JPH06278245A - 低光沢黒色鋼板およびその製造方法 - Google Patents

低光沢黒色鋼板およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学機器等の内部または家電等の外板に用い
て光の反射が殆どなく、一方美的重量感のあるG値が1
〜10、L値が10〜15の低光沢鋼板の提供。 【構成】 Zn−Ni合金めっき鋼板に陽極黒色化電解処理
を施し、フュームドシリカとクロム酸を含有したアクリ
ル樹脂を被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材・家電・自動車等
の分野に適した外観均一で低光沢な黒色化処理鋼板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、表面を黒化処理した鋼板が家電、
複写機、情報通信機、自動車部品、内装建材等にひろく
利用されている。この黒色鋼板の製造方法としては
(1)黒色塗装、(2)化学処理法、(3)黒色クロメ
ート法、(4)陽極処理法、(5)陰極処理法等があ
る。
【0003】中でも、陽極処理法は工業的な製造方法と
して特公昭61−60915 号公報、特公昭63−46158 号公
報、特公昭63−46159 号公報に開示されており、Zn−Ni
合金電気めっきした鋼板を各種水溶液中で陽極酸化処理
して、表面を黒色化するものである。そして、このよう
にして製造された黒色鋼板は、黒色度を安定させるとと
もに着色被膜を保護するため透明な有機樹脂被膜を数μ
m施す。また、耐食性を得るために、樹脂塗布前にクロ
メート処理したり、樹脂中にクロム酸を含有させてい
る。
【0004】しかしながら、従来の有機樹脂被覆施した
黒色鋼板は、樹脂塗布前はその光沢度(JIS Z8741によ
る60°鏡面光沢度で以下G値と言う)が5以下と光の反
射の少ない鋼板であるにもかかわらず、めっきの不均一
や陽極処理の不均一がわずかでもあると、均一美麗な黒
色外観を呈せず、樹脂を約1μm程度その上に塗布する
と、外観が均一美麗にはなるものの光が反射しやすくG
値が20〜35のてかてかした外観を呈する黒色鋼板とな
る。特に、このような黒色化した鋼板を光学機器や複写
機等の装置内部に使用する場合には、単に色が黒いだけ
でなく、光を反射しないことが望ましい。また個人的な
好みにもよるが、光沢のない重厚な外観を好ましいと思
う用途も多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の黒色化鋼板は、
このような要求に十分答えるものではなかった。そこで
本発明は、前記問題点を解決し、G値が1〜10、L値
(CIE着色系)が10〜15の低光沢黒色鋼板およびその
製造方法を提案することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極黒色化電
解処理されたZn−Ni合金めっき鋼板の表面にアクリル樹
脂 100重量部に対し平均一次粒子径7〜40nmのフューム
ドシリカを3〜30重量部とクロム酸 0.2〜1.0 重量部を
含有してなる有機樹脂複合皮膜を 0.5〜2μm厚有し、
G値( JIS Z8741 による60°鏡面光沢度)が1〜10、
L値が10〜15であることを特徴とする低光沢黒色鋼板で
あり、またZn−Ni合金めっき鋼板を陽極電解処理により
黒色化したのち、その表面に、水分散型アクリル樹脂不
揮発分 100重量部に対して、平均一次粒子径が7〜40nm
のフュームドシリカを3〜30重量部とクロム酸を 0.2〜
1.0 重量部添加した溶液を塗布し、到達板温 100〜150
℃で乾燥処理することを特徴とする低光沢黒色鋼板の製
造方法である。
【0007】なお、L値はCIA着色系で測定した値
で、その数値が大きい程、明度が高い即ち明るいことを
示す。また、本発明におけるZn−Ni合金めっきはNiを7
〜20重量%、好ましくは10〜14重量%含有するZn−Ni合
金めっきであり、通常電気めっきによって製造される。
このZn−Ni合金めっき鋼板を陽極処理して黒色化する。
陽極処理は硝酸や塩素酸等の酸化剤を加えた酸性水溶液
中でZn−Niめっき鋼板を陽極として電解処理することに
よって行うもので、通常行われている方法でよい。
【0008】
【作用】本発明は、このようにして得られた黒色化処理
鋼板にアクリル樹脂を主体とする有機樹脂性合皮膜を形
成するが、とりわけ樹脂中にフュームドシリカを添加す
ることにより低光沢な表面性状を達成したことに特徴が
ある。フュームドシリカの平均一次粒子径を7〜40nmに
限定したのは、7nm未満では低光沢化に効果がなく、G
値が10を越えてしまう。また、40nmを越えると水分散性
が悪くなったり、沈降しやすくなるので製造する上で好
ましくない。添加量はベース樹脂固形分 100部に対し3
〜30部である。3部未満では低光沢化に効果がなく、30
部を越えると粘性が増し、扱いが難しくなり樹脂も固く
なり加工成形時に樹脂が剥離するので好ましくない。
【0009】ベース樹脂の水分散型アクリル樹脂は特に
指定されるものではないが、乳化剤が塗装後の耐食性に
悪影響を及ぼさないようあるいは、クロム酸を添加した
場合樹脂が固化したり、膜はりなどの悪影響がないもの
を選ぶ必要がある。本発明ではさらにクロム酸を0.2 〜
1.0 部添加する。0.2 部未満では耐食性が不足し、1.0
部を越えると導電性がなくなりスポット溶接ができなく
なったり、アース性がなくなるなどの不都合が生じるの
で好ましくない。
【0010】以上の組成の溶液を、陽極電解処理後のZn
−Niめっき鋼板上にロールコーター等で塗布し、到達板
温 100〜150 ℃で乾燥する。 100℃未満では乾燥が不充
分で膜がはがれ落ちたりする。また、 150℃超では、樹
脂の劣化が早まるので好ましくない。このような樹脂皮
膜を乾燥膜厚で 0.5〜2μ形成する。 0.5μ未満ではL
値が10未満となり美麗な外観に仕上げるのが難しい。ま
た、2μを越えるとG値が10を越え低光沢を実現できな
くなるので好ましくない。
【0011】なお、本発明でG値を1〜10に限定した理
由は、1未満では外観が美麗な鋼板の実現が困難であ
り、樹脂膜厚を 0.5μ未満の領域で実施しても耐食性が
劣り好ましくないからであり、10超では反射光による光
沢感がでて、黒色の重厚感が失なわれるからである。ま
たL値を10〜15に限定した理由は、10未満では外観が美
麗な鋼板の実現が困難であり、樹脂膜厚を 0.5μ未満の
領域で実施しても耐食性が劣り好ましくないからであ
り、15超では黒色の重厚感が失なわれ、良好な黒色外観
が得られないからである。
【0012】次に実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明する。
【0013】
【実施例】
1.黒色化処理方法 Zn−Ni合金めっき鋼板(付着量20g/m2 、Ni含有率12
%、下地鋼板SPCC相当板厚0.7mm )を用い NaClO3 50g
/l、Na2SO4 100g/l、pH 1.5、50℃の黒化処理液で
75A/dm2 、 150C/dm2 の条件で陽極電解を行い、黒
化させたものを樹脂被覆に供した。因みに樹脂被覆前の
L値=8、G値=0.5 であった。
【0014】2.樹脂被覆方法 水分散型アクリル系樹脂として、日本パーカライジング
(株)製の3966AX(商品名)を使用した。フュームド
シリカは日本アエロジル社製のものを使用した。表1に
実施例および評価方法を示した。
【0015】L値(国際照明委員会CIEによる1976年
のCIELAB表面系による明度指数)、G値は、スガ
試験機製のカラーコンピューターにより測定した。耐食
性は、塩水噴霧試験( JIS Z2371 )により行い、 200
時間後の白錆発生状況により判定した。加工性は、OT
折り曲げ試験後セロハンテープ剥離を行い、樹脂の密着
性により評価した。
【0016】溶接性は、加圧力150kg 、40RのR型Cu−
Cr電極で7.5KA の電流を流したときに、通電されてナゲ
ットとが形成されたが否かにより評価した。なお、耐食
性、溶接性および加工性の評価において、○は良好、△
はやや良好、×は不良である。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明により、光の反射をきらう家電製
品や産業用装置の内板として有用な低光沢鋼板の安定し
た提供が可能となった。また、黒い外観がいかされる、
家電製品や室内外装飾用途にも効果的に用いることがで
きるようになった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極黒色化電解処理されたZn−Ni合金め
    っき鋼板の表面にアクリル樹脂 100重量部に対し平均一
    次粒子径7〜40nmのフュームドシリカを3〜30重量部と
    クロム酸 0.2〜1.0 重量部を含有してなる有機樹脂複合
    皮膜を 0.5〜2μm厚有し、G値( JIS Z8741 による
    60°鏡面光沢度)が1〜10、L値が10〜15であることを
    特徴とする低光沢黒色鋼板。
  2. 【請求項2】 Zn−Ni合金めっき鋼板を陽極電解処理に
    より黒色化したのち、その表面に、水分散型アクリル樹
    脂不揮発分 100重量部に対して、平均一次粒子径が7〜
    40nmのフュームドシリカを3〜30重量部とクロム酸を
    0.2〜1.0 重量部添加した溶液を塗布し、到達板温 100
    〜150 ℃で乾燥処理することを特徴とする低光沢黒色鋼
    板の製造方法。
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