JPH0848657A - N−ビニルアミドの安定化方法 - Google Patents

N−ビニルアミドの安定化方法

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JPH0848657A
JPH0848657A JP12005995A JP12005995A JPH0848657A JP H0848657 A JPH0848657 A JP H0848657A JP 12005995 A JP12005995 A JP 12005995A JP 12005995 A JP12005995 A JP 12005995A JP H0848657 A JPH0848657 A JP H0848657A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 N−ビニルアミドの安定性を高める。 【構成】 N−ビニルアミドにキノン類又はそのアルカ
リ変性物を添加する。 【効果】 N−ビニルアミドにキノン類又はそのアルカ
リ変性物を添加して蒸留すると、重合、分解等による損
失が著しく減少する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はN−ビニルアミドの安定
化方法、特に蒸留に際してのN−ビニルアミドの損失を
防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】N−ビニルアミドは、一般式
【化1】CH2 =CHNHCOR (式中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。)で示
され、N−ビニルカルボン酸アミドあるいはN−ビニル
アシルアミドとも呼ばれている重合性に富む化合物であ
り、単独で重合させるか又は他のビニル化合物と共重合
させて、種々の特性を有する重合物を得ることができ
る。この重合物を加水分解すると、アミド基は1級アミ
ノ基に転換される。
【0003】N−ビニルアミドとしては、通常、N−ビ
ニルホルムアミド及びN−ビニルアセトアミドが用いら
れているが、これらはいずれも熱分解工程を経て製造さ
れている。その代表的な製法の一つは、それぞれ対応す
るN−(α−アルコキシエチル)アミドを熱分解する方
法である。
【0004】N−ビニルアミドは、反応性に富む物質で
あり、容易に分解又は重合する。従って製造過程におい
て、熱分解混合物から蒸留によりN−ビニルアミドを取
得する際には、分解や重合を回避するため、種々の方法
が提案されている(特開昭62−19352、63−2
46659号参照)。また、種々の安定剤を添加して、
N−ビニルアミドの保存や蒸留に際しての安定化を図る
ことも提案されている(特開昭61−289068、特
開平2−270846、特開平6−122660参
照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来知
られているこれらの安定化方法は、未だ必ずしも満足す
べきものではない。従って、本発明はN−ビニルアミド
の安定化方法、特に蒸留に際してN−ビニルホルムアミ
ドの損失を防止し、精製されたN−ビニルアミドを取得
する方法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、N−ビ
ニルアミドにキノン類又はそのアルカリ変性物を添加す
ることにより、N−ビニルアミドの安定性を著しく向上
させることができる。本発明について詳細に説明する
に、本発明で安定化の対象とするN−ビニルアミドは粗
製品であっても精製品であってもよい。すなわち、本発
明で用いる安定剤は、N−ビニルアミドの製造工程にお
いて、熱分解工程から得られた蒸留精製前のN−ビニル
アミドに添加して、該安定剤の存在下で蒸留することに
より、その蒸留工程における安定化を図ることができ
る。また、精製されたN−ビニルアミドに添加して、保
管及び輸送時の安定性を高めることができる。
【0007】本発明で添加する安定剤は、キノン類又は
そのアルカリ変性物である。アルカリ変性物とは、キノ
ン類の溶液をアルカリ性にしたときに生成するもので、
その詳細は不明であるが、非揮発性であってキノン類の
重合物と推定される。このアルカリ変性物は、キノン類
をメタノールなどの溶媒に溶解して溶液とし、これに1
-3モル/l程度の極く少量の苛性ソーダ又は苛性カリ
を添加して室温に放置すると、数十分〜数時間で容易に
生成する。キノン類がアルカリ変性物に変化したこと
は、溶液を液体クロマトグラフィーで分析してもキノン
類が検出されなくなるので容易に確認することができ
る。また、この溶液をガスクロマトグラフィーで分析し
てもキノン類及びその分解生成物と思われるものは検出
されないので、キノン類は重合して高沸点の重合物にな
っているものと推定される。キノン類のアルカリ変性物
は、予じめ調製したものをN−ビニルアミドに添加して
もよく、また、アルカリ性のN−ビニルアミドにキノン
類を添加して、N−ビニルアミド中でアルカリ変性物を
生成させてもよい。このようにN−ビニルアミド中でア
ルカリ変性物を生成させる場合には、N−ビニルアミド
はpH8以上であることが好ましく、一般にアルカリ性
が大きい方がアルカリ変性物の生成が早い。なお、N−
ビニルアミドのpHは、N−ビニルアミド1容量部を5
容量部の水に溶解して測定するものとする。
【0008】キノン類は、芳香族炭化水素の環のCH原
子団2つをCO原子団に変え、さらに二重結合をキノイ
ド構造にするのに必要なだけ動かしてできたジケトン化
合物である。キノン類の化合物としては、p−ベンゾキ
ノン、o−ベンゾキノンなどのベンゾキノン類や、ナフ
トキノン類、アントラキノン類が例示される。これらの
キノン類化合物の環には置換基を有していてもよく、該
置換基としては水酸基や炭素数1〜4程度のアルキル
基、アルコキシアルキル基などが挙げられる。具体的な
化合物としてはメチル−p−ベンゾキノン、4−o−ト
ルキノン、o−キシロキノン、p−キシロキノン、m−
キシロキノン、4,5−キシロ−o−キノン、メトキシ
−p−ベンゾキノン、ジフェノキノンなどが例示され
る。以上のキノン類においては、好ましくはベンゾキノ
ン類、特に好ましくはp−ベンゾキノンである。
【0009】また、予じめキノン類のアルカリ変性物を
調製する場合には、メタノール、エタノール、水、トル
エン、ベンゼン、ホルムアミドなどにキノン類を溶解
し、かつN−ビニルアミドとの蒸留分離が容易な溶媒
に、キノン類を5〜150g/lとなるように溶解し、
これに苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ソーダ、重炭酸ソー
ダ等のアルカリを添加して、室温ないし加温下に撹拌す
ればよい。アルカリの添加量は10-4〜10-2モル/l
程度で十分である。
【0010】N−ビニルアミドに対するキノン類の添加
量は通常50〜10000ppm、好ましくは100〜
5000ppmである。添加量が少ないと十分な効果が
奏されない。逆に添加量が多すぎても、安定化効果は飽
和してしまうので無意味であるばかりでなく、場合によ
ってはN−ビニルアミドの使用に悪影響を及ぼすことが
ある。キノン類のアルカリ変性物を添加する場合には、
変性前のキノン類として上記の量になるように添加すれ
ばよい。
【0011】N−ビニルアミドの安定化の点では、キノ
ン類及びそのアルカリ変性物のいずれもが有効である
が、通常はアルカリ変性物を用いるのが好ましい。何故
ならば、キノン類は一般には重合禁止剤として作用する
ので、これで安定化したN−ビニルアミドは使用前に蒸
留してキノン類を除去するのが望ましい。しかし、キノ
ン類は比較的蒸気圧が高いので、蒸留に際してN−ビニ
ルアミドと一緒に留出するおそれがある。一方、キノン
類のアルカリ変性物は不揮発性であり、蒸留により容易
にN−ビニルアミドから除去できる。
【0012】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に
おいてmeqはミリ当量(10-3当量)を表わす。ま
た、分解率及びポリマー生成量は下記により算出した。 分解率(%):加熱前後のN−ビニルアミド濃度を液体
クロマトグラフィーにより分析し、(加熱前の濃度−加
熱後の濃度)/加熱前の濃度×100で表示した。 ポリマー生成量(ppm):加熱後の液50gにアセト
ン250gを添加し、析出した不溶物を0.5ミクロン
のテフロン製フィルターで濾取する。これを60℃で恒
量になるまで減圧乾燥し、(不溶物の乾燥重量/50)
×106 で表示した。
【0013】〔実施例1〜3及び比較例1〜10〕N−
(α−メトキシエチル)ホルムアミドの熱分解生成液か
らメタノールの大部分を減圧蒸留により留去して得た粗
N−ビニルホルムアミド(N−ビニルホルムアミド92
%、ホルムアミド4.2%、その他有機物3.8%)
に、表−1に示す試薬を添加した。これを常圧、窒素シ
ール下、110℃で1時間加熱した。結果を表−1に示
す。
【0014】
【表1】
【0015】〔実施例4〕p−ベンゾキノン(パラベン
ゾキノン)をメタノールに5%濃度となるように溶解し
た。この溶液に苛性ソーダを20meq/kgとなるよ
うに添加し、20℃で3時間撹拌した。液体クロマトグ
ラフィーで分析したところ、p−ベンゾキノンは検出さ
れず(検出下限50ppm)、すべてアルカリ変性物に
転換されていた。
【0016】実施例1と同じ粗N−ビニルホルムアミド
に、上記で得たp−ベンゾキノンのアルカリ変性物をp
−ベンゾキノンとして3000ppmとなるように添加
した。この粗N−ビニルホルムアミドを5torrの減
圧下に浴温110℃で単蒸留し、N−ビニルホルムアミ
ドの90%を留出させた。留出したN−ビニルホルムア
ミドを液体クロマトグラフィーにより分析したが、p−
ベンゾキノンは検出されなかった。これに対し、アルカ
リ変性物の代りにp−ベンゾキノンを3000ppmと
なるように添加して直ちに蒸留すると、留出したN−ビ
ニルホルムアミド中には1550ppmのp−ベンゾキ
ノンが含まれていた。
【0017】〔実施例5〕実施例1と同じ粗N−ビニル
ホルムアミドに、p−ベンゾキノンを5%濃度となるよ
うに溶解した。これに苛性ソーダを50meq/kgと
なるように添加し、10℃で1時間撹拌した。その後、
液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−ベンゾ
キノンは検出されず、すべてアルカリ変性物に転換され
ていた。上記の溶液を5torrの減圧下に浴温110
℃で単蒸留し、N−ビニルホルムアミドの90%を留出
させた。留出したN−ビニルホルムアミド中にp−ベン
ゾキノンは検出されなかった。
【0018】〔実施例6〕実施例1と同じ粗N−ビニル
ホルムアミドに、p−ベンゾキノンの代りに実施例4又
は5で調製したp−ベンゾキノンのアルカリ変性物を添
加した以外は、実施例1と全く同様にして熱安定性試験
を行なった。その結果、分解率及びポリマー生成量とも
にp−ベンゾキノンを添加した場合と有意差は認められ
なかった。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、N−ビニルアミドにキ
ノン類又はそのアルカリ変性物を添加するだけで、N−
ビニルアミドの安定性を著しく向上させることができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 西田 裕一 北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱 化学株式会社黒崎開発研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−ビニルアミドにキノン類又はそのア
    ルカリ変性物を添加することを特徴とするN−ビニルア
    ミドの安定化方法。
  2. 【請求項2】 N−ビニルアミドにキノン類又はそのア
    ルカリ変性物をキノン類に換算して50〜10000p
    pm添加することを特徴とする請求項1の安定化方法。
  3. 【請求項3】 N−ビニルアミドがN−ビニルホルムア
    ミドであることを特徴とする請求項1の安定化方法。
  4. 【請求項4】 キノン類がベンゾキノン類であることを
    特徴とする請求項1の安定化方法。
  5. 【請求項5】 キノン類がp−ベンゾキノンであること
    を特徴とする請求項1の安定化方法。
  6. 【請求項6】 N−ビニルアミドをキノン類のアルカリ
    変性物の存在下で蒸留することを特徴とするN−ビニル
    アミドの精製方法。
  7. 【請求項7】 N−ビニルアミドにキノン類のアルカリ
    変性物を添加して蒸留することを特徴とする請求項6の
    精製方法。
  8. 【請求項8】 アルカリ性のN−ビニルアミドにキノン
    類を添加し、キノン類を不揮発性物に変化させた後に蒸
    留することを特徴とする請求項6の精製方法。
  9. 【請求項9】 キノン類のアルカリ変性物の存在量がキ
    ノン類に換算して50〜10000ppmであることを
    特徴とする請求項6の精製方法。
  10. 【請求項10】 N−ビニルアミドがN−ビニルホルム
    アミドであることを特徴とする請求項6の精製方法。
  11. 【請求項11】 キノン類がベンゾキノン類であること
    を特徴とする請求項6の精製方法。
  12. 【請求項12】 キノン類がp−ベンゾキノンであるこ
    とを特徴とする請求項6の精製方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09249627A (ja) * 1996-03-11 1997-09-22 Mitsubishi Chem Corp N−ビニルカルボン酸アミドの安定化方法
US5959148A (en) * 1996-04-01 1999-09-28 Mitsubishi Chemical Corporation Purification process of N-vinylformamide
CN1070831C (zh) * 1996-03-09 2001-09-12 Basf公司 稳定的单体组合物
WO2021117609A1 (ja) * 2019-12-12 2021-06-17 昭和電工株式会社 N-ビニルアセトアミド含有組成物およびその製造方法

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