JPH084519B2 - ハイブリッド形成用担体およびその調整方法 - Google Patents

ハイブリッド形成用担体およびその調整方法

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JPH084519B2
JPH084519B2 JP62329402A JP32940287A JPH084519B2 JP H084519 B2 JPH084519 B2 JP H084519B2 JP 62329402 A JP62329402 A JP 62329402A JP 32940287 A JP32940287 A JP 32940287A JP H084519 B2 JPH084519 B2 JP H084519B2
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泰宏 古市
恵子 栗林
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エフ・ホフマン―ラ ロシュ アーゲー
日本合成ゴム株式会社
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H21/00Compounds containing two or more mononucleotide units having separate phosphate or polyphosphate groups linked by saccharide radicals of nucleoside groups, e.g. nucleic acids

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、核酸の検出、分離、精製等に有用であるハ
イブリッド形成用担体およびその調製方法に関する。
〔従来の技術〕
核酸をその表面に固定した固体支持体は目的とする特
定塩基配列を有する核酸を検出したり、分離・精製する
技術にとって有用なものとして知られている。この技術
は、組み換えDNA技術の分野の研究者らによって開発さ
れた方法で、一本鎖に変性されたDNAまたはRNAの核酸が
適当な条件下で実質的に相補的な塩基配列を含む別の一
本鎖核酸と塩基間の水素結合を介してハイブリッドを形
成することを利用するものである。
一本鎖に変性された核酸を固体支持体の表面に固定す
る方法としては、従来、一般的には、核酸に対して親和
性の高いニトロセルロースやナイロンの素材からなる固
体支持体を核酸と接触させ、支持体上に核酸をトラップ
した後、固定化をより強固なものとするために、焼き付
けや紫外線照射を施す方法が利用されている。しかし、
この方法は、核酸に対し高い親和性を有する固体支持体
を使用するために、ハイブリッド形成の際に試料中の目
的とする特定塩基配列を有しない核酸または検出用核酸
プローブが支持体表面に非特異的に捕捉され易いという
問題を有する。そのため、核酸の非特異的トラップを防
止するために目的とする特定塩基配列と無関係な高分子
物質で支持体表面を被覆し、さらに、ハイブリッド形成
後に支持体を繰返し洗浄する操作が不可欠で極めて煩雑
である。
上記の欠点を解消するために種々の核酸固定化支持体
およびその製造方法が提案されている。その中に、核酸
を構成するヌクレオチドの配列部分を炭素原子数4〜20
の炭素鎖(炭素原子の一部はO、N、S等のヘテロ原子
で置換されてもよく、“腕”と称される)を介在させて
間接的に核酸を固定化した支持体が知られており、該核
酸固定化支持体は、固定部位となるヌクレオチド中の塩
基の特定部位を予め活性化させ、支持体に設けた“腕”
となる反応性基と反応させて共有結合を形成させること
により製造される(特開昭61-130305号公報)。また、
ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを固定化した支
持体に核酸を酵素反応を利用して連結する方法が知られ
ている(特開昭61-246201号公報)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、特開昭61-130305号公報記載の方法は、塩基
の特定部位を活性化させる時に、核酸中の他の反応性を
有する基を予め保護基で保護する必要があり、またこの
保護基は核酸を支持体に固定化後完全に除去する必要が
ある。
この保護基の除去には、幾度かの反応溶媒の変換、反
応生成物の回収、精製を必要とし、かつ反応時間も数時
間から数日を要することがあり、非常に煩雑で時間のか
かる操作が必要である。また、特開昭61-246201号公報
に記載の方法は、固定化してあるヌクレオチドまたはオ
リゴヌクレオチドの有効量を高めるためには核酸を一定
の方向性をもって連結する必要があるが、そのためには
特開昭61-130305号公報の方法の場合と同様の著しく煩
雑な操作が必要である。また高価な酵素が大過剰に必要
であると考えられ、経済的に不利である。
したがって、上記の2つの方法は、日常的に利用する
には実用的でない。
そこで本発明の目的は、簡便で、効率よく核酸を固定
化でき、核酸の非特異的なトラップ等が起りにくく、高
精度の核酸の検出、分離および精製が可能であるハイブ
リッド形成用担体およびその調製方法を提供することに
ある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、前記の従来技術の問題点を解決するものと
して、 表面が非多孔質であって粒径0.05〜5μmの有機高分
子粒子の表面に、一本鎖のポリヌクレオチドが、それに
含まれている第1級アミノ基を有するヌクレオチド2以
上からなるヌクレオチド配列の部分において、ペプチド
結合により固定化されてなるハイブリッド形成用担体を
提供するものである。
本発明の担体に用いられる有機高分子粒子(以下単に
高分子粒子という)の材料としては、例えば、スチレ
ン、クロルスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチ
ルスチレン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸ナ
トリウム、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン、(メ
タ)アクリル酸グリシジル、エチレングリコール−ジ−
(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸トリ
ブロモフェニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)
アクロレイン、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス
(メタ)アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、酢
酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、塩
化ビニル、臭化ビニル等の芳香族ビニル化合物、α,β
−不飽和カルボン酸のエステル類もしくはアミド類、
α,β−不飽和ニトリル化合物、ハロゲン化ビニル化合
物、共役ジエン化合物、ならびに低級脂肪酸ビニルエス
テルからなるビニル系単量体の一種以上を重合して得ら
れる水不溶性の有機高分子物質や該有機高分子物質を化
学的に変性して得られる水不溶性でかつ非膨潤性の有機
高分子物質を挙げることができる。
これらの高分子粒子は、乳化重合、懸濁重合、溶液沈
殿重合等の公知の方法によって製造することができる。
また、有機高分子溶液を非溶媒中に分散したり、架橋し
たり、または溶媒を揮散させること等によって該高分子
粒子を得ることができるが、高分子粒子の製造方法はこ
れらに限定されるものではない。なお、この高分子粒子
には、必要に応じて充填剤、例えば、磁性粉等を含有さ
せてもよい。
本発明に用いられる高分子粒子の表面は非多孔質でな
ければならない。ここで、高分子粒子の表面が「非多孔
質」であるとは、長径が100Å以上である孔を粒子表面
に有しないことを意味する。高分子粒子の表面が非多孔
質でないと、即ち、長径で100Å以上である孔が粒子の
表面に存在すると後述の核酸検出法などで用いられる標
識プローブが粒子の内部に捕捉される等の原因によりハ
イブリッド形成の感度や精度が低下することがある。ま
た、後述の核酸の分離または精製においても、分離また
は精製の対象以外の物質が高分子粒子の内部に捕捉され
る結果、分離効率あるいは精製度が低下する原因とな
る。このように、高分子粒子の表面は非多孔質であるこ
とが必要であるが、その内部には独立気泡等が存在して
もよい。
本発明に用いられる高分子粒子の粒径は0.05〜5μm
であり、好ましくは0.2〜1μmである。粒径が0.05μ
m未満であると、ハイブリッド形成の後に粒子を例えば
試料液から遠心分離する際に長時間要するし、また粒径
が5μmより大きいとハイブリッド形成が十分に行なわ
れないうちに粒子が試料液中で沈降する恐れが大きい。
また、本発明に用いられる粒子は水性媒体で用いられ
るので、水に対して不溶性でかつ非膨潤性であることが
必要である。
本発明の担体が有する一本鎖のポリヌクレオチドとし
ては、例えば高等動物、高等植物、カビ類、バクテリ
ア、ウィルス等に由来するDNA、RNA、クローニングされ
たDNA、プラスミド等の天然に存在する核酸、これら核
酸の断片、天然の核酸に1または2個以上のヌクレオチ
ドを付加する等の構造改変を人為的に施すことにより得
られるポリヌクレオチド、並びに合成ポリヌクレオチド
が挙げられる。ここで、上記のうち、DNA等の2本鎖の
ポリヌクレオチドは予め一本鎖となるように処理してお
く必要がある。
この一本鎖ポリヌクレオチドは、それに含まれている
第1級アミノ基を有するヌクレオチド2以上、通常2〜
15、からなるヌクレオチド配列の部分において、ペプチ
ド結合により高分子粒子に結合されている。
本発明の担体が有する一本鎖ポリヌクレオチドは検
出、精製、分離等の目的または手段となる他の核酸とハ
イブリッドを形成し得る必要があるので、相手の核酸が
有する特定塩基配列と実質的に相補的である塩基配列を
含む必要があり、該一本鎖ポリヌクレオチドは相手の核
酸に含まれる特定塩基配列に応じて選択される。ハイブ
リッドを形成する相手の核酸が有する特定塩基配列と相
補的な塩基配列は該一本鎖ポリヌクレオチドの、自由な
即ち高分子粒子に結合されていない部分、例えば線状ポ
リヌクレオチドの場合には自由な末端に存在すること
が、ハイブリッド形成の上で好ましい。特に、線状の一
本鎖ポリヌクレオチドは、5′末端側で高分子粒子に固
定化され、特定塩基配列と相補的な塩基配列は自由な
3′−末端側に存在すると、この固定化された一本鎖ポ
リヌクレオチドをプライマーとした核酸合成酵素による
核酸伸長反応が可能となり、高分子粒子上でのクローン
化DNAの合成または標識ヌクレオチドの取り込みに基づ
く特定塩基配列の検出へ応用できるので好ましい。
本発明の担体は、例えば、表面が非多孔質でカルボキ
シル基を有する粒径0.05〜5μmの高分子粒子と、第1
級アミノ基を有するヌクレオチド2以上からなるヌクレ
オチド配列を含有する一本鎖ポリヌクレオチドとを、脱
水縮合剤の存在下で反応させることにより調製すること
ができる。
この方法で出発材料として用いられる高分子粒子は、
表面にペプチド結合の形成に関与するカルボキシル基を
有する必要があるが、他の条件は前述したとおりであ
る。したがって、原料として用いる高分子粒子が表面に
カルボキシル基を有しない場合には、表面に予めカルボ
キシル基を導入する必要がある。カルボキシル基は高分
子粒子表面積1nm2当り少なくとも1個存在することが
好ましく、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5
個以上である。
このようなカルボキシル基を表面に有し、前記方法に
好適な高分子粒子としては、例えば、イムテックスSSM
−60、SSM−58、SSM−57、G0303、G0302、G0301、G020
1、G0202、G0501、L0101およびL0102;並びにイムテック
スDRB−F1、DRB−F2、DRB−F3等の商品名(日本合成ゴ
ム(株))で市販のものがあげられる。また、カルボキ
シル基を有しない高分子粒子の表面にカルボキシル基を
導入するには、種々の公知の方法を利用することができ
る。
前記の調製方法に用いられる一本鎖ポリヌクレオチド
は、前述したとおりであるが、ただしその分子中に、第
1級アミノ基(−NH2)を有するヌクレオチド2以上か
らなるヌクレオチド配列(以下、「アミノ基含有ヌクレ
オチド配列」と略称する)を含有する必要がある。この
アミノ基含有ヌクレオチド配列は、通常、第1級アミノ
基を有する2〜15個のヌクレオチドで構成される。第1
級アミノ基を有するヌクレオチド数が2未満であると、
一本鎖ポリヌクレオチドの高分子粒子上への固定化率が
低く望ましくない。
また、アミノ基含有ヌクレオチド配列は、この方法に
用いられる一本鎖ポリヌクレオチドが線状の場合、その
末端に存在することが好ましく、特に5′末端側に存在
することが好ましい。この方法に用いられる一本鎖ポリ
ヌクレオチドの中でも好ましいものは、アミノ基含有ヌ
クレオチド配列が5′末端側に存在し、ハイブリッド形
成の相手となる核酸が有する特定塩基配列と実質的に相
補的な塩基配列が3′末端側に存在する一本鎖ポリヌク
レオチド、特に一本鎖DNAである。
第1級アミノ基を有するヌクレオチドとしては、例え
ば、デオキシアデニル酸(dA)、デオキシシチジル酸
(dC)、デオキシグアニル酸(dG)を挙げることができ
るが、高分子粒子表面にあるカルボキシル基との脱水縮
合における反応性が高い点でdAおよびdCが好ましい。ア
ミノ基含有ヌクレオチド配列は、1種のヌクレオチドで
構成されていてもよいし、2種以上のヌクレオチドで構
成されていてもよいが、ハイブリッド形成の相手となる
核酸中の特定塩基配列以外の塩基配列と偶然に相補的な
塩基配列を生じることを避けるために、1種のヌクレオ
チド、特にdAまたはdCで構成されることが好ましい。
本発明の担体の調製に用いようとする一本鎖ポリヌク
レオチドが、アミノ基含有ヌクレオチド配列を含有しな
い場合には、上記の調製方法に供する前に、アミノ基含
有ヌクレオチド配列を分子中に導入する必要がある。
この場合、前記の調製方法に用いる一本鎖ポリヌクレ
オチドを、例えばDNA合成装置を用いる化学合成により
製造する場合には、所要のアミノ基含有ヌクレオチド配
列が分子中の所望の位置に形成されるようにプログラム
を組んで製造すればよい。また、ターミナルデオキシト
ランスフェラーゼを用いる付加反応により、ポリヌクレ
オチドの末端にアミノ基含有ヌクレオチド配列を導入す
ることもできる。さらに、T4DNAリガーゼを用いて、ポ
リヌクレオチドと、アミノ基含有ヌクレオチド配列から
なるオリゴヌクレオチドとを連結することによりアミノ
基含有ヌクレオチド配列を導入することもできる。その
他公知である核酸のテーリング反応および核酸同士の連
結反応を利用することができる。〔例えば、“Molecula
r Cloning",Cold Spring Harbor Laboratories,1982参
照〕。
前記の調製方法に用いられる脱水縮合剤としては、例
えば、1−エチル−3−(N,N′−ジメチルアミノ)プ
ロピルカルボジイミド等のカルボジイミド類、ウッドワ
ード試薬K、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−
1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)等の水溶性の脱水縮合
剤が好ましいものとしてあげられるが、油溶性の脱水縮
合剤も使用することができる。これらの脱水縮合剤は、
使用する高分子粒子が表面に有するカルボキシル基1当
量に対して、通常、1〜20モル、好ましくは2〜10モル
使用する。この反応は、例えば、適当な大きさの反応容
器に表面にカルボキシル基を有する高分子粒子と、アミ
ノ基含有ヌクレオチド配列を含有する一本鎖ポリヌクレ
オチドを仕込んだ後、前記の脱水縮合剤を添加すること
により行なうことができる。高分子粒子の使用量は、ア
ミノ基含有ヌクレオチド配列を含有する一本鎖ポリヌク
レオチド1ミリモル当り、通常0.5〜500g、好ましくは
5〜50gである。反応は、通常pH3〜11程度の水性媒体
中、4〜70℃において、5分ないし一夜行なえばよい。
以上の方法により一本鎖ポリヌクレオチドが有するア
ミノ基含有ヌクレオチド配列の第1級アミノ基と、高分
子粒子表面にあるカルボキシル基とを脱水縮合させてペ
プチド結合を形成させることにより本発明の担体が得ら
れる。
本発明の担体および上述の調製方法は、サンドイッチ
法および競合法による核酸の検出に利用することができ
る。
サンドイッチ法によると、まず、検体試料から検出す
べき核酸が有する塩基配列の中から、異なりかつ重複し
ない2つの特定塩基配列を選択する。次いで、それぞれ
の特定塩基配列に相補的な塩基配列を有する2種類の核
酸のうち、一方を高分子粒子に結合して本発明の担体と
し、他方を適当な標識でラベルして標識核酸プローブと
する。これらの担体および標識核酸プローブを、検体試
料中の核酸とのハイブリッド形成に供すると、検体試料
中に検出すべき特定の塩基配列を含む核酸が存在すれ
ば、担体の核酸と標識核酸プローブとが検体試料中の該
核酸を挟む形でハイブリッド形成により結合する。次
に、担体に対して結合した標識核酸プローブをトレーサ
ーとして検出することにより、特定の塩基配列を含む核
酸を検出することができる。
競合法によると、まず、検体試料中の検出すべき核酸
の特定塩基配列に相補的な塩基配列を含む一本鎖核酸を
高分子粒子に結合して本発明の担体とする。一方、検体
試料中の検出すべき核酸と実質的に同等な特定塩基配列
を含む核酸に標識を付し、プローブとする。次に前記担
体と検体試料とプローブを混合してハイブリッド形成反
応に供すると、試料中に検出すべき特定の塩基配列を有
する核酸が存在すれば、該核酸は担体に結合している一
本鎖核酸とのハイブリッド形成をプローブと競合する。
試料中に検出すべき核酸が存在しない場合には、プロー
ブのみが担体上の一本鎖核酸とハイブリッドを形成す
る。試料中に存在する検出すべき核酸の量に応じて担体
上の一本鎖核酸とハイブリッドを形成するプローブの量
が減少するのでこのプローブを検出することにより、特
定の塩基配列を含む核酸を特異的に定量することができ
る。
上記サンドイッチ法および競合法では、核酸を結合し
た高分子粒子に核酸を含む検体試料と標識核酸プローブ
とハイブリッド形成に適当な緩衝液とを添加し、適当な
温度下に2時間程度放置することによってハイブリッド
を形成させる。次いで遠心分離等によって過剰の標識核
酸プローブを除去し、担体に結合された標識を分析によ
って検出する。
上記核酸の検出に用いられるプローブとは、直接の検
出対象となる一本鎖核酸からなり、容易に検出できる標
識を付したものである。用いられる標識は、酵素学的に
活性な基、螢光体、発色団、発光体、特異的な結合が可
能な配位子、重金属および放射性同位元素のような、ト
レーサーとして容易に検出することができる物質であ
り、このためにハイブリッド形成によって担体上にトラ
ップされた標識プローブは容易に検出することができ
る。
上記のサンドイッチ法および競合法は、バクテリア、
ウィルス等の病原体の検出、抗生物質や抗ウィルス剤の
スクリーニング、遺伝障害の診断およびガン細胞の検出
に利用することができる。
さらに、本発明の担体は、特定の塩基配列を含む核酸
の分離にも利用することができる。
この核酸の分離は、核酸試料中の特定の塩基配列に対
して相補的な塩基配列を含む一本鎖核酸を高分子粒子に
固定化させて本発明の担体を形成させ、次に、該担体
と、前記の核酸試料中の特定の塩基配列を含む核酸とを
ハイブリッド形成せしめ、次に、前記担体とハイブリッ
ド形成した核酸を分離することにより行う。
この方法において、分離しようとする核酸を前記担体
とのハイブリッドとして、担体上の核酸とハイブリッド
形成しなかった核酸その他の夾雑物から分離するには、
これらの不要な核酸等を遠心分離法等により除去した
後、ハイブリッドを構成している核酸分子間の水素結合
を切るような熱処理、あるいはアルカリ、ホルムアミ
ド、もしくは尿素による処理などを行って、目的とする
特定塩基配列をもつ核酸を回収することにより核酸を分
離することができる。
この核酸の分離は、例えば、細胞の粗抽出物等の試料
から、ヒト、動物、植物あるいは微生物にとって有用な
タンパク質の合成をコードするmRNA、DNA等の特定塩基
配列を有する核酸を分離するのに有用である。
なお、上述した核酸の検出および分離で行なわれるハ
イブリッド形成に適した緩衝液、温度、反応時間等の条
件は当業者にとって自明である。
また、前記したように本発明の担体は、これを利用し
て、担体上で、分離した核酸、特にRNAをクローン化す
ることができる。
すなわち、クローン化の対象となる配列の一部に相補
的な配列を3′末端側に含む一本鎖核酸(以下固定化核
酸という)の5′末端部分において高分子粒子に固定化
して本発明の担体を形成し、次に、該担体と、核酸試料
中のクローン化の対象となる配列よりなる核酸(以下、
対象核酸という)とをハイブリッド形成せしめ、この対
象核酸を鋳型とし、かつ固定化核酸をプライマーとし
て、逆転写酵素あるいはDNAポリメラーゼを作用させて
対象核酸に対し相補的な配列をもつDNA(以下単にクロ
ーン化DNA第1鎖という)を合成することができる。
さらにOkayama-Berg法(H.Okayama and P.Berg;Molec
ular and Cellular Biology,,161-170,1982)、Guble
r-Hoffmann法(U.Gubler and G.J.Hoffmann;Gene,25,26
3-269,1983)、S1ヌクレアーゼを用いたcDNAのクローニ
ング(Williams,J.G.;“Genetic Engineering",vol.1,
p.1〜59,Academic Press,London and New York,1981)
等を応用することによって、クローン化DNA第1鎖に対
して相補的な配列、すなわち対象核酸と等しい配列をも
つDNA(以下、単にクローン化DNA第2鎖という)を合成
し、対象核酸を一本鎖核酸に変換した後、クローン化す
ることができる。
また、上記方法において固定化核酸の、第1級アミノ
基を有するヌクレオチドが2個以上からなる配列と3′
末端側の対象核酸の一部に相補的な配列との間に制限酵
素が認識する配列を入れておくことにより、クローン化
DNA第2鎖を合した後、制限酵素を作用させて担体から
クローン化DNAを切り離し、回収することもできる。
さらに、制限酵素の認識配列を含む固定化核酸を利用
してクローン化DNA第1鎖を合成した後、クローン化DNA
の5′末端にオリゴ(dA)、オリゴ(dT)、オリゴ(d
C)またはオリゴ(dG)を付加反応によって付加し、分
解または変性により対象核酸を除去し、付加したオリゴ
ヌクレオチド(付加配列)に対して相補的な塩基配列を
3′末端側に含み、かつ制限酵素の認識配列を含む一本
鎖核酸と、クローン化DNA第1鎖のテーリング部位との
間にハイブリッドを形成せしめ、次に、前記付加配列に
対して相補的な核酸をプライマーとし、クローン化DNA
第1鎖を鋳型として、DNAポリメラーゼを代表とする核
酸伸長酵素を作用させることによりクローン化DNA第2
鎖を合成した後、制限酵素を作用させて、担体から両端
(5′末端および3′末端)に制限酵素の認識部位をも
つクローン化DNAを切り離し、回収することもできる。
こうして得られたクローン化DNAは、同じ制限酵素の認
識部位をもつプラスミドにそのまま組み込むことができ
る。このクローン化DNA合成方法において、前記付加配
列に対して相補的な核酸は、高分子粒子に固定化されて
いる本発明のハイブリッド形成用担体であってもかまわ
ない。
〔実施例〕
以下、実施例に基づき、本発明を具体的に説明する。
但し、本発明は、実施例に限定されるものではない。
実施例1 (1)ポリヌクレオチド5′−(dC)n(dT)30−3′(n
=0、1、3、7または10)の調製 ヌクレオチド配列が5′−(dC)n(dT)30−3′(n=
0、1、3、7または10)〔ここで、左端の5′−およ
び右端の−3′は、それぞれ5′末端および3′末端で
あることを示す。以下同じ〕で表わされる5種のポリヌ
クレオチドを、DNA合成装置(アプライドバイオシステ
ム社モデル381A)を用いてβ−シアノエチル法で固相法
により合成した。合成したポリヌクレオチドの固相から
の切り出しおよび採取は、該装置のためのマニュアルに
従って行なった。
次いで、得られた各ポリヌクレオチドをそれぞれ250
μlのTNE緩衝液(10mMトリス塩酸緩衝液pH7.5,100mM塩
化ナトリウムおよび1mMエチレンジアミン四酢酸からな
る緩衝液)に溶解した後、TNE緩衝液で膨潤させたセフ
ァデックスG−50(ファルマシア社製)カラム(5ml)
によるゲル濾過に供した。ゲル濾過による溶出液を0.5m
lずつ順次分取し、各画分の260nmにおける吸光度を測定
し、素通り画分を判別し集めた。
集めたポリヌクレオチドの溶液から、エタノールで沈
殿させることによりポリヌクレオチドを精製した。次
に、精製したポリヌクレオチドを500μlの滅菌水に溶
解した後、260nmにおける吸光度を測定してポリヌクレ
オチドを定量した。
以上の結果、前記5種のポリヌクレオチドそれぞれ約
1mgが500μlの水溶液として得られた。
(2)32Pによる標識 (1)で得た5種のポリヌクレオチド各々を次のよう
にして32Pにより標識した。
(1)で得られたポリヌクレオチド水溶液1μl(ポ
リヌクレオチド2μg含有)、ポリヌクレオチドキナー
ゼ(ベーリンガーマンハイム社製)1μl(酵素活性に
して8U)、γ−32P−アデノシン三リン酸5μl(放射
線量にして50μCi)、10倍濃度の5′−リン酸化用緩衝
液5μlおよび滅菌水38μlを、1.5mlエッペンドルフ
遠心管に入れ、混合し、37℃で30分間インキュベートし
た。
次に、反応液からポリヌクレオチドキナーゼをフェノ
ール抽出法(“Molecular Cloning",Cold Spring Harbo
r Laboratories,1982,p.458参照)によって除去した
後、反応液をTNE緩衝液で膨潤させたセファデックスG
−50(ファルマシア社製)カラム(1ml)を用いるゲル
濾過に供した なお、上記で用いた10倍濃度の5′−リン酸化用緩衝
液は次の組成を有するものである。
組成:0.5Mトリス塩酸緩衝液、pH7.6 0.1M塩化マグネシウム 50mMジチオスレイトール 1mMスペルミジン 1mMエチレンジアミン四酢酸 ゲル濾過による溶出液を100μlずつ順に分取し、各
画分の放射線量をチェレンコフ・カウント法によって測
定して素通り画分を判別し集めた。この結果、32Pによ
って標識した5種のポリヌクレオチド5′−(dC)n(dT)
30−3′(ここで、n=0、1、3、7または10)の各
々についてのTNE緩衝溶液200μlが得られた。これら
は、1μl当り400,000cpmのカウントの放射線量を有す
る溶液であった。
(3)表面がカルボキシ変性された高分子粒子への固定
化 粒径0.36μm、表面積1nm2あたり9個のカルボキシ
ル基を有するように表面がカルボキシ変性された高分子
粒子イムテックスSSM−60(日本合成ゴム(株)製)の
1(w/v)%0.0001N塩基懸濁液500μl、(1)で合成
したヌクレオチド配列が5′−(dC)n(dT)30−3′(こ
こで、n=0、1、3、7または10)であるポリヌクレ
オチド1nmole、1−エチル−3−(N,N′−ジメチルア
ミノ)プロピルカルボジイミドの0.5(w/v)%0.0001N
塩酸溶液500μl、(2)で調製した32P標識したポリヌ
クレオチド(dC数が非標識ポリヌクレオチドと同じも
の)400,000cpm相当量を1.5mlエッペンドルフ遠心管に
入れ、50℃に設定した恒温槽中で一晩混合することによ
り、32Pで標識したポリヌクレオチドをペプチド結合に
より高分子粒子に結合させた。その後、10,000rpmで5
分間遠心分離してハイブリッド形成用担体を沈殿として
回収した。次に、結合用緩衝液(10mMトリス−塩酸緩衝
液pH7.5、500mM塩化ナトリウム、0.1(w/v)%ドデシル
硫酸ナトリウムおよび1mMエチレンジアミン四酢酸より
なる緩衝液)をハイブリッド形成用担体に1ml添加し、
ハイブリッド形成用担体を再分散させた後、15,000rpm
で5分間遠心分離してハイブリッド形成用担体を回収す
る操作を3回繰り返してハイブリッド形成用担体を洗浄
した。こうして得られたハイブリッド形成用担体上に残
っている放射活性をチェレンコフカウント法によって測
定し、この値を添加した32P標識のオリゴマヌクレオチ
ドのカウント数(400,000cpm)で割ることによって固定
率を求めた。結果を第1表に示す。
実施例2 ワクシニアウィルスのmRNAに含まれるポリアデニル酸
配列の定量 (1)ハイブリッド形成用担体の調製 まず、DNA合成装置で、塩基配列が、5′−CCCCCCCCC
CTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−3′であるポリヌ
クレオチド5′−(dC)n(dT)30−3′であるポリヌクレ
オチド5′−(dC)n(dT)30−3′を合成した。このポリ
ヌクレオチドの3′末端側の(dT)30配列は、ワクシニア
ウィルスのmRNAに含まれるポリアデニル酸(以下、「ポ
リ(A)」と略記する)配列と相補的である。5′末端
側の(dC)10配列は高分子粒子への固定化に利用される部
分である。
表面がカルボキシ変性された高分子粒子(イムテック
スSSM−60、日本合成ゴム(株)製)の1(w/v)%の0.
0001N塩酸懸濁液2.5ml、1−エチル−3(N,N′−ジメ
チルアミノ)プロピルカルボジイミドの5mg/mlの0.0001
N塩酸溶液2.5ml、上記の合成ポリヌクレオチド100μg
および実施例1−(2)と同様の方法で32Pによって標
識した上記合成ポリヌクレオチド10000cpmを混合し50℃
で6時間反応させた。反応後、ハイブリッド形成用担体
固形懸濁液を3,000rpmで15分間遠心分離してハイブリッ
ド形成用担体固形分を回収した。ハイブリッド形成用担
体を、10mlの0.0001N塩酸に再び懸濁し、遠心分離操作
を繰り返すことにより洗浄した。充分な洗浄の後、10mM
トリス−塩酸緩衝液pH7.5、0.1M塩化ナトリウム、1mMエ
チレンジアミン四酢酸(pH7.5)および0.1(w/v)%ド
デシル硫酸ナトリウムから成る溶液に懸濁して全体の体
積を5mlとした。こうして得られたハイブリッド形成用
担体の0.5(w/v)%懸濁液を4℃で保存した。
こうして調製されたハイブリッド形成用担体のポリヌ
クレオチドの固定率は、98%であり、即ち98μgが5′
末端側において高分子粒子に固定化されたことがわかっ
た。
(2)ワクシニアウィルスの、ポリ(A)配列を有する
mRNAの調製 ワクシニアウィルスを界面活性剤(0.5(w/v)%NP4
0)で洗浄し、遠心分離によってペレットとして回収し
た。このペレットに、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.
6)、7.5mM塩化マグネシウム、20mMβ−メルカプトエタ
ノール、5mMアデノシン三リン酸、5mMシチジン三リン
酸、5mMグアノシン三リン酸、5mMウリジン三リン酸、0.
5(w/v)%NPS−40、0.3mM S−アデノシルメチオニンお
よびRNA分解酵素インヒビターを含む溶液2,000μlを添
加し、37℃で3時間インキュベートした。次いで、反応
液を15,000rpmで10分間遠心分離することにより得た上
清を、フェノールで抽出後、セファデックスG−100
(ファルマシア社製)を用いたカラムクロマトグラフィ
ーにかけ、素通り画分を集めた。集めた画分をオリゴ
(dT)セルロースを充填したカラムにかけ、ポリ(A)
配列を有するmRNAとポリ(A)配列を有しないmRNAに分
画することにより、ポリ(A)配列を有するmRNA18μg
と、ポリ(A)配列を有しないmRNA10μgが得られた。
(3)ポリ(A)配列を有するmRNAの定量 (3−1) (1)で調製したハイブリッド形成用担体懸濁液20μ
lをエッペンドルフ遠心管にとり、100mMトリス−塩酸
緩衝液(pH8.3)を1ml添加後、10,000rpmで5分間遠心
分離することによりハイブリッド形成用担体を回収し
た。
このハイブリッド形成用担体に、次の組成: 100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.3) 160mM 塩化カリウム 20mM β−メルカプトエタノール 1mM デオキシアデノシン三リン酸 1mM デオキシグアノシン三リン酸 1mM デオキシチミジン三リン酸 0.1mM デオキシシチジン三リン酸 10μCi α−32Pデオキシシチジン三リン酸 10mM 塩化マグネシウム 8U RNA分解酵素インヒビター を有する溶液49μlを添加し、さらに(2)で調製した
ポリ(A)配列を有するmRNAを65℃で5分間加熱後氷浴
中で急冷したものを10ng、1ng、0.1ngまたは0ng添加し
た後、43℃で10分間インキュベートしハイブリッド形成
を行なった。次に、反応液に逆転写酵素RTase(ライフ
サイエンス社)1μl(17Uに相当)を添加し、43℃で1
5分間インキュベートした。その後、0.5Mエチレンジア
ミン四酢酸(pH8.0)を1μl添加し、0.22μmのメン
ブランフィルターを用いて吸引濾過しながら10mMトリス
−塩酸緩衝液(pH8.0)、100mM塩化ナトリウムおよび1m
Mエチレンジアミン四酢酸(pH8.0)から成る溶液で洗浄
した。洗浄後、メンブランフィルターを乾燥し、トルエ
ン系液体シンチレーター5ml中でメンブランフィルター
上に濾別されたハイブリッド形成用担体の放射活性を測
定した。
(3−2) ポリ(A)配列を有するmRNAの代りに、(2)で調製
されたポリ(A)配列を有しないmRNAを使用した以外
は、前項(3−1)に記載した同じ手順に従って実験を
行なった。メンブランフィルター上に濾別されたハイブ
リッド形成用担体の放射活性を測定した。
(3−3) (3−1)および(3−2)における測定の結果を第
2表に示す。
実施例3 ロタウィルス第10遺伝子分節の検出 (1)ハイブリッド形成用担体の調製 実施例2の(1)において、ポリヌクレオチド5′−
(dC)10(dT)30−3′の代りに、塩基配列が5′−CCCCCC
CCCCGGTCACACTAAGACCATTCCTTCCATTAACG−3′であるDNA
合成装置で合成したポリヌクレオチドを用いた以外は実
施例2の(1)と同様にして、ハイブリッド形成用担体
を調製した。このポリヌクレオチドは、ロタウィルス第
10遺伝子分節のmRNAに含まれる3′−末端側塩基配列CG
UUAAUGGAAGGAAUGGUCUUAGUGUGACCと相補的な塩基配列を
含んでいるものである。
(2)ロタウィルスのmRNAの調製 ヒト ロタウィルス(Wa Strain)粒子を100mMエチレ
ンジアミン四酢酸で処理し、遠心分離によってぺレット
として回収した。このペレットに、100mMトリス−塩酸
緩衝液(pH8.0)、10mM塩化マグネシウム、2mMアデノシ
ン三リン酸、2mMシチジン三リン酸、2mMグアノシン三リ
ン酸、2mMウリジン三リン酸、10mM S−アデノシルメチ
オニンおよびRNA分解酵素インヒビターを含む溶液200μ
lを添加し、37℃で3時間インキュベートした。反応液
を15,000rpmで30分間0℃下において遠心分離すること
により得た上清をフェノールで抽出した後、セファデッ
クスG−100を用いたカラムクロマトグラフィーにか
け、素通り分画を集めた。こうして、ロタウィルスの第
1〜第11遺伝子分節のそれぞれのmRNAの混合物130μg
を得た。
(3)ロタウィルス第10遺伝子分節のmRNAの定量 実施例2の(3)、(3−1)において(dT)30配列を
含むハイブリッド形成用担体懸濁液の代りに本実施例の
(1)で調製したハイブリッド形成用担体懸濁液50μl
を用い、ポリ(A)配列を有するワクシニアウイルスの
mRNAの代りに本実施例の(2)で調製したロタウィルス
の第1〜第11遺伝子分節のmRNAの混合物10ngまたは0ng
を使用した以外は、実施例2の(3)、(3−1)と同
様にして実験を行なった。結果を第3表に示す。
試験例1 ワクシニアウィルスのポリ(A)配列含有mRNAの分離
・精製 (1)ワクシニアウィルスのポリ(A)配列を有するmR
NAの調製 ワクシニアウィルスのNP40で処理した後に遠心分離によ
り得られたペレットに添加する溶液中のウリジン三リン
酸濃度を0.5mMに変え、さらに該溶液にα−32P−ウリジ
ン三リン酸を50μCi添加し、実施例2の(2)と同様に
して、ワクシニアウィルスのポリ(A)配列を有するmR
NAを得た。
(2)夾雑物中からのmRNAの分離・精製 実施例2の(1)と同様にして調製したハイブリッド
形成用担体懸濁液10μl(0.5w/v)%をエッペンドルフ
遠心管にとり、0.5M塩化ナトリウム、0.1w/v)%ドデシ
ル硫酸ナトリウムおよび1mMエチレンジアミン四酢酸を
含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)50μl、50μg
のウシ血清アルブミン、30μgのリボゾームRAN、30gの
トランスファーRANおよび上記(1)で調製したポリ
(A)配列含有mRNA300ng添加し、37℃で10分間インキ
ュベートした。この後、10,000rpmで5分間遠心分離
し、上清と固形分に分け、それぞれの放射活性をチェレ
ンコフ・カウント法によって測定した。ハイブリッド形
成の効率を式: により算出したところ、94.7%であった。
次に、上記(1)で調製したハイブリッド形成用担体
に0.1(w/v)%ドデシル硫酸ナトリウムおよび1mMエチ
レンジアミン四酢酸を含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)を10μl添加し、65℃で5分間加熱した後、4℃
において10,000rpmで5分間遠心分離して上清とハイブ
リッド形成用担体に分け、それぞれの放射活性をチェレ
ンコフ・カウント法によって測定した。回収率を式: により算出したところ、91.6%であった。
試験例2 グロビンmRNAの分離、精製 (1)グロビンmRNAの分離、精製 実施例2の(1)と同様にして精製したハイブリッド
形成用担体の0.5(w/v)%懸濁液200μlを、1.5mlエッ
ペンドルフ遠心管に入れ、15,000rpmで5分間遠心分離
し、上清を捨てた。
次いで、この遠心管に実施例1の(3)と同様の結合
用緩衝液100μlと50μg/mlのグロビンmRNA(以下、サ
ンプルOという)の滅菌水溶液(ベセスダリサーチ社
製)20μlを添加し、ハイブリッド形成用担体とよく混
合した後、37℃で10分間インキュベートした。その後、
15,000rpmで5分間遠心分離し、上清(以下、サンプル
Uという)を分取した。沈殿したハイブリッド形成用担
体には溶出用緩衝液(10mMトリス−塩酸緩衝液pH7.5,0.
1(w/v)%ドデシル硫酸ナトリウムおよび1mMエチレン
ジアミン四酢酸からなる緩衝液)を100μl添加し、ハ
イブリッド形成用担体をこれに再分散させてから65℃で
5分間加熱した後、4℃において15,000rpmで5分間遠
心分離し、生じた上清(以下サンプルBという)を採取
した。次いで、サンプルUとサンプルBをそれぞれエタ
ノール沈殿によりサンプル中に含まれる核酸分を沈殿と
して回収した。
(2)グロビンの合成 上記(1)で得られたグロビンmRNAが完全な構造を有
していることを確認するために、サンプルU、サンプル
BまたはサンプルOをトランスレーションキット(デュ
ポン社製)に添加し、各サンプル中のグロビンmRNAから
グロビンタンパク質を合成させた。この合成に必要な試
薬は該キットに備わったものを使用し、合成は該キット
のためのマニュアルに従って行なった。
グロビンタンパク質の合成反応終了後、各反応液を15
(w/v)%SDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル)を用い
る電気泳動にかけゲルを乾燥した後オートラジオグラム
をとった。比較のために、mRNAを含まないブランクにつ
いても同様にしてオートラジオグラムをとった。得られ
たオートラジオグラムのスケッチを第1図に示す。
上記のオートラジオグラムから、サンプルB中に分離
されたグロビンmRNAは、もとのサンプルOのmRNAの機能
を損なっていないこと、およびサンプルU中にはグロビ
ンmRNAが残存していないことが確認できた。
(3)グロビンの相補DNA(cDNA)の合成 上記(1)で述べたサンプルBおよびサンプルOをcD
NA合成キット(アマシャム社製)に添加し、cDNAの合成
を行なった。
この合成では、α−32P−デオキシシチジン三リン酸
を50μCi使用した以外は、キットに備わっている試薬を
使用し、該キットのためのマニュアルに従って行なっ
た。グロビンのcDNAの合成反応終了後、反応液5μlを
1(w/v)%アガロースゲルを用いる電気泳動にかけ、
ゲルを乾燥後オートラジオグラムをとった。得られたオ
ートラジオグラムのスケッチを第2図に示す。このオー
トラジオグラムから、サンプルBはサンプルOよりもグ
ロビンmRNAの純度が高いことがわかった。
〔発明の効果〕
本発明のハイブリッド形成用担体は、特定塩基配列を
有する核酸の検出、分離、精製等に有用であり、ハイブ
リッド形成において核酸の非特異的トラップ等が起り難
く高精度の検出、分離、精製等が可能である。
また核酸が3′末端が自由な状態で固定化されたもの
はcDNAの合成等にも有用である。本発明が提供する調製
方法は、かかる担体に核酸を簡便かつ、効率よく固定化
できる実用性の高い方法である。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、実施例5でグロビンタンパク質
を合成した反応液を電気泳動にかけ、乾燥後にとったオ
ートラジオグラムを示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面が非多孔質であって粒径0.05〜5μm
    の有機高分子粒子の表面に、一本鎖のポリヌクレオチド
    が、それに含まれている第1級アミノ基を有するヌクレ
    オチド2以上からなるヌクレオチド配列の部分におい
    て、ペプチド結合により固定化されてなるハイブリッド
    形成用担体。
  2. 【請求項2】表面が非多孔質でカルボキシル基を有する
    粒径0.05〜5μmの有機高分子粒子と、第1級アミノ基
    を有するヌクレオチド2以上からなるヌクレオチド配列
    を含有する一本鎖ポリヌクレオチドとを、脱水縮合剤の
    存在下で反応させることからなるハイブリッド形成用担
    体の調製方法。
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