JPH0849095A - 高明度・低彩度の色調を有する陽極酸化による発色チタン材または発色チタン合金材 - Google Patents

高明度・低彩度の色調を有する陽極酸化による発色チタン材または発色チタン合金材

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JPH0849095A
JPH0849095A JP18378194A JP18378194A JPH0849095A JP H0849095 A JPH0849095 A JP H0849095A JP 18378194 A JP18378194 A JP 18378194A JP 18378194 A JP18378194 A JP 18378194A JP H0849095 A JPH0849095 A JP H0849095A
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直子 田籠
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寛 紀平
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康雄 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高明度・低彩度の色調を有する陽極酸化によ
る発色チタン材および発色チタン合金材を提供する。 【構成】 表面状態がブラスト仕上げによる梨地状であ
って、Gs(45°)が50%以下、Rmax が6μm以
上であるチタン材およびチタン合金材の表面に、L*
45以上でかつC* が5以上35以下である干渉被膜を
形成した高明度・低彩度の色調を有する陽極酸化による
発色チタン材および発色チタン合金材。 【効果】 一般的なダル材に発色を施したものに比べ、
* は同程度で、C* は3〜5割の低彩度の色調を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材や装飾品などに使
用する陽極酸化による発色チタン材に関し、特に、梨地
状のチタン材またはチタン合金材に陽極酸化処理を施し
た高明度・低彩度の色調を有する発色チタン材または発
色チタン合金材(以下チタン材およびチタン合金材を総
合してチタン材という。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、発色チタン材は、腐食環境の厳し
い地域での屋根材、外装用としてのみならず、意匠性及
び美感を重んずるインテリアパネルとして、また、高級
性及びファッション性を重んじるアクセサリー及びタイ
ピンなどの装飾品として注目を浴びている。
【0003】発色チタン材としては従来から大気酸化法
によるもの、陽極酸化法によるもの化成処理法によるも
のが知られている。これらの発色チタン材の中でも特に
陽極酸化法によるものは種々の色を有するが、原色に近
い鮮やかな色彩のものに限られる。多様化するデザイン
上の要求に対応すべく、低彩度の色調の発色チタン材を
製造するために、以下のような研究がなされている。
【0004】特開昭62−182299号公報には、陽
極酸化発色皮膜形成剤としてモリブデン酸ナトリウム、
モリブデン酸アンモニウム、燐酸二アンモニウム、フッ
化ナトリウムの中から選択した2種またはそれ以上の無
機化合物を添加し、50℃以下において5〜90Vの直
流通電を行うことにより、うすい金色、うすい青色、う
すい水色などの低彩度の発色が可能であることが開示さ
れている。しかし、希望の発色を得るための電解浴の調
整、及び浴管理が難しいという欠点がある。
【0005】また、陽極酸化法は種々の発色が得られる
ものの、着色ムラが生じ易いという欠点がある。この防
止策として、陽極酸化の前処理である酸洗が挙げられる
が、酸洗液(一般に弗酸を含む水溶液を使用する)の濃
度差による明度ムラ、酸洗後の水洗までの間にチタンイ
オンが再析出することに起因する発色ムラが問題となっ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かくして本発明の目的
は、複雑な電解浴の調整及び浴管理を必要としない、陽
極酸化法による高明度・低彩度の色調を有する発色チタ
ン材(純チタン材及びチタン合金材)を提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ブラスト仕上
げによる梨地状のチタン材に陽極酸化処理を施して、高
明度・低彩度の色調を有することを特徴とする発色チタ
ン材である。
【0008】本発明者は、簡易に、陽極酸化法によるう
すい色調の発色チタン材を得るべく、下地の表面粗度と
発色の関係などについて調査・研究を行った。ここで言
う高明度・低彩度の色調とはJISZ8729に記載さ
れているL* * * 表色系において、L* (明度)が
高く、かつC* (彩度)が低いもの、具体的にはL*
45以上でかつC* が5以上35以下である。そして、
この高明度・低彩度の発色を得るにはチタン材の表面粗
度を上げることが重要であることが分かった。本発明者
らは、様々な条件により梨地状の加工を施したチタン材
に陽極酸化処理を施した結果、Gs(45°)が50%
以下であってもRmax が6μm以下のものではうすい色
調の発色は得られず、また、Rmax が6μm以上であっ
てもGs(45°)が50%以上では低彩度の色調の発
色は得られなかった。従って、低彩度の色調の発色を得
るには、Gs(45°)を50%以下、かつRmax を6
μm以上に制御し、素材表面に均一なザラツキ感をもた
せる必要があることが分かった。
【0009】上記の条件を満たす発色チタン材は、一般
的に使用されているダル材に発色を施したものと比較し
ても、同程度のL* でかつC* が3割〜5割のC* にな
ることが確認された。
【0010】この発明は、上記知見によってなされたも
のであって、その要旨とするところは、ブラスト仕上げ
による梨地状であって、Gs(45°)が50%以下、
Rmax が6μm以上の表面粗度を有する材料に陽極酸化
処理を施した高明度・低彩度の色調であることを特徴と
する発色チタン材である。
【0011】
【作用】チタン材の表面状態をブラスト仕上げによる梨
地状であって、Gs(45°)が50%以下、Rmax が
6μm以上に限定した理由について述べる。 (1)Gs(45°)を50%以下に限定した理由 Gs(45°)は発色材の金属光沢に影響を与える。G
s(45°)を低下させることは完全拡散表面に近づけ
ること、すなわち金属光沢を低減させることであるた
め、Gs(45°)が50%以下である発色材のL*
ダル材に発色を施したものL* と同程度の値でありなが
ら金属光沢は低減する。
【0012】(2)Rmax を6μm以上に限定した理由 Rmax は発色材のC* に影響を与える。Rmax を低下さ
せることは、表面に均一なザラツキ感を与えることであ
り、発色材は白みがかった色調になるためC*は低下す
る。Rmax が6μm以上である発色材のC* は、ダル材
に発色を施したものの3〜5割の値となる。
【0013】(3)チタン材の表面仕上げをブラストに
限定した理由 チタン材の表面を梨地状に加工する方法はブラストの他
には酸洗が挙げられるが、酸洗仕上げではRmax を大き
くすることが難しいだけでなくムラ・シミの少ない表面
が得られにくく、また着色皮膜の密着性が劣るという大
きな問題があるため、ブラスト仕上げに限定した。
【0014】本発明により、高明度・低彩度の色調の発
色で、しかも鏡面反射のない発色チタン材が提供でき
る。また、高明度・低彩度の色調の発色を得るためのブ
ラスト仕上げにより、陽極酸化前処理工程の酸洗・水洗
が省略化でき、かつ表面発色状態の揃った発色チタン材
を得ることを可能にした。本発明は電解条件を限定しな
いため、一般的な電解浴である硫酸浴、硫酸−燐酸混合
浴、あるいは硫酸−燐酸−化酸化水素混合浴中で高明度
・低彩度の色調の発色材が得られる。本発明は、従来広
く使用されている硫酸−燐酸混合浴などをそのまま利用
できる上に、酸洗工程を必要としないため、従来技術に
みられるような表面発色状態の相違は生じない。
【0015】
【実施例】本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
試料として、圧延ロール表面にショットを施し、冷間圧
延の際圧延ロールの粗度をチタン材表面に転写したダル
仕上げの純チタン板、およびアルミナ微粉体を投射した
ブラスト仕上げの純チタン板(板厚0.4mm)を80mm
×80mmに切断し、脱脂により清浄化したものを用い
た。
【0016】表1に、浴温20℃〜21℃の10g/リ
ットル硫酸−10g/リットル燐酸浴中で、ダル表面の
純チタン板および種々の条件でアルミナブラスト処理を
施した純チタン板に、自然浸漬状態から、所定電圧で1
分間陽極酸化した後、自然浸漬状態に戻す電圧パターン
で陽極酸化を行い、発色させたチタン材のL* 、C*
示す。この表からGs(45°)が50%以下、Rmax
が6μm以上である梨地状のブラストチタンに於いて高
明度・低彩度の色調の発色が得られることが判る。
【0017】
【表1】
【0018】図1に、Gs(45°)=134.7(表
面ダル)および20.0(表面ブラスト)の純チタン板
について陽極酸化電圧と発色材のC* 、図2にGs(4
5°)=134.7(表面ダル)および20.0(表面
ブラスト)の純チタン板について陽極酸化電圧と発色材
のL* を示す。これらの図から、従来法で作製した発色
チタン材に比較し、本発明法で作製したのものは、どの
陽極酸化電圧に於いても、高明度・低彩度の色調の発色
材が得られることがわかる。以上についてはチタン合金
材に適用しても同様の結果が得られる。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明の高明度・低彩度
の色調の発色チタン材または発色チタン合金材は、建築
材料及びアクセサリー類や装飾品等に最適の素材として
高範囲な利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Gs(45°)=134.7(表面ダル)およ
び20.0(表面ブラスト)の純チタンについて陽極酸
化電圧と発色材のC* をプロットしたものである。
【図2】Gs(45°)=134.7(表面ダル)およ
び20.0(表面ブラスト)の純チタンについて陽極酸
化電圧と発色材のL* をプロットしたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 康雄 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 添田 精一 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面状態がブラスト仕上げによる梨地状
    のチタン材またはチタン合金材であって、入射角45
    °、受光角45°の鏡面光沢度(以下Gs(45°)と
    呼ぶ。)が50%以下、Rmax が6μm以上であるチタ
    ン材またはチタン合金材の表面に、L* (明度)が45
    以上で、かつC* (彩度)が5以上35以下である干渉
    皮膜を形成した高明度・低彩度の色調を有する陽極酸化
    による発色チタン材または発色チタン合金材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011021234A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Nippon Steel Corp 指紋が目立ちにくく、耐疵付き性に優れたカラーチタン製品
JP6440916B1 (ja) * 2018-06-18 2018-12-19 新日鐵住金株式会社 チタン材
WO2024075454A1 (ja) * 2022-10-05 2024-04-11 三恵技研工業株式会社 外装品及びその製造方法

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