JPH0842650A - テンショナ - Google Patents

テンショナ

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JPH0842650A
JPH0842650A JP17683494A JP17683494A JPH0842650A JP H0842650 A JPH0842650 A JP H0842650A JP 17683494 A JP17683494 A JP 17683494A JP 17683494 A JP17683494 A JP 17683494A JP H0842650 A JPH0842650 A JP H0842650A
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condensate
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Tatsushi Seiyuu
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/08Means for varying tension of belts, ropes, or chains
    • F16H2007/0802Actuators for final output members
    • F16H2007/081Torsion springs
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/08Means for varying tension of belts, ropes, or chains
    • F16H7/0829Means for varying tension of belts, ropes, or chains with vibration damping means

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  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テンショナに備えられるスプリングサポート
15やインサートベアリング16等のダンピング部材
が、ポリアミド4−6樹脂を主成分とするものである場
合に、ポリアミド4−6樹脂の吸水性を改善して該吸水
性に起因するダンピング部材の寸法変化を抑制できるよ
うにする。 【構成】 ダンピング部材を、フェノール類及びホルム
アルデヒドの縮合物が10〜18wt%と、3〜15w
t%のアラミド繊維と、2〜10wt%のポリテトラフ
ルオロエチレン樹脂とがそれぞれポリアミド4−6樹脂
に添加された樹脂組成物により構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車エンジ
ンによる補機類駆動のためのVベルト等に所定の張力を
付与しかつその張力変動に応じて張力調整動作に対する
ダンピングの力を変化させるようにしたテンショナに関
し、特にダンピング部材の組成の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のテンショナとしては、例えば特
公昭62−2182号公報で示されるものが一般的に知
られており、駆動プーリと複数の従動プーリとの間に巻
き掛けられたベルトのプーリ間スパンを押圧して、駆動
プーリの回転力を全ての従動プーリに安定して伝達させ
るために用いられる。
【0003】具体的には、図1に例示するように、軸部
4を有して自動車エンジン等の固定体に固定される固定
部材1と、この固定部材1の軸部4に回動可能に外嵌合
されたボス部7を有するとともに、先端においてボス部
7の回動軸心Pと平行な軸心Q回りにプーリ8を回転自
在に支持するアーム部9が突設され、上記ボス部7にお
いて固定部材1に回動可能に支持された回動部材2とを
備えている。また、この回動部材2のボス部7外周側に
は、該回動部材2を固定部材1に対し所定方向に回動付
勢する捩りコイルばね3が配設されている。
【0004】さらに、上記捩りコイルばね3内周と回動
部材2のボス部7外周との間には鍔付き円筒状のスプリ
ングサポート15が、また回動部材2のボス部7内周と
固定部材1の軸部4外周との間には円筒状のインサート
ベアリング16がそれぞれ回動部材2の回動をダンピン
グするための合成樹脂製ダンピング部材として配設され
ている。そして、上記プーリ8が押圧するベルトの張力
変動に伴い、回動部材2が回動付勢方向とは逆の方向に
回動されるときに、回動部材2が回動付勢方向に回動す
るときよりも大きな力でその回動をダンピングし、この
ことでベルトの振動を効果的に抑制できるようになされ
ている。
【0005】また、上記公報に示されるものでは、大き
なダンピング力は必要ではないが、振幅の大きいベルト
振動をダンピングする場合のダンピング部材の樹脂材料
として、ザイテル(Zytel〔登録商標〕)を用いる
ことが提案されている。このザイテルは、ポリアミド6
−6樹脂を主たる成分とするものであって、比較的耐摩
耗性が高くかつ低摩擦性を有するものとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、上記のようなポリアミド樹脂は、アミド基が存在し
ていることから大気中の水分を吸収してしまうほどに吸
水性が大きく、このことで寸法が変化し易いという難点
がある。
【0007】つまり、ポリアミド樹脂をテンショナのダ
ンピング部材として用いると、寸法変化により摺動部分
でのクリアランスが必要以上に小さくなって、トルク変
動が大きくなり易いのである。逆に、摺動部分でのクリ
アランスが必要以上に大きくなると、今度はベルトの振
動を効果的に抑制することができず、摺動面の摩耗が著
しく多くなって内部発熱により寿命が短くなるととも
に、騒音が大きくなる。尚、耐摩耗性を改善するため
に、摺動面にグリースを塗布しておくことも考えられる
が、この場合には、使用期間が長くなるのに応じてグリ
ースが飛散してしまうので、根本的な対策とはならな
い。
【0008】この発明は斯かる諸点に鑑みてなされたも
のであり、その主な目的は、ベルトに所定の張力を付与
しかつダンピング部材の作動でベルト振動を抑えるよう
にしたテンショナにおいて、ダンピング部材の樹脂組成
を改良することで、該ダンピング部材の主要成分である
ポリアミド樹脂の吸水性を改善してダンピング部材の寸
法安定性を向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明では、ポリアミド樹脂にフェノール
類とアルデヒドとの縮合物を添加して、該縮合物の有す
るメチロール基と、上記ポリアミド樹脂の有するアミド
基の水素との間で脱水反応を生じさせ、このことで上記
ポリアミド樹脂の吸水性を低下させて寸法安定性が図れ
るようにした。
【0010】具体的には、この発明では、固定体に固定
可能な固定部材と、ベルトを押圧するためのプーリを有
し、該プーリがベルトを押圧する方向に移動可能に上記
固定部材により支持された可動部材と、これら固定部材
及び可動部材間に介装され、可動部材を固定部材に対し
所定方向に付勢する付勢手段と、これら固定部材及び可
動部材間に介装され、可動部材の移動をダンピングする
ダンピング部材とを備え、上記付勢手段の付勢力により
上記プーリにベルトを押圧させて所定の張力を付与する
一方、ベルト張力の変動時に可動部材が上記付勢方向と
は逆の方向に移動されるときにその移動をダンピング部
材によりダンピングするようになされたテンショナが前
提である。
【0011】そして、上記ダンピング部材は、ポリアミ
ド樹脂にフェノール類とアルデヒドとの縮合物が添加さ
れた樹脂組成物からなるものとし、上記縮合物は、樹脂
組成物が加熱されたときに上記ポリアミド樹脂のアミド
基の水素との間で脱水反応を起こして該縮合物をポリア
ミド樹脂と化学的に結合させる遊離メチロール基を含有
するものとする。
【0012】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、ポリアミド樹脂を、ポリアミド4−6樹脂と
する。
【0013】請求項3の発明では、上記請求項2の発明
において、縮合物は以下の構成を持つものとする。すな
わち、縮合物は、実質的に炭素、水素及び酸素の各原子
から構成され、かつメチレン基とメチロール基とフェノ
ール類の3官能性の残基とを主たる結合単位として含有
する。そして、上記残基は、フェノール類の2,4及び
6位のうちの1箇所でメチレン基と、また少なくとも他
の1箇所でメチロール基及びメチレン基の一方とそれぞ
れ結合しており、赤外線吸収スペクトルにおいて、メチ
ロール基に帰属する吸収であることを示す990〜10
15cm-1のピークでの吸収強度D990 〜1015、及びベ
ンゼン核の孤立の水素原子の吸収であることを示す89
0cm-1のピークでの吸収強度D890 と、ベンゼンに帰
属する吸収であることを示す1600cm-1のピークで
の吸収強度D1600との各比がそれぞれ、 D990 〜1015/D1600=0.2〜9.0 D890 /D1600=0.09〜1.0 であり、さらに、遊離フェノールの含有量が液体クロマ
トグラフィによる測定値として500ppm以下であ
り、かつ粒径が1〜150μmの球状一次粒子ないし二
次凝集物からなるものとする。
【0014】請求項4の発明では、上記請求項3の発明
において、ダンピング部材は、10〜18wt%の縮合
物がポリアミド4−6樹脂に添加された樹脂組成物から
なるものとする。
【0015】請求項5の発明では、上記請求項4の発明
において、ダンピング部材は、縮合物に加えて、3〜1
5wt%のアラミド繊維と、2〜10wt%のポリテト
ラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFEと称す)とが
それぞれポリアミド4−6樹脂に添加された樹脂組成物
からなるものとする。
【0016】請求項6の発明では、上記請求項5の発明
において、固定部材は軸部を有するものとするととも
に、可動部材は上記固定部材の軸部にその先端側から回
動可能に外嵌合されるボス部を有するものとする。一
方、付勢手段は、上記可動部材のボス部外周側に配置さ
れかつ該可動部材を固定部材に対し所定方向に回動付勢
する捩りコイルばねとする。そして、この構成のテンシ
ョナに対し、ダンピング部材は、上記捩りコイルばねと
可動部材のボス部との間に介装されかつ固定部材側に回
止めされた状態で内周面がボス部外周面に摺接可能なス
プリングサポートとする。
【0017】請求項7の発明では、上記請求項5の発明
において、テンショナが上記請求項6と同じ前提のもの
である場合に、ダンピング部材は、可動部材のボス部と
固定部材の軸部との間に介装されかつ固定部材側に回止
めされた状態で外周面がボス部内周面に摺接可能なイン
サートベアリングとする。
【0018】請求項8の発明では、上記請求項6又は7
の発明において、少なくとも可動部材のボス部はアルミ
ニウム合金からなるものとする。
【0019】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、ダン
ピング部材は、ポリアミド樹脂に、フェノール類とアル
デヒドとの縮合物が添加された樹脂組成物により構成さ
れる。この縮合物は、いわゆるフェノール樹脂であっ
て、一般に、結合単位の1つとして、ある程度の量の遊
離メチロール基を有するので、このメチロール基が上記
ポリアミド樹脂のアミド基の水素と脱水反応を起こすこ
とで、該ポリアミド樹脂と化学的に結合して硬化し、こ
れによりポリアミド樹脂の吸水性が改善される。したが
って、ポリアミド樹脂の吸水性に起因する寸法変形が抑
えられ、よってダンピング部材の寸法安定性が向上す
る。
【0020】請求項2の発明では、ポリアミド樹脂とし
て、ポリアミド4−6樹脂が用いられる。このポリアミ
ド4−6樹脂は、例えばポリアミド6−6樹脂等の他の
ポリアミド樹脂に比べてガラス転位点及び融点が高く、
その分だけ耐熱性に優れている。また、ポリアミド4−
6樹脂は、耐摩耗性についてもポリアミド6−6樹脂よ
りも優れている。よって、ダンピング部材の耐熱性及び
耐摩耗性の向上が図れる。
【0021】請求項3の発明では、上記ポリアミド4−
6樹脂に添加されるフェノール/アルデヒド縮合物は、
赤外線吸収スペクトルにおいて、メチロール基に帰属す
る吸収であることを示す990〜1015cm-1のピー
クでの吸収強度D990 〜1015と、ベンゼンに帰属する吸
収であることを示す1600cm-1のピークでの吸収強
度D1600との比が、D990 〜1015/D1600=0.2〜
9.0であることから、ある程度の量の遊離メチロール
基を含有し、しかも遊離フェノールの含有量が500p
pm以下と極めて少ないので、該メチロール基は加熱さ
れるとそれ自体が架橋反応すると同時に、ポリアミド4
−6樹脂のアミド基の水素と化学的に結合して硬化す
る。これらのことで、ポリアミド4−6樹脂の吸水性が
改善されるとともに、ダンピング部材の強度についても
その向上が図れる。
【0022】請求項4の発明では、上記縮合物はポリア
ミド4−6樹脂に10〜18wt%の範囲で添加される
ので、添加量が10wt%未満である場合の添加による
特性の向上効果不足を招くことはなく、良好な特性が得
られる一方、添加量が18wt%を超える場合の問題、
つまり反応水の発生量が多過ぎて樹脂組成物のコンパウ
ンド作製が困難になるという事態が回避される。
【0023】請求項5の発明では、上記縮合物に加え
て、アラミド繊維がポリアミド4−6樹脂に添加される
ことにより、ダンピング部材の強度、耐衝撃性及び耐摩
耗性が向上する。
【0024】このとき、アラミド繊維の添加量が3wt
%未満である場合には、その添加した効果が十分に発揮
されない。一方、添加量が15wt%を超える場合に
は、その容積量が多すぎてコンパウンド作製が困難にな
る。したがって、アラミド繊維の添加量が3〜15wt
%とされることで、斯かる事態を共に回避できる。尚、
ガラス繊維やカーボン繊維を添加すると、ダンピング部
材の摺動相手材がアルミニウム合金等の金属からなるも
のである場合に該相手材の摺動面を傷付けたり摩耗させ
たりし易いが、上記アラミド繊維であれば、そのような
虞れが少ないという利点もある。
【0025】また、上記アラミド繊維に加え、PTFE
がポリアミド4−6樹脂に添加されることで、ダンピン
グ部材の摩擦・摩耗特性が調整される。すなわち、一般
に摩擦係数が大きいほど振動抑制効果は上がるが、逆に
耐摩耗性が悪化して結果的に振動抑制効果自体が低下し
易くなり、このために、振動抑制効果の信頼性に問題が
生じるようになる。これに対し、PTFEの添加により
摩擦特性及び摩耗特性を調整でき、よって振動抑制効果
に対する信頼性の確保が図れる。
【0026】このとき、PTFEの添加量が2wt%未
満である場合には該添加による顕著な効果が得られな
い。一方、添加量が10wt%を超える場合には摩擦・
摩耗特性への添加効果が飽和状態に達して逆に物性が低
下する。これらのことから、PTFEは2〜10wt%
の範囲で添加される。
【0027】請求項6の発明では、上記ダンピング部材
が、捩りコイルばねと可動部材のボス部との間に介装さ
れかつ固定部材側に回止めされた状態で内周面がボス部
外周面に摺接可能なスプリングサポートであり、請求項
7の発明では、ダンピング部材が、回動部材のボス部と
固定部材の軸部との間に介装されてその外周面がボス部
内周面に摺接可能なインサートベアリングであるので、
これら発明では上記請求項5の発明での作用が具体的に
営まれる。
【0028】請求項8の発明では、少なくとも可動部材
のボス部がアルミニウム合金からなるものであるので、
アルミニウム合金等の金属からなる相手材の摺動面を傷
付けたり摩耗させたりする虞れが少ないという作用が十
分に発揮される。
【0029】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は実施例に係るテンショナTの全体構成を
示し、このテンショナTは、基本的に、例えば自動車エ
ンジン等の固定体に固定可能なアルミニウム合金からな
る固定部材1と、この固定部材1に組み付けられて回動
軸心P回りに回動可能に支持されたアルミニウム合金製
の可動部材としての回動部材2と、これら固定部材1及
び回動部材2間に縮装され、回動部材2を固定部材1に
対し図2の反時計回り方向に回動付勢する付勢手段とし
ての捩りコイルばね3とを備えている。
【0030】上記固定部材1は、先端側(図1の左下方
側)が開口された有底円筒状のリヤカップ部1aと、該
リヤカップ部1aの底壁中央から回動軸心P方向先端側
に向けて延びる軸部4と、リヤカップ部1aの外周に半
径方向外方に向けて延設された2つの取付部5とを有
し、これら取付部5に設けられた3箇所のボルト挿通孔
6において図外の取付ボルトにより固定体に固定するよ
うになされている。また、図示はしないが、上記リヤカ
ップ部1aの周壁には、この周壁を半径方向に貫通する
基端側係止孔が形成されている。
【0031】上記回動部材2は、基端側(図1の右上方
側)が開口されかつその開口部が上記リヤカップ部1a
の開口部と対向するフロントカップ部2aと、該フロン
トカップ部2aの底壁中央から回動軸心P方向基端側に
向けて延び、かつ固定部材1の軸部4にその先端側から
外嵌合されるボス部7と、上記フロントカップ部2aの
外周に半径方向外方に向けて突設され、その突端にボス
部7の回動軸心Pと平行な軸心Q回りにプーリ8が回転
自在に支持されたアーム部9とを有する。この回動部材
2は、ボス部7において固定部材1に回動可能に支持さ
れ、かつ固定部材1の軸部4先端に取り付けた略円形状
の金属板からなるフロントプレート10により合成樹脂
製のスラストワッシャ11を介して抜止めがなされてい
る。また、このフロントプレート10には規制片10a
が半径方向外方に向けて突設されており、フロントカッ
プ部2aの底壁外面側周壁の一部を切り欠いて設けられ
た切欠部12に該規制片10aが係合することで回動部
材2の回動範囲を規制するようになされている。一方、
上記アーム部9の突端には上記軸心Q方向に延びてプー
リ8を軸支する軸部9aが突設されており、プーリ8は
ダストシールド13を介してプーリボルト14により抜
止めがなされている。また、上記フロントカップ部2a
の周壁には、この周壁を半径方向に貫通する図外の先端
係止孔が形成されている。
【0032】上記捩りコイルばね3は、本体が左巻き
で、基端3a及び先端3bの何れもが本体から半径方向
外方に向けて突出する形状とされている。そして、上記
基端3aは固定部材1のリヤカップ部1a周壁における
基端側係止孔に、また先端3bは回動部材2のフロント
カップ部2a周壁における先端側係止孔にそれぞれ半径
方向に貫通して係止され、このことで、各端部3a,3
bは周方向の移動が規制されている。そして、これら両
端部3a,3bが係止された状態で本体が拡径する方向
に動作することにより、回動部材2を所定方向(図1の
反時計回り方向)に回動付勢するようになされている。
【0033】そして、上記回動部材2のボス部7外周側
には、ダンピング部材としてのスプリングサポート15
が介装されている。このスプリングサポート15は全体
形状が鍔付き円筒状をなしていて、その円筒状の本体部
15aの内周面がボス部7外周面に摺接可能とされてい
る。また、本体部15aの基端側開口縁にはリヤカップ
部1aの底壁内面に接する外向きフランジ状の鍔部15
bが周設されていて、この鍔部15aが捩りコイルばね
3の圧縮付勢力で上記底壁内面に押し付けられること
で、該スプリングサポート15が固定部材1側に固定さ
れるようになっている。
【0034】また、上記回動部材2のボス部7内周と固
定部材1の軸部4外周との間には、ダンピング部材とし
てのインサートベアリング16が介装されている。この
インサートベアリング16は両端が開口された円筒状を
なしている。そして、インサートベアリング16の外周
面及び回動部材2のボス部7内周面は、それぞれ先端側
が基端側よりも僅かに小径となる断面テーパ状に形成さ
れている。さらに、インサートベアリング16の内周面
及び固定部材1の軸部4外周面も、それぞれ先端側が基
端側よりも僅かに小径となる断面テーパ状に形成されて
いる。そして、図示はしないが、軸部4の外周には回動
軸心P方向に延びるキー溝が、またインサートベアリン
グ16の内周には上記キー溝に係入するキー部がそれぞ
れ設けられており、このことで、インサートベアリング
16の固定部材1側における回止めがなされている。
【0035】かくして、上記のように構成されたテンシ
ョナTは、例えば図2に示すような自動車エンジンの補
機類駆動機構に用いられる。ここでは、エンジンのクラ
ンクシャフト21に回転一体に連結した駆動プーリ22
と、パワーステアリング装置やオルタネータ、エアコン
ディショナ等の補器類をそれぞれ駆動するための複数の
従動プーリ23との間に巻き掛けられて同図矢印で示す
方向に走行されるVリブドベルトtに所定の張力を付与
すべく使用されている。上記テンショナTでは、回動部
材2のプーリ8に巻き掛けられたベルトtの張力変動に
伴い、スプリングサポート15の本体部15aが捩りコ
イルばね3の半径方向内方への押圧力で回動部材2のボ
ス部7に押し付けられて該本体部15a内周面の一部と
ボス部7外周面の一部との間に、また回動部材2のボス
部7が上記押圧力でインサートベアリング16に押し付
けられてボス部7内周面の一部と該インサートベアリン
グ16外周面の一部との間にそれぞれ摩擦力が生じ、こ
の摩擦力により上記回動部材2の回動がダンピングされ
る。そして、回動部材2が回動付勢方向と逆の方向(図
1の時計回り方向及び図2の反時計回り方向)に回動す
る際に、その回動をダンピングする摩擦力が回動付勢方
向に回動する際の摩擦力よりも大きくなされるので、ベ
ルト張力が急激に増大したときには回動部材2の回動が
抑えられ、このことで、ベルトtのばたつきが防止され
るようになる。
【0036】この発明の特徴として、上記スプリングサ
ポート15及びインサートベアリング16は、各々、ポ
リアミド4−6樹脂に、フェノール類とホルムアルデヒ
ドとの縮合物が添加された樹脂組成物により構成されて
いる。そして、上記フェノール類/ホルムアルデヒド縮
合物は、樹脂組成物が加熱されたときに上記ポリアミド
4−6樹脂の有するアミド基(−CONH)の水素との
間で脱水反応を起こして該縮合物をポリアミド4−6樹
脂と化学的に結合させる結合単位としての遊離メチロー
ル基(−CH2 OH)を含有している。
【0037】また、上記縮合物は、ポリアミド4−6樹
脂に10〜18wt%の範囲で添加されている。さら
に、上記樹脂組成物は、縮合物に加えて、3〜15wt
%のアラミド繊維と、2〜10wt%のPTFEとがそ
れぞれポリアミド4−6樹脂に添加されてなっている。
【0038】具体的には、上記縮合物は特公昭62−3
5418号公報に示されている樹脂組成物であって、実
質的に炭素、水素及び酸素の各原子から構成され、主た
る結合単位としてメチレン基とメチロール基とフェノー
ル類の3官能性の残基とを含有しており、上記残基は、
フェノール類の2,4及び6位のうちの1箇所でメチレ
ン基と、また少なくとも他の1箇所でメチロール基及び
メチレン基の一方とそれぞれ結合している。そして、赤
外線吸収スペクトルにおいて、メチロール基に帰属する
吸収であることを示す990〜1015cm-1のピーク
での吸収強度D990 〜1015、及びベンゼン核の孤立の水
素原子の吸収であることを示す890cm-1のピークで
の吸収強度D890 と、ベンゼンに帰属する吸収であるこ
とを示す1600cm-1のピークでの吸収強度D1600
の各比がそれぞれ、 D990 〜1015/D1600=0.2〜9.0 D890 /D1600=0.09〜1.0 となっている。さらに、遊離フェノールの含有量が液体
クロマトグラフィによる測定値として500ppm以下
であり、かつ粒径が1〜150μmの球状一次粒子ない
し二次凝集物から構成されている。
【0039】したがって、この実施例によれば、フェノ
ール類/ホルムアルデヒド縮合物は、結合単位の1つと
して有するメチロール基(−CH2 OH)がポリアミド
4−6樹脂のアミド基(−CONH)の水素と脱水反応
を起こすことで、該ポリアミド4−6樹脂と化学的に結
合して硬化するので、ポリアミド4−6樹脂の吸水性を
改善でき、よって、ポリアミド4−6樹脂の吸水性に起
因する寸法変形を抑えてスプリングサポート15及びイ
ンサートベアリング16の各寸法安定性を向上させるこ
とができ、さらには強度及び耐摩耗性の向上を図ること
もできる。
【0040】このとき、上記縮合物がポリアミド4−6
樹脂に10〜18wt%の割合で添加されているので、
縮合物の添加によるポリアミド4−6樹脂の特性の顕著
な向上効果を、樹脂組成物のコンパウンド作製のし易さ
が損なわれることなく得ることができる。すなわち、縮
合物の添加量が10wt%未満であると、ポリアミド4
−6樹脂の特性の向上効果が小さ過ぎて認められない。
一方、添加量が18wt%を超えると、樹脂組成物のコ
ンパウンド作製が困難である。
【0041】また、上記縮合物に加え、アラミド繊維を
添加したことにより、スプリングサポート15及びイン
サートベアリング16の強度、耐衝撃性及び耐摩耗性を
向上させることができる。
【0042】このとき、アラミド繊維の添加量が3wt
%未満であると、その添加した効果が十分に発揮されな
い。一方、添加量が15wt%を超えると、その容積量
が多すぎてコンパウンド作製が困難になる。よって、ア
ラミド繊維を3〜15wt%の範囲で添加することによ
り、コンパウンドの作製に支障が生じるのを回避しつ
つ、適正な強度、耐衝撃性及び耐摩耗性が得られるよう
になる。その上、ガラス繊維やカーボン繊維を添加した
場合に比べて、アラミド繊維では、摺動相手材としての
回動部材2のボス部7の摺動面を傷付けたり摩耗させた
りする虞れが少ないというメリットもある。
【0043】さらに、上記アラミド繊維に加え、PTF
Eを添加することにより、スプリングサポート15及び
インサートベアリング16の摩擦・摩耗特性を調整する
ことができる。すなわち、一般に摩擦係数が大きいほど
振動抑制効果は上がるが、逆に耐摩耗性が悪化して結果
的に振動抑制効果自体が低下し易くなり、振動抑制効果
の信頼性に問題が生じるようになる。
【0044】これに対し、PTFEを2〜10wt%の
範囲で添加しているので、PTFEの添加量が2wt%
未満である場合に該添加による顕著な効果が得られない
こと及び添加量が10wt%を超える場合に摩擦・摩耗
特性への添加効果が飽和状態に達して逆に物性が低下す
るという事態を共に回避することができる。
【0045】そして、上記ポリアミド4−6樹脂自体に
ついては、例えばポリアミド6−6樹脂等の他のポリア
ミド樹脂に比べてガラス転位点Tg及び融点Tmが高く
(例えば、ポリアミド6−6樹脂ではTg=66℃及び
Tm=262℃であるのに対し、ポリアミド4−6樹脂
ではTg=78℃及びTm=295℃)、その分だけ耐
熱性に優れている。また、耐摩耗性についてもポリアミ
ド6−6樹脂よりも優れている。
【0046】尚、上記実施例では、スプリングサポート
15及びインサートベアリング16のみをポリアラミド
が主成分の樹脂組成物で構成しているが、スラストワッ
シャ11を同じ樹脂組成物で構成してもよい。
【0047】また、上記実施例では、捩りコイルばね3
がスプリングサポート15及びインサートベアリング1
6を回動部材2のボス部7に押し付けてダンピング力を
発生させるようにしているが、テンショナの具体的なダ
ンピング発生機構はこれと異なる構成のものでもよい。
【0048】また、上記実施例では、付勢手段として捩
りコイルばね3を用いているが、例えば板ばね等を用い
てもよい。
【0049】さらに、上記実施例では、可動部材として
の回動部材2を固定部材1に回動可能に支持させている
が、可動部材の移動形態は回動に限定されるものではな
く、例えば直線上を往復移動するものであってもよい。
【0050】ここで、上記ダンピング部材の具体例につ
いて説明する。次の表1に示す配合でダンピング部材と
しての5種類の発明例1〜5を具体的に作製し、その動
摩擦係数、摩耗量〔単位:mm3 /h〕、曲げ弾性率
〔単位:MPa〕及び吸水率〔単位:%〕の各試験を行
った。尚、配合材料は、ポリアミド4−6樹脂としては
日本合成ゴム(株)製のものを、またフェノール類/ホ
ルムアルデヒド縮合物としては鐘紡(株)製の「ベルパ
ールR−800(商品名)」を、さらにアラミド繊維と
しては帝人(株)製の「テクノーラ(商品名)」をそれ
ぞれ使用した。
【0051】
【表1】
【0052】上記の表1に示すように、発明例1では、
縮合物及びアラミド繊維の各添加量が最も少ない一方、
PTFEの添加量が最も多くなっていて、10wt%の
縮合物、3wt%のアラミド繊維及び10wt%のPT
FEを、残部である77wt%のポリアミド4−6樹脂
にそれぞれ添加した。そして、発明例2〜5において縮
合物及びアラミド繊維の各添加量を徐々に増やしていく
一方、PTFEの添加量については徐々に減らしてい
き、発明例5では、18wt%の縮合物、10wt%の
アラミド繊維及び2wt%のPTFEを残部である70
wt%のポリアミド4−6樹脂にそれぞれ添加するよう
にした。
【0053】さらに、比較のために、上記の表1に併せ
て示す組成の4種類の比較例A〜Dを作製し、これらに
ついても同じ項目で試験するようにした。すなわち、比
較例Aでは、発明例1における縮合物の添加量を10w
t%から5wt%に減少させている。比較例Bでは、発
明例3における縮合物の添加量を0とした。また、比較
例Cでは、発明例4における縮合物の添加量を15wt
%から20wt%に増加した。また、比較例Dでは、比
較例Bにおいてポリアミド4−6樹脂をポリアミド6−
6樹脂に変更している。
【0054】評価用試験片の作製については、先ず、各
配合種を所定量ずつ配合して2軸式混練機により混練し
た後、それぞれペレット化した。このとき、比較例B及
びDを除き、混練時にポリアミドと縮合物との反応によ
り水蒸気が発生するために、真空ベント方式により該水
蒸気を排除しつつ行った。次に、上記各ペレットを用い
て、射出成形機により評価用試験片をそれぞれ成形し
た。尚、比較例Cのものは、混練中に反応水が多量に発
生して真空ベント方式を用いてもコンパウンドの作製が
困難であったため、試験片自体が得られず、以下の評価
をすることはできなかった。
【0055】ここで、各特性値を測定するための評価方
法について説明する。
【0056】(a) 動摩擦係数及び摩耗量 評価機として、図3に示す高サイクル型の往復摩擦試験
機を用いた。そして、各々、評価用試験片31を相手材
32に重ね合わせて所定の荷重で押し付け、該相手材3
2を同図上下方向に所定の振幅及び周波数で往復移動さ
せることで、動摩擦係数及び摩耗量を調べた。尚、同図
において、33は評価用試験片31が相手材32に押し
付けられる荷重を検出する面圧検出用ロードセル、34
は試験片31と相手材32との間の摩擦力を検出する摩
擦力検出用ロードセルである。試験条件としては、相手
材32にはテンショナTと同じアルミニウム合金からな
るアルミニウムダイカスト製の引張試験用ダンベルを用
い、試験荷重を57kgf(圧力:20MPa)、往復
振幅を±1.8mm、試験周波数を13.888Hz
(サイン波)とし、さらに自動車走行中のエンジンルー
ム内の状態を想定して110℃の雰囲気温度下で24時
間に亘り行った。そして、試験を開始して24時間が経
過した後の押付荷重及び摩擦力に基づいて動摩擦係数
を、また試験前後の試験片31の寸法及び重量に基づい
て摩耗量をそれぞれ算出した。この評価はテンショナT
の実使用の状況をよく反映しており、その評価項目であ
る動摩擦係数が0.1以上でかつ摩耗量が1.0mm3
/h以下であれば十分に実用に供し得るものとした。
【0057】(b) 弾性率(曲げ) ASTM−D−790に準拠して測定した。測定温度は
23℃である。
【0058】(c) 吸水率 JIS−K−7909に準拠し、23℃の温度下で72
時間に亘り水に浸漬して行った。
【0059】以上の結果を、上記表1に併せて示す。
尚、以下の説明では、簡単のために各単位を省略して示
す。先ず、共にアラミド繊維の添加量が7wt%でかつ
PTFEの添加量が5wt%である比較例B及びDを対
比すると、従来のスプリングサポート15及びインサー
トベアリング16の主要樹脂材として用いられているポ
リアミド6−6樹脂をポリアミド4−6樹脂に変更した
だけでも、摩耗量が1.76から0.93へと約2分の
1に減少しているとともに、弾性率が2.900から
3.410へと17%以上も増加しており、耐摩耗性及
び強度の向上していることが判る。反面、吸水率は2.
9から3.2へと増加しており、このことから、ポリア
ミド4−6樹脂の場合には吸水性に起因する寸法変化の
増大が懸念される。
【0060】これに対し、縮合物が10〜18wt%の
範囲で添加された発明例1〜5では、吸水率において、
該吸水率が最大である発明例1においても1.5と比較
例Bの3.2に比べて半分以下である。特に、18wt
%の縮合物が添加された発明例5では、0.9と比較例
Bの3分の1以下である。これらのことから、縮合物の
添加により、ポリアミド4−6樹脂の吸湿性を改善でき
ることが判る。
【0061】このとき、縮合物の添加量の下限値を考察
すると、発明例1及び比較例Aの対比により、縮合物の
添加量が10wt%から5wt%に減ることで、吸水率
が1.5から3.8へと上記比較例Bの3.2よりも大
きくなる。同時に、動摩擦係数が0.10から0.07
に低下するとともに摩耗量が0.79から1.15へと
増加して何れの評価基準値からも外れるようになる。こ
れらのことから、縮合物の添加量は10wt%以上であ
ればよいことが判る。一方、添加量が18wt%を超え
ると、比較例Cの場合と同じ理由からコンパウンドの作
製自体が困難である。したがって、縮合物の添加量の範
囲は10〜18wt%が適正である。
【0062】尚、上記縮合物の添加により、耐摩耗性及
び強度が向上することも判る。すなわち、発明例3及び
比較例Bから、15wt%の縮合物を添加すると、摩耗
量が0.93から0.38へと半分以下に減り、また弾
性率が3.410から3.851へと約10%ほど大き
くなる。つまり、縮合物の添加は、耐摩耗性及び強度を
向上させることができるという利点も有する。
【0063】次に、アラミド繊維の添加による効果につ
いて検証する。発明例1及び2を対比すると、共に縮合
物の添加量が10wt%でかつPTFEの添加量が10
wt%であって互いに同一であるときに、アラミド繊維
の添加量が3wt%から7wt%に増えることで、動摩
擦係数が評価基準の下限値である0.10よりも大きい
0.11になるとともに、摩耗量が0.79から0.5
3へと3分の2近くまで減少する。また、弾性率につい
ては、3.700から3.810へと約3%増える。こ
れらのことから、アラミド繊維の添加により耐摩耗性及
び強度を向上できることが判る。しかしながら、アラミ
ド繊維の添加量が3wt%よりも少なくなると、動摩擦
係数が0.10よりも小さくなり、一方、15wt%を
超えると、その容積量が多くなり過ぎてコンパウンドの
作製が困難であった。したがって、アラミド繊維の添加
量の範囲は3〜15wt%が適正であることが判る。
【0064】また、PTFEの添加効果については、発
明例2〜4を対比すると、その添加量が10wt%から
5wt%に、さらに2wt%へと減少することで、動摩
擦係数が0.11から0.13に、さらに0.15へと
大きくなる。これにより、PTFEを添加することで、
動摩擦係数を効率よく制御できることが判る。ところ
が、PTFEの添加量を10wt%以上に増やすと、動
摩擦係数が0.10よりも小さくなる虞れがあり、しか
も物性の低下が見られた。一方、2wt%よりも少なく
すると、動摩擦係数が大きくなり過ぎ、摩耗量も増大す
る傾向が見られた。したがって、PTFEの添加量の範
囲は2〜10wt%であることが判る。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、固定体に固定可能な固定部材と、ベルトを押圧
するためのプーリを有し、該プーリがベルトを押圧する
方向に移動可能に上記固定部材により支持された可動部
材と、これら固定部材及び可動部材間に介装され、可動
部材を固定部材に対し所定方向に移動付勢する付勢手段
と、上記固定部材及び可動部材間に介装され、可動部材
の移動をダンピングするダンピング部材とを備えたテン
ショナにおいて、上記ダンピング部材を、ポリアミド樹
脂にフェノール類とアルデヒドとの縮合物が添加された
樹脂組成物により構成し、上記縮合物を、樹脂組成物が
加熱されたときに上記ポリアミド樹脂のアミド基の水素
との間で脱水反応を起こして該縮合物をポリアミド樹脂
と化学的に結合させる遊離メチロール基を含有するもの
としたので、上記ポリアミド樹脂の吸水性を改善でき、
ポリアミド樹脂の吸水性に起因する寸法変形を抑えてダ
ンピング部材の寸法安定性を向上させることができる。
【0066】請求項2の発明によれば、上記ポリアミド
樹脂を、ポリアミド4−6樹脂としたので、上記請求項
1の発明による効果を具体的に得ることができ、かつダ
ンピング部材の耐熱性及び耐摩耗性を向上させることが
できる。
【0067】請求項3の発明によれば、上記縮合物を、
実質的に炭素、水素及び酸素の各原子から構成し、メチ
レン基とメチロール基とフェノール類の3官能性の残基
とを主たる結合単位として含有したものとし、上記残基
はフェノール類の2,4及び6位のうちの1箇所でメチ
レン基と、また少なくとも他の1箇所でメチロール基及
びメチレン基の一方とそれぞれ結合しており、赤外線吸
収スペクトルにおいて、メチロール基に帰属する吸収で
あることを示す990〜1015cm-1のピークでの吸
収強度D990 〜1015及びベンゼン核の孤立の水素原子の
吸収であることを示す890cm-1のピークでの吸収強
度D890 と、ベンゼンに帰属する吸収であることを示す
1600cm-1のピークでの吸収強度D1600との各比が
それぞれD990 〜1015/D1600=0.2〜9.0,D
890 /D1600=0.09〜1.0であり、遊離フェノー
ルの含有量が液体クロマトグラフィによる測定値として
500ppm以下であり、かつ粒径が1〜150μmの
球状一次粒子ないし二次凝集物からなるものであるとし
た。したがって、上記ポリアミド4−6樹脂の吸水性を
具体的に改善できるとともに、ダンピング部材の強度及
び耐摩耗性を向上させることができる。
【0068】請求項4の発明によれば、上記ダンピング
部材を、10〜18wt%の縮合物がポリアミド4−6
樹脂に添加された樹脂組成物からなるものとしたので、
樹脂組成物のコンパウンド作製の行い易さを損なうこと
なく、縮合物の添加によるポリアミド4−6樹脂の特性
の向上効果を良好に得ることができる。
【0069】請求項5の発明によれば、上記ダンピング
部材を、縮合物に加え、3〜15wt%のアラミド繊維
と2〜10wt%のPTFEとがそれぞれポリアミド4
−6樹脂に添加された樹脂組成物からなるものとしたの
で、ダンピング部材の強度、耐衝撃性及び耐摩耗性を向
上させることができるとともに、摩擦・摩耗特性を調整
してその振動抑制効果の信頼性を高めることができ、か
つ摺動相手部材がアルミニウム合金等の金属である場合
に該相手部材の摺動面に傷を付けたり摩耗させる虞れを
少なくすることができる。
【0070】請求項6の発明では、可動部材がボス部に
おいて固定部材の軸部に回動可能に外嵌合される一方、
該可動部材のボス部外周側に配置された捩りコイルばね
により固定部材に対し所定方向に回動付勢されるテンシ
ョナである場合に、上記捩りコイルばねと可動部材のボ
ス部との間に介装されかつ固定部材側に回止めされた状
態で内周面がボス部外周面に摺接可能なスプリングサポ
ートをダンピング部材とした。また、請求項7の発明で
は、上記請求項6の発明と同様のテンショナにおいて、
可動部材のボス部と固定部材の軸部との間に介装されか
つ固定部材側に回止めされた状態で外周面がボス部内周
面に摺接可能なインサートベアリングをダンピング部材
とした。したがって、これら発明によれば、上記請求項
5の発明による効果を具体的に得ることができる。
【0071】請求項8の発明によれば、少なくとも上記
可動部材のボス部をアルミニウム合金からなるものとし
たので、上記請求項5の発明による効果を十分に発揮さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係るテンショナを示す分解
斜視図である。
【図2】テンショナの使用例を示す正面図である。
【図3】往復摩耗試験機の要部を部分的に示す正面図で
ある。
【符号の説明】
1 固定部材 2 回動部材(可動部材) 3 捩りコイルばね(付勢手段) 4 軸部 7 ボス部 8 プーリ 15 スプリングサポート(ダンピング部材) 16 インサートベアリング(ダンピング部材) P 回動軸心 Q 軸心 T テンショナ t Vリブドベルト(ベルト)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定体に固定可能な固定部材と、 ベルトを押圧するためのプーリを有し、該プーリがベル
    トを押圧する方向に移動可能に上記固定部材により支持
    された可動部材と、 上記固定部材及び可動部材間に介装され、可動部材を固
    定部材に対し所定方向に付勢する付勢手段と、 上記固定部材及び可動部材間に介装され、可動部材の移
    動をダンピングするダンピング部材とを備え、 上記付勢手段の付勢力により上記プーリにベルトを押圧
    させて所定の張力を付与する一方、ベルト張力の変動時
    に可動部材が上記付勢方向とは逆の方向に移動されると
    きにその移動をダンピング部材によりダンピングするよ
    うになされたテンショナにおいて、 上記ダンピング部材は、ポリアミド樹脂にフェノール類
    とアルデヒドとの縮合物が添加された樹脂組成物からな
    り、 上記縮合物は、樹脂組成物が加熱されたときに上記ポリ
    アミド樹脂のアミド基の水素との間で脱水反応を起こし
    て該縮合物をポリアミド樹脂と化学的に結合させる遊離
    メチロール基を含有するものであることを特徴とするテ
    ンショナ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のテンショナにおいて、 ポリアミド樹脂はポリアミド4−6樹脂であることを特
    徴とするテンショナ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のテンショナにおいて、 縮合物は、 実質的に炭素、水素及び酸素の各原子から構成され、 かつメチレン基とメチロール基とフェノール類の3官能
    性の残基とを主たる結合単位として含有しており、 上記残基は、フェノール類の2,4及び6位のうちの1
    箇所でメチレン基と結合するとともに、少なくとも他の
    1箇所でメチロール基及びメチレン基の一方と結合して
    おり、 赤外線吸収スペクトルにおいて、メチロール基に帰属す
    る吸収であることを示す990〜1015cm-1のピー
    クでの吸収強度D990 〜1015、及びベンゼン核の孤立の
    水素原子の吸収であることを示す890cm-1のピーク
    での吸収強度D890 と、ベンゼンに帰属する吸収である
    ことを示す1600cm-1のピークでの吸収強度D1600
    との各比がそれぞれ、 D990 〜1015/D1600=0.2〜9.0 D890 /D1600=0.09〜1.0 であり、 遊離フェノールの含有量が液体クロマトグラフィによる
    測定値として500ppm以下であり、 かつ粒径が1〜150μmの球状一次粒子ないし二次凝
    集物からなるものであることを特徴とするテンショナ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のテンショナにおいて、 ダンピング部材は、10〜18wt%の縮合物がポリア
    ミド4−6樹脂に添加された樹脂組成物からなるもので
    あることを特徴とするテンショナ。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のテンショナにおいて、 ダンピング部材は、縮合物に加えて、3〜15wt%の
    アラミド繊維と、2〜10wt%のポリテトラフルオロ
    エチレン樹脂とがそれぞれポリアミド4−6樹脂に添加
    された樹脂組成物からなるものであることを特徴とする
    テンショナ。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のテンショナにおいて、 固定部材は軸部を有するものであり、 可動部材は、上記固定部材の軸部にその先端側から回動
    可能に外嵌合されるボス部を有するものであり、 付勢手段は、上記可動部材のボス部外周側に配置されか
    つ該可動部材を固定部材に対し所定方向に回動付勢する
    捩りコイルばねであり、 ダンピング部材は、上記捩りコイルばねと可動部材のボ
    ス部との間に介装されかつ固定部材側に回止めされた状
    態で内周面がボス部外周面に摺接可能なスプリングサポ
    ートであることを特徴とするテンショナ。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のテンショナにおいて、 固定部材は軸部を有するものであり、 可動部材は、上記固定部材の軸部にその先端側から回動
    可能に外嵌合されるボス部を有するものであり、 付勢手段は、上記可動部材のボス部外周側に配置されか
    つ該可動部材を固定部材に対し所定方向に回動付勢する
    捩りコイルばねであり、 ダンピング部材は、上記可動部材のボス部と固定部材の
    軸部との間に介装されかつ固定部材側に回止めされた状
    態で外周面がボス部内周面に摺接可能なインサートベア
    リングであることを特徴とするテンショナ。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載のテンショナにおい
    て、 少なくとも可動部材のボス部はアルミニウム合金からな
    るものであることを特徴とするテンショナ。
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