JPH0845644A - コロナ放電用電極および静電気除去装置 - Google Patents

コロナ放電用電極および静電気除去装置

Info

Publication number
JPH0845644A
JPH0845644A JP17711494A JP17711494A JPH0845644A JP H0845644 A JPH0845644 A JP H0845644A JP 17711494 A JP17711494 A JP 17711494A JP 17711494 A JP17711494 A JP 17711494A JP H0845644 A JPH0845644 A JP H0845644A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
wire
corona discharge
gold
platinum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17711494A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Aoyama
斉 青山
Kozo Yasuda
興造 安田
Kazuya Tsujimoto
和也 辻本
Hideaki Baba
英昭 馬場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP17711494A priority Critical patent/JPH0845644A/ja
Publication of JPH0845644A publication Critical patent/JPH0845644A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Elimination Of Static Electricity (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】電極表面への付着物が少なく、また電極からの
発塵が少なく、耐食性および寿命特性に優れたコロナ放
電用電極および静電気除去装置を提供する。 【構成】白金クラッド高融点金属線8aまたはニッケル
−クロム系耐熱耐食合金線8bの表面に金から成る所定
厚さの被覆層9を一体に形成したことを特徴とする。ま
た金から成る被覆層9の厚さは0.1〜3μmの範囲に
設定するとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電気除去装置,空気清
浄機等に用いられるワイヤー状のコロナ放電用電極に係
り、特に電極表面への付着物が少なく、また電極からの
発塵が少なく長寿命なコロナ放電用電極および静電気除
去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超微細に集積化された半導体装置等のパ
ーツフィーダ設備,アッセンブリ・検査設備等は、空気
中の塵埃,微生物量,圧力,温度,湿度,静電気量を一
定の範囲に制御したクリーンルームに配置されている。
特に加工対象品および加工設備の稼動に伴って不可避的
に発生する静電気による製品の表面汚染,静電放電(E
SD)による損傷,自動搬送機の誤動作等を防止するた
め、上記クリーンルーム内には、例えば図4に示すよう
な空気清浄機や静電気除去装置1が装備されている。
【0003】この静電気除去装置1は、フィルター2
と、+放電側電極(正極)となるアルミニウム電極3と
の間に−放電側電極(負極)となるワイヤー状のコロナ
放電用電極4を張設して構成され、この装置1は除電対
象物5に対向するように設けられる。そして、アルミニ
ウム電極3とコロナ放電用電極4との間に2〜8KV程
度の高電圧を印加することよってコロナ放電が生じ、空
気をイオン化せしめ、イオン化空気を空気流によって除
電対象物5方向に誘導し、除電対象物5の帯電部を上記
イオン化空気によって電気的に中和し除電するものであ
る。
【0004】空気清浄機においては、+放電側電極とし
てコロナ放電用電極を使用する一方、−放電側電極とし
てアルミニウム電極を使用し、両電極間に高電圧を印加
してコロナ放電を生じ、発生した正イオンシャワーを空
気中の塵芥に浴びせて塵芥を+に帯電せしめ、+帯電し
た塵芥を−放電側電極(負極)であるアルミニウム電極
に電界吸着せしめて空気が清浄化される。なお空気中に
含有される塵芥には+に帯電され易いものと−に帯電さ
れ易いものがあり、その両者を排除するために、両電極
間に交流電圧を印加し、正負イオンを交互に発生させ
て、それぞれの塵芥を帯電せしめ、対向する収塵電極に
回収する方式も採用されている。
【0005】上記のような空気清浄機や静電気除去装置
のコロナ放電用電極を構成する材料としては、耐熱性,
耐溶融性,機械的強度の観点から従来、酸化タングステ
ン線や金めっきタングステン線,白金クラッドタングス
テン線などの金属線材が採用されていた。上記タングテ
ンを主材とする電極はコスト的に安価であり、経済性が
優れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記酸化
タングステン線製のコロナ放電用電極を使用した静電気
除去装置においては、高湿度雰囲気中で電極の酸化が急
激に進行し易く、酸化による欠陥部が発生したり、コロ
ナ放電を起こすために印加する高電圧によって、電極表
面に放電生成物が付着し放電効率が低下し易い欠点があ
る。またこの放電生成物の付着により異常放電が起こり
易くなり、電極の腐食が急速に進行して電極が破断した
り短寿命になるという問題があった。
【0007】一方、金めっきタングステン線で形成した
電極は、酸化タングステン線で形成した電極と比較して
耐酸化性に優れ長寿命であるが、タングステン素地に対
する金めっき層の密着性が低い難点があり、密着性が低
下した部分において異常放電が起こり易くなり、空気清
浄機や静電気除去装置の寿命が短かくなり、また金めっ
き層の剥離による発塵の問題が生じていた。
【0008】また白金クラッドタングステン線で形成し
た電極では、白金とタングステンとの密着性が良好であ
り、また白金によって優れた耐食性が発揮される。特に
白金クラッドタングステン線で形成した電極を、コロナ
放電の+帯電側電極として使用した場合には、金めっき
タングステン製の電極よりも優れた寿命特性を示す。一
般に+帯電側電極においては酸素イオンによる電極表面
の腐食が起こり易いが、白金層の耐食作用により腐食が
効果的に抑制されるものと考えられる。
【0009】ところが、上記白金クラッドタングステン
製電極を−帯電側電極や交流印加用電極として使用した
場合には、金めっきタングステン製電極を使用した場合
より、寿命が短かくなるという知見を得た。この理由は
以下のように考えられる。すなわち−帯電側電極および
交流電圧印加用電極においては、水素イオンによる腐食
が進み易く、白金が水素脆化することにより電極の寿命
が短かくなるためと考えられる。
【0010】一方、半導体製造装置などの超微細化製品
を取り扱うクリーンルームに配備される静電気除去装置
に対しては、稼動中に塵埃などが発生することが極力少
ないことが要求されている。しかしながら上記従来の酸
化タングステン製等のコロナ放電用電極においては、電
極の腐食や異常放電による温度上昇で、各電極の金属成
分が蒸発しダスト(塵埃)となってクリーンルーム中に
浮遊し、製品に付着して悪影響を及ぼすという問題点が
あった。
【0011】上記のような従来のワイヤー状のコロナ放
電用電極を空気清浄機や静電気除去装置の正極や負極に
使用した場合における問題点は、正極および負極の双方
において発生する問題であるが、前記の通り、特に負極
用のコロナ放電用電極において顕著となる。したがっ
て、負極の寿命がコロナ放電用電極全体、ひいては空気
清浄機や静電気除去装置全体としてのメンテナンス時間
を支配することになり、さらに装置全体の寿命を規定す
るという問題点があり、コロナ放電用電極として、より
安定した寿命を有する材料が望まれていた。
【0012】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、電極表面への付着物が少なく、また電
極からの発塵が少なく、耐食性および寿命特性に優れた
コロナ放電用電極および静電気除去装置を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために、材料組成および構造を種々変えて多種
類のコロナ放電用電極を調製し、その材料組成や構造
が、電極の耐食性,発塵性,放電安定性,寿命に及ぼす
影響を比較研究した。その結果、白金クラッド高融点金
属線またはニッケル−クロム系耐熱耐食合金の表面に金
めっき層を一体に形成したときに、上記各要求特性を満
足するコロナ放電用電極が初めて得られ、さらに優れた
寿命特性を有する空気清浄機や静電気除去装置が初めて
得られるという知見を得た。特に白金クラッド高融点金
属線表面に金めっき層を一体に形成した後に、電極を温
度600℃程度に加熱することにより、白金と金とが部
分的に合金相を形成し両者の密着強度が高まると同時
に、上記合金相では水素成分が透過しにくくなり、水素
脆化が効果的に防止できることが判明した。したがっ
て、特にマイナス帯電側電極として優れた耐性を有する
電極が得られるという知見を得た。本発明は上記知見に
基づいて完成されたものである。
【0014】すなわち本発明に係るコロナ放電用電極
は、白金クラッド高融点金属線またはニッケル−クロム
系耐熱耐食合金線の表面に金から成る所定厚さの被覆層
を一体に形成したことを特徴とする。
【0015】ここで、上記白金クラッド高融点金属線に
用いられる高融点金属としては、タングテン(W),モ
リブデン(Mo)などの各種高融点金属、またはその合
金が使用される。またニッケル−クロム系耐熱耐食合金
線は、インコネルX−750合金,インコネル718合
金,インコネル625合金の少なくとも1種から構成す
るとよい。
【0016】さらに金から成る被覆層の厚さを0.1〜
3μmの範囲に設定するとよい。
【0017】ここで上記白金クラッド高融点金属線とし
ては、高融点金属芯線の外周面に10〜40重量%の割
合で白金を一体に接合したものを使用するとよい。クラ
ッド材としての白金層の厚さは1〜10μm程度とす
る。白色層のクラッド割合が10重量%未満の場合には
電極の耐食耐酸化性が不充分となる一方、クラッド割合
が40重量%以上となると、製造工程が煩雑化する。
【0018】上記白金クラッド高融点金属線は、例えば
下記のように製造される。すなわち、合せ材としての純
度99.96%程度の純白金製のスリーブを高融点金属
芯線に被せ密着させることにより複合成形体とし、得ら
れた複合成形体を線引き法や転打法によって減面加工し
て合せ材としての白金を高融点金属芯線に一体に接合し
て製造される。また上記白金層を厚めっき法により形成
してもよい。なお本発明におけるクラッド線には、めっ
き法によって芯線表面に他の金属層等を形成したものも
含む。しかしながら、線引き法により製造することによ
り、転打法やめっき法と比較して、合せ材としての白金
の高融点金属芯線に対する被覆性および密着性に優れた
Ptクラッド高融点金属線が得られる。
【0019】次に、ニッケル−クロム系耐熱耐食合金と
しては、良導電体であり耐熱耐食性に優れたものであれ
ば何ら限定されるものではないが、例えば、インコネル
X−750合金,インコネルX−718合金,インコネ
ルX−625合金などの公知のニッケル−クロム系耐熱
耐食合金が採用可能である。より具体的組成の一例を示
すならば、インコネルX−750合金としてはNi−1
5重量%Cr−7重量%Fe−2.5重量%Ti−0.
75重量%Al−0.99重量%Nb−0.7重量%M
n−0.3重量%Si−0.02重量%Cなどであり、
インコネルX−718合金としてはFe−52.5〜5
3.2重量%Ni−18.7〜19重量%Cr−5.2
重量%(Nb+Ta)−3重量%Mo−0.8〜1.9
重量%Ti−0.04〜0.05重量%C−0.15〜
0.2重量%Si−0.1〜0.2重量%Mnなどであ
り、インコネルX−625合金としてはNi(+Co)
−21.5重量%Cr−3.5重量%Fe−8.5重量
%Mo−3.5重量%(Nb+Ta)−0.03重量%
C−0.2重量%Mn−0.3重量%Siなどがある。
【0020】上記各種材料は、単体での使用に限らず、
各種材料を複合化した材料の使用も可能である。
【0021】上記芯材(基材)となるPtクラッド線や
ニッケル−クロム系耐熱耐食合金線は、耐熱耐食性に優
れている上に、後述する金から成る被覆層との密着性が
良好であり、剥離や発塵のおそれが少なく耐食性に優れ
たコロナ放電用電極を作成するための芯材となる。上記
Ptクラッド高融点金属線およびNi−Cr系耐熱耐食
合金線の直径は、用途に応じて50μm〜6mm程度の任
意の大きさに設定される。
【0022】そして上記Ptクラッド高融点金属線やN
i−Cr系耐熱耐食合金の表面に金から成る所定厚さの
被覆層を一体に形成して本発明に係るコロナ放電用電極
が形成される。金から成る被覆層は、上記芯材に対して
高い密着性を有し、その剥離による発塵が効果的に防止
できる上に、それらの優れた耐食性を電極に付与するこ
とができる。さらに、金から成る被覆層はPtと合金化
し易く両者間の密着強度を高める上で極めて有効である
とともに、PtとAuとが合金化することにより、合金
部への水素イオンの侵入や透過を困難にする効果があ
る。したがって電極の水素脆化が効果的に抑止され、特
にマイナス帯電側電極の寿命の増大化を図ることが可能
となる。
【0023】上記金から成る被覆層は、例えば電解めっ
き法等を使用して厚さ0.1〜3μm程度の範囲で形成
される。被覆層の厚さが0.1μm未満の場合は、電極
に充分な耐食性を付与することが困難である一方、厚さ
が3μmを超えるように形成しても、耐食性の改善効果
の増加が少ない上に、めっきなどの処理時間やコストが
増大して不利になる。したがって、金から成る被覆層の
厚さは0.1〜3μmの範囲に設定される。好ましい厚
さは0.2〜2μmの範囲であり、さらに好ましい厚さ
は0.5〜1μmである。
【0024】なお前記インコネル材料に対する金の密着
強度は、従来材であるW材料に対する密着強度と比較し
て高いため、被覆層を芯材に対してより強固に接合で
き、被覆層の剥離による発塵をより効果的に防止するこ
とができる。さらに被覆層(金めっき層)により芯材の
耐食性がさらに改善され、腐食による電極の損傷をより
効果的に防止できる。
【0025】なお上記芯材に被覆層を一体に形成して製
造した2〜3層構造の電極の耐水素脆性、さらには被覆
層(金めっき層)の密着度を高めるために、得られた伸
線を温度400〜700℃で1〜2時間熱処理するとよ
い。この熱処理により芯材と被覆層との密着強度が高ま
ると同時に、芯材としてPtクラッド高融点金属線を使
用した場合に、PtとAuとが部分的に合金化し、水素
イオンが侵入しにくい合金相が形成されるため、電極の
水素脆化が効果的に防止される。したがって、このPt
とAuとが合金化したコロナ放電用電極を、本来水素脆
化が生じ易く一帯電側電極や交流帯電電極として使用し
た場合に、特に寿命改善効果が顕著になる。
【0026】そして、本発明においては、空気清浄機や
静電気除去装置等に使用される正極および負極として上
記コロナ放電用電極を少なくとも一対配置することによ
り、優れた特性を有する静電気除去装置等を得ることが
可能となる。
【0027】本発明のコロナ放電用電極は、上記静電気
除去装置等の正極および負極のいずれに使用した場合に
おいても優れた特性を得ることができるが、特に本発明
のコロナ放電用電極を負極に用いることにより、従来の
コロナ放電用電極を使用した静電気除去装置等に比較し
優れた特性を得ることができる。
【0028】すなわち、従来のコロナ放電用電極におい
ては、正極と比較し負極の特性の低下が著しく、この負
極の寿命がコロナ放電用電極、ひいては空気清浄機や静
電気除去装置として必要なメンテナンスの時間を支配し
ていた。このため、本発明のコロナ放電用電極を、少な
くとも静電気除去装置の負極に配置することにより優れ
た特性を得ることができるのである。ここで、正極およ
び負極の双方に本発明にコロナ放電用電極を用いること
により、さらに優れた特性を得ることができることは容
易に理解できる。
【0029】
【作用】上記構成に係るコロナ放電用電極によれば、化
学的安定性に優れ、かつ放電生成物が付着しにくい耐熱
耐食金属材料である白金クラッド高融点金属線またはニ
ッケル−クロム系耐熱耐食合金線の表面に、金から成る
被覆層を高い密着強度で一体に形成して構成しているた
め、コロナ放電を起こすための過酷な使用条件下におい
ても優れた耐食性を示すとともに長期に亘って安定した
放電特性を得ることができる。また耐食性が優れ異常放
電が少ないため、発塵のおそれが少なく、製品を汚染す
ることが少ない長寿命のコロナ放電用電極が得られる。
【0030】特に芯材として白金クラッド高融点金属線
を使用し、その表面に金から成る被覆層を一体に形成し
た電極においては、白金と金とが部分的に合金化してお
り、水素イオンが侵入しにくい合金相が形成されるた
め、水素脆化が生じ易い負極用電極として使用した場合
に優れた寿命特性が発揮される。
【0031】本発明のコロナ放電用電極を用いた静電気
除去装置の正極および負極のコロナ放電電極の形状とし
ては、いずれにもワイヤー状のコロナ放電電極を用いて
も良いが、一方を板状などの異なる形状のコロナ放電電
極とし、本発明とは異なる電極材料を使用しても良い。
さらに、電源に関しても、直流,交流いずれの使用も可
能であり、使用条件に応じて適宜選択することができ
る。
【0032】
【実施例】次に本発明の実施例について添付図面を参照
してより具体的に説明する。
【0033】実施例1〜4 高融点金属線として直径2.5mm,長さ2000mmのタ
ングステン(W)線材を砥石内に挿通して、線材表面を
削り取るセンタレス加工を実施して直径2.0mm,長さ
2000mmのタングステン線を形成した。このセンタレ
ス加工によりW線材表面に付着していた潤滑剤や酸化物
等を除去するとともに線材表面を平滑化した。次に得ら
れたW線に純度99.96%の白金(Pt)で形成した
スリーブを被着して、複合成形体を形成した。なお複合
成形体の全重量に対する白金スリーブの重量割合(クラ
ッド率)は表1に示すように、15または30%とし
た、さらに得られた複合成形体を線引き加工することに
より、合せ材としてのPtを芯材としてのW線に一体に
接合して外径80〜81μmのPtクラッドW線をそれ
ぞれ調製した。次に得られた各PtクラッドW線表面に
電解めっき法を使用してそれぞれ厚さ0.5μm,1.
0μmの金から成る被覆層(めっき層)を一体に形成し
てそれぞれ実施例1〜4に係る直径82μmのワイヤー
状コロナ放電用電極E1〜E4を多数製造した。これら
電極E1〜E4は、図1に示すように、W線6の表面に
Ptクラッド層7を形成した芯材8aの表面に、厚さ
0.5〜1.0μmの金から成る被覆層9を一体に形成
した3層構造を有する。
【0034】実施例5〜10 表1に示すように各種Ni−Cr系耐熱耐食合金素材を
芯材とし、その表面に電解めっき法を使用して厚さ0.
5〜1.0μmの金から成る被覆層9を一体に形成し
て、それぞれ実施例5〜10に係る直径82μmのワイ
ヤー状のコロナ用電極E5〜E10を多数製造した。こ
れら電極E5〜E10は、図2に示すように、Ni−C
r系耐熱耐食合金素材から成る芯材8b表面に被覆層
(金めっき層)9を一体に形成した2層構造を有する。
なお実施例5〜6における耐熱耐食合金素材(芯材)と
しては、Ni−15Cr−7Fe−2.5Ti−0.7
5Al−0.90Nb−0.70Mn−0.30Si−
0.02Cなる組成を有するインコネルX−750相当
材を使用した。また実施例7〜8における耐熱耐食合金
素材(芯材)としては、Fe−53.2Ni−18.7
Cr−5.2Nb−3.0Mo−0.55Al−1.0
Ti−0.05C−0.15Si−0.1Mnなる組成
を有するインコネル718相当材を使用した。さらに実
施例9〜10における合金素材(芯材)としては、Ni
−21.5Cr−3.5Fe−8.5Mo−3.5Nb
−0.03C−0.2Mn−0.3Siなる組成を有す
るインコネル625相当材を使用した。
【0035】比較例1 図3に示すように、直径82μmの酸化Wの伸線10の
みで形成した比較例1に係るワイヤー状コロナ放電用電
極e1を多数製造した。
【0036】比較例2〜3 直径がそれぞれ81.4μm,80μmのW伸線表面
に、厚さが0.3μm,1.0μmの被覆層(金めっき
層)を一体に形成して最終的に直径が82μmである従
来の金めっきW線から成る比較例2〜3に係るワイヤー
状コロナ放電用電極e2,e3をそれぞれ多数製造し
た。
【0037】比較例4 被覆層(金めっき層)を形成しない点以外は実施例1〜
2と同一条件で処理して最終的に直径が82μmである
従来のPtクラッドW線から成る比較例4に係るワイヤ
ー状コロナ放電用電極e4をそれぞれ多数製造した。
【0038】比較例5〜7 被覆層(金めっき層)を形成しない点以外は実施例5〜
10と同一条件で処理して最終的に直径が82μmであ
るNi−Cr系耐熱耐食合金線のみから成る比較例5〜
7に係るワイヤー状コロナ放電用電極e5〜e7をそれ
ぞれ多数製造した。
【0039】こうして得られた実施例1〜10および比
較例1〜7に係る各コロナ放電用電極の寿命特性,発塵
性等を評価するために、製造した各電極を静電気除去装
置の正極(+)放電側および負極(−)放電側の電極と
して組み込み、下記の条件で強制試験を行なった。この
強制試験において、正極および負極の各々の電極の特性
を評価するために、一方の電極の強制試験の場合には他
方の電極は板状の電極として試験時における特性変化が
生じないようにした。すなわち上記静電気除去装置を温
度0℃の大気中に配置し、両電極間に直流7KVの高電
圧を印加し、電極間を流れるコロナ電流が15μAから
5μAにまで低下するまでの静電気除去装置の延運転時
間を測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜10に係るコロナ放電用電極は、従来の電極であ
る比較例1〜7と比較して優れた寿命特性を発揮するこ
とが判明した。特に芯材としてPtクラッドW線を使用
し、その芯材表面に金(Au)から成る被覆層を一体に
形成した実施例1〜4に係る電極においては、従来の酸
化タングステン製電極(比較例1)と比較して10〜3
0倍と極めて長い寿命を有し、また従来の金めっきW線
製電極(比較例2〜3)と比較して3〜10倍と寿命が
大幅に改善されることが判明した。
【0042】また実施例1〜10に係る電極において
は、被覆層(金めっき層)との密着強度が大きいため、
被覆層の剥離に起因する発塵についても、各比較例の電
極と比較して少なく良好な特性を有することが確認でき
た。
【0043】さらに、従来の電極においては正極放電側
に比較して負極放電側の特性低下が大きいため、負極放
電側に本発明のコロナ放電用電極を用いるとともに、正
極放電側は従来のコロナ放電用電極を使用した場合にお
いても、装置全体としては従来と比較して優れた特性を
有する静電気除去装置を得ることができた。
【0044】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係るコロナ放電
用電極によれば、化学的安定性に優れ、かつ放電生成物
が付着しにくい耐熱耐食金属材料である白金クラッド高
融点金属線またはニッケル−クロム系耐熱耐食合金線の
表面に、金から成る被覆層を高い密着強度で一体に形成
して構成されているため、コロナ放電を起こすための過
酷な使用条件下においても優れた耐食性を示すとともに
長期に亘って安定した放電特性を得ることができる。ま
た耐食性が優れ異常放電が少ないため、発塵のおそれが
少なく、製品を汚染することが少ない長寿命のコロナ放
電用電極が得られる。
【0045】特に芯材として白金クラッド高融点金属線
を使用し、その表面に金から成る被覆層を一体に形成し
た電極においては、白金と金とが部分的に合金化してお
り、水素イオンが侵入しにくい合金相が形成されるた
め、水素脆化が生じ易い負極用電極として使用した場合
に優れた寿命特性が発揮される。
【0046】本発明のコロナ放電用電極を用いた静電気
除去装置の正極および負極のコロナ放電電極の形状とし
ては、いずれにもワイヤー状のコロナ放電電極を用いて
も良いが、一方を板状などの異なる形状のコロナ放電電
極とし、本発明とは異なる電極材料を使用しても良い。
さらに、電源に関しても、直流,交流いずれの使用も可
能であり、使用条件に応じて適宜選択することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコロナ放電用電極の一実施例を示
す断面図。
【図2】本発明に係るコロナ放電用電極の他の実施例を
示す断面図。
【図3】従来のコロナ放電用電極の構成例を示す断面
図。
【図4】静電気除去装置の構成を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1 静電気除去装置 2 フィルター 3 アルミニウム電極 4 ワイヤー状コロナ放電用電極 5 除電対象物(ワーク) 6 W線 7 Ptクラッド層 8a,8b 芯材 9 被覆層(金めっき層) 10 酸化W線 E1〜E10,e1〜e7 コロナ放電用電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 英昭 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金クラッド高融点金属線またはニッケ
    ル−クロム系耐熱耐食合金線の表面に金から成る所定厚
    さの被覆層を一体に形成したことを特徴とするコロナ放
    電用電極。
  2. 【請求項2】 金から成る被覆層の厚さが0.1〜3μ
    mであることを特徴とする請求項1記載のコロナ放電用
    電極。
  3. 【請求項3】 請求項1および請求項2記載のコロナ放
    電用電極を正極および負極として少なくとも一対配置し
    てなることを特徴とする静電気除去装置。
  4. 【請求項4】 請求項1および請求項2記載のコロナ放
    電用電極を負極に配置してなることを特徴とする請求項
    3記載の静電気除去装置。
JP17711494A 1994-07-28 1994-07-28 コロナ放電用電極および静電気除去装置 Pending JPH0845644A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17711494A JPH0845644A (ja) 1994-07-28 1994-07-28 コロナ放電用電極および静電気除去装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17711494A JPH0845644A (ja) 1994-07-28 1994-07-28 コロナ放電用電極および静電気除去装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0845644A true JPH0845644A (ja) 1996-02-16

Family

ID=16025410

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17711494A Pending JPH0845644A (ja) 1994-07-28 1994-07-28 コロナ放電用電極および静電気除去装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0845644A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010032532A (ja) * 2002-07-17 2010-02-12 Sigma Aldrich Co 容器内の液体レベルを監視するための方法および装置
KR20160023802A (ko) * 2013-06-21 2016-03-03 스미스 디텍션 몬트리올 인코포레이티드 코팅된 코로나 이온화 소스를 위한 방법 및 디바이스

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010032532A (ja) * 2002-07-17 2010-02-12 Sigma Aldrich Co 容器内の液体レベルを監視するための方法および装置
KR20160023802A (ko) * 2013-06-21 2016-03-03 스미스 디텍션 몬트리올 인코포레이티드 코팅된 코로나 이온화 소스를 위한 방법 및 디바이스

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3727069B2 (ja) 錫被覆電気コネクタ
DE2732491A1 (de) Anordnung zum aufrechterhalten einer elektrischen ladung bei einem elektret-filtermedium fuer luftfilter
MX2012007066A (es) Metodos para manufacturar una almohadilla de contacto electrico y contacto electrico.
JP2007146250A (ja) 貴金属めっきを施したチタン又はチタン合金材料
JPH07282953A (ja) コロナ放電用電極および静電気除去装置
EP0994202A3 (en) Method for improving electrical conductivity of metals, metal alloys and metal oxides
JP2915623B2 (ja) 電気接点材料とその製造方法
JP5244078B2 (ja) 燃料電池用セパレータおよびその製造方法
JPH0845644A (ja) コロナ放電用電極および静電気除去装置
JP4881049B2 (ja) 電気メッキ用コンダクターロール
EP0275844A2 (en) Non evaporable getter device incorporating a ceramic support and method for the manufacture thereof
JP2002260681A (ja) 固体高分子型燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法
JP2004307969A (ja) 不溶性電極及びその製造方法
DE2638135A1 (de) Elektrischer schaltkontakt
JPH09119945A (ja) コンタクトプローブピン用接触端子
JP4040008B2 (ja) 燃料電池用金属製セパレータおよびその製造方法
JP2002254180A (ja) 高耐食性材料及びその製造方法
JP4285324B2 (ja) ワイヤ放電加工用電極線及びそれを用いて製造した放電加工物
JP2007222717A (ja) 電気集塵機用高電圧荷電装置
JPH10291078A (ja) 抵抗溶接用電極及びその製造方法
JP2011246778A (ja) 表面処理ステンレス鋼材料及びその製造方法
JP3295505B2 (ja) 電気集塵機、これに用いる放電電極及び放電電極の劣化防止法
JPH06158353A (ja) 電池ばね用鋼線
JP2004307968A (ja) 通電ロール及びその製造方法
JPH03252078A (ja) コロナ放電電極およびその製造方法