JP5128031B2 - RecAタンパク質を用いて標識が導入された核酸を製造する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標識が導入された核酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子の発現や変異および多型性等の解析における、また、臨床的な遺伝子病の診断および治療におけるDNAの検出および/または分離に、標識された核酸を使用することは非常に有益である。例えば、DNAチップ(一般的にDNAマイクロアレイとも称される)上のDNAプローブとして、PCR時のプライマーとして、また、インサイチュウハイブリダイゼーションにおけるDNAプローブとして使用されている。
【0003】
このような標識された核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(以下PCRと称す)により合成し、それと同時若しくは逐次標識すること、または大腸菌等を用いたクローニングによって生成し、更に修飾を行うことによって製造される。
【0004】
PCRで合成する場合、一般的に、標識物質を具備するプライマーを用いたり、標識物質を具備するdNTPを用いて通常のPCRの処理工程を行うことによって、合成と同時に標識物質を付加する。或いはPCRやクローニングにより合成された核酸を化学的に修飾することによって標識物質を付加した核酸を得ることが可能である。
【0005】
しかしながら、PCRでは、特に、目的とする核酸の塩基配列が長い場合、充分な増幅を得られないことがある。また、非特異的分子が増幅されてしまうこと可能性もある。そのような場合、得られた核酸の同定や精製を行うことが必要であるが、このような操作は時間も労力も大きい。また、一般的に、PCRは大過剰のプライマーを使用するものである。従って、例えば、DNAチップのためのプローブとして使用する場合には、バックグラウンドを低くするために残留するプローブを除去することが必要である。
【0006】
また、合成された核酸に、化学的または生化学的に標識物質を付加する場合には以下のことが問題となる。例えば、酵素を用いたニックトランスレーション法により修飾を行う場合、配列中に生じた全てのニックに対して修飾が行われることになるため、特定の部位を選択的に修飾することが困難である。
【0007】
また、ポリヌクレオチドキナーゼやターミナルトランスフェラーゼを使用し何れか一方の末端のみに標識したい場合には、当該酵素により標識物質を二本鎖の末端に付与した後に、不要な末端の標識物質を制限酵素によって除去する必要がある。更に、ライゲーションによる平滑末端に対してアダプターを連結することによって一方の末端のみに標識を付与する場合には、付与工程に先駆けて対象となる一方の末端を平滑末端とし、他方を付着末端とするか、或いは付与した後に不要な末端の標識部分を酵素により切除することが必要である。しかしながら、酵素の部位選択性には限りがあることから、このような酵素による従来の方法によって核酸の特定部位に選択的に標識を付与することは困難である。また、二本鎖の核酸の場合、その末端は等価であるので、どちらか一方の末端のみを平滑末端(または付着末端)とすることは、従来の技術では煩雑な操作と長い時間が必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の状況に鑑み、本発明の目的は、高い部位選択性をもって、且つ簡便に、二本鎖核酸の所望する部位に対して選択的に標識を導入する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、
核酸に標識を導入する方法であって、
前記標識を導入すべき標的核酸を含む試料に、RecAタンパク質と、前記標的核酸の末端領域と相同な第一の核酸プローブとを添加することにより、前記第一の核酸プローブの一部が前記標的核酸から突出するように、前記RecAタンパク質を介して前記第一の核酸プローブを前記標的核酸に結合せしめる工程と;
前記標的核酸に結合した前記RecAタンパク質を前記標的核酸から解離させる工程と;
前記第一の核酸プローブの突出部分に、標識された第二の核酸プローブをハイブリダイズさせることにより、核酸に標識を導入する工程と
を備えた方法を提供する。
【0010】
ここで、以下の発明の詳細な説明の理解を助けるために、図1を参照しながら、本発明の方法の概略を説明する。
【0011】
本発明の方法の第一の工程では、標識を導入すべき標的核酸、一般的には標的DNA1に、該DNAの一方の末端領域と相同な配列を有する第一のプローブDNA2とRecAタンパク質3とを添加する。RecAタンパク質3は、第一のプローブDNA2に結合してプローブDNA・RecAタンパク質複合体4を形成する。続いて、RecAタンパク質は、標的DNA1の末端領域に存在する第一のプローブDNA2と相同な領域を検索することにより、第一のプローブDNA2を前記相同な領域に結合させる。後の工程で、第一のプローブDNA2には、標識された第二のプローブDNA6がハイブリダイズされるので、第一のプローブDNA2は、標的DNA1の終末端から突出するように標的DNA1に結合している。
【0012】
RecAタンパク質の作用により、第一の工程では、標的DNA1の一方の末端領域に、RecAタンパク質3を介して第一のプローブDNA2が結合し、標的DNA1の末端領域に三本鎖DNA構造5が形成される。
【0013】
第二の工程では、除タンパク反応を行うことにより、第一のプローブDNA2に結合したRecAタンパク質3を除去する。第一のプローブDNA2が末端領域に結合している場合には、RecAタンパク質3を除去した後でも三本鎖DNA構造5が維持される。第二の工程において、三本鎖DNA構造5からRecAタンパク質3を除去することにより、第一のプローブDNA2の突出部分に第二のプローブ6を容易にハイブリダイズさせることが可能となる。
【0014】
第三の工程では、第一のプローブDNA2の突出部分に、標識された第二のプローブ6をハイブリダイズさせることにより、標的核酸の末端領域に標識を導入する。標識を強固に結合するために、第二のプローブ6は、必要に応じて、標的核酸の末端領域にライゲートさせることが好ましい。第二のプローブ6をライゲートさせた後には、第一のプローブDNA2は不要となるので、標的DNA1から解離させてもよい。
【0015】
以上が本発明の方法の概略であるが、図1に示されている具体的な反応や構造等は、あくまでも理解を容易にする目的で記載されているにすぎないので、実際には、それらの細部が図面と一致しない場合があり得る。すなわち、本発明者らは、いかなる特定の理論にも拘泥しない。
【0016】
【発明の実施の形態】
<序論>
本発明は、RecAタンパク質を用いて、標識が導入された核酸を製造する方法を提供する。
【0017】
本発明は、RecAタンパク質を介して形成される三本鎖構造が特定の条件下、即ち、標的核酸の末端領域に形成される場合である場合では、前記三本鎖構造からRecAタンパク質を解離させた後にも前記三本鎖構造が維持されるという本発明者らの発見に基づいてなされたものである。尚、RecAタンパク質、及びRecAタンパク質を介して三本鎖構造が形成されることは公知である。しかしながら従来使用の方法では、60マー程度の短いプローブを用いた場合、形成された三本鎖からはじき出されてしまう問題があった。従って、本発明はこの問題点を解決する手段を見出したことによって達成されたものである。
【0018】
以下、本発明の実施の態様について詳述する。
【0019】
<第一の工程>
本発明の方法を実施するには、まず、標識を導入すべき標的核酸を含む試料に、RecAタンパク質と、前記標識を導入すべき標的核酸中の末端領域と相同な第一の核酸プローブとを添加する。
【0020】
本明細書において、「標的核酸」は、任意の単純ヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであり得る。標的核酸は、本方法の実施者が自由に選択することができる。標的核酸は、典型的には、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNA等のDNA、並びにmRNA、全RNA、hnRNA、及び合成RNA等のRNAである。「単純ヌクレオチド」には、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシルが含まれる。「修飾ヌクレオチド」には、例えば、イノシン、アセチルシチジン、メチルアデノシン、メチルグアノシンを含むリン酸エステル等が含まれる。
【0021】
「標的核酸を含む試料」は、生物から採取した未処置の試料、例えば、ゲノムDNA、mRNA、プラスミドを含む生物試料であり得る。また、「標的核酸を含む試料」は、前記未処置の試料に対して様々な操作又は処理を行った試料であり得る。このような操作又は処理は、核酸抽出操作、増幅操作、制限酵素、リガーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼを含む酵素による処理、及び遺伝子工学の領域において周知であるその他の処理、並びにこれらの組み合わせであり得る。
【0022】
「核酸抽出操作」は、フェノール抽出、エタノール沈殿であり得るが、これらに限定されない。
【0023】
「増幅操作」は、典型的にはPCR、又はその変法、例えば、逆転写PCR、逆PCR、5‘RACE、3’RACEであり得る。
【0024】
あるいは、「標的核酸を含む試料」は、人工的に調製した核酸を含有する試料、又は該試料に前記各処理を施すことによって調製された試料であってもよい。
【0025】
より具体的には、前記「標的核酸を含む試料」は、遺伝子のクローニングの各段階で得られる試料、例えば、DNAライブラリー、標的mRNAを含む試料、1st strand cDNAを含む試料、アダプターが付加された1st strand cDNAを含む試料、PCR産物がその中にサブクローニングされたプラスミドを含む試料であり得る。
【0026】
本明細書において、「RecAタンパク質」とは、二本鎖核酸の一方のストランド中に存在する領域に、該領域と相同な一本鎖核酸を結合させることにより、前記領域に三本鎖構造を形成させ得るタンパク質を意味する。RecAタンパク質は、相同的組換え、DNAの修復、又は大腸菌のSOS遺伝子の発現等に関与することが知られている。RecAタンパク質の中では、大腸菌やλファージのRecAタンパク質が最も有名である。しかしながら、大腸菌のRecAタンパク質に類似した構造及び機能を有するタンパク質は、大腸菌以外の生物にも広く分布していることが知られており、これらのタンパク質は、一般に、RecA類似タンパク質と呼称されている。本明細書において、「RecAタンパク質」には、大腸菌やλファージのRecAタンパク質のみならず、RecA類似タンパク質も含まれる。また、RecA活性を有するRecAタンパク質の一部の断片であってもよい。
【0027】
前述のように、RecAタンパク質は、一本鎖核酸を二本鎖核酸にランダムに結合させるのではなく、二本鎖核酸の一方のストランド中に存在する相同な領域に結合させる。二つの核酸が「相同」であるということは、RecAタンパク質を介して特異的な三本鎖構造を形成し得る程度に、両核酸が同一であるか、又は類似していることを意味する。「類似」とは、例えば、二つの塩基配列が少なくとも60%、好ましくは80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の同一性であり得る。
【0028】
RecAタンパク質は上記のごとき機能を有しているので、前記試料に、RecAタンパク質及び相同な第一の核酸プローブを添加すると、該第一の核酸プローブは、標的核酸の一方のストランド中に存在する相同な部分に結合する。
【0029】
標識を導入すべき領域が、末端領域に位置していないときには、該領域が末端領域に位置するように標的核酸の一部を切除してから、本発明の方法を適用すればよい。あるいは、一度環状の核酸にしてから、特定領域が末端領域にくるように再び切断してもよい。また、標的核酸が、環状の核酸であるときには、三本鎖核酸を形成させる前に、又は形成させた後に、所望の処理を施すべき領域が末端領域に位置するように環状の標的核酸を切断すればよい。
【0030】
なお、本明細書において、標的核酸の「末端領域」とは、標的核酸の終末端と標的核酸の終末端から400番目、より好ましくは200番目、より好ましくは150番目、より好ましくは100番目、より好ましくは80番目、さらに好ましくは60番目、さらに好ましくは50番目、さらに好ましくは40番目、さらに好ましくは20番目、さらに好ましくは10番目の塩基との間に位置する領域(各終末端を含む)を意味する。
【0031】
末端領域の終末端の形状は、平滑末端と突出末端(一般的に、付着末端とう称す)のうち何れでもよい。
【0032】
標的核酸の末端領域に結合させるべき第一の核酸プローブは、少なくとも20塩基以上、より好ましくは30塩基以上、さらに好ましくは40塩基以上、最も好ましくは50塩基以上の長さを有する。以下の実験例に詳述されているように、第一の核酸プローブが短すぎると、三本鎖構造が安定に形成されないので、標的核酸の長さに応じた適切な長さを有する第一の核酸プローブを使用しなければならない。
【0033】
第一の核酸プローブには、後段の工程において、標識された第二の核酸プローブがハイブリダイズされる。それ故、第一の核酸プローブの一部が、標的核酸から、好ましくは5ヌクレオチド以上、より好ましくは10ヌクレオチド以上突出するように、標的核酸に結合しなければならない。第一の核酸プローブの一部は、該プローブの中間部分であってもよく、末端部分であってもよい。ここで、中間部分とは、終末端を含まないプローブの一部であり、末端部分とは、終末端を含むプローブの一部である。
【0034】
第一の核酸プローブの突出部分の塩基配列は、所望に応じて、任意の配列であり得る。
【0035】
下記の実験例に詳述されているように、前記第一の核酸プローブが、RecAタンパク質を介して標的核酸に結合する場合、第一の核酸プローブの方向性によっては三本鎖構造が形成されないことがある。従って、本発明の方法を実施するには、適切な方向性を有する核酸プローブを使用する必要がある。典型的には、三本鎖構造を形成させるべき末端領域において5’末端を有するストランドと相同な配列を有する核酸プローブを使用すれば、三本鎖構造が形成される。
【0036】
安定な三本鎖構造を得るためには、三本鎖構造の両末端のうち外側(すなわち、標的核酸の終末端側)に存在する末端が、標的核酸の終末端から100番目の塩基、より好ましくは50番目の塩基、さらに好ましくは20番目の塩基、さらに好ましくは10番目の塩基よりも外側に位置することが好ましい。
【0037】
RecAタンパク質は、本来、ATPの存在下において、相同的な組換えを触媒するタンパク質なので、前記試料中にATPが存在すると相同的組換えが進行して、三本鎖構造は直ぐに消滅してしまう。従って、本発明の方法を実施する場合には、少なくとも三本鎖核酸を形成させているときと、三本鎖核酸を形成させた後には、試料中にATPが4.8mM以上存在してはならならない。好ましくは、ATPの濃度は、0.48mM以下であり、ATPが試料中に存在しないことが最も好ましい。
【0038】
RecAタンパク質を介して三本鎖構造を形成させるためには、ATPの機能を代替し得る物質、例えば、ATP−γSのようなATP類似体を添加しなければならない。
【0039】
<第二の工程>
前工程に続いて、前記標的核酸に結合したRecAタンパク質を解離させる工程を実施する。本工程において、標的核酸からRecAタンパク質を解離させることによって、続く最後の工程で、標識された第二の核酸プローブの第一のプローブへのハイブリダイゼーションが容易になる。
【0040】
標的核酸の末端領域に形成された三本鎖構造は、RecAタンパク質が該領域から解離しても維持される。それ故、本工程において、前記標的核酸からRecAタンパク質を解離させれば、RecAタンパク質を介さずに形成された三本鎖構造が得られる。
【0041】
標的核酸からのRecAタンパク質の解離は、フェニール/クロロホルムまたはフェノール単独を添加する等の除タンパク操作、SDSのような界面活性剤の添加、タンパク質分解酵素の添加、またはSDS+分解酵素の添加のような簡易な操作によって行い得る。
【0042】
<第三の工程>
続いて、第一の核酸プローブの前記突出部分に、標識された第二の核酸プローブをハイブリダイズさせれば、標識が導入された核酸が得られる。
【0043】
第二の核酸プローブ中の標識は、一般的に使用される検出可能な標識および特異的に分離することが可能な標識であればよい。例えば、検出可能な標識は、検出可能であればどのような標識であってもよく、例えば、蛍光物質や化学発光物質等の発光物質、放射性同位体、酵素、ハプテン、抗原及び抗体等を使用できる。また、「特異的に分離することが可能な標識」とは、互いに高親和性を有し特異的に結合する結合対の一方であればよく、例えば、アビジン若しくはストレプトアビジンとビオチンの何れか一方、抗原と抗体のどちらか一方等である。
標識は、第二の核酸プローブ中の何れの部分に存在してもよく、例えば、プローブの末端、又はプローブの内部に標識することができる。
【0044】
第二の核酸プローブは、必要に応じて、1つのプローブにおいて複数の標識、即ち、2以上の標識を具備させてもよい。
【0045】
第二の核酸プローブは、典型的には、第一の核酸プローブの突出部分と相補的な塩基配列を有する。しかしながら、前記突出部分とハイブリダイズすることができれば、第一の核酸プローブの突出部分と完全に相補的な塩基配列でなくてもよい。また、第二の核酸プローブは、前記突出部分より短くてもよく、あるいは長くてもよい。
【0046】
以上が、本発明の方法の基本的な操作であるが、以下に示すように、これらの各操作を改変した操作を行ってもよく、さらに、上記各操作に新たな操作を適宜付加してもよい。
【0047】
新たな操作としては、最後の工程に続いて、第二の核酸プローブを標的核酸にライゲートする操作を挙げることができる。第二の核酸プローブを標的核酸の一方のストランドの終末端にライゲートすれば、標識が強固に導入された核酸を得ることができる。ライゲーションは、典型的には、リガーゼ等の酵素によってなし得る。
【0048】
このような操作を行った後には、標的核酸に結合している第一の核酸プローブを標的核酸から解離させて三本鎖構造を解消させる操作を行ってもよい。三本鎖構造を解消させるためには、例えば、熱処理、アルカリ処理、酵素処理(例えば、DNAポリメラーゼ処理等)を使用し得る。あるいは、三本鎖構造を解消しやすくするために、予め第一の核酸プローブに変異を導入しておくことも有用である。変異が導入された核酸プローブは、標的核酸への結合性が弱いために三本鎖構造を解消させやすい。
【0049】
さらに、本発明の基本的な操作が終了した後に、標的核酸を一本鎖にする操作を行ってもよい。標的核酸を一本鎖にするためには、例えば、アルカリ処理、熱処理等の周知の方法を使用することができる。
【0050】
また更に、本発明の方法を1つの核酸に対して複数回繰り返して行い、1つの核酸に複数の標識を導入することも可能である。複数回繰り返して行う場合、好ましくは、第1の実施の後に得られた核酸における三本鎖構造を解消し、その後で第2の実施をする。これにより、所望する複数の部位に所望する標識を導入することが可能である。
これらの各操作によって得られる何れの核酸も本発明の範囲に属する。本発明の態様において得られた核酸は、例えば、サザンハイブリダイゼーション法のプローブおよびDNAチップのプローブ等として使用することができる。また、本核酸は、遺伝子の直接クローニングに使用してもよい。
【0051】
得られた核酸は、一部三本鎖構造を有した二本鎖DNA分子として使用してもよい。または、一部三本鎖構造を有した二本鎖DNA分子若しくは二本鎖DNA分子として使用し、使用工程の途中で、通常のDNA変性条件下で変性することにより一本鎖DNA分子としてもよい。或いは、同様に変性することにより、標識された一本鎖DNA分子、未標識一本鎖DNA分子、またはそれらの混合物として使用してもよい。使用者の所望に応じて自由に使用することが可能である。一部三本鎖構造を有した二本鎖DNA分子または二本鎖DNA分子として扱えば、標識されたストランドに蓋がされている状態なので、他の核酸との不要なハイブリダイゼーションや、一本鎖DNAにおける相補的配列による不要な結合を防ぐことができて扱いやすい。
【0052】
例えば、一部三本鎖構造を有した二本鎖DNA分子または二本鎖DNA分子の標識物質を利用してDNAチップを製造した場合、従来のものに比較して非常に高密度にDNAプローブを具備するDNAを容易に製造することが可能である。それにより、ハイブリダイゼーションの効率は向上する。また、上記の分子からなるプローブを標識物質を利用して支持体に固定した後で、未標識のストランドを取り除くことによって得られるDNAチップは、相手鎖による立体障害を受けずに、効率よくハイブリダイゼーションが実施できる。
【0053】
また、本発明の態様に従えば、任意の長さのDNAに標識を入れることが可能であり、且つその標識は、DNA片側鎖の末端付近または非末端領域に限定して入れることができる。従って、当該標識を指標として、直接的に、特定のDNA分子の存否を検出することも可能だある。そのような標識プローブも本発明の範囲に含まれるものである。
【0054】
本発明の更なる態様に従うと、上述の方法によって作成された標識核酸、標識核酸が固定化された担体も提供される。
【0055】
従来の一般的なDNAチップの製造方法は、固体担体上で直接にDNAを合成する方法や、点着により静電気的に固体担体上にDNAを固定化する方法である。しかしながら、前記の直接に合成する方法では、多くて10bpのDNAを固相化できるに過ぎない。また、静電気的によって固体担体上にDNAを固定化する方法は、固定されるDNAの密度を高めることが困難である。更に、こうして得られたDNAチップは、固体担体に対するDNAの結合力が弱く、反復使用することは難しい。更にまた、DNAチップ上でとることのできるDNAの構造に起因して、安定なハイブリダイゼーションが達成され難い。
【0056】
本発明により提供される標識核酸を用いて製造された核酸が固定化された担体は、上記のような従来の方法で生じた問題を解決する。即ち、長い塩基配列を有する核酸を固定化することが可能であり、固定されるDNAの密度を高くすることが可能であり、且つ安定したハイブリダイゼーションが達成される。
【0057】
標識核酸を担体に固定化する方法としては、担体表面にアミノ基を形成する方法、または核酸に導入された標識と特異的に結合する物質を担体表面に配置する方法等が挙げられる。
【0058】
固体表面にアミノ基を形成する方法は、それ自身公知の方法であり、例えば、シラン処理によりアミノ基を形成し、必要な箇所にマスクを施した後、光反応によって標識核酸を固定化することが可能である。
【0059】
また、前記特異的に結合する物質を担体表面に配置する方法では、例えば、標識核酸に含まれる標識としてビオチンを用い、且つ担体表面にアビジンまたはストレプトアビジンを配置し、それらを特異的に結合させることにより達成できる。
本発明の標識された核酸を使用することによって、高集積率で標識核酸を固定化することが可能である。このような効果は、核酸の末端に導入された標識部分のみによってプローブが担体に固定されているために得られる効果である。従って、本発明の担体を使用すれば、検出試料中の標的核酸とプローブとを安定してハイブリダイズすることが可能である。
また、前述ではビオチンとアビジンとを用いた例を示したが、これに限定されるものではない。ここで使用する「結合対」の語は、相互に結合を形成しうる構成員を意味し、本発明のプローブを固体支持体に固定化しうるものであれば、互いに高親和性で結合する物質の何れかであっても、官能基であっても、分子の一部若しくは残基であってもよい。一般的には、結合対は、生物学的な特異的結合を相互に形成しうる可能基または分子の一部若しくは残基、或いは化学的に共有結合を形成しうる官能基または分子の一部若しくは残基であってもよい。かような共有結合は、例えば、二官能性の有機化合物由来のスペーサーを介して形成されるようなものであってもよい。
生物学的な特異的結合を形成する結合対としては、これに限定するものではないが、例えば、ビオチン類とアビジン類、抗原(または抗原決定基)と抗体、オリゴ糖とレクチン、等の組み合わせを使用することが可能である。本発明の態様に従って製作されるDNAの固定化された固体支持体をDNAチップとして使用する場合には、ビオチン類とアビジン類を選択することが好ましい。即ち、ビオチン類とアビジン類を使用すると、ハイブリダイゼーション操作において精度よく反復使用が可能であり、更に、固定化したDNAを剥がして回収することが容易である。従って、固体支持体の再利用が可能である。
ビオチン類としては、例えば、ビオチン、ビオシチン、デスチオビオチン、オキシビオチン、およびアビジンと安定な複合体を形成しうるこれらの誘導体等から選択して使用してよい。一方、アビジン類としては、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、およびビオチンと安定な複合体を形成しうるこれらの改変体から選択して使用してよい。ここで、「安定な複合体を形成しうる」とは、ビオチン−アビジン複合体の解離定数(10−15M)に近似する解離定数を有する複合体を形成することができることを意味する。また、「改変体」とは、天然由来のアビジンまたはストレプトアビジンの修飾体若しくは断片、またはそれらの組換え体を意味する。また、結合対のどちらを標識として使用してよく、従って、どちらを担体表面に配置してもよい。
化学的に共有結合を形成しうる官能基または分子の一部若しくは残基も、タンパク質や核酸を固相に共有結合を介して固定化するのに使用できる。本発明において、使用できる化学的に共有結合を形成しうる官能基または分子の一部若しくは残基は、当該固定に一般的に使用されるものであればよい。例えば、アミノ基、水酸基、スルフヒドリル基、カルボキシル基、イソシアネート基およびチオイソシアネート基等、並びにこれらの基を含む原子団等である。アミノ基を担持するDNAを提供する場合、例えば、置換反応における基質として、dNTPの一部にN−(6−アミノヘキシル)dATPを用いることもできる。
上記の結合対のうち、核酸プローブ中の標識として使用するのに好ましいものは、相同的組換えに悪影響を及ぼさないものである。例えば、ビオチン類、結合対の一員、例えば、イソシアネート若しくはチオイソシアネート基またはこれらを官能基として有する原子団(例えば、C1−16の酸素原子で中断されてもよいアルキレン鎖等)を挙げることができる。また、イソシアネート若しくはチオイソシアネート基またはこれらを官能基として有する原子団は、アミノ基を表面に担持する固体支持体を容易に得ることが可能である。
標識核酸を固定化すべき担体は特に限定されず、例えば、シリコン基板、ニトロセルロース製やナイロン製等のフィルター、ポリプロピレンやポリエチレン製等のマイクロタイタープレート、スライドガラス等のガラス板を挙げることができるが、これらに限定されない。従って、標識核酸が固定化された担体には、いわゆるDNAチップやマイクロアレイと称される核酸固定化担体が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、結合対間の相互の結合形成に悪影響を及ぼさないものであれば、天然物質または合成樹脂等を問わずどの様な材質であってもよく、どのような形状であってもよい。また、固体支持体の取りうる形状は、上記の例に限るものではなく、例えば、平板、マイクロウェル、ビーズおよびスティック等であってもよい。
【0060】
固体支持体の表面の性状は、一般的に非孔質であることが好ましい。また、操作の便宜上、固体支持体は磁性体や電極の形態に加工されてもよい。
【0061】
以下、実験例及び実施例に従って、本発明をさらに詳細に説明するが、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0062】
実施例1
三本鎖形成の、各反応成分の依存性
ターゲットDNAとしてM13mp18RF DNAを制限酵素SnaBIで直鎖状にしたものと、そのターゲットDNAの末端部位の配列を持つ60merのオリゴヌクレオチド1を用意した。オリゴヌクレオチドは、T4Polynucleotide kinaseと[γ−32P]ATPを用いて、32Pで5′末端を標識した。ターゲットDNAと標識オリゴヌクレオチド1との間の三本鎖形成反応は、1pmolの標識オリゴヌクレオチド1、3.0μgのRecAタンパク質、4.8mM ATP−γS、200ngのターゲットDNAを、20mM酢酸マグネシウム、30mM酢酸トリス(pH7.2)中で、37℃で30分間保温した。反応後に、0.5%(W/Vol)SDS、0.7mg/mlプロティナーゼKを加え、37℃で30分間保温することにより、除タンパクを行った。その半分量について、1%アガロースゲル電気泳動を行った。泳動後にゲルをエチジウムブロミド染色し、DNAの写真を記録した。その結果を図2(B)に示す。ゲルをろ紙の上に載せてゲル乾燥器で乾燥させた後、ゲルのオートラジオグラムをとり、標識プローブからのシグナルをX線フィルム上に記録した。その結果を図2(A)のレーン1に示す。
【0063】
レーンMは、DNAサイズマーカーで、図面の左端にそのサイズを示す。このサイズマーカーは、λDNAを制限酵素HindIII で切断し、T4Polynucleotide kinaseと[γ−32P]ATPを用いて、32Pで5′末端標識したものである。レーン2は、RecAを加えないで反応を行った以外は、レーン1と同じである。レーン3は、ATP−γSを加えないで反応を行った以外は、レーン1と同じである。レーン4は、RecAとATP−γSを加えないで反応を行った以外はレーン1と同じである。レーン5は、32P標識オリゴヌクレオチド2を用いて反応を行った以外はレーン1と同じである。レーン6は、32P標識オリゴヌクレオチド3を用いて反応を行った以外はレーン1と同じである。レーン7は、ターゲットDNAとして、pBR322DNAを制限酵素ScaIで切断したものを用いたことと、その末端部位の配列をもつ32P標識オリゴヌクレオチド3を用いたこと以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。
【0064】
Figure 0005128031
【0065】
この結果から言えるとは、レーン1に示すように、三本鎖形成には、全ての反応成分が反応に加える必要がある。また、そのとき用いるオレゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド1のような配列方向性を持った配列を持ったものを用いる必要がある。
【0066】
実施例2
三本鎖形成反応における、用いるオリゴヌクレオチドの配列方向性
図3(A)のレーン1は、図2(A)のレーン1と同じ反応を行ったものである。レーン2は、32P標識オリゴヌクレオチド2を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン3は、標識オリゴヌクレオチド4を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン4は、標識オリゴヌクレオチド5を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。(B)は(A)と同じアガロースゲルの、DNA全染色写真を示す。
【0067】
この結果から言えるとは、直鎖状ターゲットDNAの両末端部位で三本鎖形成が可能であり、そのとき用いるオリゴヌクレオチドは、ターゲットの両末端配列の一方の方向を持った配列でなければならない。
【0068】
Figure 0005128031
【0069】
実施例3
三本鎖形成反応に必要とされる、オリゴヌクレオチドの長さ
図4(A)のレーン1は、オリゴヌクレオチド6を用いたこと以外は、図2(A)のレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン2は、図2(A)のレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン3は、レーン1で用いたオリゴヌクレオチドの5′末端部位を30mer削った標識オリゴヌクレオチド7を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン4は、レーン1で用いたオリゴヌクレオチドの5′末端部位を40mer削った標識オリゴヌクレオチド8を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン5は、レーン1で用いたオリゴヌクレオチドの5′末端部位を50mer削った標識オリゴヌクレオチド9を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン6は、レーン1で用いたオリゴヌクレオチドの5′末端部位を60mer削った標識オリゴヌクレオチド10を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン7は、レーン1で用いたオリゴヌクレオチドの5′末端部位を70mer削った標識オリゴヌクレオチド11を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。図4(B)は、泳動後にゲルをエチジウムブロミド染色し、DNAの写真を記録した結果を示す。
【0070】
Figure 0005128031
【0071】
この結果から言えるとは、三本形成に必要なオリゴヌクレオチドの長さは、望むべくは、40mer以上が必要であることがわかる。
【0072】
実施例4
三本鎖形成反応に必要とされる、オリゴヌクレオチド配列の位置関係
図5(A)のレーン1は、図2(A)のレーン1と同じ反応を行ったものである。レーン2は、ターゲットDNAの末端10塩基を残した末端部位の配列をもつオリゴヌクレオチド12を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン3は、ターゲットDNAの末端20塩基を残した末端部位の配列をもつオリゴヌクレオチド13を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。レーン4は、ターゲットDNAの末端30塩基を残した末端部位の配列をもつオリゴヌクレオチド14を用いた以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。図5(B)は、泳動後にゲルをエチジウムブロミド染色し、DNAの写真を記録した結果を示す。
【0073】
Figure 0005128031
【0074】
この結果から言えるとは、三本形成に必要なオリゴヌクレオチド配列は、望むべくは、ターゲットDNA末端から20ベースまでDNA鎖の内部に入った配列からはじまるターゲットDNAの配列をもつものが望ましいことがわかる。
【0075】
実施例5
ターゲットDNAの標識における、各反応成分の依存性
ターゲットDNAとしてpBluescriptIISK+DNAを制限酵素NotIで直鎖状にしたものと、そのターゲットDNAの末端部位の配列を持つオリゴヌクレオチド15を用意した。ターゲットDNAとオリゴヌクレオチド15との間の三本鎖形成反応は、50pmolのオリゴヌクレオチド15、5.0μgのRecAタンパク質、4.8mM ATP−γS、200ngのターゲットDNAを、20mM酢酸マグネシウム、30mM酢酸トリス(pH7.2)中で、37℃で30分間保温した。反応後に、0.5%(W/Vol)SDS、0.7mg/mlプロティナーゼKを加え、37℃で30分間保温することにより、除タンパクを行った。その後、40μlのTE緩衝液(10mM Tris−HCl、1mM EDTA)を加え、60μlとして、フェノール・クロロフォルム抽出を1回行った後、S−400スピンカラム(アマシャムファルマシアバイオテク社製)の操作を1回行い、未反応のオリゴヌクレオチド15を除去を行った。エタノール沈殿を行い、濃縮させたDNAを10μlの蒸留水に溶かした後、1pmolの32P標識オリゴヌクレオチド16、20mM Tris−HCl(pH8.3)、25mM KCl、10mM MgCl2、0.5mM NAD、0.01%TritonX−100、5unit Ampligase DNA ligaseを加え、50度60分間反応させることによりライゲーション反応を行った。ライゲーション反応後に、フェノール・クロロフォルム抽出を1回、クロロフォルム抽出を1回行った後、エタノール沈殿を行った。乾燥させたDNAペレットを、8μlの蒸留水に溶かした後、100mM NaCl、10mM Tris−HCl、10mM MgCl2、1mM dithiothreitol(pH7.4)、10unit ScaIを加えて、37℃で120分間保温した。その半分量について、1%アガロースゲル電気泳動行い、残り半分については、常法に従って0.7%アルカリアガロースゲル電気泳動を行った。アガロースゲル電気泳動後のゲルについては、泳動後にゲルをエチジウムブロミド染色しDNAの写真を記録した。ゲルをろ紙の上に載せてゲル乾燥器で乾燥させた後、ゲルのオートラジオグラムをとり、標識プローブからのシグナルをX線フィルム上に記録した。その結果を図6(A)のレーン1に示す。レーン2は、ATP−γSを加えないで、レーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン3は、Ligaseを加えないで、レーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン4は、オリゴヌクレオチド15を加えないでレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン5は、オリゴヌクレオチド15のかわりに、オリゴヌクレオチド17を加えてレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン6は、32P標識オリゴヌクレオチド16を三本鎖形成反応時に加えたことと、ライゲーションの反応を60度60分間行ったこと以外は、レーン1と同じ反応を行った結果を示す。図6(B)は、泳動後にゲルをエチジウムブロミド染色し、DNAの写真を記録した結果を示す。
【0076】
この結果から言えるとは、すべての反応成分が反応液に含まれる時のみ、もっとも高いターゲットDNAの標識効率が得られる。また、標識化の方法は、2つの方法が考えられる。
【0077】
Figure 0005128031
【0078】
実施例6
ターゲットDNAの標識における、ライゲーションの確認
図7(A)は、図6と同じサンプルを、0.7%アルカリアガロースゲル電気泳動した結果を示す。図7(B)は、実施例5でライゲーション反応後の制限酵素処理を、ScaIのかわりに、50mM potassium acetate、20mM tris−acetate、10mM magnessiumuacetate、1mM dithiothreitol(pH7.9)、100μg/ml BSA、10unit NlaIVで37度120分間反応させたサンプルを、4.5%変性ゲル電気泳動した結果を示す。
【0079】
この結果から言えるとは、すべての反応成分が反応液に含まれる時のみ、もっとも高いターゲットDNAの標識効率が得られ、かつ、ターゲットDNAに標識プローブが共有結合していることがわかる。
【0080】
実施例7
三本鎖形成による、ターゲットDNAの標識化
図8(A)のレーン1は、図6のレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーンMは、DNAサイズマーカーで、図面の左端にそのサイズを示す。このサイズマーカーは、λDNAを制限酵素HindIII で切断し、T4Polynucleotide kinaseと[γ−32P]ATPを用いて、32Pで5′末端標識したものである。レーン2は、RecAを加えないで反応を行った以外は、レーン1と同じである。レーン3は、ATP−γSを加えないで反応を行った以外は、レーン1と同じである。レーン4は、RecAとATP−γSを加えないで反応を行った以外はレーン1と同じである。図8(C)は、図8(A)と同じサンプルを、0.7%アルカリアガロースゲル電気泳動した結果を示す。
【0081】
実施例8
図9(A)のレーン1は、図8のレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン2は、オリゴヌクレオチド15を加えないでレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン3は、オリゴヌクレオチド15のかわりに、オリゴヌクレオチド17を加えてレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン4は、pBR322DNAを制限酵素ScaI断片の末端配列をもつ32P標識オリゴヌクレオチド3を用いたこと以外は、レーン1と同じ反応を行ったものである。図9(B)は、泳動後にゲルをエチジウムブロミド染色し、DNAの写真を記録した結果を示す。図9(C)は、図9(A)と同じサンプルを、0.7%アルカリアガロースゲル電気泳動した結果を示す。
【0082】
実施例9
図10(A)のレーン1は、図8のレーン1と同じ反応を行った結果を示す。レーン2は、次の反応を行った結果を示す。ターゲットDNAとしてpBluescriptIISK+DNAを制限酵素NotIで直鎖状にしたものと、そのターゲットDNAの末端部位の配列を持つオリゴヌクレオチド15とオリゴヌクレオチド15の末端から10merの配列に相補的な配列を持つオリゴヌクレオチド16を用意した。オリゴヌクレオチド16は、T4Polynucleotide kinaseと[γ−32P]ATPを用いて、32Pで5′末端を標識した。ターゲットDNAとオリゴヌクレオチド15との間の三本鎖形成反応は、5pmolのオリゴヌクレオチド15、3.0μgのRecAタンパク質、4.8mM ATP−γS、200ngのターゲットDNAを、20mM酢酸マグネシウム、30mM酢酸トリス(pH7.2)中で、37℃で30分間保温した。さらに、20mM Tris−HCl(pH8.3)、25mM KCl 10mM MgCl2 0.5mM NAD、0.01% TritonX−100、5units Ampligase DNA Ligase、1pmolオリゴヌクレオチド16を加え、60℃で60分間保温した。反応後に、0.5%(W/Vol)SDS、0.7mg/mlプロティナーゼKを加え、37℃で30分間保温することにより、除タンパクを行った。その半分量について、1%アガロースゲル電気泳動を行い、ゲルをろ紙の上に載せてゲル乾燥器で乾燥させた後、ゲルのオートラジオグラムをとり、標識プローブからのシグナルをX線フィルム上に記録した。図10(B)は、泳動後にゲルをエチジウムブロミド染色し、DNAの写真を記録した結果を示す。図101(C)は、図10(A)と同じサンプルを、0.7%アルカリアガロースゲル電気泳動した結果を示す。
【0083】
実施例10
ターゲットDNAの標識における、ライゲーションの確認
図11は、実施例9でライゲーション反応後の制限酵素処理を、ScaIのかわりに、50mM potassium acetate、20mM tris−acetate、10mM magnessiumu acetate、1mM dithiothreitol(pH7.9)、100μg/ml BSA、10unit NlaIVで37度120分間反応させたサンプルを、4.5%変性ゲル電気泳動した結果を示す。
【0084】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、高い部位選択制をもって、簡便に且つ短い時間で、二本鎖核酸の所望する部位に対して選択的に標識を導入することが可能である。詳しくは、核酸の末端が互いに等価であっても、所望する末端のみに標識を導入することが可能である。
【0085】
本発明の方法を用いれば、従来のPCR法において必須とされている更なる工程、例えば、得られた核酸の同定や目的とする核酸の精製等の工程を行う必要がない。
【0086】
また、本発明により得られる担体は、DNAプローブが高密度に固定されて提供される。
【0087】
【配列表】
Figure 0005128031
Figure 0005128031
Figure 0005128031
Figure 0005128031
Figure 0005128031
Figure 0005128031
Figure 0005128031
Figure 0005128031

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の態様において進行すると想定される反応を示すスキーム。
【図2】実験例1の結果を示す電気泳動の写真。
【図3】実験例2の結果を示す電気泳動の写真。
【図4】実施例3の結果を示す電気泳動の写真。
【図5】実験例4の結果を示す電気泳動の写真。
【図6】実験例5の結果を示す電気泳動の写真。
【図7】実験例6の結果を示す電気泳動の写真。
【図8】実験例7の結果を示す電気泳動の写真。
【図9】実験例8の結果を示す電気泳動の写真。
【図10】実験例9の結果を示す電気泳動の写真。
【図11】実験例10の結果を示す電気泳動の写真。
【符号の説明】
1.標的DNA 2.第一のプローブDNA 3.RecAタンパク質
4.プローブDNA・RecAタンパク質複合体 5.三本鎖DNA構造 6.第二のプローブDNA

Claims (3)

  1. 標識が導入された核酸を製造する方法であって、
    前記標識を導入すべき標的核酸を含む試料に、RecAタンパク質と、前記標的核酸の三重鎖構造を形成させるべき末端領域において5’末端を有するストランドの当該末端領域とハイブリダイズするように、当該標的配列の3’末端部位のヌクレオチド配列と少なくとも95%で相同な第一の核酸プローブとを添加することにより、前記第一の核酸プローブの一部が前記標的核酸から突出するように、ATPが4.8mM未満であり且つATP−γSが存在する条件下において前記RecAタンパク質を介して前記第一の核酸プローブを前記標的核酸に結合せしめる工程と;
    前記標的核酸に結合した前記RecAタンパク質を前記標的核酸から解離させる工程と;
    前記第一の核酸プローブの突出部分に、標識された第二の核酸プローブをハイブリダイズさせる工程と;
    前記第二の核酸プローブを前記標的核酸にライゲートすることにより、標識が導入された核酸を製造する工程と
    を備えた方法。
  2. 前記第一の核酸プローブが、前記標的核酸の三重鎖構造を形成させるべき末端領域において3’末端を有するストランドの当該末端領域と同一な配列である請求項1に記載の方法。
  3. 標識が導入された核酸を製造する方法であって、請求項1または2に記載の工程に、さらに、前記標的核酸に結合した前記第一の核酸プローブを、前記標的核酸から解離させる工程を備えた方法。
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