JPH084182A - フラットデッキプレート用のアンカー部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フラットデッキプレートへのアンカー部材の
取り付けを簡単にする。 【構成】 アンカー部材１１は下部に抜け止め用突起１
３を持ち，上部に頭部１５を持つ。フラットデッキプレ
ート１の補強リブ２の合わせ部２ａに打ち込むと，抜け
止め用突起１３が合わせ部２ａの両側の壁面に食い込ん
でフラットデッキプレート１に係止され，頭部１５によ
り硬化後のコンクリート６と一体結合する。フラットデ
ッキプレート１はアンカー部材１１を介してコンクリー
ト６と結合し，コンクリート床７の裏面からの剥離や脱
落は防止される。このアンカー部材１１は，単に補強リ
ブ２の合わせ部２ａに打ち込むという簡単な操作でフラ
ットデッキプレート１の上面に取り付けすることがで
き，特殊な器具や工具を必要としない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は，フラットデッキプレ
ートを捨て型枠として用いてコンクリート床を構築する
際に，フラットデッキプレートを硬化後のコンクリート
と結合させるためにフラットデッキプレートの上面に取
り付けるアンカー部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６に示すように，フラットデッキプレ
ート１は，上面に臨む合わせ部２ａを持ちデッキプレー
ト長手方向に延びる複数条（図示例では３条）の補強リ
ブ２を下面側に備え上面が平坦にされた断面形状を有
し，図７に示すようにデッキプレート長手方向の両端の
補強リブ２を押し潰して形成した閉塞端部３を梁４等に
乗せて敷き並べ，これを型枠とし配筋５を施しコンクリ
ート６を打設してコンクリート床７を構築するために用
いられる。

【０００３】上記のフラットデッキプレート１は，捨て
型枠として用いられるのでコンクリート床７の裏面に残
るが，この床裏面のフラットデッキプレート１の補強リ
ブ２を利用して吊り金具（図示略）を取り付け，天井や
配線ダクト等を吊り下げる場合がある。この場合，フラ
ットデッキプレート１はコンクリート床７の裏面に単に
密着しているだけであるから，吊り下げの荷重が大きい
と，フラットデッキプレート１がコンクリート床７の裏
面から容易に剥離しさらには垂れ下がるおそれがある。
また，ＳＲＣ構造またはＲＣ構造の建築物の場合，床と
梁とを一体にコンクリート打設するが，この場合のフラ
ットデッキプレートの両端の梁部分へののみ込み代は大
きく取れないので，フラットデッキプレートの両端を必
ずしも十分確実には支持できず，裏面に働く前記吊り下
げ荷重によりフラットデッキプレートが脱落するおそれ
があり，また，フラットデッキプレートの自重によって
も脱落のおそれがある。

【０００４】上記のようにフラットデッキプレート１が
コンクリート床７の裏面から剥離したり脱落することを
防ぐために，図８に示すように，軸８ａの上部に大径の
頭部８ｂを備えたアンカー部材８をフラットデッキプレ
ート１の上面に溶接等で固着することが行われている
（特公昭６１−５６７３９号等参照）。このアンカー部
材８によりフラットデッキプレート１とコンクリートと
が結合し，上述のフラットデッキプレート１の剥離や脱
落を防止できる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし，上記従来のア
ンカー部材８では，これをフラットデッキプレート１の
上面に取り付けるために溶接機等の特殊な器具や工具を
必要とするので，きわめて煩雑である。

【０００６】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で，フラットデッキプレートを用いて構築するコンクリ
ート床におけるフラットデッキプレートの剥離や脱落を
防止できるとともに，フラットデッキプレートへの取り
付けを特殊な器具や工具を必要とせずに簡単に行うこと
ができるアンカー部材を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は，上面に臨む合わせ部を持ちデッキプレート長手方
向に延びる複数条の補強リブを下面側に備え上面が平坦
にされたフラットデッキプレートを型枠として用いてコ
ンクリート床を構築する際に用いるフラットデッキプレ
ート用のアンカー部材であって，概略軸状をなし，下部
にフラットデッキプレートの前記合わせ部に差し込まれ
た時に合わせ部の両側壁面に係止する抜け止め用突起を
備え，上部に打設後硬化したコンクリートと一体結合す
るための膨大部を備えたことを特徴とする。

【０００８】請求項２は，前記アンカー部材の下部をフ
ラットデッキプレートの前記合わせ部に差し込んだ時
に，フラットデッキプレートの上面に当たって差し込み
深さを規制するストッパ用突起を中間部に設けたことを
特徴とする。

【０００９】請求項３は，前記抜け止め用突起またはス
トッパ用突起を，軸部に斜めに切り込みを入れ外側に拡
げて形成したことを特徴とする。

【００１０】

【作用】上記構成において，フラットデッキプレートを
敷き並べた後コンクリートを打設する前に，アンカー部
材をフラットデッキプレートの上面から補強リブの合わ
せ部に打ち込むと，抜け止め用突起が合わせ部の両側壁
面に食い込み，アンカー部材の抜け止めが図られる。そ
の後コンクリートを打設する。コンクリート硬化後は，
アンカー部材はコンクリートに埋め込まれた膨大部によ
りコンクリートと一体結合する。したがって，フラット
デッキプレートはアンカー部材を介してコンクリートと
結合し，コンクリート床の裏面からの剥離や脱落は防止
される。

【００１１】請求項２によれば，アンカー部材を補強リ
ブの合わせ部に打ち込む際，ストッパ用突起がフラット
デッキプレートの上面に当たって，常に一定深さの打ち
込みが行われる。したがって，アンカー部材がコンクリ
ートと十分堅固に結合するために必要な上方への突出寸
法が確保される。

【００１２】請求項３によれば，軸部に切り込みを入れ
外側に拡げるという簡単な加工で抜け止め用突起あるい
はストッパ用突起を形成できるので，この抜け止め用突
起あるいはストッパ用突起の形成がきわめて容易であ
り，アンカー部材を安価に製造できる。

【００１３】

【実施例】以下，本発明の実施例を図１〜図７を参照し
て説明する。この実施例におけるフラットデッキプレー
ト１自体およびコンクリート床の基本構造自体は図６，
図７に示したものと同じであり，再度の説明は省略す
る。図２に本発明の一実施例のアンカー部材１１を示
す。同図（イ）は斜視図，同図（ロ）は同図（イ）のＡ
−Ａ断面図である。このアンカー部材１１は，丸鋼によ
る軸１２の下部に抜け止め用突起１３を形成し，その若
干上方にストッパ用突起１４を形成し，下端側を先細り
に尖らせ，上端に膨大部としての円板状の頭部１５を一
体に設けたものである。前記抜け止め用突起１３は，軸
１２の左右部に斜め下向きに切り込みを入れ，それぞれ
外側に拡げて銛状に形成したものであり，また，前記ス
トッパ用突起１４は，軸１２の左右部に斜め上向きに切
り込みを入れそれぞれ外側に拡げて形成したものであ
る。

【００１４】前記アンカー部材１１の使用要領を説明す
る。図６に示すようにフラットデッキプレート１を型枠
として用いてコンクリート床７を構築する際，フラット
デッキプレート１を梁等に敷き並べた後コンクリートを
打設する前に，適宜の数のアンカー部材１１を適宜の分
布でフラットデッキプレート１の上面から図１に示すよ
うに補強リブ２の合わせ部２ａの間隙に打ち込む。その
後，配筋５を施し，コンクリート６を打設する。コンク
リート硬化後は，アンカー部材１１の上部は，その上端
の頭部１５がコンクリート６中に埋め込まれていること
でコンクリート６と一体結合する。一方，アンカー部材
１１の下部は，抜け止め用突起１３の斜め上方に向いた
鋭角のエッジがフラットデッキプレート１の合わせ部２
ａの両側の壁面に強く食い込むことでフラットデッキプ
レート１に係止されるので，フラットデッキプレート１
はアンカー部材１１を介してコンクリート６と結合す
る。したがって，例えば２点鎖線で示すように補強リブ
２に吊り金具１８を取り付けこれに荷重を加えても，コ
ンクリート床７の裏面から剥離したり，垂れ下がった
り，脱落したりするおそれはない。なお，アンカー部材
１１は，打ち込みの際，ストッパ用突起１４がフラット
デッキプレート１の上面に当たるので，常に一定深さの
打ち込みが行われる。したがって，アンカー部材１１が
コンクリートと結合するために必要な上方への突出寸法
が確保される。

【００１５】アンカー部材１１に設けるストッパ用突起
は，前記の図２のように軸に切り込みを入れ拡げて形成
することによらずに，図３に示すストッパ用突起１４Ａ
のように，円形の鍔を軸１２に固定して設けることもで
きる。また，アンカー部材１１の合わせ部２ａへの係合
をさらに強固にするために，図３のように，抜け止め用
突起１３を複数設けてもよい。

【００１６】図４に本発明のアンカー部材のさらに他の
実施例を示す。この実施例のアンカー部材２１は，板状
の軸２２の下部に，前記と同様に切り込みを入れ外側に
拡げてなる抜け止め用突起２３を設け，下端側を先細り
に尖らせ，上部にカギ型に折曲した頭部（膨大部）２５
を設けた構造である。このアンカー部材２１も前記と同
様に，フラットデッキプレート１の補強リブ２の合わせ
部２ａ打ち込んで用いる。なお，図示例ではストッパ用
突起を省略しているが，打設したコンクリートが硬化し
た後はストッパ用突起の役目はなくなるので，機能的に
問題はない。

【００１７】図５に本発明のさらに他の実施例を示す。
このアンカー部材３１は，異形鉄筋による軸３２の下部
に前記と同様に切り込みを入れ外側に拡げてなる抜け止
め用突起３３を設け，下端側を先細りに尖らせたもので
ある。この場合，軸３２の上端に頭部を設けていない
が，異形鉄筋が元々外周に備えている凸部３４が膨大部
として機能し，コンクリートと結合する。

【００１８】なお，アンカー部材の上部に設ける膨大部
の形状は，上述の各実施例のものに限定されるものでは
なく，要するにアンカー部材がコンクリートから抜けな
いように軸部表面より突出する形状であればよい。

【００１９】また，本発明のアンカー部材を適用できる
フラットデッキプレートの断面形状は，必ずしも図示例
のものに限定されない。要するに，上面に臨む合わせ部
を持つ補強リブを下面側に備え，上面がほぼ平坦にされ
たものであればよい。

【００２０】

【発明の効果】本発明のアンカー部材によれば，下部の
抜け止め用突起がフラットデッキプレートに係止し，上
部の膨大部がコンクリートに係合するので，フラットデ
ッキプレートをコンクリートに結合させ，フラットデッ
キプレートのコンクリート床からの剥離や脱落を防止す
ることができる。また，単に補強リブの合わせ部に打ち
込むだけでフラットデッキプレートに取り付けることが
でき，現場で特殊な器具や工具を必要としないので，フ
ラットデッキプレートへの取付作業がきわめて簡単にな
り，施工性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のアンカー部材を取り付けた
フラットデッキプレートを用いて構築したコンクリート
床の部分断面図である。

【図２】図１におけるアンカー部材を示すもので，同図
（イ）は斜視図，同図（ロ）は同図（イ）のＡ−Ａ断面
図である。

【図３】本発明の他の実施例のアンカー部材を示す斜視
図である。

【図４】本発明のさらに他の実施例のアンカー部材を示
す斜視図である。

【図５】本発明のさらに他の実施例のアンカー部材を示
す斜視図である。

【図６】フラットデッキプレートを型枠として用いて構
築したコンクリート床の一般的な構造を説明するもの
で，コンクリート床の正面断面図である。

【図７】図６におけるフラットデッキプレートを敷き並
べた状態を示すコンクリート打設前の側面図である。

【図８】従来のアンカー部材の斜視図である。

【符号の説明】

１ フラットデッキプレート ２ 補強リブ ２ａ 合わせ部 ６ コンクリート ７ コンクリート床 １１ アンカー部材 １２，２２，３３ 軸 １３，２３，３３ 抜け止め用突起 １４，１４Ａ ストッパ用突起 １５，２５ 頭部（膨大部） ３５ 凸部（膨大部）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面に臨む合わせ部を持ちデッキプレー
   ト長手方向に延びる複数条の補強リブを下面側に備え上
   面が平坦にされたフラットデッキプレートを型枠として
   用いてコンクリート床を構築する際に用いるフラットデ
   ッキプレート用のアンカー部材であって，概略軸状をな
   し，下部にフラットデッキプレートの前記合わせ部に差
   し込まれた時に合わせ部の両側壁面に係止する抜け止め
   用突起を備え，上部に打設後硬化したコンクリートと一
   体結合するための膨大部を備えたことを特徴とするフラ
   ットデッキプレート用のアンカー部材。
2. 【請求項２】 当該アンカー部材の下部をフラットデッ
   キプレートの前記合わせ部に差し込んだ時に，フラット
   デッキプレートの上面に当たって差し込み深さを規制す
   るストッパ用突起を中間部に設けたことを特徴とする請
   求項１記載のフラットデッキプレート用のアンカー部
   材。
3. 【請求項３】 前記抜け止め用突起またはストッパ用突
   起は，軸部に斜めに切り込みを入れ外側に拡げて形成し
   たことを特徴とする請求項１または２記載のフラットデ
   ッキプレート用のアンカー部材。