。
重合体の製造方法は公知であり、例えば米国特許第3,
306,874号、第3,306,875号さらに米国特許第3,257,357
号、第3,257,358号各明細書に記載されている。酸化重
合に用いられる触媒は特に限定されるものではなく所望
の重合度が得られるいかなる触媒でも良い。当分野では
第一銅塩−アミン−第二銅塩−アミン−アルカリ金属水
酸化物、マンガン塩−第一アミンなどよりなる多くの触
媒系が公知である。
また特公昭47−47862号、特公昭48−12197号などに開
示されているスチレン系重合体が該重合体にグラフトし
ているものも用いることができる。
さらに重合体構成成分の一部が、製造過程および成形
過程において、触媒成分、重合溶剤成分による変性ある
いは熱、酸素による変性を生じたものも用いることがで
きる。
本発明の成分(a)として特に好適であるのは、ポリ
−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル、大量部の
2,6−ジメチルフェノールと小量部の2,3,6−トリメチル
フェノール、o−またはp−クレゾール、2,2′−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)プロパン、および
3,3′−,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシビ
スフェニルの中から選ばれた一種または二種以上のモノ
マーからなる重合体である。
重合度の範囲は特に限定されないが、成形加工性の観
点から好ましいものの指標として、クロロホルム溶液、
30℃における極限粘度が1.0dl/g程度が実用の上限であ
り、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.2〜0.8であ
る。重合度が高すぎると溶融粘度が高すぎるため、より
高温で成形加工せざるを得なくなり、特別の装置が必要
になったり、特別な熱劣化防止の工夫が必要になる。ま
た重合度が低すぎると機械的強度が低下する。
さらに本発明では、ポリフェニレンエーテル樹脂は60
重量%以下のスチレン系樹脂を混合しても良い。スチレ
ン系樹脂としてポリスチレン、ハイインパクトポリスチ
レンのようなゴム強化ポリスチレン、ポリ−α−メチル
スチレン、ポリメチルスチレン、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合
体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン
−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共
重合体、ABS樹脂をあげることができる。スチレン系樹
脂を混合することによって、ポリフェニレンエーテル樹
脂の溶融粘度を低下させることができ、結果として組成
物の成形加工性を改良することができるが、スチレン系
樹脂の混合割合が増加するに従って、一般に耐熱性は低
下する。
なお、ポリフェニレンエーテル樹脂と上記所定の割合
で用いられるスチレン樹脂としては、後記の(c)成分
を製造する際に生成するスチレン系モノマーの単独重合
体を当てることもできる。
成分(b);結晶性ポリプロピレン樹脂 本発明で用いるポリプロピレン樹脂もまた公知であ
る。結晶化度が、5%以上、好ましくは10%以上であっ
て、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、プロピ
レンを主構成成分としたプロピレン−エチレン共重合体
またはプロピレン−α−オレフィン共重合体を好ましい
ポリプロピレン樹脂として用いることもできる。α−オ
レフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、3−メチル−ブテン−1、3−メチル−ペンテン−
1、4−メチル−ペンテン−1から選ばれた一種または
二種以上のものを用いることができる。さらに共重合体
成分として、スチレン、メチルスチレンなどのビニル芳
香族化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシランなどのビニルシラン化合物、マレイン酸、
無水マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの不
飽和脂肪酸および誘導体、ジシクロペンタジエン、4−
エチリデン−2−ノルボルネン、4−メチル1,4−ヘキ
サジエンなどの非共役ジエン化合物が20重量%以下、好
ましくは10重量%以下含有されたポリプロピレン、プロ
ピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィ
ン共重合体を用いることもできる。さらに上記のポリプ
ロピレン、プピレン−エチレン共重合体、たはプロピレ
ン−α−オレフィン共重合体とポリエチレンおよび他の
α−オレフィン重合体との混合物であって、混合物中の
プロピレン含量が30重量%以上、好ましくは50重量%以
上であり、プロピレン単位に由来する結晶化度が5%以
上、好ましくは10%以上のものも用いるこができる。こ
こにいうα−オレフィン重合体として好ましいものに
は、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、
エチレン−プロピレンまたはエチレン−プロピレン−ブ
テン共重合体であってプロピレン含量が50重量%未満で
あるもの、エチレン−ブテン共重合体などの一種または
二種以上をあげることができる。ポリエチレンおよびα
−オレフィン共重合体はプロピレン樹脂の重合過程にお
いて併産されても良いし、最終組成物の配合に先立っ
て、構成成分のいずれかと混合してもよい。最終配合物
の混合時に同時に添加しても良い。
また本発明においては、結晶性ポリプロピレン樹脂
は、ゴム状重合体を含有することができる。ゴム状重合
体は、ポリプロピレン樹脂の重合過程において併産され
てもよいし、また別途調製されたゴム状重合体を添加し
てもよい。ゴム状重合体を含有するポリプロピレン樹脂
としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体であ
ってプロピレン含量が99ないし70重量%であるもの、プ
ロピレン−エチレンランダム共重合体であってプロピレ
ン量が99.9ないし80重量%のもの、ポリプロピレンまた
は上記プロピレン−エチレン共重合体に、エチレン−プ
ロピレンゴムまたはエチレン−プロピレン−ブテンゴム
またはエチレン−ブテンゴムを混練したものを用いるこ
とができる。
ゴム状重合体は、結晶性ポリプロピレン樹脂100〜60
重量%に対して、ゴム状重合体0〜40重量%の割合が望
ましい。
最終樹脂組成物の耐熱性を高い水準に設定するために
は、ポリプロピレン樹脂の結晶性および結晶融解温度
は、できるだけ高い方が望ましい。プロピレン共重合体
において、プロピレンと共重合する成分の割合が増すこ
と、あるいはポリプロピレン樹脂中に混合されるα−オ
レフィン重合体の割合が増すことによって、最終組成物
の耐衝撃強度の補強が可能になるが、一方では、プロピ
レン単位の減少等に由来する結晶化度の低下、および/
または融解温度の低下が生じる。最終組成物に要求され
るこれらの性質のバランスから、適切なポリプロピレン
樹脂を選ぶことが必要である。
成分(c);スチレン系モノマー変性プロピレン−ジア
ルケニルベンゼン化合物共重合体 本発明で用いるスチレン系モノマー変性プロピレン−
ジアルケニルベンゼン化合物共重合体は、チーグラー・
ナッタ型触媒を用いた重合により、ジアルケニルベンゼ
ン化合物をプロピレンに対して0.001〜10重量%共重合
した、結晶性プロピレン共重合体に、スチレン系モノマ
ーを共重合させて得られることを特徴とする。
(プロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体の
製造) 本発明で使用されるジアルケニルベンゼン化合物は下
記の構造式で示されるものであり、o−体、m−体、p
−体などの異性体のいずれでもよく、また混合物でもよ
い。またベンゼン環が置換されている各種の誘導体でも
よい。
具体的に例示すれば、ジビニルベンゼン、イソプロペ
ニルスチレン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン
などがある。好適なものはジビニルベンゼンである。市
販の粗製ジビニルベンゼンにはエチルビニルベンゼン、
ジエチルベンゼンなども含まれているがこれらを別段分
離しなくても使用できる。
共重合は通常のチーグラー・ナッタ型重合を行うのと
同様の条件で実施できる。不活性希釈剤を使用するいわ
ゆる溶媒重合では、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒
が使用でき、重合温度としては0℃〜120℃、好ましく
は20℃〜90℃の温度で実施することができる。重合圧力
も広く変えられる。共重合体の分子量調節剤とて水素が
使用できる。
本発明で使用されるチーグラー・ナッタ型触媒とは、
公知の周期律表第IV族の遷移金属化合物(ハライド、ア
ルコキシド、アセチルアセトナート)と周期律表第I〜
III族の有機金属化合物との組み合わせよりなるもので
ある。これら遷移金属化合物の代表的なものは、チタ
ン、バナジウムおよびジルコニウムの化合物であり、チ
タンを例にしてさらに詳しく説明すると、TiCl4、TiCln
(OR)4-n(0≦n<4)、TiCl3・mAlCl3(m=0〜1/
3)、およびこれらの化合物が塩化マグネシウムなどの
上に担持された、いわゆる担持型チタン化合物などであ
る。またこれらの遷移金属化合物が電子供与性化合物で
変性されたものでもよい。
周期律表第I〜III族の有機金属化合物としては、少
なくとも一つの炭素−金属結合を有するリチウム、ナト
リウム、マグネシウムおよびアルミニウムなどの有機金
属化合物であり、一般式RLi、RpMgX2-p、AlRqX3-q(R
は脂肪族、脂環族または芳香族の炭素数20までの炭化水
素残基、pは1または2、qは1〜3)で表されるもの
である。
具体的には、エチルリチウム、n−プロピルリチウ
ム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec
−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−デシル
リチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、1−
ナフチルリチウム、p−トリルリチウム、シクロヘキシ
ルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ナトリウム
ナフタレン、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマ
グネシウムクロライド、ジブチルマグネシム、トリエチ
ルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘ
キシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチ
ルアルミニウムハイドライドなどがあげられる。これら
の有機金属化合物は、電子供与性化合物と併用して遷移
金属化合物と組み合わせて、チーグラー・ナッタ型触媒
を形成することもできる。
上記有機金属化合物と遷移金属化合物の使用量比には
特に制限はないが、0.5〜500(モル比)の範囲で選定す
るのが一般的である。
このようにして形成されたチーグラー・ナッタ型触媒
を用いて、プロピレンとジアルケニルベンゼン化合物と
が共重合される。ジアルケニルベンゼン化合物の含量は
0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%含まれる
ように共重合を行うのがよい。この含量が多すぎるとゲ
ル化が起こり易くなり、また少なすぎると後段での変性
反応の効率が低下する。ジアルケニルベンゼン化合物の
含量は、ジアルケニルベンゼン化合物の添加量、添加速
度、プロピレンの重合系中での濃度、重合温度および重
合時間などにより制御することが一般的である。
ジアルケニルベンゼン化合物のプロピレン共重合体中
での存在分布状態については不明であるが、ランダムに
分布していると考えるのが妥当である。該プロピレン共
重合体は、第三成分としてα−オレフィンが共重合され
ていても良い。使用されるα−オレフィン共重合成分
は、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル
−ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−
1、3−エチル−ブテン−1、3,3′−ジメチル−ブテ
ン−1があげられる。
これらの共重合体の形態は、得られたスチレン系モノ
マー変性プロピレン共重合体が親和性改良効果を有する
限りにおいて、限定されるものではないが、好ましくは
プロピレン成分に由来する結晶性を有するものである。
さらに好ましくは該共重合体におけるプロピレン成分の
含量が50重量%以上であって、プロピレン成分に由来す
る結晶性を示すものである。
(スチレン系モノマーによるプロピレン−ジアルケニル
ベンゼン化合物共重合体の変性) 用いるスチレン系モノマーは、スチレン、α−メチル
スチレン、(o,m,p)−メチルスチレン、(o,m,p)−ク
ロルスチレン、(o,m,p)−アルキルスチレンであって
アルキル基は炭素数2〜6である化合物、(o−,m−,p
−)ジビニルベンゼン、(o−,m−,p−)ジイソプロペ
ニルベンゼンの中から一種または二種以上を選ぶことが
できる。好ましくはスチレンまたはスチレンとα−メチ
ルスチレン混合物、またはp−メチルスチレン、または
スチレンと(o,m,p)−クロルスチレン混合物であっ
て、それらの重合体がポリフェニレンエーテルと良好な
親和性を有する形態のものである。
変性は、スチレン系モノマーと上記のプロピレン−ジ
アルケニルベンゼン化合物とを共存させ、該モノマーの
共重合条件に付して実施する。変性の機構の詳細は明ら
かではないが、プロピレン−ジアルケニルベンゼン化合
物共重合体中には、ジアルケニルベンゼンに由来するプ
ロピレンとの共重合に関与しないアルケニル構造が残存
しており、このアルケニル基はスチレン系モノマーと同
様の重合能を有すると考えられる。また重合条件下に付
されたスチレン系モノマーは、共存するプロピレン−ジ
アルケニルベンゼン化合物共重合体中のアルケニル構造
と共重合することが可能である。従って得られた変性プ
ロピレン共重合体は、スチレン系モノマーからなる重合
体の一部によって、いわゆるグラフト変性されているも
のと推定される。
変性度の指標としては、プロピレン−ジアルケニルベ
ンゼン化合物共重合体(イ)に対する該共重合体にグラ
フト結合したスチレン系モノマー重合体(ロ)の量比を
百分率で表した変性率〔(ロ)/(イ)×100(%)〕
を用いることができる。具体的には、変性条件に付した
重合物からスチレン系モノマー単独重合体を選択的溶媒
で抽出分離し、残った不溶分中のプロピレン−ジアルケ
ニルベンゼン共重合体(イ)に対する結合スチレン系モ
ノマー重合体(ロ)の量比を、赤外吸収スペクトルなど
の手段で決定する。変性率は通常1〜200%、好ましく
は2〜150%、さらに好ましくは5〜100%である。
変性を実施する重合条件としては、アニオン重合、カ
チオン重合、ラジカル重合のいずれかの条件を選択する
ことができる。好ましいのはアニオン重合条件である。
アニオン重合開始剤としては公知のものが使用でき
る。
リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金
属や、アルカリ金属およびマグネシウム、カルシウム、
ストロンチウムのようなアルカリ土類金属の金属−炭素
または金属−窒素結合を有する有機金属化合物などであ
る。これらの中では有機リチウム化合物が好ましく、具
体的には前記のチーグラー・ナッタ型触媒を形成するの
に使用できる例としてあげた各種の有機リチウム化合物
がある。従って本発明では、プロピレン−ジアルケニル
ベンゼン化合物共重合とスチレン系モノマー変性を行う
に際して、同一種の有機金属化合物を使用することもで
きる。これらのアニオン重合開始剤は、含窒素、含酸素
塩基性化合物やアルカリ金属のアルコキシサイド化合物
などと併用して使用することもできる。前述のスチレン
系モノマーは、すべてアニオン重合可能であり、これら
アニオン重合性モノマーは単独でまたは2成分以上を混
合あるいは逐次的に使用することもできる。すなわち、
アニオン重合性モノマーの重合グラフト鎖が単独、ラン
ダムおよびブロック重合鎖であってもよい。
重合溶媒は、プロピレン−ジアルケニルベンゼン共重
合で用いたものと同一の溶媒も使用できるので、このよ
うな場合は、共重合と変性を連続して実施することがで
きる。溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エチルエーテル、ピリジンなどの非プロトン性極性
溶媒も使用できるが、炭素水素溶媒を使用することが好
都合である。
重合温度は−78℃〜150℃の範囲が選ばれるが、作業
性の点から0℃〜130℃の温度で常圧下または加圧下で
行うことが好ましい。反応時間は0.1〜10時間、好まし
くは0.3〜8時間である。変性効率の点から系が均一な
状態で行うことが好ましいが、必ずしもこのことは必須
の要件ではない。
このようにして得られるスチレン系モノマー変性ポリ
プロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体中の
スチレン系モノマー重合体の重量組成やその分子量など
は、目的に応じて変えられる。スチレン系モノマーに由
来する重合体の含有量は、5重量%から90重量%の範囲
とするのが一般的である。数平均分子量は、好ましくは
1×103以上、さらに好ましくは5×103〜10×104が使
用できる。これらの重量組成やその分子量は、プロピレ
ン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体のジアルケニ
ルベンゼン化合物の含量や、スチレン系モノマーの共重
合体に対する使用量比などで変えられると共に、常法に
従うとおり、アニオン重合性モノマー/アニオン重合開
始剤の量比、重合温度、時間などにより制御することが
できる。
要約すれば、本発明に用いるスチレン系モノマー変性
プロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体の好
ましい変性条件の一つは、アニオン重合条件であって、
生成する変性重合体の変性度、分子量、分子形態は、ス
チレン系モノマーの種類、量、添加方法、アニオン重合
開始剤の種類、量、添加方法、重合圧力、重合温度、重
合時間などを選定することにより、適宜調節することが
できる。
また、このようなアニオン重合条件下での変性におい
ては、プロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物重合体
中のジアルケニルベンゼン残基のアルケニル残基は、ス
チレン系モノマーとアニオン共重合して、プロピレン、
ジアルケニルベンゼン化合物共重合体とスチレン系モノ
マー共重合体のグラフトポリマーを生成していると推定
される。プロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重
合体の重合においては、一部のジアルケニルベンゼンは
共重合体の末端に存在する可能性もあり、このような場
合、変性共重合体には少量のブロック共重合体も含まれ
る。また変性においては、プロピレン−ジアルケニルベ
ンゼン化合物共重合体と結合していないスチレン系モノ
マーの単独重合体が生成する場合がある。
このような非結合重合体は、最終組成物の配合に先立
って抽出除去してもよいし、そのまま配合することも可
能である。さらに、スチレン系モノマーの重合体分子が
二つ以上のジアルケニルベンゼン化合物と共重合する可
能性もある。このような場合、変性物の一部に架橋がお
こり、ゲル状の重合物が生成することも考えられるが、
最終配合物において、親和性改良効果、成形加工性改良
効果を損なわない範囲において、少量のゲル状重合体が
存在してもよい。本発明にいうアニオン重合下で変性さ
れたスチレン系モノマー変性プロピレン−ジアルケニル
ベンゼン化合物重合体は、このような形態の生成物を含
有することができる。なお、変性度は前述のように、プ
ロピレン−ジアルケニルベンゼン共重合体に対する結合
スチレン系モノマー重合体の量比で表すことができる。
変性を実施する条件の別の好ましい重合条件は、ラジ
カル重合条件である。
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤を用いるか、あ
るいは熱重合などの無触媒的共重合条件下で実施するこ
とができる。
プロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体中
に含有されるアルケニル基およびスチレン系モノマー
は、ラジカル重合が可能である。重合開始剤を使用する
場合には、ビニル重合ラジカル重合開始剤として周知の
ものを、重合開始剤として用いることができる。例えば
シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、
ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ピバレートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニ
トリルなどのアゾ化合物を使用することができる。重合
溶媒、重合条件は上記アニオン重合条件と同様に選定す
ることができる。変性の割合もアニオン重合条件におけ
る変性と同様に考えることができる。ラジカル重合条件
下での変性も、ラジカル重合機構によってスチレン系モ
ノマーとプロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物重合
体中の残存アルケニル基のグラフト共重合変性と推定で
きる。
成分(d);アルケニル芳香族化合物重合体ブロックA
と共役ジエン化合物重合体ブロックBとからなるブロッ
ク共重合体の水素添加物 本発明に用いるブロック共重合体の水素添加物は、ア
ルケニル芳香族化合物に由来する連鎖ブロック「A」と
共役ジエンに由来する連鎖ブロック「B」をそれぞれ少
なくとも一個有する構造をもつアルケニル芳香族化合物
−共役ジエン化合物ブロック共重合体のブロックBの脂
肪族不飽和基が、水素化により減少したブロック共重合
体である。ブロックAおよびBの配列は、線状構造をな
すものあるいは分枝構造をなすものであり、分枝構造を
なすものの中にはラジアルテレブロック構造をなすもの
も含む。またこれらの構造のうちの一部に、アルケニル
芳香族化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合部
分に由来するランダム鎖を含んでいてもよい。これらの
うちで線状構造をなすものが好ましく、ジブロック構造
をなすものがより好ましい。プロックAをなすアルケニ
ル芳香族化合物は、次の一般式に示される化学構造を有
するものである。
式中R1とR2は水素または炭素数1〜6の低級アルキル
基の中から選ばれ、R3およびR4は水素、炭素数1〜6の
低級アルキル基、塩素、臭素の中から選ばれ、R5、R6
よびR7は水素、炭素数1〜6の低級アルキル基およびア
ルケニル基の中から選ばれるか、あるいはR6とR7がハイ
ドカルビル基と共に連結してナフチル基を形成すること
もある。
アルケニル芳香族化合物の具体例には、スチレン、パ
ラメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレ
ン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベン
ゼン、ブロモスチレン、クロルスチレンなどがある。こ
れらの中でスチレン、α−メチルスチレン、パラメチル
スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンが好まし
く、スチレンがより好ましい。
共役ジエン化合物の具体例には、1,3−ブタジエン、
2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−
ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどがあげられ、これ
らの中で1,3−ブタジエンまたは、2−メチル−1,3−ブ
タジエンまたは、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ま
しい。これらの共役ジエンに加えて少量のエチレン、プ
ロピレン、1−ブテンなどの低級オレフィン系炭化水素
やシクロペンタジエン、非共役ジエン類が含まれていて
もよい。
アルケニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック
共重合体の水素添加物中の、アルケニル芳香族化合物に
由来する繰り返し単位の占める割合は、10〜80重量%の
範囲が好ましく、15〜60重量%の範囲がより好ましい。
これらブロック共重合体における脂肪族鎖部分のうち
共役ジエン化合物に由来し、水素添加されずに残存して
いる不飽和結合の割合は20%以下が好ましく、10%以下
がより好ましい。また、アルケニル芳香族化合物に由来
する芳香族性不飽和結合の25%以下が水素添加されてい
てもよい。
これらの水素添加ブロック共重合体は、それらの分子
量の目安として、25℃におけるトルエン溶液粘度の値が
3000〜30CPS(濃度15重量%)もしくは10000〜50CPS
(濃度20重量%)の範囲にあるものが好ましい。これら
より大きい値の範囲では組成物の成形加工性に難点を生
じ、これらより小さい値の範囲では組成物の機械的強度
レベルが低く好ましくない。
アルケニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック
共重合体の製造方法としては、数多くの方法が提案され
ている。代表的な方法としては、例えば特公昭40−2379
8号公報明細書、米国特許第3,595,942号および同第4,09
0,996号などに記載された方法があり、リチウム触媒ま
たはチーグラー型触媒等を用いて、不活性触媒中でブロ
ック共重合を行わせる。
これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば
特公昭42−8704号、同43−6636号あるいは46−20814号
等の各公報明細書に記載された方法により、不活性触媒
中で水素添加触媒の存在下に、水素添加することによっ
て行われる。この水素添加では、重合体ブロックB中の
オレフィン型二重結合の少なくとも50%、好ましくは80
%以上が水素添加され、重合体ブロックA中の芳香族性
不飽和結合の25%以下が水素添加される。
これらの水素添加物は、シェル化学(株)より「クレ
イトン(Kraton)−G」の商品名で、例えばGX−1701お
よびG−1652のコード名で販売されている。
本発明では、10μ〜10mmのペレット状物または粉体が
用いられる。
成分(a)、(b)および(c)の組成 本発明による樹脂組成物を規制するもう一つの要因
は、上記成分(a)、(b)、(c)および(d)の量
比である。これらの量比の選択は、最終成形品の用途の
要求性能によって決定される。成形加工性、機械的強
度、高温剛性などの個々の性質は、各構成成分の既述の
特長とその存在割合の増減で調整できる場合が多いもの
の、例えば溶融成形性と高温剛性の如く、発現機構の一
般的考察から相反すると考えられる性質の関係は、高度
に両立させるのは困難な場合が多い。実用上の目的のた
めには、通常、成形性、機械的強度、高温剛性などの諸
性質の調和を適切にするという観点から行われる。
(a)成分として、ポリフェニレンエーテル樹脂とスチ
レン系樹脂とを最終組成物中に共存させるときは、両者
の量比は、ポリフェニレンエーテル樹脂40〜100重量
%、スチレン系樹脂0〜60重量%がよく、好ましくは、
ポリフェニレンエーテル樹脂は60〜100%が採用され
る。
かかる(a)成分と、(b)成分:結晶性ポリプロピ
レン樹脂、またはプロピレン樹脂とゴム状重合体の量比
は、(a)成分は30〜70重量部、好ましくは40〜60重量
部、(b)成分は30〜70重量部、好ましくは40〜60重量
部が用いられ、(a)成分と(b)成分の合計量が100
重量部に対して、(c)成分は1〜40重量部、好ましく
は5〜30重量部、より好ましくは10〜20重量部、(d)
成分が1〜40重量部、好ましくは5〜30重量部、より好
ましくは10〜20重量部が用いられる。
すなわち、(a)成分と(b)成分の重量比が7/3よ
り大きくなると、(a)成分の特長、例えば高温剛性は
より向上するが、溶融成形性、耐有機溶剤性が低下し
て、用途が制約される。また(a)成分と(b)成分の
比が3/7より小さくなると、溶融成形性は向上するが、
高温剛性が低下してエンジニアリング樹脂としての性能
が不充分となる。(c)成分および(d)成分の存在量
が1重量部以下では、有効な親和性改良効果を示さず、
40重量部以上では、親和性改良効果は飽和してしまい、
一方で高温剛性はむしろ低下してしまう。
付加的成分 本発明では、上記の必須成分の他に本発明の効果を損
なわない範囲で、必要に応じて他の付加的成分を加える
ことができる。
例えばゴム成分の添加、特にエチレン−プロピレンゴ
ムの添加は、組成物の耐衝撃強度をより大きく向上する
のに有効である。使用するエチレン−プロピレンゴムの
プロピレン含量は10〜50%、分子量の目安としてムーニ
ー粘度が20〜100のものが好ましい。
さらにポリプロピレン樹脂で周知の酸化防止剤、耐候
性改良剤、造核剤、難燃剤、スリップ剤などの添加化合
物、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂で周
知の酸化防止剤、耐光性改良剤、可塑剤、流動性改良
剤、離型剤などを付加成分として使用できる。また有
機、無機充填剤、補強剤、特にガラス繊維、マイカ、タ
ルク、沈降性炭酸カルシウム、シリカ、ワラストナイ
ト、チタン酸カリウムウィスカーなどは、剛性、耐熱
性、寸法精度、寸法安定性などの向上に有効である。実
用のために各種着色剤、およびそれらの分散剤として、
ポリオレフィンワックス、ポリスチレンワックス、エス
テル化合物、酸アミド化合物など周知のものが使用でき
る。
組成物の混合方法 本発明の樹脂組成物は、上記の各成分を、各種混練
機、例えば一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサ
ーなどで混合する方法、各成分の溶液または懸濁液を混
合した後に溶剤を除去するか、共通非溶媒を加えて沈
澱、別し、回収する方法などいずれの方法を用いるこ
とができる。また混合の順序は、可能ないずれの順序に
よっても良いが、経済性の見地からは、全成分を同時に
混合することが好ましい。溶融混練法によって混合する
場合には、粘度の高いものから逐次混合する方法も知ら
れている。
実験例 以下実験例により本発明の詳細な例示を行うが、これ
により本発明の範囲を特に限定するものではない。
参考例として、成分(3)スチレン系モノマー変性プ
ロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体の製造
例を示す。
(参考例−1)変性重合体(A)の製造 (1)プロピレン−ジビニルベンゼン共重合体の製造 攪拌および温度制御装置を有する内容積1リットルの
ステンレス鋼製オートクレーブに、真空−プロピレン置
換を数回繰り返した後、充分に脱水および脱酸素したn
−ヘプタンを500ml、ジビニルベンゼン(東京化成社
製、m−体およびp−体の混合物、ジビニルベンゼン含
量53%)20ml、ジエチルアルミニウムクロライド234m
g、三塩化チタン(東洋ストウファー社製、TTA−12)10
0mg(Al/Ti=3モル比)をこの順序で導入し、水素を10
00ml加えて、プロピレンとジビニルベンゼンとの共重合
を開始した。共重合はプロピレン圧力7kg/cm2G、65℃で
3時間行った。共重合終了後、残存モノマーをパージ
し、ポリマースラリーを別して共重合粉体ポリマー10
7.2gを得た。触媒活性=3450g共重合体/gTi、MFR=16.9
g/10分、沸騰キシレン抽出法による立体規則性は97.1%
であった。
(2)スチレン変性共重合体の製造 窒素ガスで置換された内容積300mlの三ッ口フラスコ
へ、上記で得たプロピレン−ジビニルベンゼン化合物共
重合体4.0gを導入し、80℃で2時間の真空加熱処理後、
窒素ガス雰囲気下で精製キシレン100mlを加え、110℃に
昇温後スチレンモノマー8.8ml(8.0g)を加えた。n−
ブチルリチウム0.20ミリモル(ヘキサン溶液)をゆっく
りと滴下し、110℃の温度で1時間スチレンのアニオン
共重合を行った。この共重合終了後、大過剰のメタノー
ルを用いて重合物を析出させ、乾燥して11.8gの重合体
を得た。使用したプロピレン共重合体が全量回収された
ときを仮定すると、スチレンモノマーの転化率は97.5%
であった。
(3)ポリマーの分析 プロピレン−ジビニルベンゼン化合物共重合体中の重
合したジビニルベンゼン含有量を紫外線スペクトル法に
より測定したところ、0.50%であった。
またゲルパーミエーション(GPC)法によるこの共重
合体の数平均分子量(Mn)は、3.16×104であり、重量
平均分子量(Mw)は22.9×104であった。
スチレン変性プロピレン−ジビニルベンゼン化合物共
重合体の赤外(IR)スペクトルには、ポリスチレン特有
の吸収スペクトルが1600cm-1および700cm-1付近に認め
られる。この得られたスチレンモノマー変性共重合体の
うち、3.01gを用いて抽出溶媒としてメチルエチルケト
ン(MEK)を使用してソックスレイ抽出を5時間行った
ところ、1.59gのMEK抽出不溶ポリマーを得た。このMEK
抽出不溶ポリマー中のポリスチレン含量をIR分析法で定
量したところ35.9重量%であった。
従って、〔抽出溶媒で抽出されないスチレン重合体
(重量)/変性反応で重合した全てのスチレン重合体
(重量)〕×100で定義されるグラフト効率は28.6%で
あった。得られた変性重合体を変性重合体(A)とす
る。
MEK抽出による不溶分をさらに沸騰キシレンに溶解
(1.90g/100mlキシレン)後、4倍量のアセトンで再沈
したところ、可溶分は存在ポリマー量の5%以下であ
り、非結合ポリスチレンの含量は無視できることがわか
った。MEK可溶分は、赤外吸収スペクトルによりポリス
チレンであることが確認できた。その分子量をGPC法で
測定したところ、Mn=1.37×104、Mw=6.59×104であっ
た。
(参考例−2)変性共重合体(B)の製造 ジビニルベンゼン導入量を5mlに変え水素を500mlに変
える以外は、すべて(参考例−1)と同様の条件で、プ
ロピレン−ジビニルベンゼン化合物共重合体を製造し
た。
同様の操作を2度繰り返して、合計334gの重合体を得
た。触媒活性=5380g共重合体/gTi、MFR=7.4/10分、共
重合ジビニルベンゼン含量=0.26重量%、分子量はMn=
4.17×104、Mw=27.6×104であった。
5フラスコを用い、共重合体160g、キシレン4000m
l、n−ブチルリチウム6.15mmol(ヘキサン溶液)、ス
チレンモノマー320gを用いる以外は(参考例−1)と同
様の操作によって、変性共重合体を製造した。乾燥して
得られた重合体をメチルエチルケトン(MEK)を用いて
ソックスレー抽出を行い、可溶分を除去した後、再び充
分に乾燥して変性重合体(B)207gを得た。変性重合体
中のポリスチレン成分の含量は23.3重量%であった。ME
K可溶分は、赤外吸収スペクトルよりポリスチレンであ
ることが確認でき、その分子量はGPC法によれば、Mn=
1.30×104、Mw=7.08×104であった。
(評価用試験片の作成および評価法) 1)樹脂組成物の混合 合計量が45gになるように所定割合の成分を計量し、
ラボプラストミル(東洋精機(株)製)にて、280℃、
5分間溶融混練した。
2)試験片の作成 280℃にて圧縮成形して、厚み2mmのシートを作成し、
所定の寸法の試験片を切り出した。
3)評価法 成形加工性の指標として、JIS−K7210に準じて、280
℃、5kg荷重下でのMFR(メトロフローレート)を測定し
た。剛性は、JIS−7106、ASTM−D747に準じて、23℃に
おいて曲げこわさ試験を実施した。また耐熱性の指標を
得る目的で80℃における剪断弾性率G′を、レオメトリ
ックス社製メカニカルスペクトロメーターを用いて、角
周波数1Hzで測定した。耐衝撃強度は、JIS−K7110に準
じて2mm幅試験を3枚重ねにして、アイゾット衝撃強度
を測定した。これらの結果を表1および表2に示す。
〔発明の効果〕 表1および表2から判るように、本発明の組成物は、
成分(b)および(c)のいずれかを含有しない比較例
に比べて、加工性、機械的強度、耐衝撃強度および耐熱
性に優れ、バランスがとれていることが判る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 53/02 LLZ C08L 53/02 LLZ (72)発明者 真弓 順次 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化 株式会社樹脂研究所内 (72)発明者 紀平 道治 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化 株式会社樹脂研究所内 (72)発明者 西尾 武純 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−128064(JP,A) 特開 昭63−117049(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(a)、(b)、(c)および
    (d)を含有することを特徴とする樹脂組成物。 (a)ポリフェニレンエーテル樹脂100〜40重量%とス
    チレン系樹脂0〜60重量%からなる樹脂30〜70重量部、 (b)結晶性ポリプロピレン樹脂30〜70重量部、 上記成分(a)と成分(b)の合計量100重量部に対し
    て、 (c)チーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合されたプ
    ロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体であっ
    て、ジアルケニルベンゼン化合物の含有量が0.001〜10
    重量%である共重合体と、スチレン系モノマーとを共重
    合させて得られる、スチレン系モノマーで変性されたプ
    ロピレン−ジアルケニルベンゼン化合物共重合体1〜40
    重量部、 (d)アルケニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役
    ジエン化合物重合体ブロックBとからなるブロック共重
    合体の水素添加物1〜40重量部。
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