JPH0842545A

JPH0842545A - ねじ部品の締結構造

Info

Publication number: JPH0842545A
Application number: JP20904594A
Authority: JP
Inventors: Ryuichi Otsuki; 隆一大槻
Original assignee: Nitto Seiko Co Ltd
Current assignee: Nitto Seiko Co Ltd
Priority date: 1994-07-29
Filing date: 1994-07-29
Publication date: 1996-02-13

Abstract

(57)【要約】【目的】螺入時のねじ締めトルクが低くしかもねじ部品
が緩むことなく、密着固定されるねじ部品の締結構造を
得る。【構成】ワーク１０にねじ山４を螺入する雌ねじ１２を
形成し、雌ねじ１２に螺入するねじ部品１のねじ山４に
前記雌ねじ１２に接する箇所を、脚部３を多角形状ある
いはねじ山４に凹み５を設けて複数形成し、ねじ山４に
圧力が加わると、粒子状の反応単量体が破壊される反応
樹脂を付着させ、雌ねじ１２にねじ山４を螺入する締結
構造。【効果】ねじ山に付着した樹脂は雌ねじにより削り取ら
れることがなく、復元力を有して変形するので、ねじ山
と雌ねじとが完全に密着する。また、ねじ部品を繰り返
し使用することができ、再度の緩み止め及び密封効果も
期待でき、ねじ部品の消費も減少する。更に反応樹脂に
より固定及び密封作用がより完全になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ワークに螺入するねじ
部品が緩むことなく、密着固定されるねじ部品の締結構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来からワークの雌ねじとねじ部品のね
じ山との間を密着固定するために種々のものが考えられ
ている。例えば、ねじ部品の脚部のねじ山にシールテー
プを巻付け、この状態で脚部をワークの雌ねじに螺入し
て固定するものがよく使用されている。これはその作業
の都度、シールテープを巻付けねばならず、作業の段取
りに時間を要していた。また、このねじ部品を再使用す
る場合は、再度シールテープをねじ部品のねじ山に巻き
付ける必要があった。これらの問題を解消するために、
最近では、特公昭５２−１８３４２号公報に示されてい
るようなねじ部品を使用してワークの雌ねじに螺入する
ものがある。これは、ねじ部品１０１の脚部１０３の先
端に可塑性物質１０６を吹き付けて図６に示すように、
この可塑性物質１０６でねじ山１０４の一部を覆い、こ
の状態を維持してねじ部品１０１の脚部１０３をワーク
の雌ねじに螺入することでねじ山１０４を雌ねじに固定
するようにしたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この場
合、ねじ山を有する脚部は横断面が円形であるから、脚
部を雌ねじに螺入した場合、このねじ山に付着している
可塑性物質が前記雌ねじにより削り落とされることにな
り、互いの密着が不完全になっている。また、脚部の横
断面が円形となっているので、この可塑性物質により雌
ねじとの間での接触抵抗が大きくなり、螺入時のねじ締
めトルクも比較的大きくなっている。更に、このねじ部
品を再使用する場合、可塑性物質が削り落とされている
ので、このねじ部品を再使用しても完全に密封すること
ができないとともに緩み止め効果もあまり期待できず、
このため新しいねじ部品を使わなければならず、現在は
使い捨てとなっている。

【０００４】また、実開平５−４２７３０号公報に示す
ように、脚部横断面を三角形状にした金属製のねじ部品
に、ワークのねじ穴に雌ねじを形成するために焼き入れ
処理を施した所謂セルフタッピングねじに、樹脂を付着
させて緩み止め作用を得るようにしたものもあるが、こ
のねじ部品はワークのねじ穴に雌ねじを形成しながら螺
入されるので、樹脂がねじ部品の螺入中に剥がれ、緩み
止め効果が期待できない等の課題が生じている。

【０００５】本発明の第１の目的は、このような課題を
解消するとともに螺入時の抵抗を軽減することであり、
第２の目的は、ねじ部品のねじ山と雌ねじとの間に隙間
を形成することで樹脂が溜まるようにすることであり、
第３の目的は、樹脂を確実にねじ山に溜めることであ
り、第４の目的は、樹脂の中に異なる性質例えば、接着
力あるいは密封力のある成分の硬化剤を封入したマイク
ロカプセル粒を含有させることでねじ部品の固定及び密
封を確実にすることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の目的は、
ワーク１０にねじ部品１の脚部３のねじ山４を螺入する
雌ねじ１２を形成し、この雌ねじ１２に螺入するねじ部
品１のねじ山４に前記雌ねじ１２に接する箇所を複数形
成し、このねじ部品１のねじ山４に樹脂６を付着させ、
ワーク１０の雌ねじ１２にねじ部品１のねじ山４を螺入
することにより達成される。本発明の第２の目的は、ね
じ部品１の脚部３の横断面を多角形状に形成することに
より達成される。本発明の第３の目的は、ねじ部品１の
脚部３のねじ山４に凹み５を形成することにより達成さ
れる。本発明の第４の目的は、樹脂６をこれに圧力が加
わると、この中に含有されている硬化剤を封入したマイ
クロカプセル状の反応単量体が破壊される反応樹脂にす
ることにより達成される。

【０００７】

【作用】脚部３の横断面を三角形状以上の多角形状ある
いはねじ山４に凹み５を形成し、この脚部３のねじ山４
の全てあるいは一部に樹脂６を付着させてねじ部品１を
形成し、このねじ部品１をあらかじめワーク１０に形成
された雌ねじ１２に螺入する。この時、付着している樹
脂６の一部で雌ねじ１２に接する部分は変形されたり、
削られたりして雌ねじ１２とねじ部品１のねじ山４との
間に入り、この間で圧力を受けることにより樹脂６が密
着する。これによりねじ部品１は緩み止めの作用が生じ
る。また、この樹脂１を接着剤等の硬化剤を封入したマ
イクロカプセル粒が含有された反応樹脂にすることによ
り、ねじ山４と雌ねじ１２の嵌め合い圧力を受けてカプ
セルが破壊されるので、樹脂６との間で重合反応し、ね
じ山４と雌ねじ１２との間を接着することになる。

【０００８】

【実施例】以下本発明の一実施例を図１乃至図５に基づ
き説明する。図１及び図２において、２はねじ部品１を
構成する頭部であり、この頭部２の座面にはねじ山４を
有する脚部３が設けられている。このねじ山４を有する
脚部３は軸線に対する横断面が三角形状であり、ねじ山
４の先端部の全周には樹脂６が付着されている。このね
じ部品１は金属製であり、ワークに雌ねじを形成しなが
ら螺入されるセルフタッピングねじのように、焼き入れ
処理は施されていない。前記樹脂６は前処理工程におい
て、樹脂６が付着されるように且つ螺入途中でねじ山４
から剥離しないように剥離防止処理が施されている。こ
の樹脂６はねじ山４の稜線には通常薄く付着しており、
ねじ山４とこれに隣接するねじ山４との間の谷部にはこ
の樹脂６は厚く付着している。

【０００９】また、前記樹脂６には接着及び密封作用が
得られる接着剤等の硬化剤を封入したマイクロカプセル
状の反応単量体を含有する反応樹脂を付着することもで
きる。尚、この実施例では、断面が三角形状の脚部３と
したが、これ以上の多角形状であってもよく、樹脂６も
用途に応じて脚部３の一部あるいは全体に渡って施して
もよい。

【００１０】一方、ワーク１０には雌ねじ１２を形成し
たねじ穴１１が穿設してあり、このねじ穴１１は前記ね
じ部品１の呼び寸法に対応する大きさの円形穴である。
このねじ穴１１にねじ部品１の脚部３を螺入することに
より、ねじ山４と雌ねじ１２との間に大きな隙間が交互
に形成されることになる。

【００１１】以上の構成において、図３及び図４に示す
ように、ワーク１０にあらかじめ雌ねじ１２が形成され
た円形状のねじ穴１１を穿設し、このねじ穴１１に前記
ねじ部品１の脚部３を螺入すると、この脚部３は横断面
が三角形状になっているので、この三角の頂部付近で雌
ねじ１２に接しながらねじ部品１はねじ六１１に螺入さ
れる。この時、樹脂６はねじ山４と雌ねじ１２との嵌め
合わせにより変形し、ねじ山４と雌ねじ１２との隙間が
大きい部分では膨れてこの隙間に充満され、ねじ山４と
雌ねじ１２とは密着する。一方、この樹脂６がマイクロ
カプセル状の反応単量体を含有したものであると、この
嵌め合わせによる圧力を受けて前記カプセルの一部が破
壊されることになり、樹脂６との間で重合反応を生じ、
互いに接着されて緩みと漏れを完全に防止する。

【００１２】また、このねじ部品１をワーク１０から強
制的に緩めて抜き取ると、この樹脂６の変形部分が復元
するから、再使用にも充分に耐えることができ、緩み止
め等の作用が得られる。

【００１３】更に、図５は本発明の他の実施例としての
ねじ部品１の要部を示しており、金属製のねじ部品１の
脚部３は横断面を円形状とし、この脚部３のねじ山４に
円周方向に等間隔をおいてねじ山４の稜線より低い凹み
５を形成したものである。この凹み５を有するねじ山４
の部分には前記実施例と同様に一部または全体に渡って
樹脂６が付着されており、この凹み５及び谷部には樹脂
６が厚く、ねじ山４の稜線には樹脂６が薄く付着されて
いる。このように構成されたねじ部品１を前記実施例と
同様にワーク１０のねじ穴１１に螺入することでねじ山
４と雌ねじ１２との間には同様の作用が得られる。

【００１４】

【発明の効果】本発明は以上説明した実施例から明らか
なように、あらかじめワーク１０にねじ部品１の脚部３
のねじ山４を螺入する雌ねじ１２を形成し、この雌ねじ
１２に螺入するねじ部品１のねじ山４に前記雌ねじ１２
に接する箇所を、脚部３を多角形あるいはねじ山４に凹
み５を設けて複数形成し、このねじ部品１のねじ山４に
樹脂６を付着させ、ワーク１０の雌ねじ１２にねじ部品
１のねじ山１２を螺入するものである。このため、ねじ
部品の螺入時のねじ締めトルクが低減できるとともに、
ねじ山に付着している樹脂は雌ねじにより削り取られる
ことがなく、復元力を有して変形することになり、ねじ
山と雌ねじとを完全に密着することができる。また、こ
のねじ部品の再使用においても繰り返し使用することが
でき、再度の緩み止め及び密封効果も期待でき、ねじ部
品の消費も減少する。更に脚部に付着された樹脂を、圧
力が加わると樹脂に含有されている粒子状の反応単量体
が破壊される反応樹脂にすることにより固定及び密封作
用がより完全になる等の特有の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としてのねじ部品を示す一部
断面正面図である。

【図２】図１のワークを除いたＡ−Ａ線横断面図であ
る。

【図３】本発明の螺入状態を示す断面正面図である。

【図４】図３の要部横断面図である。

【図５】本発明のねじ部品の他の実施例を示す要部拡大
図である。

【図６】従来例のねじ部品の要部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ねじ部品２頭部３脚部４ねじ山５凹み６樹脂１０ワーク１１ねじ穴１２雌ねじ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ワーク１０のねじ穴１１にねじ部品１の
脚部３のねじ山４を螺入する雌ねじ１２を形成し、この
雌ねじ１２に螺入するねじ部品１のねじ山４に前記雌ね
じ１２に接する箇所を複数形成し、このねじ部品１のね
じ山４に樹脂６を付着させ、ワーク１０の雌ねじ１２に
ねじ部品１のねじ山４を螺入することを特徴とするねじ
部品の締結構造。
【請求項２】ねじ部品の脚部はその横断面が多角形状
に形成されていることを特徴とする請求項１記載のねじ
部品の締結構造。
【請求項３】ねじ部品の脚部はねじ山４に凹み５が形
成されていることを特徴とする請求項１記載のねじ部品
の締結構造。
【請求項４】樹脂は圧力が加わると、この中に含有さ
れている硬化剤を封入したマイクロカプセル状の反応単
量体が破壊される反応樹脂であることを特徴とする請求
項１、請求項２または請求項３記載のねじ部品の締結構
造。